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2019年6月

2019年6月29日 (土)

【イギリス-ロック名所めぐり】vol.36~The Beatles was here! <後編>


さて、宿舎の紹介も終わったところでビートルズ・ネタはお定まりのココへ。
地下鉄ジュビリー線の「St. John's Wood Station(セント・ジョンズ・ウッド駅)」
他の駅のステンレスのエスカレーターと異なり、ココのは茶色くて素敵なの。

370この駅だけではないけれど、ココは上下のエスカレーターの間に階段がついている。
「一体誰が階段なんか使うんじゃい?」と思うけど、結構コレを使って上り下りしている人を見かけるよ。

380v_2上から見るとこんな感じ。
ね、なんかステキじゃない?
でもエスカレーターと階段の間に付いている照明具は滑り台防止のためのモノなんだろうね。
実際、タマに他の駅でツルツル~っとやってる若いヤツをみかけるからね。
当然そういうのは下で友達が動画を撮っていて、YouTube行きとなる。
バカは洋の東西を問わない。

390どうでもいい話なんだけど、ロンドンの地下鉄構内に貼り出してある広告ってどれもオモシロくって電車を待っている間も退屈しないで過ごすことができる。
芸能人なんかゼンゼン出て来ないけど、どれもおシャレでカッコいい。
コレはケンジントン宮殿で開催していた『ヴィクトリア朝特別展』の広告。
カラーで目の部分を提供している美女は誰か知らないが、モノクロの部分は今のエリザベスII世が2015年に記録を破るまで、イギリス建国史上最も長期にわたってその地位に就いていた国家君主。Img_9088 多分コレが上のヴィクトリア女王の元の写真だろう。
実にうまく作ってある。
それにしても、人間ってのは「目」のデザインがモノを言いますな~。Qv で、このイベントの会場となっているケンジントン宮殿。
今はケンブリッジ公のお住まい。
「ケンブリッジ公」とはウィリアム王子のことね。
ジミー・ペイジの家を訪ねた時に寄ったんだけど、ブッたまげるぐらいキレイだった。
ココ、入場料が高い割には内部の写真撮影がNGなの…だから入らないで帰って来ちゃった。
この時ウィリアム王子はまだ結婚していなかった。
キャサリン妃にお目にかかれるなら…デヘヘ、入場料払ってもいいナァ。

5_2140 こんなのはどう?
コレも地下鉄の広告。
「父の日」が近かったので「スカル・シェイバー」の広告。
 
90秒で完了!ー父の日スペシャルで替刃プレゼント
キズの心配ご無用 | ムリなく届く」
 
見ながら「ああ、オレもそろそろスカル・シェイバー買おうかな…」なんて思ったわ!
しかし…確かにイギリス人とかドイツ人ってハゲが多いけど、こんな広告が成り立つほどスキン・ヘッドの人が多いのか?
実際スキン・ヘッドにすると手入れがメッチャ大変だろうな~、イヤ「スカル・シェイバー」があれば大丈夫か!
外人は頭蓋骨の形がカッコいいからね~。ハゲてもうらやましいわ。
今、絶賛脱毛中…イヤ脱線中!
Img_9529こんな広告も楽しい。
コレは以前Shige Blogで紹介したヤクルトの広告。
日本のお家芸の折り紙で作ったネコのドテっ腹の部分。
「Which 2 underground stations contain no letters from the word "CATLIKE"? (「CATLIKEーネコっぽい」という言葉に使われている文字が出て来ない地下鉄の駅名を2つ答えてね)
 
コレが滅法ムズかしい。
Marshallの社長のジョンやスタッフと考えたんだけど、なかなか出て来ない。
私が提案したのがそれこそ「St. Johns Wood」だったんだけど、「t」で引っ掛かった。
やっとのことでジョンがBorough(バラ=有名なバラ・マーケットがあるところ)はどうだ?」…と、ひとつ見つけただけで終わった。

5_2450この「St. Johns Wood」という名前に関しては「鯖クイズ」というのがあるんだって。
「『鯖』の綴りに使われいる文字がひとつも入っていないロンドンの地下鉄の駅はど~こだ?」というモノ。
「鯖」は英語で「Mackerel」。
「St. Johns Wood」という名前にはこの「Mackerel」に使われている「a, c, e, k, l, m, r」の文字が使われていないというワケ。
コレね、結構スゴイんですよ。
英単語で最も使用頻度の高いアルファベットは「e」で12.7%。続いて「t」で9.1%。さらに「a」で8.2%。
「c」と「k」はたいしたことない(この2つの文字は同じ発音を担当することが多いのでどうしても使用頻度がバラけてしまう)けど、「l」が4.0%、「r」が6.0%とくる。
コレらのポイントを全部足すと実に46%。
日常使われている英語に出て来る約半数の単語に含まれている文字がひとつも使われていないのが「St. Johns Wood」という名前なんですわ。
ナンでこんなことを知っているのかと言うと、今また「暗号」の本を読み返しているの。
伝統的に、暗号を解読するには「頻度分析」という手法が最も頻繁に用いられるんだけど、こうしたデータがないとそれができないというワケ。
こういうことが大好きなんだよね、オレ。

360改札口はこんな感じ。

400外に出てすぐ左にある売店。
我々にとってはナンと言ってもこの場所は「アビィ・ロード・スタジオ」なんだけど、実はココってクリケットの聖地でもあるんだよね。
4年前の同時期に家内とココに来た時、平日の真っ昼間からモノスゴイ数のオジサンの大群に出くわしてビックリしたことがあった。
Marshallで運転手を務める仲良しのディアンにその理由を尋ねたところ「クリケットじゃないかしら」との答え。
好きな人は仕事を休んで平気で試合を見に行っちゃうんだって。
5~6月はクリケットのシーズンだからね。それが終わるとウィンブルドンが始まってテニスの季節になる。
なるほど、今回バスの2階から確認したんだけど、この近くに「Lord's Cricket Ground(ローズ・クリケット・グラウンド)」というのがあったわ。
この「Lord」というのは、主に18世紀後半から19世紀の初めぐらいまで活躍したThomas Lord(トマス・ロード)という人にちなんでいる。グラウンドの創設者。
もう「Lord's」と言うだけでこのグラウンドを指すらしい。
そして、駅構内にはこのロードさんの姿を彫り込んだタイルがハメこまれている…ということが書いてある。

410その横ではビートルズの4人が「ひょっこりはん」をキメてくれている。
そういえばヘアスタイルが同じだわ。
今からアビィ・ロード・スタジオに向かうよ。

415vコレも以前取り上げているネタ。でも、また様子が大きく変わっていたので喜んでレポートさせて頂く。
門柱や壁面の落書きはいつも通り。

420スタジオの建屋もその通り。
オーケストラがスッポリ入る大きなレコーディング・スタジオをロンドンに作る目的でアビィ・ロード・スタジオは作られた。
そもそもココは「EMI Abbey Recording Studios」という名前だった。
ビートルズの面々はココのことを「アビィ・ロード」と呼んでいたから「Abbey Road Studios」の方が通りが良くなり、EMIが名前を変えた…ということは全くなかった。
ビートルズは200曲を超える作品をココの「第2スタジオ」で録音していて、連中にとってのアビィ・ロード・スタジオはただの「Studio Number 2」だったらしい。
彼らにしてみれば、自分たちの普通の仕事場だからね。
ココが「Abbey Road Studios」として定着し、その名を変えるまでに至ったのはやっぱりアルバム『Abbey Road』によるものだったそうだ。
こけら落しはエルガー。
そのことが入り口の横の緑のプラークに書いてある。
元々はHMV、Columbia、Parlophoneという3つのレーベルのための録音施設だったのだが、レコーディングのノウハウが盗まれはしないか…とお互いに心配し合っていたらしい。

425私はもう数え切れないぐらいココへ来てるんだけど、今回はチョット気分が違う。
D_Driveの4人と一緒だったからだ。

490以前から何度も触れて来た通り、D_Driveの世界デビュー盤『Maximum Impact』はここアビィ・ロード・スタジオでマスタリングしたのだ。
Marshall Recordsを通じてマスタリングを担当してくれたクリスチャン・ライトと面会したかったのだが、クリスチャンはあいにく遠方に出ていたため断念!
外から写真だけ撮ったよ。
でも「データのやりとり」とはいえ、この中で作業してくれていたなんて感無量ですわ。
ま、私は演奏したワケではないけれど、「間を取り持った」ということで…ハイ。
イヤ、それでもそこに行きつくまで色々と大変だったんだから!
今年の前半は人生で一番忙しかったかも。

Maximumimpact4人だからね…当然コレをやるわな。
ビートルズの『Abbey Road』のジャケット写真は道路の真ん中に脚立を立てて、イアン・マクミランというフリーのカメラマンが、3往復するビートルズのメンバーに向けて6回シャッターを切った。
そのウチ、3回目の往路の写真がジャケット写真に採用された。
カメラはハッセルブラッド。レンズは50mmの広角。カメラの設定はf=22、1/500だった。
 
対してD_Drive。
私が交差点の真ん中にある島に立って、横断歩道を渡るメンバーに向けてやはり6回シャッターを切った。片道1回だけ。
カメラはキャノンの5D MKIII。レンズは24-70mmのズーム。カメラの設定はISO125、f=4.5、1/125だった。
激曇りだったからね~。ホントはもっと絞りたかったサ。

450やり直しはなし。
ナゼか知らんが、そこにいた観光客から拍手や歓声を浴びていた。
Marshall LiveCamden Rocks Festivalで早くもイギリスの誰もが知る存在になったのかしらん?
んなワケない。
そもそもこのあたりは外国からの観光客ばかりでイギリス人なんていないんじゃないかしら?
ところで、ビートルズのあの写真はスタジオにバイバイして去って行くところなんだってね~。
知らなかった。

460ということでD_Driveの次回のアルバムのジャケットはコレに決定しました。
そうそう、ビートルズの『Abbey Road』ってフロント・ジャケットに文字が入っていないのね。
上の方に「Abbey Road      The Beatles」って入っていたような気がしたんだけど…。
今回コレを作っていて参考に久しぶりにレコードを取り出して初めて気が付いた。

440cd_2有名な塀の落書き。

470何ヶ月かに一回上から白いペンキで上塗りすると聞いたが、スタジオ・サイドでもコレを楽しんでいて、アッと驚くようなアート感あふれる作品を期待しているようなのだ。

480すぐ近くの「Abbey Road Baptist Church」。
そもそも「Abbey」というのは「大修道院」という意味。
この道路は19世紀に整備された新しい道路で、元あった小道がKilburn(キルバーン)にある中世の小修道院に続いていたことよりその名がつけられたのだそうだ。
キルバーンはいつか行ったね~。
そこで人生で一番マズいラーメンを食べた。

493さて、今回この記事を編もうと思ったのはコレを紹介したかったから。
スタジオのすぐ隣のこの真っ白い建物。

495vコッチも落書きだらけになっちゃってる。
4年前にはこんなお店なかったんよ!

500ブッパン、ブッパン!
もう何でもグッズやら、ショップやらですな。

510お店の入り口に続く廊下にはスタジオの歴史が綴られている。
細々書こうかと思ったけど、どれも重要な出来事ばかりで長くなるから止めた。

520店内のようす。

530こんなデコレーションや…

540古今の写真。

550vこの入り口で撮る写真はこのスタジオを利用するアーティストにとってひとつのステイタスとされているそうだ。

435vだからこんな写真も…スティーヴィー・ワンダーだのガガ様だの。

560vこんなメモラビリアも飾ってある。
コレはEMI HB-1EというスタジオやBBCで活躍したマイクロフォン。
戦前~戦中のレコーディング機器の大家、アラン・ブルームラインが設計し、EMIのハーバート・ホルマンが製作した。
あのね、Marshallもダッドリー・クレイヴンというEMIのエンジニアをヘッドハンティングして第1号機を作ったんだよ。

570限定生産されたポールのヴァイオリン・ベースと同型のヘフナー。

580v500部限定で発売されたジョージ・マーチンによる「Yesterday」の弦カル・パートのスコアのレプリカ。

610書き込みや汚れ、紅茶のシミまで再現しているとか。
£250.00だって。額装込みで37,500円ぐらい。

620コチラはホンモノ。

590もちろん非売品。

600もちろんビートルズ関連グッズだけでなく、Pink Floydや他のアーティストにちなんだグッズも多数販売している。

630やっぱりドラマーはスティックが気になるね?

635私もナニか記念に買っておこうと選んだのが…

636図録…こういうのを英語で「Souvenir Guidebook」と言います。
ココでしか手に入らないっていうからサ。
帰って来てウェブサイトを調べたらスッカリ通販してやがる。
でも、欲しいモノと言えばコレぐらいなんだもん。

640£12としてはボリュームが小さいけど、興味深いことがたくさん書いてあってオモシロかった。

650ということで楽しいショッピング・タイムは終わり。
ロンドンの新しい「ロック名所」のひとつということで…。

660駅に戻る途中、ポール・マッカートニーのお宅を訪問。
他の3人のメンバーが喧噪から離れるべく郊外に移り住んだが、ポールだけはロンドンを離れようとせず、エライお医者さまから£40,000で購入したのが65年3月だというから、改装工事が終わるのを待って、昨日紹介したプレジデント・ホテルを出てココに引っ越したんだろうね。
「Penny Lane」、「Gettin' Better」、「Hey Jude」はココで作られたのだそうだ。
それと、ホワイトアルバムのオマケのポートレイトもココで撮影したんだって。
当時の4万ポンドっていくらぐらいかしらん?…と思って調べてみると、当時は固定相場制で、ドルが360円、ポンドは何と1,008円だった。オイオイ、今140円切ってるからね。
40,000に1,008をカケると…約4,000万円。
今から54年前の4,000万円だからね~。
まだ「She Loves You」の頃だよ。
何でも「Hey Jude」1曲で孫子の代まで遊んで暮らせるだけ稼いだと聞いたことがあるけど、しかし…ポールって人生で一体いくら稼いだんだろう。
ポールは70年代の後半までココに住んでいたそうだ。
で、今でも保有してるんだって…また儲かっちゃうやんけ。
そうでもないか、多分地所はどこかの貴族が所有しているのだろうから。
上物だけなら大したことないだろう。

5_img_4886 ポールにあやかろう!ということでD_Driveも記念撮影。
『Maximum Impact』ヒット祈願!

670すぐ近くにあるのがBilly Fury(ビリー・フューリー)が住んでいた邸宅があった。
フューリーはクリフ・リチャードと肩を並べて1950年代後半から1960前半に人気を博したイギリスの歌手。

0r4a0093…ということで『Abbey Road 2019』はおしまい。
 
ところで今回の記事のタイトルね、コレも前にやったことがあるんだけど、「Kilroy was here」から頂戴した。
興味のある方はコチラをどうぞ⇒【イギリス-ロック名所めぐり】vol.33~ハマースミスが好きだった <後編>

Kwh_2この曲を作ったロイ・ウッドね。
Rennaissanceのシンガー、アニー・ハズラムの元ダンナ様。
夫婦デュエットの「I never Believed in Love」なんてあまりにも素晴らしい。ナニせ出だしのコードがディミニッシュだからね。
初期のELOのメンバーでもあったワケだけど、私はジェフ・リンよりロイ・ウッドの方が断然好き。
この1975年のソロ・アルバム『Mustard』なんてメッチャいいと思うし、当時の日本のポップ・ロック系のミュージシャンって結構コレを研究したと思うよ。

Mt 

200_2

(2019年6月 ロンドンにて撮影)

2019年6月28日 (金)

【イギリス-ロック名所めぐり】vol.35~The Beatles was here! <前編>


ま、生来こういうことをするのがとても好きなものだから、ずいぶん長いことこの『名所めぐり』ってやらせてもらっている。
訪れたのはいいけど、時間が経ってしまって「コレのどこが『名所』なんだっけ?」なんてのもいくつかあったり、もう名所自体がきれいサッパリ無くなっちゃったモノもある。
で、このフィールドワークをする時、現地に行くのは造作ないことなのね。
ロンドンの場合、住所さえわかればいとも簡単に目的地に行くことができる。
大変なのは情報収集なんですわ。
その手の本がいくつか出ていて、もちろんそういう本に出ている情報を元に行動しているんだけど、コレも付焼刃的にパラパラっと本に目を通して「レッツゴー!」なんてやっても大していい記事にはならない。
かといって、そうした本をまるごと持って行くのは重くてシンドイからと、かなり前から入念に調べて「建物の名前と住所を一覧表にして…」なんてやってると、今度はイザ行った時にそれが何の名所か忘れちゃったりなんかして…。
 
今回3週間ほどイギリスに行って来た。
仕事ですよ…。
当然、Marshall Blogのために「ロックの名所」をめぐる時間もタップリ設けたんだけど、下調べをする時間が全くなく、ホントに国内外の情報を簡単にツラツラっとかき集めて旅に臨んだワケ。
「ってやんでェ!こっちはもうイギリスには20回以上行ってるんでェ、べらぼうめ!ロンドンなんかナァ、浅草みたいなもんよ!」とは言わなかったけど、ま、ちょっとナメていた格好になったナ。
やっぱりキチンと下調べをしておかないとダメだわ。
それでもそれなりのネタは集めて来たので今後の展開に乞うご期待。

今日の記事はその反対の例。
何の下調べもして行かなかったのに偶然「名所」に出くわしたケースをます最初に…。
下は私の情報源のひとつ…と言っても熱心に目を通したことはほとんどないんだけど、ビートルズにゆかりのあるロンドンの場所や設備を紹介する『ビートルズを歩こう!(プロデュース・センター出版局刊)』という本。
ビートルズがあったころのロンドンったって一番最近でももう49年も前のことだからね~。
それでもビートルズがキッカケで音楽の世界に入った私なんかは、大のロンドン好きも手伝ってパラパラ読んでいるとすこぶるオモシロイ。
10そして、チョット他の記事とダブって申し訳ないんだけど、今回のロンドンで滞在した場所のひとつが大英博物館にほど近いラッセル・スクエア。

20コレがそのラッセル・スクエア。

30ロンドンで「パーク」というと、「ハイド・パーク」や「リージェンツ・パーク」や「ヴィクトリア・パーク」のような広大な緑地を指すが、他にも我々の感覚で「パーク」と思っているいわゆる「公園」のようなモノがいたるところに存在する。
それらは「スクエア」と名付けられていて、都会の息苦しさを大いに和らげてくれる。
コレも大分前に書いたことがあるけど、元Manfred Mann's Earth BandのJohn Lingwoodというドラマーが東京に初めて来た時、私にこう訊いた…「シゲ、東京には公園っていうものがあるのかい?」
私は「あるよ!」とその時答えたが、私の答えが間違っていたことを知ったのは初めてロンドンに行った時のことだった。
ロンドンを知った後は「東京に公園がある」だなんて恥ずかしくてとても言えない。

40宿泊したホテルのすぐ近くの「Southampton Row(サウザンプトン通り)」。
ココは今回初めて来た。

50…ということでオモシロいモノは何かないかしら?と注意深く歩く。

56ん…発見。
柱に何か額がかかっている。

60ナニナニ…「1917年9月24日、ロンドンが受けた初の夜間空爆において、ドイツの重爆撃機GOTHA(ゴータ)がこの地点のすぐそばの旧ベッドフォード・ホテルの階段に112ポンドの爆弾を落とし13名の命を奪い、22人に怪我を負わせた」
スゴイ…こんなことを街中にいまだに貼り出しているなんて。
戦争を風化させない努力をしているということか?
戦争自慢の常勝国ですらこうだからね。
イギリスでは学校でチャンと戦争について学ぶそうだ。310万人もの戦死者を出した日本はどうなってるのかしらん?

