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2019年5月17日 (金)

薔薇色☆摩天楼サアカス<前編>~ザ・キャプテンズ

  
いいね~、この組み合わせ。
現場は西川口Hearts。

10v「ペルシャの市場にて」が流れる中、最初に登場したのはザ・キャプテンズ。

20久しぶりのライブ・レポートということで、いきなり脱線ね。
 
世の中には猛烈にナニかと結びついている曲ってあるじゃない?
たとえばあのサーカスの曲。
以前Marshall Blogでも取り上げたけど、アレはチェコの作曲家ユリウス・フチークという人の「剣士の入場」という曲。
この手のモノで圧倒的に強固な結びつきを見せるのは運動会だ。
私は運動会が大キライだったな~。運動が苦手ということではゼンゼンなくて、同じことをみんなで一緒にやるのがすごく苦痛だった。
で、運動会の音楽と言えばまず、ドイツのオッフェンバックの「天国と地獄」…コレは有名。
それと、徒競走かリレーで必ず流れるあのマイナー・チューン。アレは「クシコス・ポスト」という曲。
これもドイツのヘルマン・ネッケという人の作品。「クシコス・ポスト(Csikos Post)」というのは「郵便馬車」という意味で、「徒競走」でも「かけっこ」という意味でもない。
ああ、「トランペット吹きの休日」もよく使われるよね。コレはアメリカのルロイ・アンダーソンという人の作品。
さて、ナニが言いたいのかと言うと…。
このザ・キャプテンズがオープニングに使った「ペルシャの市場にて」ね。
コレを聞くと、とにもかくにも小学校の下校時の風景が目の前に浮かんでくるのよ。
しかもかなり鮮やかに…音楽ってのは本当にすごい力を持ってる。
当然、下校時間に生徒が校舎からいなくなるまで何度も何度もこの曲が流れていたので、まだ柔らかかった私の脳ミソに「下校=ペルシャ」が深く刻みこまれてしまったんだね。
せっかくの機会なのでこの曲について調べてみた。
こんなエキゾチックなメロディなので、テッキリトルコあたりの人の作品かと思ったらさにあらず。
なんとイギリスはバーミンガム出身のアルバート・ケテルビーの作曲。
この人スゴくて、11歳の時に自作のピアノ・ソナタを音楽界で演奏してエルガーに絶賛されたそうで、その後は「惑星」で有名なグスタフ・ホルストのお弟子になった。
なるほど、曲をチャンと聴いてみると中近東風なのは「♪ヒ~ヒ~ヒ~コラヒラヒ~ヒ~」のパートだけで、あとは実に優雅で美しいヨーロッパ的な旋律で構成されているのよ。
 
「リーダーの登場です!黄色い声援でお迎えください!」…で、薔薇一輪を手に現れたリーダー。

30「はじめて会ったその日から 恋の花咲くこともある。最後のグループ・サウンズ、ザ・キャプテンズです!」
「見知らぬアナタと見知らぬアナタにデートを取り持つパンチDEデート」ってね~。
東京は日曜日の10時半からやってたんだっけ?
「ごた~いめ~ん!」とか言ってね。
昔のテレビ番組はノンビリしてたな~。

40v1曲目は「恋のゼロハン」。

50傷彦

60ジャッキー

70vテッド

80vシミズトール

90v「♪恋のゼロハン二人乗り ロマンチックだぜ!」…いいナァ~。
どんなにメルヘンチックだって法定速度を守っているところが健全である。
私、GS好きなんですよ。
理由は後で述べる。

100ディック・デイル張りのサーフ・ギターもステキ!
なぁ、そうだろ?

