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2019年9月

2019年9月26日 (木)

リズム&ドラム・マガジンのスティーヴ・バーニー


8月一杯で3カ月にわたる大ツアー『GUITARHYTHM VI TOUR』を終了した布袋寅泰さん。
その全公演のドラムスを担当したのがイギリスはリヴァプールからやって来たSteve Barney(スティーヴ・バーニー)。
彼がNATAL Drumsを愛用してくれていることは既にMarshall Blogでもレポートした

10そのスティーヴのインタビューが今月売りの『リズム&ドラム・マガジン』に掲載された!

20残念ながら当日は他に用事が4つあって、後から日取りが決まったこのインタビューの現場に立ち会うことができなかったのは大変残念であったが…

30こうしてタップリと見開きカラーでインタビューを掲載して頂いて感謝感激!

40もちろんインタビューの他にスティーヴ愛用のNATALのドラム・キットも詳しく紹介してくれている。
おかげさまでNATALは本国のイギリスではもう当たり前のドラム・ブランドになってるようだけど、日本はまだまだなのでこういう機会はとてもうれしゅうございます。
イギリスでは比較的知られた歴史のあるパーカッションのブランドでも、7年前に私がMarshallに入社してNATALをが日本に入れた頃、「なた~る」なんてドラム・ブランドを知っているのは一部のMarshallの関係者とウチの家内ぐらいだったからね。
「ネイタル」と読まれたり「コロコロチキチキペッパーズ」の「ナダル」と間違えられたり(コレはウソです)…完全にゼロからのスタートだったワケ。
それがおかげさまで、最近はバツグンに名前の通りがよくなって来ましたです。
すでにご愛用頂いているドラマーの皆さん、そして協力を頂いている皆様にはこの場をお借りして心から感謝申し上げます。
今日もNATALを使ってくれているMacnic Street Preachersの現場に来てるんですよ~。

50さて、スティーヴ。
3か月の日本滞在の間にコンサートにお邪魔したり、オフの日には2人で天ぷらを食べに行ったりしてとても楽しかった。
ものすごく気さくな人で、どんな話でも熱心に私のヘタな英語に耳を傾けてくれた。
ずいぶん色んな話をしたけど、ビックリしたのはコレ。
コレは六本木ね。
スティーヴはこの付近に投宿していて、下の写真のローソンがある場所にかつては日本を代表する「ピットイン」というジャズのライブハウスがあって、私もずいぶん通った…なんて話をした。
20_2そして、アラン・ホールズワースがココで演奏したライブ盤があって、下のジャケ写を見せながら、「ココが入り口だったんだよ」なんてことを教えてあげた。
しかし、六本木のピットインがなくなってからもう15年も経ったんだね。
向かいの中華料理店もなくなってた。

Ah_2後日、スティーヴに会った時、「シゲ、ちょっとコレを読んでみて!」と、携帯に入っている英語のメールを見せてくれた。
大変に筆マメの人が書いたメッセージらしく、ずいぶん長いメールでね。
そして、差出人の名前を見てブッたまげた。
そのメールの送り主は何とゲイリー・ハズバンドだったのだ!
スティーヴはゲイリーととても仲が良く、ピットイン跡の写真とともに近くに投宿していることをゲイリーに話したんだね。
上のライブ盤のドラムスはチャド・ワッカーマンだけど、ゲイリーも1994年にホールズワースのバンドでピットインに出演していて、その時の楽しかった思い出が長々と綴られていた。
 
そして、ドラム・マガジンのインタビューの前の週に事務所に遊びに来てくれた。
この時もエラく楽しかったナ。
スティーヴがいきなりゴダイゴの「Monkey Magic」を歌い出したりしてね。
マチャアキの『西遊記』はイギリスで大人気だったんだって。
子供の頃それを見るのが楽しみで仕方なかったらしい。当然「ガンダーラ」も知ってた。
それで「西遊記」のイギリスでのタイトルはただの「Monkey」だったんだって。
「猿」なんてドラマのタイトルは日本では考えられないよナァ。
 
もうひとつテンション上がったのはGenesis。
仕事柄、私もずいぶんたくさんのイギリス人と付き合っているけど、インタビューにもあるように、「Genesisがスキ」というイギリス人に会ったのはもしかしたらスティーヴが初めてかも知れない。
「Afterglow」のチェスター・トンプソンのフィル(ザッパの「More Trouble Everyday」)の話で盛り上がっちゃったりして!
私が観た1978年の『And Then There Were Three』ツアーの東京公演のプログラムを見せるとスティーヴは大興奮。
その時に撮影したのが下の写真。
納豆以外は何でも大丈夫だそうで、家内の手料理をとても美味しそうに食べてくれた。
ホント、楽しかったナ~。

60vまた日本に来れるといいね。
その時のNATALも任せておけ!

70v

200 
(一部敬称略 ※奥さん、村上さん、横尾さん、そしてステイーヴ、絶大なるご協力をありがとうございました!)

2019年9月20日 (金)

関東ギターエロス vol.61~Luther Smoke Dokeyes他

05_2あの「右折禁止」に注意しながら今日は西川口Heartsから。
Marshall Blogでは初めてレポートさせて頂く『関東ギターエロス』というイベント。
恐らくはノリ一発で決めてしまったのではないかと想像に難くないイベント・タイトルがいい。
こういうシリーズものは、まず良いタイトルをつけてやらないと長続きしない。
「関東ギターエロス」…いいじゃないか。
ね、61回目だもん!

10v関東地区5つのライブハウスが「ウチの一押しバンド」を出し合って構成されるライブ。
今回の幹事は西川口Hearts。
そこでイベントはHeartsのブッキングをお努めになられているHarry原畠さんのリードで展開した。

205つのバンドに先立ってオープニング・アクトとしてステージに上がったのは弾き語りの篠木拓哉さん。

30v代々木のLIVE labo YOYOGI代表の「The Confront」。

40転換の間のMC。
コレがまた楽しい。

50本八幡The3rd STAGE代表の「microgic」

60ワイアレス・マイクを使って会場の外のロビーでMCをやっちゃう!

70新宿FATE代表の「BACK SHOW」。

80そして、横浜BAYSIS代表の「Orca-Luca」。
今風のロックからラップまでさすがショウビジネスのプロが推薦するだけあって、可能性を秘めたバリエーション豊かなラインナップとなった。
マーブロ的に記録しておくと、ギター・リフやソロをフィーチュアした従来型のロック・サウンドを聞かせてくれるチームはなし。
ま、今時はコレが当たり前でしょう。

90そして、トリ。
トリは幹事店が推薦するバンドが努める。
原畠さん、力と気合がガッツリ入って自腹でチラシを作っちゃった!
「まずバンド名の綴りがムズカシイですね~!」なんて原畠さんがおっしゃっていたが、そうなんだよね。
「Dokeyes」は「ドゥ―キーズ」とは読めんよな。
Marshallへの月報でこのバンドのことをレポートしているんだけど、「Dokeyes」をなんて読んだかはわからない。
再来月Marshall GALA2で来日したら確認してみようと思っている。

11061回目の『関東ギターエロス』のトリを務めたのはLuther Smoke Dokeyes(ルーサー・スモーク・ドゥ―キーズ)。

120Johnny

130JohnnyくんはもちろんMarshall。
ギターとMarshallの間にあるのはカール・コードだけ。

131今日は現地調達のJCM800 2203と1960Aを使用。

132vベースは伴航平。
ヴァン・コーヘー…バンド名みたいでカッコいいな~。

138v山口翔也

139vオープニングは「Ramblin Rider」。
4月にリリースした初ミニ・アルバム『Jukebox is Playin'』から。

Lsdcd オールマン臭プンプンのタイトルだけど曲はセカンド・ライン・タッチ。
「ガルシア」という固有名詞が出て来るところが好き。

140vそして炸裂するボトルネック。
今の若いバンドのギターの人たちってこういう奏法があるのを知ってるのかな?
「コリシディン」とか。
いつか奥田民生さんが元アイドルワイルドサウスの松浦善博さんと組んで「ボトル・ネック・ギター保存会をやっている」なんておっしゃっていたけど、ホント、ロック界の「絶滅危惧種」の筆頭だよな。
ムズカシすぎんだよね。
でもやっぱりいいな、このサウンドは。トロンボーンのように人類が自然に愛でることができる音色のひとつではなかろうか?

141ペダル・スティールだけど、バディ・エモンズがジャズを演奏しているアルバムなんか、もうCDやLPに頬ずりしたくなるぐらいいいもんね。
バディ・エモンズはカーペンターズの「Top pf the World」なんかでペダル・スティールを弾いている名手ね。
「Jambalaya」のペダル・スティールなんかもいいよね~。曲はハンク・ウィリアムスか…。
おっとっと、私は生涯カントリーの門外漢だった。これ以上書くとJohnnyくんにヘコまされるかも知れないのでやめておこう。
しかし、カーペンターズも今聴くと殺人的にいいな~。昔は絶対に聴かなかったけど…。
曲よし、演奏よし、そして最早トロけてしまいそうなカレンの美しい歌声。
でも今の若い人たちの口から「カーペンターズ」という言葉が発せられるのを聞いたことがない。
やはりカーペンターズも「絶滅危惧種」のひとつなんだろうな~。
Be 快調な滑り出し!

1451曲目からテンガロンハットがスッ飛ぶほどの熱演なのだ!

150テンガロンハットね~。
白馬に「テンガロンハット」というとてもおいしいパスタ/ピザ屋さんがあるんだよ。
今は大きなログハウスで営業しているけど、昔は10人も入らないような小さなお店でね。もうそこの味が大好きで長野に住んでいた時には毎週のように食べに行ってた。
ログハウスに移転した頃、お店で馬を飼ってたなぁ。
 
テンガロンハットはもちろん10ガロンの水が入ると言われていて、よく西部劇でカウボーイが帽子をひっくり返してガバっと水を汲むシーンを見かけるよね。
今の若い人たちは西部劇なんか見ないか…ジブリばっかりで。(今日は「若い人」をイジってます)
ガソリンなんかがそうだけど、アメリカは世界でほぼ唯一ヤードポンド法を採用している身勝手な国なので、容積の単位は「ガロン(gallon)」を使う。
このヤードポンド法を使っているのはアメリカとミャンマーとリベリアだけだからね。ドマイナーなのよ。
コレと日本の定格電圧100V。この2つは世界の大迷惑だ。ちなみに100Vの電圧を使っているのは世界で日本と北朝鮮の一部だけのハズ。
で、1ガロンって何リットルか知ってる?
これまた厄介なことに国よって換算値が異なる。
アメリカは1ガロンが約3.8リットル。
だから10ガロンって38リットルだぜ!
水は比重が1だから、38kg分の水があの帽子の凹みに入るというワケ。
オイオイ、そんなに入るワケねーだろ!
Johnnyくんの頭蓋骨はそんなにデカくねー!
由来後はメキシコからのスペイン語が変化したものとされているようだ。
 
まだ続くテンガロンハットの脱線。
カントリーではとてもJohnnyくんにかなわないのでジャズで対抗。
下は穐吉敏子のビッグバンドの1984年のアルバム『Ten Gallon Shuffle』。
敏子さんの作品の中では重要視されていないがアルバム表題曲や「Happy Hoofer」なんて聴きやすい曲が入ってる。
一番いいのはジャケ写かな?
この女性は敏子さんと最初のご主人でアルトサキソフォニストのチャーリー・マリアーノとの間のお嬢さん、Monday満ちるちゃん…今はもう「満ちるさん」、か。私と1歳しか違わない。
岩波文庫に『ジャズと生きる』という敏子さんの名著があるのでご覧になることをオススメする。
読めば敏子さんがどんなにスゴイ人で、もっと我々が世界に自慢してよい日本人であるかを知るだろう。
今の若いバンドさんがホイホイと海外へ行っている状況と比べてみるがよい。

Tgs 帽子をスッ飛ばしたままで続けた2曲目は「Jesus」。

160_jしかし、若いバンドさんでギター・ソロのパートが楽しみ…なんてのは本当に滅多にない。
そんなギターを聴かせてくれるJohnnyくん。

165そしてそのギターを弾きたてるアンサンブルのなんと素晴らしいことよ。

170MCをはさんで「Win Lose, Or Honky Tonk」。
もちろん曲名はアレから。

180_wlhTシャツも作っちゃった!

190vしかし、ギターの音がよろしいな~。
そりゃアンプ直結だもんね。音なんていいにキマってる。
前にも書いたけど、よくエフェクターを使わなかったり機材の点数が少ないと「男らしい」とか言うけど何ですかね、アレは?
別に男らしくなんかないよ。
ギターがウマいからそれができるだけの話でしょ?
もちろん腕だけではなく、いいアンプとギターがないとできないけどね。
ペダルなし、マスター・ボリュームなし、センド&リターンなし…コレが絶対に一番。
そうしてみると今の若い人たちが夢中になっているデジタル機器がどういうことかは推して知るべし。
ギター・アンプ、つまりMarshallは「楽器」です。
巷間のデジタル機器は「機械」ですから。
「楽器」と「機械」は別物です。
Johnnyくんはチャンと楽器で音楽を演っている。
 
チョット最近ああいうので驚くべきことがあってね…それでこんなことをまた言ってる。
要するにデジタル・アンプ系のギタリストの音って後で聞いていると音が届いて来ないんだよね。
真ん前で聴いていると好き嫌いは別にして問題はないんだけど、後の方はヤバい。
ナニを弾いているのか聞き取れなかったのだ。ジムのAキャビの話を思い出すな…あ、今度コレを書こう!
やぱりステージの中音が小さいとかそういうこともあるんだろうな。だって舞台にギター・アンプを置いてないんだもん。
ああいう現場に接すると楽器屋としてではなく、40年以上コンサートに通って来た純粋な音楽リスナーとしてミュージシャンシップを疑わざるを得ない。
いくら便利でも音楽家の命である「音」を犠牲にしていいいのだろうか?
そんなことはないでしょうねェ…恐らくステージにいるとアレがわからないんだろうな~。
まぁ、PAシステムの進化の弊害ということか?
「ギター」という楽器の地位の低下か?…こっちか。
ギターがこんな扱いじゃ、ロックは本当にヤバいよ…っていうか、機材に関して言うと自分だちで首を絞めちゃってるんだもん!
 
ひとつ提案…ギター・アンプがどうのこうのじゃなくて、今や主流のデジタルPAシステムと昔流のフルアナログPAシステムを2通りセットして、その音の聴き比べをするコンサートをやったらどうだろうか?
全然変わらなかったりして!
200このリズム隊の2人がまたいいんだ。
派手なところは一切見せずひたすらリズムに徹する。
「職人」を感じるわ。

310v堅実なドラミングだけでなくさっきの「Win, Loose or Honky Tonk」Tシャツのデザインも担当した翔也くん。
ずっとこの3人でやっていってもらいたいナァ。
今の若い人たちのバンドっていとも簡単に解散しちゃうからナァ。
頼むぜ、オイ。

230v4曲目は「Sound Like Dreams」。
ん?Johnnyくんの「ジョニー」ってJohnny Cashの「ジョニー」か?
そうであれば刑務所へ行って演奏しないとイカンな。

240_sldステージセンターで…

245紙を振り乱してのソロ!
2203から飛び出す音が素晴らしい。
「若者」にしておくのがモッタイナイ!
すぐ年取っちゃうけどね。

250vそしてコレは別の機会で新しい曲って言ってたかな?
「The Sunset」というナンバー。
しかし、歌もいいんだよな~、この人。

260v_ssココでも入魂のソロ。

270v初ワンマン公演の告知をした後、コレも新曲で「Railroad Song」。
ドンドン作ってます。
そう、作家でも音楽家でも画家でも、才能のある人って多作なんだよね。
確率の問題、つまりたくさん作るから有名になって「才能がある」ということになるのかも知れないけど、寡作の才人っていうのは少ないんじゃないかしら?
玉石混交でもいいから曲を作って作って、とにかく作るべし!

280_rsJohnnyくんの足元にはさっき書いたようにエフェクターはない…が、散らかっている。
飲み物はわかるけど、メガネや財布まで転がってる。
こういう人、好きです。どっちかというと私と同類です。

290「最後はブルースを演ります」と「Jukebox Blues」で本編を閉めた。
最近、フトした瞬間にコレ歌っちゃんだよね。
「♪堪らない夜は」というパートがアタマにコビリ付いちゃって!

0r4a0420 そのままアンコールに入って「Far East Cowboy」をプレイ。
写真はないけど、このトリオ、コーラスも果敢に取り入れている。
海外のバンドと日本のバンドの音楽的レベルの大きな違いのひとつの要因がコーラス・ワークだということを、きっとJohnnyくんは知っているんだろう。
つまり「歌」ということだ。

300_jb
短いながらも『関東ギターエロス vol.61』を締めくくるにふさわしい、実に内容の濃いステージだった!

210v

320v

330vLuther Smoke Dokeyesの詳しい情報はコチラ⇒Offcial Website

340さて、エンディング。
コレがまたオモシロかった!
各ライブハウスの方々から寸評を頂く。

350原畠さん…「Lutherは大きいところで観てみたいよね。でも、武道館じゃなくて、野音なんだよね。
よし!オレには野音が見えて来たよ!」
近くて助かります…野音なら勝手知ったるところだし。
原畠さんよろしくお願いします。
Marshallの壁、イッちゃう?

355v最後は「青春の握りコブシ」。
「関東ギタ~」…「エロ~ス!」のコール&レスポンス。
380
コレを150回ぐらいやって61回目の『関東ギターエロス』は幕を降ろした。

360ロンドンのエロス、どうしてるかな?

40v 

200_2 
(一部敬称略 2019年7月25日 西川口Heartsにて撮影)

2019年9月19日 (木)

【イギリス-ロック名所めぐり】vol.41 ~ V&A『Theatre & Performance』の最新展示

こんなTシャツの展示も以前にはなかったゾ。
…と、写真だけ撮ってシレッと通り過ぎようとした瞬間に目に入って来たのが「ZAPPA」の5文字!

3001978年のネブワースのイベントTシャツ。
フランク・ザッパはヘッドライナーだったのかな?
「ZAPPA」とだけあるのがチョイと解せん。
1978年というと、ヴィニー・カリウタ以下あのスゴ腕メンバーが結集していて、「あのバンドはやろうと思えば出来ないことは何ひとつなかった」ぐらいのことをザッパに言わせしめたスーパー・テクニシャン集団の時期。
調べてみると、レパートリーは『Shiek Yerbouti』以降のヒットパレードといったところ。
観たかったナァ。
観客は45,000人ほどだったらしい。

0r4a0010私、17年前にネブワースに行ったことがあるんですよ。
後ろはネブワース城。
写真は撮らなかったけど、現地の人に「ココでレッド・ツェッペリンや10ccが演奏したんだよ」なんて聞かされて大興奮した。
この辺り、緑一色でものすごくキレイだった。もうね、到底この世のモノとは思えない。
移動の車の中から「ホントに美しい!ゴルフ場みたいですね!」とその連れて行ってくれた人に言うと、「ああ、そこゴルフ場だからね」だって。
ゴルフ場でなくても、日本のゴルフ場より自然で美しい。
イギリスの郊外は本当にキレイだ。

8_nw そして、The Tubesだもんね~。
更にピーター・ガブリエル。
Chrismaから最初のソロ・アルバムをリリースした翌年だったんだね。
この時のセットリストを見ると、「Moribund The Burgermeister」、「Here Comes The Flood」、「Waiting for the Big One」、「Solsbury Hill」等々そのファースト・アルバムの曲をバンバン演ったようだ。
私、あのアルバムが大好きだった。
2枚目が出てすぐに買って聴いたけど、まったくオモシロくなくて…以降ピーター・ガブリエルは一切聴いていない。
だから世間で「ゲイブリエル」と呼ばれていることもズット後になって知った。
私は「ガブリエル」でいい。
ファースト・アルバムの思い出を大切にしまっておきたいのだ。
それと、この時、ガブリエルはProcol Harumの「Whiter Shade Of Pale」やGenesisの「The Lamb Lies Down on Broadway」を演ってる。
やっぱり観たかったな~。

310フランス語って難しいよナァ。
全く素養のないアタシなんぞ下の「Champs・Eleysees」が読めませんでしたよ。
「チャンプス・エリシーズ」ってなんだ?みたいな。
コレ、「シャンゼリゼ」と読む。
読まないなら最後の「s」を付けるな!
「Theatre Des Champs・Elysees」だから「シャンゼリゼ劇場」ですな。
下を見ると「BALLETS RUSSES」とある。<前編>に登場したセルゲイ・ディアギレフの「バレエ・リュス」だ。
コレは1913年の告知ポスターで、ストラヴィンスキーの『春の祭典』が初演され、上へ下への大騒ぎとなった年。
『春の祭典』はシャンゼリゼ劇場の杮落し公演だった。
ポスターのデザインはジャン・コクトー。
モデルはニジンスキー。
出し物はミハイル・フォーキンという有名なバレエ・ダンサーの振り付けによる『薔薇の精(Le Spectre de la Rose)』という作品。
フォーキンは他に『シェヘラザード』、『火の鳥』、『ペトルーシュカ』等のバレエ・リュス作品の振り付けを出がけた。
「薔薇の精」の音楽は、ウェーバーの元曲をヘクトール・ベルリオーズが管弦曲にアレンジした。
ニジンスキーが「薔薇の精」を演じ、バレエ・リュスの人気演目となったそうだ。

320vすっごいツマらない脱線をしてもいい?
私にとってはとても興味深い話だったもんで…。
これまでMarshall BlogやShige Blogで今回ヒザを痛めた話をしたでしょ?
あんな状態だったものだから、日本に帰って来てからというもの、日課のウォーキングができなんでいたのね。
だってあの激痛は二度とゴメンだからサ。
そしたらアッという間にプーランクが上がってしまい、困っていたのです。
「プーランク」というのは、尾篭な話ですが、オナラの回数のランクね。ニオイのランクに対しては使われない言葉。
運動不足で腸の働きが不完全になるのか、オナラがジャンジャン出てしまい、回数が上位にランクするようになった。
それが、ここのところヒザの調子もよくなったのでサポーターをして以前のように1日1万歩を目安に歩くようになった。
すると、アラ不思議!
プーランクが極端に下がり、オナラの回数は限りなくゼロになった。
すごいモンですな、運動の効果ってものは。
 
