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2016年12月20日 (火)

LED ZEPAGAIN ロックショー・リバイバル「狂熱のライブ1973」~4th Night of M.S.G.~ <後編>

「オマエなんかにマジソン・スクエア・ガーデンのナニがわかるんだ!?」なんて言われてもイヤなので一応書いておくが、私はMSGに行ったことがあるのだ。
もっとも中には入ったことはないのだが…。
MSGは33丁目の7番街と8番街の間を占めている巨大な建物だ。

M_m1今から21年前。
アメリカに行ったのはこの時が初めてではなかったが、ニューヨークは初体験だったのでエラク興奮した。
ジャズとミュージカルと美術館の旅だった。
宿泊したのがMSGの7番街側の対面の『Hotel Pennsylvania』。
皆さんはGlen Millerの「Pennsylvania 65000」という曲をご存知か?
映画『グレン・ミラー物語』の中で、「新しい曲ができた」とジェイムス・スチュアート扮するグレン・ミラーがジューン・アリソン扮する奥さんにその曲を聴かせるシーンがある。
愛らしいメロディを持った曲で、コーラスの終わりのブレイクで楽団員が「♪Pennsylvania six-five-thousand」と声を発する。
すると、グレン・ミラーが奥さんに尋ねる「わかるかい?ボクらが新婚旅行で泊まったホテルの電話番号だよ」…奥さん感激!
もう長いこと観ていないので「新婚旅行」だったか「楽旅」だったかどうかは定かではないが、初めてのニューヨークで泊まった私のホテルこそグレン・ミラーが泊まったホテルだった。
もちろん、この話を予め知っていてこのホテルを選んだ。
実際、電話番号はその時も「65000」だった。
ところがですね~、部屋は狭いし汚いし…グレン・ミラーどころか『真夜中のカウボーイ』の二人になった気分だった。
それだけ歴史のあるホテルだけあって、設備にも年季が入っていて、ベッドがひどく小便クサイのには閉口した。きっと何万人分もの汗を吸っていたんだろう。
人生初の時差ボケも手伝って夜はまったく寝付けず、整髪料をベッドに撒いてそのニオイをゴマかした。
今ならクレームを申し入れるところだが、当時はまったく英語ができなかったので文字通り泣き寝入りをした。
ホテルがそんな状態でもまだ若かったし、アメリカにあこがれていた時分だ。見るもの聞くものすべてが刺激的で本当におもしろかった。
もう最近はアメリカが苦手で…もちろんアメリカ人の友達ひとりひとりは大好きなんだど、日本人としてあの国を見た時には本当にウンザリしてくる。
今は断然ロンドンの方がおもしろいし、性に合っていると思うけど…デヘヘ、ニューヨークならまたいつ行ってもいいな…。

M_m2コレが7番街側のMSG。
ね、ホテルの対面。
電光掲示板にはプロレスの告知がしてあるが、Eric Claptonのコンサートのサインも出ていたように記憶している。