70お!ブルー・プラーク見っけ!

80vイギリスを代表する指揮者、サー・ジョン・バルビローリの生家。
マーラー作品を得意とし、マンチェスターに拠点を置くイギリスで最も伝統あるオーケストラ、ハレ管弦楽団の常任指揮者を務めた。90ホテルのすぐそばの歩道に埋め込まれていた敷石。
「ターキッシュ・バスズ・アーケード」…気になる。
それは「トルコ風呂」だからではなくて、アーケードだから。
イギリスで「アーケード」というと大抵見事な装飾を凝らしてあったり、気品のある老舗が集う見応えのある伝統的な商店街を普通指すから。
ところがいくら周辺を探し歩いてもそんなところが見当たらない。
そこで、ホテルのコンシェルジュに尋ねたところもう1960年代になくなったそうなのだが、とても豪壮で美しい風呂があったらしい。

55コレはサウザンプトン通りからチョット入ったところにある馬の病院。
「馬の病院」?…なんてものはなく、チョットしたアート展示スペースのようだ。

95これもオブジェの一種なのだろうか?
壁に埋め込まれていた。
「場所を選んでビザを挿入してください。そしてボタンを押せは数分のうちに瞬間移動できます」…アホか!

96その奥には「Handel Stereet(ハンデル通り)」。
97「ハンデル」とは音楽家の「ヘンデル」のこと。
またしばらくしたら「名所めぐり」でヘンデルを取り上げます。

98コレが今回ロンドン滞在中に宿泊した「President Hotel(プレジデント・ホテル)」。
Marshallのスタッフがブックしてくれた。

100古いね、このホテルは。
調べてみると、中核の隣接するImperial Hotelの創業が1837年。
グループで7つのホテルを経営し3,251部屋を稼働させているのだそうだ。

110地下鉄の駅は近いし、すぐ近くに「Bruwnswick(ブラウンズウィック)」という大きなショッピングセンターがあるし、ホテルのスタッフも親切でとても快適な滞在だった。
そして見て、お値段。
このロケーションと設備にしてシングルで£105は安い。ま、古いからね。
ロンドンでこういう「ホテルの形をしているホテル」に泊まるのは本当にお金のかかることだからして。

120エレベーター・ホールもややゴージャス。

130すぐに目についたのがコレ。

140vそして、コレ…ビートルズのポートレイト。

150v1階(Ground Floor)のレストランの入り口脇には…

155コレ。
一瞬、『Live at the BBC』のジャケ写かと思ったが、すぐに違うことがわかった。

160実はこの写真はココ…すなわちこのプレジデント・ホテルの前のチョット手前で撮られたモノなの。
通りの名前は「Guilford Street(ギルフォード通り)」。
上の写真はさっきの『ビートルズを歩こう!』で見た記憶があった。
ホテルを見ただけではわからなかったが、上の写真を見て頭の中で結びついた。
ビートルズは1963年の春から秋までロンドンの住居が定まる前、ココに部屋を借りてホテル住まいをしていたのだ。

240早速コンシェルジュに訊いてみると「さようでございます。コチラをご覧ください」とその時のことを記した文章を見せてくれた。
フフフ…つまりビートルズと同じホテルに泊まったということよ。
グレン・ミラー楽団に「Pensylvania 65000」という代表曲がある。
かつてニューヨークに行った時、西34丁目のペンシルヴァニア駅の前にあるグレン・ミラーと同じホテルに泊まり、「電話番号が65000だ!」なんて喜んでいたまではよいが、あまりに古いホテルで、ベッドのマットレスが小便臭くて眠れない…なんてことがあったんだけどね…。
ココはゼンゼン大丈夫だった。
で、早速滞在した部屋を見に行くことに。
階は2階。ヨーロッパ式に言えば「First Floor」。地上から上がった最初の階だから「first」。いまだにコレに慣れない。

170廊下をズンズン進む。

180一番奥の左側が…

190v115号室。
1963年の春~秋といえば、4月にファースト・アルバム『Please Pleaase Me』を発表。コレが発売4日目に15万枚のセールスを記録。
ドンドン人気が高まって、8月に「She Loves You」を発表。予約だけでミリオン・セラーになった。
ココに滞在してロンドン中でライブを演っていたのだろう。
「行って来ま~す!」とか言ってアビィロード・スタジオやライブ会場へ向かったのかと想像すると楽しい。

200その向かい側が116号室。
 
ジョン・レノンがエリザベス女王やロイヤル・ファミリーを前にしてピカデリーの「The Prince of Wales Theatre(ザ・プリンス・オフ・ウェールズ(=イギリス皇太子のこと)・シアター)」で言った有名なセリフ;
「Would those of you in the cheaper seats clap your hands? And the rest of you, if you'll just rattle your jewelry.(安い席の人は手を叩いてくれませんか?その他の方は宝石をジャラジャラいわせてください)」
コレをやったのも1963年の11月のこと。
わかるんだよね~、コレ。
格差社会のイギリスのこと、ロンドンの劇場はチケットの値段によって席の場所の良し悪しにすさまじい差が生じるんですわ。
チョット出し渋ると遠慮なく思いっきり後ろの方の席になっちゃう。
ヘタをすると入り口も違うんだから!
ロンドンの劇場はブロードウェイと違ってバカでかいので、そうんるともう完全に見えないわね。
でも、どうせナニ言ってんだかほとんどわからねーし、「記念」として行く分には大いに価値があります。
立派な劇場の内部を体験するだけでも楽しいよ。
 
下がその「ザ・プリンス・オフ・ウェールズ・シアター」。
私はココで『Let It Be』というショウを観て感激したが、今は『The Book of Mormon』というブロードウェイ・ミュージカルがかかっていた。

5_0r4a0061 どっちの部屋にどのメンバーが滞在していたかという記録は残っていないそうだ。

210いずれにしても相部屋だったのね?

220この写真は1963年7月2日に、当時のビートルズのお付きのカメラマン、デゾ・ホフマンがタマタマたった1枚だけ撮った写真なのだそうだ。
得てしてそうなんですよ。
ところが私なんかだと、そうしてとてもいい瞬間をとらえたのにピントが甘い!なんてことになりがちなんだよね。
 
そして私はこんなのがあるとは知らなかったんだけど、こうして『Live at the BBC Volume2』のジャケ写になったとサ。

230cdビートルズの連中もホテルの部屋からコレに似た景色を見たのだろうか(コレは6階からの眺め)。

250そして、ビートルズは上の写真と同じ日にラッセル・スクエアでも撮影を行った。

251デゾ・ホフマンは噴水の周りで6回シャッターを切ったそうだ。
しかし、ラッセル・スクエアは2000年に大幅な改装工事を実施し、当時の形を残していないそうだ…残念!

252夜のサウザンプトン通り。

Img_4843ホテルの裏にあるカジノ。
中が見たかったんだけど、入り口にドデカイ黒人のガードマンがいたのでビビッて止めた。

Img_4844カジノの前のホテルの中庭的なスペース。
なかなかの雰囲気だ。

Img_4845『ビートルズを歩く!』によると、このプレジデント・ホテルは1961年から1962年にかけて建設されたそうだ。
さっきから「古い、古い」と書いてきたけど、ナンのことはない、Marshallや私と同じ年齢やんけ!
当時は最新式のホテルだった。
何しろ各部屋にバスルームとテレビが装備されていたのだから!…ビックリ。
でも、いまだにエアコンと冷蔵庫はありませんから。
そんなホテルだったからして、ホテルの支配人が朝食を摂る4人にネクタイをするように注意をしたことがあったそうだ。
するとホテルのスタッフが「支配人、ダメですよ、注意なんかしちゃ!アレはザ・ビートルズなんですよ!」
もうその時「神」扱いされていたのだ。
もっとも滅多に早起きなどしない4人はほとんど朝食をルームサービスで済ませていたそうだ。
上掲の本ではビートルズが滞在したのは114号室となっているが、4人も入れるワケがなく、ホテルの記録に残っている通り、115と116号室の2部屋に滞在していたというのが正しいと私は思う。
だってホテルが自分で言ってるんだから!

255ちなみにコチラは『Live at BBC』の1作目。
チョット似てるでしょ?
コレはリージェント・ストリートのハズ。
あ、ビートルズは好きだけど、マニアでは決してありません。

260cdハイ、移動してピカデリー・サーカスに近いリージェント・ストリートをチョット入ったところ。
通りの名前は「Savile Row(サヴィル・ロウ」」。
ちなみにサウザンプトン・ロウって上にあったけど。「row」も通りという意味。
ロンドンはストリート、ロード、ロウ、クレッセント等を使って通りの名前を表す。
アヴェニューってのはないかな?
絶対にないのは「ブールヴァ―ド(Boulevard)」…メッチャLA的ですな。
で、このセヴィル・ロウ、前にもやったけど、様子が変わっていたのでもう1回。

270サヴィル・ロウの入り口にある有名な洋服店「Gieves & Hawkes(ギーヴス&ホークス)」。
この店にスポットを当てたドキュメンタリーをたまたまテレビで見たことがあった。
老舗だけあって「ビスポーク(Bespoke)」しか取り扱わずに来たが、時代の趨勢に押され、既製品も取り扱うことになってしまったが、伝統を重んじるイギリス紳士はチャンとこの店でビスポークのスーツを仕立てる…みたいな内容だった。
「ビスポーク」というのはイギリス英語ですな?結構街中の看板で見かけるんだけど、「オーダーメイド」という意味。
イギリスに興味のある人は覚えておこう!

280この通りはこうした仕立服屋さんが軒を連ねていることで有名。
いわゆる「テーラー」街ね。
1階が店舗で…

290地下が作業室になっている。

300どの店も同じスタイル。
みんな紳士服を作っている。
ご存知の人も多いと思うけど、この「サヴィル・ロウ」を早く読んでみると不思議な現象が起きる。
サヴィル・ロウ⇒サヴィロウ⇒セヴィロー⇒セビロ⇒背広…ね、日本語の「背広」の語源になった通りの名前なのです。

310そのサヴィル・ロウに入って数軒先の右のこのビル。
ココにビートルズのApple本社が入っていた。
ま、前にもやったけどね。

330vナンでまた引っ張り出して来たのかというと…このブループラークがついたからなの。
以前はなかった。
「1969年2月30日、ザ・ビートルズはこのビルの屋上で最後のライブ・パフォーマンスをしました」って。

340D_Driveの3人も入ってパチリ!

5_0r4a0736   

200_2

(2019年6月 ロンドンにて撮影)

2019年6月26日 (水)

三宅庸介 MEETS STUDIOシリーズ <後編>


前回に引き続いての三宅庸介によるSTUDIOシリーズの試奏レポート。
今日はMarshallの代名詞とでも言うべき伝統のモデル、1959をダウンサイズしたSTUDIO VINTAGEのシリーズ。
イヤ~、おもしろかったね~。

Group_sv 

<SV20HとSV212>
まずはSTUDIO CLASSICの時と同じく、ヘッドと2x12"キャビネットのコンビネーションから。

0r4a0104三宅庸介(以下「Y」):あ~~、シゲさん…コレはもうダメです、ダメ
Marshall (以下「M」):ハハハ、ナニナニ…「ダメ」って一体ナンですか?いつも冷静な三宅さんにしては珍しく興奮されていますね!どうですコッチは?
Y:「どうです」って訊かれても、ひと言で…「ダメです」。

(SVによって破壊されてしまった三宅さん恍惚の図 ↓ ↓ ↓ )

0r4a0335(そして、弾きまくり! ↓ ↓ ↓ )

0r4a0336 M:そう来ると思っていましたよ!
Y:ボクにこういうのを弾かせたら絶対にダメです!
欲しい!ホントに欲しい!
(長い間)
で、ナニを言えばいいんですか?
M:へ?インタビューですから…コレについてナニか語って頂かないと…。
Y:………。
M:言うことなし?
(ショックのあまり三宅さんがナニもしゃべろうといないので私からアノ手コノ手で水を向けた)
ところで、折角ご持参頂いたのにさっきからペダル類を全くお使いになる素振りさえお見せになりませんね。
Y:ハイ。例えいつも使っているようなオーバードライブのようなモノをつないだとしても、ナンノ違和感もなくマッチするのはわかりきっていますから。ワザワザつなぐ必要なんてありません。

0r4a0343 M:三宅さんは以前1959もお使いだったワケで…で、このSTUDIO VINTAGEは1959のダウンサイズ版を標榜していますでしょ?
音が似ているとかそういうことではなしに、Marshallのアイコニックなモデルのひとつである1959の魂を受け継いでいるところはどういう点だとお思いになりますか?
Y:手元を下げた時のゲインの上がり下がりだったり、それでトーンが変わって来るサマがそのままだったり…。
今、HIGHの1にインプットしてLOUDNESS1をフルにしています。
リンクはしていませんが、干渉するのでワザとLOUDNESS2もフルにしました。
そうすると少しだけ低域が膨らむ感じになるんです。

0r4a0381 M:1959の場合、使っていない方のチャンネルのボリュームは第2のEQになるとか言われていましたからね。
Y:で、こういうことをホンモノの1959でやったら普通手に負えませんよね?
特に新しい1959なんかですと、パーツも新しいので、元気がありますからピュアに100Wの音が出て来るワケです。
そんな状態で色々なことをコントロールしようとなると、ステージでもレコーディング・スタジオでも…ムリですよね。
人の多いところではまずそんなことできません。
M:ホント…現場によっては大音量に気をつけなければマズイですよね。
Y:でも、コレだとそういうことができてしまうワケです。
ま、音量をこうして上げると、アンプと近距離で弾いているので、弾いていない時には当然ノイズが出て来ますが、ゼンゼン問題にならない。
ホントにコントロールしやすいし、トーンがすごくいい雰囲気で効いてくるんです。
M:「いい雰囲気」?
Y:はい。その辺も割とうまいこと当時のまま…というか…昔のMarshallって、「コレ、ホントにトーンが効いているのか?」なんてことがよくあって、結局EQを全部フルにするのが一番よかったりして。
このSCもそんな感じで、さっきのSCとは違って「トーンで音を作ってください」とかいうほどではない。
イヤ、もちろんEQをイジれば音は変わってきますよ。でも、どこをどうやってもいい音がしています。

0r4a0348 M:なるほど…(しめしめ、大分落ち着いてき来て、だんだん語り出して来たぞ)。
Y:コレはちょっと…ボクのイメージなんですが、音が周波数ごとにミルフィーユみたいになっていて、隙間を感じるんですよね。

Mf M:わかんね~わ!
Y:(笑)層になっているその間に空気感があるというか…そこに色んなモノ、例えば倍音だとかが詰まっている感じなんです。
M:じゃSCの方は?広島風お好み焼きみたいな?コッテコテ?
Y:SCの方はもっと密度が濃いんです。ギッチリ詰まっている感じ。

5_ M:そういう風に言われるとわかるような…わかんないような…。
やっぱりわかりませんな。
Y:SVの方は弾いていても、ピッキングした時にホントにチョット親指に力を入れるだけでミルフィーユの層の中に違う倍音が入ったりとか…そういうことをものすごく認識しながら弾けるから、も~~~メッチャたまらないです!
M:フィードバックする時もいかにも1959ですよね?
Y:そう!音が裏返ってキレイに何度、何度と音程が変わっていく。その裏返る時の感じがもう完全に1959なんです。
M:もともと1959のようなアンプがあったからフィードバックなんて方法が出て来たワケですもんね。
Y:そうなんです。JCM800のフィードバックとはまた違うんです。
M:よくわかります。
Y:も~~~!コレはアカンですよ!(←コレばっかり)

0r4a0377_2 M:スタンバイ・スイッチをLOWにするとどうですか?
(スタンバイ・スイッチをLOWにして弾く)

0r4a0124 Y:あんまり変わらないですね。
M:音の張りが変わって来る。
Y:ウン、そうですね。LOWにした時の方が弾きやすいですよ。
(弾き続ける)
あ~~~!コレはアカンですよ!(←あ!また!)


