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2019年9月20日 (金)

関東ギターエロス vol.61~Luther Smoke Dokeyes他

05_2あの「右折禁止」に注意しながら今日は西川口Heartsから。
Marshall Blogでは初めてレポートさせて頂く『関東ギターエロス』というイベント。
恐らくはノリ一発で決めてしまったのではないかと想像に難くないイベント・タイトルがいい。
こういうシリーズものは、まず良いタイトルをつけてやらないと長続きしない。
「関東ギターエロス」…いいじゃないか。
ね、61回目だもん!

10v関東地区5つのライブハウスが「ウチの一押しバンド」を出し合って構成されるライブ。
今回の幹事は西川口Hearts。
そこでイベントはHeartsのブッキングをお努めになられているHarry原畠さんのリードで展開した。

205つのバンドに先立ってオープニング・アクトとしてステージに上がったのは弾き語りの篠木拓哉さん。

30v代々木のLIVE labo YOYOGI代表の「The Confront」。

40転換の間のMC。
コレがまた楽しい。

50本八幡The3rd STAGE代表の「microgic」

60ワイアレス・マイクを使って会場の外のロビーでMCをやっちゃう!

70新宿FATE代表の「BACK SHOW」。

80そして、横浜BAYSIS代表の「Orca-Luca」。
今風のロックからラップまでさすがショウビジネスのプロが推薦するだけあって、可能性を秘めたバリエーション豊かなラインナップとなった。
マーブロ的に記録しておくと、ギター・リフやソロをフィーチュアした従来型のロック・サウンドを聞かせてくれるチームはなし。
ま、今時はコレが当たり前でしょう。

90そして、トリ。
トリは幹事店が推薦するバンドが努める。
原畠さん、力と気合がガッツリ入って自腹でチラシを作っちゃった!
「まずバンド名の綴りがムズカシイですね~!」なんて原畠さんがおっしゃっていたが、そうなんだよね。
「Dokeyes」は「ドゥ―キーズ」とは読めんよな。
Marshallへの月報でこのバンドのことをレポートしているんだけど、「Dokeyes」をなんて読んだかはわからない。
再来月Marshall GALA2で来日したら確認してみようと思っている。

11061回目の『関東ギターエロス』のトリを務めたのはLuther Smoke Dokeyes(ルーサー・スモーク・ドゥ―キーズ)。

120Johnny

130JohnnyくんはもちろんMarshall。
ギターとMarshallの間にあるのはカール・コードだけ。

131今日は現地調達のJCM800 2203と1960Aを使用。

132vベースは伴航平。
ヴァン・コーヘー…バンド名みたいでカッコいいな~。

138v山口翔也

139vオープニングは「Ramblin Rider」。
4月にリリースした初ミニ・アルバム『Jukebox is Playin'』から。

Lsdcd オールマン臭プンプンのタイトルだけど曲はセカンド・ライン・タッチ。
「ガルシア」という固有名詞が出て来るところが好き。

140vそして炸裂するボトルネック。
今の若いバンドのギターの人たちってこういう奏法があるのを知ってるのかな?
「コリシディン」とか。
いつか奥田民生さんが元アイドルワイルドサウスの松浦善博さんと組んで「ボトル・ネック・ギター保存会をやっている」なんておっしゃっていたけど、ホント、ロック界の「絶滅危惧種」の筆頭だよな。
ムズカシすぎんだよね。
でもやっぱりいいな、このサウンドは。トロンボーンのように人類が自然に愛でることができる音色のひとつではなかろうか?

141ペダル・スティールだけど、バディ・エモンズがジャズを演奏しているアルバムなんか、もうCDやLPに頬ずりしたくなるぐらいいいもんね。
バディ・エモンズはカーペンターズの「Top pf the World」なんかでペダル・スティールを弾いている名手ね。
「Jambalaya」のペダル・スティールなんかもいいよね~。曲はハンク・ウィリアムスか…。
おっとっと、私は生涯カントリーの門外漢だった。これ以上書くとJohnnyくんにヘコまされるかも知れないのでやめておこう。
しかし、カーペンターズも今聴くと殺人的にいいな~。昔は絶対に聴かなかったけど…。
曲よし、演奏よし、そして最早トロけてしまいそうなカレンの美しい歌声。
でも今の若い人たちの口から「カーペンターズ」という言葉が発せられるのを聞いたことがない。
やはりカーペンターズも「絶滅危惧種」のひとつなんだろうな~。
Be 快調な滑り出し!