M_m3こちらは33丁目に沿って8番街側を見たところ。
例の丸い建物が見えてMSGっぽく見える。
え?何で8番街側から撮らなかったのかって?
コワかったから。
現地の人に「ハーレムは言うに及ばず、8番街から西へは危険だからひとりでは行かないように。それとアルファベット・アベニューには絶対に行かないでください」と言われていたのだ。
実際に8番街を車で通ると、街の雰囲気がガラリと変わって、黒人ばっかりになったのには驚いた。
今は知らない。
また、今は全然変わってしまったようだが、当時は南東部にある低所得者層が集まるアルファベット・アベニューがマンハッタンで最も危険と言われていた。
この時はまだ前の前の会社に勤めていた頃で、そのニューヨーク事務所を訪れた時に駐在員に聞いたのだが、私が行ったつい数日前にも「1番街で銃を持った追剥ぎが出た」ということだった。
その人はどんなに短距離でもタクシーを使うと言っていたな…理由は「飛び道具からは逃げられない」だって。メッチャ実感がこもっていたよ。
チョット長くなっちゃって申し訳ないんだけど、もうひとつタクシーのことで。
マンハッタンで一番安全な乗り物はタクシーということだったが、それとは関係なしに現地在住のアメリカ人の友達もやたらとタクシーを使っていた。
日本と違って初乗りが安いということもある。
それでも、呼べば聞こえるような距離でも乗っちゃうんだよね。
「すくソコじゃん!歩こうよ!」と行っても、その友人は「いいから、いいから!」とタクシーを使いまくる。
理由を訊くと、「オレも移民の子だからさ…彼らの生活が少しでも楽になるようにと思ってるんだ」と言っていた。
ご存知の通り、タクシーの運転手はニューヨークで移民が一番最初に就く職業と言われている…
彼は東欧からの移民二世だった。
この話を聞いて翌日から遠慮なく屋台のホットドッグを食べるようにした…ホットドッグ屋はギリシャ系移民が多いんだよね。
…というのはウソで、移民は関係なく、とにかくホットドッグがウマいだけの話。
あんまりおいしくて食べていると鼻歌が出ちゃう。もちろん「Immigrant Song」。
マンハッタンのホットドッグがナゼ故あれほどおいしいのかと調べてみると、牛肉だけのソーセージで作っているかららしい。
私は全部ノッケのマスタード多めが好き!
そういえば「ホットドッグ早食い選手権」で有名なNathan'sが一時原宿に出店していたけど、定着しなかったね~。

M_m4しか~し!
我々世代は「マジソン」といえば問答無用で「バッグ」を意味する。
小学校5~6年だったかな?「マジソン・バッグ」旋風が吹き荒れたのは…。
アレはどうしてあんなに流行ったんだろう?
人気俳優とか歌手が持っていたから?テレビや映画で使われたとか?
何しろスゴイ人気だったよね~。
紺が主流で、みんなと同じモノがイヤだった私は白が欲しかったんだけど、まったく手に入らなかった。、仕方なしに黒を買ってずいぶん使ったけど、最後は富津の海に行った時にビチョビチョのなってしまって、捨てて来ちゃった。

Mb_2さて、マジソン・スクエア・ガーデンの第四夜も中盤に差し掛かる。

10_nqベースのJim Wootenがキーボードの前に座り、曲は「No Quarter」。
いよいよ苦手なLPのC面!

20v…なのだが、こうして聴くといい曲だね~。
何でも「プログレッシブ・ロックっぽい」という評価の仕方があるようだが、ゼンゼン的ハズレだろう。

40_2
ワウを使ったリフがとても印象的。
ところで、「No Quarter」というのは「無慈悲」という意味なんだってネェ。
普通、「慈悲」は「mercy」という言葉を使うでしょ。「ハバマーシー」の「マーシー」。
この「quarter」は戦で敗れた者に対する「慈悲」を特別に指して使う言葉のようだ。
冒頭に書いたように、21年前にニューヨークへ行った時のこと、朝早くに五番街のセント・パトリック教会に行ってみると、出勤前のスーツを着たサラリーマンが祈りを捧げていて、去り際に教会の中のベンチで寝ているホームレスの枕元にそっと5ドル札を置いていくのを見た。アレにはチョット感動しちゃった。
この場合は「quarter」ではなくて「mercy」だ。
で、この「quarter」という言葉は、この曲の題名のように否定の中で使われることが普通の残酷な単語で、ヘタをすると「負けた相手を容赦しない」ということで「no quarter」で「皆殺し」という意訳もできるようだ。
で、ナゼ、「no quarter」でそういう意味になるかというと、「qaurter」には「兵舎」という意味もあって、「捕虜に兵舎を与えない」すなわち「情けをかけない」ということらしいよ。
昔、25セント硬貨もない文無しの歌かとばっかり思っていた。
だって、Boz Scaggsに「Loan me a dime」ってあるでしょ?アレのイメージ。

