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2017年11月 8日 (水)

座・犬神サアカス團~私のディープ浅草 <その1>

  
10月にリリースした『新宿ゴーゴー』が大ウケの犬神サアカス團。
ああ、覚えてるナァ、こういう雰囲気。
ゴーゴーが流行ったのは私が幼稚園の頃だった。
そういえば、私が小さい頃、全く悪びれた感覚なくして、ごくごく自然に自分のことを「あたい」って呼んでた女の子が近所にいたナァ。
そんなことを思い出してか、いいんだぜ~、このアルバム。
12月のレコ発ライブの千秋楽もレポートもすることだろうから、今はもうココではコレ以上は触れない。

Cd今日はまだ暑い盛りのライブのレポート。
もう冬だっていうのに、ココまで引っ張ったのには理由がある。
それはこのレポートの後半で説明する。
 
コレが今回のライブ会場。
いつもとゼンゼン雰囲気が違う。
場所は南青山の『MANDALA』。
テーブル席ですよ。
ポッシュですよ。
ココで演奏をするのは今回で2回目と聞いたが、ホントにマァ、色んなことをやりますナァ、犬神さんは。

10♪ブッパン、ブッパン、いつもと変わらないのは楽しい物販。
ショート・プレミアム興業のライブDVDがゾロリ。

20加えておなじみの缶バッジに…

30アクセサリー類ね。

35そして、今日はスペシャルがあるよ。
まずは限定販売の「犬カレー」。
ビーフ、ポーク、チキンとはチョット違う味わいがタマらない!

40そしてこの日だけのスペシャル・カクテル。
向かって左の白いのは「白痴」。
ちなみに私のパソコンは「はくち」と打っても「白痴」と変換されない。
真ん中の赤いのは「ブラデイ・メアリー」。
スペインからワザワザ輿入れしたキャサリン・オブ・アラゴンとの間にメアリーという娘がいたが、男の子が生まれず、後の2番目の妃となるアン・ブーリンに心惹かれるヘンリー八世。
アンと再婚したさに、離婚を認めないカトリックから離反し、イギリス国教会を設立。
母の無念、晴らさでおくべきか…「おのれオヤジ!」とばかりに父の死後、徹底的にプロテスタントを血祭に上げたのがそのメアリー。
ブラディ・メアリーの「赤」はメアリーが流した当時のプロテスタントの血だ。
この白と赤のふたつのカクテルを混ぜると…結局は「白血(はくち)」になる。
右の黒いのは不明。

50ステージはいつも通り。

60NATALのアッシュ・キット。

70EDENのTerra Nova TN-501とD410DXT。

80vオ!
ギター・アンプがいつもと違う!
そうなのよ。
コレはMarshall初のブティック・アンプ、ASTORIAシリーズのウチのCLASSICというモデル。
「ブティック・アンプ」というのは金に糸目をつけない、とにかく最高の音質・品質を目指した高級モデルのことね。
ゼンゼン歪まない、オッソロしく音のいいアンプ。
ま、色々な見方はあるにしても、今、アンプ・マーケットの中では最も音質の良いモデルのひとつと言えるだろう。
真空管アンプにしか出せない温かみのあるサウンドがタマらないのだ。
ヘヘヘ。結果的ではあるが、私のアイデアが元になってるんだゼ。

90アララ、場所に合わせてサオも様子が違う。
ギターはセミアコ。

100ベースもセミアコだ!

110ジャズ・クラブっぽい場所だけに「A night in 地獄」とか「Relaxin' at 冥土」とか「Cry me 三途の川」なんてレパートリーが出るかと思ったけど…そんなワケないか。

120犬神凶子

130v犬神情次2号

140v犬神ジン

150v犬神明

160vセット・リストは「犬カレーに合わせて辛めの曲で構成した」とのこと…辛めというより、チョット渋め?

