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2019年1月

2019年1月29日 (火)

田川ヒロアキ GUITAR STATION 運行完了

 
過日Marshall Blogで記者会見の様子をレポートしたアメリカ行きのクラウド・ファンディングが予想をはるかに超えて順調に進捗している田川ヒロアキ。
とにかく絶好調なのである。
さて、以前は「TAGAWA NIGHT」と謳っていたソロ・パフォーマンスのシリーズが名前を変えて「TAGAWA STATION」となり、その初ツアーが開催された。
名付けて「GUITAR STATION」。
何やらビンテージ・ギターのお店の名前みたいだな。
今日はそのツアー千秋楽のレポートをお送りする。
 
どれどれ、どこを回って来たって?
徳島…大歩危小歩危か…中学の修学旅行で行ったわ。最近ではこっち方がよっぽど大ボケだ。
岡山…高校の修学旅行で倉敷へ行ったんだけど、今、ジックリ大原美術館が観たい!
松江…行ったことありません。
広島…広島はいいね。広島出身のミュージシャンのお友達も少なくないし。食べ物がいい。
名古屋…マーブロの取材で去年2度ほど名古屋へお邪魔したけど、名古屋はいいね。昔から仕事で何度も行ってるけど、完全に見直してしまった最近の大のお気に入り。
そして東京は高田馬場…音楽室DX!

10vそして、高田馬場といえば「うなぎの田川」(ホンマか?)。
ホントにあるんよ。駐車場を探していて偶然見つけた。

92eel うなぎの「田川」があることはわかった。
しからばせっかく「STATION」っていうんだから、「田川駅」というのがあるかインターネットで調べてみた。
 
すると、どうも「田川」という単体の名称の駅はないようだ。
で、見つけたのが平成築後鉄道田川線の「田川伊田」という駅。
なんからこれも田川さんと伊田さんからなるデュオ・チームの名前みたいだ。

20場所は福岡県田川市。
こんなところ。
いいな~。

30冬季には雪も降るらしい。

940 もうひとつ、今度は平成築後鉄道糸田線の「田川後藤寺」という駅。
まだ、伊田線というのに「田川市立病院」という駅があるようだ。

50しからば「ヒロアキ駅」はどうか?
調べてみると駅はなさそう。
じゃ地名は?と思って調べたらあったわ!
三重県津市に「広明町」というのがあった。
「だからなんだ?」ってか?
だって楽しいじゃね~か、こういうことをするのは!

60さて、『GUITAR STATION』の千秋楽。
出演は田川ヒロアキひとり。
ゲストは第2部ね。

70強いて言えば、共演はMarshall JVM205C。

80オープニングは定番の「Seascape」。

90_ss滑り出し順調!

1002曲目は『Fly Away』から「Passion on the Strings」。

110v_pos珍しいな…コレ演るの。
恐らく今のヒロアキくんなら絶対に作らないであろう典型的なジャパメタ・ナンバーで勢いをつけておいて…

120_dj…「Driving Jam」。
「Purple Haze」だの「Layla」だの「Smoke on the Water」だの、クォーテーションをブチ込んで景気のよいパフォーマンスを見せてくれた。

130v「ようこそいらっしゃいました!14公演を終えて東京へ戻ってまいりました!」
ココで早速ツアーのレポート。
岡山では二井原さんと共演。
広島では小中一貫の学校で1~9年生の前で授業を受け持ちテレビで放映されたとか…。
ヒロアキくんは歌を歌うので、ノドを傷めないようにツアー中はアルコールを完全にシャットアウトする。
その代わりおいしいモノをたくさん頂いたそうな。
それツアーのが最大の楽しみだもんね。

140vアルバム『THEME PARK』から「酎 HIGH KING」。

150_chkヒロアキくんのLAプロジェクト・コーナー。
この日は例の記者会見のちょうとひと月前。

160演出家の門田頼枚さんがステージに上がり、プロジェクトの説明と強力を呼び掛けた。
 
ヒロアキくんのLAプロジェクトの詳しい情報はコチラ⇒Marshall Blog

170v続いても『THEME PARK』から。
下関のボクシング・ジムのテーマ・ソング。

180_vtボクシングだけにメッチャ激しいヤツを持って行ったら「もっとフレンドリーな雰囲気で…」と、ヒロアキくんがアッパーカットを喰らってダウンした曲。
今日もフレンドリーに聴かせてくれた。

190v_wl『Ave Maria』から「With Love」。

0r4a0011 第一部を締めくくったのは「カラムーチョZ」。

S41a0131 有料マフラーの話も辛くないカラムーチョの話もさんざん聞いてきたと思ったら、アレから4年以上経ったのか…横浜でライブハウスの向かいのコンビニにカラムーチョを買いに行った時よ。
あの時はヤッチンのライブだったんだネェ。
興味のある人はコチラ⇒曾我泰久 LIVE! LIVE! LIVE! ~Summer 2014

200v_z無事に第一部終了!
さぁ、アルコール解禁の時が刻一刻と近づいて来ました!
ビール、ウマいぞ~!

210v第二部。
「皆さま、お楽しみ頂いておりますでしょうか?
今年(2018年)を振り返りますと、6月9日に”ロックの日”と称してピアシスでバースデイライブを開催しました。
そしてその半年前には同じピアシスで結婚パーティをやらせてもらいました」…と、ピアシスを運営するレストラン企業、株式会社無洲を紹介。

220v_mcヒロアキくんが作ったその無洲さんの社歌を第二部の最初に演奏した。
曲は「たんぽぽと風」。

230_th当然無洲の方々はヒロアキくんの歌に合わせて大合唱である。
またいい人たちなんだ~、ココの人たち。
今年も3月2日に無洲さんが主催する『がんばっぺ福島』があるのでとても楽しみにしている。
今年は日本酒飲みたいな~。
前回は機材を運ぶ必要があって車だったから…美瑞穂さん、上手なお手配をばよろしく。240先回、毎日新聞の時に童謡をメタルにアレンジするのを試みたヒロアキくん。
アレは「秋」ということで「虫の声」を演った。
マーブロも負けじと「虫」特集を組んだ。アレは書いててとても楽しかった。
今回は「冬」がテーマなので、たき火、ジングルベル、お正月等がメタルに乗って飛び出した。
よ~やるわ!

250_dmゲスト・コーナー。
ステージに上がったのは『THEME PARK』で共演を果たした民謡歌手の清野明子。
本日のハイライト!

260まずは秋田民謡の「飴売り節」。
奇抜な衣装を身にまとって太鼓を叩きながら飴を売り歩く商人が客寄せの際に歌っていた歌。
秋田県大仙市では「秋田飴売り節大会」なんても開かれているようだ。
明子さんによると「い~しやからきいも~」のようなものだとか。

270vそう、昔は物売りの声とか音ってのがあったんだよ。
私ですら金魚売り、豆腐屋のラッパ、傘直しや玄米パン屋の声、夜泣きそば…なんてのはごく普通の音だった。
いつの間にか何も聞こえなくなっちゃったね。
タマに大学堂がホットドッグを売りに来るぐらいか?
江戸時代はもっとすごかったらしい。
そりゃ、モノ売りがダマっていたんじゃお客さんが来ないからね。
コレは以前書いたと思うけど…
鰯売りの後をふるい屋が歩いてケンカになった。
「いわ~し~」
「ふるい~、ふるい」
「おう!古いとはなんデェ!ウチの鰯はピッチピチだ!」
「仕方ねぇじゃねーか!」
そこへ仲裁に入ったのがクズ屋。
「まぁまぁ、私に任せない」と言って、また商売に戻った。
「いわ~し~」
「ふるい~、ふるい」
「古金~、古金はないか」
おもしろいでしょ?コレがおもしろければ十分落語を楽しむことができます。
そのモノ売りの声を使った『甲府い』という、がんもどき屋の大変よくできた人情噺がありましてね。
機会があったら聴いてみてくだされ。

275vヒロアキくんが「日本一の民謡歌手」で検索したら明子さんが出て来たという。
内閣大臣賞も獲得した名歌手の明子さん。

280名前の通り、やたらと明るい!

285次はヒロアキくんが10年ぐらい前に作った下関の歴史を歌った「瞬風の轟」。

290明子さんのリクエストだったそうだ。
310Marshallも民謡と共演をするのは初めてじゃん?
325もうね、とにかく声がスゴイ。
もう完全に楽器。
このヌケの良さはやっぱりMarshallだねぇ?
もう音や声のいいモノは何でもMarshallにしちゃう。
320それと、コロコロとした歌い回し。
コレも快感。
それと知らないメロディを知る楽しみね。
300v明子さんのコーナーを締めくくったのは『THEME PARK』収録の「維新の言葉」。

330やっぱりナマはハンパねぇ!
イヤ、やはり実演は中途半端なことなく素晴らしい!

340v大盛り上がり!
最後の明子さんのシャウトには全員がビックリ!
人間からこんな声が出るんだ~?…みたいな?

345明子さんを送り出した後、ヒロアキくんはピアノへ。

350今日はピアノの弾き語りで「平和の風」を歌ってくれた。

360vそしてまたギターに持ち替え「Ave Maria」。

370_amこの音!
ホントにうまくJVMを使いこなしていると思う。

380vヒロアキくんのピッキングってアップが主体なんだよね。
速いパッセージの時以外はアルアイレ風に弦を下からハジいてこの音を出す。
わかっていてもこの音は出せない。

390そして、最後はおなじみ「My Eternal Dream」。

400v_medツアー終点まであとわずか!

410アルコールは…じゃない、アンコールはアコギを持ってまずは「Snow」を演奏。

420「最後は皆さんと一緒に歌って終わりたいと思います!」
曲は「キミを乗せて」。

430v勝手知ったるお客さんと一緒になって盛り合って『GUITAR STATION』のすべてのプログラムを終了させた。

440v_2無洲の応援団の方々から花束贈呈!

450記念撮影。
ファンってのは本当にありがたいね~。

460もう歌う必要もないので…

470カンパ~イ!

480vこうしてヒロアキ号は旅を終えて車両基地へ戻って行ったとサ。
 
下の写真は珍しい地下鉄の踏切。
銀座線は渋谷の他に上野にこの車両基地があって、ココから地下鉄を入れている。
コレでヒロアキくんもグッスリ眠れることだろう(ネタが古い)。
 
田川ヒロアキの詳しい情報はコチラ⇒FretPiano

490

200 
(2018年12月16日 高田馬場音楽室DXにて撮影)

2019年1月28日 (月)

dead branch brothers ~ ONEMAN LIVE

 
今日は初めて訪れる新宿のライブハウスからのレポート。
向かいのお店はタマ~にメタル関係のライブでお邪魔をさせて頂くんだけどね。
アッラ~、となりのデッカい駐車場がなくなってビルが建っちゃってるよ。
 
さて、お店に入る前に脱線オープニング・トーク。
地下にある今日のライブハウスの上のお店。
入り口のディスプレイが目に付いた。
「Jeremiah」がお店の名前かな?
日本では「エレミア」って発音していると思う。

10下はウチにある「エレミア」。
そう、レナード・バーンスタインの交響曲第一番の副題が『エレミア』っていうのね。
日本では『ウエストサイド物語』ばっかり有名だけど、レニーはちゃんとクラシックの人だから。
第二番の交響曲は『不安の時代(The Age of Axiety)』、第三番が『カディッシュ(Kaddish)』。
二番はカッコいい。でも、他のは苦手…と思っていたら、どうもそれでいいらしい。
バーンスタインは「名指揮者」であり、「ミュージカルの名作曲家」であり、「アメリカにクラシック音楽を広めた人」という扱いが正しいんだって。
『エレミア』はレニーが無名時代に作った曲で、コンクールに出品したところ見事落選した…やっぱり。
オペラの『タヒチ島の騒動(Trouble in Tahiti)』なんてスゴくいいどね。
でも一番はナント言っても『キャンディド(Candide)』だな。
中学2年生に戻ったようにひとつの作品にこれほど夢中になったのは久しぶり。昨秋から毎日3回は『Candide』を聴いている。
次に『ウエストサイド』が来るね…どうしてもコレはハズせない。
その次が日本未公開のミュージカル『Wonderful Town』…もうコレもホント大好き。
で、この「エレミア」ってナニかと言うと、旧約聖書の『エレミアの書』に出て来る古代ユダヤの預言者。
バーンスタインはバリバリのユダヤ人でバイセクシャルで、一日100本のタバコを吸うヘヴィ・スモーカーだった。
でもね、「Jeremiah」は英語圏では「エレミア」って読まないの。
「ジェレマイア」って発音する。

9bj目を惹いたのはお店の外に飾ってあった写真。
「Prohibition Ends at Last!Celebrate!(禁酒法がついに廃止!お祝いだ!)」
そう、アメリカの禁酒法時代の写真。

30「天下の悪法」とか皮肉を込めて「高貴な実験」などと呼ばれた禁酒法(Prohibition)は1920年から1933年までの間施行され、闇酒(bootleg)の流通でギャングたちの懐を大いに潤わせた。
そのギャングのスター的存在が写真の真ん中の帽子をかぶったオッサン…アル・カポネ。
聞いたことのある名前でしょ?
でも、英語圏の人たちにどんなに英語っぽく「アル・カポ~ネ」とか発音してもまず通じないだろう。
アル・カポネは英語では「エァル・キャポーン」と発音する。
またいつものボヤキなんだけど、外国の固有名詞を英語読みに統一すべきなんだよ。
上の「ジェレマイア」もそうだけど、「エッフェル塔」は「アイフル・タワー」って読めばいいし、「ゴッホ」は「ゴッ」と「ホ」は発音しない…と最初から英語式発音を教えてやればいい。
それなのに長年の習慣かなんか知らんけど、色んなものが混ぜこぜのなっているから、何重にも英語を勉強しなくちゃならないのよ。
 
ところで、禁酒法時代といえば…

20ビリー・ワイルダーの1959年の作品、『お熱いのがお好き』。
原題を『Some Like it Hot』というが、「お熱いのがお好き」はけだし名訳。
同じモンローだし、1953年のハワード・ホークスの『紳士は金髪がお好き』に倣ったのだろうか?
でも、こっちの原題は『Gentlemen Prefer Blondes』という。
あのマドンナの「Material Girl」のPVの元ネタが挿入歌の「Diamonds Are a Girl's Best Friend」。「best」と言っているけど、「a」が入っているので、女性はダイアモンド以外にも「最高の友達」がいることになる…欲張りだナァ。
さて、私はこの『お熱いのがお好き』が子供の頃から好きでしてね~。
やっぱりビリー・ワイルダーとIALダイアモンドの脚本にワイルダーの演出でしょ?
もう一部のスキもなく完璧に作られているワケ。
ワイルダー得意のコメディとはいえ、この映画から目を離してしまう瞬間は1秒もない。黒澤映画同様、目を離したらモッタイない!

40そもそも設定がいい。
ギャングの殺人を目撃してしまったサキソフォニストとベーシストがダフネとジョセフィンという名前の女性に変装して女性ビッグバンドに入り、フロリダまで逃げるという話。
その女性ビッグバンドの専属歌手がマリリン・モンローで、あの「I Wanna Be Loved by You」が挿入されているのもこの映画。
カワイイよな~、マリリン・モンローって。
ヘップバーンは晩年シワクチャになっちゃったけど、モンローは永久に美しくカワイイままだ。
でもそれだけじゃない。あのケネディ大統領への「ハッピーバースデイ」で、妙にクセのある歌い方
の印象が強いけど、CDなんかを聴くと普通のジャズ・スタンダードなんかを歌っても実にいいんだよね。
「帰らざる河(River of no Return)」だってヨカッタ。小学生の時夢中になって観たわ。
1940~1960年代の前半ぐらいまではアメリカン・エンターテインメントの絶頂期だもんね。
悪いワケがない。
60cdこんなのもある。
バーニー・ケッセルのジャズ版『お熱いのがお好き』。
映画に使われた曲を完全にジャズにアレンジして演奏して見せるパターンのヤツ。
アート・ペッパーが参加しているけど残念ながらさほど面白いモノではない。
バーニーは他にもビゼーの『カルメン』なんかも演っているけど、やっぱりチョット…かな。
今でもよくやってるけど、昔はこういう企画ものが流行ったんだよね。
ジョー・パスがThe Rolling Stonesの曲をジャズで演奏している奇盤なんかもあるけど、やっぱり面白くない。
70cdこの手の企画モノではコレがいい。
カウント・ベイシー・オーケストラのビートルズ集『Basie's Beatle Bag』。
ベイシーらしさ満開で、チャンとビートルズの曲の良さを表現している。
1966年だからビートルズが日本に来た年の作品だね。
 
ただ今、快調に脱線中!

Basiebeatles 話を戻して…この映画、最後のセリフがまたいいんだな…「Well, nobody's perfect」って言うんだよね。
もうコレが腰を抜かすほど面白い。
これから観る人のためにこれ以上は書かないけど、人間として生まれ来た以上1回は観ておかなければ損をする1本だ。
 
今日ココでナゼ映画の話をしたかと言うと、『ボヘラ』なの。
アレが「アカデミー賞候補」とか言われ出してるでしょ?
アタシャ、ビックリしちゃって!
ま、Queenのファンであの映画を何回も観て心酔しきっている方々には申し訳ないんだけど、「映画」としてはどうってことないよ。「映画」単体としてだよ。
もし何かの拍子で「作品賞」でも獲っちゃったら、将来『ボヘラ』が、『或る夜の出来事(It Happend One Night)』や『風と共に去りぬ(Gone with the Wind)』や『カサブランカ(Casablanca)』や『ベン・ハー(Ben-Hur)』や『ウエストサイド物語(West Side Story)』なんかと並んで語られるワケでしょ?
ルノアールやモネの絵の隣に駆け出しの漫画家の絵が飾られるようなもんですよ。
それはどう考えてもおかしいでしょう?
映画にケチをつけているワケでも、ファンにケンカを売っているワケでもないのよ。
ただ、世の中にはこの『お熱いのがお好き』のように、桁違いにもっといい映画が山ほどあるから!
そういうのをドンドン観て欲しいと思っているし、そういう作品が埋もれてしまっているのがあまりにも残念だからチョット書いてみた。
もちろん、他に評価の高い作品がなければ仕方ない。
しかし、かつての憧れだったアメリカのエンターテインメントの対する意識の堕落ぶりにコワくなる。
 
そう、「埋もれる」で思い出したけど、TPPに関連して、作者の死後50年間保護されている著作権が今後70年になるとか…。
コレ、作者とか遺族にとってはありがたいことだと思っていたんだけど、案外そうではないんだってね。
私は反対派なんだけど、本のデジタル化ね。
志賀直哉、内田百閒、三島由紀夫、川端康成あたりの作品がもうすぐPD(Public Domain=著作権切れ)になって、インターネットで無料で読めるようになるところだったんだけど20年も延期されることになるのだそう。
だから、作者サイドにとっては「いいじゃん」と思ったんだけど、今の世の中、長い間なまじ著作権が保護されてしまって無料公開の機会を逃すと、それらの苦心して生み出した作品がドンドン埋もれてしまい、忘れ去られて行っちゃう危険の方が困るんだって。
紙だろうがPCだろうが、どう転んでも内田百閒なんか読まないのでピンと来ないが、ロックに置き換えて見ると問題が身近になってくる。
例えばジミ・ヘンドリックス。
アメリカはTPPに参加していないので、実際には該当しないが、わかりやすいのでジミを例に引く。
ジミは1970年9月に亡くなっているんだけど、来年で没後50年になるでしょ?
従前の規定だったら、ジミの作品が来年PDになって、著作権使用料を支払わずに自由にジミの曲を公の場所で演奏してお金を取ることができる。
でも、コレが20年先になった時、果たしてそれまでジミの作品が風雪に耐えていられるか?
それよりも「おう!ジミヘンとかいうヤツの曲の著作権がタダになったからジャンジャン演っちゃおうぜ!なかなかカッコイイ曲があるんだぜ。ギターもまあまあウマいし」なんて若いバンドが猛烈にジミの曲を演奏したらどうなる?
これこそが「伝承」じゃん。
ジミの1年後には1971年に亡くなったジム・モリソンが続く。
ところがThe Doorsの曲はメンバーの共作なので、コレには当たらないんだな。
まぁ、こんなこと騒いでみたところで、もう音楽は事実上無料みたいなもんだからね…結局むなしいな。

50「むなしい」といえば…。
この日は本番まで時間があったので、すこし新宿の街を家内とブラブラしていた。
すると、どうにもお腹の調子が悪くなって、ブックオフのトイレに駆け込んだ。
用を済ませて、水洗のレバーを下げると同時にズボンを上げた。
こんなこと今まで気配すらなかったので全く気にかけたことがなかったんだけど、どうも車のカギがズボンのポケットのヘリに引っ掛かった状態だったらしい。
ズボンを上げた瞬間に見事、そのカギが便器の中に落ちて瞬時にして吸い込まれていった。
え~、どうすんのよ!
一瞬、「カギ110番」みたいな業者にお願いすることを思い立ち、かなりの出費を覚悟したが「待てよ…合鍵がある」と考え直し、本番に間に合わないとマズイと思い、家内に家まで取りに帰ってもらった。トホホだったわ~。
今、車の合鍵ってオートバックスみたいなところで作ってないんだよね。
最近の車は、合鍵でドアを開けることは出来てもエンジンをかけることが出来ないんだとか…。
なのでディーラーで正規に作ってもらうより方法はなく、結局その出費は決して少ないモノではなかったわ。
皆さんも気をつけてくださいね。
 
さて、今日のお店「FNV」は「FUTURE NATURE VALVE」の頭文字なのね?
いいね~「Valve」。
職業柄なんか安心するわ。

80出演はdead branch brothers。ワンマン・ライブ。
略して「dbb」、訳して「枯枝兄弟」…いい名前だ。

90v7人所帯のアコースティック・チーム。

100donni

100vHIROKI

110vNao

120vハタイク

130vえびさわなおき

140v魔太朗

145vそして我らが五十嵐sun-go☆美貴!

150vsun-go☆さんは今日もMarshall。
そうアコースティックでもMarshallなのよ。

160今日sun-go☆さんが使ってくれているのはAS100Dというアコースティック楽器用のMarshall。
残念ながら日本はラインばっかりで、アンプでアコギを鳴らす習慣がないが、欧米ではアコギ・アンプがよく使用される。
ミキサーさんにお任せするのではなく、音を自分の手元で自由に作れるのと、ナント言っても音がナチュラルでパンチが効いているので重用されるのだ。
その証拠にこのAS100Dは、フランスを中心にヨーロッパではロング&ベスト・セラーなのだ。
イヤ、ロング・セラーだからベスト・セラーなのか?
とにかく数ある現在のMarshall製品の中でも息の長いモデルのひとつ。
1701曲目は「罪と罰と罠」。
「罒」が3つも入ったタイトル。日本語ならではルックス!
「罒」という部首は「あみめ」とか「あみがしら」というらしい。「横目」ではない。
意味はやっぱり「網」なんだって。

180おお、思っていたより断然ドメスティックでノスタルジックなサウンド!

1909月以来のライブとなるそうだ。

200続けて「なつかしい新曲」と紹介された「疾走る鼓動」。

210軽くMCを挟んでツイン・ボーカルズの「濁った水」。

220Donniさんが感情を込めて歌い上げる。
帽子、マフラー、コート!
後で脱ぐにしても暑いでしょうに!「お暑いのがお好き」?

230v私はヴァイオリンには目がなくてね~。

240v加えてアコーディオン!
こういうインストゥルメンタリゼーションは大歓迎。
日本のロックバンドはギター、ベース。ドラムスにキーボーズばっかりだからね。
海外ではヴァイオリンは当たり前で、ヴィオラがいるCaravanだとか、チェロが入っているスウェーデンのAnekdotenとか、ホルンがいるイタリアのMaxophoneとか、もう発想がゼンゼン自由だから。

250でも、dbbのサウンドがあくまで「和」だ。
「和」と言っても「歌謡」のほうね。

255ステージ上手にスッポリ収まっているsun-go☆さん。
ビックリしたのはsun-go☆さんの呼び名。
メンバーの皆さんがsun-go☆さんの方を向いて、どうも「み~こ、み~こ」って呼んでいるような気配を途中で感じたのね。

260vそしたらsun-go☆さんがその呼びかけに答えてるじゃない?
え?!…「み~こ」ってやっぱりsun-go☆さんのことだったのか!
キャンディじゃなかったのか!