<SV20HとSV112>
今度はヘッドはそのままに1x12"キャビネットのSV112につないで弾いて頂いた。

0r4a0077 Y:SCの時ほどの違いはない感じで、2x12”から移っても違和感が全くないですね。
アンプのコントロールをイジる必要なない。

0r4a0368 でも、アンプの前で弾いている分には2x12”の方が気持ちいいですね。
でもさっきのSCと同じでレコーディングの時は1x12”の方がマイキングはしやすそうですね。

<SV20C>
そして、最後にコンボのSV20C。

0r4a0001Y:当たり前ですけど、コレはスタックとの違いが出ますね。
さっきSCの時にアンプの形式よりもスピーカーの数の違いを意識すると言いましたが、こっちはキャビネットにスピーカーだけが入っているモノとアンプのシャシとスピーカーが一緒に入っているモノとの違いを割りとハッキリ意識させられます。
このSVのコンボは明らかに「コンボ感」が出ています。
M:確かに…。
Y:そういえば、1959のコンボって馴染みがありませんよね。
M:2159。2159って日本には入って来なかったのか、ホントに少数しか輸入されなかったのか…。確かMarshallの本社のミュージアムで見たことがあったと思いますが、日本では見たことはありません。。
Y:1987のコンボはありましたよね?
M:はい、2187ね。大分前に私がMarshallに提案して日本限定50台で作ってもらいました。
「19-」アタマがヘッド、「21-」アタマがコンボの型番だったんです。

0r4a0397 Y:なるほど。で、最初は何となく聴き馴染みのないサウンドという感じがしました。
でも、弾いているうちにキャビネットの一番共振するポイントに合わせてベースを下げたり、プレゼンスやトレブルを上げて調節することで違和感はなくなりましたね。
そもそも、「いい音」って大抵そうなんですけど、弾いているウチに自分の方が慣れないとダメなことが多いんですよね。
M:自分を慣らす?
Y:誰でもこういうことはあると思うんですけど、パッとギターをプラグインして音を出してみて、気に入らないとか、抵抗があったりする…こういうのは「気に入らない」というより、そのアンプを鳴らせていないということだと思うんです。
だから自分の方が変わるべき…ということがあるのではないでしょうか?
M:なるほどね~。そういうギタリストばかりだとラクだな。でも、昔はそういう感じでしたよね。
Y:で、SV20Cはコンボ独特のスクエアに低域が全部出きってしまっているイメージがあります。
スタックだと低域の角がチョット丸かったりするんですね。ボクはそっちの方がコントロールしやすい感じがします。
コンボの音ってチョット「台形」っぽくて…。

5__2 M:今度は算数ですか!
Y:(笑)コンボはローが「面」で鳴っている感じなんです。
それとまずはやっぱり床に置いて鳴らすべきですよね。
鳴らしていないキャビの上なんかに置くとダメです。それも共振して鳴ってしまう。音を出しているのならともかく、鳴っていないのはマズイ。
M:大地にシッカリ足を付けておけ!ということですな?
Y:人と一緒ですよ!
M:ゴメンなさい!

0r4a0395 Y:コレもやっぱりレコーディングの時は、実際に鳴っている音をマイクで拾った音との共通点を探しやすいと思いますよ。
M:やっぱり。
三宅さんはASTORIAの時、最後までスタンダードな黒いMarshall伝統のデザインにこだわった方のウチのお1人ですが、このシリーズのルックスについてはいかがですか?
ま、おっしゃりたいことはないと思いますが…?
Y:ないですよ。
M:出て来る音や細かいデザインは別にして、Marshallってサイズそのものがすごくいいと思いませんか?
何と言うか、それぞれ大きすぎることもなく、小さすぎることもなく…。
Y:すべてが絶妙ですよね。
M:偶然ですけどね。
Y:マジックには偶然が必要ですからね。
M:でも偶然が起きるでろうことをそれまで積み重ねているんですって。
Y:必然なんですね。
そうそう!ひとつ「オオ!」と思ったのは、SV212のハンドルはメタルなんですね?
M:そうそう。さすが!

0r4a0157 Y:しかし、シゲさん…コレはダメですよ!(←最後もコレ!)

0r4a0440こうして新商品が発表されるたびに三宅さんに試奏して頂くようになってからどれぐらい経つかナァ?
Vintage Modernの時ぐらいからか?
Marshall弾きとして、長い間に色々なご経験を積んで来られた方だけあって、良い点についても、劣る点についても、都度色々と適切なご意見を聞かせてくれるのがとても面白いし、勉強になる。
従来型のMarshallに与する伝統支持派で、どちらかといえば辛口なわけ。
しかし、今回はいつもと様子が違ったね。
こんなにトロけてしまった三宅さんを見たのは初めてのことだった。ASTORIAの時も結構トロけさせたつもりだったけど、アレは三宅さんに対してはルックスがマイナスした。
今回は、何と言うか…何度挑戦しても絶対に勝てない相手との対局で「負けました」と言わせたような…。
実際には将棋を指す趣味が私にはないので、この例えはふさわしくないかもしれないが、タイトルをもぎ取った時の棋士の気持ちはこんな感じなのではなかろうか?
ま、別に三宅さんと「Marshall勝負」をしているワケではないんだけどね。
やっぱり自分の音で自分だけの音楽を作っているようなアーティストから「欲しい!」なんて言われればそりゃうれしいもんです。
また、文中で太字でフォントを大きくした演出で三宅さんの興奮具合が少しでも伝わるといいんだけどナ。
とにかくこういう時は、この仕事をしていて本当にヨカッタ!と思える瞬間のひとつなのだ。
実は、今日のSTUDIO VINTAGEはゼ~ッタイに三宅さんがハマるという自信があったの。
だからワザとさきにJCM800系のSTUDIO CLASSICを先に試してもらった…というチョットした作戦があったのです。
さて、今回の2編をお読み頂いてSTUDIOシリーズにご興味を持った方は是非楽器店に足を運んでお試しになってみてください。
もし、ミルフィーユや広島風お好み焼きのお味がお気に召さない場合のご意見は三宅さんにお願いします!

50 

200 
(一部敬称略 2019年4月都内某スタジオにて撮影)

2019年6月25日 (火)

三宅庸介 MEETS STUDIOシリーズ <前編>


今年の1月のNAMMショウで発表したSTUDIOシリーズ。
おかげさまで世界的大ヒットになったようです。

50…というのも、先週のアタマまでMarshallの工場に行っていたんだけど、工場のラインで流れているのはSTUDIOシリーズばっか!

0r4a0044_2コレは最終工程のベルトコンベア。
真ん中は違うけど、向かって左のキャビネットと右側から流れ出て来るのは全部STUDIOシリーズ。

0r4a0046_2出て来る、出て来る…うれしいなったら、うれしいな!
ナニがそんなにうれしいのかというと、世の中まだそんなに捨てたもんじゃないと思ってサ。
時代が時代ゆえ、デジタル・テクノロジーを駆使したターミネーターのような「機械」も仕方ないけど、チャンと真空管を使ってギターの音を美しく増幅させる「楽器」としてのアンプがまだまだ愛でられていることがうれしいのです。

0r4a0045_2ということで、Marshall BlogはまだまだSTUDIOシリーズの魅力を皆さんにお伝えしようと思っているのです。
そこで今日はMarshall Blogでは相当おなじみ、Strange, Beautiful and Loudの三宅庸介にSTUDIOシリーズからまずはSTUDIO CLASSIC各種をお試し頂いたレポートをお届けする。
今日の<前編>はCLASSIC、次回の<後編>はVINTAGEで構成するよ。
しかし…この動画全盛の時代に写真と文章だけで商品の魅力をお伝えしようなんて、いい度胸してるでしょ?
ダメよ、人間少しぐらい字を読まないとバカになっちゃうぞ!…といいつつ、ビデオも●●●●してますのでよろしく。
とにかく今日と次回のところは、Marshallとストラトキャスターを食んで生きているようなギタリストの含蓄に富んだコメントを楽しんで頂きたい。

Group_sc_2ではまずコレから…
 
<SC20HとSC212>

0r4a0249_2Marshall(以下「M」):三宅さん、いかがでしたか?
三宅(以下:「Y」):ビックリしました。メッチャいいですね~…ホンマに。
新品って何でもそうですけど、「こなれていない」っていうのがありますよね。ギター・アンプで言えばスピーカーのコーン紙が硬いとか…。
コレはそういうことを感じさせませんね。
同じJCM800でも80年代後半の「ハイ・ゲイン戦争」時代のJCM800ではなくて、Marshall本来のクリアな部分が残っているJCM800という感じ。
ものすごく状態の良いJCM800を「今やっと弾けた!」というイメージです。

0r4a0218_2 M:現在手に入る材料でオリジナルのJCM800を作ってしまったみたいな…?
Y:そうです、そうです。ラインナップを見てもう少しモダンな感じだと思っていたんですけど、違いましたね…コレはうれしいですよ!
JCM800ってこういう音だったですもんね。

0r4a0270_2M:よくわかります。ボリュームを下げた時のクリーンの美しさがまたすごくいい。
Y:4とか7とかフルとか、自分でアンプを試す時のプリアンプのゲインの設定があるんですが、6~8の間にサウンドが激変するゾーンがあるんですね。
その辺りの境目で気に入ったサウンドを見つけるのがいいと思いました。
0r4a0240_2M:ギターのボリュームとの兼ね合いは?
Y:手元のボリュームを下げただけでホントに…多分ヨダレが出ていたと思うんですけど…。
M:いえ、でも三宅さん、弾いてて思わずバッと立ち上がっちゃいましたもんね!
マスター・ボリュームの設定も色々とお試しになられていましたが、やっぱりフルだと粗すぎますね。
Y:はい。音量が変わるだけでなく、そうなると音質が変わってしまいますからね。ボクは4ぐらいがすごくいいと思いました。
M:4でも音量的には十分ですよね?
Y:ゼンゼン大丈夫ですね。バンドの中で使っても、dBという観点からすれば全く問題ない鳴り方をしていると思います。
ゲイン感とか、身が詰まったコンプがかった強い歪が欲しい…ということであればマスターを6ぐらいにするといいかも知れません。
M:なるほど…。

0r4a0210Y:今日ボクはコントロールをすべて「0」にしてから始めました。いいアンプって、アンプにインプットして、音が決まるまでの時間って早いんですよ。
さっきからズッとシゲさんは見てくれていましたけど、今日は音を決める時間がメッチャ短かったでしょ?
M:現場で音を作る時、三宅さんはいつもそんなに時間をかけていない印象がありますけど、確かに今日は早かった。
Y:大体のところをキメてしまうと、後はチョコチョコ触ってもそんなに印象は変わらない。
M:それでも何かEQでの音作りに関して何かありませんか?
Y:いつもの自分のデフォルトのカーブのままですイケましたね。ベースが4で、ミドルが7、トレブルが2.5~3の間。
M:プレゼンスが2ぐらい?
Y:ボクにしては珍しくプレゼンスを上げています。ちょっと上げてやった方が、手元を下げた時の「ベル感」みたいなモノがチャンと残るし、ピッキングの音の一番早いところが先に出て来る感じがするんですね。
もう少し上げても大丈夫だと思います。
0r4a0262_2M:パワー・スイッチをLOWにした時はいかがでした?
Y:「LOW」という言葉があんまり好きじゃないんです…ボクは要らないかな?でもそんなに変化なかったですよね?

0r4a0258_2M:ガクンと音が小さくなるのではなく、サウンドが小ぢんまりする感じでしたね。
Y:そう。家でレコーディングする時にマイクを立てた場合にどうか…っていう感じですよね。
M:三宅さんがコレを宅録で使うとなるとどういう手法を採ります?
Y:ボクは近代的な手法のレコーディングをほとんどやらないし、否定派でいたいんですね。例えやったにしても結果があまり好きでないんですね。
だからアンプの設定を「LOW」にして、最良の音質のまま家で出せる限界の音量にセットして、あとはマイクの音量を調節して、実際に聴こえている音と同じ音で録音できるように注意深く設定する…ということになりますね。
M:完全に従来方式ですね?
Y:そうです。
ま、家で録音する時には2x12”である必要はありませんけどね。
M:そうそう、SC212はいかがでした?Aキャビネットをタテに半分にした格好ですよね。

0r4a0253_3Y:ボクの場合はアングルが付いているとかストレートであるとかよりも、ズッとスタックを使って来たので、そういう意味では何の違和感は何もなかったです。
やっぱりひとつの筐体にシャシとスピーカーと入れたモノとセパレートしているモノとではゼンゼン違いますからね。
その点、ひとつのスタックとしてとても気持ちよく弾けました。
 

<SC20HとSC112>
ヘッドのSC20HはそのままにキャビネットをSC112につないで弾いて頂いた。

0r4a0217_2Y:ボクはキャビネットの大きさ云々より、搭載されているスピーカーの数の方が弾いていて大きな違いを感じるんですね。
レコーディングの時も、一番いいポイント、すなわち聴いている音と同じ音がマイクで拾えるところを狙うということが重要で、その場合スピーカーが1発の方がやりやすいんですね。
だから制作の面から考えるとスピーカー1発の方が向いているかも知れませんね。
2発の方はそれぞれのスピーカーのコーンの動きが完全に一致しないハズなので、チョットしたそのズレが弾いて気持ちのいい部分であったりするワケです。
それが2発入りとか4発入りとかの特長だと思うんです。

0r4a0281_2M:いつか1936の内部スピーカー・ケーブルの長さを変えているという話を思い出します。
Y:そうです。あの効果ですね。
1発の場合は当然そういうことがないのでストレートに鳴っている感覚が強いですよね。
それで、コンボと違ってスピーカーだけが筐体に入っているワケですから、ボクなんかはレコーディングの時などとても音作りがしやすいと思います。
ちゃんとローも出てますし、SC112のトーンのバランスは最高だと思いました。
 

<SC20C

最初、撮影時のルックスを考慮してコンボをSC112に上に乗せていたが、三宅さんはホンノ少し弾いて「コレではダメです」と言って、SC20Cを床に降ろした。
0r4a0179_2M:今度はコンボ…。
Y:思ったより違和感がないですね。セッティングは少しベースを下げて、ハコの振動を抑えるといいんじゃないかな…。
スタックと違って、割と床の材質とかの影響を受けやすいので、ボクがコンボを使う場合はジュータンを用意してアンプの下に敷きます。
そうするとスタジオでもライブ会場でも同じ状態で使うことができる感じがします。
でも…こうして弾いてみると、ナンカあんまりさっきのスタックと変わらない感じがしますよ。

0r4a0294_2M:ウン…何かね~。おかしいな、もっとコンボ感があったつもりだったんですけど…。三宅さんが弾くとそうでもないな…というか、三宅さんの音になっちゃった。
Y:このシリーズが発表になって、海外のデモの動画を色々とチェックしたんですが、それを見る限り、ワッテージも小さいし、コンボが一番トーンのバランスがいいな…と思っていたんですけど…

0r4a0301_3M:けど…ナニ?
Y:…けど、スタックを先に弾かせて頂いて、もう最高だったし、コンボもそのままの流れですね。
さっき言いましたように、ボクの場合はスタックかコンボか…というより、「スピーカーの数」なんですね。SC212のようにスピーカーが2台入っているものはお互いに持ちつ持たれつ、「夫婦」のように鳴っているワケです。
その点、キャビネットにしてもコンボにしてもスピーカーが1台の場合は全部ひとつでこなさなければいけない。

0r4a0313_2M:スピーカーの単身赴任ですね?
Y:(笑)そう。だから負担が大きい。その分鳴り方がハデになると思うので、出過ぎないようにトーンを抑えてやる必要があると思うんです。少しだけベースを下げたりとか…。
ゲイン感とかボリューム感は同じセッティングならばあまり変わらない。聴いている耳の位置や距離の違いぐらいですね。
M:それとインプットの「LOW」の話を…。

0r4a0321_2Y:LOWにつなぐと、すごくクリーンな感じですよね。
ボクは普段「LOW」のインプットにケーブルをさすことはまずないんですが…コレ、いいですね。
たとえば…レコーディングの時にHIGHのインプットで完璧に音を作っておいて、クリーンっぽいサウンドが必要な時に、そのままLOWにインプットしてやるなんていう使い方もいいかも知れない。
いわゆるトランジスタのライン的なクリーンではなくて、真空管を通して作った、まさに「Marshallのクリーン」ですよ。
近代的なアンプの「クリーン・チャンネルです」というのとは全く違うクリーン・サウンド。
M:コレにスタンバイ・スイッチの方をLOWにするとどうなります。
Y:(弾く)…あんまり。やっぱり変わりませんね。
でもすごく太くていいですよ。ゲインを下げるとエレアコまでイケるんじゃないですか?
何だかLOWインプットに新しい可能性を見出した感じですよ!

0r4a0328_2本当に気持ちよさそうに弾く三宅さんなのであった!

<後編>につづく

200 
(一部敬称略 2019年4月都内某スタジオにて撮影)

2019年6月24日 (月)

Tomi Isobe & Blues Dogs Returns 2019

 

Spring has come with Blues Dogs…『復活祭』よりチョット早く、桜の咲く季節にハワイからやって来るのがTomi Isobe。
そして活動を共にするのがBlues Dogs。

10_2今年も3月23日から4月12日まで、全国18公演で構成したツアーに臨んだ。
今日はその中から4月5日の東京公演の様子をレポートする。

15v今回のメンバーは…
Tomi Isobe

20v_2Tomiさんは今回もASTORIA CLASSIC。

30小笠原義弘

40v_2オガンちゃんはEDEN Terra Nova TN-501とD410XST。

50v高橋和久

60v_2今日のロジャーさんはNATAL。
アッシュのキット・

70東京公演のゲストは中沢ノブヨシ…Gatzさん!

80vオープニングは前回と同じく「Route 66」。

90v_66ノッケからTomiさんとGatzさんのギターの掛け合い!
いきなり盛り上がっちゃうよね。

100_2「Hello, everybody!
また高円寺に帰って来ました。
今から1年半前にYouTubeを見て素晴らしい!と思い『お友達になってください』と中沢さんにリクエストを送って今日初めてお会いして一緒に演奏します」
…と今日のゲストのGatzさんとの出会いを紹介したTomiさん。

110_22曲目はそのGatzさんをフィーチュアして「People Get Ready」。

110v_pgrTomiさんのギター・ソロ。
いい音だナァ~。
やっぱりATORIA CLASSICは名器なのだ!

S41a0046 「この曲はいつも最後に演るんですけど、今日はTomiさんに言われて2曲目に演りました。
ハワイの風をタップリ浴びて最後まで楽しんでいきたいと思います」

S41a0103 続いて「チョット意味深な曲」と紹介して「Tokyo Toy」。

120_ttオガンちゃんのソロ!

0r4a0121 続けて「Dock of the Bay」。
まずはTomiさんの歌から。
135そしてGatzさん。

0r4a0127 しかし、ベースかっこいいな。
オガンちゃんのようにベースだけで1曲聴かせてしまうベーシストはそうはいない。

140口笛も完璧!