こんな話をしたのは、本人には大変失敬な話なんだけど、フランスの作曲家フランシス・プーランクの話をしたかったから。
以前は「プーランク」と「クープラン」の区別も怪しかったが今は違う…クープランも17世紀のフランスの作曲家ね。
ナゼ、プーランクの存在がそんな前面に押し出されてきたかというと、そのオナラのせい…じゃなくて、とにかくカッコいい曲がたくさんあるのよ!
「ピアノ協奏曲」とか「オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲」とか…。
それで調べてみると、プーランクもバレエ・リュスに関係していて、ストラヴィンスキーの『春の祭典』に心酔しきっていたそう。
そんな関係で、なんとストラヴィンスキーの「結婚」の初演でピアノを弾くことになっていたっていうのよ!
スゴクね?
残念ながら実現はしなかったが、実に興味深い話ではあるまいか!
Shige Blogに書いたように「結婚」って曲がメッチャ好きなんです、私。
記事はコチラ⇒【Shige Blog】ついに『結婚』!  
変な脱線しちゃってゴメンね~。でもバレエ・リュスつながり…ということで。
 
さて、V&Aはの『Theatre & Performance』の展示はこういうポスター群も見どころ満載。
アンナ・パヴロワか…まるで時代の空気を運んできてくれるようだ。
ま、ネタとしてはかなり取り扱いがラクな方だろう。
そのせいかどうかは知らないが、以前来た時とは総入れ替えになっていた。
ロックっぽいヤツを少々拾ってみると…

330まずはロバート・ジンマーマン。
ボブ・ディランね。
オーストリアのマーチン・シャープというポップ・アーティストが、1968年に『Oz』というアングラ誌のために制作したイメージ・ポスター。
同心円がディランの顔の周りをビッシリ囲っている。
コレは万華鏡のイメージで、当時のサイケデリック・アーチストが好んで使ったモチーフだった。
かけているサングラスの右レンズに入ってる文言は「Blowing in the Wind」。
幻覚剤で向こうの世界へ行っちゃってるイメージを視覚化しているのだそうです。

340v有名な『Isle of Wight Festival(ワイト島のフェスティバル)』のポスター。
なんかミュシャっぽくてよろしいな。
ちなみに外人に「ミュシャ」と言っても通じない。「ムーカ」だ。
「ゴッホ」は「ゴッ」ね。
ワイト島はMarshallを海外に輸出する時に使う港、サウザンプトンの南にある島。
ビートルズの「When I'm Sixty Four」で「そんなにお金がかからなかったら、毎年夏にワイト島にコテージを借りよう」って歌うヤツね。
「isle」と「island」の違いは、一般的に「island」は「島」を表すのに対し、「isle」は小さい島を指す。
で、このフェスは1968年が第1回目の開催。元々は『Great South Coast Bank Holiday Pop Festival』と呼ばれていた。
「Bank Holiday」というのは1871年に導入されたイギリス独特の国民の休日で、読んで字のごとく、銀行が営業を休んじゃう。
国民が働きすぎるので、銀行を休みにしちゃえば国民すべてが休まざるを得ない…ということで導入された国民の休日。
今年のバンク・ホリディは5月6日の「Early May Bank Holiday」、5月27日の「Spring Bank Holiday」、そして8月26日の「Summer Bank Holiday」。
全部月曜日なんだけど、あまりにも日本に関係ないせいか、いつがバンク・ホリディなのかがサッパリ覚えられん。
すると、Marshallにメールを打って返事が来ないとすぐに「なんだ、またバンク・ホリディか?」なんて勘ぐってしまうのだが、実は年に3日しかないの。
しかし『メリー・ポピンズ』じゃないけど、やっぱり銀行のステイタスが日本とはゼンゼン違うことを思い知るね。
だから、このワイト島のフェスも「バンクホリディを有効に使いましょう!」的な動きがあったのかも知れない。
あと「ボクシング・ディ」とかね。
で、このフェス、1968年から始まって3年ほど開催して終わっちゃった。
どんな人たちが出ていたのかは、羨ましすぎて悲しくなるので書かない。
そして、2002年に復活。
見た目はレトロ調だが、このポスターは2011年のモノ。
350vマルコ・ピローニ(Marco Pirroni)を従えた新しいバンド・メンバーで催行した1980年のAdam Antのコンサート告知ポスター。
「High Wycombe(ハイ・ウィカム)」というのはロンドンの北西、オックスフォードとのちょうど中間ぐらいにある郊外の都市。
「Town Hall(タウンホール)」というのは市庁舎。
イギリスの郊外にある町の市庁舎なんてところは間違いなく歴史があってステキな建物なんだけど、調べてみるとやっぱりここもスゴイ建物だった。
アダム・アントが出て来た頃って、私は大学生で、プロ・ミュージシャンになりたくて夢中になってバンドをやってた時分だった。
なんか「ジャングル・ビート」みたいな触れ込みで注目されていたように記憶しているが、私はどこがオモシロいのサッパリわからなかった。
今になって考えてみると、実はそうではなくて、彼らの音楽がわからないかったのではなくて、パンク/ニューウエイブに席巻されまくっていた当時のロックに与することができない「自分」がわかっていなかったのだと思う。
この辺りから急激にロックに対する情熱が失せ、そしてロックから離れて行った…自分にそんな変化をもたらしたミュージシャン、ということでアダム・アントって思い出深いんだよね。
みんな「なつかしの80年代」ってやってるけど、私は「80年代のロック」と今のロックは何も変わっていないと思っている。
しかしですね~、後でまた出て来るけど、このアダム・アントってのはイギリスではケタ違いに人気があったんですな~。

360ルー・リードも亡くなってしまったネェ。
1973年、代表作『Berlin』のレコ発ライブ。
会場はグラスゴーのアポロ・センター。
この時のコンサートはオールド・ファンの間では「悲劇」として認識されているそうだ。
今では『Berlin』はルー・リードの代表作とされているが、発売当時は大変な悪評をかった。
それでヘソを曲げたのか、ルーはこの時、スタッフに運ばれて来てステージに立ち…イヤ立たなかった!
ステージに仰向けになったまま全曲演奏し切ったのだ!
そして、演奏が終わるとまたスタッフが抱えてステージから降りた。
チョット見たかった気もするナァ。
でも私、ルー・リードとかヴェルベッツも苦手なのよ。

3701983年、15か国、96公演をこなしたデヴィッド・ボウイの『Let's Dance』のレコ発ツアーのポスター。
キャリア中最も長く規模の大きなツアーではあったが、それまでの「Ziggy Stardust」や「Diamond Dogs」等のツアーの時とは正反対に、セットはシンプル、衣裳替えもなしといった内容だった。
ナニ、デヴィッド・ボウイってこの『Let's Dance』が一番売れたんだってね~。
イラストの意匠はフレッド・アステアかな?

380v本家イギリスの博物館ゆえビートルズ関連の展示品ががたくさんあると思うでしょ?
そうでもないんだよね。
前回と展示が入れ替わっていて今回はこんなアイテムがディスプレイしてあった。
1964年のフィギュア。
もう「ビートルマニア」の皆さん垂涎のお品でございます。
メンバーひとりひとり別売りで、箱の中に取説が入っていた。
「簡単なパーツをくみ上げてチョット色を加えるだけでジョン(ポール/ジョージ/リンゴ)があなただけのモノに!」
誰のフィギュアが一番売れたんだろう?
リンゴか?
今と何ら変わらないんだろうけど、フィギュアのネタが人間っていうだけまだ時代が正常だったんじゃないかね?
そういえば昔、ドラムスのプラモデルってあったよね?
子供の頃は一体誰がこんなの買うんだろう?と思っていたけど、当時はドラムスなんてそう簡単に始めることができない高価で珍しいモノだったんろうね。

410もうイッチョ、ビートルズネタ。
イギリスのビートルズのファンクラブ、『The Beatles Offcial Fan Club』の1964年発行の会報。
こういうの「ファンジン」っていうの?
「Freda Kelly(フリーダ・ケリー)」という人が代表を務めたこのファンクラブはイギリス最大の規模を誇り、会員数は国内だけで5万人を優に超えていたという。

560ココで映画ネタ。
このアイテムは以前に見たことがなかったのでかなり興奮した。
それは映画『欲望という名の電車(A Streetcar Named Desire)』に関係するアイテム。
下は日本公開時のポスターで、V&Aの展示品ではないんだけどキャッチコピーがあまりにもスゴイので取り上げてみた。
こうある…「淫蕩の血と知性の相克!赤裸々な描破に依ってえぐり出された女性本能の姿!」
ナンのこっちゃ?
「描破(びょうは)」なんて言葉は初めて見たよ。
1010v『欲望という名の電車』は、原作のテネシー・ウィリアムスの戯曲も、その舞台や映画もとても有名ななので話しをご存知の人も多いことでしょう。
野獣のようなポーランド系の男、スタンレー・コワルスキーと結婚した妹のステラが住むニュー・オリンズの家を訪ねるブランチ・デュボア。
「デュボア(DuBois)」なんてのはフランスの名前だね。
没落したデュボア家を継いだブランチは、離婚をして行き場がなく、ステラのところに身を寄せざるを得ない。
ところが下品なスタンレーとはソリが合わず、スタンレーもブランチがデュボア家の遺産を隠し持っているのではないか?と身辺の調査をする。
一方、スタンレーの友達のミッチはブランチに好意を持ち、結婚まで考えるがスタンレーが調べたブランチの過去を知って離別してしまう。
失意のブランチに非情な仕打ちをするスタンレー。
そして、ブランチは発狂してしまう。
果たしてスタンレーが調べ上げたブランチの過去とは?…みたいな。
舞台劇だからほとんどその4人しか出て来ない。
ブロードウェイの舞台でも「ステラ」を演じたのはキム・ハンターで、彼女はこの年のアカデミー助演女優賞を獲得した。1020v「キム・ハンター」と聞いてピンと来る人は結構熱心に映画を観ている人。
そう、『猿の惑星』でチンパンジーの「コーネリアス」の恋人の「ジーラ」を演じた人。
チャールトン・ヘストン演じるテイラー船長のキスを受けて恥じらうジーラは、マシラながらとてもチャーミングだった。
1030スタンレーはマーロン・ブランド。
ブランドもブロードウェイでスタンリーを演じていて、コレが映画デビューだった。
粗野で、下品で、育ちが悪そうで、汗臭そうで、イジワルそうな役柄を実にシャープに演じた。
ただこの人、声が軽いんだよね。
ブランドはこの作品ではオスカーを逃したが、1954年、同じくカザン監督の『波止場』で見事獲得。
そして、『ゴッドファーザー』のドン・ビトー・コルレオーネ役で再びオスカーを受賞したが、辞退してしまった。
フーム…マーロン・ブランドは高峰秀子と同じ歳だったのか…。
1040
ミッチを演じたのはカール・マルデン。
鼻がスゴイ。
もう「カール・マルデン」というと戦争映画のイメージしかないんだけど、この役はヨカッタなぁ。
マルデンもこの作品でアカデミー助演男優賞を獲得。Cm そして、主役のブランチ・デュボアを演じたのはヴィヴィアン・リー。
ヴィヴィアン・リーはイギリスの女優さんで、『風と共に去りぬ』がアメリカで公開された時、アメリカの若い男性は「イギリスにはこんな美人がいるのか!」と腰を抜かして驚いたという。
イエイエ、いくら世界の一等国の女性でもピンからキリまでいますから!
ヴィヴィアンはウエスト・エンドで「ブランチ」役を演じた。
一方、ブロードウェイのオリジナル・キャストではジェシカ・タンディがブランチを演ったというから驚きだ。
ジェシカ・タンディもイギリスの女優さんなんだけどね。
ヴィヴィアンはこの作品で2度目の「アカデミー主演女優賞」を獲得した。
やっぱり存在感が生半可じゃないよね。
スゴイ演技だと思う。
51050vj日本での文学座の舞台では、杉村春子がブランチを演じて当たり役となった。
この作品のおかげで「文学座」に入団を希望する人の数が爆発的に増え、仲代達矢らが所属した「俳優座」に大きく水を空けたという。
私はお芝居にはほとんど興味がないが、杉村春子のブランチだけは観ておけばヨカッタと臍を噛む思いをしている。
下の『杉村春子 女優として、女として(文藝春秋社刊)』という評伝の表紙はブランチを演じている杉村さん。
買ったはいいけど、まだゼンゼン読んでいない。
1100 私は大学の米文学の授業でコレを原文で読まされましてね。
正直、ほとんど覚えていないんだけどね…ただひとつ、ヤケに印象に残るセリフがあった。
「あなたの名前はラテン語で『星』という意味だけど、私のブランチという名前は『蛾』という意味なのよ!」
と、ブランチがステラに向かって吐くセリフ。
確か、このセリフは映画には出て来なかったように記憶している。
1090b さて、V&Aの「Theatre & Performance」というコーナーに展示されている『欲望という名の電車(A Streetcar Named Desire)』関連の貴重なアイテムのウチのひとつがコレ。
ヴィヴィアン・リーが撮影の時に着用したカツラ。
ヴィヴィアンは役柄によって変化をつけるために頻繁にカツラを着用したそうだ。
そしてこの作品でブランチ・デュボアを演じる時、スタンリー・ホールという(偶然「スタンリー」!)彼女のカツラ製作者に「グラマラスに見えないように!」とキツく指示を出したのだそうだ。
そこでホールはカツラの髪のボリュームを減らし、特に色もつけず、ブランチをみすぼらしく見せ、神経質で疲れ切ったそのキャラクター作りの手伝いをした。430もうひとつはヴィヴィアン・リーが『欲望という名の電車』で獲得した「アカデミー主演女優賞」のオスカー像。
ヴィヴィアンはすでに1939年に『風と共に去りぬ』で主演女優賞を獲得しているので、上に書いたようにコレは2つめのオスカー。
1952年、彼女はブロードウェイの劇場で主人のローレンス・オリヴィエと『クレオパトラ』を演っていたため授賞式には出席できなかった。
受賞の知らせは楽屋に流れていたラジオで知ったそうだ。
570vこの作品を撮ったのは『紳士協定』や『波止場』や『エデンの東』を撮ったエリア・カザン。
映画作りのとても上手な人だと思う。
カザンは1950年代のハリウッドにレッド・パージ(共産主義排斥運動)が吹き荒れた時、当局と司法取引をして仲間の名前を漏らした「裏切者」として業界で長い間冷や飯を喰わされた。
1998年にアカデミー映画協会がカザンに「アカデミー賞名誉賞」を与えたが、リチャード・ドレイファスは授与に反対の声明を出し、ニック・ノルティは受賞のセレモニーの時に拍手もせず、座ったままだった。
この光景をテレビで見て私もビックリした。
日本は「水に流す」ことを美徳とするが、欧米や儒教の国ではナニか人の道に反することをした者は「未来永劫絶対に許さない」のが普通なのだ。
だから、1970年代に鉱業や造船業といった不況業種を強引に縮小して「英国病」と言われた長年の不況からイギリスを救ったマーガレット・サッチャーは、たくさんの失業者が出てしまったことで今でもングランド北部の人たちから猛烈に憎まれ続けているんよ。
その日本の美徳も今となっては政情に大きな悪影響を及ぼしているとは言えまいか?
イギリスでは今でもサッチャーの誕生日だか命日になると、SNSにこういう写真が投稿される。
「私、死んでますから!」Mt エリア・カザンについてもうちょっと書かせてね。
カザンが司法取引をして当局に売り渡したのはダシール・ハメットやその奥さんのリリアン・ヘルマンだった。
ダシール・ハメットはサム・スペードの『マルタの鷹』を書いたハード・ボイルド作家。
『血の収穫』という作品は黒澤明の『用心棒』の下案として知られている。
一方、リリアン・ヘルマンは戯曲作家で、オペレッタ『キャンディード(Candide)』を書いた人。
それに音楽をつけたのがレナード・バーンスタイン。
バーンスタインも同性愛の共産主義者として知られていた。
このあたりは【Shige Blog】レナード・バーンスタインの/とアメリカをご覧くだされ。
残念ながらこのオペレッタ/ミュージカルはヒットせず短命に終わった。
しかし、バーンスタインは何かのビデオで「舞台は失敗したが、音楽は残った」と言っていた。
そう、音楽が本当に素晴らしいんですわ。
『ウエストサイド物語』に比肩するほどの名曲ぞろい。
コレは私の超愛聴盤の『Candide』のオリジナルキャスト・レコーディング。
『キャンディド』というと、「序曲」ばかりが有名だけど、メッチャいい曲がテンコ盛りですから!
Candide
『The Six Wives of Henry VIII(ヘンリー8世の6人の妻たち)』というテレビドラマガあったとか。
コレはBBCの歴史に残る名作で、70年代のテレビ番組を代表するような出色の出来だったらしい。
み、観たい!…八っつぁんファンの私としては!
でもダメだ!DVDは出ているけど字幕版がない。こんな文芸作品を字幕なし観るなんてことはできんからな。

8_h8dそのドラマでヘンリー八世を演じたのはキース・ミッチェルというオーストラリア出身の俳優で、コレが当たり役となり1972年にテレビ番組の栄誉、アメリカのエミー賞を獲得し、その後も舞台でヘンリー八世を演じ好評を博した。
コレがその時のエミー賞のトロフィ。

580v1955年頃描かれたヘンリー五世を演じるリチャード・バートンの肖像画。
恥ずかしながらリチャード・バートンがイギリス人だとは知らなんだ…というか、気にしたこともなかった。
ウェールズの炭鉱夫であったジェンキンズ家に13人兄弟の12番目として生まれ、教師が養子にとり「バートン」と改姓した。
オックスフォード大学にも行かせてもらい俳優としてその才能を開花。
イギリスとアメリカの両方で大活躍した。
戦争映画や史劇、コメディやミュージカル等、様々なタイプの作品に出演し、7回アカデミー賞にノミネートされたが、生涯獲得することはできなかった。
マンガと怪獣ばかりの現在のハリウッド映画にあって、今のアカデミー賞なんて重みも威厳も意味もナニも感じられないけど、映画が最高の娯楽だったこの時代は大変だったからね。
グラミー賞もレコード大賞も同様。
演る方も観るほうもベテラン層と若者層の間が分断されちゃって、エンタテインメントの統一が図れなくなってしまい、こうした「賞」モノに意味がなくなって来たように思う。
年寄りはより凝り固まり(私です)、若者はより低きに流れて行ってることは否定できまい。

440vリチャード・バートンもヘンリー八世を演ってるんだよ。
『1000日のアン(Ann of the Thousand Days)』という映画。
「アン」とはもちろんヘンリー八世の2番目のお妃、アン・ブーリンのこと。
この役を演じたジュヌビエーヴ・ビジョルドがすごく可愛くて、気が強くて、いかにもアン・ブーリンっぽくてとてもヨカッタ(実際にアンに会ったことはありません。首を落とされた場所には行きました)。
バートンのヘンリー八世は大変クールでした。

Ann下はコヴェント・ガーデンに今でもある「Theatre Royal Drury Lane(シアター・ロイヤル・ドルゥリー・レーン)」の座席の価格表掲示板。
コレはナゼか6年前にも展示してあって、今でもこうして残っている。
なので、以前書いた文章を転用させて頂く。
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スゴイ。
真ん中の「PRIVATE BOXES」というサインの下に「£1-17-0 to £7-0-0」とあるでしょ?
コレ「1 ポンド17シリング0ペンス」から「7ポンド0シリング0ペンス」と読む。
同様にその下の「16'6」だとか「3'3」なども「16シリング6ペンス」、「3シリング3ペンス」を意味している。

この補助通貨のシステムが異常に複雑で1ポンドが20シリング、1シリングが12ペンスと、20進法と12進法が組み合わさっていた。
さらによく映画なんかでも見かけるが、「ギニー」というのがあって、1ギニーが21シリングと同価値だったという。
このギニーというのは長い間価値が定まらず、18世紀の初めに1ギニーが21ポンドと決められたが、この辺りを主導したのはあのニュートンだったそうだ。
このポンドとギニーの1シリングの差はチップ込みか否かという表れだったらしい。

こんなんでどうやって買い物してたんだろうね?
今ではポンドとペンス(1の時はペニー。ペンスはペニーの複数形)しかないし、計算も100ペンスが1ポンドとごくごく簡単だが、1971年まではこのシリングを使ったシステムが通用していた。
Roxy Musicの「Three and Nine」という曲はこの複雑なシステムを題材にしていることは以前にも書いた。
この曲が収録されている『Country Life』は1974年の発表なので、そのチョット前まで、Bryan Ferryたちはこのシステムの中で生活していたことになる。
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そゆこと。
ちなみに我々にはなじみのない単位として、イギリス人は体重を表す時、「Stone(ストーン)」という単位を使う。
基本的にはメトリックの国ゆえ、重量は「t,g」を使うのに体重の単位だけは譲れないらしい。
先月、一緒になったイギリス人ドラマーに体重を尋ねると、ストーンでしか答えることができないのを発見して驚いた。
「じゃ、ポンドでいうとどうなの?」と質問を重ねたところ、「もっとわかんない」って。
1ストーンは6.35kg。

550vイヤだな~、自慢ばっかりになっちゃって!…そうじゃない。
「自慢」では決してなくて体験談だから。
そういえば、私が前の会社を辞める時に挨拶をすると「あ~あ、コレでシゲさんの自慢話も聞けなくなるのか~、寂しいな~」って言った若いギタリストがいたっけナァ。
私よりクチの悪いヤツだった。
でも、ナンだっていいけど、寂しがってくれてうれしかったよ。
彼、今ナニをやってるんだろうな…寂しいな~。
 
私の体験談とは、このドゥルリー・レーンで『My Fair Lady』を観たこと。
コレがその時のプログラム。「Programme」っていうイギリス式スペリングがいいでしょ?

8_0r4a0192例によってハーフプライス・チケットだったので席は一番後ろ。
ココすごくデカくてね、甲子園で言ったらアルプススタンドの一番上。
もうイライザ・ドゥーリトルもヒギンズ教授も顔はまったく判別できない距離。
それでも実際の舞台のすぐ横で観た『My Fair Lady』は格別だった。
下はプログラムの表2。
今は観光客で一日中賑わっているコヴェント・ガーデンもちょっと前まではこうした本当の市場だった。
その様子はヒッチコックの『フレンジー』でも窺い知ることができる…ラヴリッ!