170オープニングは「恐山」。

180v「箱バン」みたいに演りたかったという凶子姉さん。
チョット大人みたいな感じのパフォーマンスね。

280凶子姉さんはすぐさまジン兄が持つベースがいつもとは異なり、セミアコを使っていることに気づく。
そして、楽器の話題に。
ジン兄はEDENの説明もしてくれた。

330また、凶子姉さんは情次兄さんのギターもアンプも普段と違うことを指摘。
300すると今度は情次兄さんがASTORIAの説明をしてくれた。
「そう、いつもは100Wなんだけど、コレ30Wなの。でもスゲエ高いの。だから借りたの」

340そう、スゲエ高いけど、スゲエ音がいいから貸したの。
ASTORIAシリーズは抹茶、アズキ、ハワイの3種類。
情次兄さんが今日使っている抹茶はまったく歪まないモデル。
どこまでも美しいクリーン・トーンを出しよる。
本当はオーバー・ドライブ・トーンのアズキを頼まれたんだけど、オジちゃん、間違えちゃったの。
ゴメンね、ジョニーちゃん。

Astところが、だね。
コレがまたモノスゴくいい音だったのよ!
結果超オーライ。
情次兄さんのお気に入りの歪み系のエフェクターでディストーション・サウンドを出したワケなんだけど、コードを弾いてもひとつひとつの弦の音がハッキリと聞こえて来るようなリッチなサウンド。
ふくよかで、深みがあって…タマらんゼイ!

270v「明兄さんは?」
「そうだネェ。いつものNATALと木のスティック」
ソレでいいのだ。

3502曲目は「樹海」。

220それに「人肉スープ」と続く。
なるほど、いつもとは違う展開だ。
重苦しい。

190v「知っている人もいると思うけど、今日はこんな曲ばかり演ります。スゴイ速い曲ではないモノばかりを演ります。
別にいいんだよ。静かにしてなくてもいいんだよ。好きな曲の時はパーッとやってね。
みんながおとなしいと恥ずかしくなっちゃう!」
2001年の『暗黒残酷物語』から「瘡の妙薬 」。

2302000年の『赤猫』から「けもの道」と続く。

200v実はこの日は昼夜の2回興業で、今レポートしているのはマチネー。
つまり昼の部。
夏の晴れの日に、昼間っから地下のライブハウスにこもって犬神の音楽を堪能するとは何てゼイタクなことだろう。
ソワール(夜の部)はまた別のセットリストで臨んだとのこと。
さすが犬神サアカス團、新旧織り交ぜてのレパートリーは無尽蔵だ。

210v2000年、2001年の曲が続いて、今度は最近のレパートリー。
『玉椿姫』からタイトル曲。
…と言っても、このアルバムってもう3年前なのッ?!

240v『待ちわびた日~形而上のエロス外伝』から「夏の日」。
知らんな~。
ホント、掘っても掘っても知らない曲が出て来る。
ま、私なんざ、「犬っこ」なんてもんじゃなくて、「ヒヨっこ」ですからね。

250vココで新しめの曲。
「空の色は何色ですか」と「ココなに」でおなじみの「ここから何かが始まる」だよ。

260v私の知らない曲がドンドン出て来る。
「ビザール」、そして「マッチポンプ」。
とにかくレパートリーがスゴイ。まるでFrank Zappa。
これも20年以上にわたり、間断なく新作を世に問うてきた成果だ。
やっぱりミュージシャンは曲を作らないと!
さて、犬カレーもスッカリ食べ終わった客席は完全に「ジックリ聴く」モード。

295そこへ一発ド派手なヤツを!
『新宿ゴーゴー』のリード・チューン「暗黒礼賛ロックンロール」だ!

360シンプルでストレートなハードロック犬神風味。
この曲はMVが仕上がっているので是非ご覧頂きたい。
明兄さまのドラムキットに注目だぜよ!

渋め渋めに演ってはいても、ハードなところはハードにキメるよ!