140v_2「ええバンドですね~。コレで全国回れればいいんですけどね…」
ココでアメリカでのツアーの話に。
Tomiさんは年間320回以上ライブをされているそうだ。
しかし、BBキングは年間240本を40年続けたとか…。
するとオガンちゃんが「アメリカで年間240本こなすのは大変なことですよ!」
クリス・デュアルテと全米を回る人が言うのだから間違いない。
ナニが大変かと言っているかと言うと、演奏ではなくて移動の話。
実際、オガンちゃんをEDENでサポートさせてもらった時、運送屋が間違えて配達しちゃって大変なことになった。
ホテルに届けることになっていたのだが、街に同じチェーンのホテルが2つあって、運悪くオガンちゃんが宿泊していない方にEDENを配達してしまったのだ。
運送屋のミスなので先方が転送をしてくれるのだが、何せツアー中でご一行をキャッチするのがムズかしい。その移動距離が凄まじい。
私なんか東京~大阪間だってゾッとしちゃうのに、平気でその何倍も一気に走っちゃうのだ。
しかし、マゴマゴしてるとツアーが終わっちゃう!
どこから送ったのかは忘れちゃったけど、オガンちゃんが計算して「ポンティアックでなら受け取れる」という情報をもらってミシガンまで転送してもらったことがあった。
アメリカは時差が大きいので、ずっと起きていてオガンちゃんからの連絡を待っているのが大変だった。
結構いい思い出ですけど。
で、BBキング。
そんな生活をしているので、車の中に何でもそろっていて日常生活が普通にできるようになっていたのだそうだ。

150_2しかし、失礼なことを申しますが…よくMarshall Blogに書いているように私はブルースとかR&Bとか、ジャズ以外の黒人の音楽を聴く習慣がないんですね。
でも有名どころは知ってますよ。
でも、さっきの「People Get Ready」にしても「Dock of the Bay」にしても、マァ、聴いて感動したりすることはないんだけど、この日の演奏は素晴らしかったね。
素直に言います…感動した!
「ああ、いい曲だったんだナァ~」と思ったよ。
Tomiさん、ありがとう!

150vガラリと変わってGatzさんのカッティングからDoobieの「Long Train Runnin'」。

160_ltrこういうのもタマらんね、オガンちゃんのベースは!

170v_2そしてガッツリと組み合うロジャーさんのドラムス!
気持ちいい~!

180v_2それを背負ってのTomiさんの熱唱。
悪いワケがありません。

190アメリカのゲイの話の後、1部の最後を締めくくったのはアースの「September」。
このグルーヴも気持ちヨカッタね~。
お客さんも全員立って踊ったね~。
カメラを持っていなかったら思わず踊っちゃうところだったぜ!(コレはウソです。私はナニがあっても絶対に踊りません…イヤ、踊れません、猛烈にカッコ悪いから)

200v_sp

210_2

220_2

230_2休憩。
コレはアルタミラの洞窟でも高松塚古墳でもありません。
今まで知らなかったんだけど、JIROKICHIの奥の階段の吹き抜けの部分ってこうなってんの。
カッコよくね?

240_2
物販ではTomiさんの3年前の金沢公演を収録したTomi Isobe & Blues Dogsのライブ・アルバム『Howling in Kanazawa』と並んでオガンちゃん、ロジャーさん、令文さんのTrio the Collagensのライブ・アルバムも販売されていた。
ヘヘヘ、このCollagensのジャケットに使われている写真は私が撮ったモノなんです。

250_2ハイ、第2部。270_wgoまずはGatzさんの歌で、出そうでとうとう出た「What's Goin' on」。
こんなホンワカした楽しげな曲はベトナム戦争がらみの政治的メッセージソングだということを知った時はチョット驚いたっけ。
コレ、『Blanuss』というアルバムでRoland Kirkも取り上げていて、バリバリのブローを聞かせてくれるんだよね。
ちなみ、こないだロンドンのブルック・ストリートのジミ・ヘンドリックのアパートに遊びに行ってオモシロイ話を聞いてきた。
その話は後日『名所めぐり』で紹介します。

0r4a0125ココでもう1人ゲストを迎える。

285_sgココで加わったもう1人のゲストはパリを拠点に活動を展開するハーモニカの清野美土(きよのよしと)。

280vアイリッシュ・フィドルとギターの方と3人でケルトとブルースを融合させた音楽を標榜する「Harmonica Creams」というバンドをやっていらっしゃる。
下がその最新アルバム『ステレオタイプ』。
美土さんからサンプルを頂戴して早速聴いてみたんだけど、コレが実に素晴らしい。
私流に言わせてもらうと「アイリッシュ・プログレ」かな?
大ゲサかも知れないけど、まだロック系音楽にも可能性があるな…と感心してしまった。
バルトークだとかヤナーチェクのようにクラシックがやった民族系との融合を進めるのは軽音楽のひとつの方法であることは間違いないと思うんだよね。
ま、昔からやってるけど…。
そのねらい目のひとつはいつも言っているように東ヨーロッパというか、スラブ系のリズムやメロディではないかと思っている。

285cd曲はThe Temptationsの「Shakey Ground」。
私みたいなヤツは恥ずかしながらフィービ・スノウでおなじみだったりして…。

270vみんなでコーラスをキメて早くも第2部のハイライト的な堂々たる演奏!

290_2

300v

310v「ハーモニカは南部では『ミシシッピー・サキソフォン』と言われているんですよ。
ホンモノのサキソフォンが買えないからハーモニカで代用したんですね」
ちなみに「ブルースハープ」というのはドイツHONOR社の商標で、一般的な10ホールズ・ハーモニカそのものの名前ではありませんから。
320vスティーヴィー・ワンダーを2曲。
まずは「Isn't She Lovely」。

330v_isl熱唱に継ぐ熱唱。
いい声だナァ~。
こんな声なら人前で歌を歌いたくもなるよナァ~。

340vそして美土さんのソロ。
やたらとダイナミックなフレーズに加えて音がとにかくスゴい。

350v迎え撃つGatzさんの口トロンボーン。
トロンボーンのモノマネというのは伝統芸なんですよ。
ナゼか…コレは大学でビッグバンドをやっていた時、トロンボーンの同級生から教えてもらったんだけど、なんでもトロンボーンの音色というのは人間の声に一番近いのだとか…。
それとスライドという構造上音程の変わり目に境目がないでしょ?
そんなところも人間に近いらしい。

355スティーヴィー・ワンダーでもう1曲と来れば…

360_sp「Superstition」でしょう。
まずはTomiさんの歌。
倒れそうなハシゴ
13ヶ月の赤ちゃん
鏡を割る…等々、日本との迷信の違いが面白い…そうでもないか?
ハシゴの下をくぐってはいけないというのはよく知られているところでしょう。
最初に出て来る「writings on the wall」というのは直訳すれば「壁に書いてあること」という意味。
フランク・ザッパが『Fillmore East - June 1971』というライブ盤、コレは私が15歳の時に石丸電気レコード館で買った初めてのザッパのレコードなんだけど、コレに収録されている名曲「Tears Began to Fall」にもガッツリこの表現が出て来る。
「writings on the fall」で「不吉な前兆」とか「悪い予感」とかいう意味なんですぜ。

370v美土さんのソロがますますスゴい!
そして、後に写っているオガンちゃんがデカい!

380歌に引き続いてギター・ソロもバッチリとキメたGatzさん。

390ベースソロも行った~!

400最後を締めくくったのはフレディ・キングの「Sugar Sweet」。
Tomiさんのオハコのひとつ!

420ココでもオガンちゃんはベース・ソロで大暴れ!
お供するのはEDEN。

430vロジャーさんとの掛け合いもカッコよかった!

480そして、クライマックスはTomiさん⇒Gatzさん⇒美土さんのソロ回し!

510イヤ~、ホントにスゴかった!
オガンちゃんがお客さんに「スゴいライブを観たと言いふらしてくださいよ!」なんて言ってたけど…ホントです。
私はMarshall Blogでこうして言いふらします。
スゴかった!

520_gomアンコールはTomiさんとGatzさんが心を込めて歌い上げた…

530v「Georgia on my Mind」。

0r4a0137 最後に昔の大変だった時代を思って作ったTomiさんのオリジナル曲で「Single Daddy's Blues」。

550この晩、本当に真心がこもったいい音楽を浴びて何だか身が清められたような気がしたね。
Tomiさん、また来年もお待ちしています!

560<オマケ>
いつもビックリしてばかりの私ですが…またビックリしちゃったのです。
我が家は年中行事で春に信州に行くことにしているのね。
コレは今日レポートしたライブの9日後に上田の別所温泉に行った時のこと。
下の写真…

570コレ、「marufuji」さんというパン屋さんなの。

580すごくおいしいパン屋さんということで注目を浴びているそうで、毎日すべてのパンが売り切れちゃうほどなんだって。
それをパン好きの家内がインターネットで突き止めて、別所温泉に泊まったついでに寄って来たというワケ。
実際にすんごいおいしいのよ。

590店内にはイートインのコーナーもあって、オシャレな音楽が流れているのね。
で、何とはなしにその音楽を流しているオーディオ装置のところに行ってビックリ仰天!

595この記事で紹介したHarmonica Creamsの『ステレオタイプ』が置いてあるじゃないのよ!
コレが「帰って来たヨッパライ」とか「泳げたいやきくん」だったらわかるよ…時代は違うけど。
言っちゃ悪いけど、絶対にどこにでもあるようなモノではないアイテムが置いてあったワケよ。
ビックリもしたけど、うれしかったね。

600矢も楯もタマらず、このアルバムがココに置いてある理由を代表らしきお店の人にお伺いした。
そしたらその方がHarmonica Creamsのメンバーのどなたかとお知り合いで、6月1日にこのお店でライブをやるっていうのよ!
お誘いを頂戴したけど、6月1日はMarshall Liveでイギリスに行っているし、例え日本にいても東京から来るのはちょっとシンドイんですよ~、と答えると、「え!東京からいらしているんですか?」と今度は向こうがビックリしていた。
これでおあいこ。

610

200_2 
(一部敬称略 2019年4月5日 高円寺JIROKICHIにて撮影)

BARAKA 600回目公演

  
ゴメンなさい!
まずは素直にお詫びから…。
…というのは今日のレポートの掲載が大幅に遅くなってしまったから。
BARAKAの600回目を記念するライブだったっていうのに…。
開催は3月20日。
もう3か月以上前なの。
その頃はD_Driveのニュー・アルバム発表や渡英の件で、毎日様々な仕事が山ほどイギリスから送られてきて、テンテコ舞いしていた時分でMarshall Blogの制作に時間が割けなかった事情があったのです。
しかし、ナゼD_Driveの名前をココで平気で出すか…。
実はですね、依知川さんをご紹介頂いたのはD_DriveのSeijiさんなのですよ。
Seijiさんは、依知川さんがEDENプレイヤーで、しかも演っている音楽が私の好きなプログレッシブ・ロックということで間を取り持ってくれたのです。
でも、最初にお会いした依知川さんはベーシストの依知川さんではなくて、書道家の「依知川風人」さん。
その時の様子がコチラ⇒芸術の春・依知川風人の世界~ASAKUSA COLLECTION vol.2から

その後、500回目の公演を迎え、20周年記念公演を開催し、そして遅くなっちゃったけど、今日レポートするのが600回目の公演というワケ。

10高見一生

20v依知川伸一

30v平石正樹

40vオープニングはBARAKAのキラー・チューン「Butterfly」。

50会場の空気を切り裂くギターの轟音!

60v一生さんのMarshallは創業35周年を記念して1997年にリリースされた1959のハーフ・スタック、通称「White Special」。

70v続けて手拍子とともに「The River is no More」。

80一糸乱れぬ3人の完璧な演奏で起伏に富んだドラマが展開する。

90

100

110「皆さんこんばんは!60回目目のライブです。前回ココで演ったのが500回の時でした。
バンドは22年目を迎えました。
2月にはまたクルーズに行ってまいりました。今日は凱旋的な意味もありまして、もちろん600回目という記念ライブですのでタップリと楽しんで下さい!」

S41a0061 MCの後は3曲メドレー。
ドラマ性に富んだ長い曲が多いBARAKAの「3曲メドレー」!
コレが600回目の気合いだ!

120まずは「Waves」。

140v緩急自在にバンドの低音域を固める依知川さん。
そして、どうしても毎回書きたくなるのがこの毛量。このバンドは皆さん、とてもフサフサでうらやましい限りだが、依知川さんはケタが違う。
こんなに毛が多いと手入れがかなりなハズだ。
そこいくとラクですよ~、少ないと!

180vメドレーの2曲目は「Atlantic」。

150冴えわたる一生さんのギター。
こういうプレイを「天衣無縫」っていうんだろうね~。

160また、いかにも「1959とストラトキャスターのコンビネーション」的なサウンドが素晴らしい。

170v足鍵盤の競演!

210一生さんも依知川さんも器用に手と足を動かしてトリオ編成の可能性を極限まで追求しているのだ。

220依知川さんはそれにリード・ボーカルズだからね~。
ギャラの配分は存じ上げません。

200vメドレーは「Vampire」から「Waves」に戻り幕を閉じた。

230「ありがとうございます。
我々は好きで演っているワケでして、いい意味で600回を達成することができました。
こうやってココまでこれたのも応援して下さる皆さんがいらっしゃるからこそです。
積み重ねてきた音を聴いて頂こうと、10年ぶりに『Vampire』を演ってみました。今までの曲にまた息吹を吹きかけて取り上げていきたいと思っています」
MAXさんからトラブル続きだったクルーズの思い出話を交えてご挨拶があった。

0r4a0106 大作「Queen Medley」。
しかし、BARAKAは時代を先取りしてたね~。
私は映画は支持しないけど、Queenの音楽はいいと思っているのよ。
今月またアールズ・コートのフレディの家に行って来たぐらいなんだから。
その模様は近々『名所めぐり』でレポートしますのでお好きな方はお楽しみに!

130v次から次へと繰り出すQueen節。
でも、サウンドは完全にBARAKA節だ!

190v依知川さんから5月末から6月上旬にかけてのヨーロッパ・ツアーの告知があった。
今回のツアーはフランス、リトアニア、オーストリアを回られた。
リトアニアの滞在中にオフがあることより、「杉原千畝」の記念館について言及されていた。
時折テレビで取り上げられるようになったことよりご存知の方も多いと思うが、杉原千畝は「日本のオスカー・シンドラー」と呼ばれる戦時中のリトアニア大使で、ナチのユダヤ人迫害に抵抗し、日本へのビザを発給して約4,500人の命を救った人。
その約4,500人の内、約2,000人がポーランド系ユダヤ人だった。
チョットごめんなさいね、依知川さんが杉原千畝の名前を出すもんだから…と言っても私は杉原千畝に詳しいワケでは全くなくて、ただ最近こういう本を読んで大きなショックを受けた。
ナチの迫害を受けたもののナントカ生き残った方々の証言集。
スゴイよ。
人間が、同じ人間にどうしてこんなことができようか?…というナチの狂気の所業が山ほど詰まっている。
特にポーランド系ユダヤ人への迫害が凄まじい。
最近、イギリスにしばらく行っていて、現地でも思ったんだけど我々日本人はもっと歴史を勉強しなきゃダメだとつくづく思うね。
それも鎌倉、室町、戦国なんかじゃなくて、江戸末期からを徹底的に学校で教えて、多くの時間を太平洋戦争周辺に費やすべきだと思ってるんだよね。

5_2hc 「もう1曲カバーを演奏します」…と取り上げたのもまさしくBARAKA節へと変貌を遂げたマックス・ミドルトンの「Led Boots」。

240「自由奔放」とか「自由闊達」をテーマにしているとしか考えられないBARAKAアレンジ。
スリルのカタマリのような演奏はジェフ・ベックが聴いたら驚くか、怒るかのどちらかしかないだろう。

240v「エイ!お前ら元気か?!
この時期、元気じゃなきゃアカンで!」
ナンでやねん?!
一生さんからメンバー紹介があった後、「残りの人生、身体が動くウチに何でもやっておこうかと思います」
ココからがスゴかった!
「カルマ?……
輪廻?……
リンナイ?……ガス台!
ニトリのガス台を買ったけど、火が弱いね。やっぱりリンナイがいいね!」
そして、ちょうどこの日が誕生日の一生さんは「森のクマさん」を交えて自分で自分に「♪Happy birthday」をプレゼントした。
このあたりは一生さんならではの展開。

270本編の最後はMAXさんをフィーチュアして「Bharmad」。

5_s41a0286最後の最後にドラム・ソロを持って来るのはドラマーさんが大変だといつも思うんだけどね~。
でもMAXさんには「そんなのカンケエねぇ!」ですな?
緻密にかつパワフルなドラム・ソロを披露。

5_s41a0279メドレーが2曲入ったにせよ全6曲。
コレがBARAKAのステージ!
濃密な演奏にお客さんも大満足。

250バースデイ・ケーキ登場!

5_s41a0308当然ローソクを吹き消して…

5_s41a0319メンバーにおすそ分け。

5_s41a0332このバンドは本当に皆さん仲がいいな~。
みんな毛もあるし。

5_s41a0336ケーキを頂いたところで「The Beatles Medley」。
280コレもスゴい展開に耳を奪われてしまう。

5_s41a0321

300

5_s41a0273 最後に一生さんが「Little Wing」を演奏して600回目の公演を終了した。
600回達成おめでとうございます!
 