1451曲目からテンガロンハットがスッ飛ぶほどの熱演なのだ!

150テンガロンハットね~。
白馬に「テンガロンハット」というとてもおいしいパスタ/ピザ屋さんがあるんだよ。
今は大きなログハウスで営業しているけど、昔は10人も入らないような小さなお店でね。もうそこの味が大好きで長野に住んでいた時には毎週のように食べに行ってた。
ログハウスに移転した頃、お店で馬を飼ってたなぁ。
 
テンガロンハットはもちろん10ガロンの水が入ると言われていて、よく西部劇でカウボーイが帽子をひっくり返してガバっと水を汲むシーンを見かけるよね。
今の若い人たちは西部劇なんか見ないか…ジブリばっかりで。(今日は「若い人」をイジってます)
ガソリンなんかがそうだけど、アメリカは世界でほぼ唯一ヤードポンド法を採用している身勝手な国なので、容積の単位は「ガロン(gallon)」を使う。
このヤードポンド法を使っているのはアメリカとミャンマーとリベリアだけだからね。ドマイナーなのよ。
コレと日本の定格電圧100V。この2つは世界の大迷惑だ。ちなみに100Vの電圧を使っているのは世界で日本と北朝鮮の一部だけのハズ。
で、1ガロンって何リットルか知ってる?
これまた厄介なことに国よって換算値が異なる。
アメリカは1ガロンが約3.8リットル。
だから10ガロンって38リットルだぜ!
水は比重が1だから、38kg分の水があの帽子の凹みに入るというワケ。
オイオイ、そんなに入るワケねーだろ!
Johnnyくんの頭蓋骨はそんなにデカくねー!
由来後はメキシコからのスペイン語が変化したものとされているようだ。
 
まだ続くテンガロンハットの脱線。
カントリーではとてもJohnnyくんにかなわないのでジャズで対抗。
下は穐吉敏子のビッグバンドの1984年のアルバム『Ten Gallon Shuffle』。
敏子さんの作品の中では重要視されていないがアルバム表題曲や「Happy Hoofer」なんて聴きやすい曲が入ってる。
一番いいのはジャケ写かな?
この女性は敏子さんと最初のご主人でアルトサキソフォニストのチャーリー・マリアーノとの間のお嬢さん、Monday満ちるちゃん…今はもう「満ちるさん」、か。私と1歳しか違わない。
岩波文庫に『ジャズと生きる』という敏子さんの名著があるのでご覧になることをオススメする。
読めば敏子さんがどんなにスゴイ人で、もっと我々が世界に自慢してよい日本人であるかを知るだろう。
今の若いバンドさんがホイホイと海外へ行っている状況と比べてみるがよい。

Tgs 帽子をスッ飛ばしたままで続けた2曲目は「Jesus」。

160_jしかし、若いバンドさんでギター・ソロのパートが楽しみ…なんてのは本当に滅多にない。
そんなギターを聴かせてくれるJohnnyくん。

165そしてそのギターを弾きたてるアンサンブルのなんと素晴らしいことよ。

170MCをはさんで「Win Lose, Or Honky Tonk」。
もちろん曲名はアレから。

180_wlhTシャツも作っちゃった!

190vしかし、ギターの音がよろしいな~。
そりゃアンプ直結だもんね。音なんていいにキマってる。
前にも書いたけど、よくエフェクターを使わなかったり機材の点数が少ないと「男らしい」とか言うけど何ですかね、アレは?
別に男らしくなんかないよ。
ギターがウマいからそれができるだけの話でしょ?
もちろん腕だけではなく、いいアンプとギターがないとできないけどね。
ペダルなし、マスター・ボリュームなし、センド&リターンなし…コレが絶対に一番。
そうしてみると今の若い人たちが夢中になっているデジタル機器がどういうことかは推して知るべし。
ギター・アンプ、つまりMarshallは「楽器」です。
巷間のデジタル機器は「機械」ですから。
「楽器」と「機械」は別物です。
Johnnyくんはチャンと楽器で音楽を演っている。
 