265vみ~こさん、この日はモクモクとバッキング。
ところが暗くて、暗くて…撮影はやたらと苦労しました。

270魔太朗さんのドラムから手拍子とともに「刺」。

S41a0120 「Goodnight」…

280vバラードの「so long…」と緩急自在にショウが展開していく。
この後のMCでは、2日か前のリハーサルでみ~こさんのアコースティック・ギターのブリッジがボディからハガれてスッ飛んだという話になった。
そう、ボディに余計な加工をすると鳴りが悪くなってしまうのでアレってボンドで接着してあるだけなんだよね。
ヴァイオリンなんかはいまだにニカワを使ってるでしょ。

350v「クリスマスだけど夏の歌を…」と「8月4日の午後7時」という曲と…

0r4a0030 「キリギリスの憂鬱」という曲を演奏して前半を締めくくった。
そういえばキリギリスのことを以前どこかに書いたね。 
こんなsun-go☆さん…イヤ、み~こさんのこんな「足ショット」は珍しくない?

0r4a0073 「素晴らしいボーカルズがもう1人いる」とHIROKIがNaoさんを紹介。
ここからNaoさんのフィーチュア・コーナー。
まずは歌もの「ホログラム」。

290そして「Take Five」をプレイ。
コレは「デイヴ・ブルーベック・カルテット」の名前で知られていますけど、作曲はアルト・サックスのポール・デスモンドですからね。
後年、デスモンドは「Take Ten」という姉妹曲を作り、同名のアルバムを発表した。
若い頃はこのひとのフニャ~っとした音色が好きではなかったけど、今聴くとメッチャいいわ。大好き。

300vdbbの演奏もいい感じ!
こういう曲がシレっと出てくるところがうれしい。

310vそのまま「あの日の流星雨」へと歌いつないでNaoさんコーナーをしめくくった。

320v衣装がグッとライトになったdonniさん。
ココから後半。
「エ~オ!」「エエエエ~オ!」
お客さんとのコール&レスポンス。
すかさずHIROKIさんのツッコミ…「最近映画観たでしょ?」
出た~。ココでも出てしまった。
でもsun-go☆さん、じゃないや、み~こさんはLIVE AIDのシーンであの映画に出ているそうですから。

330v景気よく「完璧な舌」。

340v「エリナー・リグビー」…

360「Black Bird」…とガンガン盛り上げて来る!

370そして、ショウは最後のセクションに入った。

380v「RED」、「カルナバル」、「砂の城」、「ランデヴー」、「非業の死」と5曲(!)ブッ通し!
最後はdbbもお客さんも総立ちで大騒ぎ!

390

400v

410v

420v

430v

440v

450v

S41a0414しょっちゅう書いているように、私はロックだけでなく、クラシックやジャズの他にも世界中の色んな音楽を聴くように努めているのね。
最近は「レベティコ(Rebetiko)」っていう音楽を発見してよろこんでいるの。コレはギリシャの歌謡曲なんだけど、実によろしい。
1960年にアカデミー主題歌賞を獲ったメルナ・メルクーリの「日曜はダメよ(Never on Sunday)」なんかがそうかな?もっと民俗色が濃くて強烈だけどね。
で、そうやって色んな国の大衆音楽を聴いていつも思うのは「日本人のオリジナルのメロディ」ってどんなだ?ってこと。
それは演歌に根差した、現在では「昭和歌謡」と呼ばれているdbbのような音楽のメロディなのかな?って思うようになってきたんだよね。
「日本人」と西洋文化を混ぜて音楽を作るとdbbになる…みたいな。
だからこの手の音楽はズッとなくなりませんよ…日本人のオリジナルだから。
なんてことを考えながらショウを拝見させて頂いた。
おもしろかった。
 
アンコールではdonniさんが1人で登場して心おきなく「エ~オ!」を!

470魔太朗さんの50歳のバースデイコンサートの告知もバッチリ完了して、まずは1曲。

460「み~こ、カワイイ!」
最後は10日に迫ったクリスマスに向けてサンタ棒をかぶって演奏した。

S41a0487「We are brothers dbb!」
まだ結成して9月で1年だというdead branch brothers。
替えがきかないからね…コレからの活動に期待している。
 

dead branch brothersの詳しい情報はコチラ⇒Twitter

480

200_2 
(一部敬称略 2018年12月15日 新宿FNVにて撮影)

2019年1月27日 (日)

misaiちゃんのMarshall NAMMレポート

 

やっぱり半袖、短パンで過ごせるっていうのはラクだね…。
 
だから、来てないってば!
しつこくてゴメンね。
しかし寒いね、日本は。
昨日あの風の中、2時間近くウォーキングをしたらスッカリ身体が冷えてしまったよ。
風邪でも引いたらエライこっちゃ!ということで、今日も風が強いのでウォーキングは断念。
事務所でタマった仕事を粛々と片づけております。
で、私の代わりにMarshallのブースを訪ねてくれたミュージシャンから写真が届いたのでレポートさせて頂く。

0r4a4336_2取材をしてくれたのはラスベガスを拠点に活動するガール・バンド、DOLLFACEの日本人ドラマー…

Df …misaiちゃん!
60vNATALのエンドーサーのmisaiちゃんは昨秋、自分のオリジナル・キットを手に入れた。

10vmisai邸に配達されたNATAL。
不思議そうに巨大な物体を精査しているのはmisaiちゃんの愛猫のJack先生。

30vmisaiちゃんのキット。
Cafe Racer。
白地に赤は「日の丸」をイメージしたのだそうだ。
バスドラムのフロントヘッドはmisaiちゃんの自作。
バッチリやんけ~!

40s_3もう実際のステージでバリバリ使ってくれている。

50sNATALのステッカーをゲットしてご満悦のJack先生。
彼も「ニャタール」がお気に入りなのだ~。
イヤ、アメリカだから「ミャタール」か?

70smisaiちゃんから聞いてビックリしたんだけど、今年は土日を一般に公開したとか。
ま、NAMMが昔から「業者向けの展示会」だということが有名無実なのは先刻承知の助だけど(←古い。普段はこんなこと言ったりしません)、とうとうそうなったか…。
フランクフルトの場合、週末は一般に有料で開放していた。
下は昨年の様子…ね?業者向けになってるでしょ?

0r4a4683ではMarshallのブースへ行って頂きましょう。
先回とは異なるロケーション。

80vでも、ニタとコリィのボードは使い回しじゃんか。

90vデモンストレーション・ステージにはNATALやEDENもセットされた…というのも今回はMarshall RECORDSからREWSとKING CREATUREも参加しているので、ココで伴奏をしたんでしょう。
それは見たかったナァ。

100LIFESTYLE商品。
ディスプレイにはビールの樽が写ってるじゃんね。早く飲みたいね、Marahall BEER。
あ、そういえば先日『名所めぐり』でハマースミスをやって、London Prideで有名なFuller'sの工場を案内したけど、アサヒ・ビールがFuller'sを買収したんだってね~。
ん~、結構イヤな気分だけど、日本でLondon Prideがドライと同じ値段で飲めるなら…デヘヘ、歓迎するよ。
イギリスのビールが飲みたい!110vさて、今日この記事を認めたかったのはコレ。
どうしたんだ…Marshall。
フザけているのか、おかしくなったのか、ヤケクソなのか、それともマジなのか…。
ズラリと変種が展示してあったというのだ。
チョット見てみましょうね。
 
裸木のケーシングに収められた2203。
ソルトペッパーのフレット・クロスにネガポジ反転させたブロック・ロゴ。
悪くないな…でも、子供の頃、カツオ節をコキコキ削らされたのを思い出すわ。

130こちらもウッディな仕様。
アンプはナニが入ってるんだろう?
コレぐらいはあってもいいかんじゃん?

140シマウマか…。
蝶がどこかに付いていればヘンドリックス仕様だな。
ラジオみたい。

150コチラはレトロなアメリカを思い起させる出で立ち。

160三方を迷彩柄に囲まれてみる。
ん~、私なんかには全くあり得ない感覚かな~?
でも面白いな、こういうの。

170コレはDSLのコンボ。
スタンダード・ブラックのフレットクロスにゴールド・パネル、ホワイト・ロゴとMarshallスタンダードの要素は多いのにゼンゼン雰囲気が変わっちゃう!

180あ~あ~、誰だよ、こんなの作ったのは!
コレAS50Dだ。

190アララララ、これも、誰よ!
MGかなコリャ?
かつて三角形のアンプもあったでしょ?
以前、Marshallのエンジニアに聞いたことがあるんだけど、ギター・アンプはやっぱり四角が一番音がいいらしいよ。
 
まぁ、変形はチョットどうかな?とは思うけど、Marshallもドンドン冒険をした方がいいと思う。
だってもう音楽も、音楽を伝達するシステムも、制作する方も、消費する方も、かつてとは全く違うんだもん。
200でも、やっぱりこういうのがいいな~。
Marshallだけでなくロックの財産だからね。
案の定STUDIOシリーズはかなりのセンセーションだそうだ。
こういうモノを作っている以上は、ナニをやっても私は付いていきますよ。

210そしてNAMM 2019も残すところあと1日。
日本に買ったら真っ先にナニを食べようかナァ~…だから行ってないって!
 
そういえば何年か前、タップリと時間の余裕を見てロサンゼルス空港に行っていたのに、私が乗る飛行機がもう出ちゃっていた話をしたっけ?
夜中の12時の便なのに、昼間の12時と間違えていたの。
チェックイン・カウンターで「お客様の飛行機はもう10時間以上前に日本へ向けて飛び立ちましたよ」とか言われちゃって…。
すぐに代わりの便の空席を探して乗せてくれたんだけどね、ホンの一瞬血の気が引いたわ。

0r4a4789_2misaiちゃん、どうもありがとう!
NATALとともにアメリカでもますますのご活躍を期待しています。
 
misaiの詳しい情報はコチラ⇒facebook

220v

200_2 
(一部敬称略 2019年1月 アナハイムNAMM 2019にて撮影 ※写真提供:misaiちゃん Thank you very much for your generous cooperation!  Keep on rockin' with NATAL!)

2019年1月25日 (金)

Marshallの新商品~NAMM2019から

 
アッソレ!♪か~もん べいべ~ あめりか~…ってか?
アナハイムは今日もいい天気だわい。

10_2今年もNAMMショウは大盛況。
初日、開場を待つ人たちでゴッタ返している。

20な~んてウッソで~す!
事務所でコレ書いてます…。
寒いね~、東京は。

30いつか書いたような気もするが、ここ数年のfacebookを見ていると「NAMMへ行って来ま~す!」とか「NAMMに来ていま~す!」という投稿がガクっと減ったような気がするんだけどどうだろう?
以前は皆さんからNAMMへ行く、もしくは行った歓喜の投稿が飛び交っていたでしょう?
なんか景気の悪さを思い知らされるような気がして少しコワイんだよね。
それとも、みんな飽きちゃったのかな?
あるいはインフルエンザで多くの人が行かれなくなっちゃったとか?
私もいつか「NAMM風邪」とかいうのに感染して、日本に帰って来てブッ倒れたことあったからナァ。
去年は「marshall.com」がスタートするということで、私も呼ばれて参加したんだよ。
それで、その時のレポートを一応読み返してみたんだけど…自分で言うのもナンだけど、Marshall Blogってスゲエな。
コレ読んでいたら、もう音楽全般やその周辺の無責任な色んな知識が飛躍的に増えるだろうにナァ…なんて思ったわ。
こんなの世界に2つとなかろうに…。
あるかナァ?…こんなヘンなブログ…と思って読んでいたのはこの去年のNAMMレポートの番外編4つ。
つれづれNAMMままに <その1>
★つれづれNAMMままに <その2>
★つれづれNAMMままに <その3>
★つれづれNAMMままに <その4>

40さて、今年のNAMMのMarshall。
去年のORIGINに引き続いて強力な新商品が発表されたわ!

月並みだけど、名付けて「STUDIO」シリーズ。
全体としてはこんな感じ。


しかし…Marshallも変わりましたナァ。
イヤ、基本はそのままに、よくぞ時代に迎合してイメージを変えて来たと思うよ。
 
今回のSTUDIOシリーズ、新しく出たのは2つのライン。
双方、イギリスはミルトン・キーンズ/ブレッチリ―の本社工場で生産している。
なんか、イギリス製って久しぶりのような感じがするな…ASTORIA以来かな?

Svsc_img_7759 ひとつはJCM800系のSTUDIO CLASSIC。
もうひとつは1959系のSTUDIO VINTAGE。
ああ、おなじみの単語が並んでいてありがたいわ。
またコレか?…ではない。
コレこそがロック・ギター・アンプのサウンドなのさ。
アナタ、世の中に1959とJCM800がなかったらどうやってロック・ギターをやるつもりなの?…というぐらいの人類になくてなならないアイテムを「Modernize」したのがSTUDIOシリーズ。
「modernize」は「現代かする」とか「最新式にする」とかいう意味の単語だけど、「時代のニーズに合わせて使いやすくした」とご理解いただければよろしいかと…。
最近、PAシステムが進化してドンドン舞台のギターアンプが小さくなってるでしょ?
それでもチャンとしたロックを知っているギタリストは、みんな1959や2203を使いたくてしょうがないんだよ。
結局みんな1959や2203が好きなのね。
それで「20Wぐらいの1959があれば大ヒットするよ!」なんて、実は先週、あるベテラン人気ギタリストとそんな話をしたばっかりだったのです。
もちろん私はこのSTUDIOシリーズのことを知っていたけどダマってた…ゴメンね。
で、今回はそのCLASSICとVINTAGEにMINI JUBILEEと呼ばれていたシリーズが戸籍を入れ替えて「STUDIO3兄弟」となった。

…ということで、しつこく写真を載せながら、ひとつずつSTUDIOシリーズの面々を紹介しましょう。

50まずは2203ベースのSTUDIO CLASIC。
コンボ、ヘッド、そして専用スピーカー・キャビネットという布陣。

60まずはコンボのSC20C。
いいね、まずこのツラがまえ。
出力はその名が示す通り20W。
もちろんフル・バルブ。
プリ菅はECC83が3本、パワー管はEL34が2本。
やっぱりこの名コンビだよね、Marshallは。もう「やすし」と「きよし」みたいなもんだ。

70ハイ、右向いて。

80次は左。

90コントロール・パネルのようす。
向かって左からPRE-AMP、VOLUME、TREBLE、MIDDLE、BASS、PRESENCE…おお、2203だ!って当たり前なんだけど。

100リアのようす。
ハーフ・オープンになっている。
スピーカーはオフセット。110スピーカー・アウトは16Ω、8Ω、4Ω。
FX LOOPとそのオン/オフ・スイッチ、DI OUTを搭載。
170スピーカーは1×10"。
CELESTIONのG12 V-type10"というヤツ。16Ωで入力は50W。
下の写真は「70W」の表記になっているけど、コレはエクステンション・キャビネットのスピーカー。まぎらわしくてゴメンナサイね。
ツラ構えを見せたかったの。

130入力はHIGHとLOWの2種類。
そう、JCM800ではINPUTという表記ではなくて「SENSITIVITY」だったよね。

140ストラップ・ハンドルもゴールドのクラシック仕様。
重量は14.55kg。

150今回も20Wと5Wの出力の切り替えが可能。
だからチャンとアンプを鳴らして宅録もできるんじゃいない?

160つづいてヘッドのSC20H。
出力や回路はSC20Cと同じ。

180ハイ、右向いて。

190今度は左。

200コントロール・パネルのようす。
当然コンボとまったく同じ。
レイアウトが逆さになっただけ。

210リアはこう。

220コチラもコンボと同じスペック。

230ヘッドも同様に出力の切り替えスイッチを搭載。

240ハンドル・ストラップもコンボと同じ。
重量は9.4kg。
どうよ。100Wの2203ヘッドは20.5kgだよ。出力は1/5だけど、重量は半分以下。

250スピーカー・アウトプットのコンフィギュレーションもコンボと同様です。

260コレさ、パネルの表記に使われている文字のフォントが2203と同じでうれしいんですけど…そう思わない?

270次はヘッドの相棒のスピーカー・キャビネット。
種類は2つ。
まずは1×12"のSC112。

280ま、当然のルックス。

290

300こちらはコンボと違って、真ん中に12"スピーカーがガツンとインストールされている。

310スピーカーは1×10"。
CELESTIONのG12 V-typeというヤツ。16Ωで入力は70W。

320もうひとつは2×12"のSC212。

321タテ長のアングルド・タイプ。

322身長は75cmだよ。
重さは22.7kg。
BMIは40.36。肥満度は4。
でもキャビネット業界では標準なのさ。

323こちらはクローズドバック。
Celestion V-Typeが2つロードされているので入力は140W、8Ω。

324STUDIO CLASSICのデモ動画はコチラ。


次はSTUDIO3兄弟の長兄、STUDIO VINTAGE。
く~、もうこのルックスだけでシアワセ。
Marshallのルックスってなんて魅力的なんだろう。
手前ミソながら、間違いなくこの世で一番カッコいいギター・アンプのデザインだと思う。330じゃ、またコンボから。
こういう記事を書いていると、だいたいこの辺で飽きて来る。
こんどはVINTAGEなのでSV20Cというのが型番。
回路は当然フル・バルブ。
プリ菅がECC83×3、パワー管はEL34×2。

340右向き。

350左向き。

355上から見るとこう。
いいね~、いいわ。

360リアはこの通り。
やはり10"スピーカーが1つオフセットでロードされている。

370スピーカーはCLASSICのコンボと同じく、CelestionのV-type10"。
写真はさっきからズッと使いまわしているので12”、70Wになっているけど、実際に搭載されているスピーカー・ユニットは10"で50W、16Ω。

380コントロールは向かって左から、LOUDNESS2/NORMAL、LOUDNESS1/HIGH TREBLE、TREBLE、MIDDLE、BASS、PRESENCEとなっている。
「NORMAL」なんて表記が付いているところが1959とチョイと違うね。385パワー・スイッチはちゃんとピン様式になっとる。
内側のスイッチは、1959ではSTAND BYだけど、STUDIO VINTAGEでは例のパワーリダクション・スイッチになっていて20W/5Wの出力の切り替えができる。

390そうか…フレット・クロスはSalt&Pepperにしたか…CLASS5と同じヤツね。
ECがよく似合うと思うんだけどORIGINで使っちゃったからナァ。
LCのも見てみたい。

400インプットは伝統の4穴。
"Lead and Bass"ということになっている。

410次にヘッドのSV20H。

420ゴールドのロゴにパイピングにビーディング。
ホントに素晴らしいデザインだ。

430ハイ、左を向いても美しい。

440コントロール・パネルのようす。

450リアはこう。

460リア・パネルの昨日はSTUDIO CLASSICと同じ。

465当然ヘッドも20W/5Wのリダクション機能を搭載している。

470レバンドのカバリングっていいよね~。

480コチラも1959のフォントを踏襲していてうれしいなったら、うれしいな!

490コチラはスピーカー・キャビネット。

500このフル・フェイスのフレット・クロスがタマりまへん!

510重量は12.25kgだから、ヘッドのSV20Hと組み合わせても21.5kg。
それが重くてイヤだったら、もうホンモノの「いい音」はあきらめてデジタル装置でギターを楽しんでくださいな。

520もうひとつのキャビネットは2×12"のSV212。

530コチラもタテ長、アングルド。

540搭載しているスピーカーは同じなので、簡単に言えばSC212のルックス違い。
ビーディングが入っている分、こっちの方が手が込んでいるといえば、言えなくもない。

550コチラもクローズド・バック。
570
STUDIO VINTAGEのスピーカー・キャビネットもCLASSIC同様、Celestion V-typeなのね。
12"、70W、16Ω。
だから、CLASSICとVINTAGEの組み合わせは自由ということになる。
カバリングはエレファント・グレインとレヴァントで異なるけど、ルックスで選べちゃう。

560STUDIO VINTAGEのデモ動画はコチラ。

STUDIOシリーズの最後。
前述の通り、Mini Jubileeシリーズとして予てよりご好評を頂いていた20WのJubilleたちがSTUDIOシリーズの一員として生まれ変わった。

580まずはコンボの2525C。

590右左、どっちから見ても…

600…Jubilee。

610コントロール・パネルのようす。

620リアはこう。

630スイッチの隣に「STUDIO」の表示が加わった。

65020W⇒5Wのリダクション機能もそのまま。

660コチラはヘッドの2525H。

670コレも従前のMini Jubileeシリーズのヘッドと同じ。

680

690リアも変わりない。

720ECC83×3、EL34×2という仕様もMini Jubileeから変更なし。

730スピーカー・キャビネットが新しくお目見えした。

760Mini Jubileeの2×12"、2536とは異なり、1×12"の2512となった。

770

780リアはハーフ・オープン。

790スピーカーはCLASSICやVINTAGEのスピーカー・キャビネットと同様、CelestionのV-typeを搭載。
800STUDIO JUBILEEのデモ動画はコチラ。

以上がSTUDIOシリーズのラインナップ。
まだ実機が届いていないので音質は動画に頼るしかないが、モノが手元に届き次第ひとりでも多くのMarshallプレイヤーに試奏してもらってMarshall Blogでその様子をレポートしていきたいと思う。
皆さん、Marshallの新しい仲間をどうぞよろしく!

810ああ、もうNAMMも2日目が終わっちゃった!…だから行ってないってば!

820

200_2

2019年1月23日 (水)

犬神サアカス團『東京2060レコ発巡業』~私のディープ浅草<vol.7>

 
だいぶ遅くなっちゃったけど、今日は昨年の11月に開催した最近作『東京2060レコ発巡業』のレポートをお送りするよ。
そうだ…ショウ・ウインドウのガラスに水滴が付いている通り、この日は夕方になって雨が降ってきたんだった。

05コレが昨年9月に発表された『東京2060』。
東京の近未来をテーマにした作品。
オープニングがいいんだわ。
「気象衛星百年記念式典」と題した犬神さん得意の口上からスタート。
そうか…アルバムがリリースされた去年は気象衛星が打ち上げられてちょうど100年目だったのか…と思って早速調べてみる。
100年前だから1918年…と。
え?そんなバカな!1918年と言えば大正7年。テレビもない時代に衛星なんか打ち上げられるワケないじゃん!
イヤだなぁ、犬神さんも、慌てちゃて!…と思ったら、私がヤボだった。
時は2060年。
その100年前、すなわち1960年のことを言っているのでした!
史上初の気象衛星はNASAが打ち上げたタイロス1号という衛星。
名前のタイロス(TIROS)はまたギリシア神話かなんかからの転用かと思ったら、「Television Infrared Observation Satellite(テレビジョン赤外線観測衛星)」の略だって…ツマんねーの。
さて、この口上でスゴイのは2本の金管楽器。
トランペットが情次兄さんで、トロンボーンが明兄さんだてーんだから驚きだ。
何でも2人は中学の時、ブラスバンドに所属していたそうな。
今、吹奏楽部の部員というと、100%近く女子なんだってね~。
昔は男子部員の方が多かったんじゃない?
私なんか中学も高校も吹奏楽部の部員って全員男子だったよ…あ、オレ男子校行ってたんだ。
しかも高校は情次兄さんと同じ。
その高校の話を今日は後でもう一度出すので乞うご期待。
「凶子ちゃ~ん!」の後にトロンボーンが奏でるメロディはW.C.ハンディの「St. Louis Blues」。
アメリカ人の心のメロディ…昔のね。
そして「St. Louis Blues」で思い出すのはグレン・ミラー楽団。

20cdジャズのオーケストラは普通トランペットが主旋律、つまりメインのメロディを奏でるんだけど、あるリハーサルでグレン・ミラー楽団のリード・トランぺッターが唇を切ってしまい、メイン・メロディを吹くことができなくなってしまった。
本番は明日。
さあ、どうする。
元々アレンジャーだったグレン・ミラーは咄嗟のアイデアでクラリネットにそのメイン・メロディを奏でさせることを思いつく。
それが後に「Killer Diller Sound」と呼ばれるグレン・ミラー楽団独特のサウンドになったんだね~。
で、愛国心あふれるグレン・ミラーは志願して慰問団として第二次世界大戦に参加。
軍楽隊の指揮を任されるんだけど、スーザのマーチじゃ兵隊の士気も上がらん!ということで、この「St. Louis Blues」を行進曲にアレンジして兵隊さんを喜ばせたんだね~。
今風に言えば行進曲がAKB48みたいになったワケ。
犬っ子さんだったら、行進曲が「白痴」になったようなもんよ。戦争をやるなんてどうせバカなんだから。
その行進曲が「St. Louis Blues March」といって後年まで語り草になった。
グレン・ミラーは大戦末期、慰問でイギリスからフランスに移動する飛行機が行方不明になりその生涯を閉じた(諸説あり)。
あ、お若いみなさん、この時アメリカが戦争していた相手はドイツやイタリアや日本ですからね。
「♪カモン・ベイビー・アメリカ」なんて言ってられなかったんですよ。
グレン・ミラーの半生は『グレン・ミラー物語』という映画になっています。
あのね、『ボヘミアン・ラプソディ』なんかは比べ物にならないぐらいシッカリと作り込まれた感動的な映画です。
漫画と怪獣だけの今のアメリカ映画とは違って、一番いい時の作品だからね。
『アメリカ交響楽』だの『夜も昼も』だの『五つの銅貨』だの『ベニーグッドマン物語』だの、『ジョルソン物語』だの、こういう音楽家の伝記映画を結構観たけど、ダントツで『グレン・ミラー物語』が一番いい。
今では廉価版のDVDで数百円で観れるので興味のある犬っ子さんはゼヒ!
私はそれこそ10回以上観て毎回涙を流してる…ちなみに『ボヘラ』は全く何とも思いませんでした。
Queenファンではなかったということもあるけど、映画自体の作りがあまりに薄くて軽いんだもん!
昔のハリウッド映画を山ほど観て来ているジジイを感動させることはムリです。
あ、ちなみグレン・ミラーも明兄さんと同じくトロンボニストだった!