BARAKAの詳しい情報はコチラ⇒BARAKA offcial website

5_s41a0346 

200 
(一部敬称略 2019年3月20日 吉祥寺シルバーエレファントにて撮影)

2019年6月22日 (土)

D_Drive Showcase Live in London


「シゲ、申し訳ない…悪い知らせがあるんだ」と、facebookで電話をして来たのはMarshall Recordsのピーター。
まだD_Driveがイギリスにやって来る前の話。
ピーターと2人でD_Driveを迎える最終準備をしていた時のことだ。
当初6月4日に予定していた音楽ライター諸氏を招待してプライベートでD_Driveの演奏をお披露目する「ショウケース・ライブ」がキャンセルになったというのだ。
理由は会場に定められていたカムデン・タウンのDr. Marten'sのライブハウスのライブ・コーナーが急遽閉鎖されることになったから。
2日まではカムデン・ロックス・フェスティバルの会場のひとつとして使われる予定なんですけどネェ。
ま、ジタバタしたところでどうにかなるものでもない。
「今回のD_Driveの公演はMarshall Liveとカムデン・ロックス・フェスティバルの2回か」…と覚悟していたら、翌日またピーターから電話が入り、「当初の予定通り、場所を変えて4日にショウケース・ライブを開く」と言って来てくれたのだ。
ありがたい!
ピーターでかした!
場所はNotting Hill(ノッティング・ヒル)の「パイレート・スタジオ」。
ノッティング・ヒルはロンドンの西の方。
すぐそばのLadbroke Grove(ラドブローク・グローブ)というところにJethro Tullの『Aqualung』やLed Zeppelinの『IV』等の超名盤の数々を録音したスタジオがあるのと、ジミ・ヘンドリックスが嘔吐物を喉に詰まらせて窒息したホテルが近くにあって、このあたりには一度だけ行ったことがある。
ま、それよりも「Portbello Market(ポートベロー・マーケット)」というロンドン最大級のマーケットが開かれる場所としてよく知られている。
下はその時の写真。
もう11年前のことだわ。

5_img_0501 それと何と言ってもこの街の名前を有名にしたのはこの映画でしょう。
恋愛映画はガラに合わないので最後まで観たことはないんだけど、「ノッティング・ヒル」と聞くとどうしてもジュリア・ロバーツの姿がアタマに思い浮かぶ(私はファンではありません)。
そんなイメージを自動的に抱きながら、ピーターがくれた情報を元にタクシーで行ってみると…

30v こんなところ。
ジュリアはどこに?どころかスゴイ廃墟感!
ハッキリ言ってコワイ。

10でもココが間違いなく今日の現場の「Pirate Studios(パイレート・スタジオ)」。

20コレが完全に無人のセルフ・スタジオなの。

40D_Driveの皆さんも最初はビックリ。

45こんなの日本じゃ到底考えられないからね。
電車の高架下のスペースを利用して、20室近くを構えているんだけど、スタジオの従業員人が全くいないんだよ。

50運悪く雨風が強いのにかなり早く着きすぎちゃった。
待ち時間を利用して取り敢えず記念撮影。
実はこの時、タクシーに料金を支払って車を降りて、しばらくして携帯がなくなっていたことに気が付いた。
ズボンの後ろポケットに入れておいたハズなのに…ない!
バッグの中にもない!
アセッたね~。
今回、渡航前に体調を壊すわ、ヒザは痛いわ、ロンドンに出て来てパスポートを失くしかけるわ…とご難続きで「とうとうやっちまったか!」と覚悟をキメたところ、さっき乗って来たタクシーがスタジオの前の道を通り過ぎた空き地に車を停めて休憩していたのを思い出した。
タクシーの中で携帯を使ったので、もし失くすとしたらタクシーの中しかあり得ない。
痛いヒザを庇いながら、大急ぎでそのタクシーまで行って車内を調べさせてもらった。
あのロンドン・タクシーの客席は後部の入り口のところのイスが折りたたみ式になっているんだけど、その隙間に私の携帯が挟まっていたのだ!
助かった~!
運転手さんに休憩していてくれたことにお礼を告げて無事携帯電話を回収してきた。

55このスタジオ、調べてみるとロンドンに3店舗を構えている他、色々なタイプのスタジオをイギリス国内だけでなく、ベルリンやニューヨークにも展開している大手さんだった。
チョット前の回にも書いたけど、イギリスはナニをやるんでもインターネットとカード決済。
このスタジオももちろんインターネットで予約をする。
入り口とスタジオのドアには番号式の錠が付いていて、予約をするとその暗証番号が送られて来、それを使って出入りをする。
恐るべき自主性。
だから番号を控えないでウッカリ外へでてしまうと、誰かが中からドアを開けてくれるまで入れなくなっちゃうの。
その暗証番号も定期的に変更するんだろうね。
60ピーターがD_Driveの機材を持ってやって来てくれた。
さっそく記念撮影。
Seijiさんも大きいけど、ピーターってこうして見るとメッチャデカいな。

65無人ゆえ、スタジオ使用に関するルールが記された注意書きがそこら中に張り出されていた。
イギリスならではのことが書いてあれば面白いな…と思ってひと通り読んでみると、ナニナニ…
1. お客様がスタジオをお使いの間は、施設並びに入場者に関する全責任を負って頂きます。
2. 喫煙、電子タバコの吸引は絶対的に禁止します。もしお客様やお連れの方がこの規則を破った際には£50(7,500円)の罰金をお支払い頂きます。
もし、喫煙により火災報知機を鳴らしてしまった場合の罰金は£100になります。

わたしなんかフィンズベリー・パークのホテルに滞在した時、電気ポットの蒸気でレトルトのお粥を温めていたら、建物中の火災報知器が鳴っちゃってホテルのお姉さんにコッテリ絞られたっけ。幸い罰金はなかった。
で、後は「飲み物を電気機器の上におくな」とか「キレイに使え」とかマァ当たり前のことが書いてある。
日本で今のところ見かけない注意書きといえば…
 
3. ドラッグを服用してはいけません。我々のセキュリティ・チームがCCTVを使って24/7(毎日24時間)監視していることをお忘れなく。

 
…ぐらいか。
そうか、イギリスは世界一防犯カメラのネットワークが発達している国だもんね。
防犯カメラがスタジオの店員みたいなものなんだな。

70vスタジオにあったゴミ箱2つ。
習慣とは恐ろしいモノで、ゴミの分別の方法が日本と異なることにどうしても戸惑ってしまう。
日本みたいにやれ「缶」だ、「ビン」だ、「燃えるモノ」だ、「燃えないモノ」だ…なんて分別はしない。
「使い捨て」か「リサイクルできるか」だけ。
大人だね。
なんてことに関心していたら「日本の方ですか?」と若い男性が日本語で話しかけて来た。
言葉の抑揚とルックスで、すぐに韓国の方だとわかる。
何でもロンドンの北東のカレドニアン・ロードにお住まいでバンド活動をしており、このパイレート・スタジオを利用しているという。
「イヤ~、このスタジオで日本人を初めて見ました。ビックリしてつい声をかけちゃいました!」だって。
とても上手な日本語。
それじゃってんでD_DriveとMarshall Blogを宣伝させて頂いた。
すると「じゃボクも自分の宣伝をさせてください」と自分のバンドについて説明してくれた。
こういう交流は楽しいもんですな。

75時間になって部屋が空き、D_Driveの皆さんはさっそくセッティングとリハーサル。
ピーターが外へ出るというので、私も家内を連れて遅い昼食の買い出しに…ったってどうせまたサンドイッチとWalkersのポテチだけどよ。
 
Walkersについてはコチラに書いておいたので興味がある方は是非ご覧あれ⇒ベトナムへ行ってきた!~私のホーチミン vol.4

80ピーターにくっついて裏口から外へ出る。

90するとすぐに現れたのが地下鉄ハマースミス&シティ線、あるいはサークル線の「Latimer Road Station(ラティマ―・ロード駅)」。
ノッティング・ヒル・ゲイト駅ではない。

100タクシーで来る道中、以前この辺りに来たことgがあることに気づいた。
すぐ近くに「White City(ホワイト・シティ)」というセントラル線の駅がある。
駅の目の前にドデカいBBCの設備があるところ。
そこに行った理由は、ジム・マーシャルの生家を訪ねるためだった。
ジムの生家がココから近いことはピーターも知らなかったナ。
 
興味のある人はコチラをどうぞ⇒【イギリス‐ロック名所めぐり vol.2】 マーシャルの生まれ故郷<後編>

110ま、東京も似たようなモノだけど、ロンドンも中心地を少しハズれると様子が変わってみんなこんな感じ。

120ピーターが教えてくれたのは駅前のCOOP。「生協」ですな。
ココにあったんですわ。
私の好きな「クラシック・マスタード・ハム・サンド」。
パンにバターとマスタードをタップリ塗りつけて、ハムを挟んだだけのシンプルなサンドイッチ。
コレって私にとって「お母さんのサンドイッチ」なの。
私の母は兄弟にプロのコックが何人もいる料理名人なんだけど、子供の頃好き嫌いが多かった私のために作ってくれたサンドイッチがこの味だった。
ま、マスタードは塗ってなかったけどね。
お母さん、イギリスを先取りしてたんだナァ。
以前はコレを同じモノをTescoで売っていたんだけど、今はなくなってしまって残念に思っていただけにこの時はうれしかったね。
コレにオカズ代わりのWalkersのポテチ(イギリスでは「クリスプス」という)と飲み物を買ってスタジオに戻った。

130ココも高架下が貸店舗みたいになっていたけど、テナントなんて一軒も入っていなかった。
きっと昔はもっと賑やかだったんだろう。

140vスタジオの裏口。

150定刻になり、まずはMarshall Recordsのスティーブ・タネットからご挨拶。
お客さんはウェブマガジンのライターさんたち。
タネさんのD_Driveに賭ける思いが語られ、「Ladies and gentleman…D_Drive」と静かにバンドを紹介した。

170Seijiさんの弾くリフからスタートしたのは「M16」。
3日前の「Marshall Live」と同じチョイス。

180Seiji

190vYuki

200vToshi

210vChiiko

220vギター・チームは2人ともピーターが用意してくれたJVM410Hを使用。
残念ながらSeijiさんのキャビは1960ではなく、現地調達の他社品。

230YukiちゃんはJVM410Hと1960A。
何じゃコリャ…?
音抜けがゼンゼン違う。
ヘタすりゃマスター・ボリューム2目盛りぐらいの差が出てるんじゃないの?
やっぱり恐るべしMarshallキャビ!

280_lrライターさんたちが食い入るように見つめる中、パイレートでも銃撃戦!

240続けて「Cassis Orange」。
コレもMarshall Liveと同じ展開。
アタマの4人のソロ回しをキメてスムーズに1曲仕上げた。

0r4a0212

250v

0r4a0342

0r4a0303 YukiちゃんのMCを挟んで「Lost Block」。

250_lb何度かMarshall Blogでも紹介したイギリスのウェブ・マガジンの『Metal Talk』でインタビューを仕込んでくれたライターのアンディ・ロウルが開演前に私に訊いてきた。
「シゲ、今日は今回まだ演奏していない曲をプレイするのかい?」って。
アンディは手の込んだインタビューを仕込んで来るだけあって、D_Driveのことが本当に好きで『Maximum Impact』をかなり聴き込んでくれているようだった。
「今日は'Lost Block'を演るよ」と答えるとガッツ・ポーズをしていた。

260v今回はギターを1本ずつしか持参しなかったのでDチューニングの曲ができなかった。
アンディみたいな人にはD_Driveの単独公演をジックリ楽しんでもらいたいよね。
きっと近いうちにイギリスでも観れるようになるでしょう!

270vそして「The Last Revenge」。
290v次から次へと飛び出すジョウ・ドロッピングなパフォーマンスにライターさんたちはタジタジ!

260最後は、つまりイギリス最後に演奏した曲は「Attraction 4D」だった!

300_4dやっぱり人気のシングル・カット曲。

310Chiikoちゃんも汗ダク!
実際、スタジオの中がものスゴイ暑かったのよ!

0r4a0372_2 イギリス最後の激演!

315そんな演奏を一番温かく、そして厳しい目で真剣に見ていたのは…誰あろうタネさん。
いつもガハガハと豪快に笑い飛ばす愉快でダイナミックな人だが、実はかなりマジメで物事の分別を付ける人だ。
終演後D_Driveと私を前にして、ライターさんたちからの好反応を喜び、熱演を大絶賛し、そして心の底からD_Driveを褒めたたえてくれたが、私の存在意義やビジネスについてキリリとしたひと言があった。
さすが業界での長年のキャリアを誇るプロフェッショナル!

310v今日もカッコよく「4Dった」ところで、イギリスでの初演奏をすべて終了した!
終わっちゃった~!

330…と思ったらライターさんたちが盛大にアンコールをしてくれた!
ナニを演ろうか…という間もなく、さっきのアンディから「Unkind Rain!」の掛け声がかかり、演奏することに!

340_urそして、コレが本当にD_Driveの初イギリスの最後の曲となった。

350v

360v

370v

380vハイ、ココで「ロック英語」のお勉強。
この「Unkind Rain」の熱演に感動したアンディがピーターにこう言ったのを私は聞き逃さなかった。
「It's really wingy!」
この「wingy」ってナンだと思う?
私もわからなかったのでピーターに教えてもらった。
ナント…この「wingy」って「Little Wing」の「wing」から来てるんだって。
つまり「Little Wing」っぽいということ。
もちろん「マネしてる」とか「パクってる」とかいう意味ではなく、「あの名曲級」のようなことを意味するすごいホメ言葉。
こういう英語は住まないと一生身につかないね。
今回、私もサンドイッチとポテチだけで3週間暮らせることがわかったので、半年間ぐらい住んでもう1回英語の勉強したいナァ。
それとアンディは「breathtaking(ブレステイキング=息を飲むような)」という言葉を使っていたな。
意味はもちろん知っていたけど、外人が本当に使うのを初めて聞いた。
きっと日常生活ではあまり使われないビッグ・ワードのひとつなんだろう。
それだけD_Driveの演奏がBreathtakingだった…ということだ。

390そのアンディと記念撮影。

400同じく「メタトー」のカーメルと。

410_3  このオジちゃんはピーターが大量に持ち込んでいたMarshallビールを上演中に私にパスしてくれた。
ビールは常温。でもおいしい。
メンバーからCDにサインをもらって喜んでいる脇から、「写真は全部私が撮ったものなんですよ」と言うと「写真か?撮ったのか?」みたいに爆笑していた。ナンでじゃい!

405他のライターさんとも写真を撮った後は…タネさ~ん!

420渡英前の音源や商品の制作に始まって、今回カムデンやこのショウケースのブッキング、機材の準備や運搬、リハーサル場所や移動手段の手配、ディナーのセットまでありとあらゆる面で我々の面倒を看てくれたMarshall Recordsのピーター・キャップスティック。
ピーター、本当に色々とありがとう!

430この後、ホテルに帰ってD女子チームとパブで打ち上げ。男子チームは自由行動。
この辺りの様子はまた別の機会に!

440こうしてD_Driveの初のイギリスでの演奏がすべて終了した。
あんなに先のことだと思っていたのにホントにアッという間に終わっちゃった!
アルバムのセールスが順調に伸長してまたすぐに行けますように…。
ということで、D_Driveの世界デビュー・アルバム『Maximum Impact』はMarshall RecordsからCDとLPで好評発売中です!
 
D_Driveの詳しい情報はコチラ⇒D_Drive Official Web Site

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200 
(一部敬称略 2019年6月4日 ロンドン ラティマ―・ロードにて撮影)

2019年6月21日 (金)

Marshall Live Highlights

 
イカン!Marshall Blogでコレを紹介するのを忘れていた!
イギリス本国のウェブサイトで先日のMarshall Liveのハイライトがビデオ付きでレポートされていますのでゼヒご覧あれ!

5_wrmb_2  
冒頭の箇所ね、大体こんなことが書いてある…
 

すべてを蹴散らすたくさんのリフを持ち込んだ日本のロッカー、D_Driveのバンド史上初となったイギリス公演の前に、当日はメイン・ステージでの演奏のチャンスを狙うディスカバリー・ステージの8つバンドの熾烈な争いでドカンと幕を開けた。
前日にデビュー・アルバム『Maximum Impact』をリリースしたD_Driveのパフォーマンスは地球上で大きな評判を確立させるウィ二ング・ランとなった。
 
何とマァ大ゲサな!
でも、D_Driveを初めて見た人たちはホント、くちアングリだったよ!
 

Marshallの本国のウェブサイト・ページはコチラ⇒Marshall.com
 

200

 

Camden Rocks Festival <後編>~ D_Drive

 

リストバンドと一緒に配布されるフェスティバルのブックレット。

10その表4に掲載されている会場の案内図。
赤丸が会場の位置を示している。
昨年は1日のみの開催であったが、ことしはそれを拡大し、2日間、20ヶ所で400のバンドがフェスに参加するという。
地図の右下から左上に向かって走っているのがカムデン・タウンの目抜き通り「Camden High Street」。
イギリス英語では「メイン・ストリート」のことを「ハイ・ストリート」と言う。
カムデン・ハイ・ストリートは昨日紹介したカムデン・ロックがある「Regents Canal(リージェント運河=アレは川ではありません)」を境に「Chalk Farm Road(チョーク・ファーム・ロード)」に名前が変わる。
それをさらに北上すると地下鉄のチョーク・ファーム駅の手前に現れるのが、昔の汽車の操車場を利用した「Roundhouse(ラウンドハウス)」という超有名なコンサート会場。

20コレね。
この写真を撮ったのは2011年だっていうからカムデンに来たのは8年ぶりのことだわ。

S_img_1627さっきのブックレットに戻ると、会場となるデヴォンシャー・アームズのトリとしてD_Driveの名前がチャンと出てたわ…当たり前か。

S_bookletそして表3にはカムデン・ロックス・フェスティバルに出演するMarshall Recordsのアーティストの出演時間と会場の一覧が掲載されていた。

40セッティングをサササと済ませ、ステージに立ったD_Driveの4人。
転換の時間に余裕を持たせているせいか、定刻通りのスタート。
アレほどコワいと思っていたお店の人たちだったけど、コレが「超」がつくほど皆さん親切!
お願いしたことを何でもすぐに気持ちよく対応してくれる。
そして、後は照明がつくのを待つだけ…と思ったら本番でこの明るさ。
く、暗い!
ライブ撮影人生で十分に最暗!

50Seiji

60vYuki

70vToshi

80v後にChiiko。
この明るさだとChiikoちゃんは写らんぞ!

85v今回のオープニングは「Hyper Driving High」。

90そして「Cassis Orange」へ。

100vD_Driveのことを知っていて駆けつけてくれたお客さんもいてノッケから雰囲気は最高!

0r4a0399 このノリノリ感は日本のライブにもゼンゼン引けを取らないぞ!

130しかし、それにしても暗い!
さっきのKing Creatureの会場もそうだったけど、そもそもパブなんて所は元よりかなり薄暗いのが普通だからね。
そこへ細いLEDのライトでステージを照らしているだけだから暗いにキマってる。
D_Driveの状態もHighだけど、私のカメラのISOもHighの頂点だ!

120v曲は前日の『Marshall Live』のオープニングを飾った「M16」。

140お客さんの目はスローモーションの銃撃戦のシーンにクギ付け。
写真がなくてすまんのう…撮れんのじゃ!

150_2カムデン・ロックスでもMCを英語でバッチリ決めて見せたYukiちゃん。
え、写真が違うって?…撮れんのじゃ!真っ暗で!