30_2イケイケドンドンのロックンロール・タイプ以外のこうしたバラードでも抜群のギター・プレイを披露してくれる桜井さん。

50vダブル・ネックに持ち替えて臨むのは「The Song Remains the Same」。

60v_srsアルバムではあんなに初めの方に出て来るのに、実際のステージではこんな真ん中で演奏されていたんだね。

70しかし、コレもカッコいい曲だよね。
そのカッコよさを最大限に引き出してくれるのがKED ZEPAGAINのパフォーマンスだ。

80_rsLPのB面すべてを費やして収録された「Dazed and Confused」。
Jake Holmsのこととかあるけど、ま、いいじゃない。やっぱりLed Zeppelinはカッコいいよ。「改作」ってヤツね。
実際、コレに比べれば「Stairway to Heaven」なんて可愛いもんだけど。
90_dc
当然、この曲のトレードマークのボウイングがフィーチュアされる。

90ココはね~、照明がいつも真っ暗なんだよ…というのを知っているのでシッカリと明るいレンズに付け替えてと…。

100vコレもずいぶんとカッコいいことを考えたもんだよね。

110_2桜井さんのボウが宙を指すたびに大きな歓声が上がった!

120vリフというかテーマというか、考え抜かれたおいしいメロディがたくさん出てきてコロコロと変わる場面をつなげて物語を作っていくサマは、「No Quarter」なんかよりよっぽどプログレっぽい。
「♪プイシ、プイシ、プイシ、プイシ」…Swanとボウイングの絡みもバッチリ。

130そして、この曲の最大の見せ場、ギター・ソロへと続く。
それこそ「狂熱」の桜井さんのソロ!

140_2そういえば先日来日したThe Yardbirdsもこの曲を演っていたよ。
このThe Yardbirdsのライブ・レポートもMarshall Blogに掲載するのでお楽しみに!
そして、この曲の最後の喜び、エンディングのテンポの速いパートへ!

150_2そして皆さんお待ちかねの「階段」。

160_2この名曲の一音も聴き逃すまいと、客席からがコワイぐらい真剣な雰囲気が漂ってくる!

170ロック史に燦然と輝く名曲か…。
チョット前に日本でも大いに話題になった「CLASSIC ROCK」誌の「偉大なブリティッシュ・ロック・アルバム100選」に『IV』が選ばれたのもこの曲が収録されていたという理由が多分にあるんだろうね。

180もちろん桜井さんは隅から隅までまんまJimmy Pageを演ずる。
すなわちあのギター・ソロだ!

170v_2

割れんばかりの大喝采!
そして、ここからショウは一気に後半を駆け抜けていく。

190v_2

ここで「Moby Dick」だ!

200_mbドラムはDerek Smith。

220
アクリルのキットからティンパニーまでドラム機材もJohn Bonhamに倣ったもの。
John Bonhamって60年代にMarshallの広告に出てたの知ってる?

210_2もちろん「手打ち」も!うどんみたいでゴメン!なんていうの、コレ?

230v_2ティンパニーも派手に鳴り響く華麗なるドラム・ソロ!

240v_2いよいよ最終セクションに入る。

250_hbまずは「Heratbreaker」。
またこういう曲を作ってカッコよく演奏するバンドが出てこないかな~。

260_2本編最後を飾ったのは「Whole Lotta Love」。
コレも「胸いっぱいの愛を」としたのは名邦題だろう。
ね、私は何でもかんでも文句をつけているワケじゃないのよ。いいものは「いい」と言う。
こうして見ると、Led Zeppelinの曲はなかなかいい邦題が付けられていたと思うよね。
気の毒だったのは何といってもAerosmithだった…「お説教」とか「やりたい気持ち」とか。

270_wll「♪You need coolin'」…ロックの名曲数あれど、これまた最も有名な歌い出しではなかろうか?

280v_2そして、この曲のハイライトは当然テルミン。

290_2エコー(ディレイ)を効果的に使ったトリッキーなサウンドがすこぶる気持ちイイ!

300_2完全にJimmy Pageになり切ってプレイする桜井さんがまたいいんだ~!

310v_2このアイデアこそワン・アンド・オンリーだよね。誰もマネしないし、できない。フォロワーも生まれない「やったもの勝ち」の極致。
やっぱりJimmy Pageはスゴイよ。

320ステージ後方でマグネシウムが炸裂!

330このスペクタキュラーな演出に演る方も観る方も大興奮のうちに本編を終了した。

350熱演に次ぐ熱演!
大喝采に笑顔で応える桜井さん!