Gmsさて、会場の方はといえば…
バックドロップや幟やバスドラムのヘッドに新しいイメージを取り入れてステージの雰囲気が変わった。

10そして、お楽しみの物販コーナー。

40ああ、もう翌年の手帳だもんね…って、年明けちゃったけど。
この手帳ね、すごくショッキングなことが書いてあってサ…。
ナニが書いてあったのかというと、映画でも漫画でも、過去のSFものの舞台設定が、今やほとんど過去になっているっていうんだよね。
ジョージ・オーウェルの『1984年』なんてもう35年前のことで、私は就職活動してたわ。
『2001年宇宙の旅』もそう。もう18年も前のことじゃん?
テレビを見ているとデジタル・テクノロジーを活用した色々な商品が盛んに喧伝されているけど、これ以上必要なものってあるの?
電気ぐらい自分の手で消せばいいじゃないか。
すごく思うのは、本当に人々の生活に役に立つ家電製品は洗濯機と冷蔵庫とテレビまでぐらいなんじゃないかね~。
電話なんかもそうか。
ナニが言いたいのかというと、それらの古典的な家電製品は「なくてはならないモノ」、あるいは「あって欲しいモノ」なんだけど、現在のテクノロジーを利用して「新しい」と呼ばれて世に出てくる家電製品やシステムは「なきゃないで済むモノ」ばかりなんじゃないかしら?
その「なくても済むモノ」を「なくてはならないモノ」に仕立て上げることが商売になっちゃってる。
若い人に「スマホと洗濯機」どっちかひとつだけ必要なモノを選べと訊いたらどうなるだろう?
私は迷わず洗濯機を取るわナァ。
そして、そういう最近のITがらみの商品は「便利ですよ~」という羊の仮面をかぶった、人間をバカにする悪魔の装置なんじゃないかと思う。
一方、その製品やテクノロジーの開発サイドはドンドン利口になっってっちゃう。
インターネットだってそうだよ。
昔は何かを知りたい、調べたいと思った時、まず、どうやって調べるか?ということにアタマを使った。
今の若い人は話を聞きながらその場で調べちゃうでしょ?コレとても便利なんだけど、間違いなくその知識は身につかんよ。
知識というものは、考えて、本を開いて、活字を目で追って、時にはそれを写して、ようやく頭の中に入れるモノなんですよ。
もちろんいつでも何回でもスマホで調べることができるから頭の中に入れなくてもいいんだよね~。
そういうのを「バカになる」って言うんだよ。
そんなにテクノロジーがすごいなら「戦争を防ぐ装置」を開発したらどうかと思うよ。
もうひとつ、手帳に書いてあったことを引かせて頂けるならば、それは科学者のホーキング博士の言葉。
「人類は1000年以内に滅亡するであろう」
コレは間違いなく当たってると思うね。
理由のひとつを手塚治虫が『火の鳥』の「未来編」に描いてくれている。ナント1967年の作品!

50新しいグッズのひとつ、「いぬがみさあかすだん」法被。

60v後ろはこんな感じ。
法被については最後の方でもう一度触れる。

70vほぼ定刻通りにステージに姿を現した4人。

120おお、ナンダナンダ?

130珍しく円陣を組んで気合を入れた!

90r4a0001 「みなさんこんばんは~!犬神サアカス團で~す!
今日は『東京2060』ツアーのファイナルだぁ~。盛り上がっていくぜ~、高田馬場~!」
…と、「血煙」が上がるようなハイテンションなオープニング。
曲は『東京2060』のリード・チューン、「ロックンロールを唄いきれ」。

150_ru犬神凶子

160v犬神情次2号

170v情次兄さんはいつものMarshall。
JCM800 2203と1960Aだ。

180v犬神ジン

190vジン兄さんはEDEN。
Terra Nova TN-501ヘッドとD410XSTキャビネットが2つ。

200v犬神明

210v明兄さんはNATAL。
バスドラムの新しいフロント・ヘッドがカッコいい!

220v_2「次は一緒に踊るゾ~!」
続けてもニュー・アルバムから「最新型アンドロイド」。

230_sa今日もカッチリとキメてくるジョニーちゃんのギター・ソロ!

240v「アタマから飛ばしていくぞ~!まだまだ飛ばしていくぞ~!」

250_sa今日のこの「飛ばし」感はナンダ?

260v最初の円陣が効いているのか?それともヤケクソなのか?
300v_ube掛け声だけじゃなく、いつになくアクションも激しい凶子姉さん。
この3曲目の「最後のアイドル」ですっかり宴会は、イヤ、演奏会は出来上がってしまったゾ!

280v「改めまして犬神サアカス團です。今回、行ってきました…札幌、名古屋、大阪、広島、福岡。
その間に曲が育ったと思います。今日も最後まで盛り上がっていくぞ~!」290_mc…と、ニューアルバムのナンバーを次々と披露した。
それこそ明兄さんのジーン・クルーパのようなドンドコ・ビートから「奪え!」
270v凶子姉さんの巻き舌ボーカルズ炸裂!
この曲カッコいいね~。

310_ybg_3イントロのブルージーなギターや#9thのクロマチック下降、歌中の4度進行、いいね~。
いかにもギタリストが作りそうな曲…と思ったらジョニーちゃんの作品。 

0r4a0033 これまた切れ味鋭い「夜をぶっちぎれ」。

320ジン兄さんのグルーブが気持ちよいのだ!

330そして、「裸の女王様」。
ゴメン、コレもいい。
ジョニーちゃんのペンが冴えわたっております。

340「♪みんな病気でつまんない」…ホントだねぇ。

345v「曲順間違えちゃった~!」
あ、そう?
「今回のアルバムは『新しい音』ということで近未来がテーマです。
2060年はどんな世界になっていると思う?」

350_mcここでニュー・アルバムのタイトル・チューン「東京2060」をプレイ。

360_2060明兄さんのドラムからスタートし、まるで「Move Over」のようなボーカルズとギターのユニゾン・パートを経て…
380犬神の42年後の世界へ!
やっぱりこういうロック・サウンドが「ロック」だよね。

370v「こんばんは犬神ジンです。
この会場にお集まりの皆様は『タイムトラベラー』という言葉をご存知ですね?未来から過去、過去から未来へと時間を自由に旅する人のことです。
なんと私は2060年からやってきたタイムトラベラーなのです…拍手!」

390「へ~、ココが2018年か…人を発見!アナタは何をしているんですか?」
「あ、私ですか?スマホでゲームをしているんです」
「スマホ…?」
ってな具合にジン兄さんと凶子姉さんで近未来をテーマにした社会派ドラマを展開した。
2060年には携帯電話などなく、人間の頭に埋め込まれたマイクロチップがスマホの代わりをしているのだ…って、コレもうできるんじゃないのかしら?

400寸劇の後も『東京2060』からの曲で「幸福論」。

410_kfrジョニーちゃんの歪んだカッティングの音が素晴らしい。
まさにJCM800の音だ!

440v「論」つながりで2012年の『恐山』から「陰謀論」。

430vコレ、結構久しぶり?
どうでもいいけど、詞も曲も、ものすごく犬神っぽい曲ですな~。

420_2「犬神情次2号です。
本日この会場にお集まりの皆様は『タイムトラベラー』という言葉をご存知でしょうか?過去から未来へ、未来から過去へと時間を自由に旅する人のことをタイム・トラベラーと呼びます。
手前味噌ではありますが、私は1990年からやってきたタイムトラベラーなのです…拍手!」

450「へ~、ココが2018年か…そこを行くお嬢さん!アナタは何をしているんですか?」
「あ、私ですか?スマホでゲームをしているんです」
「スマホ…?そうかゲームボーイの進化形か…1990年はポケベルの時代だったからナァ。
昭和から平成にななって…ティラミス、ちびまる子ちゃん、一番人気の女優と言ったら宮沢りえ」
「じゃあ、いいこと教えてあげようか?宮沢りえ、来年ヌード写真集出すよ」
「ウソだろ~!」
「平成という元号は30年で夢を閉じるわ」
460そこから「平成デモクラシー」。
うまくつないだ。

470_hd「平成」か…個人的には元号そのものに何の思い入れもないナァ。
ただ「昭和生まれ」という言葉が定着して、昭和時代に生まれた人のことを思いっ切り昔の人のように修飾するようになったよナァ。
「昭和の香り漂う」という表現はキライ。大きなお世話だ!と言いたくなる。
コレが30年もすれば「平成生まれ」と呼ばれ、「平成のレトロ感たっぷり!」なんて言われるようになるよ。
もちろんその頃、皆さんはスマホを持たず頭の中のマイクロチップを使ってゲームをやっているワケ。

480v前作『新宿ゴーゴー』から「栄光の日々」。
イントロのジン兄とジョニーちゃんの掛け合いが好き。

490v_ehbジョニーちゃんのソロはここでも昭和感爆発!あ、コレは「70年代ロック風」という最高のホメ言葉なんですよ。

500そのころステージ下手では…こんな感じ。

506ニューアルバムから「化猫遊女」。
シンプルな歌詞は凶子さんのペンによるもの。
化猫遊女というのは、江戸時代の人気キャラクターのひとつで、「化け猫の飯盛女が品川宿にいる」という風説が元になったのだそうだ。
「どうだい、ナカにも飽きたことだし、ミナミにでも繰り出してみるか?」なんてシーンが落語の「居残り佐平次」に出て来るんじゃなかったけ(うろ覚え)?
この「ナカ」というのは吉原。「ミナミ」というのは品川宿のこと。
当時、幕府は江戸エリアにおいて吉原のみを遊郭として公認していたが、「岡場所」と呼ばれる深川をはじめとする遊郭を半ば黙認していた。
立地がよく、リーズナブルだった岡場所は強力な商売敵なので、吉原からの強い要請を受けると幕府は取り締まりに乗り出して岡場所をぶっ潰したんだね。
一方、宿場には必ず女郎屋があって、コチラは吉原から離れているので、商売敵にはならず、取り締まりを受けることはなかった。
そこで「江戸四宿」と呼ばれる品川、千住、板橋、内藤新宿らの江戸の中心から近い宿場は大層栄えたらしい。
ナゼ取り締まらなかったのかというと、便宜上「江戸四宿」と呼ばれていたものの、コレらの場所は当時「江戸」とみなされていなかったんだって。
それで、こうした宿場の遊女を「飯盛女」って呼んだんだネェ。
そのウチのひとりが夜になるとネコに化けてムシャムシャと人間の食べものを頂いていたという。

510v_bnyj_2明さんのトーク…新作について語る。
「どうも…化猫遊女です。
そうだねぇ、前から近未来をテーマにしたものをやりたかったの。『近未来』ってひと言が好きなんだよね。ロマンがあって…。
男は宇宙とか未来って好きなんだよ」

S41a3307そして、「見張ってますよ~!」と明さんからバックドロップの説明。

30両手の人差し指と中指を曲げて、自分の両目を指してから、2本の指をそのままの形で相手の目に向ける仕草は「I'm watching you(見てるからな!)」という意味なのね。
欧米人は時々コレをやる。
本番直前に楽屋でこのことを口にすると、さすが凶子姉さん、ちゃんと覚えていてステージでこの仕草をやってくれた。
また同じく、下の写真のようにその両手の2本の立てて曲げ伸ばししながら話をするのは「ただ今誰かのセリフを引用しています」のサイン。
英語で「」は" "(ダブル・クォーテーション)を使うので、2本の指をそのチョンチョンになぞらえているワケ。
コレ、会議の時になんか皆さんよく使ってる。
たとえばお客さんの意見なんかをその人になりきって口にしたりする時にみんなこの仕草をします。510mcみんなで騒ごう「暗黒礼賛ロックンロール」。

520_arrr言っちゃ悪いけど、もうなんか『新宿ゴーゴー』がずいぶん前のような…。
でも名曲は古びない…ったって1年チョット前か。

525v「ロックンロール!」…『形而上のエロス』から「道行き」。

S41a3276

540v続けて「DEAD END KIDS」!

550

560そして、『東京2006』から「おやすみ」。

0r4a0063 『東京2060』でもアルバムを締めくくっているこの曲。
亀有に来たようなホンワカ気分。
こうしてコンサートのクロージングに持ってきて「我々の未来は明るいな…」と。

90r4a0044 これにて本編終了。

580vアンコール。
いつも通り演奏の前はジン兄さんの物販紹介コーナー。

590おお、凶子さん以外の3人は赤い法被をまとっての登場だ。
この法被でサ、スゴイことに気がついちゃったんだよ。

595_2それはコレ。
時は2060年どころか、1966年にさかのぼる。
そう、ビートルズが来日した年。
このFab4(アメリカではビートルズはよく「ファブ・フォー」と呼ばれていました)が着ている法被のガラを見てください。

80vコレね。

90sこの柄。
「吉原つなぎ」なんだよ。
コレは「私のディープ浅草」のvol.5で紹介した。

100フランク・ザッパも着たヤツね。
JALは意味がわかっていてこのガラを選んだのだろうか?110アンコールは「新宿ゴーゴー」!

0r4a0103

610v

620vなんか法被ひとつですごくホッコリした感じになるナァ。

640_2そして、最後は「白痴」!

630演者も観客を暴れに暴れて最後はジャ~ンプ!

650本日2回目のペロリンチョ。

660vツアー終了~!
お疲れさまでした。

670今年、犬神サアカス團はデビュー25周年だからね~。
スゴイよね~、ほぼズッ~ト同じメンバーで25年。
若いバンドさんにはゼヒ見習ってほしいものです。
狂犬倶楽部、部員募集中です。
 
犬神サアカス團の詳しい情報はコチラ⇒公式家頁

680

(一部敬称略 2018年11月10日 高田馬場Club PHASEにて撮影)
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「レディース&ジェントルメン!お待たせしました。本日のハイライト、『私のディープ浅草』の登場です!」
なんてね、ハイライトは犬神さんでした。
ココからはしばらくお休みしていた「私のディープ浅草」。
再開します。
というのは、このコーナー、てっきり皆さんから嫌われていたのかと思っていたんだけど、犬神さんのライブ会場で「続きを楽しみにしている」というお声を少なからず寄せて頂いたのだ。
うれしかったね。
正直、何か間違いではないのかとにわかには信じられないような気もあったが、ありがたくそのお言葉を頂戴してキーを叩かせて頂いた。
コレね~、吉原周辺の話題も含めると、実は書きたいことがまだまだものスゴくたくさん残ってるんですわ。
それゆえお言葉に甘えて犬神さんのライブ・レポの時には努めて連載していくようにしたいと思っていますのでこれからもご高覧のほどよろしくお願い申し上げます。
 
さて、このシリーズを書くために結構関連の書籍に目を通しているんだけど、以前にもチョット触れた通りモノによっては吉原に対する説明や見方が異なっていて、一体どれを信じていいのか本を読めば読むほどわからなくなって来たのね。
それが連載を休んでいたひとつの理由でもあったりする。
また、しかつめらしいことをズラズラ書いてあるだけでナニが言いたいんだかサッパリわからない本もあったしね。
その中でこの本は面白かったナァ。ブックオフで200円(税込み)。
値段の次に装丁が気に入った。
そして、目を惹いたのは著者の興津要(おきつかなめ)の名前。
興津さんは大正13年(関東大震災の翌年)、栃木の足利生まれの近世文学や落語の研究家にして早稲田大学の名誉教授。
もちろんこの先生の名前を知ったのは大ベストセラーの『古典落語』という速記本を元にした落語のストーリーブック。
ナントこの落語のシリーズ、これまで6冊が刊行され、トータルで200万部も売れているそうだ。
で、その先生が近世文学の研究の傍ら、江戸時代のあらゆる文献から吉原にまつわる箇所を抽出して項目別に解説を加えている本。
多少の誇張がしてあるにせよ、江戸時代の人々の真の言葉であり、その人たちの感覚がストレートによみがえってくるようで実におもしろい。

90r4a0014それでですね、色んな人の本を読み散らかしても微妙に違うことが記してあって、考えがまとまらないんですわ。
そのため途中から、読んでいて内容が最もシックリくる著者の本だけを手中して読むことにした。
それは小説家であり、歴史評論家の肩書を持つ永井義男という方の本。
なんていうか、どの本も「らしい」だとか「だそうだ」みたいな記述がなく、「である」と言い切っているところに絶大なる信頼感を感じたのだ。
もちろんどの著述を読んでも一点のブレはありはしない。

90r4a0009_2読んでいるうち、次第に永井さんの小説家としての作品も読んでみたくなり2冊ほど買い込んだ。
それが下の2冊。
私は自分の頭が悪いだけに数学家や将棋指しみたいな人たちに憧憬の念を持っていましてね…。
数学もわからなければ将棋もやらないけど、それら関する話にとても興味があるものだから2冊のタイトルに心を躍らせた。
特に右の『算学奇人伝』は「開高健賞」を受賞しているということで、まずコチラから読んでみた。
内容は和算(江戸時代の数学)を絡めた宝探しと悪徳鉄火場を成敗する勧善懲悪もの。
それで、最後まで読んだところで事件が起きた。
個人的なことね。

90r4a0011それは、巻末の参考文献のリスト。
こんなところ、いつもは絶対に目を通さないんだけど、「もしや…」と思って珍しくチェックしてみた。
やっぱり!
「佐藤健一」さんの名前が出てるでないの~!
このお名前は私だけでなく、犬神情次2号さん、TSPのSHUさん、そしてANTHEMの清水昭男さんもおなじみのハズ。
バレーボールの河合もそう。あ、河合は同級生なの。
この佐藤健一さんは、ナント我々の高校の時の数学の先生なのです。
頭のてっぺんが薄くていらして、上から見ると花のような形に見えることから「ヒマワリ」というアダ名が付いていた。
また、とても立派な体躯の持ち主で、頭髪の両側が角のように見えたことから「ポセイドン」なんてニックネームもお持ちでいらした。「バビル2世」ね。
おっかない先生だった。
私が2年生の時の担任でね、自分のバンドの自主コンサートのチケットを学校で売っていたらそれがバレちゃってね~。
退学になるかと思ったら、「親呼び出し」で済んだ。どうも母も相当うまく立ち回ってくれたようだった。
そういえばあの時、先生からも母からも一切怒られなかったナァ。
当時はバンドをやっている生徒なんてほとんどいなかったので、もしかしたらその個性を尊重してくれたのかも知れない。
佐藤先生は関孝和という江戸時代の和算家の研究をしていらして、『多摩の算額』という本を上梓された。
ゴキゲンを取ったワケではないが、私はその本を買って、先生にサインをしてもらった。
あのヤケクソに恐いヒマワリが、とてもうれしそうな顔をして丁寧に記名してくれたあの本はどこへ行ってしまったか…。
授業中、関係ないことは一切しゃべらない先生で、どうしてヒマワリが和算の研究をしていることを知ったのかを全く覚えていないのだが、「関孝和」や「塵劫記(じんこうき)」の名前はこの時に知った。
江戸時代の日本の数学はすでに世界レベルだったらしい。
「塵劫記」は関孝和も学んだ江戸時代の数学の本で、超ベストセラーとなり、少しずつ内容を変えたパチモンが明治時代までに300~400種類出回ったという。
今にして思うと、そうした研究がしたくて学校の先生をやっていたんだな。
もっと色んな話を聞いておけばヨカッタ。

9ksなんで、こんなことをココに書こうと思い立ったのかと言うと、こんな本が出て来たのです。
コレ、学校の創立50周年を記念して、中学&高校で普通に教鞭を執っていらっしゃる先生が日頃から取り組んでいる自分の研究成果を発表した冊子。
昭和54年っていうからちょうど40年前。
今回初めて開いてみてビックリ仰天。
あの先生がこんな研究をしていたのか!ってな具合。
だって40年前といったら先生たちは今の自分よりも大分若かったハズだからね。
土田先生の「徳川慶喜政権の誕生」から、大場先生の「ヒナの成長並びに代謝整理に及ぼすコリンの作用」まで内容は種々雑多。
英語の半田先生は「have」を「ヒャブ」と発音することから「ヒャンダ」先生と呼ばれていたが、立派な英語の「文体論」を著していらっしゃる。
ジョニーちゃん、こんなの知ってた?
しかし、一番の驚きは、こんなモノを一体誰に読ませようとして編んだか?ということだな。
中学の時のおジイちゃん先生なんかはもうみんな死んじゃっただろうナァ。

920r4a0027佐藤先生はもちろん得意の「算額」で勝負。

90r4a0030こういうヤツ。
いわゆる幾何ですな。
サッパリわからないけど、サスガ佐藤先生、完璧!…でしょう、きっと。
そういえば、私は「数IIB」ってのに全く歯が立たなくて、佐藤先生が作った「数列/二項定理」の単元のテストの時は16点だった。
アレ、人生で受けたテストの中で最低点だったわ。
まあね、この数IIBはどうでもいいんだけど、とにかくもっと授業を聴いておけばヨカッタよ。
親が金を払っていたワケだし…特に歴史とか地理とかもっとやっておけばヨカッタ。
皮肉なもんですな、勉強しなくてよくなると、勉強したくなる。

90r4a0034…と、いきなり脱線で失礼したが、久々の「ディープ浅草」…いよいよ吉原の中に入って行くよ。
少し戻ってスタートはココ。
吉原大門の交差点。
以前書いた通り、「吉原」という地名はもう存在しない。今は「千束3&4丁目」だ。10交差点から遊郭のあった方を眺める。
道がギュインと曲がっているのは遊郭の中が見えないようにしている…ということは以前に書いた。
この角ッコの「武蔵」というラーメン屋のとなりに飲み屋兼そば屋があるんだけど、ココのそばは大変おいしゅうございます。
目の前の横の通りは「日本堤」という土手になっていた。20ハイ、土手から下ったつもりで通りを渡って曲がり道を進む。
写真正面のマンションにはかつて引手茶屋の「松葉屋」があって、戦後は「花魁ショー」を企画して大当たりした。
フランク・ザッパが来たこともvol.5で書いた。
その脇の道はかつては「お歯黒どぶ」という堀があった。
もちろん、遊女の脱走を防ぐのと、外部からの不審者の侵入を防ぐためで、最大で幅が9mもあったという本格派。
この「お歯黒どぶ」ってのが見てみたいんだけよね。
全部ではないにしても、大正年間にはまだあったようなので、写真の一枚も残っていていいと思うんだけど見たことがない。
錦絵すら見たことないんだよね。

30ドーン!
これが吉原の目抜き通り、仲之町通り。
茶色い支柱が立っているあたりに吉原の入り口である「大門」が立っていた。
ハイ、しばらく目を閉じて開けてみて…。

40ハイ、開けて。
江戸時に代は同じ場所からこういう景色が見えていた。
ステキじゃね?
46江戸時代はどんなに身分の高い大名でも駕籠でこの中へ入ることは許されなかった。
例外は医者だけ。
男性は全く自由に大門から出入りできたが、女性はそうはいかなかった。
この手前に「四郎兵衛会所」という警備員の詰所があって、女性の通行をジロジロと見張っていた。
もちろん遊女の脱走を監視するためだ。
え、女性が遊郭なんかに来ていたのかって?
江戸時代の吉原は日本を代表する一大観光名所で、女性の来訪者も多かったそうだ。
そこで、女性の来訪者はあらかじめ茶屋で「切手」というものを発行してもらい、ココから出るときにその警備員にその切手を見せて「私は女郎ではありません」と証明するワケ。
たまに田舎から出来てきたお登りさんがそれを知らずにウッカリ大門から中に入ってしまい、番所で止められて出るに出られない…なんてこともあったそうだ。
「途中で帰るなんて…アナタがた大門で止められますよ!」なんて、八代目桂文楽のオハコ中のオハコであった「明烏(あけがらす)」のサゲはココを指している。

45下は上と同じ錦絵。
今回はインターネットから画像をいくつか拝借してお送りします。
ありがとうインターネット!
 
