D_Drive 10th Anniversary Live!<後編>
やっぱり「10年」という月日は決して短いモノではないからね。
メンバーたちの思い出話は尽きることがない。
10年前か…自分はナニをやってたかな?
あ、Marshallだ。
それとMarshall Blogだわ。
コレを「進歩なし」と見るか、「継続は力なり」と見るか…私は「力」になっていると思いたい。
そして、このロックが質的にどん底にある国で10年もの間バンドを継続させたことはあまりにも素晴らしいと思う。
いい加減、「タマには歌でも入れてみようか?Yukiちゃん、歌いなよ」なんて場面があったかもしれない…イヤ、ないと思うけど。
とにかく特異なスタイルを全く変えることなく、自分たちの音楽を追求し続けたことが苦しくもあり、強くもあり。
コレが凡百のロックだったら却って10年も持ちこたえられなかったのではなかろうか?
いつもMarshall Blogに書いているけど、若い人のバンドの短命さには呆れてしまう。
ナニかサポートしてあげようとしても、「アラ?もう止めちゃったの?」なんてことが珍しくない。
バンドが「音楽を作る」ということに主眼を置いていないからだと私は思っている。
ただ、人前で演奏をしたいとか、客数が増えて大きな会場で演奏していく人生ゲームを楽しんでいるようにしか見えない。私はコレを「バンド双六」と呼んでいることを以前にも書いた。
ナゼなら、みんな同じことをやっていてとても「音楽を作り出す」という意識が音楽から聞こえてこないから。
コレがですね~、驚いたことに日本だけじゃないらしい。
今、Marshallへ来ているんだけど、昨日アーティスト担当のジョエル(Joel:本当は「ジョール」と発音します)と話していたら全く同じことを言っていた。
私としてはこの状況を説明するに「双六」や「人生ゲーム」をどう表現しようかと考え「モノポリー」と伝えたけど、あんまりピンと来ていない様子だった。ちなみに昔夢中になって遊んだ「人生ゲーム」はアメリカがオリジナルで「The Game of Life」という。
やっぱりダメなんだって。
チョットいいバンドを見つけても、すぐ止めちゃうんだって。
それと、楽器をチャンと弾ける若いミュージシャンがメッキリ減ってしまってデモンストレーションのような仕事がしづらくなったという。
そして、プロモーションといえば、ひたすらSNS(イギリスではSocial mediaという)。
どんな音楽であれ、演奏であれ、ビデオがウケればそれでよし。
後はアクセス数を競うだけ。誰がこんな世の中にした?
ビルか?マイケルか?
イギリスもこういう状況なのだそうだ。ビートルズやツェッペリンの国なのにね。
私なんかが思うに、このアクセス数の多寡というのは決して内容の良し悪しを指しているものではない…と思うんだよね。
コレは昔からのことだけど、流行しているモノやウケているモノだけが良いモノとは限らない。
やっぱり色んな音楽をたくさん聴く旅に出て、自分の本当の好みを発見して、アクセス数なんて気にしない音楽の楽しみ方をしてもらいたいと思います。
フランク・ザッパが言いました…民衆が本当に必要とするモノは決して与えられることはない。
自分で探しに行かなきゃ!
イカンイカン、例によってつい筆が滑ってしまった!
そのまま「けてしてYukiちゃんのこのポーズ。
ナンカ久しぶりじゃない、「Russian Roulette」?
この曲は『Maximum Impact』に入れようか、入れまいか比較的最後まで迷った1曲。
結果的にまた次回ということになったが、他の収録曲に一歩も引けを取らない佳曲だ。
ところで、江戸時代に日本にも「ロシアンルーレット」ってあったの知ってる?
当然日本にはリボルバーのピストルなんてないから、火縄銃でやった。
コレは薩摩藩で行われた一種の度胸だめしで、その名も「試魂会」といった。
どうやってやるのかというと、天井から銃口を下向けにして火縄銃を吊るし、その周りに車座になって座る。
そして、導火線に火を点けて火縄銃を勢いよく回す。
グルグル回る火縄銃の銃口は車座に座っている参加者の前を次々と通り過ぎ、いつかは発砲しちゃう。
さ~て、誰のところで弾が飛び出すのかな~…こうやって肝っ玉を試したらしい。
コレで大怪我をした侍もいたそうだ。
ヘタしたら死ぬからね。
加入から1年経ったToshiくんからご挨拶。
「この1年間で80本ぐらいライブをやらせて頂いています。ボクはこの10年間に20ぐらいのバンドを経験しました。
この後のD_Driveの10年間はどんどんボク色に染めていこうと頑張っております!」
Seijiさんからもひと言。
「この10年間、移送は99.6%ボクひとりで運転しました。地球7周半(コレ、もっとじゃなかったけ?)。」
スゴイな~。
私なんかすぐ眠くなっちゃうので車の運転が好きではないからホント感心しちゃう。
最近はYukiちゃんが免許を取ってハンドルを握ってくれているのでSeijiさんの運転苦労も軽減しているという。
そうだよね、東京の大雪で国道246号線で丸1日以上立ち往生した…なんてこともあったもんね。
捻挫、尿管結石…そんな10年間の積りに積もった苦労話。高速道路でタイヤがバーストしたこともあったんじゃない?