8_0r4a0195ね、「THEATRE ROYAL DRURY LANE」って入ってる。
ゴメン、結局コレ、自慢だったわ!
8_0r4a0197『Theatre and Performance』の展示とだけあって…

500実際に舞台で使われていた衣装がタップリと飾ってある。

510強引な部分もあるけど、ナンカ今回は色々とつながってオモシロいナァ。
この顔色の悪い黒装束のオバサンは『オズの魔法使い』の「西の魔女」か?または、ミュージカル『Wicked』か?…同じキャラクターだけど。
『オズの魔法使い』といえば「Good bye Yellow Brick Road」じゃんね。
「黄色いレンガ」の道をたどって「オズの魔法使い」に会いに行く。
その「オズの魔法使い」の裏話が『Wicked』
邪悪な(wicked)西の魔女エルファバと善良な南の魔女グリンダとの知られざる友情物語。
ミュージカルは観たことがないんだけど、オリジナル・キャスト・レコーディングのCDは持ってる。コレがなかなかいい。
ハイ、脱線。

520脱線しない地下鉄でやって来たのは「London Victoria Station(ロンドン・ヴィクトリア駅)」。
ロンドンのターミナル駅のひとつ。

8_img_0206電車に乗ってテムズ川を渡ると2、3分で左側にコレが見えて来る。
あ、こういう風には見えないよ。
こんな感じ⇒【イギリス-ロック名所めぐりvol.9】 バタシー発電所
今、この辺りは再開発が進んでいて、ショッピング・センターを中心とした巨大な複合施設を作っているんだけど、ロンドンのひとつのアイコンとして、この4本の煙突は残しているらしい。
といっても、こんな重量物をそのままにしておくのは無駄なので、なんと、プラスティック製の煙突を乗っけるそうだ。
ああ、ホンモノをジックリ見ておいてヨカッタ!…コレは自慢。

Am そして、エルトン・ジョンつながりをもうひとつ。
ヴィクトリア駅の真ん前の「Victoria Palace Theatre(ヴィクトリア・パレス劇場)」でやっていたのがエルトン・ジョンが音楽を担当したミュージカル「Billy Elliot」。
コレは後でもう一回チラっと触れる。

8_img_0211その劇場を背にこんなモノが立っている。
これは「Little Ben(リトル・ベン)」と呼ばれていて、フランスの「Elf」という石油会社からイギリスとフランスの友好の証として寄贈された。
ロンドンを歩いていると街中でよく時計を見かける。
昔は腕時計なんかなかったので、公共の場所に時計を設置して時間を知らせていたんだね。
さすが「世界標準時」の国だけのことはある。
このビッグ・ベンのミニチュアはアチコチを移転したが、現在は元あったこの場所に戻ってきた。
で、この時計、実際のロンドンの時刻より1時間進んでいて、フランスと同じ時刻を示している。

8_img_0215プラークを見ると「リトル・ベンのサマータイムのお詫び」としてあって、その下に「Couplet(カップレット=対句)」が刻まれている。
リトル・ベンが何を謝っているのかと言うと…
「私の手(時計の針のこと)は進んでいたり、遅れていたりするかも知れません」
「私の心拍はイギリスとフランスの真実を示しています」
わからん…リトル・ベンはナニを言ってるのか?
調べてみた。
むかしむかし、イギリスは「サマータイム」という制度を知らなかった。
その後、サマータイム制を導入した。
リトル・ベンが刻む時間はフランスに合わせているため、夏季のみリトル・ベンが正しい時間を示すことになった。
秋になってサマータイムが終わると、リトル・ベンが示す時刻はまた1時間進んでしまうことになる。
でも、「それらの異なっている時間はイギリスにおいてもフランスにおいても真実なのです」として友好関係を表しているらしい。
ん~、よくわからんな…というのは、フランスもサマータイムをやってるんですけど。
でも、EU全体でこのサマータイムを廃止するかも知れないんだよね。
日本はどうなったんだろう?
経済効果がなく、国民の健康にも害を及ぼすと言われているこの制度…ま、日本の優秀な政府のことだから、みんなが止めた頃始めるんじゃないの?
サマータイムを導入してカジノでタップリ楽しもう!ってか?
おおっとっととっと…コレ以上は書かねーゼ。

8_img_0213そして、ヴィクトリア・パレス劇場の隣にある「Apollo Victoria(アポロ・ヴィクトリア)」と言う劇場で『Wicked』が上演されていた。
2014年に8年のロングランを経て終演した。
コレだけの話。
イヤ、この写真を撮ったの大分前なんだけど、こんな大きな駅前の真ん前に劇場がふたつもあるなんてビックリしたんだよね。
ソレだけの話。

8_img_0218色とりどりの舞台衣装の他…530こうした小道具の展示も充実している。

540芝居やミュージカルの衣装だけじゃないよ。
ロック・スターの衣装。
コレも結構入れ替わっていた。
 
まずはコレ…。
『ボヘラ』の次は『ロケットマン』ってか?
またぞろ「にわかエルトン・ジョン・ファン」が急増するんだろうな。
ま、映画ぐらいはいんだけどサ。
亡くなった時に爆発的にファンが増えるのはどうなのよ?
プリンスのことはサッパリわからなかったし、興味がなかったけど、どデヴィッド・ボウイのアレはないんじゃないの?
「あ~、デヴィッド・ボウイが逝ってしまって、もうショックで、ショックで…」
「エ~、アンタ今までボウイの『ボ』の字すら口にしたことなかったじゃんよ!」
「イヤ、『ジギー・スターダスト』好きだったんだよ。あの『グロリア』って曲が特に…」
「ダメだ、コリャ…」ってなところだろう。
ナゼ私がコレを言うかというと、イギリスに行くと感じるんだけど、デヴィッド・ボウイってイギリスの文化そのものなんだよね。
要するに世の中に与えた影響がオッソロシク大きかった。
Pink Floydなんかにしてもそうなんだけど、日本ではどうしてもKing CrimsonやYesやELPと同一線上でしか現れないけど、イギリスでは全く違う。
今、多分、一般人の口からPink Floydの名前は出てもKing Crimsonの名前がでることはまずないと思う。
要するにボウイにしてもフロイドにしても、「音楽」が作ったひとつの「文化」なんだね。
だから何も知らないにわかファンが、あたかも自分の青春を捧げたかのように上っ面だけ死を悼むのを見ているのが恥ずかしいんだな。
エルトン・ジョンは<前編>で登場した通りだ元気だけど、もしもの時に、『Goodbbye Yellow Brick Road』を引き合いに出すとすれば、「Staturday」や「Bennie」のことをどうこう言う人は怪しいな。
それより「Sweet Painted Lady」や「Harmony」や「Roy Rogers」のことに触れて欲しい。
ちなみに私は「Skyline Pigeon」が大好きです。
ということで、エルトン・ジョン。
 
1974~1975年のアメリカ・ツアーの時の衣装。
この時期のレジはというと、1974年に『Caribou』、75年に『Captain Fantastic and the Brown Dirt Cowboy』と『Rock of the Westies』をリリースしている。
最後のいい時…レジもコレに続く1978年の『Blue Moves』までだな。
この後も『The Lion King』や『Billy Elliot』なんて世間的にいい仕事はしているものの、70年代初めのクリエイティビティに比べたら何をかいわんやでしょう。
『The Lion King』は「心配ないさ~」しか知らないけど、『Billy Elliot』はCDを買って来てみたけど
全くピンと来なかった。若い頃は10分ぐらいで作曲をしていたらしいね。
その才能たるやすさまじかったらしい。
夜中にバーニーが詩を書いてピアノの上に置いておく。
翌朝レジがそれを見ながらコードをつけて「♪フフフン」と歌って1曲仕上げる。
以上…その間10分。
10分以上取り組んでも良いメロディが出ない時は容赦なくその歌詞をボツにしたらしい。
こうして歌詞にメロディを付けるもんだからレジの曲はやたらと歌うのがムズカシイ。
コーラスによって歌詞の譜割りがマチマチなのだ。

400vこの「Bicycle John(バイシクル・ジョン)」と呼ばれる衣装はその名の通り、自転車をモチーフにしたデザインで、ベル、ハンドル、泥除け、反射板などの要素が詰め込まれている。
背中の「27」はこのツアーを行った時の年齢だろう。
調べてみるとレジは1947年。コレに27を足すとこのアメリカ・ツアーをやった年の「1974」になる。
しかし「歴史に『if』はない」とよく言うけど、ロックの歴史へは「if」の持ち込みOKとしよう。
エルトン・ジョンの髪の毛がフサフサだったらこの稀代の天才作曲家にしてスーパースターはこの世に存在していたか…。
『ロケットマン』、老人割引の日に観に行ってみようかな?

450v皆さん大好きのLed Zeppelin。
1975年のジミー・ペイジのステージ衣装。

460vモチーフは古代のヘブライとエジプト。
難解な宗教と神秘主義という個人的な趣向が反映されていたのだそうだ。
世界的な人を得、パフォーマンスが過激になるにつれてステージ・衣装もドンドン派手になっていった。
コレ、ジミー・ペイジのデザインで、ご本人から寄贈されたそうです。
歩いて持って来たのかな?
ジミー・ペイジの家ってココから近いからね。
『【イギリス - ロック名所めぐり vol.12】 South Kensington(サウス・ケンジントン)を往く』
で紹介した家ね、先日ロンドンに住む音楽業界のイギリス人の友達に聞いたら、まだココに住んでるんだって。

470vね~、またアダム・アント!
スゴイ人気だったことが窺えるでしょ?

480v1981年、この衣装を着て撮影されたのがこの「Prince Charming」という曲。
展示の解説によると、この曲がもっともよく知られているナンバーだとか。
全く知りませんし、理解もできませ~ん!

2008年のアルバム『Viva la Vida』のイメージに合わせて作ったColdplayのクリス・マーティンの衣装。
デザインはポールとリンダ(またリンダ!)の間の次女、ステラ・マッカートニー(また「ステラ」!)とサラ・ジョウェットという人。

490vウ~ム、コレがその『Viva la Vida』か…いいジャケットだな。
絵はドラクロワの「Liberty Leading the People(民衆を導く自由の女神)」。1830年。
衣装はこのフランス革命のフランス軍の軍服をモチーフにしているのだそうだ。
しかし、こういう絵に出て来るヒロインっぽい人たちってなんで乳だしてんだろうな?
「なりふり構わず!」ということなのだろうか?
ジャケに惹かれて音を聴いてみる…なかなかいいモンだね、2回は聴かないけど。
コチラさんはものスゴイ人気なんでしょ?
やっぱり日本のそういう人気のバンドさんとは全然趣きが違いますな~。大人だわ。
2番目に収録されている「Cemestries of London」という曲に「朝日のあたる家」のメロディの一部が出て来てドキっとしたわ。

8_vlv以上!
こんなに書くつもりはなかったんだけど脱線が脱線を読んでこういうことになってしまいました。

590最後までお付き合いくださってありがとうございます。
また何年後か、展示が入れ替わった頃を見計らって訪れてみたいと思う。
V&A大好き!
近くにあれば年会員になってもいいぐらいなんだけど…もっと近ければな~。
ということで、ココから先はオマケ。
V&Aの近場をご紹介。

600V&Aの近くにはヴィクトリア女王がロンドン万博で得た利益を元に造った世界的に有名な博物館が散在しているけど、それを通り抜けてハイド・パーク方面へ歩くと、辺り一面レンガづくりの建物のエリアとなる。
ココも見事だよ。

610こんなモノを発見。
イギリスの大指揮者、マルコム・サージェントが住んでいたフラット。
サージェントはロンドン・フィルの客演指揮者をよく務めたり、ロイヤル・リヴァプール・フィルやBBC交響楽団、BBCプロムスの常任指揮者を務めた。
そのリヴァプールの関係か、サージェントはアビィ・ロードでレコーディングしていたビートルズを表敬訪問したことがあったそうだ。
元々、アビイ・ロード・スタジオはクラシック音楽のための録音スタジオなワケで、当時はクラシックの有名な音楽家がたくさん出入りしていて、ビートルズの面々もジョージ・マーティンを介してそうした音楽家の薫陶を受け、音楽性を高めた…と見る人もいるようだ。

8_img_9519 で、見えて来るのが…

8_img_9513コレ。

8_img_9515ロイヤル・アルバート・ホール。
1回も入ったことがなくってね~。
Zappa Plays Zappaが出るっていうんで、大決心をしてMarahalllの知り合いにチケットを頼んだことがあった。
売り切れで見事撃沈!
いつもこうして外から眺めているだけ。
観たいモノがあればチケットを買ってもいいんだけど、好みのモノをやっていた試しがない。

8_img_9526 入り口の横に催し物の予定表があった。
ハハハ、ちょうどアルバート公の記念碑が反射して写ってら。
どれどれ、見てみようか…どうせ観たいのなんてやってるワケない。

630v17日…イギリスを離れる日にブライアン・フェリーか…。
高校の時に中野サンプラザで観たし、Roxy Musicの初来日公演も武道館で観たからいいや。
オイ、ちょっと待て!
その次の日から3日間、King Crimsonじゃねーかよ!
18日はもう日本にいるわ~!
ね、こうして絶対にいいのが当たらないのよ。
King Crimsonも浅草の国際劇場で初来日公演を観たけど…あ~あ、ナント言ってもハイド・パークの隣で観てみたかったな~。

640v

200_2 
(一部敬称略 2019年6月7日 Victoria and Albert Museumにて撮影)

2019年9月17日 (火)

【イギリス-ロック名所めぐり】vol.40 ~ V&A『Theatre & Performance』の最新展示

  

今回の旅では何度もサウス・ケンジントンに行ったナァ~、と思ったけど2日続けて2回行っただけだったわ。
Shige Blogで細かくやったし、今日のMarshall Blogもそうだから何回も行ったような錯覚をしているんだな。

06博物館エリアに向かうサウス・ケンジントン駅のコンコース。
アンドリュー・ロイド・ウェバーの旧作のリバイバルの告知ポスター。
デザインは好き。

Img_9403コレもアンドリュー・ロイド・ウェバー。
残念ながら、何度音源を聴いても両方ともピンと来ない。
『Cats』とか『Sunset Boulevard』はあんなにいいのにナァ。
『Evita』も『Phantom』も『Jesus』だっていい。
しかし、この2つはどうも馴染めないんだよナァ。

Img_9406 そこへ行くとコレだよ、コレ。
チケットはもう9月まで売り切れだっていうんだけど、何とか観て来たんだ!
メチャクチャおもしろかった。
こういう類のモノでは人生で一番オモシロかったかも。
Marshallとはさすがに何の関係もないので、詳しくは後日Shige Blogでレポートする…イヤ、させてください!
10本立てぐらいになるかナァ…それはサスガにオーバーだけど、それぐらいジックリ鑑賞してきた。
で、日本に帰ってきてすぐに『オレンジ』をまた観てしまった!

07vまたV&A…ヴィクトリア&アルバート博物館。
V&AについてはShige Blogに書いておいたのでコチラでは詳しくやらない。
Marshall Blogでは、キープしてあったロック・ネタを披露する。
あ、ロックとクラシックと映画ネタか。10あと写真ネタ…。
というのは、ココへ来るのは6年ぶりになるのかな?
知らない間にこんなのが出来ていた。

20「Photography Centre」という写真関連アイテムの展示コーナー。
入り口にはゾロリと写真機が展示してある。

30v レアなヤツなのかな?
毎日のように写真を撮っているけど、私はカメラ自体には見事に何の興味もない。
カメラの知識がないために「アレが欲しい」とか「グレードアップしたい」とかいう欲望も湧いてこない。
使い慣れたデジタル一眼レフがあれば、もうそれだけで十分。

30でも写真には興味津々。
早速中に入る。

35ホ~ラあった。
大好きなセシル・ビートンの「memento mori」という作品。
「メメント・モリ」というのは犬神サアカス團の曲にもあるけど、「自分が必ず死ぬことを忘れないように!」、「死を忘れちゃダメよ!」という意味のラテン語の警句。
忘れなくなるね~、この年になってくると…というか、結構何ごとも「あと何年ぐらいか…」と意識するようになって来た。
人生でどうしてもやらなくてはならない大業がまだナニも進んでいないからね。
また、そういう時に思うのは「とにかく生きている間に少しでもいい音楽やオモシロい本を読んでおかなきゃ!」というチョットした焦りだ。
特にプライベートで聴く音楽は、もっともっと勉強したいと思ってる。
私のような欲張りなリスナーは、最後はやっぱりクラシックしかなさそうなことがわかってきた。
クラシックにはまだまだ知らないメロディやリズムやハーモニーがいくらでも詰まってるからね。
今、近代クラシック音楽と民族音楽が聴いていて一番オモシロい。
とにかく新鮮なのだ。
でもジッ~と集中して聴いていないと耳に入って来ない。
コレがツライ。疲れる。
そういう時には昔のロックを聴く。1975年までのロックね。
「やっぱり、いいな~」と感動するんだけどすぐ飽きる。
そしてジャズを経由してまたクラシックに戻る。
ナンカこれで最後まで行きそうだ。
そしてやっぱり死ぬまで聴き続けるのはビートルズとザッパか。キンクスもかな?
 
ちなみにクラシックって、そうやってチャンと聴いていないとヘビメタよりノイジーなんですよ。
ジャズやロックはそんなことない。
でも聴かないクラシックはベラボウにうるさい。
生来、クラシックを聴く素養が自分にないからか?

40この展示室の名前を見てビックリ!
「サー・エルトン・ジョン&デヴィッド・ファー二ッシュ・ギャラリー」という。
エルトン・ジョンとはあのエルトン・ジョン…レジナルド・ケネス・ドワイトね。
もうちょっと言うと「Elton John」ってのは、Soft MachineのElton DeanとSteampacketのLong John Baldryから取って付けた名前 。
Steampacketはロッド・スチュアート、ブライアン・オーガー、ジュリー・ドリスコルなんかがいたことでも有名だけど、ドラムスがミッキー・ウォーラー(ジェフ・ベックの『Truth』のドラマー)だった。
ミッキーがジム・マーシャルのお弟子さんだということに興味を持っているのは私だけで、もはやイギリスのMarshallにも誰もいるまい。
デヴィッド・ファー二ッシュというのは、どっちが「ネコ」でどっちが「タチ」だかは知らないが、エルトン・ジョンのご主人か奥さん。つまりパートナー。
しかし、「猫ひろし」という芸名を考えた人はスゴイ。

502018年10月にオープンしたそうだ。
道理でしらないワケだ。前回来たのは6年前だからね。
2人はスゴイ寄付をしたみたい。
世界に冠たるV&Aの中に自分の名前を冠したこんな立派な展示室を作るとあらば、生半可な額の寄付では実現できないだろう。

60ところが、コレ2022年にはまた拡張されるんだって。
残しておいたって仕方ないもんね、レジはエライ。
こうして自分の資産を文化のためにつぎ込むというのも一種の「ノブレス・オブリージュ」なんだろうね。
この精神が日本にも根付くといいんだけどね。
この辺りが世界の一等国と極東の五等国の違いだろう。
ヘンテコりんな絵を何億円で買ったり、月へ行こうとしたり…情けない。

70コレを皆さんにお見せしたかった。
大した内容ではないんだけど、存在がスゴい。
「ハイライツ・フロム・ザ・マッカートニー・コレクション」…もちろんこの「マッカートニー」とは、1967年5月15日、カーナビ―・ストリートの「Bag O'Nails」というライブハウスに出ていたジミ・ヘンドリックを観にやって来たポール・マッカートニーとソコで出会ったアメリカ人女性カメラマン、リンダ・イーストマンのこと。
その後、ポールと結婚したリンダはWingsに加入してヘタなコーラスと誰にでもすぐに弾けそうなキーボーズで観客の耳を苦しめた。
ウソウソ!
ゴメンナサイ!実はリンダ好きです。
カメラマンだっていうから、私はリンダってズッとイーストマン=コダックのお嬢さんかと思っていたけど全然関係ないんだってね。
中学生の時、ミュージック・ライフの夏の号にリンダがプールで水着になっている写真が載っててね、今でいう「お巨乳さん」で、ロック好きの男子生徒の間で大変な話題になったんだ~…といっても男子校だったんで男しかいなかったけど。
それが一番のリンダの思い出かな?
 
フーン、リンダってローリングストーン誌の表紙になった写真を撮った最初の女性なのか…1968年、被写体はクラプトンだって。

80こんな感じで展示してあった。
あんまりたくさんではない。

90まずは、八村塁選手。
あの2人、顔が似てるって言われているけど、それよりも声がソックリでしょう。
それは頭蓋骨の形が似ているからなんだよ。
レゾナンスが同じなの。
今回の取材では、以前は見ることの出来なかった八村選手の家の中までお邪魔したのです。
後日、例によって詳細なレポートを掲載するのでお楽しみに!

100ノエル・レディングとミッチ・ミッチェルも一応撮ってある。

110vいいよな~、ビートルズを撮れちゃうんだから!

130コレはポールのプライベート・ショット。

140コレはYardbirdsの最後の方か…。
でも、リンダの写真って私はいいと思わないんだよな~。
正直、まったく惹かれない。
だって、同じジミやジャニスでもジム・マーシャルの写真と比べてみてよ!
写真のストーリー性がゼンゼン違う。
撮っているのは普通の人間で、ミュージシャンであることが伝わって来ない。
ま、テメエの写真をタナに上げて言っておりますが…。

120v館内にはチラリチラリとロックに絡んだ展示を見かける。

150ただの飾りが多いけどね。

160でもココは違う。
V&Aで一番好きな場所。
「Theatre and Performance」というエンタテインメントのアイテムをフィーチュアしたコーナー。
6年ぶりでガラリと様子が変わっていて期待大!
さっそく入ってみよう!