ステキだね~。
丁度真ん中に「仲の町」という表示板が出ている。
両側に見えるのは妓楼ではない。
コレらは引手茶屋といって、妓楼の代理店みたいな仕事をしていた。
妓楼にはいくつかのグレードに分かれていて、上から順に一流の大見世、中見世、小見世とあり、他に端っコの方には河岸見世、一部に切見世という激安の女郎屋があった。
で、客はいきなりダイレクトで大見世に入ることが許されなかった。
必ずその引手茶屋を通さなければならず、そこでの飲み食い代をして、遊女に迎えに来てもらう。
今でいう「同伴」だ。
そのため、一流の妓楼で遊ぶにはかなりの出費が必要だった。ひと晩で100万円なんてのはザラだったらしい。
中見世以下は一見さんでもいきなり妓楼に入ることができた。
この真ん中の桜。
コレはこの通りに元々生えていたものではなくて、春になると、夥しい数の桜の木を持って来て一時的にココに植えた。
暗くなってくると、見世の軒先に提げた提灯が桜の花を照らし、茶屋からは「清掻(すががき)」という三味線のインストを演奏する音が漏れ聞こえ、この世のものとは思えないぐらい美しい光景だったらしい。
見てみたかったナァ。
もちろん、桜の季節が終わると、桜の木は取っ払われる。そして、また次の催しが導入される
よく耳にする花魁道中もこの仲の町通りで行われた。
花魁道中は引手茶屋にお客を迎えに行く花魁が見習いの新造、禿(かむろ。ハゲじゃないよ)と店の若い衆を引き連れて練り歩く行事(コレは花魁道中ではないという記述もあり)。
普段質素な格好をしている庶民には色とりどりの美しい着物や髪飾りをまとった花魁がさぞかし美しく見えたハズ。
花魁は当時のファッション・リーダーだったのだ。
志ん生の落語を聞くと、「あ、高尾が出て来た!」とか「あっちに薄雲が歩いてるぞ!」と客は花魁を目にして大騒ぎになっていたらしい。
こうして江戸時代、吉原は完全にディズニーランドであり、花魁道中はエレクトリカル・パレードだったのだ。

46コレは明治時代かネェ?大正かネェ?
人力車がいるところなんざ今の浅草と変わらん。

47上の写真を見ると必ず下の光景を思い出しちゃう。
ね、やっぱり吉原はディズニーランドだったのだ。

48_small絵ハガキにもなった大門。
この辺りの絵ハガキに採用されている写真は、明治の中期から関東大震災の間に撮られているのではないかと私は勝手に推測している。
ナゼかと言うと、同じ趣向の絵ハガキに浅草の「凌雲閣」という12階建てのレンガづくりの塔の写真をあしらったモノがあって、この凌雲閣は明治24年に落成し、大正12年の関東大震災でポキっと折れてしまったから。
その間に撮影されたことが想像できる。
凌雲閣は日本初のエレベーターを擁した高層建築で、昔は高い建物がなかったので、一番上の12階からは群馬や栃木の山々まで見ることができたそうである。
また、備え付けの望遠鏡で吉原を望むことも人気だったとある。
下の写真、昔の撮影だから露光時間が長く、半透明の人がいくつか写っっちゃっている。
まだカメラなんて滅多に目にすることがなかったんだろうね~、右端の若い3人がもの珍しそうにこっちを見ている。

49「遊女三千」といって、江戸時代の吉原は3,000人の遊女を擁し、その他スタッフや商店やらで約10,000人がこのエリアで暮らしていた。
以下、江戸時代の話。
遊女とか女郎とか、そういう仕事をしていた女性がいたことは、映画なんかを通じて若い人でもご存知のことだろう。
時には「お女郎さん」なんて言い方もするけど、「女郎」というといかにも卑しいイメージがあるでしょ?
でも当時、「女郎」という言葉は決して蔑称ではなかったらしい。
前にも書いたけど、落語ではたいてい「上臈(じょうろう)」って言ってるよね。コレって「女郎」が江戸っ子にかかると「じょうろう」という発音になるのかと思っていたが、調べてみるとさにあらず。
元は「上臈」という言葉が先にあったらしい。コレは元来「身分の高い人」という意味。
ココでは「遊女」という言葉を使うことにしましょう。

50現在の仲之町通りを進む。
今は春になっても桜の花びら一枚舞うことはない。

60すでに書いた通り、よっぽど美しかったのか、仲之町通りを描いた錦絵というのは少なくないようだ。
一方、春画ってあるでしょう?
とてもココに作例を挙げるワケにはいかないが、大英博物館の日本コーナーにも飾ってある世界的に芸術的評価が高い江戸時代のエロ絵図。
はじめて大英博物館に行った時、展示アイテムが春画ばっかりで恥ずかしくなっちゃったけどね。
アレらは、誰もが知っている有名な浮世絵師達が「どうせエロだから適当でいいや」なんてことを一切抜きに、マジで取り組んでいたんだって。
というのは、浮世絵とか錦絵というのは「贅沢品」として色の数や題材が幕府から規制されていて、絵師たちは自由な創作活動ができなかった。
その点、春画は禁制品とされていたので、幕府のチェックが入らず、自由に描くことができた。
それゆえ、絵師たちは腕にヨリをかけて丹精に書き上げた。
永井先生は春画の本も著しているが、それを見ると確かに色使いなんかはスゴイよね。
猛烈に独自性の高い作風ゆえ、西洋での評価が高いことがうなずける。75vそれが今ではこんな感じだからね。
元10,000人が暮らした日本最大の遊郭にはマンションが立ち並び、有名なソープ街も一日中ヒッソリとしている。
現在の吉原で働く人たちのインタビューを集めた『吉原で生きる(彩図社)』という本もおもしろかったよ。
で、その女郎…若い人たちはもしかして、小遣い稼ぎのために女性が自ら進んで吉原でバイトしている…なんて思ってやいないだろうか?
とんでもないことでございます。

70志願して吉原の遊女となる女性はいなかった。
貧農の娘や凋落した店(たな)の娘が両親のために売られて行ったワケ。
幕府は人身売買を禁止してはいたが、完全な人身売買が行われていた。
「女衒(ぜげん)」って知ってる?
「オイ、ルパン、早いとこズラかろうぜ!」ってヤツ。
それは「次元」ね。
「女衒」というオッサンが貧しい農村に赴き、若い娘や幼い女児がいて金に困っている家に目を付ける。
そして「娘を売らないか?」と言ってわずかな金額で女の子たちを買い上げる。
要するにスカウトだよ。
貧しい家のお嬢さんたちは「おとっつあん、おっかさん、私、いいの…売られて行きます」と言って女衒の悪徳条件を受け入れる。
すると女衒は「そうかい、親思いのいい娘じゃねーか。お父っつあんもおっ母さんも親孝行の娘を持って幸せだな。せいぜい娘に感謝するんだな。ホラよ、約束の18両…ココに置いとくぜ」
この貨幣価値の計算って実に厄介なんだけど、色んな本を読むと江戸時代(といっても200年の幅があるが…)の1両は今の感覚だとどうも10~13万円ぐらいだったらしい。
となると18両は180~234万円ぐらいというところ。
人ひとりの値段が…である。
さすがにこの女衒は世間では蛇蝎のごとく嫌われていたらしいが、かなりの専門職で簡単になれるものではなかったらしい。
というのは、女郎屋に娘を売る時に証文を入れる必要があって、高い文章作成能力を必要としていた。
その能力たるや、名主級だったらしい。
後期になると江戸時代の人々は世界一の識字率を誇るようになるが、その昔の市井は読み書きができないのが当たり前だったからね。
もちろん、妓楼の商売になりそうな質の良い娘を選別する特殊な眼力がなければならない。
女衒は買い取った娘に「綺麗なおべべを着て、腹イッパイ白いおまんまが食えるからな」とかなんとか言って安心させちゃう。
半ベソをかきながら「米ェ、盗まれただよう」とレポートする『七人の侍』の左卜全ではないが、昔のお百姓さんは白米を食べることなんてできなかった。
将軍様にお召出す米農家の地獄についてはいつか書いたことがあったね…「1俵につき、欠けた米は3粒まで」とかいうヤツ。
かの武田信玄だって「ンなにッ!?上杉は米を食っているのかッ!」とビックリ仰天したとか言うんでしょ?
そんな具合だから、期待に胸を膨らませたお嬢さんもいないワケではなかったようだ。
ところが、白い米は食べられるにしても、実際にはかなりの粗食だったらしい。
  
クドイようだけど、下も絵ハガキになった仲之町通りの昔の光景。
コレは警官かな?軍人かな?それらしい人が歩いている。
奥の方に立ち並んでいる洋館が気になるな。
吉原の本を読んでも、江戸期の記述ばかりで、明治や大正についての情報がほとんど出ていない。
こうした洋館は大正12年の関東大震災で壊滅してしまった。
電柱がスゴイね。

85そうして、吉原に連れて来られると「苦界十年(くがいじゅうねん)」と言って、向こう10年間の奉公が始まる。
それも、客を取るようになってからの10年だからね。
10年を経過しても「御礼奉公」といって、今までお世話になったお返しとして2年間のエキストラ・ワークをこなさなければならなかった。
だから、5歳で売られて行った女児なんかは、はじめ禿(かむろ)という見習いから初めて、超早くて13歳ぐらいで客を取り始める。
ここまでで8年。
そこから12年だからたまったもんじゃないよね。
年季が明けるまで20年も吉原の中にいなければならない。
1回入ってしまうと、火事で深川で仮営業をする時以外、吉原からは一歩も出でられなかったんだから。
その間、給料なしですからね。
だって、女衒がもうプリペイドで給料を処理しちゃってるんだもん。
その代わり…と言っていいのかどうかわからないけど、女郎は読み書きはもちろん、お茶から、小唄から、鳴り物から、ありとあらゆる教養や芸事を仕込んでもらえたんだね。
何しろ、明治の時代に英会話をマスターしていた遊女もいたらしいよ。
アレは井上ひさしの創作なのかナァ…伊能忠敬の後妻も吉原から身請け(後出)された女性で、相当優秀だったらしい。何しろ、後年地図作りを手伝っていたというんだからね。
つまり、「いかにお客さんを楽しませるか」が勝負なワケで、ルックスだけ良くてもダメだった。
身分の高い人が来ても相手ができる様な教養をバッチリ身に付けていたのだ。
それでもやっぱり一番のポイントは顔立ちで、「一に顔、二に床、三に手」と言われていた。
まずはやっぱり「美人は得」だ。
次に「床」はいいね。遊郭ってのはそういうことをするところだから。
三番目の「手」というのは「手練手管」の「手」。
要するに演技や策略を使ってでもお客さんをつなぎとめておくテクニックというヤツ。
「あちき以外のところへ行ったら死んでやりんす」
「オイオイ、物騒なことを言うない。オメエ以外のところへ行く道理がねーじゃねーか」
みたいなヤツね。
吉原は1回登楼してしまうと、同じ見世では違う遊女を遊ぶことはできなかった。
もちろん、遊女は自分の客全員に同じことを言っちゃってるわね。
そこで「三枚起請」なんて落語があるワケよ。
 
さて、ココでこのシリーズを始めるキッカケとなった「小口末吉事件」が出て来る。
覚えてますか?
犬神サアカス團のステージに置いてある赤い幟の文句「女殺火箸地獄」ね。
詳しくはコレを読んでね⇒私のディープ浅草
日本で最初の「SM殺人」っていうヤツ。
パーフェクトなマゾヒストのヨネは少々愚鈍のダンナ末吉にタガネとゲンノウを持たせて指先を切断させた…という。
小指の先がポーンと飛んだとか。
詳しく調べてみると、この「指先を切断する」という行為は、吉原が元になっていることがわかった。
そこからこのコーナーにつながった。
遊女はギャラはもらえないが、金持ちの客から小遣いをもらうことは自由だった。それで自前で高価な着物や髪飾りを買った。
そんな金持ちの客が付けば、遊女は当然離したくない。
そこで遊女は指先を切り落としてその客への忠誠心を示したというワケ。
吉原で働いていたヨネはこのことを知っていたんだね。
そこでヨネは遊女とは反対に、「指を切り落としてくれなかったら出て行ってやる」と末吉を脅かして本当に指先を切り落とさせた…ってとこでしょう。
ところが、この遊女の「指先切り」は完全にジェスチャーで、そんなことはしなかった。
そもそも遊女は妓楼の大切な商品であるからして、そんなことをさせたら他に客が付かなくなってしまう。だから妓楼サイドでも絶対にそんなことをさせなかった。
遊女が客と一緒になる2階には遊女OGの「遣り手」と呼ばれる老練のスタッフがいて、始終遊女の様子を監視していたのだ。
当然「やり手ババア」というのはコレが語源になっている。
もうひとつ。
大見世などでは、遊女ははじめて来たお客さんにはツンツンして口もきかない。コレを「初会」という。
次に行った時のことを「裏を返す」といって、少し親しくなるが、同衾(一緒に布団に入ること)はまだできない。
3回目にようやく「馴染み」になって遊女とゴールインできる。
この厄介なシステムは「ブラタモリ」でも思いっきり紹介されていた。
コレもウソらしい。
「ウソ」というか、タマタマそういうことはあったにしても、それがシステムになっていたワケではなかったんだって。
だって客は毎回高いお金を払うんですよ。
いくら格式高い吉原とはいえ、そんなことをしていたら客が寄り付かなくなっちゃう。
いわゆる「吉原伝説」らしい。
でも、このことが吉原のシステムとして、当然のごとく書いてある本がいくつもあるのよ。最初に書いたのはこういうこと。
 
下は上の写真よりも古いのかな?
スゴいスケールだよね。
この提灯が飾られた建物は妓楼ではなく、やはり引手茶屋だ。
65よく西部劇なんかでも「娼館」っていうのが出て来るでしょ?
クリント・イーストウッドの『許されざる者(Unforgiven)』みたいなヤツ。
あの映画はとてもヨカッタね。
ジーン・ハックマンもいいけど、リチャード・ハリスが「English Bob」というイギリス人のガンマンに扮して出てくるでしょ?…アレがすこぶるヨカッタ。
ロンドンのサウス・ケンジントンにあるかつてのジミー・ペイジの家ね、下の写真。
ジミー・ペイジの前の住人はリチャード・ハリスだった。
『ジャガーノート』とかなつかしいね。

70v_2 で、欧米の場合、そうした娼館で娼婦をしていたなんてことになると世間から蔑まれ、堅気の生活をすることは一生できなかった。
ところが、吉原の場合、文字通り身を呈して両親や家の危機を救ったということで、売られて行った娘は「見上げた娘さんだ!」と評価されて、数は少なかったものの年季が明けた後、嫁に行き一般の市井として暮らすことができたのだそうだ。
しかし!最短でも10年の年季をこなすのは至難のワザだった。
過酷な労働条件を病気がその前に立ちふさがるからだ。
仮に無事に年季が明いたにせよ、幼いころから吉原の世界しか知らない娘たちは、料理はおろか家事が一切できず、主婦業をこなすことができなかった。
今ではそんな若い女性も珍しくないけど、当時は女性としては致命的な欠陥だったんだね。
しからば、実家へ帰るか…ということになると、実家の貧しさは依然続いているワケで、「帰って来てもらっては困る」ということが多かった。
気の毒にナァ。
それどころか、金を無心しに吉原の娘のところに行くバカ親も珍しくなかったらしい。わかっとらんな。
それでどうするかというと、歳を取ってくると客も付きにくくなるので、元の妓楼に遊女としてもどることも難しく、さっきの遣り手のような見世のスタッフになったり、下級の見世で客を取ることになってしまう。
結局生きて吉原から出るには「身請け」が一番の理想だった。
身請けというのは、遊女に惚れたお金持ちのお客さんが、遊女の借金、予想される将来の稼ぎ、周囲への祝儀や宴席の費用を支払ってその遊女を引き取るワケだね。
言葉は悪いけど「買い上げ」ということ。
当然見世の方でも値段を吹っ掛けて来るので、その費用はベラボウで、人気の遊女の身請けとなると(今の感覚で)億単位の金が動いたらしい。
でもそんなのは、地元のライブハウスからいきなり東京ドームでコンサートが数日出来るクラスに出世したバンドのようなもので、万にひとつの実現も期待できなかったようだ。
それよりも年季明けを迎えずして、病気で若くして命を落とす確率がメッチャ高かった。
もちろん病気をいうのは「梅毒」だ。
別名「瘡っかきの病」。
井上ひさしに「江戸の夕立」という短編がある。
文庫では井上さんが直木賞を獲った「手鎖心中」とカップリングされているが、こっちの話の方が断然おもしろい。
幕末期のバカ旦那と幇間の冒険譚なのだが、まるでジェットコースター小説。
「へのこ飯」なんてモノをこの本で初めて知った。飯場で出される飯のことで、嵩を稼ぐために米に細かく切った木綿を混ぜるという。
話の中で、そのバカ旦那がある女にホレてしまう。すると、幇間が「あの女は瘡をかいているから手を出すな」というシーンがある。
つまり、その女は梅毒にかかっているということ。
それほど江戸時代は梅毒持ちが珍しくなかったのだ。
手塚治虫の「最上殿始末」なんて話にも江戸時代の梅毒が出て来る。
吉原は元旦とお盆に休みが2日しかなく、1年363日、土日もなく、毎日不特定多数の男性と避妊具なしに性交渉をさせられるのだからタマらない。
病気にならない方がおかしい。
遊女から梅毒スピロヘータをもらって来ると、今度はそれが妻に伝染した。
もちろん抗生物質などなかった時代なので、漢方薬などで痛みを和らげる程度の対象治療しかできなかった。
一旦梅毒に罹患すると「鳥屋(とや)に就く」といって遊女は活休に入る。
ところがこの梅毒という病気は、ある程度の時間が経つと症状が消え、江戸時代の人たちはコレで治ったと思い込み、さらに悪いことに「一度罹患した者は二度と罹ることはない」という俗説が流布していて、遊女たちは前にも増して客を取らされたのだそうだ。
一旦体調が戻ったとしても治癒したわけではないので、当然時間の経過とともに病気は進行し、最後は命を落とす。
死んだ遊女の死体はためらいなく千住にある浄閑寺という寺に投げ込まれた。浄閑寺はまた別の回で紹介する。
しかし…いくら知識がなかったとはいえ、その時代の男性は病気が怖くなかったのだろうか?
当時、女郎買いというのは本当に何でもない娯楽のひとつで、参詣などチョットした用事の帰りに「精進落とし」とか言って平気でみんなで遊郭に赴いた。
「病気が怖くて女郎が買えるかッ!」ってな具合だったらしいよ。
 
とにかく過酷な労務状態も重なって、最短10年の年季を済ませることは容易ではなかった。
一方、どうなっていたのかと心配になるのが妊娠だ。
まず、性病に罹患している遊女が多く、健康上の理由で妊娠できないケースが多かったらしい。
それでも妊娠してしまうと、様々な方法で堕胎を試みた。また、生んでしまう遊女もいたらしい。
その堕胎の方法だが、ひとつおかしなことをどこかで読んだことがある。
その「おかしなこと」…というのはコレ。
そう、おなじみ金龍山浅草寺。(そういえば仲見世の家賃値上げの話は一体どういう決着が付いたんだ?)
新吉原は江戸の中心から離れた辺鄙なところ、すなわち浅草寺の裏に移転させられた。

A毎年7月になると、9日と10日に境内で「四万六千日の縁日」が立ちほおずき市が催される。
この日にお詣りすると「向こう46,000日風邪をひかない」とか言うんだけど、46,000日といったら126年だからね。
人間そんなには生きることができない。
つまり「一生分の功徳が得られる」とかいうことなのだそうよ。

B夜になると各露店に照明が灯り、グッとムードが高まる。
電気がなかった江戸時代はもっと幻想的な雰囲気であったことだろう。

C昔は縁日になると「海ほおずき」の露店が出ていたけど、最近はどうなんだろう?
もちろん浅草のほおずき市は植物の「ほおずき」ね。
こういうヤツ。
ほおずきは薬草の一種で、煎じて服用すると子供の疳の虫や女性の癇癪に効果があるとされていた。昔は参拝した折の記念にと、境内で売っていたほおずきを買って帰ったのだそうだ。
今はどうなんだろう?
鑑賞用に買って行くのかしらん?
「ウチのカミさん、ナニかと言うとやたらクダを巻くのでほおずきを煎じて飲ましてやったわ!ガッハッ!」なんてのはついぞ聞いたことがない。
Eで、その薬草のほおずき、摂り方によっては猛烈な腹痛を起こし、流産の危険があるというので、妊婦には絶対に服用させなかった。

D浅草にほおずき市が立ったのはコレが理由である…とする記述をどこかで読んだことがある。
どういうことかというと、吉原が近いからということ。
書かなくてももう意味はおわかりでしょう。
私は親に連れられて幼い頃から時折ほおずき市に来ていたので、この年になってそんなことを知ってショックだったわ。

F大門の反対側から仲之町通りを眺める。
塀と堀で囲んだ吉原は出入り口が大門一ヶ所しかなく、この反対側の突き当りを「水道尻(すいどじり)」と言った。
この先の山谷(住所は台東区清川)エリアに行きつけのガソリン・スタンドと伊藤広規さんから教わったお気に入りの居酒屋があってこの道をよく通るのだが、何回通過しても「昔の光景を見てみたかった…」と残念に思うのである。
…とマァ、色々書いたけど、コレは吉原の全貌のホンの一部。
何冊も何冊も本を読んで印象に残っていることを比較的ランダムに私なりに書き連ねてみた。
もっと詳しく知りたい人はどうぞ専門書を読んでみてください。
上で紹介した通り、永井義男さんの著述がおススメです。
もうチョット書こうと思ったんだけど、今回は写真が少なく字ばっかりになっちゃったのでこの辺りでお開きにします。
次回も吉原の話を交えながら、今度は仲之町通りを垂直に横切る横の通りの数々を見て行こうと思っとります。

130<『私のディープ浅草』はつづく>
 

200

 

 

2019年1月18日 (金)

NK. VALVE MANIACS <後編>~ D_Drive


『NK. VALVE MANIACS』の<後編>。

10vイベントのトリを務めたのはD_Drive。
上の表示の通りこの日は3つのバンドが出演していて、それぞれのバンドのファンや友人が来場していた。
で、トップで登場したマカキンカルテットのお客さん数人が帰ろうとしているので、イベントのトリを観ないで帰ってしまうのもどうかと思い、引き留めてみた。
「え、帰っちゃうの?D_Driveを観ないなんてモッタイないよ!」
するとその女性のお客さんたちは…
「そんなにいいんですか?Dr. Driveって?」
「チガウチガウ、Dr.Driveはガソリン・スタンドにあるヤツだってば!こういうヤツでしょ?

Dd_2 そうじゃなくて『ディードライブ』!
大文字のDにハイフンじゃなくてアンダーバー、DriveはDだけ大文字」
「あ、ゴメンなさい!でも、そんなにいいんですか?『ビードライブ』って?」
「だから『ディードライブ』だってば!」
するとその場にいたウチの家内が横から…「そうよ!カッコいいわよ~、『ジードライブ』は観て行かないと絶対に損よ!」
「チョット!アナタまでナニ言ってんの!」
「それじゃ、観て行きます、『ジェイドライブ』」
「だ~か~ら~!」
 
…と、かなり盛っているけど、帰ろうとする何人かのお客さんにD_Driveを観て行くように薦め、実際に残って観て行ってもらうことになったのは本当の話。
さて、どうなるか…。
 
いつもの通りSEが流れる中メンバーが登場。
珍しい…1曲目が「Drive in the Starry Night」だ。 

20Seiji

30vYuki

40vToshiyuki

50vChiiko

60v「Drive in the Starry Night」はYukiちゃんの作品。
S41a03091曲目でこのフォーメーションは何か新鮮だな。
最近はオープニングにかつては選ばれなかった意外な曲を持ってくることがチョクチョクある。
D_Driveの曲はどの曲も個性的なのでナニをやっても与えるインパクトはマキシマムなのだ。

70続いては「M16」。
Marshallフル・スタックを背中にゴキゲンのSeijiさん。

80v自分だけ三段積み!
ヘッドはいつものDSL100EC。それに1960AXとBX。

90v「M16」と言えばコレ。
今日もサオ・チーム2人の掛け合いがスリリングだ!