370

380v

390v

400vその他、「エルドラード」や、アンコールでは「紅雀」を演奏して『座・犬神サアカス團』のマチネーを終了した。
 
犬神サアカス團の詳しい情報はコチラ⇒公式家頁

410さて、今日の記事のタイトルに『私のディープ浅草<その1>』とあるでしょう?
今からそれをやります。
<第2部>ととらえてくだされ。
ココから先はグロに弱い人はご遠慮頂いた方がいいかも…。
反対に猟奇的な話が好きな人にはドンズバかも…。
ナニをやるのかと言うと、ベテランの犬神ファンは知っているかも知れない……「小口末吉」という名前を。
  
ある時、機材の打ち合わせで明兄さんと凶子姉さんがMarshallの事務所にお越しになった。
出し抜けに明さんがこう切り出した。
「竜泉というのはこの近くですよね?」
私が「そうです」と答えると、明さんが二の句を継いだ。
「『小口末吉事件』ってご存知ありませんか?」
寡聞にして私はその名前を知らなかった。
すると明さんが説明をこう付け加えた。
「犬神サアカス團のステージにはいつも赤い幟が立ってますでしょ?」
「あの『狗餓身稲荷』っていうのと『女ナントカ』っていうヤツ」
「そう。『女殺火箸地獄』です。それがその『小口末吉事件』のことなんです」
「ハァ?」
「『女殺火箸地獄』というのは、その事件を題材にした私たちが作ったロック・オペラのタイトルなんです」
そして、「その事件」の大まかな内容を聞いて驚いた。
明さんたちがお帰りになった後、この事件をインターネットで調べて全容を知った時、少々気分が悪くなった。

420vまた、同時に興味が湧き、明兄さんが言っていた事件の現場へさっそく足を運んでみた。
現場とは台東区竜泉。
つき当りは日光街道だ。
今年も酉の市が6日、18日、30日と開かれる鷲神社のほんのチョット先に行ったエリア。
440コレが鷲神社。
「わしじんじゃ」じゃないよ、「おおとりじんじゃ」ね。
みんな「おとりさま」って呼んでるわね。
ウチの家族は「とりいさん」って言ってたような気がするけど、それじゃ「サントリー」になっちゃうじゃんね?
ここから先、チョット漢字が多くなるよ。
読みにくくてゴメンちゃい。
日本神話で天照大御神(あまてらすおおみかみ)が天之岩戸(あまのいわと)に隠れる話があるでしょ?
世の中が真っ暗になっちゃって、「コレ、ヤバくね?」と天宇受売命(あめのうずめのみこと)が、岩戸の前で舞った。
「おびき寄せ」作戦ね。
その時、弦(げん)という楽器で舞のバッキングをした神様がいたんだって。
パフォーマンスがよっぽど素晴らしかったのか、「私がココへ入り込んでいる以上世の中は真っ暗なハズなのに何やら外は楽しそうじゃん?」…と外の様子が気になって天照大神が岩戸を開ける。
おびき出し作戦はマンマと成功。
天手力男命(たじからをのみこと)が岩戸を「ウオリャァァァ!」とブン投げて、めでたく世の中が光を取り戻す。
その時、弦の先に「鷲」が止まった。
すると神様たちは、その鷲のことを「世を明るくした鳥」だとよろこんで、この弦をプレイした神様に「鷲」の一字を入れて天日鷲命(あめのひわしのみこと)と命名したそうだよ。
で、天日鷲命は諸国の土地を開き、開運、殖産、商賣繁昌に徳の高い神様とされ、日本武尊(やまとたけるのみこと)とともにこの鷲神社でお祀りしている。
ちなみに、天宇受売命(あめのうずめのみこと)は「日本で最初のダンサー」なんだって。
それと、この天岩戸は奈良とか九州に存在したという説があって、天手力男命(たじからをのみこと)がブン投げた岩戸は、遠く信州まで飛んで行ったという。
今ならメジャー行き間違いなし。
その岩戸の着地点が「戸隠」なんですよ。
戸隠はすごく好きなスキー場だった。
中社のそばは美味しいし、「ランプ」という喫茶店で作っているカチンカチンのチーズケーキが激ウマだった。
イカンイカン、何重にも脱線しとる!
この手の神話の勉強をしたいんだけど、ナニせ神様の名前が読めん!
それで挫折しちゃうんだよね。
しかし、その「弦」というのはどういう形なんだろうね。
きっとギターっぽいヤツなんだろうけど、ヘッドに鷲がとまってみなよ。重くて演奏できないよ、フツウ。