170入り口に展示されているのはMadnessグッズ。
私は今でも全くの門外漢だけど、カムデンから出て来たMadnessも今年でデビュー40周年だって!
ホンダCityのコマーシャルは印象的ではあった。
スカなんてのがロンドンから出て来るところがオモシロい。
レゲエもそうだね。
いかに人と違ったことが尊重されるのかがわかる思いがする。
展示品はすべてMadnessから寄贈されたモノだそうだ。

180余計なお世話だけど、私の「Madness」はコッチ。
ジャズつながりで…

Nf1937年、映画『踊らん哉(Shall We Dance?)』のフレッド・アステアの衣装。
この映画の挿入歌「誰も奪えぬこの思い(They Can't Take That Away From Me)」はアカデミー主題歌賞を獲得し、後にジャズの大スタンダード曲になった。
アステアはサヴィル・ロウにあった「Anderson & Shepperd」という仕立て屋の熱心なファンでもちろんこの衣装も100%ビスポーク。
ダンスの時に自由に動ける服に仕上がるようにテイラーさんたちの仕事を注意深く監督したという。
そして服が出来上がると、その衣装の縫い目を確認するために、全身が映る鏡の前で実際に踊ってテストをするのが好きだったという。
こういう話は大好きだ。
また、色は黒に見えるが、実際は濃紺なのだそうだ。
それは、モノクロで撮影する時、黒よりも濃紺の方がキレイに撮れるから。

190vこの衣装を身にまとっている実際のシーンがコレ。
ボタンは付け替えているようだ。
Princeのクツ。
この写真だとわかりにくいんだけど、奥の横になっている方の靴底を見て。
Princeの激しいステージ・アクションに耐えられるようにヒールを金具で固定していたんだって。
コレもわかりにくいけど、ジッパーの金具(Zip puller)がPrinceのロゴになっている。

200さて、チョットここでツマらないことを書かせて頂くけどガマンしてチョーダイ。
「懐かしい!」と思う読者は過ぎ去りし若き日々を懐かしんでチョーダイ。
 
中学の時に比較的ナヨっとしたヤツがいて、クラスの不良がソイツのことを「パイソン、パイソン」って呼んでいた。
それにつられてクラスのみんなも自然に「パイソン」と呼んでいたが、なぜソイツが「パイソン」と呼ばれているのかその理由を知る者がいなかった。
私なんかは小学生の時にモデルガンが流行していたので、「パイソン」と聞いた時、すぐにコルト・パイソンを連想した。
それも6インチだ。

Cpナゼ6インチかというと、『ワイルド7』のオヤブンがコルト・パイソンの6インチを愛用していたからだ。
もう夢中になって読んだね、『ワイルド7』は。連載していた少年キングは1回も買ったことなかったけど。
飛葉がコルト・ウッズマンで、世界ってのがモーゼルだった。ルガーとか南部のヤツもいたな。
今、ワイルド7がいたら「あおり運転」なんて一発で撲滅できるだろうにナァ。
ちなみ私は「緑の墓」が好きで、飛葉が「オレは手錠がキライなんだ!」というセリフがとても印象的に残っている。
『秘密探偵JA』もすごく好きだった。

8_obで、そのナヨっとしているようなヤツのアダ名がピストルのような男性的なモノに由来しているワケはないでしょ?
しからばヘビのパイソンか?
まったくヘビっぽくない。
しかし、スゴいガラのデザインだな、パイソンって。
それで、どうしても気になるのである時、そのクラスの不良に「パイソン」の由来を尋ねてみた。

8_11181すると、ソイツは「だって、モンティ・パイソンは『オカマの恐竜』じゃん」と答えた。
理由はそれだけだった。
こっちはあまりにも内容のない理由にビックリしてしまって「あ、そう…。それだけ…?」以外に反応のしようがなかった。
そう、それだけみんな見てたのが「モンティ・パイソン」。
ナニ曜日だったかな?東京12チャンネルで夜10時から放映していた。
あんなにクダらないことをやっているのがイギリスの一流大学を出た人たちで、制作・放送しているのが国営テレビ局だって知ってビックリしたね。
まだ13、14歳の時だからね。
そでがサ、まさかエリック・アイドルの地元を訪ねることができるなんてあの時は夢にも思わなかったりなんかしちゃったりして!(もちろん広川太一郎風に)
まったくAlways look on the bright side of lifeなのです。
 
で、そのモンティ・パイソン、いくつもオモシロいエピソードがあったワケだけど、学校で特に話題になったのは「Sam Peckinpa's Salad Days(サム・ペキンパーのサラダ・デイズ)」というヤツ。
最近、ナニかの折りにMarshall Blogで「サム・ペキンパー」なんて名前を出したことがあったけど、今の若い人はサム・ペキンパーなんて名前を聞いてもピンとこないだろうナァ。
やたらと乱暴な描写が多い、男臭いダイナミックな作風で人気を呼んだアメリカの映画監督。
『ワイルドバンチ』、『ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦』 、『ゲッタウェイ』、 『ガルシアの首』…どれもヨカッタ。
ロバート・ライアン、アーネスト・ボーグナイン、エドモンド・オブライエン、ベン・ジョンソン、スティーヴ・マックイーン、そしてもちろんウォーレン・オーツ…出ている役者もよくてね~。
今のアメリカ映画、こういう役者さんはどこへ行ってしまったのかしら?
そして、『ビリー・ザ・キッド/21才の生涯』はボブ・ディランが音楽を担当したんじゃなかったっけ?
私はとりわけ『わらの犬(Straw Dogs)』という作品が好きだった。
ダスティン・ホフマンが気弱な数学の大学教授かなんかの役で、セクシーな奥さんがスーザン・ジョージ。
研究に没頭するダンナに欲求不満を覚え、奥さんが家の修繕に来ていた荒くれの大工を奥さんが誘惑しちゃう。
するとそれに味を占めた大工たちが奥さんを襲いにくる。
それをダスティン・ホフマン扮する気弱な大学の先生があの手この手で1人でその大工たちを退治するんだな。
その暴力描写がすごくてね、家には武器がないので沸騰させた油をブっかけたりね。
時折使うスロー・モーションがトレードマークでね。
コレは黒澤明が『用心棒』で見せた手法を取り入れたと言われているんじゃなかったかな?
とにかく迫力ある暴力シーンがウリの監督だった。
そのペキンパーの作風をパロディにしたのがこの「Sam Peckinpa's Salad Days(サム・ペキンパーのサラダ・デイズ)」。
さわりだけYouTubeで見ることができる。


コレは次の日の学校で大きな話題になった。
では、このタイトルにある「Salad Days(サラダ・デイズ)」というのはナニか?
「Salad Days」というのはミュージカルの作品のタイトルだ。
1954年にブリストルで始まったこのクリスマス向けのミュージカルは大きな評判となり、すぐにロンドンのウエストエンドに移って来て、2,283回という記録的上演数を誇った。
最近までやっていたようだ。
この作品は1950年代、小難しくなったブロードウェイのミュージカルに対抗し、「清く明るく楽しく正しいミュージカル」を標榜した。
考えてみれば、ロンドン・パンクと同じよ。
確かにオリジナル・ロンドン・キャストの音源を聴くと、ピアノをバックに、毒のない、古式ゆかしい、やたらとまじめそうな曲がズラリと並んでいる。
ま、私なんかにはちっとも面白くない。
つまり、さっきのモンティ・パイソンはそんな「清く正しい」ミュージカルをサム・ペキンパーの名を借りて正反対の「血みどろのSalad Days」にしちゃったところがオモシロいわけ。
イギリス人なら誰でも「Salad Days」を知っているからそこをオモシロがるんだけど、我々はそんなミュージカルを知らないのが普通だから、血がドバ―っという大げさでスラップスティックなところを笑うしかない。
このコントの本当の狙いはそうではなかったのだ。
ブラックです。
そのロンドンでの超ロングラン公演で使われていたピアノがコレ。

210ココまで初めて見るものばかりだが、コレも初めて見た。
コレはブロニスラヴァ・ニジンスカという女性バレエ・ダンサーの衣装。
元々は他の男性バレエ・ダンサーが来ていたもので、スカートを足して女性用の衣装に仕立て直した。
ナゼか…劇団の経費節減のため。
その「他の男性バレエ・ダンサー」とはヴァスラフ・ニジンスキーのこと。
ブロニスラヴァはヴァスラフの4歳年下の妹なのだ。

220vその衣装を身につけたブロニスラヴァの1921年の写真。

230コレをニジンスキーが着ていたとはね~。
ホンモノですからね。

240もうイッチョ、ニジンスキー。
1898~1907年にニジンスキーが学んだ「帝国ロシア・バレエ学校(現ワガノワ・バレエ・アカデミー)」の卒業証書。
この証書がバレエ団への推薦状になった。
コレはニジンスキーの母エレノアが1921年にロシアを離れるときに秘密で持ち出したもの。

250次…1921年にロンドンで撮られた写真。
向かって左から2人目が「Ballet Russes(バレエ・リュス)」の主宰者にしてディレクターの、天災興行師セルゲイ・ディアギレフ。
ディアギレフは同性愛者で、ニジンスキーと恋仲であったが、心変わりをしてしまい、ニジンスキーは発狂してしまう…というシーンがハーバード・ロス監督の映画『ニジンスキー』に出て来る。
その映画でディアギレフを演じたのがアラン・ベイツというイギリスの俳優でやはり同性愛者だったらしい。映画の中ではスゴイ存在感でとてもいい演技をしていた。
そのディアレフの左隣の小柄な男性はイゴール・ストラヴィンスキー。
ストラヴィンスキーはバイセクシャルだった。
そして向かって一番右の男性はセルゲイ・プロコフィエフ。
ディアギレフはストラヴィンスキーやプロコフィエフを「自分の息子」と称していたという。
プロコフィエフもそっち系の人だったのかな。
写真は初めて上演されたプロコフィエフのバレエ作品である『道化師(Le Chout)』公開時に撮影された。260vん~、観たことがないアイテムに入れ替わっていてうれしいな。
ココは本当にオモシロい。
でもね、真っ暗で照明に色が付いているため実に写真が撮りにくい!

270演劇のポスター色々。
お芝居に興味はないが、こういうもののデザインを見るのは楽しい。

280『We Will Rock You』の5周年を記念して2000部限定で発行されたプログラム。
しかし、Queenはこないだの『ボヘラ』といい実にウマいことやったよな。
やはり残した作品のクォリティがベラボウに高かったことと、それを平気で商売に使ってしまう大胆さや厚かましさのバランスが取れていたんだろうな。
別に放っておけばいいんだけど、やっぱりリアル・タイムでQueenを経験している私の周囲の人たちは、「アレはおかしい」と言う人が多いね。
私はQueenファンであったことは一度もないのでどうでもいいのだが、反対に映画の面白さとしては全くピンと来なかった。
それより私はこのミュージカルの方がヨカッタな。
Queenの曲が使われているけどQueenとは関係ない筋立て。

290『We Will Rock You』は2002年5月、トッテナムコートロードのドミニオン劇場で初演された。2005年8月には、それまでドミニオン劇場で上演されたミュージカルの中で最ロングランを誇った『Greese』を抜いて歴代1位になった…って、どれも短かかったんだな~。
この劇場のキャパは2,163席。
ウエスト・エンドでもかなり大きな劇場の1つなので、この記録は立派なモノらしい。
何年か前まではフレディのこの景色が当たり前だったんだけどね。
2014年5月に4600回に及ぶロングランで幕を閉じた。

8_img_0334私がこのドミニオン劇場に観に行った時のプログラム。
200回記念とか言っていたように記憶しているが、それを記念して、アンコールの『Bohemian Rhapsody』ではホンモノのブライアン・メイがステージに登場してギター・ソロを披露した。
そして、終演後はホールの出口に立ってお客さんを見送っていた。
この時のバンドは、Wishbone Ashのローリー・ワイズフィールド、もしくは(バンドの様子は客席から見えない)一時期Marshallのデモンストレーターをしていたフィル・ヒルボーンがギターを弾き、ニール・マレイがベースを弾いていた。
しかしね、客席の後の方はガラガラでカーテンで仕切ってスペースを縮小していたな。
あの日は特別に空いていたのかな~。
2004年とかそんなもんだっと思うんだけど、アソコから10年もロングランしたとは信じられないんだよね。
途中で客が増えたとしか考えられない。
2wwrp当然、今はもうフレディの姿はない。
『BIG』がかかっていた。
コレも何回目かのリバイバルだろう。
と言うのは、私はこのミュージカルが始まってすぐぐらいにブロードウェイで観たの。
それがもう20年以上前のことだもん。

8_0r4a0648コレがその時の「PLAY BILL」。
ブロードウェイでは作品解説や出演者の紹介、劇場の説明を載せたこうした簡単なプログラムを無料で配布している。席の上に置いてあるのね。
ま、ほとんど広告よ。
劇場が「Shubert Theatre(シュバート・シアター)」となってるでしょ?「Theatre」とイギリス綴りになってる。
ブロードウェイからチョット西に入った「シュバート・アレイ」にある。
ココへ入れたのがすごくうれしかったのを覚えている。

8_2big…というのは、メル・トーメがミュージカル・ナンバーを歌った『Mel Torme Swings Shubert Alley(メル・トーメ・スウィングス・シュバート・アレイ))』が私の愛聴盤だったから。
このアルバムでジャズのスタンダードになったミュージカル曲をたくさん覚えた。

Mtsa コレ、上の写真の5日後に撮った者なんだけど、『BIG』の看板が隠されてるの。
ナンでだろう?
もう終わっちゃったのかな?

8_img_9548<つづく>
 

200_2 
(一部敬称略 2019年6月7日 Victoria and Albert Museumにて撮影)

 

 

2019年9月13日 (金)

Sound Experience 31~Strange,Beautiful and Loud, 梵天 and AN-16

 
前回めでたく30回目の開催を達成した『Sound Experience』。
つづく今回は「31回目」…新たなるステップに踏み出すべく、普段通りに開催された。
でも、珍しくトリプル・ヘッドライナー。
そして、すべてインストゥルメンタル。
この手の音楽が好きな方には最高の一夜となった。

10_2まず登場したのはAN-16。

20Akky(山田章典)
山田さんとは2017年5月にココで開催された小松優也のさよならライブでご一緒させて頂いた。
アレからもう2年以上経ったのかよ!信じられん。

40vJIN-JIN(前田仁)

50vAYA(K.)

8_s41a0019 若い感性のインスト・ミュージックとでも言おうか、従来の形にとらわれない自由な発想による器楽音楽。
トラディショナルな音楽をミッチリ勉強したうえで、こういう発想を広げ、時代の音楽をクリエイトするAN-16のようなバンドがドンドン出て来ることを期待している。

60続いては梵天。

70チャーリー田中

80vセキタヒロシ

90v星山哲也

S41a0063 「三宅さんとご一緒できることをとても楽しみにしていました」とご挨拶したチャーリーさん。
Marshall Blogにはチョー久しぶりのご登場。
何と2013年以来!
前回もStrange,Beautiful and Loudと一緒にココGrapefruit Moonでの取材だった。
その時が『Sound Experience』の何回目だったかと言うと…実はそれは『Sound Experience』ではなくて、『Harvest Moon』という梵天のイベントにSBLが客演した格好だった。
だから、もしかしたら『Sound Experience』というシーンでは梵天はMarshall Blog初登場?…かどうかは三宅さんが知っている。
全部頭に入ってるから。

110_ar_31曲目は「Arion」。
ゴキゲンな5/4拍子のヘヴィ・チューン。

130「Arion」は2016年にリリースされたアルバム『梵天~Bonten~』のオープナー。
このアルバム、ジャケットがまずいいよね。
そしてこの中にはチャーリーさんの無限の音宇宙が広がっている。

120cdチャーリーさんは以前1987Xをご愛用頂いていたのだが、今回の相棒はコレ。
なんとJCM2000 DSL100EC。
昔、私がMarshallに頼んで作ってもらった限定モデル。
D_DriveのSeijiさんが以前使っていたDSLだ。
案外こんなに時間が経って再会するもんなんですナァ。
自分の仕事の軌跡を目の当たりにするようでうれしい。
今もだけど、一生懸命やって来たからナァ。
コレでキャビがMarshallだともっとうれしいんですけどね~。

140そして、チャーリーさんのもうひとつの相棒。
私もかなりのコンサートを観て来ているけど、こんなに堂々とサンダル履きでステージに上がる人も珍しい!
以前、サンダルで新幹線に乗って名古屋から東京に来て、そのままステージに上がる…という方がいらっしゃったが、堂々さということで言えばチャーリーさんも引けを取らないだろう。

150次の「Pluto〜Tango O'Five」はチャーリーさんの5/8のアルペジオをバックに…

160セキタさんのフレットレス・ベースが幻想的なメロディを重ねる。

170星山さんのスネア・ドラムがクレッシェンドしながら入って来、曲は一部4/4拍子のパートを経て…

180チャーリーさんのハードなギター・ソロをはさみそのまま最後まで5拍子基調で走り抜ける。
特に「タンゴ」のリズムが取り入れられているワケではないが、チャーリーさん中に「タンゴ」のイメージがあるのだろう。
あるいは「ピアソラ」とか「アルフレッド・ハウゼ」とか。
タンゴか…後の人は知らないな~。
日本で最初の地下鉄銀座線はロンドンではなくて、ブエノスアイレスの地下鉄をお手本にして作られたのは知っているけど…コレはショックだった。
そもそも、アルゼンチン・タンゴとコンチネンタル・タンゴの違いもわからなかったからね。
アルゼンチン・タンゴは発祥の地、その名の通りアルゼンチンのタンゴで、楽器の中でも最高難度の演奏技術を要すると言われるバンドネオンが必ず使用される。
190v一方、コンチネンタル・タンゴはヨーロッパのタンゴ。別名「ヨーロッパ・タンゴ」。
フィンランドなんかは「フィー二ッシュ・タンゴ」っていうのがあって、とてもタンゴが盛んなんよ。
大分前にその「フィー二ッシュ・タンゴ」のCDを買ってナンノ気なしに聴いていたら「Satumaa」という知っている曲が出て来て驚いた。
Frank Zappaの『You Can't Do That on Stage Anymore vol.2』にこの曲が収録されてるの。
この曲はフィンランドではスタンダード中のスタンダード。
このライブ・アルバムはヘルシンキでの録音で、ザッパは「ご当地ソング」としてレパートリーに取り入れたのだろう。

8_vol2 「ありがとうございます。
今の曲は'Pluto'と言いまして、冥王星から頂いたタイトルです。静かな星をイメージして作りました」
 
「水金地火木土天海冥」なんて覚えたけどね。「ドッテンカイメー」と、土星のところで撥音便変化するのが気持ちヨカッタ。
英語では「My Very Educated Mother Just Served Us Nine Pizzas(学のある私のお母さんはピザを正確に9等分した)」ってやるわね。「Educated」が「Earnest」になっているのを見たこともある。
ま、我々は太陽系(英語で「ソーラー・システム」という)の惑星の名前や順番を覚えるよりこの英文自体覚える方が大変だったりするからね。
でも、コレ今は違う。
2006年に冥王星が太陽系をクビになっちゃったから。
正確に言うと「惑星」から「準惑星」に格落ちしてしまったので、「太陽系惑星」のウチに数えられなくなってしまった。
だから今は「スイキンチカモクドッテンカイ」だよ。
ちょっと関西弁みたいだ。
「オイ水金、地火木、取ってんかい!」みたいな。
一方、英語の方はどうなるか…「My very educated mother just served us noodles」なんて案があるらしい。
また、冥王星が格落ちしたことにより、「pluto」を他動詞で使って「降格させる」とか「~の価値を低く評価する」という意味が出来たらしい。
アメリカのスラングだからよい子の皆さんは覚えないでね!
英語はイギリスの言葉です。イギリス英語を進んで学びましょう。

185v次の曲もチャーリーさんの静謐なギターでスタートするスロー・ナンバー。
260vアルバムの収録されている「Funeral Dance」。
テンポはスローでも独特のギターのフレーズで織りなしていくお葬式には十分にハードだ。

200最後はアルバムに収録されている曲を2つ続けての演奏した。
まずは「Siesta」。
S41a0027とても柔らかいサウンドなのにすさまじい緊張感。
コレは昼寝どころではないぞ!

210最後はアルバム2曲目の「La valse du chat noir」。
「vlase」はフランス語で「ワルツ」のこと。
だからタイトルは「黒猫のワルツ」というという意味。
ちなみに「黒猫のタンゴ」は(今日はタンゴがよく出るな)、日本の曲じゃありませんからね。
イタリアの曲がオリジナル。
あの子どうしてるかね?

230「valse」って単語を覚えたのはコレ。
1956年のSonny Rollinsの名盤『Sonny Rollins Plus 4』。
コレの1曲目が「Valse Hot」というジャズ・ワルツなのだ。
でもそれぐらいではタンゴじゃない、単語ひとつ覚えることはできない。
名曲なのだ。
だからすぐ覚えられる。
ロリンズはテナー・サックスの最高峰としての存在だけでなく、「St. Thomas」、「Oleo」、「Doxy」、「Airegin」、「Tenor Madness」、「Don't Stop the Carnival」等々、ジャズ史に残る名曲をたくさん作った大作曲家でもある。
この「Valse Hot」を聴いていい曲だと思えない人は音楽を聴くのを止めた方がいい。そういう人はどうせ先行き、本当にいい音楽にはめぐり合うことはできないよ。
チャーリーさんがこういう独自の音楽で頑張ってくれているので、それを援助する意味で私もハッキリ言うけど、テレビなんかで「今の音楽シーンがオモシロい」なんて言っている人…ま、宣伝でやらされているんだろうけど、そう思ってたり言ったりしている人は、「音楽を知らない人」とみなして何ら差支えない。
本当にいい音楽にまだめぐり合っていない、あるいは「音楽」という氷山の一角のカケラから出た削り氷の一部程度にしか音楽を聴いていない人たちだ。
だから音楽を聴く側もいろんな音楽を聴いて勉強しないとダメね。
聴き手のレベルが低いと、レベルの低い音楽しか出て来ないのは道理ってもんだ。
 
あ、このアルバムのもうひとつの聴きどころの「Pent-Up House」もロリンズの代表作だわ。
私はロリンズを2度ほど観たが、今年で御年90。
最後のジャズの巨人だ。

P4ところでValseなのに全然4/4なんですけど!…と思ったのは最初だけ。
すぐに3/4となりグイグイと攻めてくる!

240vしかし、厳しい音楽ですな。
SBLもそうなんだけど、従来の音楽の型にハマらない音楽。
でも新しくはない。また新しくある必要もない。
高い器楽演奏の技術に裏打ちされた自由な発想の音楽だよな。
どこへ行くのがわからない。
でもどこから来たのかというと、ひとつは…コレは私の勝手なイメージですよ…Paul Williansがいない時のAllan Holdsworthが取り組んでいたモノに近いのではないかと思う。

250ま、バンド名が「梵天」ですからね。
梵天はヒンドゥー教の「創造神」にしてトリムルティの一角である「ブラフマー」の仏教版。
トリムルティは他に、「ビシュヌ」と「シヴァ」の3柱からなる。
ジョン・マクラッグリンの「マハビシュヌ・オーケストラ」の「マハビシュヌ」は「マハ(偉大なる)」な「ビシュヌ」ということ。
釈迦牟尼、つまりゴータマ・シタールダが悟りを開いた時、その悟りを広めることをためらったが、梵天さまは寅さんでおなじみの帝釈天さまと組んで「イヤイヤ、その教えをどうか世にお広めください」とお釈迦さまに勧めた。
コレを「梵天勧請(ぼんてんかんじょう)」というらしんだけど、コレがなかったら世界三大宗教のひとつ「仏教」はこの世に出て来なかったとされている。
だから梵天さまがいらっしゃったからこそ仏教が生まれ、我々はお葬式を仏式ですることができるのだ。
そして、「どうぞ面倒ですから、何でもかんでもイッショクタにしちゃいましょう」とやるのが「ドンブリ勘定」という。
 
ところで、先日家内のお婆ちゃんの十三回忌に出席して、お坊さんのお経を聞いていた。
元々お経はエイト・ビートなのはわかっていたので、今回は拍数を数えてみた。
すると、お経のくくりは4/4拍子で5小節から成り立っていることを発見した。
時々6小節になることもあるのだが、ほとんどが5小節、20拍で出来ている。
コレは曹洞宗なので、当然宗派によってはこの構成が大きく変わることが容易に想像できるが…。
なにしろ横浜の上大岡で開かれたお葬式に出た時には、お坊さんが木魚を裏拍で打ち、猛然とスイングしていたこともあったからね。
エイトではなくて完全にフォー・ビートになっていて驚いた。

245複雑なビートを難なくこなすリズム隊も素晴らしかった。

270vいつもニコニコの星山さん。余裕しゃくしゃくなドラミングはとてもこんなギンギンな変拍子の曲を演奏しているようには見えないのだ!
初めてお会いしたのはkelly SIMONZさんとご一緒の時だった。

280v後はキャビもMarshallだともっとうれしいんだけどニャ~。

梵天の詳しい情報はコチラ⇒Charlie Tanaka's Website

290トリはもちろんStrange,Beautiful and Loud。

300三宅庸介

310v河野充生

330v金光健司

340vやっぱいいね、金光さんの叩くNATAL。
ベスト・マッチのバーチのキットだ。

350三宅さんはいつものMarshallハーフ・スタック。

360JVM210Hと1960BVのコンビ。

370v今日の1曲目は三宅さんの愛奏曲「Petal」。

380vそして三宅さんのキラー・チューンを続けて…まずは「if」。

390河野さんのスリリングなベース・ライン。
かなりのパートをインプロヴァイズしている。

400続けて「murt'n akush」。
見て!
三宅さんと金光さんのアクションが完璧にシンクロナイズしてる!

