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2019年9月 7日 (土)

Marshall Records、グランド・スラム達成!

 

Marshall Recordsがまた新しくイギリスのバンドと契約を交わした。
契約は新しいがバンドは古い。

7_mr_2 それは「GRAND SLAM」というバンド。
私は知らなかったんだけど、Thin Lizzyが終わった後、フィル・リノットがやっていたバンドなんですってネェ。
このプロジェクトを当時のGRAND SLAMのギタリスト、ローレンス・アーチャーが復活させてMarshall Recordsと契約したというワケ。
当然、フィルはいないけど、ローレンスがフィルと一緒に作った曲をよみがえらせるというのだから楽しいじゃないか。
ローレンス・アーチャー…私は知らなかったんだけど、カッコいい名前だな。
「ラリー・アーチャー」にしないところが何となくイギリスっぽくていい。

Gslogo しからば、ローレンス・アーチャーとはどんなキャリアを持っているのか……勉強させて頂きました。
LAUTREC、STAMPEDE、WILD HORSES、TARZENというバンドに在籍。
WILD HORSESってのはブライアン・ロバートソンがやってたのね?
そして、このGRAND SLAM。
1986年には『L.A.』なるソロ・アルバムをリリースしているそうで。
コレのオリジナル盤CDは激レア中の激レアで、帯付き美品なら中古市場で10万円はくだらなかったとか。
メッチャ、マイナーということかッ?
その後、再発されて聴けなかったファンを喜ばせたそうな。

La それと、このお方、UFOにもいたんですってね。
なるほど1992年の『High Stakes & Dangerous Men』というアルバムにクレジットされていた。
聴いてみたかったんだけど、Spotifyに見当たらなかったので諦めた。

Ufo そして今、GRAND SLAM。
時空を超えてそのデビュー・アルバムがMarshall Recordsからリリースされる!
タイトルは『Hit the Ground』。
収録曲は全部で10曲。
1. Gone Are The Days
2. 19
3. Hit The Ground
4. Military Man
5. Crazy
6. Dedication
7. Long Road
8. Sisters Of Mercy
9. Crime Rate
10. Grand Slam

この内の5曲がフィルとローレンスの共作。
他の5曲は新しいナンバーだ。
Thin Lizzyファンがうらやましい!
発売は2019年11月22日(グリニッチ標準時)。

7_gsそれに先立ってアルバㇺ・オープナーの「Gone Are the Days」が9月6日に先行配信された。
「Gone are the days」…思いっきり倒置が起こっていますな。
でも、コレは文法の理屈を勉強するより決まり文句として覚えた方がよさそう。
「Gone are the days when~」と「when節」をともなって「~は遠い昔になってしまった」という昔日を振り返る時にピッタリの表現。
「Gone are the days when the prog rock was going around」ってか?
コレに続けたくなるのはデューク・エリントンの超名曲「Things Ain't What They Used to Be」。
「物事は元のままにあらず」という意味から「昔はヨカッタね」という訳が当てられる。
けだし名訳!
 
そして、GRAND SLAM。
この「Gone Are the Days」を聴いてみる。
イヤイヤ、昔のままじゃないか!
もしフィル・リノットが歌っていたらThin Lizyyと言っても何の違和感もない。
この曲が『Bad Reputation』あたりに入っていても何らおかしくない。
そりゃ本人がいたバンドなんだから当然なんだけど。
とにかく、遠い昔になってしまったアレは、元のままだった!

私は1977年の『Bad Reputation』からThin Lizzyをリアルタイムで聴いたんだけど、ものスゴく好きだったな~。
今でこそ、リノットだ、ライノットだってやってるけど、その頃、私の周りではThin Lizzyを聴いているヤツなんて1人もいなかったよ。
ピンク・レディとかキャンディーズばっかりだった。
ロックと歌謡曲が分かれていて、共にクォリティが滅法高い音楽をクリエイトしていた時代。
これこそ私の「Gone are the Days」。
 
私はね、コピーを演るのではなく、こういう所業こそが「ロックの伝承」、もっと言うと「ロックの魂の伝承」だと考えるのだ。
つまり従来型のロックの魅力をオリジナル曲で表現するということ。
そういう意味ではとてもいいサンプルが出て来た。
今ごろ胸を張ってこんなロックを世に送り出すMarshall Recordsに快哉の声を上げたい。
そして、コレをできるのがビートルズの国、「イギリス」なのだ。
ナンダカンダ言っても音楽を作る側と受け取り側のレベルに雲泥の差があるんだよね。
最近、音楽業界にいる私に近い世代のイギリス人と偶然何人か一緒になった。
話題は当然ロック。
世代が近いので話が合い、とても楽しいおしゃべりとなる。
こないだはGenesisで大いに盛り上がっちゃったからね。
私は当時のロックの知識に関しては、そう簡単に人後に落ちないつもりなんだけど、やっぱり敵わない…音楽を聴く環境がロンドンと東京では全然違うんだよね。
今からその辺りのことを勉強してるというワケ。コレが滅法楽しい。
それで学んだことのひとつが彼らの「パンク・ロック」に対する感じ方なんだな。
コレはいつかエッセイにして開陳したいと思う。
 
さて、GRAND SLAMの今回のデビューには関してはMarshall Recordsも気合いが入っていて、LPは通常の黒バージョンンの他にこんなゴールド・ディスク・バージョンまで作っちゃった!