430そして、鷲神社といえば、「酉の市」。
日本武尊(やまとたけるのみこと)が東夷征討の際、この社に立ち寄って戦勝を祈願。
ウマい具合に成功してここへ帰って来てお礼参りをした。
その日が11月の酉の日だったので、この日を鷲神社の例祭日と定めた。
それが「酉の市」ってワケ。
このことから日本武尊もこの神社に祀られるようになったとさ。
時々こうしてまとめておかないと自分でもナニを書きたいのかわからなくなっちゃう。
  
いいですか~。
今、第2部の脱線の最中ですからね~。
  
で、今でも11月の酉の日には「市」が立ち、それらは順に「一の酉」、二回目の酉の日を「二の酉」、三回目を「三の酉」と呼んでいる。
今年の11月の最初の酉の日は6日…というので行って来た。
まぁ、樋口一葉の『たけくらべ』にもあるように、スゴイ人出よ!

T_img_5005商売繁盛を願って長くて太い参詣者の列ができる。
まず入り口で「ぬさ」を振ってもらってお清めをするんだね。
今年の11月の次の酉の日は18日。
そして、もう一回…23日に三回目の酉の日が巡って来ちゃう…アチャ~!
「三の酉がある年は火事が多い」って言うんだよね。
コレはどうも、11月の末ともなると寒くなって火を使う機会が増えるので、「くれぐれも火の元には注意しなさいよ」という戒めらしい。
もしくは、旦那衆が酉の市にかこつけてすぐ近くにある吉原に遊びにいくのを引き留めるための一種の脅しだったとか…。

T_img_5006でも、コレらはおかしい。
だって三回目の酉の日があろうとなかろうと、この時節には必ず寒くなるんだから、酉の日は関係ないハズだ。
また、一の酉や二の酉の時は吉原へ行かないのか?ということになる。
で、少し調べてみると、どうも2日間にわたって江戸のほとんどを焼き尽くしたという1657年の「明暦の大火」があった年の11月には酉の日が三回あった。
それに当てているらしい。
それにしてもココの例祭はスゴイよ。
大正12年の関東大震災の年も、戦時中や終戦の年も執り行われ、一度として休んだことがないのだそうだ。

T_img_5016酉の市といえば、「熊手」だよね、「Fortune Rake」。
開運や商売繁昌のお守りとして「酉の市」の時だけ販売している。

T_img_5015神社でのお参りが終わって歩を進めると、そのままこの熊手の商店街に突入する。
ナンで熊手か…。
この習わしは、上に記した東夷征討戦勝のお礼参りの際に、日本武尊が社前の松に武具であった「熊手」をかけたことに由来しているそうだ。
T_img_5019♪シャシャシャン、シャシャシャン、シャシャシャンシャン。
大きい熊手が売れて、アチコチで景気の良い三本締めの音が聞こえる。
いいね、風勢があって。
ウチは父も祖父も大工だった。
昔、よく建前に連れて行ってもらってね~。
材木の香りがプンプンする中、あのにぎやかな雰囲気がすごく好きだった。
そういえば「建前」なんてやってるの見たことないし、聞きもしないな~。
プラモデルみたいなへーベル・ハウスじゃ雰囲気でないもんな~。

T_img_5017さて、竜泉に話を戻す。
ココからが第2部の本題だよ。
ま、どこにでもある都会の街の風景。
昔はこのあたりを東京市下谷区龍泉寺町といった。
場所は特定できないが、今からちょうど100年前、ココでその『小口末吉事件』が起こった。
 
大正6年3月、龍泉寺町の町医者が小口末吉という大工から往診を依頼され、その先にうかがったところ、吉原で働く(遊女ではない)内妻の矢作ヨネが布団で臥せていた。
診察のためにその布団をめくって医者はビックリ仰天。
ヨネの全身は焼けただれ、手足の指が数本欠落していた。
また、背中や腕に「小口末吉妻」と焼け火箸で書かれたヤケドの跡があった。
その2日後にヨネは敗血症で死亡(太ももの動脈からの失血死という記録もあり)。
24歳だった(他説あり)。
「女」、「殺」、「火箸」、「地獄」…コレが犬神サアカス團の「女殺火箸地獄」の出自だ。
末吉がヨネを折檻して死に至らしめた…と思ったのは当然で、その医者は警察に届けを出し、末吉は殺人の疑いで逮捕された。