415それほどイキがピッタリ合っているのだ。
当意即妙に三宅ミュージックを作り上げていくサマを見ているのは楽しい。

410「こんばんは…メッチャ暑いです。
2年ぶりにチャーリーと一緒になる今日を楽しみにしていました。
たくさん集まってくれてありがとうございます。
大きな音でお騒がせしますけど、この位の音で大丈夫ですか?
大きな音ですが最後までお付き合いください」
音が大丈夫ということでピース!
ホントにネェ…この会場はチョット事情が違うからなんだけど、いつからロックを爆音で演ることが罪悪になったんだろう?
聴く方が「やかましい!」というならわかるんだけど、最近は演奏している方が大音量を忌み嫌ってるもんね。
しかも昔を知っているベテランがそういうことを言うんだよ。
やみくもに音をデカくする必要はナニもない。
でも、「それなりの音量」ってもんがあるでしょう…「ロックの音量」ってのがサ。
音が大きすぎるんだったら耳栓を持参すればいいだけのことじゃん。
私はそういうところにも「ロックの終焉」を見る思いがするんだよね。
その点、三宅さんはスゴイよ。
440vMCの後は「devil」。
500vいいですか?大音量だからこういう表情になり、コレが表現でもあるんだよ。
コレを蚊の泣くような音量でできますか?ってんだ。

420そして、この恍惚の表情。
今、三宅さんは「ギター」というアッチ側の世界に行っている。

430v続けて「virtue」。
Marshall Blog初の試み!
ビデオを挟み込んでみました。
この日、写真とビデオの両方を撮ってみた。
Marshallのほぼ真ん前で撮影しているので音はチョッとシンドイけど迫力は伝わればOK。
次の機会には是非ホンモノを観に来てくだされ。

こうして31回目の『Sound Experience』のSBLのステージも無事終了!
今日も魂をさらけ出すかのような3人の熱演に心を揺さぶられた。

490

470

480Strange, Beautiful and Loudの詳しい情報はコチラ⇒facebook

450そして最後はCharlieさんが加わって1曲。

8_bloom1

510v曲は三宅さんの「bloom」。
三宅さんの曲ってバッキングが入るとまた世界がガラリと変わるんだよね。
三宅さんがもうひとりいるといいんだけどね~…というかなえられない願望を実現してくれたのがチャーリーさん。

8_bloom4_2

520vこの曲は以前、ヒロアキくんと共演した時にも取り上げられてテーマを美しくツイン・リードで奏でたが、今回のチャーリーさんもコレをやってくれた。
実に魅力的なメロディだ。

8_bloom3_2今回も大充実の「Sound Experience」だった! 460v

200_3 

(一部敬称略 2019年7月24日 三軒茶屋GRAPEFRUIT MOONにて撮影)

2019年9月12日 (木)

Updating D_Drive

 

06loもう3か月…。
あのD_Driveのイギリス公演から1年の1/4の月日が過ぎちゃったよ!
全く信じられないな~。
実際、1日がオッソロシク早いもんね。
どんなに朝早く目が覚めてもすぐにお昼が来て、日が沈んで夜になって、寝て、すぐに朝が来ちゃう。
ギターの練習をしよう、本を読もう、英語の勉強をしよう…色々と考えていてもナニひとつできない。
コレだもん、ゲームやスマホに夢中になっている人はそれに忙しくて他のことなんてとてもできやせんわな~。
でも、あのゲームの中毒性は理解できないこともない。
オジサンこう見えても、毎朝100円玉を何枚も用意して、学校へ行く前にゲームセンターで「スペース・インベーダー」やってたんだから。
朝だとゲーセンが空いてるでしょ?ああいうモノのオモシロさは夢中になった者にしかわからないもんだ。
しかし!大きなお世話だけど、とにかくゲームとマンガだけで終える人生だけは避けた方がよろしいかと…。
なんでこんな話になった?…あ、「光陰矢の如し」か。
で、アレから3か月も経ったので、今日はD_Drive情報をアップデイトさせてくだされ。

10
<Yuki情報>
「♪ぶんかほ~そ~、ぶんかほ~そ~ ジェイオーキューア~ル」って知ってる?
今でもこのジングルって使われているのかな?
ラジオを全く聞かない私がこのコレを知っているのは、父のせい。
父は大工で、仕事をしている間、ズッ~と文化放送をかけていて、その父の仕事を手伝っているウチに自然に刷り込まれた。45年ぐらい前の話だけどね。
おかげで「知っているコールサインは?」と尋ねられたら「JOQR」だけは答えることができる。
ところで、こないだテレビでやっていたニュースをチラリと見てビックリ仰天したんだけど、将来的に中波放送が廃止になって超短波放送、すなわちFMラジオに統一されるかも知れないんだって?
スゲエな~、今、首都圏で聴くことができるFM局っていくつあるのかな?
私が「FMレコパル」を買ってロックの勉強をしていた時分、コレもやっぱり45年ぐらい前の話なんだけど、当時は「NHK FM」と「FM東京」の2曲だけだった。
一方、私は全く聴かなかったけど、AM放送の方はオールナイトニッポンとか、谷村新司の番組とか、テレビにそう引けを取らない人気番組が目白押しで、夢中になって聴いている友人が私の周囲に何人もいた。
それがなくなるかも知れない…って。
しかし、スゴイよね。
ラジオは戦前に新聞を駆逐し、戦後になるとテレビがラジオの地位を奪い、そして今インターネットがそのメディアの王様であるテレビの地位を脅かし、もう数年経つとテレビもなくなってしまうのは必定だろう。
インターネットの後は一体ナニが来るんだろうね。
  
で、Yukiちゃんが毎週土曜日 27時00分~27時30分、文化放送の地上波で放送している『森久保祥太郎 presents IronBunny's ロック ロッカー ロッケスト』 という番組にゲスト出演した。
20vこの番組は『全てのハードロック好き・ヘヴィメタル好きに向けたロック・バラエティ』で、毎回ゲストをお呼びする。
そのゲストはアーティストだけでなく、タレントでも、芸人でも、俳優でも、ジャーナリストでも、企業の宣伝部長でもロック・メタル好きであればどんな人でもご出演可能…という趣向。
「ロックが好きだ!!」という想いを語り、「オススメのロック名盤」を1枚ご紹介頂くという内容。
コレで驚いたのがYukiちゃんよ。
D_Driveの最初からだから、いい加減Yukiちゃんとも10年付き合っているワケだけど、「エ~、そうなの?!聞いてないよ~!」という1枚が選ばれてやがんの。
 
番組のパーソナリティは、"未来からきたサイボーグギタリスト"の「Ediee Ironbunny」と、そのCVを担当する人気声優・森久保祥太郎。
そして、Ediee率いるロックユニット「IRONBUNNY」の女性ボーカルであるHina・Kotono・Minamiの3人。
 
森久保さんも2度ほどMarshall Blogに出て頂いてますからね…
森久保祥太郎 LIVE TOUR 2014 心・裸・晩・唱 〜PHASE4〜
と…
-おれパラ- 10th Anniversary ORE!! SUMMER~私の富士山 <後編>

8_rrr番組は、文化放送地上波では音声のみ。
そして、文化放送アニラジ専門チャンネル「超!A&G+」と「YouTubeチャンネル」では動画付き番組として配信されている。
もはやメディアの多様化が凄まじくて、テレビとラジオで育った世代の私にはこういうのを聞いてもどうもピンと来ない。
その動画コレ。
Yukiちゃん、どうもありがとう。
Marshall Recordsのことのみならず、『Marshall GALA 2』についても触れてくれています。

そして、番組の冒頭でも触れているジャム・セッションの動画がコチラ。
「全ツッパでロックンロール」だ!

 
<MAXIMUM IMPACT情報>

もうイヤというほど紹介しているけど、Marshall RecordsからリリースされたD_Driveの世界デビュー・アルバム『Maximum Impact』ね。
しょーがねーんだよ、宣伝だから。
今一度チャンと紹介させてもらいたいのです。
ナゼかと言うと…ようやく私の手元に『Maximum Impact』に関するすべてのアイテムが揃ったからなのです。30コレは世界標準発売されている『Maximum Impact』のLP。
向こうでは「ヴァイナル」なんて呼んでいるけど、アレはどうしてもなじめないな~。
ナニせこちとらドップリの「レコード世代」だからよ。

0r4a0242 ダスト・ジャケットはこんな感じ。
後の建物もいいでしょ?

50そして今回、日本だけの企画がコレ。
国内盤には帯がついている。
帯はいいな~。
帯はロマンなんだよ。
レコードにも帯を巻きたくなるのは我々、着物の国の人間の習性なんだよ。
見たか、配信!
オマエらにこの帯が巻けるか?ってんだ!
あ、『Maximumn Impact』は各種配信でもお求めいただけます。

60帯を巻く(実際には「取り付ける」)とこんな感じ。
グッと締まるね。
やっぱりレコードはこの出で立ちでないとイカン。
コレはレコード…コレをヴァイナルだなんて呼んで欲しくない。

8_0r4a0246_2 裏面はこういう感じ。
LPは収録可能時間の関係でCDより1曲少ない仕様になっている。

75同じく…コレは世界流通バージョンのCD。
それぞれ商品の色目が微妙に違って見えるかも知れないけど、コレは写真のせい。
もちろん実際の商品はどれも同じ。
コレね~、チャンとした照明で撮らないと色を正確に出すのがすごくムズかしい。
ダニエルのイジワル~。

80CDはデジパック仕様。

90もちろん国内バージョンにも帯が付く。

8_0r4a0284そして、LPとCDに共通でついているのが20ページ豪華ブックレット。
コレをやりたかったんだ~。
表紙がまずいいね。

110帯とブックレットのデザインをご担当頂いたのは「下町のひとりヒプノシス」、『梅村デザイン研究所』の梅村昇史。
梅村さんは日本屈指のザッパ研究家で、「死ぬまでにフランク・ザッパのすべての公演を聴く」という荒行に挑んでいる人。

115vザッパやロックだけでなく、ジャズや現代音楽まで造詣が深く、ウチに来た時、Phil Woodsの『Greek Cooking』というゲテモノ盤(私はすごく好き)をかけたら、チャンとそれも聴いていて驚いた。
時々、私も電話をして音楽のことで教えを乞うたりしてるのです。

Pw それだけに梅村さんのポートフォリオも濃い。
Soft Machineの国内盤のジャケット。
他にもジミ・ヘンドリックスから弘田三枝子、在日ファンク等々、色んなアーティストの作品のジャケット・デザインを手がけている。

116

117書籍のデザイン。

Be GRANRODEOのコンサート・プログラム。
160
最近はビートルズのイラストのお仕事もされていた。
梅村さんの描くイラストは、どれも上品で、可愛くて、高級感があってすごく好き。

118

119最近はとても手が回らなくて記事の制作ができずに大変失礼してしまっている、ウチの『Music Jacket Gallery』のネタをご提供してくださっていたレコード・コレクターの植村さんが西荻窪に開店した喫茶店『MJG』のロゴ・サイン。
コレも梅村さんのお仕事。

Mjg_2 かつてMarshallのカタログの表紙をお願いしたこともあった。
このシゲ・ブログのバナーも梅村さんにお願いした。1march_sbそれと田川ヒロアキの『Ave Maria』と『THEME PARK』のデザイン一式。
写真は私ね。

120cd

130cdそして、今回LAで録音して来た新作『Sky』も梅村さんの作品。
写真はマネージャーの美瑞穂さんによる撮影。
CDと…

140cdDVD。

150dvdそんな梅村さんがデザインを担当してくれたのが、今回の『Maximum Impact』のブックレット。
私の文章がまたいい!(そうか~?)

170アルバムの解説に加えて、メンバーから集めた収録曲への思い入れや演奏の説明を、私が推敲してがまとめた。
書き始めたら滅法楽しくて1日チョットで仕上げることができた。

180そして写真タップリ。
このブックレットのために一時期の東京公演すべてに足を運び、一生懸命撮り溜めたのだ!

190そんな帯とブックレットが付いているのが『Maximum Impact』のヴァイナル(1回ぐらいそう呼んでおこう)と…

8_0r4a0245CD。
このふたつはD_Driveのライブ会場でしか入手できません。
今後もその予定です。
じゃ、「D_Driveば来げんところに住んでいる我々ばどうやって買えばいいですたい?」とか「D_Driveこらんねどごはどだいすっど いいべ?!」ってなことになるわね。
ご心配なく!
100D_Driveは「47都道府県すべてを回るツアー」で出ます。
いわゆる行商ですな。
第1回目はD_Driveの関東のホームのひとつ11月10日の厚木サンダースネイク。
GALA2の翌日だ。
そこから向こう46都道府県をMarshall、NATAL、EDENと共に回りまくっちゃう。
あ、連続ではありませんからね。
トビトビです。
お近くにD_Driveがお邪魔した際にはライブにお出かけ頂いてゼヒ!CDかLP、または両方お買い求め下さるようお願い申し上げます。
ちなみにレコードは限定生産で、今イギリスにある在庫がなくなったら二度と手に入れるチャンスが訪れないハズなのでご留意ください。

D47logo 
<music CHINA>
泥短下線开车打算在展览会上对麻亜者琉鉈瑠江電进行公开演示!

200来る10月10~13日に上海で開催されるアジア最大の楽器の展示会『music CHINA』。
Marahall社のご指名により、MarshallのブースでD_Driveの4人がMarshall、NATAL、EDENのデモンストレーションを披露する。
昨年はレーベル・メイトのRewsが出演して大ウケだったらしい。
モノスゴイ活気だっていうからね~。
D_Driveもウケるだろうな~。
楽しみだ。
詳しくは後日Marshall Blogにて!Mc 時間があれば街にでて『私の上海』の取材もしたいと思ってるんだよね~。
ムリかな~。
少なくともカメラを持って外灘というエリアにある租界時代に造られた建物群は見て来たいと思っている。

210 
最後に…既報通りD_DriveはMarshall GALA2に出演します。

225GALAのために来日するMarshallの社長に日本でのD_Driveの雄姿を見せてやってくれい!
ファンの皆さん、応援よろしくお願いします!

230しかし、自分で企画しておいてナンだけど『Marshall GALA 2』ってスゴいイベントだと思うんでけど。
こんなヘンなの今時世界で2つとないと思うよ。
世の中のイベントで当たり前になっていること反対の全てをやってみようとしている…というか、単にへそ曲がりというか…ひとりでも多くの方にご覧になって頂きたいと思う。
少なくとも懐古趣味にとらわれず「ロックってこういうモノだ」ということを再認識して頂ける内容にしているつもり。
当日はMarshall GALAオリジナル・グッズを会場限定で販売もさせて頂きます。
 
Marshall GALA2の詳しい情報はコチラ⇒Marshall GALA 2の詳細を発表します!
11月9日、東京キネマ倶楽部でお待ちしています!

(一部敬称略 ※一部方言指導:山形「Lover Soul」Erikaママ…実際には、過去D_Driveは酒田にはお邪魔しているそうです。Lover Soul関連の記事はコチラ

9mr

200

2019年9月11日 (水)

【イギリス-ロック名所めぐり】vol.39~キンクスに会いに行く!<後編>

05さて、困った!
何とかこのままイースト・フィンチリー駅までガマンしてトイレに駆け込もうと思っていたんだけど、バスが来ない~!
もうどうにも仕方がないので、クリソールド・アームスまで戻ってトイレを借りることにした。

10_3レイとデイヴの家まで行って…

20_3その前がクリソールド・アームスでしたね。
さっきのThe Kinks Roomには誰もいなかったのでシレっとトイレに直行。
仮に何か言われても「さっきココでエールを頂いたモノです」と言えば問題なかろう。

30_3尾籠な話で恐縮ですが…古いパブなんかに行くとこういうタイプの男性トイレがあるんだよね。
コレ、イヤなんだよな~。

40_2上のヤツはD_Driveがリハーサルをしたウルヴァ―トンというところにある「Craufurd Arms」というパブのトイレ。
ひとりの時はゼンゼンいいんだけど、隣に外人が入って来たりすると思いっきり委縮しちゃう。
でもどうしてもチラっと隣を見ちゃう。
「(え?腕かと思った)…」なんてね。
失礼しました。
で、トイレネタの本題。

50_2コレはクリソールド・アームスのトイレ。
何かズラズラと書いてある。
ナニナニ…
「私たちのリアル・エールの品質を保つために次のことにご協力をお願いします」
ハイヨ、ハイヨ。
「エールを飲んだ方は左側で、ラガーを飲んだ方は右側で、それ以外の方は真ん中で用を足してください。こうすることで樽に戻す時に種類が混ざるのを防ぐことができます」
あ~、やっぱり戻してるのか!
もちろん私は左側で用を足してお店に協力しました。
アホンダラ!
ナニが「クロス・コンタミネーション」だ!英語で言うとカッコいいじゃねーか!
ああイカン、格式高いMarshall Blogを自ら台無しにしてしまった。

60_2さ、気を取り直し……と。
またバス停に戻ってしばらく待っていると、地下鉄ノーザン線のイースト・フィンチリー駅行きのバスが来て10分もしないウチに到着。

70そして、南方面行きの電車に2駅ほど乗ると目的地の「Archway(アーチウェイ)」に着く。

80_3ホラ、またあった!
ソロソロ説明をすると…コレは迷路のように見えて…実は「迷路」なんだって。
マーク・ウォリンガーというアーティストの、その名もズバリ「Labyrinth(迷路)」という作品で、地下鉄の開通150周年を記念して2003年から展示が始まった。
全270駅にこういうのを取り付ける計画だそうだ。
電車が来るまでの間、コレで遊んでリラックス…とかいう意味合いがある、と何かの記述で読んだことがある。
私はもうずいぶん前からコレに気がついていて、4年前にロンドンに来た時より今回は確かに増えているような気はするが、誰かがコレを指先でツツツ~とナゾっている所など今の今まで一度も見たことがない。
各迷路には右下に「〇〇〇/270」とナンバリングが施されていて、このアーチウェイ駅のヤツには「170」が採番されている。
こんなことをされると気になるんだよね~、1番が!
どこの駅なんだろう。

90_3この「Labyrinth」についてはこんなビデオも制作されている。
アート云々より、ロンドンの地下鉄の様々な光景を見ることができてオモシロいよ。
興味のある人は見てみて!


アラ~、なんかキレイになっちゃったな~。

100_3駅前のようす。

120_3コレは2009年に行った時のようす。
花壇を取っ払っちゃったんだね。

125_2エラく広々としちゃって印象が変わったと思ったら…

130_3名前まで変わっちゃった。
「ナビゲーター・スクエア」…大層なお名前になりました。
かつては「アーチウェイ・クローズ」と言っていたのか。

135_2ココまで来た理由はコレ。

140_3ナビゲーター・スクエアの奥で威容を誇っている建物。

150_3コレが「Archway Tavern(アーチウェイ・タヴァーン)」。

160_31971年の『Muswell Hillbillies(マズウェル・ヒルビリーズ)』のジャケットとなったパプ。

180cd_210年前はこんな感じで1階はいかにもライブ・パブみたいな風情だった。
訪れた時にちょうどナニかをやっていたので、その時は店に入らなかった。
図々しく入っちゃえばヨカッタ。
また、中にはたくさんの人がいたので外から店内の写真を撮ることも控えた。
人がいないところをシレっと撮っちゃえばヨカッタ。
後悔。

170v…というのも、今、こんなんなっちゃったんだもん!
ジャケットの写真とは似ても似つかない。

191小ぎれいなレストランって感じ?
10年前はまだジャケットみたいな風情をしていたんだよ。

205_2これじゃ「Muswell City Boys」じゃん。
そもそも、ココはマズウェル・ヒルではないけどね。

206ジャケットを見開いてみるとこんな感じ。

207今、コレ。
ココで「Have a cappa tea」か?

190_3ハイ、またロンドンのロックの名所がひとつ消えました。

210_4お、裏にこんなの発見。
「Kolis」というのはカムデンでKing Creatureが出演していたクラブだ。

220_3この後、キングス・クロスまで帰って来て、あのカナル博物館に行って失敗した…と。
コレで私のマズウェル・ヒル探訪記はおしまい。
天気もよくて、道中も楽しかったし、マズウェル・ヒルは魅力的だし、最高の1日だった!
 
でも、キンクスのKonkスタジオも行っていないし、チーズ屋もフィッシュ&チップス屋も気になるし、訪れたい場所がまだまだマズウェル・ヒルには残っている。
だから今回はまだ小手調べってところかな?
Asakusa RedneckはまたMuswell Hillbiliesに会いに行くゼ!
230_3…その前に。
このシリーズの締めくくりにホンモノのマズウェル・ヒルビリーをご紹介しよう。
イヤ、「ヒルビリー」なんて言ったら怒られちゃうか!
それはToshiさんという日本の方…。

240vToshiさんに初めてお会いしたのは…というか、まだ1回しかお会いしてないんだけど…2015年11月のこと。
渋谷のO-EASTでのことだった。

250_3Toshiさんはこの時、Wildheartsのジンジャーのサイド・プロジェクト、Hey! Hello!のメンバーとして来日した。

260_2Hey! Hello!はジンジャーとギターのThe RevがMarshallを使用していることもあったが…

270_2ドラムのAiさんがNATALのプレイヤーで、そのサポートをさせて頂いたのだ。
もうイギリスではNATALは当たり前のドラム・ブランドですからね。

230v それでToshiさんに話を伺うと、マズウェル・ヒルの住人だっていうじゃない!
もうアタシャ興奮しちゃってサ。
いつかマズウェル・ヒルのToshiさんを訪ねようと思ってズッとチャンスを狙っていて、今年の6月に行った時にお邪魔しちゃおうと思ったんだけど、残念ながらToshiさんは仕事でフィンランドかなんかにご出張中だった。
ところが、ヒョンなことから先月また思いっきりつながってしまった。

280_3日本のバンドをイギリスに紹介する仕事をしているイギリス人と一緒になった時、その方のお住まいを尋ねるとマズウェル・ヒルだと言う。
「キンクスの大ファンなんですよ!それに日本人の友達がひとりマズウェル・ヒルに住んでいるんですよ!」と言うと、「チョット待って!その日本人ってなんていう方?」と訊き返してくる。
「Toshiさんって言うんですよ」と答えると、「ええ!Toshiを知ってるの?」とかなりのビックリもよう。
その人はToshiさんと何度も仕事をしたことがあるというのだ!
地球の裏側まで来て、自分の仕事仲間を知っているなんてヤツがいきなり現れたらそりゃ驚くわな。
こういうところはIT技術のいいところで、その場でマズウェル・ヒルと連絡を取りあってビックリする人をもう1人増やしたというワケ。
それがToshiさん。

290vToshiさんは今、Sex Pistolsのスティーヴ・ジョーンズとポール・クックが結成したThe Professionalsのベーシストとして活躍している。
近い将来、私もまたお仕事でToshiさんとご一緒する機会が出て来そうだ。
 
そして、今回この記事を書くにあたって、Toshiさんにお願いししてマズウェル・ヒルの生活について語って頂いた。
Marshall Blogもナンダカンダで10年やってるけど、こういうやり方は初めてだよ。
Toshiさん、Marshall Blog2回目のご登場。
マズウェル・ヒルからの生のレポートをお楽しみアレ!

