The Kinksの1971年のアルバム『Muswell Hillbillies』に「Have a Cuppa Tea(ハヴァカパティ―)」という曲が収録されている。 コレは「Have a cup of tea」のことだけど、イギリス人の決まり文句みたいなモノで、「ハヴァカパティ⤴」と語尾を上げれば「紅茶飲みますか?」という意味になる。 実際、上の紅茶も「シゲ、ハヴァカパティ⤴」と私に訊いて、ジェイという若いスタッフが入れてくれた。 コレがネイティブ同士だと「カッパ⤴」だけで済ませるのだそうだ。
約45年前、私がギターを始めた中学生の頃、このギターとアンプをつなぐ線のことを「コード」って呼んでいたと思う。場合によっては「線」かな? ある時楽器屋のお兄さんがそれを「シールド」と呼んでいることに気づいた。 「シールド?コードじゃないのか?シールドねぇ…なんかプロっぽくてカッコいいナァ」と思った。 「コード」を「シールド」って呼ぶだけでギターがウマくなる気すらした。 だってあの当時、楽器屋の店員さんは「神」だったからね。 まさに「シールド」という言葉は神のお告げだった。 楽器や英語の知識がつくにしたがって、「シールドってのも変な言葉だな?」と思うこともあったが、それから何十年もの間、そのギターとアンプをつなぐ線のことを「シールド」と呼んでいた。 そして、初めてMarshallの工場に行った時、「シールド」というのは極東の島国の方言であることを確信した。 確かに内部の導線が金属や組みひもで被覆(シールド)してあるのでコレ自体を「シールド・ケーブル」と呼ぶのは決して間違いではないんだけど、「ギター用のコード」としてこれを「シールド」とだけ呼ぶのは日本だけなのではないか? だから海外の現場で「シールド貸してください」とクラブの人に頼むと「Haaaa? What do you mean by 'shield'?(シールドってどういう意味?)」と言われるのではないだろうか? 「Shield cable」と言えば、相手が気のきいた店員さんなら対応してくれるかも知れない。 やったことがないのでわからないけど…今度Marshallに行ったらやってみよう。 では海外では日本で言うところの「シールド」を何と呼ぶか…。 イギリスでは「Guitars leads(ギターズ・リーズ)」と言う。 「ギターズ・リーズ」…この言葉も最初は口にするのが恥ずかしかった。 同様に電源用のコードのことは「Mains leads(メインズ・リーズ)」という。 こっちはナゼかそう恥ずかしくなかったので、「リーズ」の世界にはコチラから入ることにしたし、実際に仕事でこの言葉をよく使った。 一方、実はいまだに「Guitar leads」って言うのが恥ずかしくて、私は「Guitar cable」って言うようにしている。 コレは海外どこでも全く問題なく通じます。 そんなこんなで、今では「シールド」という言葉は「ツーマン、スリーマン」ぐらい恥ずかしい言葉になっちゃった。 だから若い女の子のギタリストが「私のシールド」なんてチョット専門家ぶって口にしているのを耳にすると不憫でネェ。 ね、私のお友達のギタリストさん…私はゼッタイに「シールド」って言葉を使わないでしょ? 地下鉄工事のシールド・マシンを指す時はは別よ。 ご参考までにイギリスの人たちは「ギター・ピック」のことを「Plectrum(プレクトラム)」と言います。 コレはイギリスの方言なので「Pick」でもOK。
ココで疑問が湧いてくるのが、じゃ一体「コード」ってなんだ?ということ。 その答えは、このMarshallの工場のレセプションのトイレが示してくれた。 ココのトイレってナゼか電気のスイッチが壁に埋め込まれておらず、よく日本家屋で見かける電灯についているヒモを引っ張って電気をつけたり消したりするようになっている。 そして、正確な表現ではないが、そのトイレの壁に貼ってある紙に「Pull down the code to light」ぐらいのことが書いていある…写真を撮っておけばヨカッタ。 「おお!こんなところにCodeが!」 ああいう「カッチン」ってやるヒモのことを「Code(コード)」って言うんですよ。 タメになるな~。
入っていた曲のリストはほんの数曲。 「Rock around the Clock」やバディ・ホリーが数曲。 バディ・ホリーってのはそれこそ「Legend」としてイギリスでの地位が高いね。 日本とはゼンゼン認識が違う。 かの有名なハマースミス・オデオンが、バディ・ホリーの生涯最後(1959年、23歳の時に飛行機事故で死亡)のイギリス公演をそこで演ったことを自分で称えているぐらいだから。 詳しくはコチラ⇒【イギリス-ロック名所めぐり】vol.33~ハマースミスが好きだった <後編>
前回来た時、地下のトイレのカギが壊れていて、閉じ込められちゃったのね。 トイレの中から「Somebody help me out!」と大声を出したところ、誰かが外からドアを開けてくれたの。 ドアが開いた時、開けてくれた人にお礼を言おうと思ったのに誰もいなかった。 アレは幽霊が助けてくれたのかも知れない。
そう、ロンドンって「London Town」っていう言い方をするでしょ? コレがまたステキだ。 私が自分の街を「Tokyo City」なんて呼んだところでバカ丸出しだ。 「ロンドン・タウン」…The Kinksのヒット曲「Dedicated Follower of Fashion」にも「♪'Round the boutiques in London Town」なんて出て来るわネェ。
ま、極めつけはそのものズバリのポールかな? このアルバムのタイトル曲、とてもいい曲なんだけど特にロンドンの魅力を歌っているワケではないようだ。 それにしてもこの曲のMV、呆れるほどカッコ悪いな。 ちなみに、ニューヨークのマンハッタンには「Big Apple」っていうニックネームが付いてるでしょ? ロンドンのアダ名は何ていうか知ってる? 「Big Smoke」っていうんだって。 私が滞在していることを知っていて、たまたまロンドンに用事を足しに出て来たMarshallの仲良しが後にこういうメールをくれた。 「We were in Big Smoke yeasterday!」 私も彼がロンドンに来ていたことを知っていたのでそのメールを見て、てっきりロンドンで大火事でもあったのかと思い、インターネットでニュースを見て調べちゃったよ! もちろんコレは「霧のロンドン」時代の名残り。 アレ、「霧」っていうのは暖炉の煙ですからね。 実際、ホンの少しロンドンの中心から離れた住宅街に立ち並ぶ無数の煙突を見ると、昔はさぞかしスゴイ煙だったことが容易に想像できる。 『メリー・」ポピンズ』の「Step in Time」みたいなヤツね。 それらの暖炉はもう今では全く使われていないので、私は「霧のロンドン」を見たことがない。 「霧の甲府」なら知ってるけど。 アレは路面の凍結予防に古タイヤかんなんかを燃やした煙だったんだよね? とにかく「Big Smoke」も知らない私の「ロンドン道」はまだまだ序の口ということよ!