100「皆さんこんばんは!D_Driveです!今日は私たちが最後ということですけど、楽しくいきましょう!」…とあいさつをしたYukiちゃん。
ところがペダル機材のトラブルでMCを中断。

110vそして、代わりを務めたのがToshiくん。
「ベースのToshiyukiです。毎度毎度ムチャ振りでMCをやらせて頂いております。各メンバーにトラブルが続いて次はボクの番じゃないかとヒヤヒヤしているんですけど…」
この日、Seijiさんもアタマっから機材のトラブルに見舞われたのだ。

120何とか機材を復活させて取り組んだのは「Runaway Boy」。

130_rb2本のギターが華麗に絡み合うストレート・チューン。

140vD_Driveがシリーズでやっている『居酒屋でぃ~どらいぶ』のファン参加セッション・コーナーでも取り上げられることが多い人気曲。
私のD_Driveはココから始まった。

150vフロント陣を猛然とプッシュするChiikoちゃんのドラムス。

160キットはNATALのウォルナット。

170スネアもNATAL。

180バス・ドラムのペダルもNATAL。

190SEでつないでそのまま「The Last Revenge」。

220vMarshallの三段積みをバックにこうして立っている姿を見ると、Seijiさんはかなりデカい。

220v_lrやっぱりこの曲はいいね、ドラマチックで。
何回も書くけど「居酒屋甲子園」でこの曲を選手入場に選んだ方のセンスはなかなかのモノだ。

S41a0169そのドラマを低音で支えるToshiくん。
相棒はイードゥン。

230今日もEDENのWT-800をヘッドにセット。
キャビネットはD210XSTとD410XSTのワン・ハーフ。

240v「どうもありがとう!スミマセ~ン、時間がかかっちゃって!」というのは機材復旧に要した時間のこと。
「機材も緊張するんですかね?直りませんでした…引き続きガンバリます!」

200vサオを持ち替えて臨んだのは「GEKIRIN-逆鱗」。

250_grYukiちゃんの大好きな「ドラゴン・ボール」の仮想テーマ・ソング。
「オラ、ゲキリン!」っていうやつね…?

260vYukiちゃんもいつものMarshall。
TSL100と1960Aね。

270vホント、この曲はドンドン育って来てる感じがする。

280聴くたびに深さが増す…そんな曲ってあるでしょ。
「濃くなる」っていうのかな?
ダメな曲は聴かされれば聴かされるほど薄くなっちゃうんだよね。
チョット脱線するけど、今、私はレナード・バーンスタインの1956年のブロードウェイ・ミュージカル『Candide』に挿入されている「I'm Easily Assimirated」という曲に夢中になってる。
10月ぐらいから、本当に毎日3回以上聴いてる…Spotifyでね。
それでもまだゼンゼン飽きないどころか、ますますメロディが好きになってる。
そういう曲ってあるんですわ。
290vほう、コレも珍しい。

300_hpコレ抜きの「1,000,000 hp」。

310 あのSeijiさんのコーナーがないとわかっていて聴くと、なんかエラクまじめな曲に聞こえるナァ。
ま、それでも4人が一体となって汗を飛ばしまくる大騒ぎナンバーの代表として、盛り上がる1曲であることは間違いない!

310v

320v

330_sd

340本編の最後は「Screw Driver」で締めくくったよ。
滅多にないことなのでSeijiさんと三段積みのツーショットをもう1枚載せておこう。

350「時間が押した上にアンコールまで頂いちゃって、ありがとうございます!」

410v_rr私が観ている限りの最近では久しぶりに「Russian Roulette」。

420今日はアンコールを入れて10曲。430余裕。

440vやっぱこの曲もいいね。
細かいところまで作り込んであるのが好き。

450おなじみのSeijiさんのルーレット・ポーズも久しぶりだ。
1発でいいのに、シリンダーに銃弾を3発入れて反乱を起こし、ベトコンのアジトから脱出を図ろうとするマイケルをイメージして作ったパート…私の中ではそうことになっている。
映画『ディア・ハンター』の話ね。
こないだホーチミンへ行ったでしょう?昔のサイゴンね。
もうね、街を歩いても、高速道路からジャングルを見渡しても、最初のウチはこの『ディア・ハンター』のマイケル(ロバート・デ・ニーロ)やニック(クリストファー・ウォーケン)の顔しか浮かんで来なかった!
でも、撮影したのはタイだったんだよね。

460vYukiちゃんに合わせてみんなで手拍子!465vさほど長い時間ではなかったけど、D_Driveの魅力をアッピールする魅力的なセットリストだった。
え、帰るのを引き留めたお客さんはどうなったかって?
それがね~、うれしいことに「感動しました!」、「帰らなくてヨカッタ!」、「また観たいです!」、「引き留めてくれてありがとうございました!」
最後に「ホント、ピードライブ最高!」
だ~か~ら~!
ガッチリ新しいファンを獲得したD_Driveなのであった!
470明日、19日は吉祥寺のシルバーエレファントで開催される『SOUL OF ROCK vol.37』でお会いしましょう。
出演はD_Driveをはじめ、新メンバーで臨むStrange,Beautiful and Loud、TAGAWA他。
コリャ絶好のマーブロ・ネタじゃあ~りませんか!
楽しみ!
 
O_Driveじゃない、D_Driveの詳しい情報はコチラ⇒D_Drive OFFICIAL WEBSITE

Hrs 

200 
(一部敬称略 2018年12月8日 西川口Heartsにて撮影)

2019年1月17日 (木)

田川ヒロアキLAプロジェクト


今お邪魔しているのは渋谷の「CAMPFIRE」というクラウド・ファンディング・プラットフォームを営む会社さん。
今、もうどこもかしこもこの「クラウド・ファンディング」だね~。
今日もクイズやってみようか?

質問:日本で最初にクラウド・ファウンディングをやったのはダ~レだ?
答え:坂本龍馬!
 
違うかな?
この聴き慣れなかった言葉、はじめはナニかと思ったけど、コレってシステムとしては「株式会社」だもんね。
見ず知らずの人がみんなで出資して、利潤を分け合うんだから。
よって元治2年、もしくは慶応元年(1865年)に龍馬が作った「亀山社中」が日本で最初のクラウド・ファウンディングということになるんじゃん?
だから今はインターネットという時代の利器を導入しているものの、大変古いシステムということが言えるのではなかろうか。
使い方と規模によってはとても合理的なシステムだと思う。
10そうした時代の先端の事業に取り組む会社だけあって、事務所がオサレ!
ネズミ色の事務机とイスでサラリーマン時代を過ごした私なんかは一体どうしていいのかわからない雰囲気よ。
おもしろいのは下の写真のように、個室のそれぞれのドアにスローガンのような自己啓発の言葉が記してあるのね。
奥には「CURIOSITY」つまり「好奇心」だね。
ネコで言えば「The Rum Tum Tugger」←コレ、わかる人いますか?
その「CURIOSITY」に「問い続けろ。」と標語が振ってある。
なるほど。
コレは私のことだ。問い続けて「脱線」する。
そして、写真の中の向かって右のドアには「LOUDNESS」だよ。
残念ながら当てられた標語は「狂った医者」でも「狂った夜」でも、はたまた「鏡の中」でもない。
「声をあげろ。」となっている。

20そのLOUDNESSルームにMarshallが持ち込まれた。
壁面に投影されたスライドは「田川ヒロアキアメリカレコーディングに向けて」。
…そういうことなのである。

30「田川ヒロアキLAプロジェクト」は、来年開催されるオリンピック/パラリンピックの際に日本に渡航して来る人たちを迎えるための曲を、ヒロアキくんがLAに渡り現地のミュージシャンと制作するプロジェクト。
そのための資金はクラウド・ファンディングのシステムを活用するというワケ。
マスコミや一部のファンを招き、そのプロジェクトを正式に発表する記者会見のレポートが今日のMarshall Blog。

50v_2冒頭、このプロジェクトの仕掛人であり、「Sports of Heart」でおなじみの演出家、門田頼枚さんからご挨拶。

70v_2出番を待つヒロアキくん。
まさに「LOUDNESS」に入る直前。
彼自身が挨拶の中でも触れていたが、ヒロアキくんが世に出ることになったキッカケも二井原さんからの突然のラブコールだったからねェ。
この符合はおもしろい。

80vそして、マネージャーでありパートナーである美瑞穂さんに導かれて登場した。
 
2人の結婚式のようすはコチラ ↓  ↓  ↓
【田川ヒロアキ結婚スペシャル】Will You Marry Me? <披露宴:前編>
【田川ヒロアキ結婚スペシャル】Will You Marry Me? <披露宴:後編>
【田川ヒロアキ結婚スペシャル】Will You Marry Me? <ウェディング・ライブ・パーティ編>

コレからもう1年以上経ったのか…。
しかし、今にしてみると我ながらこんな記事よ~書いたと思うわ。書いていてとても楽しかったけどね。

90席について早速ごあいさつ。

100ヒロアキくんの来歴とこのプロジェクトについての想いが語られる。

110アレ?
珍しい。

120vアタマのいいヒロアキくんのこと。
いつもは話す内容をすべて完璧に記憶して来るんだけど、今日は点字のカンペを用意している。
「点字は苦手」と言っていたのに…それだけ真剣に取り組んでいるということだ。
あ、カンペがない時はどうでもいい…というワケでは決してありませんからね。

130ちなみに、缶ビールの上面に打たれている点字があるでしょう?
どっちから読むのかはわからないけど、コレは「おさけ」って言ってるんだって。
大分前にヒロアキくんに教えてもらった。
ヒロアキくんと知り合ってカレコレ10年になるけど、普段我々が全く思いもよらなかったことをたくさん教わってきた。

9img_4216 「田川くん、少ししゃべろうか…」
門田さんとの会話形式でも意気込みが語られた。

140プロジェクトに関わるスタッフの紹介。
クラウド・ファンディングのエリアを担当するCAMPFIREの奥村郁耶さん。

150v現地のプロデューサーを務める國井大河さん。

160v國井さんからは、現地サイドの制作チームや起用ミュージシャンに関する現在の構想について説明があった。

170やっぱり違うよね~。
ヒロアキくんでしょう?ギターでしょう?Marshallでしょう?ロスでしょう?
私だったら、「よし、まずポールとダグに連絡だな」とやっちゃうところだけど、それじゃダメなんだよね~。
もうそういうのはあまりにも前時代的なんだな。要するに古い。
いつまでたっても私はそういう「ロック」しか頭の中にない「グラミーの極北男」なのです。
だからヒロアキくんには思いっきり時代の音楽に浸かってもらって……後で色々教えてもらう。
行ってこい、LA!

180もちろんリターンについても丁寧な説明がなされた。

185そして美瑞穂さんからはこのプロジェクトへの協力者の発表があった。
美瑞穂さんは元テレビ局のアナウンサーだから話すのが上手なのだ。

190vしっかりMarshallも入り込ませて頂いております。
200そして…お待ちかねのデモ演奏コーナー。

220演奏する曲名を告げて…

230まずはお得意のア・カペラのギター・ソロ。

240vお供は愛用のJVM210Hと1960A。
CAMPFIREさんにMarshallが持ち込まれたのはコレが初めてのことだそうです。
ま、普通そうだわな。
ご存知の通り、ヒロアキくんの演奏場所は普通のミュージシャンよりバラエティに富んでいるため、現場にはじめてMarshallが設置される機会が多い。
だからヒロアキくんは「ギター・アンプの三浦按針」という異名を取っている。ウソこけ!
でも、先日の毎日新聞社のホールもMarshallはじめてだったもんナァ?
三浦按針(みうらあんじん)はウィリアム・アダムスという江戸時代初期に日本にやって来た初めてのイギリス人とされる人。
英語や数学の学問から造船技術の伝授まで、色々なことで徳川家に貢献したということで「旗本」にまでになった。
60v_2部屋の名前が「LOUDNESS」でもさすがにガツンとはできないので、音量的にはこぢんまりした感じで弾いてもらった。

250でもその分、絶対いつもより弾いていたゾ。

260その流れでバッキング・トラックを伴った「My Eternal Dreams」へ!
270vノリノリの演奏で、あ~、スライドの光の中にまで入り込んで来た!

280「よろしくお願いします!」と言っているワケではないんだけど、そんな熱意が伝わって来るというもの。

290vコレにて演奏は終了。
アメリカに行くのが夢だったというヒロアキくん。
演奏は終了したが、ヒロアキくんの「Eternal Dream」は始まったばかりだ。

300そして、最後にもう一度ごあいさつ。

320vそして、入って来た時と同様、美瑞穂さんに導かれて会場を後にした。

330記者会見終了後もテレビ局のカコミや個々の取材で大忙し。

340メッチャ真剣なヒロアキくん!
心意気がバッチリ伝わったハズだ。

350プロジェクトのクラウド・ファンディングに関する詳しい情報はコチラ⇒全盲のギタリスト田川ヒロアキ 2020年に向けてロサンジェルスレコーディングへ!
ファウンディングの期間は1月21日正午から3月30日まで。
今日のこの記事には故意に書かなかったんだけど、記者会見でヒロアキくんがしゃべったことをこのサイトで詳述しているのでゼヒご覧あれ。
また、「田川ヒロアキ FretPiano」というオフィシャル・アカウントをfacebookでオープンしたのでこちらもどうぞよろしく!
オフィシャルfacebookアカウントはコチラ⇒田川ヒロアキ FretPiano
 
昨日、本件をイギリスのMarshallへ報告したところ、「ガンバレ!成功を祈る!」との激励のメッセージが送られて来た。
去年Marshallがヒロアキくんの動画をSNSに投稿したところ、予想をはるかに上回るレスポンスが世界中からあった。
それでMarshall社の中でも「Hiroaki Tagawa」の名前はよく知られているのだ。
だからガンバってちょーだい!

210_2 

200_2 
(一部敬称略 2019年1月15日 渋谷CAMPFIRE社にて撮影)

2019年1月16日 (水)

D_Drive~4つの「D」


今日は久しぶりにクイズから…。

問題:「一口坂」と書いて何と読むでしょう?
答え:「いもあらいざか」と読みます。
 
もうなくなっちゃったど、市ヶ谷駅と靖国神社の中間ぐらいに「一口坂スタジオ」という有名なレコーディング・スタジオがあったでしょ?
このスタジオは「ひとくちざか」って呼ばれていたけど、この「一口」は正しくは「いもあらい」と読む…なんて言うといかにも以前から知っていたようだけど、知らなかった。
 
今の若い人は知らないだろうけど、我々が幼い頃は「ほうそう」とか「しゅとう」とか呼ばれるワクチン接種をさせられた。
「疱瘡(ほうそう)」というのは「天然痘」のことで、昔は「イモ」と言われていた。
罹患したらまず命が助からない恐ろしい伝染病と恐れられていたが、当時の治療法といえば、神仏に願をかけて水で洗い流すのが一般的だった。
この疱瘡という死の病は、「疱瘡伸」という文字通りの疫病神がいて、それを祀った神社のそばにある坂を「芋洗坂」と呼んだ。
六本木のアマンドの裏にも「芋洗坂」ってあるでしょ。アレも同じ。
まずコレが「いもあらい」の由来。
しからば、ナゼ「一口」を「いもあらい」と読むか…。
オリジナルは京都。
諸説あるらしいが、三方を川に囲まれていた地区があって、出入り口は西側に一箇所しかなかった。それで「一口」という地名が当てられるようになった。
そして、病気が村に入り込まないように、そのひとつしかない村の出入り口に神様が祀られた。
コレはよくある話。
ところで、神社でお参りをする前に口をゆすいで手を洗うでしょう?あの水は飲んじゃダメなのよ。
あの「洗う」という行為は「祈る」という意味なんだって。
それで、病気、すなわち「イモ」の村への侵入を防ぐために「あらう=祈る」というところから「いもあらい」という読みが当てられるようになった…。
コレが「一口=いもあらい」の由来。
さて、ココからが脱線。
牛から採取した病原菌で天然痘のワクチンを開発したのはイギリスのジェンナーという人。
コレ、昔は学校で教わったよね?
だから私はこの「ジェンナー」という名前を小学生の時から知っていた。
子供を膝の上に乗せて、オジさんがその子に注射をしている挿絵があって、「我が子に天然痘ワクチンを注射するジェンナー」というキャプションが付いていたハズ。ヒデエことをするオヤジだな…と思ったものだ。
要するに逆『華岡青洲の妻』みたいなもんですな。
いわゆる「種痘」。
このジェンナーの開発した原理を利用したワクチンを我々も接種していたワケですよ。
日本にこのワクチンが入って来たのは江戸時代の話。
誰がその痘苗を持って来たかと言うと、漂流してロシアに抑留していた漁師だったっていうんだよね。
もちろん、「芋洗い」で治癒を望む江戸時代の民衆に牛が持っていた病原菌を摂取させるなんてことが受け入れられるワケない。
「モロコ」と言って、牛乳すら飲むことが異常だった時代だからね。
さて、この種痘というキテレツな医療行為がどうやって当時の日本人の生活に入り込んで行ったのか…。
その辺りの物語を吉村昭(出た!)が『花渡る海』と『雪の花』という2編に著しているので、興味のある人は読んでみるがいい。
私はメッチャおもしろかった。

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Fh_2 
その後、1980年にWHOが絶滅宣言をして、天然痘は地球上からなくなったことになっている。
疱瘡の「瘡」とは「かさ」ということね。
「瘡かきの病」なんていうと、昔は「梅毒」のこと指した。江戸時代は梅毒が当たり前の病気だった。
コレはまた別のところでやります…犬神さんのところね。
「瘡」に似た字で「瘧(ぎゃく)」というのがある。
「瘧」というのは、マラリアのこと。
マラリアを治す医者のことを江戸の昔には「瘧師(ぎゃくし)」と言った。
以前入った大戸屋のウエイトレスさんの胸に付けていた名札に「瘧師」さんとあって、こっちはビックリ仰天!
その女性は富山の方だそう…珍名好きの私としては、尋ねずにはおけなかったのだ。
 
一体ナンの話だ?
神田だ、神田。
ココからが今日のお話のスタートです。
Marshall Blogに幾度となく書いてきたが、私は昔の町名を改訂することは本当に悪行だと思っているのね。
たとえば「吉原」を「千束四丁目」にするとか、「東なんとか」とか「西なんとか」とか…ああいうヤツ。
で、神田というエリアは、昔からの町の名前がたくさん残っていてカッコいいのよ。
紺屋町、練塀町、多町(たちょう)、猿楽町、司町、鍛冶町…なんてね。
でも「神田」という単独の地名がないんだよね。コレがまたおもしろいじゃないか。
そのかわり、1947年に神田区と麹町区が合併した時に、旧神田区の地名すべてのアタマに「神田」とつけた。
神田紺屋町、神田練塀町ってな具合ね。
きっと江戸の中の江戸である「神田」という名前が誇りだったんだろうね。
いつか『私の秋葉原』でやったけど、江戸時代までさかのぼらなくたって、神田須田町なんてのはかつては東洋でも一、二を争う賑やかな街だったワケだからね。
一番はどこかって?
そりゃ「浅草」にキマってるじゃねーか!ヤボなことは訊くない、ベラボーめ!
そして、神田淡路町。
淡路町は、江戸時代は武家地で近くに鈴木淡路守の屋敷があったことから名づけられた「淡路坂」が名前の由来になっている。
その淡路坂の別名が「一口坂(いもあらいざか)」なんだね~。
ココで話がアタマにもどる。
この構成力がMarshall Blogの魅力よ。まるで『生きる』みたいな黒澤映画を観ているみたいでしょ?
下はその淡路町にある「Studio Bpm Kanda」というスタジオ。
このビルには地ビールのお店が入っているようだね。
ナゼかは知らないけど、この辺りってブリュワリーを擁して地ビールを飲ませるお店が多いんだよね。10スゴイよ~、今のスタジオってオシャレだよね~。
楽器屋さんに付属しているスタジオはまだしも、昔は強烈なスタジオ屋さんってのがゴロゴロしていたからね。
駅から遠くて機材は最低限、壁は落書きだらけ、なんてのはザラだった。
こっちも血気盛んな高校生だったので、アンサンブルもへったくれもなくて、とにかく爆音で楽器を鳴らしたい。
そんなだからボーカルズの歌声がシッカリ聞こえてくるスタジオなんてまずなかった。
でも、ギターを長いことやっていて、あの頃が一番楽しかったような気もするな。
1970年代後半の話。
それから40年経つとこうなる。
見てよ!このスタジオさん。

20オサレなレストランと見紛うような待合室の雰囲気!
まずはワインとチーズから…みたいな?

30淡路町という土地柄、学生の集客を期待されていたらしいが、会社帰りのサラリーマンがフラっと寄って楽器の練習をしていくことが多いのだそう。
それも従来型の「ギターやドラムの爆音練習」ということではなくて、ピアノやサックスの練習に利用される方が多いと聞いた。

40うれしかったのはコレ。
ORIGIN50Hがレンタル機材で常備されているの。
音の評判がすごくいいのだそうだ。

50そんなオシャレなスタジオにナニをしに来たのかと言うと…動画撮影の取材。
背中は昔よくお世話になったカメラマンの方。
Marshallの販促品を身に付けたIn FlamesのBjörn Gelotteの写真を撮りに、赤坂のホテルのBjörnの部屋に2人でお邪魔したこともあったっけ。
超久しぶりの再会でうれしかった。

60vそして、レンズの向こうにはこの2人。

70D_DriveのSeijiと…

80vYuki。

90v今日はD_Driveのギター・チームが愛用するESP社のハイエンド・モデルを試奏する動画の撮影なのだ。

100見事な装飾を施した美しいギター。

110v「ホレ、Yukiちゃん、見てみぃ。ココこんなんなっとるやんけ」
「ホンマや!ごっつぅキッレイやナァ~」

120「ホレ、Seijiはん、コレかてせやがな。木ィや、木ィ」。
※実際のYukiちゃんはこんなに関西弁がキツぅあらへんで。
関西弁って一文字の単語を伸ばして発音するでしょ?
「木」は「き」でいいのに「きィ」って。
「絵」は「えェ」。
「蚊」は「かァ」。
「子」は「こォ」…みたいな。
コレは一体どうした音便変化なんだろう?「長母音化」とでもいうのかしらん?
やっぱりリズムなんだろうね。
標準語より関西弁の方がはるかに英語っぽいのだ。

130お、撮影が始まった!
今時の携帯電話の内蔵ビデオカメラの性能はバツグンだからね。
もう動画撮影はコレでバッチリ!…ウソですよ~!

135ハイ、スチールの仕上がりをチェック。

136vさて、ココからがホントの本番。

140機材をガッチリとキメこんでのデモンストレーション。

145当然SeijiさんはMarshall。

150vいつものJCM2000 DSL100ECと1960AX。

160vYukiちゃんも同様。
結局、最終的に音を出しているのはギター・アンプだからね。いつもの安定した機材じゃないと、ギターのサウンドの違いがハッキリわからないし、良さも評価しにくい。

170vYukiちゃんもいつものJCM2000 TSL100と1960A。

180vデモ曲に選ばれたのは「Attraction 4D」だった。

190監督さんの指示に聴き入る2人。

220さすが超ハイエンド・ギターとD_Driveはん!

2002人ともさっそく自家薬籠中のギターにしてしまったよ!