450コレが今も残る龍泉寺。
末吉の仮住まいはこの近辺の肉鍋屋(すき焼きに似ているが、料理法が違う)の2階にあったという。

470検死の結果、警察があることに気付く。
ヨネの身体につけられたキズがあまりにも整然としており、ヨネが極めて能動的でなければそんな所業が成し得ない…ということだ。
そして、末吉を取り調べているうちに驚愕の事実が浮かび上がってくる。
ヨネは折檻されていたのではなく、自分から末吉に頼んで身体にキズを付けてもらい、めくるめく快感を味わっていたのだ。
要するにマゾヒズム。
同じ「ひずむ」でもMarshllが「歪む」のとはワケが違う。
だからヨネはワザとバレる浮気をしたり、「キズを付けないと別れる」と脅して、強制的に末吉に折檻させていたというのだ。
時にはノミで手や足の指先を切断させたりした。
本格派である。
気合いの入り方が違うのだ。
「やらないなら別れるよ!」と脅される末吉。
ノミを当てて末吉が槌を当てると、ヨネの指先がポーンとスッ飛んだという。
最初、コレを知った時「ゲゲゲ!」と衝撃を受けたが、他のことを調べているウチにそうでもないことがわかった。
…というのは、これらの行為はヨネがオリジナルで考案したモノではなく、江戸時代の吉原の遊女が上顧客をつなぎ留めておくための手段のひとつであったことを知ったのだ。
身体に愛人の名前を刻むのも同様。
江戸時代からあった行為で、ヨネは焼け火箸を使ったが、吉原の遊女たちは入れ墨で同じことをした。
吉原に勤めるヨネは恐らくこれらのワザを知っていたのであろう。
このあたりのことは、また別の機会に別の形で記す。
ヨネは真っ赤に焼けた火箸が皮膚に食い込み、部屋中に肉が焼けこげるニオイが充満しても悲鳴ひとつ上げなかったという。
筋金入りである。
  
しかし、この末吉はアホでしょ?
普通の男だったら、いくらなんだって絶対こんなことはできないよね。
それもそのハズ、この小口末吉というのは一種の「愚鈍」だったらしい。
それゆえ、「妻」という字が書けず、ヨネに教わりながら火箸を肌に当てて動かしたという。
ヨネは初めて末吉に合った時、すぐに彼の頭が少々足りないこと見抜き、「コイツだったら私の言いなりに自分をイジめてくれるだろう」と目星をつけ、前妻と別れさせた。
末吉はその後、懲役10年が求刑されたが、判決が下る前に脳溢血でこの世を去った。

480コレが『小口末吉事件』。
「日本で最初のSM殺人事件」とされているそうだ。
本当はコレにまつわるエグイ話がたくさんあるのだが、この手の話の行先は間違いなく「ヘソ下三寸」となる。
ヘソ下三寸には人格はないが、ブログには格があるだろうから、そのあたりのことは割愛させて頂く。
だって、もしココにそういうことを書いてMarshallの連中がGoogle翻訳かなんかで読んだら大変なことになっちゃうでしょ。
「男女」の話だけに、目を「シロクロ」させちゃう!
興味のある人はインターネットで調べれば、そのあたりに関する記事がゾロゾロ見つかるであろうから、ソチラを参照して気持ち悪がって頂きたい。
ちなみにそんなに頻繁ではないが、犬神サアカス團が今でもライブで取り上げている、『地獄の子守唄』の「鬼火」、『セタカムイ』の「骨」、さらに『怪談 首つりの森』に収録されている「涅槃に咲く白い花」等はこのオペラ『女火箸殺地獄』からの作品だそうだ。
 