220v続いて「お前一番星」。

110_ibこれもストレートなGSサウンド!
痛快だぜ!120v「こんばんは。仙台市から馬車に乗って来たザ・キャプテンズです。
みんなに会いたかったよ~!
今日はいつもより塗ってます…だって…犬神さんと銀幕さんと一緒だから!」

S41a0035_2 私が大好きな大好きなThe Kinks風のリフでスタートする3曲目は「二人はダイヤモンド」。

130 サビの展開がタマらん!
そうなの。曲がいいんですよ、GSは!だから好き。
GS旋風が吹き荒れたのは私が幼稚園の時だった。まだいいメロディがイッパイ残っていた。
ひと回り年上のイトコのお姉さんが「ジュリー」だの「ショーケン」だのと騒いていたのを覚えている。
『失神ショー』なんてのを夜中のテレビでやっていた。
オックスだよね。
真木ひでと(当時野口ヒデト)とか赤松愛なんてね~。
赤松さんは中性的な魅力で絶大な人気を誇ったけど、今見るとそこいらにいる非体育会系の若者と何ら違いはない。
日本の男の子は気味が悪いぐらい可愛くなったよね。
渥美清タイプの顔が絶滅寸前らしい。

140_diaとにかく理屈抜きで楽しめちゃうのがGSサウンドなんじゃないかね。
昔は幼稚園児から年寄りまでが「♪森と~(んかつ)泉に~(にんにく)」と歌っていた。
この普遍性があまりにも素晴らしい。
今のロックには到底マネできん。
ナゼか?「ITがどうの」なんてのは関係ない。
曲のクォリティですよ。

150そして、ザ・キャプテンズは各メンバーさんのキャラも濃い。

160引っ込んでいる人がいないのよ。
 
ん~、やっぱりいいナァNATAL。
GSにもピッタリだ!

170ギターを降ろしての1曲は「暴れ馬クレイジーホース」。
実は、ザ・キャプテンズさんは…というより傷彦さんは以前にもMarshall Blogに出て頂いているの知ってた?
ファンキーさんが中心になって開催した2013年の『爆風トリビュート』がそう。東京にものすごい大雪が降った日でね~。橘高さんが危うく来れなくなりそうになっちゃった。
アレからもう6年も経ったのかよ~!
190v久しぶりに引っ張り出して来たというパトランプを肩に装着。

200_res「恋のレスキュー999」…すかんちもよくやってたけど、この「恋の〇〇」ってタイトルは誰が考えて一番最初にやったのかね?
「愛の××」より、やっぱり「恋の〇〇」なんだろうな。
 
チョットここで固いお話を…。
欧米のロックと異なり、私は日本のロックのルーツはGSにあると思っているのね。
でこのGSはどこから来たのかというと、50年代にアメリカン・ポップスが日本に入って来て、日本人は英語がカラっきしダメだから、日本語の歌詞をつけて焼き直したワケ。
「可愛いベイビー」みたいなヤツね。
この日本詞の大家が漣健児さんで、ご本名を草野晶一さんとおっしゃる。
草野さんはYOUNG GUITARを敢行しているシンコーミュージックエンターテイメントの会長職や、MUSIC LIFEの編集長もお務めになられた。
Marshall Blogの読者なら家にYOUNG GUITARの1冊もあるでしょう?
奥付を見てごらん。
「発行人●草野夏矢」ってあるでしょう?この夏矢さんは晶一さん、すなわち日本のポップスの礎を作った大作詞家、漣健児の次男坊でいらっしゃる。
で、こういう方がいらっしゃったから歌謡曲が発達し、かつGSも盛んになったワケね。
一方、イギリスなんかはどうだったか?
日本と同様にアメリカからステキなポップ・ミュージックが入っては来るんだけど、なまじ英語ができるもんだからどうしてもコピーの域から出ることができない。
コピーは所詮コピーであってホンモノを超えることは絶対にできない。
そこで、見つけたのが「ブルース」だったっていうワケよ。
イギリス人ははじめ「ブルース」を「ブルース」だとは知らずに未知の音楽として夢中になったらしい。
それが「スキッフル」という音楽になってロニー・ドネガンなんてのが出て来てドンドンとロック化が進んでビートルズが現れアメリカを征服し、更にMarshallの出現によってハードロックというスタイルを確立したんだな。
こうしたバンド形態の音楽としての日本のロックのルーツと言えば、GSにさかのぼる…なんて話を岡井大二さんとしたことがあった。
マディ・ウォーターズはかつて「ブルースに子供ができた。それを『ロック』と名付けた」みたいな歌を歌っていたけど、日本はコレに当てハマらない。
でも、表では歌謡曲のバンド・バージョンを呈していたGSのバンドさんたちは、一般の人の目に触れないクラブのような場所では極上のR&Bの演奏を繰り広げていたのだそうだ。コレも大二さんからお聞きした。
ザ・キャプテンズは馬車に乗って仙台からやって来ただけでなく、日本のロックの原点からやって来たのだ。
それが「最後の」だなんて…。