355vそして、アンコール。
「もう4回も演ったよ」とJohn BonhamのセリフをなぞるDerekカウントから「The Ocean」。
ホントだ…このリフは15/8拍子なんだね。
この曲好きだったな~。
ところで『Houses of the Holly』のジャケットはHipgnosisなのは皆さんもよくご存知の通り。
で、このロケ地は北アイルランドにある「Giant's Causeway」というところなんだけど、一度行ってみたいと思ってるんだよね~。
そしたら、Marshallの女性社員が去年ダンナさんとそこを訪れた写真をfacebookに載せていてすごくうらやましかった!
いいな~、イギリス。

360_oc今回、このコンサートのオフィシャル・フォトグラファーに任命して頂きましてね…とても光栄だった。
そんなもんで本番の時は撮影に無我夢中になっていて気が付かなかったんだけど、桜井さん、最初の方で着替えているんだよね。
1973年のマジソン・スクエア・ガーデンでは、映画でのライブのシーンを一回のコンサートで構成されているように見せるため、全公演カメラを回し、後で編集する予定だった。
そのため、3日間とも同じ衣装でステージに上がる段取りだったらしい。
衣装が変わっちゃうと後で編集できなくなっちゃうからね。
ところが、Jimmy PageとJohn Paul Jonesはある時に違う衣装を着てしまったらしい。
映画を観ると、なるほど、Jimmy Pageははじめは星のアップリケのついたスーツを着ているのだが、「Since I've Been Loving You」のシーンから向かって右の前見頃に赤い花のアップリケがついた黒い衣装に変わっている。
そう、桜井さんはそこも再現しているんだよね。
驚いたわ。
コレぐらいやってくれればまさに「Tribute Band」の名にふさわしいのではなかろうか?
桜井さん、のやっていることを「コピー」と呼ぶのは相応しくないだろう。
恐るべしJimy SAKURAI!

370v最後は総立ちの観客の前で四人は「Communication Breakdown」をパワフルに披露した。

380v_2

390_2

400v

410v前々回5時間20分、前回4時間30分、今回は1973年の公演をそのまま再現するということで3時間30分といつもよりは短かった。
しかし、時間の長短などまったく気にならない充実の内容で観客の心を揺さぶった!

420最後は桜井さんからお礼のご挨拶。

440v桜井さん、ますますのご活躍をお祈り申し上げております!
  
Jimmy SAKURAIの詳しい情報はコチラ⇒MR.JIMMY OFFICIAl WEBSITE

450<オマケ>
開演前に楽屋で桜井さんと…。

460vコレは2004年のフランクルとで撮った一枚。
とても大切にしている写真なんだけど、もう色が褪せてきちゃった。
John Paul Jonesと。
この前の年の8月に(前の)赤坂ブリッツで開催された『Guitar Wars』というイベントにJPJが出演した時、JCM2000 DSL100を貸し出した。
その時ちょうどMarshallの扇子を販促物で作っていて、JPJにプレゼントした。
暑い盛りだったのと、Marshallロゴが入っていたので彼はものすごくよろこんでくれた。
そして翌年、すなわちこの写真の時、ジムに挨拶するためにMarshallのブースに寄ってくれたJPJと再会した。
「私のことわかりますか?」と尋ねると、JPJは即座に「ああ、もちろん!扇子のキミだろ!」って答えてくれた。団扇だろうが、扇子だろうが、天下のJohn Paul Jonesが自分のことを覚えていてくれてすごくうれしかった。
写真の向かって左は営業のマーク。
向かって右はキース。強いバーミンガム訛りに悩まされたが、キースとは自分と同じ年ということもあって私とはとても仲良しだった。
Marshallを退社した後も付き合いは続き、来日した際にはウチにも遊びに来てくれたが、数年前、肺を患い亡くなってしまった。
気が優しくて、マジメで、本当にいいヤツだった。キースのことは今でもしょっちゅう思い出している。
    
さて、Jimmy Pageには2010年にロンドンで会った。
あとはRobert Plantか!