155ええい!もうダメだ。
ということでカメラ内蔵のストロボを使うことにしたぜ!
Seijiさんのイントロから…

160vバラードの「Unkind Rain」。
お客さん、ジックリ聴いてたなぁ~。

180vハイ、見えました、Chiikoちゃん!

170続けて「Attraction 4D」。

210アルバムに先行してシングル・カットされた曲だけにやっぱりウケが良い。
イヤ、この日は全部バカ受けだったけどね。

200この日、フェスティバルのルールで機材の移動ができなかったため、下手に立って上手にあったベース・アンプを鳴らしたToshiくん。
それでも何ら問題なしの大熱演!

230vイヤ~、それにしてもモノスゴイ反応!
後の人は人垣でステージが見えないもんだからイスの上に乗って楽しんでいたよ。

190MCを挟んで次の曲。
おお~っと、YukiちゃんがそのMCで紹介したのは「Mr. Rat Boots」。

240ドライブしまくるChiikoドラムス!

250v実はこの曲は最初セットリストに入っていなかったの。
でも、あまりのウケのよさに急遽取り上げることにして…

260Toshiくんフィーチュア。
何だか知らんが、とにかくスラップ・ベースがウケるのよ!

270vToshiくん曰く、「ボクが大好きなLevel 42の国だからじゃないですか?」って…知らんけど。
アレ、UB40だっけか?…知らんけど。
しかし、よ~ウケとるナァ。

280もうショウは最終セクション。

290まずは定番の「The Last Revenge」。

300そして、イギリス2回目のライブの〆には「Over REV」を持ってきた!
4人は汗まみれの大熱演!

310v

320v

335

340イヤイヤ~、オジちゃん今日も感動してしまったよ!
だってもう、スゴイ歓声なんだもん!
鼻タカダカでした。
お客さんはD_Driveの音楽を聴いたことのない人方がほとんどだったハズ。
それを一発でこれほど夢中にさせてしまったD_Driveの音楽。
やっぱりターゲットは世界だった!

350煮えたぎった客席からは割れんばかりの「アンコール」!
「punctual(時間厳守の)」は日本人の美徳…ほんの1~2分を残してステージを終了させたD_Drive。
私がお店の責任者に目をやると、ニコニコと頷きながら「もう1曲どうぞ!」という仕草。
この会場のトリということもあってアンコールに応えることになった!
ね、ココのスタッフさん、徹底的にいい人たちなのよ。

360アンコールに選んだのは「Drive in the Starry Night」。

370

380v

390v

400もちろんロンドンでもこのフォーメーション!

410カムデンも終わっちゃった~!

420「やりきった感」満タンの4人。
昼間、初めてココに来た時は正直どうなるかと思ったけど、燃えたよね~!

430お客さんも大喜び!

440みんなうれしそうな顔!
握手を望むお客さんが全く後を絶たない。

450会場に足を運んでくれたMarshallのジョン社長と!
この大盛会ぶりにジョンもご満悦。

460そしてMarshall Recordsの親分、スティーヴ・タネットと。
タネさんも大満足!
何しろMarshall Blogを通じてD_Driveをヨーロッパに紹介した張本人だからね。
タネさんもこの大ウケを確信していたに違いない。

470そしてD_Driveの4人。
お疲れさまでした~!
残すは2日後のライターさんをご招待してのショウケース・ライブ。
シッカリね!

480D_Driveの世界デビュー・アルバム『Maximum Impact』はCDとLPで好評発売中です!

MiD_Driveの詳しい情報はコチラ⇒D_Drive Official Web Site
 
さらばカムデン!
また当分来ないかもよ…と言いたいところだけど、イヤ、別段言いたくもないんだけど、またすぐ来るかも。
何でもこのD_Driveのウケようはフェス全体でもかなりのレベルで、主催者が来年は放っておかないぞ…という話もタネさんから聞いた。

490 

200 
(一部敬称略 2019年6月2日 ロンドン カムデン・タウンにて撮影)

2019年6月20日 (木)

Camden Rocks Festival <前編>~ King Creature & D_Drive

  

6月2日。
朝9時にMarshall Arenaがあるミルトン・キーンズを出発してロンドンに向かった。
行き先は大英博物館にほど近いRussell Square(ラッセル・スクエア)のホテル。

10到着したのはこれから数日間お世話になるPresident Hotel(プレジデント・ホテル)。
このホテル、何と客室にエアコンが付いていない。
着いた日は結構暑かったけど、窓を開けて風が入って来ればそれなりに涼しい。
で、イギリスの家って網戸がないんだよね。
もっとも真夏でも窓を開けていられないぐらいの冷気になるので夜間に窓を開けておくことはないにしろ、開けておいても平気。
イギリスには蚊がいないから。
Marshallの社長はかつて「地震は経験はない。蚊も見たことがない」と言っていたっけ。
20このホテル、ロビーにビートルズのポートレイトがいくつか飾ってあるんだよね。
私はすぐにピンと来ましたぜ!
詳しくは後日『ロック名所めぐり』で!

Img_9005 Southampton Row(サウザンプトン・ロウ)の向かいにあるのがこのラッセル・スクエア。
いいよね~、街中にこういうのがあるって。
5_img_9561コレで夜8時ぐらいだからね。
明るいウチはこうして公園でくつろいでいる人がいる。

5_img_9564_2最寄りの地下鉄駅はPiccadilly Line(ピカデリー線)、同名のラッセル・スクエア。

5_img_9052 ところでこのSquare(スクエア)ね、イギリスの人は「スクワー」みたいに発音する。アメリカ人みたいに後半の「-are」の部分で舌を巻き上げたりすることはしない。
ウソだと思ったらThe Kinksの「Dedicated Folower of Fashion」という曲を聴いてみて。「In Regent Street and Leicester Square」のところ、「レスター・スクワー」って歌ってるから。
それよりもこの「Leicester」がわからない。
「Leicester」や「Gloucester」をどうして「レスター」とか「グロウスター」って読むんだろう…。 

30自動券売機でOyster Card(オイスター・カード)を買ってチャージする。
私が初めてロンドンに行った時は窓口でオジさん(あるいはオバさん)に口頭でオーダーした。あの頃はコレがイヤでね。
慣れないとこの機械がまたワケがわからん。
この地下鉄の自動券売機で厄介なのが、まず「カードしか使えない」とか「オツリは出ません」とか「£50は受け付けません」とか機械によって違うんだよね。
「Notes」なんて言ってるし…そんな薄い穴にノートなんか入るかよ!…と最初は思ったど(ホントは思っていない)、「Notes」とは「お札」のこと。
アメリカなら「Bill」ですな。
で、案の定使い方がわからずマゴマゴしていたら、この若い黒人の係員が助けてくれた。
愛想は決してよくないんだけど、とても親切なんだよね、こういう所の人って。
最後に「Where are from?」と尋ねてくるので「Tokyo, Japan」と答えると、しきりに「エネミー、エネミー」と言って来る。
「エネミー(enemy)」とは「敵」という意味。
そうかい、そうかい…かつては「鬼畜米英」とか言ってオマエさんとところと大ゲンカしたもんな。
…と思って(ホントは思っていない)、ハッと気が付いたのは、このお兄ちゃん「アニメ、アニメ」って言ってたの。
この後、幾度となく「日本のアニメ」の強さを思い知ることとなった。

40コレが改札。
そういえば地下鉄も国鉄も改札の機械が同じだったな…。
ちなみに地下鉄と国鉄が乗り入れている…なんてことはない。
アレは日本の発明で、国鉄のお師匠さんであるイギリスが日本に視察に来ていると聞いた。
でも日本の地下鉄の師匠はアルゼンチンだからね。イギリスではない。

70「ッシャ~!」
Seijiさん、無事に改札を通過。

50vChiikoちゃんも。

60vコンコースで出くわした広告。
オワ~!
コレ、絶対に見に行かなきゃダメなヤツじゃん!
で、行った…死ぬほどオモシロかった!
全部写真撮って来た。
詳しくは後日Shige Blogで。

65v地下鉄のサインのフォントについてウンチクを固めている私。
オリジナルは20世紀初頭にエドワード・ジョンストンという人が開発した。
2016年に今のこのフォントに更新されるひとつ前のモノは日本人デザイナーの手によるものだ。
興味のある人はコチラをどうぞ⇒【イギリス-ロック名所めぐり】vol.32~ハマースミスが好きだった <前編>

ひとり話を聞かずに写真を撮っている人がいますね…この人、今、人生でひとつ損をしましたね。

80ハイ、電車が来ました。

90Yukiちゃんから質問。
「シゲさん、どうしてロンドンの地下鉄の車両はこんなに狭いんですか?」
「よくぞ訊いてくれました!それは地下鉄の工法によるものなんです。地下鉄のトンネルを掘る方法は…(以下省略)」
人の話を聞くはYukiちゃんは、今では「ロンドンの地下鉄博士」になってます。

100ハイ、お隣の「Kings Cross(キングス・クロス)」で「Northern Line(ノーザン線)」に乗り換えて目的地の「Camden Town(カムデン・タウン)」に着いた。

110そう、今日は『Camden Rocks Festival』なのだ。
あんなに何回も宣伝して来て、まだまだ先だと思っていたけど、アッという間にその日が来ちゃった!

06sすんごい久しぶりに来たぞ、カムデン!
ゼンゼン変わってないな…というか、ゴチャゴチャしすぎていて少しぐらい変化があっても皆目見当がつかん!

150この辺りはまだ人が少ない方。

130「どんなところか」と訊かれて、東京式に説明するば「アメ横と竹下通りを足して100をかけたような所」と言うようにしている。
残念ながら私のような者が欲しいと思うモノはナニひとつないんだよね。

140でも、看板をはスゴイ。
見ているだけでオモシロイ。

145ね~!
アレ?コレは大阪だ!

5_img_4340洋服、アクセサリー、靴、タトゥー等々がギッシリと軒を連ねている。

160このライブハウスは有名ね。
ロンドンはライブハウスとかコンサート会場がドンドン減ってるんだって。この話はまた別途。
180v黒が基調のロンドン・タクシーもこんな具合。
この「Poppies」というのはフィッシュ&チップスのチェーン店。
チップスか…しばらくいいや。

165カムデン・タウンのシンボル…かどうかは知らないけど、有名な高架橋が見えて来た。

170Yukiちゃんのナビゲーションで今晩の会場へ向かう…すぐ着いた。

190写真では見ていたものの、どうも異様な雰囲気。

200vさすが元ゴシック・ライブハウス…「ホーンテッド・マンション」に見えなくもないぞ。

230店の前には迫力のある方々が昼間っからガンガンいっちゃってる。
写真には写っていないけど、イヤもう、入り口で番をしているオジちゃんがコワくて、コワくて…。
完全に「昔ヘルス・エンジェルス」みたいな感じ?
勇気を振り絞って話しかけると、最初はホンのチョットだけ「ナンダてめえは?」感があったけど、ゼンゼンいい人で、「フェスの係りが来るまで待っててチョ」みたいな?
その間、店内を確認しようといち早く中に入ると…ムムム、何とも異様なニオイ。
アレは日本にないニオイだね。
古いパブって必ず共通の独特なニオイがする(いいニオイではない)んだけど、それともまた違ってた。

240店先に貼ってあった香盤表。
え!D_Driveが最初?トリって聞いていたんだけどッ!
と思ったら、コレ、時間の流れと逆さまに書いてある。
D_Driveは予定通り、ヘッドライナーとして夜の10時にステージに上がる。

250v係りの人が車で待つことにする。
すると程なく担当者が現れてパスを持って来てくれた。
マーレコのピーターもやって来た。

260パスは出演ミュージシャンの分しか用意されておらず、スタッフ・パスとプレス・パスをもらいにフェスティバルの本部になっている近くのパブへ。
280チケットは£40か…5,000とチョット。

290見てコレ。
しかしね~、「Physical Ticket」だもんね。
もうイギリスはすべてがインターネットと携帯でコトが済むようになっちゃってる。
展覧会から、電車の座席から、レストランから、何でもかんでもインターネットで予約よ。
私はコレをそれほどいいことだとは思わないけど、もしこの状態が先進国の標準だとしたら、日本はオッソロシク遅れてるとしか思えない。
カード決済も同様。
イギリスの人は£1の買い物でもカードだもんね。「Cash or plastic?」とか言ってお店の人もゼンゼン平気。

300そしてゲットしたのがこのパス。

5_0r4a3114そして、行き先も告げられずピーターの後に付いて移動。
途中でバッタリ出くわしたのがこの人。
サムといって、D_Driveをヨーロッパ中のメディアに紹介してくれている良き協力者。
昨日、またデンマークからのインタビューを持って来てくれた。

310その前はコレ。
ドイツ全土に流通しているオーストリアの『SLAM』という音楽誌。

5_slam タイトルにある「Japanische Gitarrenvirtuosen」というのは「日本のギターの名手」という意味。
後はドイツ語なんでサッパリわかりません。5_slam3 『Maximum Impact』のアルバム・レビューもバッチリとホメてもらっている!…ということにしておこうじゃないか!

5_slam2_2ピーターが連れて行ってくれたのがココ…へ?…教会?
まさか懺悔してってか?

320なんか、「テメエ、放課後、教会の裏で待ってるゾ」…みたいな。
324_1妙なところにイスが置いてある。
「一体、ナ、ナンやねん」不安そうなD_Driveの3人。

325奥の小屋に呼ばれる。
ナンダ、ナンダ、ナニが始まるんだ?

5_img_4703 フェスのTシャツにサインをしてくれというのだ。

330メンバー4人全員でサイン。

340向こうの人もこういう時は遠慮するのか、真ん中がボッコリ開いていたので容赦なくD_Driveの4人のサインで埋めてやった。

350サインが済んだらさっきのイスに戻って撮影のテスト。

360そうなの。
Camden Rocks Festivalに出演するアーティストのインタビューの撮影なの。

370v話は聞いていたんだけど、まさかこんな場所とは!

365それがですね~、Yukiちゃんの表情でおわかりでしょう。
答えようがないスゴイ質問ばかりなんですわ。
「アナタにとってカムデンとは?」
「……」
そんな、数分前に生まれてカムデン・タウンに来たばっかりなんだから…知らんがな!

380仕方ないので「They have never been here before and just arrived some minutes ago.  They are finding Canmed from now on」ぐらいに言って乗り切った…イヤ、乗り切らなかったかな?
笑っちゃったのはコーヒーを持ってココに入って来たお兄ちゃん。
「コーヒーいかがですか?」と訊いてくるので、私はココの人かと思って「コーヒーは結構です。水を頂けませんか?」と答えると、「スイマセン、コーヒー屋なんですけど」っていうワケ。
このお兄ちゃん、ココにコーヒーを配達して、ついでに他の人たちからオーダーを取って帰ろうとしてやがんの。
シッカリしてるよ。

385ま、それでも最後は「Camden Rocks yeah!」でキマり!

390せっかくのカムデン・タウンなのでアー写めいたモノを取ろうとしたんだけど…

400暑い上に風が強く、また人が多くてどうにもならんかった。
それに日本より日差しが強いのかな?
メンバーさんたちがまぶしがっちゃって撮影にならん。
失敗でした、ハイ。

410次の集合は機材搬入の夜8時半なので、それまで自由時間とした。
私は夜に備えてホテルに帰ってひと休みすることに…。
その前にハラごしらえ…というのはメッチャいいニオイしてくるんだもん!

420いいニオイの元はコレかな?

430コレはサイクーだった。

440ホットドック…デカいくておいしそうなんだけど、バゲットを焼いていないのと、イギリスのウインナーは信用がおけないのでコレはパス。

450Chiikoちゃんと家内はメキシコ人の売店でブリトーをチョイス。
「Beef or chicken」が聞き取れず。チャンと英語しゃべれ!
私はこのハンバーガー。£10だからコレで約1,500円。高いでしょう?
でも、1個ずつパテを焼いてくれて、チップス(フライド・ポテト)もその場で揚げてくれる。
だからマズいハズはない…と言いたいところだけど、普通だった。
まだこの頃はポテト・フライをおいしく食べることができたな。
何しろしばらくイギリスにいて、日本に帰って食べたくないモノはダントツでポテト・フライよ。
揚げるか茹でて潰すか…ホントにポテトばかりだから。
5_img_8938 モノすごい行列だったのは韓国のBTSというグループのショップ。
この週末、ウェンブリー・アリーナでコンサートがあった。
Yukiちゃんが並んでいる日本人に話を聞いたところ、日本でチケットが取れなかったのでロンドンまで来ちゃったとか…コレこそBlimey!
好きなバンドを追いかけて東京から札幌へ行くのとはワケが違うぞ!

460久しぶりに来たのでホンの少しだけ覗いて行くと…お、Marshall!

470v「Free Photobooth」だって。
Marshallのフル・スタックを背景に記念写真を撮りましょう…というワケ。
とてもいいことですな。

480どこがコレをやっているのかと思ったらクツ屋のDr. Marten'sだった。
Marshallと仲良しなのです。

490一方外では…

500名物「Camden Lock(カムデン・ロック)」が稼働していた!
何度もマーブロで書いているけど、「lock」というのは「閘門(こうもん)」ね。
閘門というのは水位を調節するための堰のこと。

505まずは低い水位にいる観光船を閘門の中に入れる。

525お、今回は2艘同時に通すぞ。
船を閘門に入れると低い水位側の水門を閉じて、徐々に高い水位の方から水を槽に流し込む。

510100%人力。

520槽に水が流れ込んで来ると当然、水位が上がっていく。

530見物客がたくさん!
私もコレが好きなのです。

540ホラ、ドンドン上がって来た!

545水位が同じになると…

550そして高かった水位側の水門を開けて船を通過させる。

546出口側も当然人力。

547もう一艘のナロー・ボートも出て行った。
船が出て行った後は低い水位の方の水門を開けて、槽の中の水を出して次の船に備えというワケ。
パナマ運河やスエズ運河のミニチュア版。
要するに船のエレベーターですな。
コレ、自分で開け閉めしているところを見ると無料なのかな?
少なくともスエズ運河のように1回3千万円近く取られるなんてことはないだろう。

560ホテルへ向かう帰り道、「St. Pan Crass Station(セントパンクラス駅)」の前でSeijiさん、Yukiちゃん、Toshiくんとバッタリ合流!
何たる偶然!
みんなでココからラッセル・スクエアまで歩いて帰ってホテルでひと休み。

580vそして、夜8時半の搬入時間に合わせて会場に再び出向いた。
コレで夜の8時ぐらいですから。

590Marshall Recordsのタネさんも合流!
まだ搬入まで時間があったので、隣のKollisという会場に出ているレーベルメイトのKing Creatureをみんなで観に行くことに。

600Marshall Liveの時に見逃がしてしまったからね。
すごく楽しみにしていた。
コレがKing Creature。

610_2ボーカルズ/ベースのDave Kellaway

620vDave Evans

640vMatt K Vincent
730vJack Sutton-Bassett

660vストラップに隠れてチョットわかりにくいんだけど、デイブの左胸にはEDEN(イードゥン)のアップリケが付いてる。

670この日、デイブはTerra Nova TN-501を使用。

680もうね、期待通りのカッコ良さ!
そして、見た目通りのサウンド!