チョット最近ああいうので驚くべきことがあってね…それでこんなことをまた言ってる。
要するにデジタル・アンプ系のギタリストの音って後で聞いていると音が届いて来ないんだよね。
真ん前で聴いていると好き嫌いは別にして問題はないんだけど、後の方はヤバい。
ナニを弾いているのか聞き取れなかったのだ。ジムのAキャビの話を思い出すな…あ、今度コレを書こう!
やぱりステージの中音が小さいとかそういうこともあるんだろうな。だって舞台にギター・アンプを置いてないんだもん。
ああいう現場に接すると楽器屋としてではなく、40年以上コンサートに通って来た純粋な音楽リスナーとしてミュージシャンシップを疑わざるを得ない。
いくら便利でも音楽家の命である「音」を犠牲にしていいいのだろうか?
そんなことはないでしょうねェ…恐らくステージにいるとアレがわからないんだろうな~。
まぁ、PAシステムの進化の弊害ということか?
「ギター」という楽器の地位の低下か?…こっちか。
ギターがこんな扱いじゃ、ロックは本当にヤバいよ…っていうか、機材に関して言うと自分だちで首を絞めちゃってるんだもん!
 
ひとつ提案…ギター・アンプがどうのこうのじゃなくて、今や主流のデジタルPAシステムと昔流のフルアナログPAシステムを2通りセットして、その音の聴き比べをするコンサートをやったらどうだろうか?
全然変わらなかったりして!
200このリズム隊の2人がまたいいんだ。
派手なところは一切見せずひたすらリズムに徹する。
「職人」を感じるわ。

310v堅実なドラミングだけでなくさっきの「Win, Loose or Honky Tonk」Tシャツのデザインも担当した翔也くん。
ずっとこの3人でやっていってもらいたいナァ。
今の若い人たちのバンドっていとも簡単に解散しちゃうからナァ。
頼むぜ、オイ。

230v4曲目は「Sound Like Dreams」。
ん?Johnnyくんの「ジョニー」ってJohnny Cashの「ジョニー」か?
そうであれば刑務所へ行って演奏しないとイカンな。

240_sldステージセンターで…

245紙を振り乱してのソロ!
2203から飛び出す音が素晴らしい。
「若者」にしておくのがモッタイナイ!
すぐ年取っちゃうけどね。

250vそしてコレは別の機会で新しい曲って言ってたかな?
「The Sunset」というナンバー。
しかし、歌もいいんだよな~、この人。

260v_ssココでも入魂のソロ。

270v初ワンマン公演の告知をした後、コレも新曲で「Railroad Song」。
ドンドン作ってます。
そう、作家でも音楽家でも画家でも、才能のある人って多作なんだよね。
確率の問題、つまりたくさん作るから有名になって「才能がある」ということになるのかも知れないけど、寡作の才人っていうのは少ないんじゃないかしら?
玉石混交でもいいから曲を作って作って、とにかく作るべし!

280_rsJohnnyくんの足元にはさっき書いたようにエフェクターはない…が、散らかっている。
飲み物はわかるけど、メガネや財布まで転がってる。
こういう人、好きです。どっちかというと私と同類です。

290「最後はブルースを演ります」と「Jukebox Blues」で本編を閉めた。
最近、フトした瞬間にコレ歌っちゃんだよね。
「♪堪らない夜は」というパートがアタマにコビリ付いちゃって!

0r4a0420 そのままアンコールに入って「Far East Cowboy」をプレイ。
写真はないけど、このトリオ、コーラスも果敢に取り入れている。
海外のバンドと日本のバンドの音楽的レベルの大きな違いのひとつの要因がコーラス・ワークだということを、きっとJohnnyくんは知っているんだろう。
つまり「歌」ということだ。

300_jb
短いながらも『関東ギターエロス vol.61』を締めくくるにふさわしい、実に内容の濃いステージだった!

210v

320v

330vLuther Smoke Dokeyesの詳しい情報はコチラ⇒Offcial Website

340さて、エンディング。
コレがまたオモシロかった!
各ライブハウスの方々から寸評を頂く。

350原畠さん…「Lutherは大きいところで観てみたいよね。でも、武道館じゃなくて、野音なんだよね。
よし!オレには野音が見えて来たよ!」
近くて助かります…野音なら勝手知ったるところだし。
原畠さんよろしくお願いします。
Marshallの壁、イッちゃう?

355v最後は「青春の握りコブシ」。
「関東ギタ~」…「エロ~ス!」のコール&レスポンス。
380
コレを150回ぐらいやって61回目の『関東ギターエロス』は幕を降ろした。

360ロンドンのエロス、どうしてるかな?

40v 

200_2 
(一部敬称略 2019年7月25日 西川口Heartsにて撮影)