Camden Rocks Festival <前編>~ King Creature & D_Drive
6月2日。
朝9時にMarshall Arenaがあるミルトン・キーンズを出発してロンドンに向かった。
行き先は大英博物館にほど近いRussell Square(ラッセル・スクエア)のホテル。
到着したのはこれから数日間お世話になるPresident Hotel(プレジデント・ホテル)。
このホテル、何と客室にエアコンが付いていない。
着いた日は結構暑かったけど、窓を開けて風が入って来ればそれなりに涼しい。
で、イギリスの家って網戸がないんだよね。
もっとも真夏でも窓を開けていられないぐらいの冷気になるので夜間に窓を開けておくことはないにしろ、開けておいても平気。
イギリスには蚊がいないから。
Marshallの社長はかつて「地震は経験はない。蚊も見たことがない」と言っていたっけ。
このホテル、ロビーにビートルズのポートレイトがいくつか飾ってあるんだよね。
私はすぐにピンと来ましたぜ!
詳しくは後日『ロック名所めぐり』で!
Southampton Row(サウザンプトン・ロウ)の向かいにあるのがこのラッセル・スクエア。
いいよね~、街中にこういうのがあるって。
コレで夜8時ぐらいだからね。
明るいウチはこうして公園でくつろいでいる人がいる。
最寄りの地下鉄駅はPiccadilly Line(ピカデリー線)、同名のラッセル・スクエア。
ところでこのSquare(スクエア)ね、イギリスの人は「スクワー」みたいに発音する。アメリカ人みたいに後半の「-are」の部分で舌を巻き上げたりすることはしない。
ウソだと思ったらThe Kinksの「Dedicated Folower of Fashion」という曲を聴いてみて。「In Regent Street and Leicester Square」のところ、「レスター・スクワー」って歌ってるから。
それよりもこの「Leicester」がわからない。
「Leicester」や「Gloucester」をどうして「レスター」とか「グロウスター」って読むんだろう…。
自動券売機でOyster Card(オイスター・カード)を買ってチャージする。
私が初めてロンドンに行った時は窓口でオジさん(あるいはオバさん)に口頭でオーダーした。あの頃はコレがイヤでね。
慣れないとこの機械がまたワケがわからん。
この地下鉄の自動券売機で厄介なのが、まず「カードしか使えない」とか「オツリは出ません」とか「£50は受け付けません」とか機械によって違うんだよね。
「Notes」なんて言ってるし…そんな薄い穴にノートなんか入るかよ!…と最初は思ったど(ホントは思っていない)、「Notes」とは「お札」のこと。
アメリカなら「Bill」ですな。
で、案の定使い方がわからずマゴマゴしていたら、この若い黒人の係員が助けてくれた。
愛想は決してよくないんだけど、とても親切なんだよね、こういう所の人って。
最後に「Where are from?」と尋ねてくるので「Tokyo, Japan」と答えると、しきりに「エネミー、エネミー」と言って来る。
「エネミー(enemy)」とは「敵」という意味。
そうかい、そうかい…かつては「鬼畜米英」とか言ってオマエさんとところと大ゲンカしたもんな。
…と思って(ホントは思っていない)、ハッと気が付いたのは、このお兄ちゃん「アニメ、アニメ」って言ってたの。
この後、幾度となく「日本のアニメ」の強さを思い知ることとなった。
コレが改札。
そういえば地下鉄も国鉄も改札の機械が同じだったな…。
ちなみに地下鉄と国鉄が乗り入れている…なんてことはない。
アレは日本の発明で、国鉄のお師匠さんであるイギリスが日本に視察に来ていると聞いた。
でも日本の地下鉄の師匠はアルゼンチンだからね。イギリスではない。
コンコースで出くわした広告。
オワ~!
コレ、絶対に見に行かなきゃダメなヤツじゃん!
で、行った…死ぬほどオモシロかった!