690v本当に何の飾り気もない「かけハードロック」。

700vどこまでもシンプルに、そしてヘヴィに!
やっぱり3連の曲をよく演るんだよね。
コレが最高にゴキゲン。

710日本からはどうしてもこういうバンドが出て来ないね。
コピーではなくて、自分たちの作った曲で自分たちの世代を表現するハードロック。
これこそが「伝承」と呼べるモノなのではなかろうか?

740vそれはもしかしたらボーカルズの声にあるのかも知れないナァ…なんて気がする。

720このデイブみたいな野太い声で歌うバンドっていなくなったもんね。
いつの頃からか若いバンドさんの歌声がとても中性的になってしまった。
ま、そういうロックを標榜しているので、それはそれでゼンゼン構わないんだけど、我々世代が知っている「ロックの声」とは別の次元であることだけは間違いない。

760そしてやっぱりコーラス。
Mattもいい声!
そんな2人がハモるんだから、そのサウンドの厚さたるや尋常ではない。

650vピックで弾く歯切れのよいデイブのベースのトーンとベストマッチするジャックのドラムスも気持ちいい!

750客席の後ではノリノリのお客さんが肩を組んで大騒ぎ…って、ウチの人たちやんけ!

745もちろんギター・ソロもタップリ。
2人ともレスポールというのも、いかにもハードロックらしくてうれしいじゃん?

780ガンガン活躍してハーロックの再興を実現して欲しい。
がんばれキンクリ!

770vMarshall Recordsからのアルバムは『Volume One』。
よろしくね。

775cd<後編>につづく
 

200 
(一部敬称略 2019年6月2日 ロンドン カムデン・タウンにて撮影)

2019年6月14日 (金)

Marshall Live vol.4 ~ Rews, Keywest and Press to MECO

 
ショウも中盤に入りカイリーが紹介したのは…

10Rews!
コレも観たかったチームのひとつ。

20ギター/ボーカルズのShauna Tohill。

30v新加入のベーシストと…

40vサポート・ドラマー。

50v元々Rewsはギターとドラムスのガール・デュオ・チームだったのだが最近ドラマーのCollette Williamsが脱退し、今度はShaunaの相棒がベースに代わり、今のところサポート・ドラマーを迎えて活動している。

55Shaunaのダイナミックな歌とギター!
カッコいい~。

60この人、またとんでもなく感じのいい人で、楽屋に入って来るなり最高の笑顔で「ハイ!ショーナよ!コンニチハ!」と自己紹介してくれたのがとても印象的だった。
「もうひとつ知っている日本があるの…ドングリ」
と言ったのには日本人チーム一同が驚いた。
何で「ドングリ」?
やっぱりアニメの関係なんだって…トトロかな?
ま、「シチコクヤマ」とか言ったらもっと驚いたけどね。

70vベースの人の(名前がわかったらチャンと訂正するね)コーラスが強力なのだ。

80v曲はMarshall Recordsからリリースされているアルバム『Pyro』から。

96cdやっぱり一緒に歌っているお客さんが結構たくさんいたな。

95音楽は今風のポップなガール・バンド・サウンド。
でもかなり骨太。

100vもちろんインストのパートもエキサイティング!

90Burnsのベースを使っているのはイギリスならではか?
ハンク・マービンも喜んでるぞ!
140_2Shaunaもギター・ソロをハードにキメて見せる。

120板付けが宿命のギター/ボーカルズゆえ、マイクから離れることはあまりできないが…

120vそれでも魅せる、魅せる!

130もちろんベースの人も負けていない。
110vRewsも25分間、徹底的に自分たちの音楽をブチまけた!150

160

170vRewsは11~12月にスペシャル・ゲストとして、The Darknessと国内ツアーに出るそうだ。
ツアー・タイトルは『Easter is Cancelled』だって!いいの、そんなの?
いいな~、観たいな~。
アタシャ、The Darknessのステージの撮影をしたこともあるし、ダン・ホーキンスとのツーショット写真もあるのよ!(自慢)
がんばれRews!

190sアイルランドのインディーズで最も大きな人気を誇るKeywest。

200Andrew Kavanagh

210vAndrew Glover

220vJimi Lock

230vHarry Sullivan

250vベースはサポートなのかな?

240vロック、フォーク、ポップがフュージョンしたような大人のサウンド。

260ギターはやっぱりブルージー。
どんなに若めのバンド・サウンドでも、こういうテイストが全体を引き締めるんだな。

270vコレもバラエティ豊かなMarshall Blogの持ち駒にひとつということよ。

280おお~っと!
転換の時、客席にいたYukiちゃんにうれしい来訪者。
『Maximum Impact』を買ってサインを求めて来てくれたのだ!
295一緒にいたChiikoちゃんもサイン。

290こういうのはうれしいね~!
D_Driveの海外での将来は明るいような気がした。

12300 ショウもいよいよ大詰めになったところでPress to MECOが登場。
もう11時を過ぎていて、かなり身体もマイっていたがコレだけは見ておかないと!

310Luke Caley

320vAdam Roffey

330vLewis Williams

340vコレはいつかMarshall Blogでも紹介したMarshall Recordsからリリースされている『Here's to the Fatigue』。

350_2ステージにはアルバム・ジャケットをイメージしたJVM410Hのスタックと…

360vNATALのドラム・キット…370それにベース・キャビネットがセットされた。

3801曲目…え、誰が歌ってるの?とファインダーを覗いていて一瞬わからなかったのだが、意外にもまずはルイスの歌う曲から。390このバンドは3人とも歌がバッチリなの。

400vプロフィールにGuitar/Vocalistとクレジットしているようにルークのリードの比率が多いのだが、全員「歌がうまい」のを利用したコーラスが圧巻!

410インスト・パートも完璧。
ルークは今回配布したMarshallを特集したGuitarist誌の小冊子でフィーチュアされていた。

420Marshall Recordsのタネさん曰く、この人たちフランク・ザッパが好きだとか…それなら大丈夫だ。

430ルークがお客さんに向かって暴れるように指令を出す!

440演奏はうまいし、曲は熱狂的だし、ま、私にはチョット若すぎるサウンドだけど、実に気持ちのよいステージだった。
楽屋でもやっぱりとても感じのいい連中だった。

460

480

490将来が楽しみな3人だ。
この後ももうひとバンド出演したが、もう限界!
だって明日は早くからロンドンへ移動なんだもん!…ということでこの辺でお開き。
第1回目のMarshall Live、とても盛りだくさんでした!

450終わっちゃった~。
何だか最早コレもなつかしい…。
コレがMarshallのウェブサイトにアップされた時はうれしかたっけナァ。

525sまたの開催を楽しみにしています。
次回のD_Driveはロンドンから!

530<オマケ>
会場を離れる前にMarshall Recordsのピーターにもらったビールを取りに恐る恐る楽屋に行くと…誰もいなかった。
しかし…

510ドワ!
何だこの散らかりようは!
こんな私でもヒドイと思いますよ~。
でも、コレがコッチの人流のやり方なんだよね。
このゴミをキレイに片付けちゃうと、仕事を失っちゃう人が出てきちゃう…ということなんだろうけど、もうチョット何とかしようがあるでしょうに…。
「郷に入っては郷に従え」か。
あ、日本人チームは一切ゴミを残してきませんでしたから。

520<おしまい>
 

200_3 
(一部敬称略 2019年6月1日 Marshall Arenaにて撮影)

Marshall Live vol.3 ~ Bad Touch

 
D_Driveの出番が終わってホッとして、ひと息ついて…まだもうひとつインタビューが残っているんだけど、それまでの間はレーベル・メイトさんたちの演奏を楽しむことに。
どれも観たかったヤツ。

10特に楽しみにしていたのがBad Touch。20Stevie Westwood

30vRob Glendinning

40vDaniel ‘Seeks’ Seekings

50vMichael Bailey

60vGeorge Drewry

70vこのバンドはいいよ。
以前からCDで音楽は聴いていたんだけど、ライブの方がいい。
80それは何と言ってもこのボーカルズのスティーヴィーの存在。
もうね、ナニからナニまで問答無用でカッコいい。

75歌声や歌い回しはもちろん、仕草のひとつひとつがロックになっているんだな~。
マァ、こういう人は日本人では滅多にお目にかかれない。
楽屋で初めて見かけた時から「カッコいい!」と思っていたのよ。
そしたらステージではその何万倍もカッコよかった!

90vスティーヴィーをバックアップするバンド陣がまたいい。
上手のダニエルは『Maximum Impact』のジャケット・デザインをしてくれた人ね。

100ソロ・パートが多かったロブ。
奇を衒うことのないロック・ギターの王道フレーズが勇ましい。

110vサウンドは「70年代ブリティッシュ・ハードロック」の文法をそのまま借用して、単語を今風にして書き上げた文章…というところか?

0r4a0442_2 The DarknessにしてもThe Answerにしてもココ(あ、まだイギリスにいるもんですから)の人たちがこういう音楽を演ると自動的に「ホンモノ」になるからうらやましいよね。

120でもやっぱりジャスティン・ホーキンスにしても、コーマック・ニーソンにしても、カッコいいシンガーがいないとこういう音楽は成立しませんな。

130v「Let hear the noise!」
ク~、カッコいい~!

140勉強不足で曲を判別することはできないが、アルバムからの曲なんでしょうな…多くの人が一緒に歌っていた。

150「歌う」といえば、コレコレ。
やっぱりコーラスがスゴイんだよね。
ダニエルはどちらかというとギターはバッキングの役回りだったけど、強力な「声」でスティーヴィーにハモリをつけていた。

160v音楽の種類を問わず、海外のロック・バンドの演る曲はコーラス・パートがあって当たり前だもんね。
そもそもみんな歌がうまい!

170vギターの聞かせ所、見せ所ももちろん満載。

180やっぱりロックはこうでありたいものです。
というか、こういうのが私にとっての「ロック」。
190そしてやっぱりスティーヴィー。

200vシャッターを切りながら、新しいバンドのサウンドをこんなに楽しんだは久しぶりのことだった。

220コレがMrshall RecordsからリリースされているBad Touchの『Shake a Leg』。
70年代ブリティッシュ・ハードロックがお好きな方におススメ。
でも、70年代のバンドのサウンドと比べて「あーだ、こーだ」と言うのはヤボですからね。
コレはコレ。
ノーフォーク出身の今の若者が自分たちのフィーリングで伝統的なブリティッシュ・ハードロックをコネ回しているところを楽しまなきゃ!
そして、日本の若いバンドとのあまりにも大きな違いに驚嘆する…という楽しみ方もあるにはある。

225cd早く日本へ来るといいのにナァ。
 
Bad Touchの詳しい情報はコチラ⇒Official Website(英語版)

0r4a0550 さて、次の出番はこれまた楽しみにしていたKing Creature。
…とココで日本のロックに焦点を当てたイギリスのウェブサイト『KAKKOII CLUB』のインタビュー取材となった。
よし、転換の間にインタビューを済ませてしまおう!…と思ったら、このウォーレンという担当者が存外に感じのいい人で、よしゃいいのについつい余計なことまでベラベラやってしまった!

240ということで大サービス!

250ウォーレン、メッチャうれしそうだな~。
ホントに感じのいい人だった。

260そしてKAKKOII CLUBに掲載されたインタビューがコレ。
録音したインタビュー音源を聞くのは苦痛だったろうにナァ。
辛抱強く私の通訳をうまくまとめてくれたよ。
 
記事はコチラ⇒KAKKOII CLUB [Blogs and Interviews]

12kc 
さてさて「お次はKing Creature!、キンクリ、キンクリ!」と急いで会場に戻ったら!
ドワッ!最後のかき回し~。
残念無念~。観たかったのに~、撮りたかったのに~!
でも諦めないぞ。
明日のCamden Rocks Festivalがある!

270出番を終えたスティーヴィーとマイケルと…。

280<つづく>
 

200_3 
(一部敬称略 2019年6月1日 Marshall Arenaにて撮影)

2019年6月13日 (木)

Marshall Live vol.2 ~ D_Drive<後編>

 
いよいよ午後2:30になり、メイン・ステージが動き出した!
D_Driveはこれから10時間近くに及ぶ長い長いショウのオープナーだ。10_2そのD_Driveを紹介したのはプレゼンター、ミュージック・ジャーナリストのカイリー・オルソン(Kylie Olsson)。
カイリー、スゴイんだよ。
チャンとD_Driveのプロフィールを調べて原稿を書いてきていて、それを全く見ずに威勢よく一気にD_Driveを紹介した。

20「D_Drive!」

30v_2いつも通り後ろ向きでスタート。
1曲目は「M16」。

40_2Seiji

50vYuki

60vToshi

70vChiiko

80v銃撃戦のパート。
イギリスのお客さんにもこのスリル感がバッチリ伝わったことだろう。90_2Seijiさん、張り切っていつもより多くドンパチしております!

100v怒涛のアンサンブルでイギリスでの1曲目を完璧に仕上げると…

110_2「Cassis Orange」をつなげた。

120_co持ち時間は何せ25分しかない。
その間に「Driving Rock」の魅力を全開させなきゃならないからね。
「25分は短い!」とお思いになる方もいらっしゃるかもしれないが、一部のバンドを除いてみんな25分。20分というバンドもあったんだから!

130_2「火の玉リズム隊」も絶好調!

140_2Toshiくんもいきなりスロットル全開だった。
しかし、よかったね~、名前を「Toshi」と短くして!みんなに覚えてもらえたよ。

150_2D_Driveの最も古いレパートリー。それだけに最も思い入れのある曲。
イギリス/ヨーロッパで演奏するのはどういう気持ちだったろう?
私はチョットだけグッと来ちゃったよ。

160_2最初と最後のピックアップ・ソロ回しがMarshall Arenaに響き渡った!

170v

180v

190v

200v「みなさんこんにちは~!D_Driveで~す!名前だけでも覚えて帰ってくださ~い!」とやっているわけではない。
ちなみに、いまやMarshallの工場で「D_Drive」の名前を知らない人は多分いないと思うよ。

220v今回の渡英に備えて英語を勉強した効果大。
キチンと英語で挨拶してみせたYukiちゃん!
立派でした。

230続いては「Atraction 4D」。
小柄な女性がパワフルでスキルフルなドラミングをしている!…みんなビックリしたハズだ。
280vSeijiさんのリフがArenaを切り裂く

240v_4dアルバム『Maximum Impact』からシングル・カットされただけあってヤッパリ人気のある曲。

250大きな会場で聴く「Attraction 4D」…やっぱり鳴り響くサウンドもスケールがデカい!

260_2暴れまくるToshiくん。
スラップがすごくウケるということが今回わかったね。

0r4a0291キマった~!

290_2もうこの曲で最後!

300_lrSeijiさんのディレイ・トリックで始まる「The Last Revenge」。

310v_2Yukiちゃんの弾くリフがいつもより勇ましく聞こえる!

320一糸乱れぬスリリングなギター・ソリ!

330_2持ち得る力とD魂を極限まで出し切った4人なのであった!

340v

350v

360v

370v25分の持ち時間をオーバーすることなく最大限使い切ったステージマナーも立派だった。
お客さんはホント、みんなJaw-droppingになってたよ。

380_2MarshallがそんなMarshall Liveのステージの様子を伝えるビデオを作ってくれた。
あ~、終わっちゃった。
あんなに「まだ大分先のこと」と思っていたのに…寂しいナァ。
でもロンドンでまだ2回のギクが残ってるからね。
そちらもMarshall Blogでバッチリとレポートします。
その前にまずは楽屋の外でMarshall Beerをグイっとどうぞ!

400_2あ~、とりあえずはホッとした。
私もイッパイ頂きます。
3種類あるMarshall Beerのウチ、缶で提供しているのはこの「The Rock Star of Lager」。
要するにラガー・ビール。
私はイギリスに来ると、ビターとかIPAとかスタウトを飲むことにしていて、まずラガーとかピルスナーは飲まない。
だってそんなの日本でいくらでも飲めるでしょ?
あ、チョット脱線。
私はもうアメリカのビールはもうカラっきしダメで、Budwiserあたりはまず手を出さない。
そしたら、昨日Marshallの古い友達に教えてもらったんだけど、Budwiserというのは元々チェコのプラハなんだってね?
それでその友達の弟がプラハにいるんだけど、アメリカのBudwiserとは似ても似つかないシロモノでメチャクチャ美味しいんだって!
ビールの国のイギリス人が言うのだから間違いないだろう。
で、この「The Rock Star of Lager」、全然ラガーっぽくない。
濃厚な味で苦味が強く、むしろIPAに近い。
やっとありつけたMarshall Beer…やっぱりウマかった!

410vさてさて、6月16日の新横浜で発売開始になる『Maximum Impact』の国内盤の用意ができたようだよ。

420sこの特製国内盤には帯とブックレットが付いてるの。
コレはそのブックレット。
20ページだぜ!

62492354_2455686791149976_784938853このアルバムの制作過程と各メンバーから集めたコメントを基にした収録曲の解説を私が描かせて頂きました。

62548565_404676713467928_9173669498はじめ6,000字ぐらいの予定だったんだけど、アレよアレよという間に8,300字!
でも書いていて楽しかったナ。
ほぼ1日で書いちゃった。

64274915_1570488483082452_534039025写真もタップリ!
デザインは「下町のひとりヒプノシス」でおなじみの梅村デザイン研究所。

62631871_462821941212513_8340277587CDとLP共通のブックレットなので、LPに収めると当然こんな感じ。

64516771_2256308234465239_880042732 こっちはCD。
Marshall Records商品共通のデジパック仕様。

430sクドイようだけど、発売は6月16日の新横浜での10周年記念公演から!
 