さて、もう少し竜泉周辺を散策することにする。
古い番地掲示板を発見。
このデザイン、なつかしいね。
ね、町名の表示が「竜泉寺町」になっている。

490この辺りは東京大空襲ですべて灰になったのだろう。
戦前のモノと思われる建物はほとんど見当たらないが、チョット裏に入るとこうした昭和30年代あたりの雰囲気を漂わせる木造建築はゴロゴロしている。

500v_2「明るくすみよい」か…。
その割には首をくくるためのロープが備え付けられている…そんなことはないか…。
「竜北」というのは「竜泉寺北」を表す町会名だろう。
510古い銭湯だな。
最近、風呂屋の煙突って見かけなくなったでしょう?
それは燃料が薪から灯油やガスに代わったからだそうだ。
水をただ温めるだけの灯油やガス式に対し、湯釜を温める薪式の銭湯は遠赤外線効果があって身体の芯まで温まるのだそうだ。
この恵比寿湯は煙突が示している通り薪の銭湯だが、今は休業しているらしい。
私は銭湯が大好きなのだ。
  
もちろん、小口末吉と矢作ヨネの話は美談でも何でもないので、たとえ竜泉に来てみたところでその痕跡を見つけることができるワケではない。
100年も経っているし、どこが事件の現場だったかすら全くわからない。
たとえ通りかかる近所の住人に尋ねてたとしても知っている人などいないだろう。
そうしたことは初めから十分わかっていたが、その現場を訪れてみる…というのは何とも言えない臨場感が味わえるモノなのだ。

460龍泉寺のすぐそばにあるのがこの千束稲荷神社。
樋口一葉の『たけくらべ』に出て来る神社がコレ。

690読んだことある?『たけくらべ』。
「廻れば大門の見返り柳いと長けれど、お歯ぐろ溝(ドブ)に燈火うつる三階の騒ぎも手に取るごとく…」ってね。
古い日本語をユックリジックリと噛みしめながら読むってのはなかなかいいもんですよ。

540…ということで、女優の紺野美沙子が『たけくらべ』を朗読するCDまで買っちまった。
今、気になっているのは主人公の女の子、「美登利」という名前。
いつも混んでる美登利寿司ってあるでしょう?
アレって『たけくらべ』から採ったのかな?
でも、アレは本店が豪徳寺で千束とは関係ないもんナァ。

560念のために書いておくけど、作者の樋口一葉は5000円札の人ね。
ファンでも何でもないのに、私のところへ来がちなのはどちらかというと英世なんだな。
一葉の方が好き。
諭吉はもっと好き。
で、ですね、今までの日本の紙幣に登場する人物って、ズッと男性だったんだよね。
ジイさんばかりだった。
そこへ登場した初の女性が樋口一葉。
そんなに一葉がスゴイのか?!
そう、スゴイんだけど、紙幣への採用となった理由は彼女の業績だけではなく、偽造防止技術の進化が絡んでいたのだそうだ。
というのは、今までは偽造をしにくくするために、複雑な絵柄が好まれた。
要するにジイさんだとシワくちゃで、たいていヒゲをたくわえているので、図柄が込み入ってくる。
図柄が複雑であればあるほど偽造がしにくいというのだ。
そこへ新しい偽造防止の技術として、ホログラムやマイクロ文字なんていうものが導入されたため、登場する人物のルックスが重要視されなくなったワケ。
ご覧の通り、5000円札の一葉はツルっとしてる。
何せ24歳で早逝しているからね。
シワができる前のようすだ。
ところで、5000円札の肖像画の候補としての女性は他に、与謝野晶子や津田塾大学を創設した津田梅子、思想家の平塚らいてう、作家の林芙美子が挙がっていたらしい。
与謝野晶子が最も有力だったが、孫が国会議員をやっているので政治色を出してはマズイと却下された。
津田梅子なんて人もかなりスゴイよ。
しかし、同世代の女性教育家には大妻大学を創設した大妻コタカなんていう人もいるので公平を期して却下されたのかも知れない。
余談だが、数か月前、この津田、大妻両女史の足跡展のようなものを見に行ったのだが、とてもおもしろかった。
だから知ってるの。
そして、結果的には消去法で樋口一葉が優勝したそうだ。
そりゃそうだよね、「樋口一葉」と言われて出て来る作品名は「たけくらべ」。
そして、マァ、「にごりえ」。
後は「…」。
失礼ながら3番目が出て来る人はかなりの読書家なのではなかろうか?