そんな苦難の人生の形を表している…ワケではなく、Yukiちゃんがお姉さんをイメージして作った「The Shape of Your Life」が続く。
Yukiちゃんのお姉さんのYukariさんはニューヨークを拠点に活動する舞踏家。
そのYukariさんとD_Driveが組んで作り上げる舞台『チェリーを三つ、入れてください』が来年1月に開催される。
コレ観たいんだよね~。
詳しくはコチラ⇒【Marshall Blog】Let's Face the Music and Dance!
アララ、ココで「Hyper Driving High」というのもオモシロい!
「Yuki、Yuki、Yuk、Yuki!」ってヤツね。
Seijiさんのリードに合わせてみんなとても楽しそうにメンバーの名前を連呼していた。
もうショウも後半。
「Mr. Rat Boots」で盛り上がれ!
最近、この曲がスゴくよくて…。
後半のリズムが変わるところが実に気持ちいいのだ!
<前編>に書いた通り、GABUはステージの取り回しの設計がすごく良く出来ていて、舞台からミキサー卓がセットされている会場の最後部まで廊下を使って一気に行くことができる。
「今日のRatのソロはやっぱり客席の一番後ろまで行っちゃうんでしょ?」とToshiくんに尋ねると「どうですかね~、やりたいですね~」なんて言っていたけど、今回はパス。
その代わりステージで燃え上がるようなベース・ソロを披露して盛大に喝采を浴びていた。
本編最後のMCでは6月1~2日のロンドン最大のロック・フェス『カムデン・ロックス・フェスティバル』に出演することを告知。
更に世界最大になろうとしている10月10~13日に上海で開催される『Music China』のMarshallのブースでデモンストレーションをすることにも触れた。
D_Driveの10周年を記念するコンサートもいよいよ最後のセクションに突入する。
まずはYukiちゃん作の新曲「Begin Again」。
スケールの大きな曲。
結成から10年を迎えた節目に、初心に帰ったつもりで前進する気持ちが曲のタイトルになっている。
そういえば10年の歴史の中に「居酒屋甲子園」ってのもありましたな~…って最近の話だけど。
SeijiさんとYukiちゃんの共作ナンバー「Cassis Orange」。
メンバーの思い入れがひときわ大きな曲なのだ。
大興奮のウチに本編が終了。
10周年記念のアンコール、まずはやっぱりコレから…「1,000,000 hp」。
いつから始めたのかは知らないけど、とにかく10年目のミリ音頭も大成功。
…と、どうしてもミリ音頭に気を取られてしまうけど、私が思うにこの曲はD_Driveのレパートリーの中で一、二を争うアクロバット・ナンバーだと思うんだよね。
「みなさんありがとうございます!アッという間の10年でもありますが、とても濃い10年でした。
皆さまのおかげです。皆さんがいなかったらココまで続けて来れなかった!
サポートしてくれる方々や楽器があるからこそです!
これからもよろしくお願いします!」
…なんてやってたら、D_Driveご一行様、宿泊先のDouble Treeホテルにご到着!
長旅お疲れさまでした。ようこそイギリスへ!
明日は朝一番でMarshallの本社にご挨拶に行って、その後早速リハーサルで~す。
230VのMarshallとEDENのD_Drive、一体どんなかな?
そして、いよいよ2日後(現地時間)にはMarshall Live!
本番の前にイギリスのメディアからまたひとつインタビューのオファーが来ていますのでよろしく。
明けて2日はさっきYukiちゃんが紹介した『カムデン・ロックス・フェスティバル』。
D_Driveは「ザ・デヴォンシャー・アームズ」という会場のトリを務める。
4日には同じカムデン・タウンにある靴屋の「Dr. Marten's」のフラッグシップ店でショウケース・ライブが開催される予定であったが、ナント、急に店内のライブ・スペースを閉じることが決まり、残念ながらキャンセル…。
しかし!
Marshall Recordsスタッフの尽力により、場所を変えて復活!
日本でも映画でその名が知られた西ロンドンのノッティング・ヒルにあるPIRATE STUDIOというところで音楽関係者を集めてお披露目公演をすることになった。
ヨカッタ~、ヨカッタ~。
そして、5月31日は『Maximum Impact』の発売日!
皆さんよろしくお願いします。
尚、以前からお伝えしているライブ会場限定販売のD_Drive特製国内盤ね…へへへ、メッチャかっこよくて読み応えのあるブックレットができちゃったよ!
その国内盤は6月16日の新横浜での10周年記念公演から販売する予定です。
D_Driveの詳しい情報はコチラ⇒D_Drive Official Website
※今回「私の大阪」をくっつけたかったんだけど、あまりにも1本が長くなってしまうので諦めた。
その内Shige Blogにその記事を書こうと思っているので、大阪の皆さん、お楽しみに…というほどの内容ではありません。
(一部敬称略 2019年3月30日 大阪十三GABUにて撮影)