460s_2みなさま初めまして。
The Professionalsというバンドでベースを弾いております、Muswell HillbillyのToshiと申します。
シゲさんのご好意で拙いレポートをMarshall Blogに載せていただくことになりました。
 
皆さんの持つ「マズウェル・ヒル」という町のイメージというと何でしょうか?
ロンドン北部の住宅街?
役者やモデル、ミュージシャンの住む高級住宅地?…等があると思いますが、やっぱりThe Kinksでしょうかね?
でも、The Kinksについてはシゲさんが書かれるでしょうから、ココでは全く関係のない、私の普段の生活を書かせて頂きます!
 
この町に引っ越して来たのは約7年前のことですが、コレといって特別な思いがあったワケではなくて、「北ロンドン」、「値段」、「機材を収納するスペース」という条件くらい。
最後の「機材を収納するスペース」っていうのがいつも引越しする際に問題になってくるのです。
私達、イギリスで活動するミュージシャンは、自分の機材でライブをするっていうのが当たり前なので、自分のギターやベースは勿論、アンプ類も所有する事になるワケですが、ある程度の会場で出来るようになるとそれなりの物を揃えたいものですよね?
しかも結構大きなものになってしまう場合もあるわけで…。
ベース・プレイヤーの私は比較的大容量のアンプヘッド、それをでっかいキャビで鳴らすっていうのが大好きなので、それなりのスペースが必要になってくるわけです。
(…と、Toshiさんが例に挙げたのは8x10"のベース・キャビ。こういうヤツね…
300v
…それと大型のアンプヘッド)
 
そういう機材のセットをライブの度に会場に持って行って、ライブをやって、また家に持って帰ってくるワケです。
もちろんコレを持ってツアーにも出ます。
バンドのみんな、クルーの嫌われ者です!
  
話を街の方に戻します。
住んでみてまず思ったこと、今まで住んできた所に比べると静かだな…っていうことですかね。
もちろんロンドンなので、それなりに交通量もありますが、今までの所と比べると猥雑さがあまりないせいか、静かに感じるんでしょうね。
ちなみに家の前の道はこんな感じです。
310_3そして、この町の特徴として、「電車が走ってない」というのがあります。
コレが大きな魅力でもあるのですが、人々の足を遠ざける理由にもなっております。
毎日お仕事に通う人にとってはとっても不便だから…。
電車が走ってないということは「駅がない」ということ。
つまり目的地へは自転車、もしくは車で行くか、最寄りの駅まで電車で行くか、または最寄りの駅までバスに乗って行くか、等々の選択肢から交通手段を選ぶことになるのですが、ロンドンで車を持つ意味が感じられない私はもちろん車は所有してません。
したがって、歩くか、バスか、の選択肢になります。
歩くと時間がかかるので必然的にバスになるのですが、日本のようにそのバスが時間通りに来る…なんて考えで家を出ると、ほぼ確実に遅刻することになってしまうので、時間にゆとりを持たせて家を出ないといけません。
朝のラッシュアワーの時などは、乗客の数が定員に達するとバスは停留所を素通りしちゃいますからね。
なので「道がすっごい混んでてバスが…」って言うと、遅刻も意外と許されます。

ロンドンのどこに行くにもまず中心に向かって、電車を乗り換えて、さらに東、西へと向かいます。「マズウェル・ヒルから直接西へ!」なんていう考えは、車を持たない私には存在しない選択肢なのです。
するとどうするか…。
まずは、最寄の駅の「Highgate(ハイゲイト)」までバスで15分。
向かう道中、マズウェル・ヒルlの真ん中を通ります。その名も「Muswell Hill Broadway」。
320v_2下の写真の中でピンクの髪の毛の女性が道の真ん中を歩いていますが、これは道を渡ろうとしているところ。
もちろん信号はあるのですが、日本と違って歩行者用信号が赤でも自分の責任で安全を確認して渡りさえすれば、お巡りさんが目の前にいても何も言われません。
私はつい日本で同じことをして、何度か怒られました。
330_3この道沿いにToff’sというフィッシュ&チップスのレストランがあるのですが、このお店は「ロンドンナンバーワン」との呼び声が高いのでお越しの際は是非お試しを。
340_3レストランの壁にはお店宛に送られたIron Maidenのプラチナデイスクがいくつか飾られております。というのもIron Maidenのドラマー、ニコが常連客なのです。
うちのご近所さんで、ビーチサンダルでペタペタ歩いてる姿をよく見かけます。

8_ts 大通り沿いではなく、ひっそりと隠れてる様なHighgate駅の入り口。
ここから街の真ん中へ。
350v帰りもHighgateで降りて長ーいエスカレーターを上って…
360vHighgate Woodという森の入り口からバスに乗ってMuswell Hillへ。

370v元々ロンドンは涼しい街なので、エアコンというモノは家にはもちろん、バスにも地下鉄にも付いてません。
コレらの写真を撮った日のロンドンは暑そうには見えませんが、30℃を越えていまして、ロンドンの人間に30℃越えはとってもキツイです。
よく「その革ジャンを脱げ!」と言われますが、脱ぎません。
「お洒落は我慢」です!
(Shige:あ、コレコレ!写真右側。このSainsbury'sの地図で助かったの)
380_2お天気のいい日は外のテーブルについて、コーヒーを飲んだり、ご飯を食べたり、ビールを飲んだり。
教会を改装したステーキ・レストランとか、高級なお肉屋さんとか、魚屋さん、スーパーマーケット、カフェ、レストラン、パブ、銀行、郵便局など生活に必要なものは大体揃ってますので、わざわざ街に出なくても用は足りちゃいます。
390_2Fortis Green Roadの角にある映画館。ソファでくつろいで映画見れちゃいます。
Fortis Green Roadといえばあのバンドですね。この道をウロウロしてたんでしょう。
400_2「Muswell Hill」という地名の通り、高台に位置しているので、天気のいい日はロンドンを一望出来ます。
百万ドルの夜景とは程遠いですが、夜もそれなりのモノが見れますよ。
近所にAlexandra Palaceという建物があるのですがそこからの景色はなかなかのもんです。
昔はBBCのテレビ塔。ライブ会場としても使われております。
410_3家に向かう下り坂の様子。
430_3緑が増えてきたり、ゴチャゴチャ感が減ってきたり。
このどこかにIron Maidenのドラマーの家が…。
俳優の Mackenzie Crookが普通に歩いてるのに遭遇したことも。
450_3不便といえばとっても不便なマズウェル・ヒルですが、「住めば都」という言葉もあるように、私にとっては「都」になってきてるんでしょう。
お店の人達とも顔馴染みになって、ちょっとオマケしてもらったり、普通に世間話をしたり…。
420v治安が良いと言われているロンドンでも地域によっては危険な香りがする場所もあります。
でもココではそういったことを一切感じたことがないし、トラブルに見舞われたこともありません。
ライブを観に行って、アフター・パーティに参加すると間違いなく電車がなくなっちゃいますので、深夜バスを乗り継いで帰るか、タクシーで帰ることになる。
そうしてお出かけが高くついちゃうことが多々あるんですけどね…。
  
以前はもうちょっと町の真ん中近くに住んでいたので、どこに行くにも自転車だったのですが、家に帰る道中に恐ろしく長い、しかも結構急な坂道があったので自転車生活は諦めました。
「大雪が降るとバスが登れなくなっちゃうくらいの坂」と言ったら想像しやすいですかね?
実際、「もうこれ以上行けないから降りて歩け!」って言われて真夜中に大雪の中歩いて帰った経験もありました。
 
幸いな事に私のバンド The Professionalsはそんなに練習熱心ではないので、ベースを担いでバスに乗ったり、電車も乗ったりなんてことをしょっちゅうする必要がなくてホッとしております。
でも、ドラムのポール・クックはハマースミスの住人で、そんなに遠くまで行きたがらないから、彼の家の近くのシェパーズ・ブッシュにあるスタジオまで行かないとイケないのです。
うちから1時間20分…。
そんな The Professionalsは次のアルバムのために曲作りとレコーディングをしております。
秘密のスタジオで…。
10月にはUKでのライブ、ドイツのツアーが控えているのでお近くにお越しの際にはゼヒ!
470vその前に私はUgly Kid Joeのボーカル、Whitfield Craneのソロ・ツアーが9月4日 (これを書いてるのは9月3日です)から始まるのですが、そこでベース弾いてきます!
お近くの方はコレもゼヒ!
ロンドン公演は9月14日、会場はHighburyにあるGarageです。
475vご覧頂きました皆様、お時間ありがとうございました。
そしてシゲさん、素敵な機会をありがとうございます!
 
Big Love from London
Toshi x
460s_2

イエイエ、こちらこそどうもありがとうございました。
実際にマズウェル・ヒルに住んでいる方、しかもミュージシャンの方のお話をお聞きするなんて機会はそうあることではありませんからね。
貴重な情報として半永久的にMarshall Blogに記録させて頂きます。
Toshiさん、今日はニューキャッスルか…いいナァ。
ニューキャッスルもすごく好き。
今日はジョーディたちの前でひと暴れですな?
がんばって!

 

200 
(2019年6月9日 ロンドン、マズウェル・ヒルにて撮影)

 

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2019年9月10日 (火)

【イギリス-ロック名所めぐり】vol.38~キンクスに会いに行く!<中編>

ようやっとのことで着いた「The Clissold Arms(ザ・クリソールド・アームズ)」。
10_2コレがThe Kinksファンの聖地か!
30_2見た目は普通の「郊外型パブ」といったところ。

20_2入り口のドアの横には「Campaign for Real Ale(キャンペーン・フォー・リアル・エール)」のプラークが掲げられている。
「1960年12月、The Kinksの創始者であるレイとデイヴ・デイヴィスが初めて公衆の場で演奏をした場所。The Kinksは最も影響力の強いイギリスのロック・バンドのひとつで、バンドが解散するまで各々のメンバーはその後に世に現れた音楽ジャンルの父とみなされた」

40いつか書いたようにイギリスのパブは大抵どこかの大手ビール会社が運営していて、自社の商品を卸すのが当たり前の図式になっている。
この「Campaign for Real Ale」というのは、そんな事情を憂いインディーズで経営している伝統的なパブを大手ビール会社への系列化から守る運動をしている団体。
いい人たちだ。
1971年から活動していて、その会員数は19万3千人にも上る。
私も入っちゃおうかな~。
様々なビールのフェスティバルなども企画しているっていうし。
で、気になるのはこのプラーク。
他にどんなパブに付いているのか調べてみたのだが、その範囲は音楽関係にとどまらず、歴史的な場所から、食べ物に関する場所…たとえば「スティルトン・チーズ発祥の地」なんてのもあった。
イギリスはかなりのチーズ文化国で、日本に来たイギリス人に言わせると、日本の食べ物は何でもおいしいけどチーズだけはダメだそうである。
私は特にチーズが好きなワケではないのでこんなことを言われてもゼンゼン平気。
このスティルトン・チーズというのは世界三大ブルー・チーズの一角なのだそうだ。
そして、有名なチーズ専門店がこのマズウェル・ヒルにもあることは前回書いた。
 
他にリバプールに行けば「ジャカランダ・クラブ」といって、ビートルズの最初のマネージャー、アラン・ウィリアムスが開いたパブにもこのプラークが付けられているそうだ。
ウィリアムスは地下室をリハーサルの場所としてはジョンやスチュアート・サトクリフらに貸し、ビートルズ、正しくは前身のシルバー・ビートルズがその店で演奏したのだそう。

8_camralogo

そして、フォーティス・グリーン・ロードを挟んだクリソールド・アームスの向かい。

60コレがレイとデイヴィスの生家なのだそうだ。
お世辞にも「結構なお住まいで…」などとは言えない庶民向けデタッチト・ハウス。
いわゆるイギリス式棟割り長屋。
私も友人が住むこの手の家に何度かお邪魔したことがあるが、チョット狭いけど建物の向こう側にはバックヤードがあったりして、棟続きとはいえ「戸建て感」が十分にあって結構いい感じ。

50迷わず店の中に入ってみる。

80_2お昼時だったが店内はガラガラ。

85と思っていたら奥に広いテラスがあって結構にぎわっていた。
エールを頼んで、写真撮影の可否を問うと「ご自由にどうぞ~!」ということだったので、遠慮なくやらせてもらった。

90_2まずはソファに座ってひと休み。
結構歩いたからね、ノドが乾いた。
しかし、「Real ale云々」なんてことはナニも言ってなかったな。
ま、こっちはハンド・パンプで注がれるエールなら何でもいいんだけどね。100_2このテーブル!
「K」だらK!
120_2「God Save the Kinks」か…、

125「God Save the Kinks」は伝記本のタイトルにもなっている。

Gsk私はこっちを読んでみた…『ひねくれ者たちの肖像(原題:The Kinks  The sound and the Fury)』というもうひとつの伝記本。
ハードカバーで500ページを超す大著なんだけど、読み切るのにかなりの忍耐を要した。
何度途中で放り出そうと思ったことか…。
レイとデイヴの不仲話を中心に、メンバー間の不調やイジメが延々と書いてあるだけという印象。
何かこう、もう少しレイの天才的な作曲能力の秘密に迫るような内容が含まれていたらヨカッタんだけどな~。

8_kb2 「ひねくれ者」か…。
そもそも「kink」というのは「よじれ」とか「もつれ」とか「ひねり」という意味だからね。
Marshallが1962年に発売した記念すべき第1号モデルのJTM45に搭載されていたパワー管ははじめ5881だったが、後にKT66となった。
KT管はイギリスが開発した真空管で、「KT」とは「Kinkless Tetrode」、つまり「よじれのない四極管」の頭文字だ。

Kt66 さて、店内の壁のメモラビリアを見てみると…。
 表のプラークと同じことが書かれている飾り。

130_2「Lola」のシングル盤。

140_2デイヴのポートレイト。

150_2店内には色んな写真が飾ってある。

160_2コレは「Waterloo Sunset」。170_2ドデカイ「K」。
舞台装置かなんかだったのかしらん?

180_2その後ろの壁面にはアルバム『Word of Mouse』のジャケットをモチーフにした「The Kinks ROOM」のサイン。
ね、「キンクス部屋」なの。

190_2店内に入って左側の壁面。

200_2やっぱり「Dedicated Followers of Fashhion」はロンドンっ子テーマ・ソングみたいなものなのかね?

210_2流行のファッションに血道を上げてカーナビ―・ストリートに集まって来るミーハーの若者を歌った1966年2月のシングル・ヒット曲。

240_2こっちの壁面にも写真がズラリ。

220_2パブリシティ・フォトから…

235チョットしたライブ写真まで色々。
300_2コレも「Waterloo Sunset」。
やっぱりロック史に残る必殺の名曲だからね。
ホントにこの曲好き。
ローリング・ストーン誌が選ぶ「500 Greatest Songs of All Time」というリストの42位にランクインしている。
もっと上でもいいんじゃないのか?もっとも日本ならランク外だろう。
ちなみにこのリストの上位を見てみると…
10位がレイ・チャールズの「Waht's I say」。
9位がNirvanaの「Smells Like Teen Spirit」…知らんがな。
8位以上は「Hey Jude」、「Johnny B. Goode」、「Good Vibrations」、「Respected」、「What's Going On」と続く。
で、3位が「Imagine」。
2位が「(I Can't Get no)Satisfaction」。
そして栄えある第1位は「Like a Rolling Stone」だってサ。
英語圏と日本のロックの鑑賞の仕方の違いが如実に表れていると思う。
ところで、やっぱAreaの「Luglio, Agosto, Settembre (nero)」は入ってねーな。

230_2キンクスの名曲で構成したショウ『Sunny Afternoon』の告知ポスター。
4年前、ロンドンに来た時に演っていたんだけど観にいかなかった!
エラく後悔している。
代わりにこのショウの音源を聴いたんだけど、その臍を噛む思いはチョット晴れたね。
コレはまたもうチョット後で。
250_2コレはファンが作ってくれたのかネェ?
キンクスのゆかりのある建物の紙細工。
時計回りにいくと、左上は上の写真にあったデイヴィス兄弟の生家。
その隣はこのクリソールド・アームズ。
右の下はココのほぼ向かいにあった「The Alexandra」という、レイとデイヴが若い頃に入り浸っていたというお店らしい。パブか?今はもう無くなっていた。
最後は1981年のアルバム『Give the People What They Want』のジャケット撮影現場。

270熱心なファンを装っていても、『Preservation』以前の旧作ばかりを聴いているウワベだけのファンなんですよ、私は。
Aristaに移籍したあたりから、パンク/ニューウェイブの煽りを受けて「何とかバンドのサウンドを変えないと!」とレイが焦っているような感じがして聴くのがツライ。
ムリして80年代の商業ロックの仲間入りなんかすることなかったのに!
でもこのパブリシティ・フォトにある1982年の『State of Confusion』は好き。
ナント言っても「Come Dancing」とか「Don't Forget to Dance」といった名曲が入ってるからね。

280_2でもジャケが!
この時期の2枚は一体どうしちゃっただろうね。
色目は変えてあるけど、写真の撮影現場も上の紙細工のところで一緒だもんね。
一種の連作になってるのかな?
「民衆が望むモノを与えよ(Give the People What They Want)」…でも与えられないから「混乱状態(State of Confusion)」になってる?

21 同じ壁の奥。

310_2コレは楽譜だね。

320v「DAVRAY MUSIC LIMITED」というのはレイがやっていた音楽出版社。
今もあるのかも知れません。
「DAVRAY」は「Davies」と「Ray」をくっつけたモノだろう。

330_2住所を見ると「17, Savile Row」とある。
調べてみると、ビートルのアップル本社が入っていたビル、言い換えると「Roof Top Concert」と呼ばれている、1969年1月にビートルズが屋上で開いたビルから100mぐらい行ったところ。
この「Poole & Co.」というテイラーの隣。
クソ!コレを先に知っていたらドンズバで写真を撮ってきたのに!

8_img_4799コレは入り口のある壁に飾ってあるポートレイト。ファンからのプレゼントなんでしょうね。
「空想の男とデイヴ」となっている。

340_2下の写真の額縁に入っているのは、テキサスに住む熱心なキンクス・ファンからクリソールド・アームスのソニアという人に宛てられたお礼の手紙。
店内が暗かったので奥の方にピントが送れておらず、書いてある全部の単語を解読することはできないが、読めるところだけ拾い出すと…
「ソニア
The Kinks Roomの一員になる機会が持てたことに心から感謝申し上げます。
(中略)
レイとお話することができたのはとても光栄なことでした(2010年に彼は私のTaylorギターのバックにサインを入れてくれたんですよ)。レイは私の永遠の音楽ヒーローです。
 
以前にもお伝えした通り、写真はテキサス・オースチンのもうひとりのキンクスの大ファンあるリンダ・キャロルトンが『Schoolboys in Disgrace』ツアーの時に撮影したものです。(考えてみれば41年も経ったんですね。いまだによく覚えています)
 
とにかくありがとうございます。展示は、ロンドンに戻って来れる大幸運に恵まれた時に「またクリソールド・アームスに来なさい」という私とメアリーに対する指令ですね(寄付と写真に関する名前のクレジットもありがとうございます)。
もしよろしかったら、それが展示された時に携帯で私のPCに写真をメールして頂けませんでしょうか?
 
本当にありがとうございます。GOD SAVE THE KINKS!!!
 

                  スコットとメアリー・シェンケル
                      キャロルトン、テキサス」

シェンケルさんがクリソールド・アームスにキンクスの何かを贈呈して、お店がそれを飾って、そのことを知ったスコットが直筆で礼状を書いたんだね。
エラく感動しておりますな~。
私みたいのがアメリカにもいるのね。
ま、私はこうしてMarshall Blogでお店にお邪魔した感動を綴らせて頂きます。
まさかシェンケルさんって「Cal Schenkel」の親戚かなんかじゃないだろうな。そっちの方がうれしかったりして!