55024歳で早逝した一葉は結核でこの世を去るまで、作家としての活動が1年チョットしかなく、その間に20数編の小説を著した。
それにもかかわらず、「たけくらべ」や「にごりえ」で確固たる名を残した一葉は日本文学界のジミ・ヘンドリックスと言ってもいいかもしれない。
一葉記念館」というモノが竜泉にある。
日本で初めての女性作家単独の文学館だ。
以前は町の公民館みたいな建物だったが、2006年に建て替えてエラク立派になっちゃった。

570周囲はとにかく文豪に乗っかっちゃえ!というので「一葉」だらけ。
一様に「一葉の名前がついてい商店が立ち並ぶ。
いっちょう、一応見て回るか…
休んでいるけど、コレは人形の工房。

590「一葉煎餅」を売る店。
こういうモノには煎餅、まんじゅう、だんごの類が欠かせない。

600コレはワインですな。

610記念館の前は「一葉記念公園」と名付けられたチョットした公園がある。
昼間っから数人のオジさんがベンチでボーっとしてる。

620そこには「たけくらべ」の記念碑と…

630v一葉を称える菊池寛の言葉を刻んだ石碑が設置されているが、公園のオジさんたちは全く興味がなさそうだ。

640館内に入る。
お酉さんの近所らしく、入り口には立派な熊手が…。
さっき説明したヤツね。
6601階は一葉の生涯や昔の吉原を説明するコーナー。
日曜日には「一葉のことならバッチリ!」というボランティアの方々が1階の展示の説明をしてくれるのでお願いするといいだろう。
私もお願いした。
ナゼかと言うと、「小口末吉」について質問したかったからなのだが、その方はご存じなかった。
よって上に書いたようなことを私が説明した。
ところで、ナゼここに樋口一葉の記念館があるのかというと、長くはない間であったが、一葉はこの近辺に住んでいたからだ。
父も兄も亡くした一葉は若くして家長となり、小説を書くかたわら、家で母と荒物屋をやっていたそうだ。
しかし、「私は小説書いてるから、ツマらない仕事はしませんから」と案外身勝手で、洗い張りや店の仕事を母に押し付けて苦労をかけたという話も残っている。
一葉の生涯についてはいくらでも調べがつくのでココにはいちいち書かないが、何しろアタマがヨカッタんだと。
650一番の代表作、『たけくらべ』の舞台は一葉が営んでいた荒物屋の住まいから目と鼻の先の吉原だ。
吉原周辺に暮らす思春期の男女の恥じらいを描いた小編だが、先に書いたように23歳の女性が書いたとは思えない味わい深い立派な筆致と、手の込んだ隠喩が豊富に含まれている。
その辺りが森鴎外や幸田露伴から高い評価を受けたようだ。
コレは一葉の生原稿のレプリカ。
おっそろしく達筆である。
680しかしですね、一葉って120年も前の女性にしては、こうしてみると結構カワイイじゃない?
カッタカタの当時の文学界にあって、一葉はまるで「掃き溜めに鶴」以上の存在で、鴎外なんかは結構デレデレになっていたんじゃないか…なんて想像しちゃうんですよ。

670実はですね、先の「小口末吉事」件や『たけくらべ』のことを調べているウチにどうしようもなく江戸時代の吉原に興味が湧いてきちゃってね。
気が済むまでひと通り昔の吉原のことを調べてみた。
調べたら誰かに話したくなるのは人情でしょう?
そこで、今回から数回にわたって犬神サアカス團のライブ・レポートで「第二部」的にその研究結果を発表したいと思う。
それゆえ、犬神さんのレポートをため込んでいたのが、今回の『座・犬神サアカス團』のレポート掲載が遅くなった理由というワケ。
ということで『私のディープ浅草』は次回に続く。

580_2『私のディープ浅草』はつづく