210その動画がコレ。

デジマートの記事はコチラ

9dm「D_Drive」と「Digimart」…「D」が3つも入ったこの企画。
でもね、「D_Drive」には更にもうひとつの「D」があるの。
それは「Decade」の「D」。
「decade」というのは「10年間」という意味。
この年明けから、すでにその記念ライブを開催し始めているが、2019年はD_Driveの「10周年イヤー」なのだ!
最近ココへ来て、実力も知名度も評判もグイグイ上げて来たD_Drive。
「ギターの上にも10年」…今年は大きな飛躍を期待している。

90r4a9640

200  
(一部敬称略 2018年12月 神田淡路町Bpm Studio Kandaにて撮影)

2019年1月15日 (火)

NK. VALVE MANIACS <前編>~マカキンカルテット&HEAVEN'S CROW


心臓ってスゴイと思わない?
「ハ~、新年会が続いて胃がもたれるから今日の夕食はやめておこう」
「ア~、疲れた。パソコンのやりすぎだわ。こんなことなら思い切ってハズキルーぺを買っておけばヨカッタ。目を冷やして休ませてやろう」
「ゲ~、腰がイテエ!ここのところ立ちっ放しの仕事が多かったからな~。明日は休みだし横になって腰に負担をかけないようにしよう」
ココまではいい。
じゃ、こういうのはどうよ?
「ヒ~、もう緊張して心臓がバクバクだわ!疲れた~。少し心臓を止めて休ませてやろう」
コレが出来る人は既にこの世にいないことになっている。
つまり、生まれて「オギャー!」と泣いた瞬間(実際にはそれ以前)から、「あ…あ…後のことは、秀頼のことだけはよろしく頼む…(ガクッ!コレは豊臣秀吉ですな)」と息絶えるまで、人によって稼働時間は異なるが心臓は一度も休まず、文句を言わず、ビートを刻み続けるワケですよ。
コレを考えると怖くなっちゃってさ。
1回も休んでないんだぜ!
20年以上前にプッチーニの『ラ・ボエーム』を元ネタにした『RENT』という大ヒット・ブロードウェイ・ミュージカルがあった。
そのリード・チューンが「Seasons of Love」という曲で、こういう歌い出しだった;
「♪Five hundred twntyfive thousand six hundred minutes」
つまり「525,600分」と歌っている…こんな歌詞スゴイよね。
525,600分、すなわち1年の長さを分で表しているところね。
この『RENT』式にやると私の心臓は概算29,433,600分の間、1回も休まずドックンドックン血液を身体中に送り続けてくれている。
あ、ウソ。
どうも私の心臓は少しサボっていたフシがあって、どうも頭皮方面にはあまり送り出さなかったようなんだよね。
それでも感謝していますから。
そんな立派な仕事をするから「ハツ」ってのは美味しんだよね。
私はホルモンを食べないんだけど、ハツだけ別…大好きなの。
「ハツ」っていうのは心臓だから「Herat」がナマったのがその語源って言われているでしょ?
それは正しくないらしい。
コレはドイツ語で「心臓」を表す「Hertz」から来ているらしいッスよ。
つまり「ヘルツ」。
昭和の初期に九州の偉大性が焼き鳥屋で「ヘルツ3本、塩で!」とやったのがことの起こりなんだって。
で、言っておきますが、私が知っている限り、普通の外人はレバー以外のホルモンを絶対に食べないからね…どころか、ものすごくイヤがる。
そりゃ連中はフィレだの、サーロインだの、いくらでも肉が食べられるのに好き好んで臓物なんか食べるワケないわね。
でも焼肉は好んで食べるね。
それでも、見てると絶対にミノとか口にしないよ。
そして、私がもうひとつ好きなのは西川口の「ハーツ」。

10ナゼかといえば…こんなブッキングだから!
まずタイトルがいいじゃんね。
「NK.」とは「西川口」。
省略を意味する「.」までチャンと打ってある。
そして「Valve」よ、ヴァルブ!
イギリス英語で「真空管」のことね。
もうコレだけでMarshall臭が漂ってくるじゃない?

20vまずステージに上がったのはマカキンカルテット。
カルテットなのに5人。
5人は「クインテット」、6人は「セクステット」、7人は「セプテット」、8人は「オクテット」、9人は「ノネット」、10人は「デクテット」。
ジャズのコンボだと9人から上は「ナイン・ピース」とか「テン・ピース」とか言っているような気がするけど、正しくは「ピーセズ」だろうね。

30リーダーの真壁雄太。

40v川満"アトランティス"恵一郎

50v長谷尾颯(はせおはやて)

60v弓田秀明

70v雄太くんはMarshall。

80愛用の、そして自慢の2555 Silver Jubileeのハーフ・スタック。

90vもうひとりのギターは公平憲吾。
彼がサポートで参加してくれているのクインテット編成になっている。
クレイジーキャッツの石橋エータローと桜井センリのような関係ではない。
ちなみに筆者は大学時代に谷啓と共演したことがある。

100v憲ちゃんのMarshallは1959サイズの1987。
110vリアパネルにガッツリ「CRYING MACHINE」と記された1975年製。

120ドラム・キットはNATALのメイプル。

130弓ちゃんはこの日スネアもNATALを使用。
14"x5.5"のアルミニウム・シェル。

140マカキンは歌なしの器楽演奏チーム。
マカキンの「マカ」はもちろん真壁の「マカ」。
「じゃ、『キン』は何なの?」と尋ねたところ「イヤ、『HIKAKIN』のパクリなんスよ」…と言われてもわからん。
「HIKAKIN」ってのは人気YouTuberの名前だそうで…。
オジさんが若い頃は「YouTuber」なんてお仕事はなかったんですよ。
みんな額に汗して働いていたの。
180バリバリとソロをこなす雄太くん。
1曲目は「名探偵コナンのテーマ」…コレもわかりません。
「コナン」は知っているけどね。観たことはない。
イヤ、コレでいいんですよ。
世代世代のに音楽があっていい。

150恵一郎くんがくわえているのはEWIというシンセ・サックス。正しくは「ウインド・シンセ」と言うらしい。
「アトランティス」なんて言っているところを見るとWayne Shorterのファンなのかしらん?
160v恵一郎くんの機材。
この日はアルトサックスとそのEWI。
EWIってのは1970年代の終わりぐらいに出て来たのかな?
当時は「リリコン」とか何とか呼ばれていたような…。
あの頃のフュージョン・ブームってのはスゴかったよナァ。
170「オイ、座れ!お前、全然メタルじゃないんだよ!出てけ~!」…颯くんは見事な小芝居を披露。
「披露」というより「強制」と言った方がよさそうか?
着ているモノといい、勇気あるパフォーマンスだ。
そして、恵一郎くんは言われた通りステージを降りた。

190雄太くんからメンバー紹介。
そして、次のオリジナル曲の解説を加えた。

200v次の曲はドラキュラの映画を観ながら作ったという「Vlad」というマイナー・ナンバー。

210_v比較的ロング・トーンを多用したメロディと細かいパルスを刻むリズム隊の対比が面白い曲。

220コレね、原形を壊さないようにしてチョット手の込んだアレンジを施すといち段とスケールが大きくなる曲だよ。

230v2曲目もオリジナルで「Apocalypse」。
コチラはシュレッダー真壁の面目躍如たる1曲。

240v_ap憲ちゃんのサポートを得て一層ハードにドライブしまくった!

250vそしてステージは一変!

260_f1颯くんに叱られてメタル仕様になってステージに戻って来た恵一郎くん。
ん?コレってメタルか?
まあいい。
今日はF1の「Truth」。

270v「Truthに」続いて…曲は「ああ、とうとう出てしまったか!」…の「Spain」。
ゴメンね、雄太くん。
もう「Spain」と「Burn」は耳に巨大なタコができて、そのタコが破れて血が噴き出してるのよ~。
もちろんモノの例えですよ。
でもね、ロドリーゴの「アランフェス協奏曲」の「第二楽章」が始まると私は「青菜に塩」になってしまうのだ…「またスペインか…」って。
あのね、この「アランフェス協奏曲」ってMiles Davisのせいで「第二楽章」ばかりが有名になっちゃったけど、一番カッコいいのは「第一楽章」ですから!
この第二楽章だけ聴いて「アランフェス」を聴いた気になってんじゃねーぞ!
で、ナゼにこれほどまで「Spain恐怖症」になっているのかというと、やっぱりあのテーマなんだよね。
繰り返し繰り返し出て来るあの特徴的なメロディ。
そりゃ18歳ぐらいで初めて聴いた時は「ああ、なんていい曲だろう!」と思いましたよ。
でも、さすがに飽きるってば。
他の記事でDeep Purpleの「Burn」がナゼ飽きるかということについて研究した。
原因はあのカッコいいリフにあって、数えてみるとアレが1曲の間に20回出て来る。
その長さたるや時間にして120秒、すなわち2分。
すなわち6分数秒の曲の1/3があのリフでできるんだね。
そりゃ耳に付きますよ。
同じように「Spain」もやってみた。
こっちはさすがに「昔巨匠」のチック・コリアだけあって、テーマの組み立てが複雑で簡単に計算はできないんだけど、ザっと計測してみた。
曲全体の長さは『Light as a Feather』のオリジナル・バージョンで9:48。
そのうち、イントロを除いて何がしかテーマに関連しているパートの時間が4:04。
実に1曲の41%がテーマ関連のメロディで作られているのが「Spain」という曲なんですよ。
しかもそのメロディが、砂糖多めの割り下で頂くすき焼きのようで、たくさん食べることがムズカシイ。
Joe FarrelやChickのソロは実にカッコいいんだけどね。
だから曲中のテーマをすべて排除していればこんなことにならなかった。
そして、誰を手本にしてロック・ギタリストが時折この曲を取り上げるのかを私も知っているけど、やはりこのコード進行でロックフレーズを並べられるのはツラいんだよね。
コレが私の「Spain」感。
280vでも…と来る。こっちも仕事だからね。相手は若いんだし、ホメてあげなきゃ!
 
でも、この2人のバトルをふんだんに盛り込んだ演奏はかなりエネルギッシュだった。

290まぁ、ナント速く指が動くことよ!

300v恵一郎くんが何だかサンボーンに見えて来たぞ!

310vココでもリズム隊が怒涛の快進撃!

320v若手2人も頑張った!330v

340vさすがに肩車の逆さ吊りは期待できなかったが、こんな余裕な表情も。
ひとつ提案。
折角演奏がうまいんだから、Chick Coreaだったら、もう「La Fiesta」も「Armando's Rhumba(「Armando」はChickの本名。「Chick」は「ひよこ」という意味ですから)」もヤバいので、思い切って「第七銀河」とか「Captain Senor Mouse」とか「Nite Sprite」とか演ったらどうスかね?
「Sicily」とか「Samba Song」とかもいいんじゃない?
オジさんが言っているのは、人と同じことをするのではなく、とにかく色んな音楽を聴いて他の人のやらないことをしたらどうですか?ということね。

350最後もオリジナル曲で「マカキン・ファンタジー」。
5人ともパワフルでスキルフルな素晴らしいパフォーマンスだった。

360v

370v

380

390v

400v雄太くんは自分のバンドIOSISのメンバーを入れ替えてこの週末にお披露目したばかり。
現在絶賛巻き返し中なので乞う応援!410v2番目に登場したのはHEAVEN'S CROWというバンド。

420HINA

430vSHUN

440vGAKU

450vkusama

460vkaito

470vオイオイオイオイオイオイオイ、全員1997年生まれだってよ!
1997年って一体いつだよ!
つい最近じゃねーか!

480まだ学生さんの5年組。
若いけど、サウンドは結構オールド・スクールで「基礎ができています!」という感じで見ていて大変気持ちがいい。

490何しろギターのSHUNの持て余し気味にしか見えないエネルギッシュな動きが圧倒的だ。
コレ、出番の後半ではありませんからね。
最初からハダカ。
ハナっからダック・ウォークでステージを往来していたからね。
Marshallづかいというのがうれしいじゃないの!

500元気に歌もこなしちゃう!

510そして、そんなSHUNくんに一歩もヒケを取らないのがHINAちゃん。

520徹底的にシャウトしまくる生粋のロック・シンガーだ。

580vこの2人が燃え上がりながらステージが展開する。

590_2 もちろんそんな2人を支えるリズム隊もパワフルだ!

600実は偶然、この週末にもHEAVEN'S CROWを観たんだけど、この時よりもスケールアップしていたね。

610いろんな音楽を聴いて、いい曲をイッパイ作って、たくさんのロック・ファンを楽しませてやれ!
若いんだもん、ガンバレ!
Marshall、NATAL、EDENを使ってくれるウチは応援します…ナンチャッテ!

620vしかし、最近「Heaven」が付くバンド名が多くてオジさんチョット困ってますよ~!
 
HEAVEN'S CROWの詳しい情報はコチラ⇒official website

630

200_2
(一部敬称略 2018年12月8日 西川口HEARTSにて撮影)

2019年1月12日 (土)

ai Tube Presents Ultra Bowl <後編>


『ai Tube Presents Ultra Bowl』も早くも中盤に突入。
田川ヒロアキの登場だ。
エ?もう中盤?早くないかって?
そうなのです。
05実はこの日、和佐田さんからお話を頂戴する前、すでに取材の先約があったの。
でも現場が同じ渋谷だったので、途中「Ultra Bowl」を抜け出して、元から決まっていたライブと掛け持ち取材を敢行したのです。
こういうの、過去に3か所掛け持ちまでやったことがある。その時は死ぬほど忙しかった。
この日、DUOでカメラを片付けて/次の現場に移動して/またカメラを組み立てて/撮影して/片づけて/移動して/またカメラを組み立てて…とやろうと思ったんだけど、エエイ、メンドくせえ!
ココは渋谷じゃ!
カメラをブラ提げて街中を歩いていても誰も気にはしないだろう…と思って、下の写真のような出で立ちで3台のカメラを丸出しにして渋谷の街を歩いてみた。
そしたら!
見事に誰ひとり私の姿に目をやる人はいなかったわ!
コレ、長野の権藤や富山の総曲輪でやったらジロジロすごかったろうな。

9th ということで、『Ultra Bowl』に戻って来た。
私が留守をしていた間に釈灯歌さんと竹内藍ちゃん、ササキオサムさんがご出演された。
そしてヒロアキくんのステージ。

10_2田川ヒロアキ

20vもちろんMarshall。

30_2美しい田川ギター・サウンドを作り出す愛用のJVM210Hと1960A。

40vドラムスはそうる透。50vキーボーズははんだすなお。

60vそして和佐田達彦。

70v_2曲はおなじみ「My Eternal Dream」。

80_2田川ヒロアキのテーマソングともいうべきインストのドライビング・ナンバー。

90_2リズム隊は和佐田さんと…

100v透さん!…となると思い出すナァ、SPICE FIVE
SPICE FIVEでこの曲を演っていたワケではないけどなつかしい。
おもしろかったからナァ…演奏もバツグンだったし。

110v自身のキラー・チューンをキメた後はア・カペラでギター・ソロを披露。

130v「♪ギュイーン、ギュイーン」と陳腐な表現で恐縮だが、でも「♪ギュイーン、ギュイーン」とMarshallタッグを組んで思う存分暴れてくれた。

135「ありがとうございます!ノッケから私の代表曲『My Eternal Dream』をお聴き頂きました。
今日はこんなに楽しい空間で過ごさせて頂いています。
呼んで頂いてありがとうございます」とご挨拶。
続けて…「実は(当時)来年の3月にアメリカはLAレコーディングをすることになりました!
2020年にオリンピックやパラリンピックで世界の人たちをお迎えする曲を録音して来ようと思っています」と重大発表。
このことは来週に正式な記者会見を開いて発表することになっている。

9s41a0323 続いての曲も代表曲のひとつMAZDAファン・フェスタのテーマソング「キミを乗せて」。
え~!「キミを乗せて」も発表して4年が経ったの?
テンパス・フュージット!

150v_2すなおさんのキーボーズがサウンドに大きな色付けとなった。

120_2和佐田さんのハイテンションは続くのだ!

160vヒロアキくんはこの2曲+ギター・ソロでステージを降りた。

田川ヒロアキの詳しい情報はコチラ⇒FretPiano170v_2司会はベースで出ずっぱりの和佐田さんに代わって衛藤さんと藍ちゃんが担当。

180vパフォーマンスの方はACEさんの弾き語りを経て曾我泰久が合流。

190ACEさんとのデュエットでビートルズの「If I Fell」や共作したオリジナル曲を熱唱した。

200v_2「シッカリやれよ!」なんてヤッチンに言われる衛藤さん。ゼンゼンへっちゃら。
このホーム感がいいんですよ!
「今回はフルメンバーで曾我泰久さんです!」

210_2トリ前でステージに上がった5人は…

220曾我泰久

230vそうる透

260v_2はんだすなお

270_2和佐田達彦
みんなお揃いで赤いイベントTシャツに着替えて来たよ~!

0r4a0818 アラ?違う…田川ヒロアキ。
ま、ギターが赤ですから。

280ヤッチンもいつも通りでMarshall。

240_2JCM900 4100と1960A。

250v_2ヤッチンのチームもライブで大人気のお得意のナンバーで固めて来た。

290_2まずは「UP BEAT」。

300v和佐田さんとのコレはヤッチンのライブではおなじみのシーン。

310上手を向けばヒロアキくん。
このツーショットもヤッチン・ファンにはおなじみだよね~。
330_2それこそギンギンのアップ・ビートで会場の熱気が一段と上がる!3202曲目は「約束の場所で」。

370ヒロアキくんのコンパクトなギター・ソロが小気味よし。
よく聴くとこの曲でヒロアキくんが付けているコーラス・パートってスゴイ。

335「最後もソロの曲にしようと思いましたが、35周年イヤーなのでTHE GOOD-BYEの曲を演ります」と、「Yes! Yes!! Yes!!!」を演奏した。

350もう和佐田さんはヤッチンの音楽については勝手知ったるところ。

340_2でも透さんのヤッチンは今回初めてお聴きした。
どうだったかって?
そりゃもう…

360v「ナイス!」380当然のごとく盛り上がりが最高潮以上にまで達してヤッチンの出番が終了。

390vMCでチョット触れていたけど、先週の6日、和佐田さんとヒロアキくんがサポートを務める恒例のヤッチンのバースデイ・コンサートが渋谷で開催された。
もちろん大いに盛り上がった。
去年のバースデイ・コンサートを収録したDVDも好評発売中ですからね。
私が撮った写真をジャケットにご採用頂いております。
もちろん和佐田さんとヒロアキくんが登場しているよ。
あ、私もチラチラと写っちゃってます。ゴメンね。

Dvd衛藤さん「いいね~。透さんがドラムスを叩いてくれてとても光栄です! しかし、こういう立ち位置は照れるね!」
なんて言いながらいよいよUltra Bowlも最後のコーナーに突入した。

410最後はサンプラザ中野くんさんとパッパラー河合さんによるセット。
「大きなたまねぎの下で」や「Runner」を演奏。

395アンコールには出演者が全員勢ぞろいして「YMCA」をプレイした。
よ~盛り上がってるでしょう?

420出演者の皆さんも最高に楽しそう!

430v

435
440v
436v和佐田さんの思惑通り、とても楽しいイベントになった。
なんていうのかな?…バラエティに富んだ内容がうまくまとまって、イベント全体がひとつのバンド演奏になっているみたいな…。

450最後は和佐田さんからご挨拶。
ご盛会おめでとうございます!
 
和佐田達彦の詳しい情報はコチラ⇒和佐田達彦ウェブサイト
竹内藍の詳しい情報はコチラ⇒竹内藍Official Site

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(一部敬称略 2018年12月6日 渋谷MUSIC EXCHANGE DUOにて撮影)

2019年1月11日 (金)

ai Tube Presents Ultra Bowl <前編>


テンパス・フュージット!
「Tempus Fugit」というのは、モダン・ジャズ・ピアノの巨匠Bud Powellの名バップ・チューン。
Miles DavisのBle Note盤も有名だよね。
このラテン語の「Tempus Fugit」という表現は、英語で言えば「Time flies」。
つまり「光陰矢の如し」という意味。
新年が明けてもう10日も経ってしまった!…というより、正月があった感じすらしない。
もちろん年末には年賀状も書いたし、年越しそばも食べた。
明けてからは、氏神様に初詣して、お雑煮も食べた…にもかかわらず「正月感」はほとんどなし。
ウチは「紅白歌合戦」を付きっきりで観ることは絶対にあり得ないし、他に楽しみにしている年末年始の特別なテレビ番組も全くない、ということも時節感の無さに拍車をかけているのかも知れない。
大昔は、元旦を迎えると親戚一同が父の実家に集まって、にぎやかに新年を祝ったものだったけどね。
結局、お年玉がもらえないから「お正月」という感じがしないんだわ、コレ(ずいぶん長いこと頂戴いしておりませんが…)!
さて、今日はお正月どころかクリスマスよりも前のイベントの話題。
も~ひと月チョット経ったのか…ホントに「テンパス・フュージット」だ!

10イベントのタイトルは『ai Tube Presents Ultra Bowl』、場所は渋谷のMUSIC EXCHANGE DUO。

93flシンガーソングライターの竹内藍とベーシスト和佐田達彦が企画したイベントだ。

30和佐田さん、開催の数日前に機材の打ち合わせでMarshallの事務所へお越し頂きましてね、このイベントに賭ける情熱を聞かせて頂いた。
そうなんだね、複数のバンドが出演するイベントって、いつの間にか「動員がムズカシイ」ということになっちゃったよね。
ファンの人たちに言わせれば、好きなバンドは単独公演でジックリ観たい…ということらしいんだけど、フェスティバルには行くのはどういうワケか?
イベントの時こそ行ってあげなさいよ。
私はプロ野球を全く見ないのだが、コレには熱烈な巨人ファンだった昔の会社の同僚が言っていたのを思い出す。
「巨人ファンって、負けだすと『ダメだ、ダメだ』と応援しなくなっちゃうんだよね。そこへ行くと阪神ファンは反対に猛烈に気合いを入れるんだよね。負けている時こそ応援してあげるべきなんだよ」
ってな具合。
そもそもライブハウスの夜の部のコンサートなんて、昔はほとんど単独だったよ。
渋谷の屋根裏にしたって、昼の部こそゴチャゴチャと対バンがある日が多かったけど、夜はたいていバンドがひとつしか出ていなかった。
だからタマに好きなバンドが対バン形式でいくつか出演するような企画の時は得した気分だったよね。
新宿ロフトのBAD SCENEと子供ばんどと三文役者のトリプル・ヘッドライナーなんて企画はすごくうれしかった。
ちなみに当時は「トリプル・ヘッドライナー」なんて立派な英単語は使わなかったけど、「スリーマン」なんてマヌケな言葉もなかった。
で、和佐田さんは「そういうイベントの状況を変えたい」とこのイベントの主旨をご説明されていた。
「ボクはイベントが好きなんです。色んなバンドがたくさん集まって、熱気があって…楽しいじゃないですか?そんなイベントの楽しさを伝えたいんです」
今年は秋にMarshall GALAを控えているが、私もイベントを企画するのが大スキでしてね。
この「Ultra Bowl」も微力ながら喜んでご協力させて頂いたいう次第。

40和佐田さんの張り切りようも尋常ではなかった。
このTシャツ!
まず、この色のチョイスに並々ならぬ気合いを感じるでしょ?
普通、こういうのは無難に白とか黒とかサ…。

50タオルも紫だからね!
「That's the way life goes on」…「人生ってのはそういうもんだ」ぐらいの意味かな?
「Ultra Bowl」というタイトルはアメリカンフットボールの本場での雌雄を決するゲーム「Super Bowl」から。
「Super」の上を行く「Ultra」なのだ。
スーパー・ボウルといえば、20年近く前、ニューヨーク経由でNAMMショウへ行ったことがあった。
大寒波が押し寄せていて、マンハッタンに大雪が降った。
それがちょうどスーパー・ボウル開催の日に重なったのね。
スゴかったよ。
私は3度しかニューヨークに行ったことがないんだけど、過去にあんなの見たことは当然ないし、多分生きている間にもう見ることがないでしょうな。
あのね、タイムズ・スクエアに誰もいなくなったの。車は別よ。
世界から来た観光客でいつもゴッタ返しているあのタイムズ・スクエアに、本当に人っ子ひとりいなくなったのよ。
歩いているのは自分ひとりだけ!
そういう映画があったでしょ?
まさにアレ。
今年のスーパー・ボウルは「フィラデルフィア・イーグルス vs.ニューイングランド・ペイトリオッツ」か…。

60会場の物販コーナー。
Tシャツやタオルだけじゃなく、色々なオリジナル・グッズがズラリと並んだ。

80もちろんTシャツも大好評!

90そして、ステージには2台のMarshallハーフスタック。

100定刻通りにショウがスタート。
舞台に上がったのは最初に司会を務めた和佐田さんと藍ちゃん。
「こんばんは!『ai Tube Presents Ultra Bowl』にお越し頂きましてありがとうございます!あ、Tシャツを着て頂いている方もチラホラ…うれしいですね~!」とまずは藍ちゃんからご挨拶。

110何せ「ai Tube Presents」だからね。
「ai Tube」というのは毎週火曜日の14:00~14:50に渋谷クロスFM 88.5MHzで放送している
1年2ヶ月ほど前にスタートした、藍ちゃんがパーソナリティを務めているラジオ番組ね。

95s「この位置おかしいでしょう!」と和佐田さんが指をさしているのは…

90r4a0109 コレ!
おかしいわ!
わかるかな?…ドラム・キットの真ん前にもう1台のドラム・キットがセットしてあるの。
こうして見ると、鏡が置いてあるみたい。
ジンジャー・ベイカーだってココまではやりませんぜ。もうチョット後ろでしょう。

130そして藍ちゃんからトップ・バッターのバンドが紹介された。

120ステージに現れたのは…「丸ちゃん和佐やん&エトー!」。

140衛藤浩一

150vこのドラム・キット、衛藤さんだったのか!
「55年の人生の中で初めて真ん前のド真ん中!」なんて感慨深いご発言。

160丸山正剛

170v丸山さんはMarshallを使用。
Jeff Beckがおスキということであればマストですな!

180JCM900 4100と1960A。

190vそして、和佐田達彦。

200vまずはインストで大爆発。

210ステージ一番前、ド真ん中の衛藤さん…始終ニコニコ!
きっといつもと景色がゼンゼン違うんだろうね。

220v和佐田さんも楽しそう!

230「衛藤さんがこんなにドラムが叩けるとは…。
足元がお悪い平日にもかかわらずお越し頂きましたからには最後まで楽しんで行って頂きたいと思います。
ココにボーカルズを入れます。
八王子から呼んでまいりました!」

90r4a0154 登場したのはDioKen!

