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2019年6月25日 (火)

三宅庸介 MEETS STUDIOシリーズ <前編>


今年の1月のNAMMショウで発表したSTUDIOシリーズ。
おかげさまで世界的大ヒットになったようです。

50…というのも、先週のアタマまでMarshallの工場に行っていたんだけど、工場のラインで流れているのはSTUDIOシリーズばっか!

0r4a0044_2コレは最終工程のベルトコンベア。
真ん中は違うけど、向かって左のキャビネットと右側から流れ出て来るのは全部STUDIOシリーズ。

0r4a0046_2出て来る、出て来る…うれしいなったら、うれしいな!
ナニがそんなにうれしいのかというと、世の中まだそんなに捨てたもんじゃないと思ってサ。
時代が時代ゆえ、デジタル・テクノロジーを駆使したターミネーターのような「機械」も仕方ないけど、チャンと真空管を使ってギターの音を美しく増幅させる「楽器」としてのアンプがまだまだ愛でられていることがうれしいのです。

0r4a0045_2ということで、Marshall BlogはまだまだSTUDIOシリーズの魅力を皆さんにお伝えしようと思っているのです。
そこで今日はMarshall Blogでは相当おなじみ、Strange, Beautiful and Loudの三宅庸介にSTUDIOシリーズからまずはSTUDIO CLASSIC各種をお試し頂いたレポートをお届けする。
今日の<前編>はCLASSIC、次回の<後編>はVINTAGEで構成するよ。
しかし…この動画全盛の時代に写真と文章だけで商品の魅力をお伝えしようなんて、いい度胸してるでしょ?
ダメよ、人間少しぐらい字を読まないとバカになっちゃうぞ!…といいつつ、ビデオも●●●●してますのでよろしく。
とにかく今日と次回のところは、Marshallとストラトキャスターを食んで生きているようなギタリストの含蓄に富んだコメントを楽しんで頂きたい。

Group_sc_2ではまずコレから…
 
<SC20HとSC212>

0r4a0249_2Marshall(以下「M」):三宅さん、いかがでしたか?
三宅(以下:「Y」):ビックリしました。メッチャいいですね~…ホンマに。
新品って何でもそうですけど、「こなれていない」っていうのがありますよね。ギター・アンプで言えばスピーカーのコーン紙が硬いとか…。
コレはそういうことを感じさせませんね。
同じJCM800でも80年代後半の「ハイ・ゲイン戦争」時代のJCM800ではなくて、Marshall本来のクリアな部分が残っているJCM800という感じ。
ものすごく状態の良いJCM800を「今やっと弾けた!」というイメージです。

0r4a0218_2 M:現在手に入る材料でオリジナルのJCM800を作ってしまったみたいな…?
Y:そうです、そうです。ラインナップを見てもう少しモダンな感じだと思っていたんですけど、違いましたね…コレはうれしいですよ!
JCM800ってこういう音だったですもんね。

0r4a0270_2M:よくわかります。ボリュームを下げた時のクリーンの美しさがまたすごくいい。
Y:4とか7とかフルとか、自分でアンプを試す時のプリアンプのゲインの設定があるんですが、6~8の間にサウンドが激変するゾーンがあるんですね。
その辺りの境目で気に入ったサウンドを見つけるのがいいと思いました。
0r4a0240_2M:ギターのボリュームとの兼ね合いは?
Y:手元のボリュームを下げただけでホントに…多分ヨダレが出ていたと思うんですけど…。
M:いえ、でも三宅さん、弾いてて思わずバッと立ち上がっちゃいましたもんね!
マスター・ボリュームの設定も色々とお試しになられていましたが、やっぱりフルだと粗すぎますね。
Y:はい。音量が変わるだけでなく、そうなると音質が変わってしまいますからね。ボクは4ぐらいがすごくいいと思いました。
M:4でも音量的には十分ですよね?
Y:ゼンゼン大丈夫ですね。バンドの中で使っても、dBという観点からすれば全く問題ない鳴り方をしていると思います。
ゲイン感とか、身が詰まったコンプがかった強い歪が欲しい…ということであればマスターを6ぐらいにするといいかも知れません。
M:なるほど…。

0r4a0210Y:今日ボクはコントロールをすべて「0」にしてから始めました。いいアンプって、アンプにインプットして、音が決まるまでの時間って早いんですよ。
さっきからズッとシゲさんは見てくれていましたけど、今日は音を決める時間がメッチャ短かったでしょ?
M:現場で音を作る時、三宅さんはいつもそんなに時間をかけていない印象がありますけど、確かに今日は早かった。
Y:大体のところをキメてしまうと、後はチョコチョコ触ってもそんなに印象は変わらない。
M:それでも何かEQでの音作りに関して何かありませんか?
Y:いつもの自分のデフォルトのカーブのままですイケましたね。ベースが4で、ミドルが7、トレブルが2.5~3の間。
M:プレゼンスが2ぐらい?
Y:ボクにしては珍しくプレゼンスを上げています。ちょっと上げてやった方が、手元を下げた時の「ベル感」みたいなモノがチャンと残るし、ピッキングの音の一番早いところが先に出て来る感じがするんですね。
もう少し上げても大丈夫だと思います。
0r4a0262_2M:パワー・スイッチをLOWにした時はいかがでした?
Y:「LOW」という言葉があんまり好きじゃないんです…ボクは要らないかな?でもそんなに変化なかったですよね?