全部写真撮って来た。
詳しくは後日Shige Blogで。
地下鉄のサインのフォントについてウンチクを固めている私。
オリジナルは20世紀初頭にエドワード・ジョンストンという人が開発した。
2016年に今のこのフォントに更新されるひとつ前のモノは日本人デザイナーの手によるものだ。
興味のある人はコチラをどうぞ⇒【イギリス-ロック名所めぐり】vol.32~ハマースミスが好きだった <前編>
ひとり話を聞かずに写真を撮っている人がいますね…この人、今、人生でひとつ損をしましたね。
Yukiちゃんから質問。
「シゲさん、どうしてロンドンの地下鉄の車両はこんなに狭いんですか?」
「よくぞ訊いてくれました!それは地下鉄の工法によるものなんです。地下鉄のトンネルを掘る方法は…(以下省略)」
人の話を聞くはYukiちゃんは、今では「ロンドンの地下鉄博士」になってます。
ハイ、お隣の「Kings Cross(キングス・クロス)」で「Northern Line(ノーザン線)」に乗り換えて目的地の「Camden Town(カムデン・タウン)」に着いた。
そう、今日は『Camden Rocks Festival』なのだ。
あんなに何回も宣伝して来て、まだまだ先だと思っていたけど、アッという間にその日が来ちゃった!
すんごい久しぶりに来たぞ、カムデン!
ゼンゼン変わってないな…というか、ゴチャゴチャしすぎていて少しぐらい変化があっても皆目見当がつかん!
「どんなところか」と訊かれて、東京式に説明するば「アメ横と竹下通りを足して100をかけたような所」と言うようにしている。
残念ながら私のような者が欲しいと思うモノはナニひとつないんだよね。
洋服、アクセサリー、靴、タトゥー等々がギッシリと軒を連ねている。
このライブハウスは有名ね。
ロンドンはライブハウスとかコンサート会場がドンドン減ってるんだって。この話はまた別途。
黒が基調のロンドン・タクシーもこんな具合。
この「Poppies」というのはフィッシュ&チップスのチェーン店。
チップスか…しばらくいいや。
カムデン・タウンのシンボル…かどうかは知らないけど、有名な高架橋が見えて来た。
Yukiちゃんのナビゲーションで今晩の会場へ向かう…すぐ着いた。
さすが元ゴシック・ライブハウス…「ホーンテッド・マンション」に見えなくもないぞ。
店の前には迫力のある方々が昼間っからガンガンいっちゃってる。
写真には写っていないけど、イヤもう、入り口で番をしているオジちゃんがコワくて、コワくて…。
完全に「昔ヘルス・エンジェルス」みたいな感じ?
勇気を振り絞って話しかけると、最初はホンのチョットだけ「ナンダてめえは?」感があったけど、ゼンゼンいい人で、「フェスの係りが来るまで待っててチョ」みたいな?
その間、店内を確認しようといち早く中に入ると…ムムム、何とも異様なニオイ。
アレは日本にないニオイだね。
古いパブって必ず共通の独特なニオイがする(いいニオイではない)んだけど、それともまた違ってた。
店先に貼ってあった香盤表。
え!D_Driveが最初?トリって聞いていたんだけどッ!