250vそして、キーボーズにはんだすなお!

260vクインテットになって一気に賑やかさが増したステージ。

240Kenちゃんがまた盛り上げるのなんのって!

270和佐田さんもつられてノリノリ~!

280vステージの中央が定位置と相場がキマっているシンガーのKenちゃんとしては、何が何でも衛藤さんのドラム・キットの前に立って歌うという算段!
セマイ!

290Journeyナンバーをガツンとカマしてノッケからイベントを盛り上げまくった5人なのであった!

300

310v

320v

330和佐田達彦の詳しい情報はコチラ⇒和佐田達彦ウェブサイト
竹内藍の詳しい情報はコチラ⇒竹内藍Official Site

340<後編>につづく
 

200_2 
(一部敬称略 2018年12月6日 渋谷MUSIC EXCHANGE DUOにて撮影)

2019年1月10日 (木)

HFOとMarshallとNATALと~私の川越

 
川越へ行ってきた。
どうだろう…20年近く前に1回だけ行ったことがあるぐらいかな?
その時は昔の街並みなんてモノにまったく興味がなかったので、用を足してすぐ帰ってきちゃったけど、今回はその反対?
古い街並みを見に行くために仕事を探した…みたいな。
 
さて、「川越街道」なんてのをよく耳にするので、川越というのは宿場町かと思っていた。
そうではなくて、中山道の最初の宿場である「板橋」で分岐して川越に至るのが川越街道で、城下町なんですな。
ちなみに東海道の品川、中山道の板橋、日光&水戸街道の千住、甲州街道の内藤新宿(今の新宿)等、主要街道の最初の4つの宿場を「四宿(ししゅく)」と言うが、それぞれに女郎屋があって、江戸時代大変に栄えた。
その四宿の中で板橋は最もガラが悪く、博打、盗賊は当然、朝から晩までケンカが絶えなかったらしい。
ちなみに三遊亭圓生の演目に「四宿の屁」なんて話がありますな。
この辺りはまた別のところで詳しくやりましょう。
今日は川越。
「仕事の部」も含めて、盛りだくさんですごく楽しい秋の1日になった。

10日曜日だったので町中の駐車場が混雑するであろうことを予想して、チョット外れの駐車場に車を入れる。
駐車場の隣が川越城本丸御殿。
川越城は室町時代にこの地方を治めていた上杉氏の家臣の太田道真と道灌の親子の指揮によって1457年に建てられた。
太田道灌といえば、「江戸城を造った人」じゃんね。
「江戸城って誰が造ったか知ってる?」
「太田道灌だろ?」
「ブ~、大工さんでした!」
って昔やらなかった?
コレ、いまだにやっている人がいるからね?
「ごはん食べた?」
「イヤ、食べてない。パンなら食べた」ってヤツ。
これ以上は書かない。
現存しているこの本丸御殿は江戸時代に再建されたものだけど、その江戸時代のオリジナルが残っているのは全国でこの川越城と高知城の2つだけなんだって。20_2有料でも中に入る。100円で安い。
フーム、コレが本丸御殿か…。
普通「お城」というと、姫路城とか、名古屋城みたいなバカでかい建造物を想像しがちだけど、実際にはこうした普通の建物っぽい「平城」がほとんどだったらしい。
エヘン!…ウチの祖先をさかのぼると、里見家の関係の群馬の太田の殿様だということがわかったんだけど、やっぱり城は平屋建ての「平城」だったらしい。
跡形はまったくないけど、一国一城の主だったんだぜ。
ちゃんと地名や交差点にその名を残しているんよ。

30ワビサビか…質素だな。
川越は江戸近郊の要所で、ココに徳川家康、秀忠、家光が何度も泊まったらしい。

40_2釘隠しもこの通り。

50廊下も派手さがゼンゼンなくて落ち着いている。
ハイ、それでは折角ですので、同じ本丸御殿でも400年前の姿を忠実に再現して昨年から公開している名古屋城の本丸御殿を見てみましょうか?

60ザっとこんな感じ?
やはり家光が泊まりに見えたという。
ナ~ニ、川越城と少し違って見えるのは気のせいだよ。

70釘隠しもホラ、大して変わらない。

80廊下だって変わらない。チョット金ピカな気がするだけだよ。
どっちに住みたいか?と言われたらアタシャ川越スタイルの方でいいわ。
古さで言ったら今の住まいと大差ない。そっちの方が落ち着くわ。

90「郭町(くるわまち)」とあるけど、昔は遊郭でもあったのかな?
それとも城壁の関係か?

100こんなノスタルジックなバスが走ってる。
でも、私が本当に小さい頃はこういう形のバスがまだ普通に走っていたよ、前が出っ張ってるヤツ。

110川越城のお堀の跡。
江戸時代(1639年)に川越藩主となった松平信綱が大拡張工事を実施し、城の規模は約2倍となった。
その時、防御を目的に造られたのがこの中ノ門堀。
よく埋めて宅地にしなかったね~。
大戦中、ゼロ戦のエンジンを作っていた中島飛行機のパーツの製造拠点があったために猛烈な空襲を受けた熊谷とは異なり、川越はほとんど被害がなかった。
だからこうした土木的な史跡が残されたんじゃないかしら?
もし周囲が焼け野原になっていたら絶対に埋め戻されていたことでしょう。
120市役所の前に立っている太田道灌の像。
メッチャなで肩。
これじゃギター提げられんぞ。

130vその向かいにあったのがコレ。
そば屋になってるんだけど、見事な銅板!

140vコレはスゴイよ。
こんな木造3階の銅板建築なんてほとんど見たことない。150この意匠がいいね~。
こういうのはコリント式支柱っていうのかな?
出来た時は赤銅色でさぞかし立派だったことだろう。

160側面にも惜しみなく銅板が張り巡らされている。
元々はつり具屋さんだったんだね。

170街の中心に向かって歩く。
ん~、いい雰囲気。

180_2こういう路地はいいですよ。
まるでコッツウォルズのようだ。
だいぶ違うか?

190「札の辻」という交差点。
「札の辻」というのは、高札が掲げられた場所のこと。
だからこの地名はどこにでもある。
高札というのは、よく時代劇でやってるでしょ?
例えば黒澤明の『隠し砦の三悪人』。
「告 次の者を生きて捕らえた者には金三枚をつかわす」みたいな…。
要するに街の掲示板ですな。
今で言えばfacebookか?
昔は、農民をはじめ一般の人は字が読めなかったので、お坊さんや侍に読んでもらった。

200_3エ?スカラ座?!

210_2ウワ~、こういうモノには猛烈に郷愁をそそられるな~。
昔はこうやって、普通の住宅街の中に平気で映画館があったんだよ。
しかも「スカラ座」だもんな~。

0r4a0422 これがミラノのスカラ座。

235中はこんな感じらしい。
ま、川越のスカラ座も大差ないだろう。

236『武蔵野』という作品がかかっていた。
国木田独歩の『武蔵野』から引いた、武蔵野に残る循環農業に関するドキュメンタリー映画らしい。
循環農業というのは葉っぱが落ちて堆肥になり、それがまた草木を育てて、育った草木が落葉してまた堆肥になる。
要するに自然の摂理に従った農法のこと。
作品のキャッチコピーは「どんなに時代が変わっても変えてはならないものがある」…全く同感だね。
私の場合は「ロック」かな?

240v監督が舞台挨拶に来るそうだ。
でもチョット観てみたいな。
私なんか『ボヘラ』よりよっぽど感動しちゃうかも!

250ココにも映画館を発見。
こっちは廃業して取り壊すことになっているみたいだったけど。

255スゲエ行列!
ナニかと思ったら、「おさつチップ」とかいうサツマイモのスナック屋さんだった。

260_2「蔵の町」っぽくなって来たヨ。

280_2スターバックスもこの通り。

270_2いいね~、こういう感じ。

290川越市の教育委員会が「伝統的建造物」にしているよ。
こういうのはイギリスの「Grade」みたいに保存の規定などあるのだろうか?

300よくポスターで見かける「時の鐘」。

310_2蔵がゾロゾロ出て来た!

0r4a0451どれも手を入れてあってオリジナルのままではないことは先刻承知。
そんなことはどうでもいいの。
こういう雰囲気が好きなのだ。

335順路不同で写真を上げますよ。

340vこの屋根!
相当な重量だろうにナァ。

350どれも立派な蔵だ。

360空襲がなければ、日本にはこういう町並みがたくさん残っていたハズなのだ。
ゼンゼン「♪カ~モン、ベイビー」じゃない。

370私的にはこの家が優勝かな?

380この雨どいの支えは古いモノなんだろうか?
カッコよくね?

390コレは立派ですよ。

400西洋勢も負けていないよ。
埼玉最初の不銀行、元第八十五銀行本店。現りそな銀行川越支店。
大正7年の建造だそうだ。
ナンバー銀行についてはいつかやったね…『私のお伊勢さま』の時だ。

405こっちも元銀行の建物で現在は川越商工会議所になっている。

410昭和2年の建造。
こういう意匠はやっぱりカッコいい。

420v蔵に混ざってこのいでたち。
470コレも見事。

430v入り口のガラス装飾が目を惹く。

440この辺りの看板建築もなかなかに素晴らしいよ。

450昭和20年代中半から30年代前半の建築ってとこか?

455イヤ、もっと古いのかな?

460この新旧のコントラストも素晴らしい!

480v川越の「うまいもの」はお芋と鰻だとか…。

490奮発してタマには鰻でも…と思ったけど、どこもスゴイ行列だよ!
結局、トンカツを食べたわ。
去年はガマンして数回しかお店のトンカツを食べなっかったせいもあって殺人的に美味しかった。

500vまぁね、蔵の町も洋館もスゴイんだけど、何が一番スゴイって…

510この人出だわ!

520どこもかしこもスゴイのなんのって!
しかもこの一番人気の目抜き通りにはガンガン車が走ってるもんだから、歩道は観光客でパンパン!
日祭日は歩行者天国にできないもんかしらん…もう行かないと思うけど。

540トドメはココ。
「お菓子横丁」とかいうエリア。
お菓子屋さんや駄菓子屋が並んでいるらしんだけど、これじゃ何も見れないって!

550「お菓子横丁」どころか、コリャまるで年末の「アメ屋横丁」だわ!
あ、アメはお菓子か…我ながらうまくまとまったな。

560寛政4年に建てられたという大沢さんの家。
1792年だからね、古いよ。

570こっちは寛政元年創業の作り醤油屋、「笛木醤油」さん。
「金笛(きんぶえ)」という銘柄の醤油を作り続けている。

580この醤油がいいんですよ。
90r4a0008_2ナニがいいかというと、ココの醤油は下のカタログにあるような関連商品も含めて化学調味料を全く使っていない。
ウチは「調味料(アミノ酸等)」の入った食品を出来る限り摂らないようにしているのね。
アタマおかしくなっちゃうっていうから。
イギリスやアメリカやドイツでは国家レベルで使用を禁止しているヤツね。
それでも今の世の中、そういう化学薬品を完全に排除することはできないので、家の食事だけはそうするように努めているのです。
おかげでスーパーやコンビニでの食品の買い物が大変困難になりました。
だからこういうお店を見つけるとすごくハッピーな気分になるのです。
チョット名前は出せないけど、先日仕方なくチェーン店の中華料理屋で炒め物の定食を食べた。
もうね、化学調味料の味しかしなかった。
化学調味料をキッパリ断っていると、こういうことがすぐにわかるんだけど、チョット食べ続けてしまうと味覚がマヒしてしまってすぐにわからなくなっちゃう。
コレが化学調味料の恐ろしいところ…ってことがわかった。

90r4a0007さて、夕方になってきたので、仕事モードに入らねば…。
でもその前に…。
この川越市立美術館に入ってみた。

590するとこんなイベントをやっていた。
「Still Life」なんていうので、チョット観てみることにした。

600v「Still Life」はPat Methenyじゃんね。

12sl 金沢健一さんと浦裕幸さんによる「演奏会」ということなんだけど…コレが楽器らしい。

610お、始まった。
1曲目は「共振域-Untitled Original 20181125」。

620演奏中。

630コレね、テーブルにヴァイブレーターが付いていて、天板に振動を与えているのね。
そこへ針金だのワイングラスだの、色んなモノを乗っける。

640vすると乗せられたモノが振動してノイズを出すワケ。
ジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジとか…。
ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザとか…。
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガとか…。

650それを鑑賞するワケ…ナンでじゃい!
「ミュージック・コンクレート」ってヤツ?
要するにジョン・ケージみたいなの。
私はフリー・ジャズまでは聴くようになったけど、こういうのはサスガにナァ。
席に座りながら少しだけ休ませて頂きました。

660美術館に入ったのはコレが観たかったの。
「大正イマジュリィ」ってヤツ。

670「イマジュリ」というのはフランス語で「イメージ画像」という意味だそう。
印刷の技術が発達した大正時代は。美術が一般の民衆にみ身近となり、こうした様々なデザイン文化が栄えた。
アールヌーヴォーの橋口五葉、アールデコの杉浦非水とかいうデザイナーの挿絵、ポスター、広告、本の装丁などが展示されていた。
竹久夢二なんかもそうだね。
どれもこれもシャレていてね~。
オシャレなだけじゃなくて、デザインが上品で可憐なんだな~。

0r4a0002展示は一切撮影禁止だし、図録は貧弱な上に高価だったので買ってこなかったが見応えは十分だった。
映画の広告なんかも飾ってあったんだけど、スゴイのがあったな…メモしてきた。
『娘十八運動狂』、『三悪人の特徴に就いて』、『ペンキ塗りたて』の3本立て。
調べてみると、『娘十八運動狂』というのは1926年(大正15年=昭和元年)のアメリカ映画で、どうも「娘十八」というシリーズになっていたようだ。
「浅草水族館」の広告なんてのもあったな。
今の「木馬亭」の隣だったらしんだけど、その水族館の2階が有名な榎本健一の「カジノ・フォーリー」の本拠地だった…この辺りのことはまた勉強しておきます。
イヤ、エノケンに関する相倉久人さんの記述を最近読んだもので…。

0r4a0004以上で「私の川越」は終わり。
ココからがMarshallのお仕事で春日部へ移動したのです。
「草加越谷、千住の先よ オレんち春日部 もっと先」なんて歌がありましたな。
川越からもエラく遠かった。
春日部には家内の友達が住んでいて、大学時代に一度だけ来たことがあった。
39年前か?…しんちゃんが引っ越してくるズッと前のことだ。
向かった先はこの公民館。
講堂にかなりシッカリしたPAスピーカーが備え付けられている。

680リハーサルをしているのはあのHELL FREEZES OVER(以下「HFO」)。

690TREBLE "GAINER" AIDYSHO

700vRYOTO

710vHIROTOMO

720vTAKUYA MASHIKO

730vTom Leaper

740vアクションを交えた本番さながらのリハーサル。

840もちろんギター・チームは愛用のMarshall持ち込みだ。

750RYOTOくんの1959と1935キャビ。
760vHIROTOMOくんもヘッドを2台持ち込んだ。

770こっちは1959とJMP時代の2203か。
キャビネットはJCM800の1960B。
2人ともBキャビというところが泣かせるな。

780vそして、Tomくんが叩いているドラム・キットはNATAL。

7908"、10"、12"のトリプル・タム。
NATALのトリプルタム・キットは日本初。
今ならまだ「日本初の〇〇のNATAL」が狙いやすいぞ!

810Tomくんはコレで「日本で初めてトリプル・タムのNATALを使ったドラマー」として、NATAL史に永遠にその名前が残る。
もちろん本国イギリスにもこの情報が伝わっている。
そういうことなのよ!
「鶏口となるも牛後となるなかれ」って言ってね。
もっとも、またドラム・キットが変わりそうだけど…。

830NATALの音をひとつひとつ確かめるようにして叩くTomくん。
そう、今日はNATALのドラム・キットがHFOのバンド・サウンドにマッチするかどうかをタップリと時間をかけて実験するリハーサルなのだ。

800vさっそくギンギンに騒ぎまくるHFO!

850vアータ、Marshallがやってるドラムスですよ!
NATALがこういうサウンドに合わないワケがない。
880もちろんメンバーもそんなことは先刻わかりきっているんだけど、一応ね。
結果は超バッチリなのはこの写真を見ればわかる。

860休憩時間にTAKUYAくんが弾いたフレーズには驚いたよ。
あんまり突飛すぎてすぐにわからなかったんだけど、Mike Oldfieldの「Tubluar Bells」のベースのソロ・メロディ!

870v着ているモノのガラだって、David BowieにQueenに新しいところでJudas Priestだもん。
この公民館の出で立ちも相まって、タイムマシンで70年代に戻ったような感覚になったよ。

890以前レポートした通り、彼はらLOUDNESSに混ざって出演したRED BULLのイベントでも耳の肥えたお客さんから大絶賛された。
サビのメロディが「アレ」じゃないからね、ベテランのリスナーはよろこぶよ。
そういうトラディショナルにすぎるぐらいのハードロックあるいはヘヴィメタルなんだけど、5人がひとつの目標に向かって一丸となっているように見えるところがすごくいいんだよね。
昔のロック・バンドってのはみんなこんな感じだったハズ。
誰が何と言おうとオレたちはコレをやるんだ!…という気迫が伝わってくる。
でも決して態度が悪いワケではない
今の世の中、いくら筋金入りのロックンローラーだって先輩や周囲の人から可愛がられなきゃ損だよ。
もうロックはそういう音楽ではなくなってしまったんだから。
学校では正式なクラブ活動なんだぜ!
 
それと…。
RYOTOくんなんかと話をしていると、出て来る出て来る、70年代のハードロック・バンドの名前が!
やっぱり音楽を演奏するうえでで何よりもまず重要なのは、楽器を弾く技術ではなくて「インプット」だということを実感するね。
とにかく色んな音楽を聴く…ですよ。
それと、簡単に止めちゃわないこと!
「サポート」とか言って色んなバンドをやったりせずに、息の長い活動を展開して欲しいと思います、オジちゃんは。

900ファースト・ミニ・アルバム『SPEED METAL ASSAULT』絶賛発売中。
生粋のMarshallサウンドにオーバーウェルムされてください。

910cd 

200 
(一部敬称略)

2019年1月 9日 (水)

長崎兆志~Choji birthday live "December club session"

 
そうか、兆志くんも12月、つまり冬の生まれか…じゃ夏がキライだな?よしよし。
私は11月生まれなんだけど、結構11~12月生まれのミュージシャンっているんじゃない?
今日はそんなI Don't Like Mondays.のChojiくんのソロ・コンサート。
あ、また「ツーマン」話なんだけど、「ソロ・コンサート」という言葉は英語的にはこういう時に使うのが一番ふさわしいらしい。
というのは、「対バンがいない単独公演」というワケではなくて、I Don't Like Mondays.の一員であるChojiくんが、ひとりでチームから離れてコンサートをする状態を「ソロ・コンサート」という。
コレが英語のネイティブ・スピーカーさんの感覚らしい。
コレは以前にも書いているけど、じゃ、出演者がひとつしかないコンサートはどういうか?
ネイティブさんに訊いて確かめたところ、特に専用の言葉がないようだ。
だったら日本語で「単独公演」と言えばいい。
我々は自分たちの言葉があるんだから、誤用してまで外国の言葉を使う必要も義理も全くない。
言語に関してはアメリカと地位協定を結んでいるワケではない。
我々は世界で最も複雑で美しい言葉を母国語にしていることをもっと誇りに思うべきだ。
Chojiくん、ゴメン!つい、変な話になっちゃった!

10vそれでは「長崎兆志の師走のお誕生日公演」いってみよう!

20メンバーは「本日の主役」、長崎兆志。

30vもちろん今日もMarshall。

0r4a0356 1987Xと1922の組み合わせ。
この1922の小ぢんまりとした鳴りがいいんですよ。
うまいこと使ってる。

50vもうひとりのギターは芳賀義彦。

60vコチラはJCM900 4100と1960Aのハーフ・スタック。

65v満園庄太郎
庄太郎ちゃんとは9月に名古屋で会ったっきりだったっけかな?
一番付き合いが古くて、多分最もMarshall Blogに登場してくれているベーシスト。

70v黒瀬蛙一

80v1曲目はJohn Sykesの「Badboys」。

100_bbインストで豪快にブッちぎる!
背が高いからこういう格好がよく似合うんだよナァ。
カッコいいわ、ウン。

110vイントロの「♪ティラリラティラリラ」を乗り切って…

130Gary Mooreの「Back on the Street」。
ナニよ、歌ゼンゼンいいじゃないの!

120_bs庄太郎ちゃんもアゲアゲ~!

140ゲェアリー・モー(「Gary Moore」のことね。イギリス人はこんな感じで発音します)といえば、忘れもしない。
アレはいつのことだったっけかな~…忘れとるやないけ!(LOUDNESS二井原さんから借用。許可は得ていません)
2016年4月のお台場。
Chojiくんに初めて会ったのは『Chimera Games』というイベントだった。

35そのイベントにI Don't Like Mondays.が出演していて、Marshall、NATAL、EDENと、ウチの機材を使って頂いたので終演後に楽屋に挨拶にお邪魔した。
するとChojiくんが「こういう音楽を演っていますけど、ホントはゲイリー・ムーアが大好きなんですよ。だからMarshall」と言ってくれた。
「ああいい人だナァ」とうれしくなった。
そもそもMarshallが好きで使っている人に悪人はいないからね。
36v
それからしばらく没交渉だったんだけど、昨年の3月に開催された福島を応援するイベントで再会。
ちょっとコワかったんだけど(Chojiくんデカいからね)、「あのお台場の時のMarshallの…」と接近すると「おお~、アノ時の!」と盛り上がっちゃったんだね。
それから楽器フェアでMarshallの新商品のデモンストレーションをお願いしたりととても仲良くしてもらっているのです。
やっぱりMarshall好きに悪い人はいない!340_2 そのゲェアリー・モーだったから、私的には感慨もひとしお。
しかし、この曲が収録されている『Back on the Streets』ってアルバムね、1978年のリリースなんだけど、高校1年の時、発売になってすぐに買いに行ったな~。
「on the street」というのは「放り出す」という意味があるんだよ。

0r4a0351 「みなさん、ありがとうございます!
本当に今日は死んでもいいぐらい!…と、言いつつ2曲飛ばしたんで、ここからはシットリとした曲を演ります。
揺れていてください」
このソロ・コンサートの開催にとても感激しているChojiくん。
次はナニかな?

150vあ、またGary MooreというかThin Lizzyというか…令文さんもよく取り上げていたけど、人気があるね。
「Don't Believe a Word」…この「a word」というのは「love」ということ?

160_db当然、後半のパートではハードに盛り上がる。

0r4a0475 さらに、え?…「Hotel California」。
イメージが違うな~。

S41a0203 名ソロの再現から…

X芳賀さんと華麗に「♪ティララティララティラ、ティララティララティラティ~」
この曲が収録されたアルバムが出た時のことは忘れもしない。
アレはいつのことだったっけかな~…忘れとるやないけ!
中学2年の時でね、Led ZeppelinとかDeep Purpleに夢中だった私にはEaglesの良さがサッパリわからなかった。
実は今もわからないの。

179「セッション・タイムみたいな感じで演りたいと思います。
手拍子しながら聴いてくれたらうれしいな!」

210ドラムスからスタ―ト。

220_fwj今度はJeff Beckで、「Freeway Jam」。
この曲が収録されたアルバムが出た時のことは忘れもしない。
アレはいつのことだったっけかな~…忘れとるやないけ!…もういいか。

230vコレもMax Middletonの作品。
ゴキゲンなシャッフルに曲を知らないであろうお客さんもノリノリ!

240続けて「Into the Arena」。
出るとは思っていたが、出たか!

250_itaChojiくんって私より20歳ぐらい若いのかな?もっとかな?
世代を超えて若い人がこういうロックを演奏してくれるのはうれしいね。
種類やスタイルを問わず、「ロック」という名のつく音楽を演る以上は、絶対に60年代後半~70年代中盤ぐらいの洋楽をひと通り勉強しておくべきですよ。
Chojiくんなんかはとてもいい例だと思う。
今日、Chojiくんが取り上げている曲とIDLMの曲は似ても似つかないけど、IDLMでのChojiくんのギター・プレイは大変にシッカリしているでしょ。
そういうことなんですよ。

260可愛がっているChojiくんのサポートとだけあって、本当アゲアゲだった庄太郎ちゃん。

270ところどころで充実したソロを聴かせてくれた芳賀さん。
こんな私でも、生涯に30本以上のギターを売っちゃ買い、買っちゃ売りしてきたけど、SGだけは1回も所有したことがなくてね。
で、もうギターが欲しいなんて思わないんだけど、最近SGだけは欲しいような気がしていましてね。
地方へ行った時になんかハードオフを見て歩いてるんだ。

280「ボーカルズの限界に挑みます」と第1部の最後に演奏したのはThin Lizzyの「Thunder and Lightning」。

290_tlコレを歌うのは大変ですよ!
よくぞこの曲を選んだ!
バッチリです。

S41a0294 ストレートでドライブしまくった黒瀬さんのドラムス!
Thin Lizzyナンバーにピッタリ。

300vちなみにThin Lizzyのトリビュート・バンドとしてNo.1の呼び声が高い「ALIVE and DANGEROUS」を率いるThin Lizzyのオリジナル・ドラマーのBrian DowneyはNATALを愛用していますからね。
そこんとこよろしくです。

Bd2歌だけでなくもちろんギターでも大爆発!