3gs1 CDはこんな感じ。

2gs2Tシャツと直筆歌詞カードがついたバンドル商品もリリースするそうだ。
もちろん配信も完備。
 
GRAND SLAMの詳しい情報はコチラ⇒Official Website(英語版)

2gs3 こういう情報はMarshall Recordsから「プレスリリース」という形で送られて来るんだけど、それの最後にこんなことが書いてあったので紹介させて頂く。
Marshall Recordsについて:Marshallは単なるアンプ・メーカーのブランドではありません。『Marshall』は『音楽』のブランドです。ジム・マーシャルが音楽に注いだ情熱こそがジムの業績を作り上げたのです。
このジムと同じ情熱がMarshall Recordsの精神です。
Marshall Recordsはミュージシャンたちが自分たちの音楽を作り、録音し、製品化し、宣伝する活動をサポートします
いいこと言うじゃないの~。7_mr_2いつも古臭いことをガミガミ言っている私ですが、「Marshall Recordsのチョイスってすごくいいな」…と思ってるんだ。
上に書いたことを他のバンドでも実践していると感じるワケ。
 
例えばKing Creature。
Daveの歌声は実に男性的でカッコいい。
70年代丸出し…それでいいのだ。

1ブギをキメまくるBad Touchも同様。
スティーブ・ウエストウッドのこのカッコよさは一体なんだ?
洋の東西を問わず、ここ数年で見たロック・シンガーの中では群を抜いてカッコいい。

3新しいタイプの音楽ではまずRewsがいい。
チョットひねった曲作りが魅力的なのに加えてショウナの激しさと可愛さがタマらん!
考えてみると、ガールバンドの音楽の方が洋の東西に差がないような気がするな。
彼女たちが演っていることが海を隔てて近いようなイメージがある。
ロック精神が通底しているっていうのかな?
早く日本に来ないかな~。ショウナに浅草を案内する日を夢見ているのだ…ハイハイ、エロオヤジでスミマセンね。

2もうひとつはPRESS to MECOでしょうな。
コチラはかなり今風のロックなんだけど、演奏や音楽の密度が、やっぱり今の日本のそこらへんの若手バンドよりロックを感じさせる。4そして、コレがダントツで風変りだ。
我らがD_Drive!
そもそもこんなインスト・バンドに目を付けて本当に世界デビューさせちゃうところがあまりにもスゴイじゃないか!
 
それじゃアニメ関連以外のバンドがナンだって海外へ行って受け入れられているか?っていうんでしょ?
日本のバンドをイギリスに紹介している本職の人にこのことを訊いたんですよ。
それは「イギリスにないから」なんですって。
私は「folklore music」という言葉を使ったんだけど、「まさにその通り!という反応を得た。
どうもね~…J-POPみたいのは「日本の民族音楽」と捉えているフシがあるんだよね。
イギリスやアメリカは日本と違ってブルースから派生して成長したロックの基礎ができているから、聴衆の耳も肥えていて、「何か体験したことがないロックはないもんかいな?」と思っているところにJ-POPみたいのは持って来いらしい。
それも日本語でやっておいて、定着したら英語で歌わせる。
その英語も拙い方がウケるのだそうだ。
もちろん、ガールバンドとなると、華奢で可愛らしいという魅力も加わるようだ。
ま、コレは普遍性の高い分析ではないけれど、間違えてもいないだろう。
間違いないのは彼らのビジネス感がスゴい…プロだからね。
もちろん日本のバンドやライブハウスを徹底的に研究している。

5だからD_Driveってのはスゴイと思うよ。
「他にない」ということでは海外へ進出している他のバンドと同じかも知れないけど、歌なしで器楽演奏だけでアレだけウケたんだから!
皆さん、海外もいいけど、まずはお足元の国内から。
D_Driveの世界デビューアルバム『Maximum Impact』をよろしくお願いします。
CDだけじゃなくてLPも是非!音いいよ~!
 
Marshall Recordsの詳しい情報はコチラ⇒Marshall.com
6cd

まだ秘密なんだけど、GALA以外に考えているイベントがありましてね…その稟議書(こんな言葉使ったの久しぶりだ!)をイギリスに提出したところ、Marshallから「イッパツOK」、「全面サポート」の返事を頂戴しましてね…。
微力ではあるけれど、Marshallのやり方で「ロックの伝承」に取り組みたいと思っているんです。
乞うご期待!
 

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