と思ったら、コレ、時間の流れと逆さまに書いてある。
D_Driveは予定通り、ヘッドライナーとして夜の10時にステージに上がる。
係りの人が車で待つことにする。
すると程なく担当者が現れてパスを持って来てくれた。
マーレコのピーターもやって来た。
パスは出演ミュージシャンの分しか用意されておらず、スタッフ・パスとプレス・パスをもらいにフェスティバルの本部になっている近くのパブへ。
チケットは£40か…5,000とチョット。
見てコレ。
しかしね~、「Physical Ticket」だもんね。
もうイギリスはすべてがインターネットと携帯でコトが済むようになっちゃってる。
展覧会から、電車の座席から、レストランから、何でもかんでもインターネットで予約よ。
私はコレをそれほどいいことだとは思わないけど、もしこの状態が先進国の標準だとしたら、日本はオッソロシク遅れてるとしか思えない。
カード決済も同様。
イギリスの人は£1の買い物でもカードだもんね。「Cash or plastic?」とか言ってお店の人もゼンゼン平気。
そして、行き先も告げられずピーターの後に付いて移動。
途中でバッタリ出くわしたのがこの人。
サムといって、D_Driveをヨーロッパ中のメディアに紹介してくれている良き協力者。
昨日、またデンマークからのインタビューを持って来てくれた。
その前はコレ。
ドイツ全土に流通しているオーストリアの『SLAM』という音楽誌。
タイトルにある「Japanische Gitarrenvirtuosen」というのは「日本のギターの名手」という意味。
後はドイツ語なんでサッパリわかりません。 『Maximum Impact』のアルバム・レビューもバッチリとホメてもらっている!…ということにしておこうじゃないか!
ピーターが連れて行ってくれたのがココ…へ?…教会?
まさか懺悔してってか?
なんか、「テメエ、放課後、教会の裏で待ってるゾ」…みたいな。
妙なところにイスが置いてある。
「一体、ナ、ナンやねん」不安そうなD_Driveの3人。
向こうの人もこういう時は遠慮するのか、真ん中がボッコリ開いていたので容赦なくD_Driveの4人のサインで埋めてやった。
そうなの。
Camden Rocks Festivalに出演するアーティストのインタビューの撮影なの。
それがですね~、Yukiちゃんの表情でおわかりでしょう。
答えようがないスゴイ質問ばかりなんですわ。
「アナタにとってカムデンとは?」
「……」
そんな、数分前に生まれてカムデン・タウンに来たばっかりなんだから…知らんがな!
仕方ないので「They have never been here before and just arrived some minutes ago. They are finding Canmed from now on」ぐらいに言って乗り切った…イヤ、乗り切らなかったかな?
笑っちゃったのはコーヒーを持ってココに入って来たお兄ちゃん。
「コーヒーいかがですか?」と訊いてくるので、私はココの人かと思って「コーヒーは結構です。水を頂けませんか?」と答えると、「スイマセン、コーヒー屋なんですけど」っていうワケ。
このお兄ちゃん、ココにコーヒーを配達して、ついでに他の人たちからオーダーを取って帰ろうとしてやがんの。
シッカリしてるよ。
ま、それでも最後は「Camden Rocks yeah!」でキマり!
せっかくのカムデン・タウンなのでアー写めいたモノを取ろうとしたんだけど…
暑い上に風が強く、また人が多くてどうにもならんかった。
それに日本より日差しが強いのかな?
メンバーさんたちがまぶしがっちゃって撮影にならん。
失敗でした、ハイ。
次の集合は機材搬入の夜8時半なので、それまで自由時間とした。
私は夜に備えてホテルに帰ってひと休みすることに…。
その前にハラごしらえ…というのはメッチャいいニオイしてくるんだもん!
ホットドック…デカいくておいしそうなんだけど、バゲットを焼いていないのと、イギリスのウインナーは信用がおけないのでコレはパス。
Chiikoちゃんと家内はメキシコ人の売店でブリトーをチョイス。
「Beef or chicken」が聞き取れず。チャンと英語しゃべれ!
私はこのハンバーガー。£10だからコレで約1,500円。高いでしょう?
でも、1個ずつパテを焼いてくれて、チップス(フライド・ポテト)もその場で揚げてくれる。
だからマズいハズはない…と言いたいところだけど、普通だった。
まだこの頃はポテト・フライをおいしく食べることができたな。
何しろしばらくイギリスにいて、日本に帰って食べたくないモノはダントツでポテト・フライよ。
揚げるか茹でて潰すか…ホントにポテトばかりだから。
モノすごい行列だったのは韓国のBTSというグループのショップ。
この週末、ウェンブリー・アリーナでコンサートがあった。
Yukiちゃんが並んでいる日本人に話を聞いたところ、日本でチケットが取れなかったのでロンドンまで来ちゃったとか…コレこそBlimey!