350_2スコットの手紙に出て来たキンクスの『Schoolboys in Disgrace』というアルバムはコレ。1975年の作品だから、今からだと44年前のリリース。
私がThe Kinksの名前を知ったのはこの辺りかな?
音楽雑誌でこのジャケットをよく目にした。
しかし、このイラストがミッキー・フィンの作品とはね~。
器用だな~。

Sbdミッキー・フィンはT.Rexのパーカッショニスト。
要するにマーク・ボランの相棒だ。
ミッキーはずっとNATALのパーカッションを愛用していたんだよ。 

Mf_3コレは「Sunny Afternoon」のシングル盤。
「およげ!たいやきくん」の元の曲ね。

360_2今度は店に入って右側の壁。

370_2こっちの壁には主にスクラップが飾ってある。380vスゴイね、コレ。
ブリティッシュ・インヴェイジョンがまだ盛んなりし頃のアメリカのコンサート告知ポスター。
Herman's HermitsにThe Dave Clark 5、The KinksとMoody Bluesはコレが初めてのアメリカ公演だった。
キンクスはこの前に、カーディフのステージ上でデイヴとドラマーのミック・エイヴォリーが殺人事件寸前のヒドイ乱闘騒ぎを起こし、物騒なバンドとしてアメリカへの入国が禁止されていた。
以上はすべてニューヨークの「The Academy of Music」という会場。
The Academy of Musicはユニオン・スクエアにほど近い場所にあるオペラ・ハウスで今は「Palladium」という名前になっている。
言っておきますけど、こういう劇場の名前なんかはみんな元はロンドンですからね。
「London Palladium」というのはウエストエンドでも最も有名な劇場。
そして、さすがビートルズ!
コンサート会場はあのシェイ・スタジアムですよ。
その下に出ている「The First New York Folk Festival」もオモシロい。
出演はフィル・オクス、チャック・ベリー、ジョニー・キャッシュにバフィ・セイント・マリーだって。

390vシングル盤のジャケットいろいろ。
420_2コレは2010年にクリソールド・アームスでライブを演った時のスクラップ。

400v真ん中の名刺みたいなヤツがチケットだったようだ。

410_2コチラの壁にはこんなデコレーションが。
「♪Fortis green preservation society」とつい口ずさんでみたくなる。
残念ながら「Village Green」は「Fortis Green」のことではない。

430_2ソファ用のテーブルとして使われていたユニオン・ジャック柄の箱。
なんかいい。

440_2『Sunny Afternoon』ショウの告知看板。
上に書いた通り、4年前にロンドンに来た時に見逃した。
それで、後にこの音源を聴いたんだけどちっともオモシロくなかった。
もちろん収録されている曲、あるいは上演されていた曲はキンクスの珠玉のヒットソングたちで文句のつけようがないんだけど、やっぱりレイやデイヴの声じゃないとダメなの。
ビートルズってそんなことないじゃない?
もちろんビートルズの音楽はジョンやポールの声があって初めて完成するものだけど、曲のパワーがあまりにも強いので、あの声がなくても何とかなる。
キンクスはあのレイのあのチョット鼻にかかった声やちょっとガナリ気味なデイヴの声でないと曲の魅力が半減しちゃう…ということに気がついた。
他の人が違う声で歌う「Waterloo Sunset」を聴いても全然グッと来ないのです。
歌は「声」ですな~。

450_2店内をすべて見終わった頃、老若男女の団体が入って来た。
聞き耳を立てていると、どうやら子供さんの誕生祝いの席だったようだが、「♪ハッピーバースデイ」を歌うワケでもなし、それぞれに運ばれて来た料理をボソボソ食べているだけの静かなお誕生会だった。

110_2以上。
全部見た!
満足した!

460vもう一度レイとデイヴ・デイヴィスの生家を見て、近くのバス停までフォーティス・グリーン・ロードを歩く。

470_2お、葬儀屋だ!

480_2日本だとほとんどが白い瀬戸物の入れ物だけど、向こうは骨壺が自由に選べるらしい。
今、チョット見てみたらAmazonって骨壺も売ってるのね。

490_2おお、この「Leverton & Sons」という葬儀社はこの地域の2018年の「ベスト葬式プランナー」の最終選考まで残ってるよ。

500最寄りのバス停に来た。
コレで「East Finchley(イースト・フィンチリー)」まで行って、地下鉄に乗って次の目的地に向かいます。

510v653番は「School Journeys」か…。
ロンドンでは学校が当局に登録を申し出ると、生徒が何人かのグループになっていれば、ピーク時を除いて無料でバスが乗れるシステムがある…ようだ。
要するに路線バスのスクールバス化だね。
653番の「School Journey」がそれに該当しているかどうかわからないが、いいシステムだ。
ただし登録しようとする学校は、当局が指定しているカリキュラムを導入していなければならない。
ホントに向こうは教育に熱心だよ。
 
なんて感心している場合じゃなくなって来た!
スタバで飲んだアイス・コーヒーとさっきのエールでスッカリもよおして来ちゃったぞ!
こんなところに公衆トイレなんかないし…どうするシゲさん?
という場面で<後編>に続く。

520 

200 
(2019年6月9日 ロンドン、マズウェル・ヒルにて撮影)

2019年9月 9日 (月)

【イギリス-ロック名所めぐり】vol.37~キンクスに会いに行く! <前編>

 
先日Shige Blogでレポートした通り、今回はロンドン滞在中、家内が先に帰国した後に安宿へ引っ越した。
規格外に重いスーツケースを注意深く転がしながら、ほうほうの体でブルームズベリーからキングス・クロスへやって来た。
「European Hotel」というロンドンでよく見るタイプの「ホテル」とは名ばかりのB&B。
でも、どうせ寝るだけなんだからそれで充分。
荷物を置いたらすぐに出発。
今日の予定は今回の旅のハイライトのひとつなのだ!

08ホテルからキングスクロス駅までは歩いて1分。
ロケーション最高!
しかし上野駅ソックリだナァ。
これだけ見ているとイギリスへ来た感じがしないぞ。
20左はセント・パンクラス駅。
天気も最高!10まずは地下鉄ピカデリー線で「Finsbury Park(フィンズベリー・パーク)」へ。

30もうコレは何回もやってるけど、しつこくもう1回。
フィンズベリー・パーク駅といえば、グラハム・ボンド。
60年代にはGraham Bond Organisationというバンドを率いてロンドンのブルース・ロック/ジャズ・シーンを牽引したブリティッシュ・ロックのパイオニアのひとりだ。
見るからにアブなそう…。

40vGraham Bond Organisationはジャック・ブルースやジンジャー・ベイカーを輩出したことでよく知られている。
いわばCreamの母体…もっと言うとロックの1ページを飾ったトリオの産みの親がグラハム・ボンドだ。

50s代表作の『Solid Bond』ではジョン・マクラフリンも参加して、ナゼかロリンズの「Doxy」なんかを演っちゃってる。
しかし、スゴイよね。
Creamのリズム隊に、マクラフリン、ディック・ヘクストール・スミス、ジョン・ハイズマンまで参加してるんだもん。夢のようなメンツじゃん?
ちなみにマクラフリンは向こうでは「マクラッグリン」と発音します。

60sそして、最近Spotifyで出くわしたBBCの発掘音源。
マクラッグリンがチャンとしたトラディッショナルなジャズを弾いているのがおかしい。
このプレイが後に「ミクロネシアン・メジャー」とか「ナポリタン・マイナー」とか言う人と同一人物とはとても思えん。
レパートリーを見ると、「Bluesology」、「Kelly Blue」、「Oleo」、「Sack O' Woe」といったジャズ・チューンから「Hallerujah I Love her so」、「I Saw Her Stadning There」等のポップチューンまでゴッチャゴチャ。
ジャズがリスナーの身近にあった時代だ。
そして、コレらが国営放送の電波に乗って一般家庭に入り込んでいた。
ブリティッシュ・ロックってのはこういうシーンが礎になっているんだもん、そりゃ日本のリスナーなんて赤ちゃん同様だわな~…その図式は今でも変わらない。70sそして、このグラハム・ボンド、後にアレイスター・クロウリーにのめり込んで、精神を病んで自殺してしまう。
このフィンズベリー・パーク駅のホームで、入線して来る電車に飛び込んだのだ。
その飛び込む直前、ホームに立っていた初めて会う男の子の名前と手ブラだったにもかかわらずその子がギターをやっていることを言い当てたという。
このフィンズベリー・パーク駅はピカデリー線とヴィクトリア線の2つの路線が乗り入れているのね。
そうなると気になるのはグラハム・ボンドがどっちの路線に飛び込んだのか?…ということになってくる。
ちなみにこの駅は、新宿駅の総武線と山手線のように同じホームにその異なる2路線が乗り入れているロンドンの地下鉄でも珍しい駅。
荷物が多い時など乗り換えに大変重宝する。80写真はピカデリー線のようす。
ココに飛び込んだのか…、それとも反対側のヴィクトリア線か…。
そこで、ロンドンに住んでいる音楽業界で働くイギリス人の友人にこのことを相談してみた。
するとすぐに答えが返って来た。
「それは間違いなくヴィクトリア線だよ、シゲ」
「ナンでわかんのよ」
「アノね、ヴィクトリア線っていうのは、ピカデリー線に比べて電車がホームに入って来る時のスピードが断然速いんだ。
だから自殺をしようとするヤツは間違いなくヴィクトリア線を選ぶのさ。そっちの方が確実だろ?」
エ~、ココってそんな物騒な駅なのッ?
それにナンでそんなこと知ってんの?
コレにはビックリしたけど、ロンドンの豆知識が増えたわ。
ところが、後になってわかったのだが、グラハム・ボンドはピカデリー線に飛び込んだのだそうだ。
ナンのこたぁない、ウィキペディアの英語版に出てやがんの。90ホラ、この駅にもコレ!100ロンドンの地下鉄には時折このように長いトンネルを経て昇降する駅があるんだよね。
サッカーで有名な隣のアーセナル駅も確かそう。110コレが存外にオモシロい。
設計ミスでこんなんなっちゃったのかね?
「アレ、こんなとこホジっちゃったよ!」みたいな。120長いトンネルを経て地上に出た!
駅前には比較的大きなバス・ターミナル。130ね、となりがアーセナルだから、こんなショップが駅舎に入っている。

135駅のすぐ横を走る「Seven Sisters Road(セブン・シスターズ・ロード)」。
この先の右側にある「Queens Hotel」というところに数日滞在したことがあった。
部屋のポットの湯気を利用して、レトルトのお粥を温めようとしたら水蒸気が盛大に上がってしまい、火災報知機がそれに反応して大騒ぎになってしまった。
ホテルのお姉さんにこっぴどく叱られたわ。
お世辞にもお上品なエリアとは言い難く、この駅前のエリアだけでフライドチキン屋が7軒もあった。
どういうことか大体わかるでしょ?
吸殻を拾って、それを直接口にくわえていたヤツも見かけた。
ところが、そのホテルの前にある「フィンズベリー・パーク」の美しさと言ったら!140その通りの反対側。150国鉄(オーバーグラウンド)のガードの下にはこんな広告。
「教会をお探しですか?日曜日の10時にそれが見つかります」
…というミサへの勧誘。
年配の洋楽ファンには左側の建物のイラストに馴染みがあるだろう。160そう、「Rainbow Theatre(レインボー・シアター)」。170レインボー・シアターを背に今来た駅方面を振り返るとこんな光景。
初めて来た10年以上前と基本的には変わらないが、こんな高層ビルは影も形もなかった。
あ、右側には古い、日本で言うアパート風の建物が立ち並んでいたけど取り壊しちゃったんだな。
ロンドンはドンドン変わっている。180レインボー・シアターはもう何度も来ているし、何度もMarshall Blogに出てきているので、ごく簡単にもう一度書いておくにとどめるが、1930年映画館としてオープンし、その後コンサート・ホールとして60~80年代のブリティッシュ・ロックの黄金時代に活躍した。
重要な歴史を持つ建造物として、一応「Grade II」というカテゴリーに分類されて保護されているが、確か「Grade II」は「ナニがナンでも壊しちゃイカン」というほどの強制力はなかったように記憶している。
それゆえこうして時々ココに来ては定点観測をしているのだ。
現在はさっきガード下の広告にあったようにブラジルのエジル・マセドという教祖が1977年に開宗した「Universal Church」という宗教団体の施設になっている。
サンパウロに「ソロモン寺院」という本拠地を構える「Universal Church」は128か国に7,000以上の教会を持つ強大な力を持つ宗教団体なのだそうだ。
そばまで寄ると、中から2人の黒人の信者が仲睦まじく手をつなぎながら歩み出て来た。

190エエイ、折角だたかもう1回やっとくか…。
ご存知Deep Purpleの『Live in Japan』の海外バージョン『Made in Japan』ね。
このジャケットに使われている写真はココ、レインボウ・シアターで撮られたモノ。
そしてイアン・ギランが叩いているコンガはNATAL製だ。
ちなみにこの『Made in Japan』というのは「粗悪なモノ」という意味。
かつて、欧米において日本製の商品は「安かろう悪かろう」の同意語で、「Made in Japan」というサインが入っていると「ダメだ、コリャ」ということを暗示させた。
で、このアルバム、当初はメンバーがライブ録音に乗り気でなかったが、思ったより演奏がうまくいって発売となった経緯があるそう…つまり「Made in Japan」ってみんなバカにするけど、実はいいモノなんだぜ…なんてことが言いたかったのかね?知らんけど。
しかし、どうしてレインボー・シアターの写真を使っちゃったのかね~?「Made in England」の意地かね?Mijレインボー・シアターの建物がまだ残っていることが確認できてホッとしたところで駅に戻る。200今度は反対側のガード。210歩道にはお休みの方々がゴロゴロ。
今回、街にホームレスが激増していてビックリしたな~。
しかも20代と思われる若い女性のホームレスがたくさんいたのだ。
私が初めてロンドンに来た17年ぐらい前は誓ってそんな輩はいなかった。
ホームレスといえばオッサン、そしてホントにタマにオバサンを見かけるぐらいだった。
それが今では若い女性だよ!
そして、ロンドンだけではなくて、ホームレスはミルトン・キーンズ駅にもゾロゾロいたし、マンチェスターでもたくさん見かけた。
このことをスコットランド出身の友人に話すと、イングランドはそうしたホームレスへの対応が手薄なのだそうだ。
一方、スコットランドはホームレスが少ないらしい。
それはスコットランド政府がキチンとしたホームレス対策を打ち出しているからなんだと…。
そんな話を聞くと、「ホームレス云々」よりも「イングランド vs. スコットランド」の根強いライバル意識の方が気になるわい。
とにかく、日本にいるとあまりわからないけど、こうした変化を目の当たりにすると驚異的なスピードで世の中が悪くなっていることを実感するね。
日本は消費税が上がる10月以降、一体どうなっちゃうんだろう?
もう日本は一般庶民が政治家や大企業の果てしない欲望にソロソロ付き合えきれない段階に達しているのではなかろうか?
それに日本で言っている「軽減税率」っての?…イギリスに行って、もう一度言葉の意味を含めて税金のあるべき姿を勉強して来た方がいい…と、イギリスに行くとこんな経済オンチの私ですら思うのだ。220が―トをくぐるともうひとつのバス・ターミナルがある。
そして、そこからこの「W7」のバスに乗る。

230ヨッシャ~、まんまと2階の一番前の席をゲット。
行き先は「Muswell Hill(マズウェル・ヒル)」。
The Kinksの地元だゼイ!250そういえばIron Maidenのニコ・マクブレインってこの辺りの出身じゃないかな?
フィンズベリー・パークの街を抜けると…370景色がガラリと変わる。280住宅街を抜け…290また街…イヤ、「町」か。300それがまたどこもステキなのよ。
ああ、2階席の一番前でヨカッタ。シアワセ~!310興奮してなりふり構わず、夢中になって写真を撮っちゃったんだけど、私、一体どんな風になっていたんだろうか?
そうか、コレが「旅の恥はかき捨て」というヤツか!320おお、坂だ!
ま、「Hill」ってぐらいだから坂はあって当然なんだけど、ロンドンってどこもかしこもほとんど真っ平だからね…すごく新鮮。
結構アップダウンがあってすごくオモシロかった。

330そしてやって来たのが…

340「Muswell Hill(マズウェル・ヒル)」!350そうか~、ココがキンクスの故郷か~。
レイ・デイヴィスもデイヴ・デイヴィスもここから出て来たのか~。360「マズウェル・ヒル」…ああ、なんてステキな響きなんだろう!
380マズウェル・ヒルのハイ・ストリート、「Muswell Hill Broadway」をまずは歩いてみる。

0r4a0038ロンドンの都会から少し離れて、町がとてもユッタリしていていい感じ。

400ホラ、「ヒル」だけあってロンドンの街がこうして見下ろせるのだ!
この景色は感動するよ~。
しばらく見とれちゃった。410…なんて感心している場合じゃない。
ココからどこへ行けばいいのか。
いくら何でも町並みを見てるだけじゃツマらない…ということでデイヴィス兄弟の生家の向かいにある「The Clissord Arms(ザ・クリソールド・アームズ)」というパブへ行くべし。
そこはキンクスの聖地。
私設キンクス博物館になっていることは知っている。

390でもスッカリ困ってしまった。
別の回に書いたように、時間がなくて事前の準備が不十分で「クリソールド・アームズ」の情報を持って来なかったのだ。
しかも、私のスマホは海外で使えないときてる。
420「そうだ、こんな時こそPRETだ!」と、得意のプレタマンジェに入ってWi-Fiを使おうと思ったが、近くに見当たらなかったので、今回はスターバックスのWi-Fiを使うことにした。
イギリス人のお好みではないのか、飽きられたのか、アメリカがキライなのか、こっちのスターバックスは日本みたいに混んでいるのを滅多に見かけない。
入ってすぐに座ることができる。
でも、ナンカおいしくないんだよね、コーヒーが。
味が薄いというか、コクがないというか…。
でもキンクス関連のウェブサイトで「クリソールド・アームズ」が「Fortis Green(フォーティス・グリーン)」という通りにあることを難なく突き止めることができた。
「Fortis Green」なんて「Village Green」みたいでカッコいいじゃんよ!

Vgp通りの名前さえわかれば後はこっちのもの。
町角に立っている地図で場所をチェックすればチョチョイのチョイ。
こうしちゃいられない!と薄いアイスコーヒーを飲み残して外へ飛び出した。
 
「チ~ズ~、チ~ズ~…さてさて地図はどこかいな~?」
実際マズウェル・ヒルにはとてもおいしいチーズがあるということを、後に地元に住んでいるイギリス人から教わった。
そんなことより!ないのよ地図が!
ロンドンの中心部なら通りの角々にあるこういう地図がない!440本屋に行って25万分の1の地図でも買って来ようかとも思ったが、それもモッタイないし、本屋を探すのも面倒だ。
仕方なしに「ロンドン野生の勘」を頼りに歩いていたら、下の写真の交差点に「Sainsbury's(セインズベリー=イギリスの大手スーパー)」があるのを見つけた。
もしや店内にこの辺りの地図でも貼ってあるのではないかと寄ってみると…あった、あった!

430でもこんなヤツ!
オイオイ、ココから「Fortis Green」を探すんかいな~。
「You are here」の表示すらない!
仕方がないので地図の左上からジワリジワリと通りの名前を1本ずつチェックしていった。

450すると程なくして「Fortis Green」という文字が目に入り、その場からさほど遠くないということがわかった。
ルートも簡単、今いる道がそもそもフォーティス・グリーン・ロードで、コレを写真左の方向に進み、1回左折するだけだ。

460「♪フォ~ティ~ス・グリ~ン、プリ~ザベ~ションソサエティ~」なんて適当な鼻歌を歌っちゃったりなんかして歩いて行く。
Fairport Conventionのサイモン・ニコルもマズウェル・ヒルの出身。
このFortis Greenと「Tetherdown(テザーダウン)」という通りが交わるところにあった「Fairport」と呼ばれるニコルの実家でFairport Conventionはそのキャリアをスタートさせたのだそうだ。
え、そっちは行ってみたのかって?
イヤ、私、Fairport Convention チト苦手なんですわ。
それにBonzo Dog Doo-Dah Bandのヴィヴィアン・スタンシャルも晩年はマズウェル・ヒルの「Hillfield Park(ヒルフィールド・パーク)」というところで過ごしたそうだ。12img_9697しかし、いい加減遠いな…。
歩けど歩けどそれらしき建物が見えて来ない。470「コリャ、道を間違えたかな?」
ヒザがいつ痛くなってくるかも心配だ。
もう少し歩いてダメならバスに乗って近くの地下鉄の駅にでも行こうか、と考えているウチに…

480着いた~!
まさか壁にこんな絵が描いてあるなんて思っていなかったので、看板の文字がハッキリ見えて来るまでわからなかったのだ!
コレが「クリソールド・アームズ」か!
ということは、その通りの反対側は~?490<中編>につづく

200 
(2019年6月9日 ロンドン、マズウェル・ヒルにて撮影)

2019年9月 7日 (土)

Marshall Records、グランド・スラム達成!

 

Marshall Recordsがまた新しくイギリスのバンドと契約を交わした。
契約は新しいがバンドは古い。

7_mr_2 それは「GRAND SLAM」というバンド。
私は知らなかったんだけど、Thin Lizzyが終わった後、フィル・リノットがやっていたバンドなんですってネェ。
このプロジェクトを当時のGRAND SLAMのギタリスト、ローレンス・アーチャーが復活させてMarshall Recordsと契約したというワケ。
当然、フィルはいないけど、ローレンスがフィルと一緒に作った曲をよみがえらせるというのだから楽しいじゃないか。
ローレンス・アーチャー…私は知らなかったんだけど、カッコいい名前だな。
「ラリー・アーチャー」にしないところが何となくイギリスっぽくていい。

Gslogo しからば、ローレンス・アーチャーとはどんなキャリアを持っているのか……勉強させて頂きました。
LAUTREC、STAMPEDE、WILD HORSES、TARZENというバンドに在籍。
WILD HORSESってのはブライアン・ロバートソンがやってたのね?
そして、このGRAND SLAM。
1986年には『L.A.』なるソロ・アルバムをリリースしているそうで。
コレのオリジナル盤CDは激レア中の激レアで、帯付き美品なら中古市場で10万円はくだらなかったとか。
メッチャ、マイナーということかッ?
その後、再発されて聴けなかったファンを喜ばせたそうな。

La それと、このお方、UFOにもいたんですってね。
なるほど1992年の『High Stakes & Dangerous Men』というアルバムにクレジットされていた。
聴いてみたかったんだけど、Spotifyに見当たらなかったので諦めた。

Ufo そして今、GRAND SLAM。
時空を超えてそのデビュー・アルバムがMarshall Recordsからリリースされる!
タイトルは『Hit the Ground』。
収録曲は全部で10曲。
1. Gone Are The Days
2. 19
3. Hit The Ground
4. Military Man
5. Crazy
6. Dedication
7. Long Road
8. Sisters Of Mercy
9. Crime Rate
10. Grand Slam

この内の5曲がフィルとローレンスの共作。
他の5曲は新しいナンバーだ。
Thin Lizzyファンがうらやましい!
発売は2019年11月22日(グリニッチ標準時)。

7_gsそれに先立ってアルバㇺ・オープナーの「Gone Are the Days」が9月6日に先行配信された。
「Gone are the days」…思いっきり倒置が起こっていますな。
でも、コレは文法の理屈を勉強するより決まり文句として覚えた方がよさそう。
「Gone are the days when~」と「when節」をともなって「~は遠い昔になってしまった」という昔日を振り返る時にピッタリの表現。
「Gone are the days when the prog rock was going around」ってか?
コレに続けたくなるのはデューク・エリントンの超名曲「Things Ain't What They Used to Be」。
「物事は元のままにあらず」という意味から「昔はヨカッタね」という訳が当てられる。
けだし名訳!
 
そして、GRAND SLAM。
この「Gone Are the Days」を聴いてみる。
イヤイヤ、昔のままじゃないか!
もしフィル・リノットが歌っていたらThin Lizyyと言っても何の違和感もない。
この曲が『Bad Reputation』あたりに入っていても何らおかしくない。
そりゃ本人がいたバンドなんだから当然なんだけど。
とにかく、遠い昔になってしまったアレは、元のままだった!