9_jpj※明日はMarshall Blogの更新はありません。代わりにShige Blogを更新します。

(一部敬称略 2016年10月21日 EX THEATER ROPPONGIにて撮影)

2016年12月19日 (月)

LED ZEPAGAIN ロックショー・リバイバル「狂熱のライブ1973」~4th Night of M.S.G.~ <前編>

「Led Zeppelinのライブ・アルバムが出る!」と世間が騒いでいたものだから、『The Song Remains the Same』が発売されると、すぐに秋葉原の石丸電気に買いに行った。
1976年…オイオイ、ちょうど40年も前のことだよ!
私が14歳、中学2年生の時のことだからムリもないか。
それまでにもLed Zeppelinのレコードは何枚か持っていたが、ライブ盤にどういう価値があるのかは当時は知る由もなかった。
中学生にとって二枚組のレコードはかなり高価な買い物だったが、ブックレットも付いているし、ジャケットの紙の質が高級で、重厚感があってうれしかったのを覚えている。
ところが…まだロックに夢中になり出してからそう時間が経っていない時分だったので、「Rock and Roll」からのA面の前半3曲には大興奮したものの、B面とC面、それにD面の「Moby Dick」を聴くことはなかなかの荒行だった。
正直、スリ切れるほど聴いたというアルバムではないが、学校に持って行って担任の窪寺先生に没収されたりして、思い出に残るアルバムであることは確かだ。(放課後、先生から返してもらった『永遠の詩』がきれいに新聞紙に包んであった。規則を破った生徒のモノとはいえ、人様のものだからきっと大切に扱ってくれたのだと思う)
しかし、「The Song Remains the Same」を「永遠の詩」としたのはけだし名訳だな…今にして思うと。
「Rock'n'Roll」のイントロの直前の男の人の叫び声が「お~、早く演れよ、お~」って聞こえなかった?
10lpその翌年、その映画が日本でも公開された。
もちろんすぐに映画館に観に行った。東銀座の松竹セントラルだ。
結構混んでいたように記憶しているのだが、松竹セントラルのような大封切館を満員にするほどロック・バンドに人気があったなんて信じられないな。
一体誰があんなに観に来ていたんだろうね。
こんな映画、どう考えたってロック好きの大人しか観に行くワケないんだから。
ナンカそういうところからして今とは隔世の感があるな。
さて、映画の方はというと…ツラかったな~。
当時は何しろビデオもない時代だったので、動くロック・バンドを拝むにはフィルム・コンサートに出かけるか、『ウッドストック』、『バングラ・デシュ』を見るぐらいのものだった。
Shige Blogに『ウッドストック』の思い出を詳しく書いたが、そんなんでも興奮したもんよ。
で、この映画…何しろあの幻想のシーンが長くて長くて…寝た。
それでもところどころ現れる、Led Zeppelinが動いてるシーンには感動したな~。
ところで、今回この記事を書くにあたって気が付いたんだけど、一般的にこれらの邦題は、アルバムは『永遠の詩』といって、映画を『狂熱のライヴ』って呼んでいるのかしら?
それにしてもDVDが何でこんなジャケなの?

20vdvdさて、今年もやって来ましたLED ZEPAGAIN!
今回も東京は六本木のEXシアターでの2日興行で、ライブ・アルバムや映画の素材となった1973年のマジソン・スクエア・ガーデンの公演を再現しようという企画。
本家は1973年7月27、28、29日の3日間の公演だった。
だから、このEXシアターの公演が「4th Night」になるワケ。
そう、今夜は六本木通りが7thアベニュー。
EXシアターがマジソン・スクエア・ガーデンになるのだ。
最寄りの駅はロッペンギ駅をご利用ください。(マジソン・スクエア・ガーデンの地下には鉄道が乗り入れていて、駅の名前を「ペンシルべニア・ステーション」という。愛称が「ペン・ステーション」。だから「ロッペンギ」とシャレてみた)

30冒頭、例年通りEXシアター支配人の倉林さんが登場。
「見てください、このホンモノの機材!」

40もちろん、1973年当時の機材を可能な限り並べてある。

50やっぱりいいもんだよね~。

9_s41a0050 ロックの歴史を作った楽器たち。

70v重いし、手入れは面倒だし…

80取り扱いには滅法気を遣うし…

90vしかし!今の利便性を追求するだけのバックラインとは音はおろか、漂う空気がまったく違うことは間違いない。
「Rock」の空気だ!