D_Driveの詳しい情報はコチラ⇒D_Drive Official Website

480<つづく>
 

200_3 
(一部敬称略 2019年6月1日 Marshall Arenaにて撮影)

Marshall Live vol.1~ D_Drive<前編>

 
マァ、長いといえば長かった…Marshall Arenaへの道。

10一体何回Marshall Blogで宣伝したのかわからないけど、こんなことをやっていたのが100万年前ぐらいのような感じがするわ。

そして、とうとうD_Driveがイギリスに渡って、Marshall Liveやロンドンのライブ・パブで演奏してアッという間に終わっちゃったよ!
正直、この一連のイベントに向けて、数か月間信じられないほど忙しかった~。
私は絶対に徹夜で仕事しないようにしているのね。一発で身体がガタガタになっちゃうから。だから11時になったらPCの電源を落として寝る準備に入る。
どうせ朝早く目が覚めちゃうんだから、朝5時からまた取り掛かればいい。
…とそんな調子で対応して来た数か月間だったけど、本当にやった甲斐がある仕事になったと思う。
20vそれでは早速Marshall Arenaへ!
コレはミルトン・キーンズのフランチャイズ・フットボール・チーム、MK DONSの本拠地。

40それに隣接しているのがMarshall Arena。

50いわゆる「ネーミング・ライト」ってヤツだわね。
「CCレモン・ホール」みたいなヤツ。

60Marshall Arenaの壁に付いていたポスター・パネル。
1日にはチャンと「Marshall Live」が載っている…って当たり前か。
その3日後はロッド・スチュアートだよ!

30vそして、いよいよその日がやって来た!
天気は最高。
後は仕上げをごろうじろ!ってか?

70入り口のようす。
案外控えめなMarshallのディスプレイ。

802:30がメイン・ステージのスタート。
それにかなり先んじて12:00から開場した。

90ズラリと並んだSTUDIOレンジが表紙の小冊子。

100イギリスのギター雑誌、「Guitarist」のオマケ。
昔はこういうことをよくやっていたのを思い出した。

110会場の後方に設けられているバー・コーナー。

120どっかで見たことがあるような…。130オイちょっと待てよ!
東京キネマ倶楽部じゃねーか!

135もちろんMarshall Fridgeが設置されていて…

140レジもMarshall Arena仕様。

150ドカ~ン!広ッ!

160キャパは4,000人。

170後ろの片隅には物販コーナー。

180と言っても…

190Marshall Recordsの商品だけね。

210前日にリリースされたばかりの『Maximum Impact』。

200ステージはこんな感じ。
案外アッサリしてた。

220上手にはJVM410HとDSL100と1960BXで作ったフル・スタックが2セット。

230v下手のMarshallはJVM410Hと1960Bのフル・スタックが2セット。
ナンだよ、こういうときは壁にしろよ。
工場まで車で3分じゃないの!

240vベース・アンプはラックに入ったイードゥン(EDEN)のWTP-900が3台とD610XST。
コレがドラムスを挟んで上下にセットされた。

250vドラム・キットはいくつか用意されたがD_Driveはこのキット。

260コンフィギュレーションはバッチリ。
アーティスト担当のジョージが、Chiikoちゃんのいつも使っているNATALにイメージを合わせてブルー系のキットにしてくれた。

270さて、コチラは楽屋のようす。

280テーブルの上に用意された飲み物や食べ物。
外タレの契約書なんかだと、楽屋に用意しておかなければならないモノが実に細かく指定されていて、「板チョコが3枚。味はミルク」とか、「リンゴ4個、オレンジ3個」とか書きこまれているんだよね。

290さっそくWi-Fiの設定をしなきゃ!

300ようやくめぐり合ったMarshall Beer。

310v冷蔵庫の中にもバッチリ!
飲んだら冷やしておけよ‼

320v楽屋に入った時にはもうKing Creatureがいて…マァ、コワいよね。
でもたいていは「ヤアヤア」と気軽に握手の手を差し出しながら自分の名前を名乗って来る。
そういうことをほとんどしない大人しい人もいるけどね。
で、少し時間が経てばこの通り。
バッチンバッチン始まった。

330Toshiくんのツーショット相手はKing Creatureのボーカルズ/ベースのデイヴ・ケラウェイ。

340この通りやたらと愛想のいい人で、次の日には私や家内にまでfacebookのお友達リクエストが来てた。

350しばらくして楽屋に入って来たのはBad Touch。
さっそくダニエルにお礼を伝え方々、お願いして写真を一緒に撮ってもらった。

360Bad Touchのギタリスト、ダニエル・シーキングスは『Maxumum Impact』のジャケットのデザインをしてくれた人。

370sそして、D_Driveのメンバー間で曲の最終確認。

380ロビーに設置された小さなステージでは、明日のスターを夢見る新人、もしくはアマチュアのバンドの演奏が始まり腕を競った。

390このステージでの演奏の評判が良かった2チームがメイン・ステージで演奏できるとあって真剣。

400みんな相当若い。
スター気取りでステージを切り回しているところがナントモほほえましい。

410メイン・ステージのトップバッターであるD_Driveにお声がかかり、セッティングとサウンド・チェックが始まった。
真ん中にいるのがMarshall Recordsのピーターと私。
ペダル用の電源を確認しているところ。

420ギター・チームは早速Marshallのセッティング。

430vJVMは勝手知ったるところだからラ~クラク。

440vドラムスのセッティングはジョージが懇切丁寧に手伝ってくれた。

450Marshallのアーティスト担当のジョールとオープニングの段取りの確認中。
はじめジョールは私に呼び出しのMCをやれって言うんだよ。
「ヤダよ!」って言ったんだけど、そしたらチャンと専門の女性が待機していてくれた。
チッ、ホントはやりたかったんよ!

460vやっぱりね、中の音を小さくしろって言うんだよね。
私がメンバーとモニター・マンの間に入ってモニターの調節をする。
470ステージが広いもんだから、大声でモニター・マンに連絡をしなくちゃならない。
当然のことながら全部英語…こういう時はチト恥ずかしいね。
私も一生懸命働いているところをフィーチュアして…と。

465「It's show time!」と言ったとか、言わなかったとか…。
480vとにかく無事に準備完了。
後は出番の時間が来るのを待つだけ。

490<後編>につづく

200_3 
(一部敬称略 2019年6月1日 Marshall Arenaにて撮影)

2019年6月10日 (月)

D_Drive Conquer Britain!~D_Driveイギリスを征服!

 

タイトルはThe Beatlesから。
コレはビートルズお付きのフォトグラファー、デゾ・ホフマンが撮ったビートルズの写真集の表紙。
中学生の頃(昭和51年あたり)、セブンイレブンで売っていたデゾ・ホフマンの写真を買ったことがあったナァ。
1964年にビートルズがアメリカに渡り、全米を熱狂させた時に使われた表現が「The Beatles Conquer America」…なんじゃないの? 知らんけど。
やっぱりバンド名は複数扱いなのか…イヤ、こっちの話。
Bcaだからポールは1976年のWingsのUSツアーのライブ・アルバムに「conquer」と「over」を引っかけて『Wings Over America』にしたんじゃないの?…知らんけど。
コレもHipgnosisだね~。
今回Hipgnosisの事務所があったと思われるところを訪ねて来たヨ。
後日、『名所めぐり』で紹介するね。

Woa_2 さて、去る6月1日にMarshallの地元Marshall Arenaで開催されたMarshall Live。
あ~んなに騒いだのにもう終わっちゃったよ。

05D_Driveはトップバッターで出演。
お客さんやMarshallの関係者だけでなく、他の出演者も注目する中でのパフォーマンス。
初めてのイギリス/ヨーロッパ…緊張するわナァ。

10

20

30

40

50

55しかし!
緊張やプレッシャーをモノともせず、かといって妙に気張るワケでもなく、いつも通りD_Driveの音楽をイギリスにブチまけた!

60明けて2日の『Camden Rocks Festival』。

80前日と替わってこの日は「The Devonshire Arms」という会場のヘッドライナー!。

90信じられないぐらい盛り上がりやがんの!

100暑くて、暑くて!
全員汗みどろの熱演!

110コレがウケないワケがないわな~。

1201日空けて…

120r4a0704 4日はノッティング・ヒル近くのスタジオを借りて音楽ライターの皆さんを集めてのショウケース・ライブ。
コレも大ウケ!

130そしたらアータ!
元よりD_Driveに好意的な評価をしてくれていたイギリスのウェブ・マガジンがこんなことを書いてくれた。
もちろんD_Driveの3回の演奏をすべて観ての感想だ。
「D_Drive Conquer Britain with Superlative Debut UK Gigs(D_Drive、最上級のUKデビューでイギリスを征服)」
やった!「Conquer」だ!
コンカーが来んかと思ったらキタキタキタキタキタ~!
イヤ実はね、Marshall Blogのライブ・レポートのタイトルに「Concuer」を使おうと思っていたのでチト困りものなんだけど、エエイ、「メタトー」許す!
著作権の関係で記事のすべてを翻訳するワケにはいかないけど、サブ・ヘッドラインぐらいはいいだろう。
Japanese instrumental sensations D_Drive stormed into Britain last week and left a lasting impression with three absolutely superb performances that announced the band as a major force.
(日本のインストゥルメンタル・センセーション、D_Driveが先週イギリスに嵐をもたらし、バンドが甚大な力を持っいることを知らしめる3回の完璧に最高なパフォーマンスの感動がまだ続いている)
 
ホメスすぎじゃねーのか?…と思いたくもなるけど、彼らにとっては、ほとんど聴いたことがないD_Driveのオリジナルの音楽がよっぽどショックだったに違いない。
はじめ「男女混合のインスト・バンド」というところが注目されていた感もあったが、最終的にD_Driveは自分たちの音楽だけで勝負して勝った。
改めて「人と違うことを追求することの尊さ」を教えられたような気がした。
 
記事はコチラ⇒METAL TALK

Mt「Camden Rocks Festival」でおなじみジョン・エラリー社長と。
予想をはるかに上回るD_Driveに対する評価にジョンもニッコニコ。
なにしろ『Maximum Impact』の名付け親はジョンだからして。

140こんなことを言うのもナンだけど、ここのところ数か月、人生で最も忙しかったのではないか?思える時期に苦しんで来たけど、とりあえずホッとしたわ。
『Maximum Impact』よろしくお願いします!
D_Driveのイギリスでの活躍は来週Marshallの本社事務所へ行って書くつもりですのでお楽しみに!

Maximumimpact そして、日本に帰ったら『Marshall GALA2』モード全開にしますので、皆さん、よろしくお願いします!

Marshall_gala_2_logo

(2019年6月1~4日 イギリスにて撮影)

200_3

2019年6月 1日 (土)

ミルトン・キーンズのD_Drive

 
来たぞ~!!!!!!!!…と飛び上がっている人がいる。

10vそう、D_DriveがついにMarshallにやって来た!

20vあんなに先のことだと思っていたのに、色々と忙しくしている間にMarshallの本社の前だよ。

30_2まずはレセプションで記念撮影。
やっぱりココへ来たらコレをしないと…。

40_2そして、まずは社長のジョナサン・エラリーにご挨拶。
Marshall BlogやMarshall GALAを通じてジョンはもうおなじみでしょう。
できたてのホヤホヤの『Maximum Impact』を添えて…。
何しろ「Maximum Impact」というのはジョンの言葉だから。

50_2アーティスト担当のジョエル・マナンと。

60_2ひと通りご挨拶を終えて、Marshallの工場からミルトン・キーンズの北の端にあるウルヴァートン(Wolverton)という町へ。
そこにあるのがこの古式ゆかしいパブ「Craufurd Arms(クラウファード・アームス)」。

90「いかにもイギリスの伝統的なパブ」という出で立ちだが…

110vライブハウスが併設されている。

120このドクロが目印。

175v店内の装飾がメッチャかっこいいんだ~!
ジム・モリソンにレミーが聖者になってる。

130こちらはデヴィッド・ボウイにカート・コバーン。

150さらにプリンス。

160コレは…Seijiさんが「教祖サマやないか?」と言うのも頷ける。

140早速お友達ができたToshiくん。

120r4a0481他にも大きな犬が2頭いてハァハァとにぎやか!
だからこんな犬の水飲み場も設置されていた。
ちなみに、アメリカ人は「water」のことを「ワーラー」と「t」の発音を丸めてしまうが、イギリス人はちゃんと「ウォウター」とチャンと発音する。ところが一部のエリアでは「ウァーアッ」って言うんだよ。コレが面白くて、面白くて!

120r4a0469お店の中でただダラダラしているワケではないのです。
実は演奏するのに色々と足りないモノが出てきてしまって、ソレ待ちなのです。
170そして、不足していた機材も届けられてリハーサルの会場に!
ココから入るよ~。

180v中はこんな感じ。
キャパ250ぐらい日本のライブハウスと何ら変わりはない。

190まずは「Marshall Live」のためのゲネプロから。

200ニヤニヤが止まらないSeijiさん。

210vおやおや、Yukiちゃんも!
日本の倍以上もある230Vの電圧でMarshallを鳴らしているからなのです。
音の違いは誰が聴いても明らかだから。
まず歪みの音が信じられない位リッチで太い!そしてヌケまくる!
出音nスピード感が日本とはゼンゼン違うイメージ?

220ベースは残念ながらイードゥン(EDEN)ではなかったんだけど、やっぱり芯が太いヌケのいいサウンドだ。
Toshiくんも気持ちよかったんでしょうナ…しきりにバカチコ演っていたら、外でそれを耳にした大工仕事をしていた店の人がみんな「ウォ~!」って騒いでた。

230電圧が高いとやっぱりNATAL音も…んなワケない。
イギリスでも相変わらずのいい音だった。

240v休憩中にMarshall Recordsのピーター・キャップスティックと。
腕相撲をやっているワケではなくて、握手しているポーズをお願いしたらこうなっちゃった!

176私はD_Driveがリハをしている間に…失礼します!
ウォーアーにしようとは思ったんだけど…折角なのでこのお店の名前を冠した「Craufurd Skull」というビターにトライ。
何せすごく暑かったのよ!
開店時間の1時になってチョボチョボ入店してくるお客さんがエールを手にしながら外に出ておいしそうに飲んでいる姿を見てガマンできませんでした。
もちろん1パイントだけね。
最高に美味しかった!
とにかくイギリスのビールが好き。

250ノドも潤ったところで、カメラを持ってウルヴァートンの街を散策。
コレも大きな楽しみのひとつ!
260このエリアは「三匹の子ブタ」みたいなレンガ造りの家がズラリと並んでいる。

255この建物は1894年製。125年前に建てられたモノ。
100年物は珍しくもなんともない。

256いい感じのパブ!

270「The New Queen Victoria」か…

280だからとなりのお店は「The Albert」。
チャンと「V&A」になってる。

290_2ハイ・ストリート(メイン・ストリート)を往く。
まぁ、イギリスの郊外の町で見かける光景。

120r4a0448TESCOもレンガ仕様になってる。

120r4a0446アンティーク屋さん。
私は骨董の類に特に興味があるワケではないが…

120r4a0436このカバンが目についたのだ。
要らないけどカッコいい。
昔に作られたこういうモノはすごくシッカリできてるからね。

120r4a0435 Strike first!
Straike hard!
No mercy!
…とは書いていないけど、どうしても映画『ベストキッド(Karate Kid)』のコブラ会を思い出しちゃう空手道場の勧誘広告。

285「Akasaka」か…当然日本料理店。
4年前に来た時、ミルトンキーンズには日本食のレストランは1軒もなかった。
それが今では2軒もあるそうだ。
このお店は安くて美味しいと聞いた。

300コレ、何だと思う?

310「Wolverton Bath」って書いてあるでしょう?
読んでその通りで、コレは銭湯なんだって。
今でもやってる。

120r4a0455 ウルヴァートンのアダ名は「Railway Town」。
19世紀、ウルヴァートンには大きな蒸気機関車の修理工場があって、そこで働いて油まみれになった身体をこの戦闘できれいにして帰宅したワケ。
そう、昔は一般人の住む家に風呂があることは滅多になかったのだそうだ。
考えてみれば「風呂」を表す「bath」という単語の語源はイングランド南西部の「Bath(バース)」だもんね。
駐車場の向こうに見えているのは「Gemini Rail Service UK Limited」という電車の車両メーカーの工場。
ちなみに日本の鉄道はイギリスのコピー。でも地下鉄はアルゼンチンがお手本なのだそうだ。320町を一周して帰って来た。
せっかくなのでピーターのために先行発売されたシングル曲「Attraction 4D」を演奏してもらった。
知らない間にお店の人も数人入って来ていて、演奏が終わるやいなや大きな歓声を上げていた。
ま、ビックリするよね~、こんなの他にはいないもの。

330記念撮影!

340そして、『Maximum Impact』の宣伝用ビデオをMarshallの工場で撮影。

350世界に向けての英語版と日本版の2バージョンを撮影。

355もちろんMarshallの工場見学もしたよ~。

400案内してくれたのはスティーブ・ヒル。
ココから先は木工工程。
以前は自由に入ることができたんだけど、法律が変わってもう一般の人は立ち入り禁止になってしまった。

420私も20回以上は工場見学をしているからね、大体のことはもうわかるので、スティーブの説明をタップリと補足させて頂いた。

410スティーブと記念撮影。
スティーブ最大のスマイル。
コワモテのスティーブだけど、最高にやさしい人なのだ。
SeijiさんとYukiが今使っているJVMのハーフス・タックはスティーブが作ってくれた。

430こちらはドラムス・チーム。
写真NATALのアーティスト担当のジョージ・フレデリック。
ChiikoちゃんのNATALを作った人。

440v工場からホテルへの帰り道に目に入るこの光景。

370いよいよだね~。
もはやMarshallの工場で「D_Drive」の名前を知らない人はいないからね。
昨日も知らないスタッフから「D_Driveはメッチャクールだぜ!」と言われた。
後4時間チョットでMarshall Arenaの舞台に上がる4人。
シッカリ頼むぜ!

380D_Driveの世界デビュー・アルバム『Maximum Impact』は5月31日にリリースされました!
皆さん、よろしくお願いします!

390zD_Driveの詳しい情報はコチラ⇒D_Drive Official Website

360 

200_3 
(一部敬称略 2019年5月30&31日 ミルトンキーンズにて撮影)