330vみんなとても楽しそうだったのよ!

310ところが、他の現場が重なっていたので残念ながら私はこの第1部のみで失礼をさせて頂いた。
第2部ではシンガーのTAKASHIさんを交えて更に盛り上がったと聞いた。
一応セットリストだけ掲載しておくね。

1. Overnight Sensation / Firehouse (Zappaじゃないのね?)
2. Rising Force / Yngwei Malmsteen (そうか、ChojiくんもYngwieを弾くのか)
3. Mr.Crowley / Ozzy osbourne (大学1年の時、生まれて初めてMarshallを買ってコレをコピーしたわ)
4. Is This Love / Whitesnake (白蛇はわかりません)
5. Kill the King / Rainbow (中学2年の時、生まれて初めて行った外タレのコンサートで一番最初に聴いた曲)
6. Tropper / Iron Maiden (ドラマーのNicko McBrainとは知合いです)
7. Sweet Child O'Mmine / Guns and Roses (Gunsが流行っていた頃、マジメにサラリーマンをやっていました)
<アンコール>
Guitar solo〜Parisienne Walkways / Gary Moore (ホントにゲェアリー・モーが好きなのね?)
Burn / Deep Purple (そうか、コレで〆たか。
この曲ってあの4小節のリフが20回出て来るんだよね。すなわち総計80小節がこのリフに費やされてる。
で、この4小節のリフの長さが6秒だから20回出てくればその時間は120秒。つまり2分。
すると曲の長さが6:04なので、この「Burn」という曲はナント!…1/3があのリフで出来ているということなんだよね。
いくら名リフでも耳にタコができて当然なのだ。でも名リフなのだ)
 
…とまぁ、私と同世代の人が選曲したかのような内容。
やっぱり音楽は世代を超えることができるのだ!

320Chojiくん、お誕生日おめでとう!
 
Chojiの詳しい情報はコチラ⇒I Don't Like Mondays.Official site

90v

200_2 
(一部敬称略 2018年12月6日 渋谷CHELSEA HOTELにて撮影)

2019年1月 8日 (火)

BARAKA~2018年11月の単独公演


Marshall Blog、1,501回目の記事にして今年最初のライブ・レポート。
しばらくの間は例によって年が明けても旧年中に開催された公演のレポートが続くよ。
今日はBARAKA。

10久しぶりの登場となるBARAKAの渋谷Mt.Rainerホールでの単独公演。
いつ以来のご登場かと思って調べて驚いた!
ナント!前回の記事は2年前の1月10日に掲載されていて、この時も2017年の最初のライブ・レポートだったのだ。
2年前にはナニを書いたかな?
チョット読んでみると…。
ギャハハ!
タイトルが『BARAKA 単独公演』となっていることに引っ掛けて、『「ツーマン」や「スリーマン」はみっともないからヤメましょう』とやってる。
そして、これからも「このことを訴え続ける」と宣言しているわ。
で、実際にことあるごとにガミガミ言い続けている。
進歩がないというか、ガンコと言うか…ま、Marshall Blogってのはこんなもんです。

20高見一生

30v依知川伸一

40v平石正樹

50v一生さんはMarshall。

60vおお~、白い~!
1997年にMarshallの創業35周年を記念してリリースされた1959のハーフ・スタック、通称「White Special」。

70vMarshallは、一昨年の2017年に迎えた創業55周年を特に喧伝しなかったが、この35周年記念からもう20年以上も絶ったのね。
このWhite Specialは他にも1962とPB100をリリースした。もちろん全部真っ白だった。

80スピーカー・キャビネットの左下とヘッドのリアパネルには「Limited Edition 1997」の表記とおなじみのJim Marshallのサインが入ったプラークが取り付けられた。
なんかジムのサインもなつかしいな…。
まだこの頃はピンピンしていて、翌1998年の春過ぎにはJCM2000 TSLシリーズのプロモーションで日本にやって来た。

90足元のようす。

100依知川さんはEDEN。
EDENの発音は、本当は「イードゥン」みたいな感じなのです。

110ヘッドはWT-800、4x12"のスピーカー・キャビネットはD410XLT。

120v依知川さんの足元のようす。

130そして、会場ではこの日の公演に合わせてBARAKAの1枚目から6枚目までのアルバムの中から選んだ歌モノ19曲を2枚のCDに収めた『THE BEST OF BARAKA SONGS』が発売された。140cdオープニングからいきなり壮大なメドレー。

150まずは『Five Rings』から「Ground Book」。
依知川さんと…

170MAXさんのドライブ感あふれる4ビートに乗って…

180一生さんのワイルドなギターが炸裂!

160そして、BARAKAのキラー・チューン「Butterfly」。
コレは14/8になるんですかね?

190蝶がどうして「butter+fly」になるのかはいつか書いたことがありましたな。

210vメドレーを締めくくったのは市川さんのボーカルズによる「Let me in」。

220vもうドップリとBARAKAの世界になっちゃった!

200v「年末のお忙しい中、たくさんの方にお越し頂き誠にありがとうございます!
21年目のワンマンです。
今年も色々とライブをやってきました。本年も最後までガンバリます!」
とご挨拶。
そして、次の曲を紹介した。

230何と「Led Boots」。

240_lb依知川さんが「BARAKAはタダでは転びません」と説明していたがその通り。
このバンドのカバー・アレンジは「コレでもか!」というところまで切り刻んで、組み立て直すんだな。

250一体どうやって、またどういう雰囲気の中でこの手のアレンジ作業をやっているのかわからないが、何しろ痛快な仕上がりなのだ。

260vJeff Beck(作曲はMax Middleton)の曲だからね、もちろんギター・ソロもタップリ。270続けての曲もメドレー。

280_wvat怪しげなワルツでスタートする「Reflected Waves」…

290v…って、YouTubeに上がっている「A38 ROCKS」というクラブでのこの動画。
チョット、チョットチョット!
これドラム・キットがNATALではありませんか~。
ウチのドラム・ブランドなんですよ。
やっぱりNATAL来てるな~。
コレはブダペストか…ハンガリーは行ってみたいナァ。
バルトークの国だもんね~。

曲調がコロコロ変わって行くウチに本当に曲が変わって「Atlantic」。
ココも聴きごたえのあるセクションだったよ。
BARAKAは1曲が長いので、メドレーが組まれるとそこら辺のバンドのライブの1ブロックぐらいの尺になっちゃう。
プログレッシブ・ロックとはそういうもんですよ。

300v「1年、1年、早いですね~。
BARAKAは結成21年、現実に目を背けてまだまだ夢を見て行こうと思っています。前向きに頑張っていきますので応援よろしくお願いします!」

9s41a3915そして、昨年に引き続いてフロリダを発着する、2月4日から6日間のプログレッシブ・ロックの船旅『Cruise to the Edge』に今回もBARAKAが参加することが発表された。
出演するバンドをココへ書き込もうと思ったけど、それこそキリがなくて『危機』に陥りそうだったのでウェブサイトをご参照アレ。

9cte歌モノのベスト・アルバムをこの日にリリースしたとだけあって、ボーカルズ・ナンバーが続く。

310_swコレもBARAKAの代表曲「Strawberry Wine」。

330v「Strawberry Wine」という名前のオタマジャクシの歌。
また言うけど、オタマジャクシは英語で「tadpole」という。
そういえばBARAKAの曲もなかなかに「The March of tadpoles」ですな。
「The March of Tadpoles」はJerome Kernのスタンダード「All the Things You Are」のコード進行を使った穐吉敏子の超絶技巧ナンバー。

320さて、お待ちかねのコーナー…イヤ、この頃はまだそれほどでもなかったか?
でも、BARAKAは正しかった!

340_qQueenのメドレーだ!

350cd「Tie Your Mother Down」から始まって…

360v出て来る出て来るQueenの名曲。

370vでもさっきも「Led Boots」のところで書いた通り、BARAKA式カバーはそんじょそこらのアレンジとは違うでね。

380vかなり長大な一編だけど、驚いているウチに終わっちゃう。

390vしかしね~、BARAKAの皆さんも3人で観にいらっしゃったと聞いたけど、ゴールデングローブ賞を獲ったんだってね~、『ボヘラ』。
そんなにアメリカからいい映画がなくなったか?
もっとも、マンガと怪獣ばっかりだもんな。
音楽も映画もアメリカがシッカリしないから面白くないんだよね。
あ、スイマセン、独り言です。

400vそして、本編最後の曲。
6曲目なんだけど、もう2時間近く経ってるからね。

410_rinm「虚無との戦い」をテーマにしたという「The River is no More」で締めくくった。

S41a4002アンコールは組曲。
イヤ、今日はメドレーが多かったので全曲が組曲のように聴こえた…イヤイヤ、コンサート全体がひとつの組曲になっているようだった。

450曲は「Bharmad」。

460vココでMAXさん、大フィーチャー!

S41a3754変拍子の連続ご苦労さまです。
そのストレスを晴らすかのようなダイナミックなプレイ!

490すると今度は一生さんが!
ニコニコしながら客席から登場。

90r4a0148この曲も複雑な構成を持った超大作だよね~。

495今日は依知川さんだけでなく、一生さんもよくボーカルズを務められた。
ん?…でも、視線がナンか変だぞ。

470グワッ!
2階席の前面にカンペが!
ま~、一生さんはナニからナニまでワイルドだわ~。

480とにかくいいね、1959の音って。
一生さんとMarshallの個性がBARAKAという釜の中で完璧に溶けあった素晴らしいサウンドだった。
500今日もベースにボーカルズにMCに大活躍の依知川さんなのであった。
EDENがサポートさせて頂きました。
やっぱり音抜けは一級品ですね。
依知川さん、また近いうちにどこかでバッタリ出くわしましょう!

510vBARAKAの詳しい情報はコチラ⇒BARAKA offcial website

520 

200 

(一部敬称略 2018年11月22日 渋谷 Mt. RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREにて撮影)

2019年1月 7日 (月)

明けましておめでとうございます

Marshall Blogの読者の皆様におかれましては幸多き新春をお迎えになられましたこととお慶び申し上げます。

Marshall、NATAL、EDEN、並びにMarshall Blogを本年も相変わらずご支援を賜り度くよろしくお願い申し上げます。

Marshall_logo_square

M_natal_square

M_eden_square

9marshallblognega_3 さて、昨年も何度書いたかわからないけど、やっぱり時の経つのが早すぎますな。
チョット前にMarshall Blogが1,000回目の更新を迎え、常日頃からご登場頂いているアーティストの皆様からの祝辞を交えて記念記事を掲載したばかりだと思っていたんだけどね~。
そうなんです。
今日のこの投稿が1,500本目の記事なのです。
早い~!
実はこの2019年最初の記事がちょうど1,500回目になるように、年末に記事の投稿頻度をチョット調節したんだけどね。
相も変わらず同じようなことを書いて、脱線しまくりのMarshall Blogですが、これからもお引き立てのほど何卒よろしくお願い申し上げます。
 
新年のご挨拶はおわり…。
今日はこの後、エッセイ風に文章だけでお送りします。
ロクなことが書いてありません。
時間の無駄になるので絶対に読まない方がいいでしょう。
 
ココで2018年を、自分の周辺のことでチョット振り返ってみたいと思うのです。
こんなこと旧年中にやるべきことなんだけど、年末はあの紙芝居動画の制作に夢中になってしまって書けなかったのです。
 
ナニからやろうかな?
まず触れるべきは…Spotifyでしょうな?
Marshall Blogで数え切れないほど何度もガミガミ書いて反対して来た音楽配信の類。
Spotifyってのを9月の末にとうとう始めてしまったよ。
「『ダウンロード』と『ストリーミング』は違うゼよ、オッサン」と言われるかも知れないけど、んなことはどうでもよい。
40年以上にわたってレコードやらCDやらに少ない財産と時間をつぎ込んで来たオッサンにとっては「目クソ」と「鼻クソ」ほどの違いもない。
Spotifyを導入したのは、Marshall RECORDSでの仕事でやがて必要になるであろうということがひとつ。
そして、もうひとつは田川ヒロアキ。
彼が出演する9月のチャリティ・イベントにお邪魔した時に「イヤ~、もう時代はストリーミングですよ!」と諭すように口にした彼の言葉が私の背中を強く押した。
日頃はこっちがダマしているので、タマにはヒロアキくんにダマされたと思ってSpotifyに加入してみた。
それでも最初は「チッ、ナンだいこんなの…結局は若者がハヤリの曲を追いかけるだけのツールじゃないの。モノによってはオレのコレクションの方がよっぽどマッシブじゃねーか」などとケチをつけてもみたが、Bluetoothのレシーバーという装置が存在することを知り、早速買って来てステレオに接続して試した瞬間にプカプカと「黒船」がやって来たよ。
ま、それでナニをやっているかというと、CD棚から聴きたいアルバムを探して引っ張り出すのが面倒なので、代わりにSpotifyで聴いている程度のことだったりもするんだけどね。
でもひとつ、私の生活に大きな変化をもたらしたことがあった。
それは「CDを買わなくなったこと」だ。
「CDが欲しくなくなった」と言い換えても差し支えない。
私はジャズのアルバムを中心に、長年にわたって月に20~40枚の中古CDを買う生活を続けて来た。
ところが、行きつけのお店が月1回のバーゲンを止めてしまい、去年の前半からCDをほとんど買わなくなっていたこともあったのだが、Spotifyが完全にそれにトドメを刺したのだ。
もう音楽のジャンルを問わず、楽しみとして聴くCDを欲することがなくなってしまった。
例えばこういうことだ…。
昨日の晩、テレビでラヴェルの「ピアノ協奏曲」を放送していた。
イヤ、コレがまたちょっとジャズがかっていてエラくカッコいい。
以前だったら翌日は中古レコード屋に足を運んでいるところ。
しかし今は違う。
マルタ・アルゲリッチの録音がSpotifyにあったので、それを聴きながらこの原稿を書いているとこと。
CDは要らない。ジャケットもなくても何の不自由もない。
元々そういうモノだもんね、コレは。
だって、Spotifyがあればいつでも聴けるじゃん。もうウォークマンもほとんど使わなくなったし。
私は事務所で仕事をしている間にしか自発的に音楽を聴かないので、ステレオからある程度の音質で聴ければもうコレで十分。
『ホワイト・アルバム』もSpotifyで聴いたよ。
レニーの『Candide』なんかはこの3か月で100回近くは聴いた。
それでもCDは欲しくならなかった。
その結果、2018年に買ったCDの数は、ダントツで「五代目古今亭志ん生」が一番だったわ。
志ん生の音源はSpotifyで検索しても出て来ないから。
私ですらこうだもん…そりゃCDなんか売れなくなるにキマってるわ。
それとね、Spotifyのおかげで「音の調べごと」がすごくラクになった。
Marshall Blogの記事を書いていると、色々と音源を確認しなければならないケースが多いのね。
そういう時に圧倒的に便利なの。
欲を言えば、アルバムの情報が付随していないので、こうなりゃWikipediaにリンクしちゃえばどうかね?どうせタダ同然同士なんだから。
『隠し砦の三悪人』の田所兵衛(たどころひょうえ)ではないが、「裏切りゴメン!」と攘夷はもう諦めるが、それでもミュージシャンの本来の仕事は「音楽を作って、CD(あるいは音の出る何がしかの物体)を発売する」ことだと信ずる佐幕派ではいるつもり。
しかし、我々だって生まれた時からこういうのがあったら「音楽ってタダで聴けるもの」って思うにキマってるわな。
クワバラ、クワバラ。
 
次…「レコード大賞」。
今回は「怖いもの見たさ」でトライしようとしたんだけど、撮影の仕事と重なって結局観ることができなかった。 
大賞が「シンクロニシティ」…おお~Policeか!ま、私は頭脳警察はバッチリだけど、Policeは全く知りませんが。
え?違う?
もうチョット受賞結果を見てみましょう。
最優秀新人賞は「辰巳ゆうと」。どちらさま?…演歌の方だそうです。
優秀作品賞として、「アンビバレント」、「いごっそ魂」、「Wake Me Up」、「サザンカ」、「勝負の花道」、「Teacher Teacher」、「Be Myself」、「Bedtime Story」、「U.S.A.」…。
やっぱり予想通りだったね~!
ウソコケ!
「U.S.A.」を除いてはどの曲も1小節もわからんわ。
「Bedtime Story」なんてHerbie Hancockかと思うわ。
元より私は世の中の流行からかなり距離を置いた人生を送って来ているので、ほとんどコレについて言う資格はないんだけれど、かつてはこんな私でもレコード大賞受賞曲ぐらいは口ずさめるのが普通だったわ。
今、あまりにも普遍性の高い曲、つまり「流行歌」がなさすぎるでしょう?
私が言う「流行歌」というのは、「幼稚園生からオッサンオバサンまでが歌える曲」のことね。
私が子供の頃はそういう曲がいくらでもあった。
だいたい「♪森(とんかつ)、泉(にんにく)、囲(んにゃく)まれ(天丼)」なんて、二次使用作品まで流行したからね。
それじゃいつから世の中の歌がわからなくなったのか?
ウィキペディアで大賞受賞曲をさかのぼってみる。
私が生まれる前、1959年の第1回目の水原弘の「黒い花びら」から始まって、「こんにちは赤ちゃん」から「天使の誘惑」から「また逢う日まで」。
「勝手にしやがれ」から「北の宿から」を経て「ルビーの指環」、「長良川艶歌」、「パラダイス銀河」、「おどるポンポコリン」、「愛は勝つ」、「キミがいるだけで」…今1992年ね。
完璧に歌えないまでも、ココまでは全曲わかった。
次の「無言坂」ってのは知らないな…演歌か?
そして、1994年からアルファベットのタイトルの曲が出始める。
「innocent world」…この辺りから全くわからない。
「Overnight Sensation」…お!「Camarillo Brillo」に「Montana」か?まさかね…。
「Don't Wanna Cry」、「CAN YOU CELBRATE?」、「wanna Be A Dreammaker」、「Winter ,again」、「TSYNAMI(コレは知ってる)」、「Dearest」、「Voyage」、「No way to say」…ココまでで2003年。
ココはどこだ?!公用語は英語か?
イヤチガウ!
先進国で英語力最貧国のウチのひとつがやっていることとは到底思えない。
まぁいい。
ハイ、じゃそこのオジサン、「wanna Be A Dreammaker」歌ってみようか~?
真理ちゃん自転車がなつかしい。
  
次、そのウィキペディア。
Marshall Blogを書く時に多くの場面でお世話になっているのがウィキペディア。
でも日本の事柄を調べる時以外は、まず日本語のウィキペディアをチェックしない。
つまり、海外のことを調べる時にはすべて英語版に当たっている。
だって情報の量が雲泥の差なんだもん。
アレどうして全部翻訳しないんだろう?
まぁ、「作り」の情報も多いといわれているWikipediaだけど、音楽に関することなんかは、ロマンがあっていいんじゃないの?…と私は思っている。
そしてもうひとつ、いつも思っていることがある。
それはね、中国語版のウィキペディアなの。
少しマイナーな海外の事柄や人物に関する記事には日本語版がないことが多いでしょ。
だから結果的に英語版を読まざるを得ないんだけど、そんな記事でもたいてい用意されているのが中国語版なんですよ。
どんなマイナーな記事でもかなり高い確率で「中文」っていう表記が出てる。
端的な見方ではあるけど、「一事が万事」…つまり、中国語を話す人たちに供給されている情報の量は何事も日本人へのそれより圧倒的に多いのではないか?ということ。
こういう所にも国の力の勢いの差を感じて怖くなっちゃうんだよね。
 
次、ガールパワー。
ウチの社長が「日本はゴーバンズが盛んだろ?」って言うので一体何のことかと思ったら「Girl Bands」のことだった。
Marshallの連中も日本のガール・バンドの隆盛には驚きを隠せないようでしてね。
他の国の連中に訊いてみると、コレはどうも日本特有の現象のようだ。
そしたら今、エレキ・ギターを中心としたロック楽器のお客さんというのは9割が女の子だっていうじゃんね。
amazon等の通販の普及により、コワくて行かれなかった楽器屋さんに行かずしてギターをゲットできるようになったことが大きな理由のひとつらしい。
顧客の年齢層が圧倒的に高校生で、学校の軽音楽部のおかげらしい。
Marshallも楽器メーカー…ビジネス的にはとても喜ばしいことなんだけど、「エレキ禁止令」が出た時代を知っている、70年代のロックで育った私なんかにはとても複雑な心境だ。
彼女たちは高校を卒業して、つまり、軽音楽部から離れるともうギターなんかほったらかしになっちゃうらしい。
そんなの当たり前じゃん。
ナゼかというと、「音楽」が先に来ていないからなんだよ。
若いバンドが簡単に解散しちゃうのも同じ。
昔は音楽が好きで、ロックがカッコよくて、どうしようもなくてギターを手にしたもんですよ。
「音楽」はファッションじゃない。
ギターは洋服ではなくて、人を感動させる美しい音楽だったり、時には人に涙を流させる音楽を奏でて楽しむための「道具」だから。
とにかくジャンルを問わず若い人たちに色々な音楽を聴かせてあげるべきだと思うんだけどな~。
Spotifyのようなツールが出て来た割には、聴かれている音楽の幅が昔と比べて極端に狭くなっているように見えるのがとても不思議だ。
 
次、それにちなんでQueen。
どういう風の吹き回しか、「ボヘラ」ブームがスゴイね。
若い人たちも盛んに映画を観に行っているようで、このブームを機に「ロックの先祖返り」を期待している音楽関係者もいるようだけど、残念ながら無理でしょう。
若い人が「感動しました。それにQueenの音楽があんなに素晴らしいものだって知りませんでした」なんて感想を漏らしているテレビのワイドショウのインタビューを見かけるけど、それで終わりでしょう。
あの後に「あの時代の音楽…70年代って言うんですか?その時代のロックをもっともっと聴いてみたいと思います」という発言を期待したいところだけど、そんな若い子は私がテレビを見た限りではひとりもいなかった。
そりゃそうですよ。時代が違うんだもん。
Deep PurpleやLed Zeppelinに夢中になっていた若者とポケモンだのニコニコだのスマホに夢中になっている若者は食べ物も違えば言葉も違う。
もっと言うと気候も違う…コレ、外国人と同じだから。
相容れ合うワケがない。
「イヤ、今の若い人は知らないだけでPuepleやZeppelinを聴かせてあげると必ず『カッコいい!』って言うんだよ」という話を時折耳にするけど、その場ではそう言うし、実際にカッコいいとも思うんだろうけど、家に帰れば全く忘れちゃう。
自分の時代に流布している音楽がいいにキマってる。
私だってプレスリーよりDeep Purpleの方がヨカッタもん。
で、そうしたトラディショナルなロックの将来を考えた時に、ひとつ思い当たった。
若い人たちが60年代や70年代のロックに興味を示さず、この先聴き手(演り手ではない)が全くいなくなってしまったら、その時代のロックはかつての「琵琶語り」や「ドドンパ」のように絶滅するのではないかと考えていたが、そうはならないね。
クラシックやジャズのように、トラディショナルなロックは「古典芸能」として子々孫々細々と生き永らえていくのではないだろうか…ということだ。
そして、そういう歴的な遺産から良質なエキスをうまいこと抽出して時代時代の感性とミックスして、自分たちだけの音楽を作る若いバンドがだけが最後は生き残っていくのではなかろうか…イヤ、それを期待している。
今はまだその前の段階であり、次のジャンプに備えてしゃがんでいるところだと思いたい。
あまりしゃがみ続けて、足がシビれてジャンプできないような気もするが…。

ハイ、ひとりごとは以上で終わり。
あ~、書いた書いた。気が済んだ。
ココまでご高覧頂きまして誠にありがとうございます。
1,501回目からは、以前の通り写真と脱線を交えた内容でお送りします。
まだ詳細は発表できませんが、今年は秋に2回目のMarshall GALAを予定しています。
ゼヒご期待ください。
 
それでは今年もよろしくお願い申し上げます。
 

200 
(一部敬称略)