100とうとうホンモノのメロトロンまで登場!
日本人のメロトロン好きを知ってのことかしらん…?

110今では滅多に見ることのできない「前時代的」な楽器の王様だろう。
しかし、この音色は何物に代えがたい。
そもそも、エコープレックスといい、ステージに磁気テープが乗っているコンサートなんて今時他にないでしょ?

120倉林さんからマジソン・スクエア・ガーデン公演の説明が加えられる。
ホントに好きだな~、倉林さんも!

130vもう一人ステージに上がったのが照明業者の方。
今回は当時の照明まで再現したのだ!

140いよいよ本編。
「Bron-y-Aur」のオープニングSEに乗ってステージには羽毛が降りそそぐ。

150そしておなじみのドラムのイントロから「Rock and Roll」!

160Jimmy SAKURAi

170vSwan Montgomery

180vJim Wooten

190vDerek Smith

200vロック史に燦然と輝く大スタンダード。
やっぱり問答無用でカッコいい!

210続いては「Celebration Day」。

220_cdライブ・アルバム通りの曲順。
すなわち本家のコンサートもこう進行していたのだ。

230vこのソロもいい加減カッコいいよな~。
桜井さん、水を得た雷魚のような突進ぶり!

240vココで「Black Dog」。
映画では後半に出て来るんだっけ?映画館ではこの場面で目が覚めたのを覚えている。

250v_bdMacの「Oh Well」も好きだけど、「Black Dog」もやっぱりいいナァ。
「Rock and Roll」、「Celebration Day」ときて「Black Dog」じゃさぞかしマジソンは盛り上がったことだろう。
270v

そして、今、我々もそれを味わっている。

265アルバムのRobert PlantのMCを聴くと、「前回とココで演った時と今回の間に『聖なる館』をリリースしました」と言っている。
そして、同アルバム収録の「The Song Remains the Same」を演奏する。
我々にはピンと来ないことが多いと思うが、このライブ・アルバムの音源は1973年のもので、アルバムがリリースされたのが1976年と、当時は3年も前の音源になるワケで、こんなMCをレコードで聴いて、英語圏の人はどう思ったかね?
やっぱり「古っ!」って思ったのかな?
そういえば、「ナンでこんな古い音源をライブ・アルバムに使ったんだ?」という論争を当時ラジオでやってたな。
話を戻すと、そんな時期なので、。『Houses of the Holly』からの選曲が多くなっている…というワケで実際のコンサートの次の曲は「Over the Hills and Farway」。

280_oh牧歌的な静から躍動感あふれる動へと動く瞬間がたまらなく魅力的だ。

280v実は…もう何年も前のことだが、この曲はMR.JIMMYの演奏でそのカッコよさを知ったのね

290今、記事を書きながら当然『The Song Remains the Same』を聴いているんだけど、圧倒的にJPJのベースがあまりにもカッコいいね。
Jimがその役割を完璧にかなす。

300今回が二回目の日本での演奏となるDerek。
Jimとのコンビネーションはバツグンだ。

310vそして、桜井さんの微に入り細にうがったギター・プレイ。芸術だ!

320vということで、またしても『Houses of the Holly』からのチョイスで「Dancing Days」。

330_ddこの曲は「Over the Hills and Farway」のシングルB面だった。
ココ、シングルの両面を演奏したんだね。
こんな曲までマジソンで演っていたなんておもしろい。

340v続いては『IV』から「Misty Mountain Hop」。

2_s41a0200 この曲は「Black Dog」のB面だった。

350_mmh軽快にバウンスする人気曲。
それにしてもすさまじいスモーク!
(行ったことはないが…)まさに富士山頂!コレがホントのMisty Moutain、イヤ、Foggy Mountainか…。
これはいくらナンでもスモークたきすぎでしょう?
最後の方はほとんど影絵みたいになっちゃったからね。マジソンはこんなに煙ってないよ。