0r4a0258_2M:ガクンと音が小さくなるのではなく、サウンドが小ぢんまりする感じでしたね。
Y:そう。家でレコーディングする時にマイクを立てた場合にどうか…っていう感じですよね。
M:三宅さんがコレを宅録で使うとなるとどういう手法を採ります?
Y:ボクは近代的な手法のレコーディングをほとんどやらないし、否定派でいたいんですね。例えやったにしても結果があまり好きでないんですね。
だからアンプの設定を「LOW」にして、最良の音質のまま家で出せる限界の音量にセットして、あとはマイクの音量を調節して、実際に聴こえている音と同じ音で録音できるように注意深く設定する…ということになりますね。
M:完全に従来方式ですね?
Y:そうです。
ま、家で録音する時には2x12”である必要はありませんけどね。
M:そうそう、SC212はいかがでした?Aキャビネットをタテに半分にした格好ですよね。

0r4a0253_3Y:ボクの場合はアングルが付いているとかストレートであるとかよりも、ズッとスタックを使って来たので、そういう意味では何の違和感は何もなかったです。
やっぱりひとつの筐体にシャシとスピーカーと入れたモノとセパレートしているモノとではゼンゼン違いますからね。
その点、ひとつのスタックとしてとても気持ちよく弾けました。
 

<SC20HとSC112>
ヘッドのSC20HはそのままにキャビネットをSC112につないで弾いて頂いた。

0r4a0217_2Y:ボクはキャビネットの大きさ云々より、搭載されているスピーカーの数の方が弾いていて大きな違いを感じるんですね。
レコーディングの時も、一番いいポイント、すなわち聴いている音と同じ音がマイクで拾えるところを狙うということが重要で、その場合スピーカーが1発の方がやりやすいんですね。
だから制作の面から考えるとスピーカー1発の方が向いているかも知れませんね。
2発の方はそれぞれのスピーカーのコーンの動きが完全に一致しないハズなので、チョットしたそのズレが弾いて気持ちのいい部分であったりするワケです。
それが2発入りとか4発入りとかの特長だと思うんです。

0r4a0281_2M:いつか1936の内部スピーカー・ケーブルの長さを変えているという話を思い出します。
Y:そうです。あの効果ですね。
1発の場合は当然そういうことがないのでストレートに鳴っている感覚が強いですよね。
それで、コンボと違ってスピーカーだけが筐体に入っているワケですから、ボクなんかはレコーディングの時などとても音作りがしやすいと思います。
ちゃんとローも出てますし、SC112のトーンのバランスは最高だと思いました。
 

<SC20C

最初、撮影時のルックスを考慮してコンボをSC112に上に乗せていたが、三宅さんはホンノ少し弾いて「コレではダメです」と言って、SC20Cを床に降ろした。
0r4a0179_2M:今度はコンボ…。
Y:思ったより違和感がないですね。セッティングは少しベースを下げて、ハコの振動を抑えるといいんじゃないかな…。
スタックと違って、割と床の材質とかの影響を受けやすいので、ボクがコンボを使う場合はジュータンを用意してアンプの下に敷きます。
そうするとスタジオでもライブ会場でも同じ状態で使うことができる感じがします。
でも…こうして弾いてみると、ナンカあんまりさっきのスタックと変わらない感じがしますよ。

0r4a0294_2M:ウン…何かね~。おかしいな、もっとコンボ感があったつもりだったんですけど…。三宅さんが弾くとそうでもないな…というか、三宅さんの音になっちゃった。
Y:このシリーズが発表になって、海外のデモの動画を色々とチェックしたんですが、それを見る限り、ワッテージも小さいし、コンボが一番トーンのバランスがいいな…と思っていたんですけど…

0r4a0301_3M:けど…ナニ?
Y:…けど、スタックを先に弾かせて頂いて、もう最高だったし、コンボもそのままの流れですね。
さっき言いましたように、ボクの場合はスタックかコンボか…というより、「スピーカーの数」なんですね。SC212のようにスピーカーが2台入っているものはお互いに持ちつ持たれつ、「夫婦」のように鳴っているワケです。
その点、キャビネットにしてもコンボにしてもスピーカーが1台の場合は全部ひとつでこなさなければいけない。

0r4a0313_2M:スピーカーの単身赴任ですね?
Y:(笑)そう。だから負担が大きい。その分鳴り方がハデになると思うので、出過ぎないようにトーンを抑えてやる必要があると思うんです。少しだけベースを下げたりとか…。
ゲイン感とかボリューム感は同じセッティングならばあまり変わらない。聴いている耳の位置や距離の違いぐらいですね。
M:それとインプットの「LOW」の話を…。

0r4a0321_2Y:LOWにつなぐと、すごくクリーンな感じですよね。
ボクは普段「LOW」のインプットにケーブルをさすことはまずないんですが…コレ、いいですね。
たとえば…レコーディングの時にHIGHのインプットで完璧に音を作っておいて、クリーンっぽいサウンドが必要な時に、そのままLOWにインプットしてやるなんていう使い方もいいかも知れない。
いわゆるトランジスタのライン的なクリーンではなくて、真空管を通して作った、まさに「Marshallのクリーン」ですよ。
近代的なアンプの「クリーン・チャンネルです」というのとは全く違うクリーン・サウンド。
M:コレにスタンバイ・スイッチの方をLOWにするとどうなります。
Y:(弾く)…あんまり。やっぱり変わりませんね。
でもすごく太くていいですよ。ゲインを下げるとエレアコまでイケるんじゃないですか?
何だかLOWインプットに新しい可能性を見出した感じですよ!

0r4a0328_2本当に気持ちよさそうに弾く三宅さんなのであった!

<後編>につづく

200 
(一部敬称略 2019年4月都内某スタジオにて撮影)