210
両肩を上げ下げ。
みんなでやったね。
楽しかったね!

S41a0126使用済みもパトランプは今日傷彦さんが使ったMarsall JCM2000 DSL100の上に。

240そしてまたギターが手渡される。

250これまた耳にやさしい「恋は赤道直下」。
また「恋の」だよ!

260場所は「マラッカ」かな?「赤道直下の恋」はさぞかし暑かろう!
270_seki出番の最後を飾ったのは「大事な大事な1曲」だという「恋は薔薇薔薇スターダスト」。
ROLLYさんがプロデュースしたナンバー。280傷彦さんのブレないキャラクターと…

290それを支える鉄壁のバック陣が繰り広げるGSサウンド!
楽しかったな~。

300今から20年チョット前、椎間板ヘルニアが悪化してしまってね、都内の病院にひと月ほど入院したことがあったのね。
アレは人生で間違いなく一番痛かったな~。
24時間襲い来るあまりの激痛にガマンができず、手術を覚悟した。
「手術しても再発する可能性が高いですよ。それよりもひと月横になっていたら痛みはなくなる」と医者に言われ、仕事が心配だったがその言葉に従った。
すると先生のおっしゃる通り、2週間も安静にしていると次第に痛みが和らぎ少し歩けるようになった。
当時私はまだタバコを吸っていて、日にほんの数回喫煙所に赴き、紫煙をくゆらすのが楽しみだった。
喫煙所に行くと時折顔を合わせる方がいらっしゃった。一見して普通のサラリーマンではないことがわかる風貌とハスキーな声。
私が楽器の仕事をしていると告げると、音楽界の色んな話をしてくれてとても楽しかった。
その方は私より先にご退院されたのだが、最後にお名前をお訊きした。
するとその方は控えめにこうお答えになった。
「知ってるかな…」

310v「…真木ひでとと申します」
「エ~、知ってるもナニも…オックスのですか?」
「そうです」
似ているナァとは思っていたのだが、まさかそんな所にいらっしゃるなんて思わないから頭の中でお顔とお名前が結びつかなかったのだ。
よい椎間板ヘルニアで良い思い出と言ったらコレだけである。

320v千載一遇のチャンスとばかりに今日はザ・キャプテンズさんの威光をお借りして結構書きたいことを書かせて頂いた…満足。
傷彦さん、ご協力ありがとうございました!

330vそしてフィニッシュ!
もちろん傷彦さんが手にしていた赤い薔薇一凛はお客さんにプレゼントされた。

340ザ・キャプテンズの詳しい情報はコチラ⇒公式サイト

3506月2日は下北沢でザ・キャプテンズ主催の失神イベントがあるよ。
みんなで失神しに行こう!

62 本当はこの後に出演した犬神サアカス團のレポートとのカップリング記事にしようと思ったんだけど、思いのほか書きたいことが多く、紙幅が膨らんでしまったので、今シリーズは3本立てにしたよ。


<中編>につづく
 

200 
(一部敬称略 2019年3月17日 西川口Heartsにて撮影)