360vメドレー形式で「Since I've been Loving you」。
この「Misty」からの流れは当時定番のシークエンスだった。

370_syここは桜井さんの鬼気迫るソロをジックリと味わう。

380v命を削るようにしてひとつひとつの音を紡いでいく姿はまさに「トリビュート」。

390途方もない熱演に大きな喝采が送られた。

400Jimmy SAKURAIの詳しい情報はコチラ⇒MR.JIMMY OFFICIAl WEBSITE

1_img_0357 <後編>につづく

(一部敬称略 2016年10月21日 EX THEATER ROPPONGIにて撮影)

 

 

2016年12月15日 (木)

犬神サアカス團単毒公演「呪歌」~TOKYO BAKA EXPO2016より <sideB>

『TOKYO BAKA EXPO 2016』の犬神サアカス團の二日目。
<sideB>と副題されているが特に意味はない。とりあえず<sideA>の一日目が終わったので、ひっくり返して<sideB>だ。
犬神サアカス團の「バカスポ」への参加は九回目。
Marshall Blogではコレが四回目のレポートゆえ、ほぼ半分の公演にお付き合いさせて頂いていることになる。

10v今日も冒頭は劇団「ああルナティックシアター」の主宰者、橋沢進一さんのご挨拶から。
橋沢さん、今日はまたエラくラフな格好での登場だ!

20v團のみなさんご登場!

30見どころ、楽しみどころ等、しばし前半のコントのコーナーに関するトークが繰り広げられる。
今日も昨日と同じ。
「いつ、誰が、どこで、誰と、何をした」とい、うお客さんから予め集めたお題を演ずるアドリブ・コント。
ただ、お題はクジになっているので、何が出て来るかはわからない。

40いつもはメンバーが引くお題のクジを今回はお客さんにお願いした。

50コレはお題のひとつの「誰が」で当たった田中邦衛を演じているところ。
いつの間にか明兄さんのハマり役になっちゃった!
そういえば、田中邦衛を最近ゼンゼン見かけなくなったが大丈夫なのか?

60今日もナントカうまくまとまって楽しくコント・コーナーを乗り切ました!
ちなみにジン兄さんが後ろで演っているのはオハコの「姫路城」。アレ?「名古屋城」だっけ?

70そして、演奏のコーナー。
あ、オタクのPCがコワれたワケではありませんのでご安心アレ!
場所もセットも衣装も昨日と同じなので、いろいろ考えた末に今日はライブの写真をモノクロでお送りすることにした。
以前どこかで触れたように、私はモノクロの写真を多用しないように心がけている。
だってモノクロ写真って、ゴマカシが効いちゃってうまく撮れた気になっちゃうんだもん。
だから特別な機会を除いては使わないことにしているの。
よくカラーで撮ったであろう写真をモノクロにしてSNSに掲載しているのを見かけるけど、どうもね~。
モノクロで撮って色が見えてこないとダメなんだよね。黒澤の映画もそうでしょ?
Jim Marshallのモノクロ写真なんか実に素晴らしい。色どころか空気まで写ってる。ああいう風に撮れればいいけど、ワタシなんぞとてもとても…。
なんてことを言うと團のみなさんに失礼になってしまうが…。でもね、被写体が被写体だけに、今回は我ながら気に入っちゃったのよ。
そのあたりもゼヒお楽しみくださいまし!

80モノクロの犬神凶子。

S41a0272_2 モノクロの犬神情次2号。

90vモノクロのJCM800 2203と1960A。
機材をモノクロ写真で紹介するのは初めてかも!

100vモノクロの足元。

105モノクロの犬神ジン。

110vモノクロのEDEN WT-800とD410XST。
WT-800は生産終了。
現在はWorld Tour Pro WTP900に移行したことはフル・カラーだった昨日の記事に書いた通り。

120モノクロの犬神明。

130vモノクロのNATAL。
色がサッパリわからないが、タバコ・フェイドというフィニッシュ。
フロント・ヘッドは赤。
赤ひげ先生の本名は「新出去定(にいできょじょう)」という。
「オイ、保本、この患者はオマエが治してやれ」ってね?