好きなバンドを追いかけて東京から札幌へ行くのとはワケが違うぞ!
久しぶりに来たのでホンの少しだけ覗いて行くと…お、Marshall!
「Free Photobooth」だって。
Marshallのフル・スタックを背景に記念写真を撮りましょう…というワケ。
とてもいいことですな。
どこがコレをやっているのかと思ったらクツ屋のDr. Marten'sだった。
Marshallと仲良しなのです。
名物「Camden Lock(カムデン・ロック)」が稼働していた!
何度もマーブロで書いているけど、「lock」というのは「閘門(こうもん)」ね。
閘門というのは水位を調節するための堰のこと。
お、今回は2艘同時に通すぞ。
船を閘門に入れると低い水位側の水門を閉じて、徐々に高い水位の方から水を槽に流し込む。
水位が同じになると…
そして高かった水位側の水門を開けて船を通過させる。
もう一艘のナロー・ボートも出て行った。
船が出て行った後は低い水位の方の水門を開けて、槽の中の水を出して次の船に備えというワケ。
パナマ運河やスエズ運河のミニチュア版。
要するに船のエレベーターですな。
コレ、自分で開け閉めしているところを見ると無料なのかな?
少なくともスエズ運河のように1回3千万円近く取られるなんてことはないだろう。
ホテルへ向かう帰り道、「St. Pan Crass Station(セントパンクラス駅)」の前でSeijiさん、Yukiちゃん、Toshiくんとバッタリ合流!
何たる偶然!
みんなでココからラッセル・スクエアまで歩いて帰ってホテルでひと休み。
そして、夜8時半の搬入時間に合わせて会場に再び出向いた。
コレで夜の8時ぐらいですから。
Marshall Recordsのタネさんも合流!
まだ搬入まで時間があったので、隣のKollisという会場に出ているレーベルメイトのKing Creatureをみんなで観に行くことに。
Marshall Liveの時に見逃がしてしまったからね。
すごく楽しみにしていた。
コレがKing Creature。
Matt K Vincent
Jack Sutton-Bassett
ストラップに隠れてチョットわかりにくいんだけど、デイブの左胸にはEDEN(イードゥン)のアップリケが付いてる。
もうね、期待通りのカッコ良さ!
そして、見た目通りのサウンド!
どこまでもシンプルに、そしてヘヴィに!
やっぱり3連の曲をよく演るんだよね。
コレが最高にゴキゲン。
日本からはどうしてもこういうバンドが出て来ないね。
コピーではなくて、自分たちの作った曲で自分たちの世代を表現するハードロック。
これこそが「伝承」と呼べるモノなのではなかろうか?
それはもしかしたらボーカルズの声にあるのかも知れないナァ…なんて気がする。
このデイブみたいな野太い声で歌うバンドっていなくなったもんね。
いつの頃からか若いバンドさんの歌声がとても中性的になってしまった。
ま、そういうロックを標榜しているので、それはそれでゼンゼン構わないんだけど、我々世代が知っている「ロックの声」とは別の次元であることだけは間違いない。
そしてやっぱりコーラス。
Mattもいい声!
そんな2人がハモるんだから、そのサウンドの厚さたるや尋常ではない。
ピックで弾く歯切れのよいデイブのベースのトーンとベストマッチするジャックのドラムスも気持ちいい!
客席の後ではノリノリのお客さんが肩を組んで大騒ぎ…って、ウチの人たちやんけ!
もちろんギター・ソロもタップリ。
2人ともレスポールというのも、いかにもハードロックらしくてうれしいじゃん?
ガンガン活躍してハーロックの再興を実現して欲しい。
がんばれキンクリ!