私は1977年の『Bad Reputation』からThin Lizzyをリアルタイムで聴いたんだけど、ものスゴく好きだったな~。
今でこそ、リノットだ、ライノットだってやってるけど、その頃、私の周りではThin Lizzyを聴いているヤツなんて1人もいなかったよ。
ピンク・レディとかキャンディーズばっかりだった。
ロックと歌謡曲が分かれていて、共にクォリティが滅法高い音楽をクリエイトしていた時代。
これこそ私の「Gone are the Days」。
 
私はね、コピーを演るのではなく、こういう所業こそが「ロックの伝承」、もっと言うと「ロックの魂の伝承」だと考えるのだ。
つまり従来型のロックの魅力をオリジナル曲で表現するということ。
そういう意味ではとてもいいサンプルが出て来た。
今ごろ胸を張ってこんなロックを世に送り出すMarshall Recordsに快哉の声を上げたい。
そして、コレをできるのがビートルズの国、「イギリス」なのだ。
ナンダカンダ言っても音楽を作る側と受け取り側のレベルに雲泥の差があるんだよね。
最近、音楽業界にいる私に近い世代のイギリス人と偶然何人か一緒になった。
話題は当然ロック。
世代が近いので話が合い、とても楽しいおしゃべりとなる。
こないだはGenesisで大いに盛り上がっちゃったからね。
私は当時のロックの知識に関しては、そう簡単に人後に落ちないつもりなんだけど、やっぱり敵わない…音楽を聴く環境がロンドンと東京では全然違うんだよね。
今からその辺りのことを勉強してるというワケ。コレが滅法楽しい。
それで学んだことのひとつが彼らの「パンク・ロック」に対する感じ方なんだな。
コレはいつかエッセイにして開陳したいと思う。
 
さて、GRAND SLAMの今回のデビューには関してはMarshall Recordsも気合いが入っていて、LPは通常の黒バージョンンの他にこんなゴールド・ディスク・バージョンまで作っちゃった!

3gs1 CDはこんな感じ。

2gs2Tシャツと直筆歌詞カードがついたバンドル商品もリリースするそうだ。
もちろん配信も完備。
 
GRAND SLAMの詳しい情報はコチラ⇒Official Website(英語版)

2gs3 こういう情報はMarshall Recordsから「プレスリリース」という形で送られて来るんだけど、それの最後にこんなことが書いてあったので紹介させて頂く。
Marshall Recordsについて:Marshallは単なるアンプ・メーカーのブランドではありません。『Marshall』は『音楽』のブランドです。ジム・マーシャルが音楽に注いだ情熱こそがジムの業績を作り上げたのです。
このジムと同じ情熱がMarshall Recordsの精神です。
Marshall Recordsはミュージシャンたちが自分たちの音楽を作り、録音し、製品化し、宣伝する活動をサポートします
いいこと言うじゃないの~。7_mr_2いつも古臭いことをガミガミ言っている私ですが、「Marshall Recordsのチョイスってすごくいいな」…と思ってるんだ。
上に書いたことを他のバンドでも実践していると感じるワケ。
 
例えばKing Creature。
Daveの歌声は実に男性的でカッコいい。
70年代丸出し…それでいいのだ。

1ブギをキメまくるBad Touchも同様。
スティーブ・ウエストウッドのこのカッコよさは一体なんだ?
洋の東西を問わず、ここ数年で見たロック・シンガーの中では群を抜いてカッコいい。

3新しいタイプの音楽ではまずRewsがいい。
チョットひねった曲作りが魅力的なのに加えてショウナの激しさと可愛さがタマらん!
考えてみると、ガールバンドの音楽の方が洋の東西に差がないような気がするな。
彼女たちが演っていることが海を隔てて近いようなイメージがある。
ロック精神が通底しているっていうのかな?
早く日本に来ないかな~。ショウナに浅草を案内する日を夢見ているのだ…ハイハイ、エロオヤジでスミマセンね。

2もうひとつはPRESS to MECOでしょうな。
コチラはかなり今風のロックなんだけど、演奏や音楽の密度が、やっぱり今の日本のそこらへんの若手バンドよりロックを感じさせる。4そして、コレがダントツで風変りだ。
我らがD_Drive!
そもそもこんなインスト・バンドに目を付けて本当に世界デビューさせちゃうところがあまりにもスゴイじゃないか!
 
それじゃアニメ関連以外のバンドがナンだって海外へ行って受け入れられているか?っていうんでしょ?
日本のバンドをイギリスに紹介している本職の人にこのことを訊いたんですよ。
それは「イギリスにないから」なんですって。
私は「folklore music」という言葉を使ったんだけど、「まさにその通り!という反応を得た。
どうもね~…J-POPみたいのは「日本の民族音楽」と捉えているフシがあるんだよね。
イギリスやアメリカは日本と違ってブルースから派生して成長したロックの基礎ができているから、聴衆の耳も肥えていて、「何か体験したことがないロックはないもんかいな?」と思っているところにJ-POPみたいのは持って来いらしい。
それも日本語でやっておいて、定着したら英語で歌わせる。
その英語も拙い方がウケるのだそうだ。
もちろん、ガールバンドとなると、華奢で可愛らしいという魅力も加わるようだ。
ま、コレは普遍性の高い分析ではないけれど、間違えてもいないだろう。
間違いないのは彼らのビジネス感がスゴい…プロだからね。
もちろん日本のバンドやライブハウスを徹底的に研究している。

5だからD_Driveってのはスゴイと思うよ。
「他にない」ということでは海外へ進出している他のバンドと同じかも知れないけど、歌なしで器楽演奏だけでアレだけウケたんだから!
皆さん、海外もいいけど、まずはお足元の国内から。
D_Driveの世界デビューアルバム『Maximum Impact』をよろしくお願いします。
CDだけじゃなくてLPも是非!音いいよ~!
 
Marshall Recordsの詳しい情報はコチラ⇒Marshall.com
6cd

まだ秘密なんだけど、GALA以外に考えているイベントがありましてね…その稟議書(こんな言葉使ったの久しぶりだ!)をイギリスに提出したところ、Marshallから「イッパツOK」、「全面サポート」の返事を頂戴しましてね…。
微力ではあるけれど、Marshallのやり方で「ロックの伝承」に取り組みたいと思っているんです。
乞うご期待!
 

200

2019年9月 6日 (金)

Metal総進撃Vol.2~APHRODITEの巻

 
『Metal総進撃 vol.2』のトリはAPHRODITE。

0r4a0140岡垣さんのイベントには「〇〇大作戦」とか、この「〇〇総進撃」とか、私の世代にはとても懐かしく響くタイトルがつけられていてうれしい。
「総進撃」といえばコレでしょうね。
1968年の夏の公開というから、私が6歳の時の映画。
さすがにどこへ観に行ったのかまでは記憶にないが、母が連れて行ってくれたことは覚えている。
ウチの母はゴジラやガメラだけではなく、ギララから、ガッパから、恐竜グワンジまでコマメに映画館に連れて行ってくれた。その前はケロヨンだった。
まったく「感謝」しかない。
しかし、このポスター、キャストがまず怪獣というところがスゴイ。
ゴジラ、モスラ、ラドン、ミニラ…。
中に入っていた人はこのポスターを見て「なんでい!オレが演ってんだよ!」ぐらいのことを思ったのだろうか…。
キングギドラ、アンギラス、バラゴン、クモンガ…ナゼかこの「クモンガ」というクモ系の怪獣だけは名前がイージーだな。
そうそう、バランなんてのもいた。モモンガみたいなヤツ。20v_3今、バランと言ったら間違いなくコレだろう。
この寿司の折り詰めに使われる「バラン」は、葉蘭(はらん)というユリ科の植物からがその名の由来なのだそうだ。

30sm_2つい先日Shige Blogでも紹介したんだけど、ロンドンで出くわした映画の宣伝ポスター。
今度はラドンなのね?

8_200v そんななつかしの怪獣のことを調べていて、こんなヤツを見つけた。
コレ、「ナタール人」だって。知ってた?
ケムール人なら知ってるけど。

40v_2オイオイ、「ナタール」と言ったら今はコレだぜ、エエ?
NATAL Drumのことよ!

8_natal_cafe_racer_uf22_sea_foam_grさて、ステージに上がったいつもの5人。
 
総帥、岡垣'JILL'正志。

60v_2荒木真為

70v西村守

80vANI-Katsu

90v堀江睦男

100vチョット調べたいことがあって過去の記事をチェックしてみたんだけど…このチームはスゴイ。
2017年6月の鹿鳴館、その前にご登場頂いている2016年10月の同じく鹿鳴館。
そして、今回…堀江さんを除いて衣装が全員同じ!堀江さんにしても今回だけチョット違うだけ。
ユニフォームということか…。
「エエイ!それじゃその前はどうなんじゃい!」と思って2013年8月の鹿鳴館の記事を見ると、岡垣さんと西村さんは同じ衣装をお召しになっていた。
何たるこだわり!
そして何たる様式美!

110オープニングは「Ancien Régime」。
今上げている真為さんの左手に付けられたブレスレットもこだわりのアイテム。

120岡垣さんはノッケからキーボーズをグワングワン!130_2そして鮮やかに切り込んで来る西村さんのギター・ソロ。
もうこの時点でAPHRODITEワールド全開。

140_nga「今夜もウンザリするほど演らせて下さい!」という真為さんのMCに続い2曲目は「人形愛」。

150vコロコロ変わる曲調が実にスリリング。
中間部の展開とか、キーボーズなくしては考えられないアレンジがステキ。

160v_2真為さんのノリノリのステージグに合わせて客席もヒートアップ!

170_23曲目に行くまえに岡垣さんのごあいさつ。
「『Metal総選挙』と言ってしまいそうですが、正しいイベント名は『Metal総進撃』です」
なんて言うもんだから、ホラ、イギリスがあんなことになっちゃった。
スコットランド独立問題の時もそうだったけど、海外の政情がこんなに気がかりだったことは人生で他にないね。
最早イギリスは私の第2の母国だからして。
イギリスがおかしくなっちゃうと、コッチの生活がおかしくなっちゃうのよ!
それにしても、今、イギリス旅行の大チャンスですよ。
未曽有の円高ポンド安だから。私が5月に行った時より更に10円も£が安くなってる。
 
キーボーズ始まりの3曲目は「Long Live the Dead」。
あ~、このフレーズ!
メチャクチャ印象が強いよね。

180_lld中間部では岡垣さんと…
200西村さんのバトル!

190_22015年11月のシングル。
シングルとなるだけあってとても聴きやすいハード・チューンだ。好き。

210_2更に続けて「Before the Dawn」。

210_btdしかし、真為さんのパワーすごし!

220v_2各曲で華麗なギター・ソロを聴かせてくれる西村さん。

234もちろんMarshallを使用(向かって左のJCM2000 DSL100)。

235そして、バックを固める鉄壁のリズム陣。

240ナニがどうなっていたのかはわからないけど、今回は2人のコンビネーションがすごくハードに響いたな。

250_2そして総帥、岡垣さんのキーボーズ・ソロもタップリと味わうことができた。

260_kbsただでさえキーボーズがフィーチュアされたロック・バンドってのは昔から多くなかったでしょ。
最近の若いバンドさんなんていったら、キーボーズどころかギター・ソロもギター・リフもないときてるんだからね~。
こんな岡垣さんのようなプレイを観ることができる我々はラッキーだ。
また書くけど、70年代の某有名音楽雑誌のリーダーズ・ポールでELPが第1位の座を占めていた時期があったんだからね。
FocusとかPFMまで人気バンドのベスト10に入っていた時代。
いい時代だよな~。
あの頃のリスナーはどこへ行ってしまったんだろう。
360当然、コレもん。
岡垣さんは興に乗ってごく自然にやってるけど、コレ、鍵盤の位置までヒザを上げて暴れまくるの大変だよ。
当然お客さんは大喜び。

275真為さんが下がってインスト・ナンバーの「Fear」をプレイ。

350ステージに戻った真為さん。
「ハイ!」
このMCへのキッカケの「ハイ!」がいいんですよ。
シーンに区切りがつけられて気持ちがよい。
「どんより、しんみりしてしまいましたけど~、私たち『APHORODITE』という名前になってから長いことやってるんですね。
アルバムも出したいね…なんて言ってるんですけど。
ライブも定番メニューでやっているんですが、今日は新ネタを用意してきました。
次に演るのはその新ネタです…緊張すろう…ドキドキするだろう…。
気に入って頂けますとうれしいです!」

290_2その新ネタは「In a Daze」という曲。

290_iad皆さん、新しい曲を披露する時、大抵緊張されますナァ。
それはウケるか否か…ということか…。
それとも演奏し慣れていないからミスがコワいとか?
大丈夫、大丈夫…誰も聴いたことがない曲なんだからミスなんて絶対に誰にもわからない。何なら構成がわからなくなっても、それを見抜けるお客さんはいないんだから。
やっぱりウケるかどうかが心配で緊張するということなのね?
大丈夫、大丈夫…ストラヴィンスキーの「春の祭典」のことを考えればどうってことない。

もちろん「In a Daze」は完璧な演奏で(コチラ側にはわからない!)、バッチリとウケていました。

310_2西村さんのギター・ソロをはさんで…

T 「Edge of the World」。
「定番メニューをやってる」ってMCで言っていたけど「詩人シャロー」は今日は演りそうにないな。
あの「♪難解すぎてわからない」という文句が好きなの。
この曲で忘れていた瀧口修三のことを思い出したからね。
すると、ますます瀧口の詩が読みたくなっちゃって、詩集を買おうとしたんだけど、絶版になって久しいのか高くて買えない!
340ココでも岡垣さんと西村さんのツーショット。
客席から大きな歓声が上がった!

330最後を締めくくったのは「紅蓮の炎」。
APHRODITEらしいブッチギリのスピード・チューンで熱狂のステージの幕を降ろした。

390v_2

230

410v

420

430この後、APHRODITEはNAKED MACHINEのファースト・アルバム発売記念ツアーの大阪公演に出演する。
場所は阿波座BIG JACK。
阿波座って立売堀の近くだっけ?
ハイ、関東の人にクイズ…「立売堀」は何と読むでしょうか?
昔勤めていた会社で大阪支店にいた時、立売堀に住んでいた同僚がいてね、私はそれで知った。
ま、難読地名の宝庫である関西にあってはあまりに入門的な設問でしたな。
 
APHRODITEの詳しい情報はコチラ⇒Masashi "Jill" Okagaki Official Website

8_20190915_live_banner2アンコール・セッションで演奏したのは「Speed King」。

440「Good Golly Miss Molly」、「Tutti Frutti」、「Lucille」なんてリトル・リチャード・ナンバーのタイトルが出て来るのが楽しいね。
紫の皆さん、チャンとロックンロールを勉強されてる…と言ってもコレらの曲は1955~1958年ぐらいのヒット曲。イアン・ギランあたりが12、13歳の時分だからね、きっと夢中になって聴いたんだろう。
日本で「ロックンロール」というとチャック・ベリーばかりにスポットが当てられるけど、リトル・リチャードがロックに与えた影響ってスゴイものがある。「Long Tall Sally」もそうだもんね。
あとバディ・ホリー。
海外に行くと日本のロック界がいかにローカルかがわかる。日本はプログレはスゴイけどね。
「The house of blue light」というのは古いブギウギ・ナンバーのタイトル。
そうか…「Tutti Frutti」というのは「すべて果物」という意味か…「tutti(トゥッティ)」だもんね。お菓子の名前だって。

450ここでもスラっとラクラク歌いこなす芳賀ちゃん。

460黒いボディがお揃いとなったサオ・チーム。

470大いに盛り上がった『Metal総進撃 vol.2』なのであった!(『Metal総選挙』ではありません)

480

200
(一部敬称略 2019年7月20日 目黒鹿鳴館にて撮影)

2019年9月 5日 (木)

Metal総進撃Vol.2~CONCERTO MOONの巻

 

27nb去る7月、『Metal総進撃 vol.2』というイベントに出演したCONCERTO MOON。
それは5月下旬にリリースしたセルフカバー・アルバム『OUROBOROS』の発売記念ツアーの中でのことだった。
早いモノでそのツアーも今週末の目黒鹿鳴館を残すだけとなった。

10島紀史

20v芳賀亘

30v中易繁治

40v三宅亮

50v河塚篤史

60vそしてコレがそのニューアルバム『OUROBOROS』。
本人たちは「リレコーディング・アルバム」と称している。
このジャケット好き。
コンチェのアルバムって、いつもジャケットもいいよね。
イヤらしいことを言うようだけど、いかにもチャンと経費を計上してデザインしている感が強い。

70cdコレはロンドンのV&Aに展示されている巨大なケルティック十字。
詳しくはコチラ⇒【Shige Blog】 イギリス紀行2019 その6 ~ ヴィクトリアとアルバート <前編>

210v出番は2番手。
ショウのオープニングにはアルバムと同じ「Change My Heart」を持って来た。80乾坤一擲、♪ゾンゾンと気合の入ったイントロで始まるCONCERTO MOONの世界。

90_cmhもう何の違和感もなくCONCERTO MOONの声と化した芳賀ちゃんの歌声。

100そして、待ってましたのギター・ソロ。

105自分のスタイルを猛然とさらけ出すノンちゃん。
どんなスタイルかというと「シマ模様」だ!

110vそのスタイルを演出している重要な要素はMarshall。
今日も愛用のMAJOR1967が大活躍だ!

120v三宅さんのキーボーズ・ソロ。
いいね、この音色は。
ハードロックのキーボーズの音色はオルガンとムーグに尽きる。
個人的はメロトロンも大好きだけどよ。クラビネットもいい。
でもやっぱりアコースティック・ピアノか?
結局全部いい…でも「モーグ」っていう言い方はイヤだな。
あと「フィル・ライノット」と「ピーター・ゲイブリエル」。

130 続けて旧作から「Over And Over」。

140_oaoffts「東京は久しぶりです。
昔の曲を新しいメンバーで録り直したアルバムをリリースしました。
今回は岡垣さんのお誘いでツアーの合間にこうして皆さんにお会いできることになりました。
今日は激しくやります!」
いつも激しいんですけど…。
ピックガードの上のピックのひっかきキズがスゴイな。
フォーク・シンガーならわかるけど、ノンちゃんはストラミングなんてしないのにどうしてこうなる?145おなじみのリフは人気曲「Savior Never Cry」。
でも『OUROBOROS』には入っていない…ま、比較的新しい曲だからね。

150v_snc疾駆するリズム隊。

160vこのドライブ感がタマらんのよ!

170なんかもう全然バッチリじゃないの、この2人!
ノンちゃんもすごく楽く演っているのが伝わって来る。

180涼し気に歌う芳賀ちゃんの後のフォーメーションは完璧。

190グッと落として1999年の『Rain Forest』から「Lonely Last Journey」。
300v_ino2センターに躍り出てソロをキメまくるノンちゃん。

200_llj極上のギター・ソロをタップリどうぞ~!

220v新しめのところから「Noah’s Ark」。
2017年の『Tears of Messiah』のキラー・チューン。
あのビデオ撮影は砂が大変だったんじゃないかしら?

230_naコレって曲としてははマイナーの「♪ズンズクズンズク」のドライブ調だけど、仕上がりとしてはすごくポップだよね。
私にはそう聴こえる。

240vバンドを果てしなく鼓舞するバスドラムが小気味よい。

250こういうナンバーのこのチームのリズム隊の一体感ってモノは素晴らしいですよ。

260vそして、この奇抜な出だしのギター・ソロ!
よくコレで吹き込んだと思う。

280v「楽しんで頂いていますかッ?
ソロソロ我々はステージを降りますよ」
「エエ~!」
「そう言われるとうれしいです。
ありがとう!本当にありがとう!」
…とココでニュー・アルバムとツアーの告知をして最終セクションに突入した…って、『OUROBOROS』の曲ゼンゼン演んないじゃんよ!いいの?290…と思ったら演った。
「It’s Not Over」だ!
360vボーカルズが芳賀ちゃんになって、ファンの人たちはどう思っているのか何人かのベテラン・ファンさん達に訊いてみたの。
みんなすごく喜んでくれているんだよね。
私はこのことがすごくうれしいの。
415それとコレは余計なことなんだけど、芳賀ちゃんの声って以前にどこかで聴いた記憶があるな…と思っていたんだけど、『OUROBOROSに』収録されている「Holy Child」を聴いてわかった。
それはラッセル・マエル(Russell Mael)だった。
声だけでなくところどころ歌い回しが似ている感じがする。
コレ以上は書かん。
興味のある人は自分で調べて確認してください。
ちなみに私はマエル兄弟が大好きです。
210この曲のオリジナルは2003年の『Life on the Wire』収録のコンチェ・スタンダード。

310ココでもカッチリとしたフォーメーション。

320ますます冴えを見せるノンちゃんのソロ。

330vそして出番を締めくくったのは「Time To Die」。

340_何回目かは浅学にして存じ上げないが、またまたCONCERTO MOONは絶頂期を迎えているに違いない。
そんなことを思わせてくれる力みなぎる5人のパフォーマンスだった。

365v

370

390v

400vウシッ!

380CONCERTO MOONの詳しい情報はコチラ⇒CONCERTO MOON Official Site

410ハイ…ということで、今週の日曜日は『OUROBOROS TOUR 2019』の千秋楽ですからね。
皆さん、目黒鹿鳴館でお会いしましょう!
この日の晩御飯はまた「すばじろう」の「権之助坂セット」かな?

10<つづく>
 
さて、既報の通り、島ノンちゃんには『Marshall GALA2』に出演して頂きます。

6_marshall_gala_2_logo2_4ここの所取り組んでいるGotwee 3での出演。

8_shima2小笠原義弘

8_ogan山口PON昌人

550v…の3人にナント、赤尾和重を加えた超スペシャル・カルテット!
ハードロック・ファンと自称していながらコレを観ない人は「ハードロック・ファン」と認めないよ!
「ありがとう」とか「がんばろう」の「J-POPファン」だと見做すからね。
アノね、コレを見逃さない方がいい理由がもうひとつあるの。
コッソリ聞いちゃったんだけど…それは選曲。いわゆる「セトリ」。
ゴメンね、今は教えてあげられないんだよ。
もう本番が楽しみで仕方ない。
ああ、あの曲が和重さんの声とこの3人のバックで聴けるなんて…こんな時が11月9日に来るとはナァ。

8_kazueGALA2に行こうと思っているけど、11月はまだ2ヶ月も先なので予定がハッキリせずチケットを買い控えている方がまだいらっしゃると聞きました…というか、何人かそういう方にお会いしました。
本コンサートは長丁場なのでイス席のみの立ち見なし。お客さんを詰め混むようなことは一切しません。
よって売り切れた時点でチケット販売は終了となり、おひとりの追加入場もできなくなります。
ですのでゼヒお早めにチケットをお求めくださいませ!
当日はMarshall GALAオリジナル・グッズを会場限定で販売もさせて頂きます。
 
Marshall GALA2の詳しい情報はコチラ⇒Marshall GALA 2の詳細を発表します!
11月9日、東京キネマ倶楽部でお待ちしています!

 

200
(一部敬称略 2019年7月20日 目黒鹿鳴館にて撮影)