140さて、オープニングは長大なキメがクールなハード・ロック・ナンバー「黒い花が嗤う」。

150まずはこのシンフォニックなキメで三人のアンサンブルの妙を楽しむ。

160vこのあたりのサウンドはまさにブリティッシュ。

170vそして凶子姉さんの歌で一気に犬神ワールド!日本の美!
今日も絶好調!
しかし、この曲カッコいいな。

180v続けて「道行き」。
「♪ロックンロール!」…このサビのメロディの展開はまさに犬神がかり!

190_my情次兄さんのギター・ソロが冴える!

200vMCをはさんで久しぶりの「浅草心中」。

210_asコレもスゴイ歌詞だ。
でも、この辺りのレパートリーはどちらかというと私にとっては浅草というより大阪の西成かな?
…というのは、いつも書いているように、この歌詞の雰囲気が黒岩重吾だから。

220v1999年『地獄の子守歌』から「黒髪」。
こうした古いナンバーがスッスと出て来るのは「財産」だね~。「継続」だけが作り出すことができる「財産」。立派な「知的財産」だよ。

230v_kk一気に近作の『ここから何かが始まる』から「逆さ吊りの男が観た世界」にワープ。
明兄さんが軽快なビートを叩き出すが…

240v_somsもちろん歌詞の内容は超ヘヴィ。
この曲のサビの展開も実に團チックだ。
凶子姉さんの巻き舌唱法が痛快極まりない!

250さて、ココからはニューアルバムの『黄金郷』セクション。
昨日は三曲披露した。

260cdせっかく「黄金」が来たので、コイツを紹介しておこうじゃないか。
巨匠ジョン・ヒューストン監督、ハンフリー・ボガート主演の映画。
「シェラ・マドレの宝に魂を売り渡した奴ら」とあるように原題は『The Treasure of Sierra Madre』という。
1948年のアメリカ映画。70年も前の作品ということになる。
日本でのタイトルは『黄金』という。
つまらん題名だが、そうだな~、最近のアメリカ映画が100本以上束になってかかってもこの一本にかなわないだろう。
スピルバーグが黒澤作品と同様に映画の教科書と仰いだ一編だ。
今のアメリカ映画は一体なんなんだ?
「レリゴ、レリゴ」ってマンガばっかりじゃねーか!じゃなきゃ怪獣か怪人だ。実にくだらない!
寅さんが大統領になることだし、日本人はもういい加減「アメリカ」という名の病気を治した方がよい。犬神を聴け!
教えてやろうか…「アメリカ病」で一番恐ろしいのは「食べ物」だよ。コレ以上は言わない。

Tre 前日も取り上げた「死に行く日に」。

270v_syh続けて「パンデモニアム」。
ややノスタルジックなアレンジ。
「pandemonium(パンデモ二アム)」とは「大混乱」という意味。
また「伏魔殿」とか「悪魔の巣窟」とかいう意味の犬神のためのような言葉。
「pan」は「すべて」、「demon」は「悪魔」、これがくっついて「pandemonium」というひとつの単語になっている。
すなわち悪魔が全部集まっちゃった状態だ。

280_pジン兄さんと…

290v明兄さんがクリエイトするエイトビートの見本のようなシンプルなノリが心地よい。

300そのシンプルなエイトビートからコンテンポラリーなメタリックなサウンドに早変わりするのは「サキュバス」。
アルバムでも「パンデモ二アム」に続いて収録されている。

310_saサウンドはメタルでも凶子姉さんの歌い口はやさしい。
ホントに魅力的な声だと思う。
1970年代の中頃、私が中学一年生の時に『夢魔(むま)』というイタリア映画が公開された。その頃私は映画狂だったが、観に行くことはなかった。しかし、当時このタイトルが読めなかったことで印象に残っている。
カルラ・グラヴィア、メル・ファーラー、アリダ・ヴァリ(『第三の男』の人ね)というキャストに音楽がエンニオ・モリコーネという、今にして思えばなかなかに豪華な布陣だった。
で、「夢魔」というのはキリスト教における悪魔のひとつで、夢の中に現れて性交を行うとされる下ネタ系の悪魔なのだそうだ。
この悪魔は男女の別があって、男性型はインキュバスという。コイツは睡眠中の女性を襲い精液を注ぎ込み、悪魔の子を妊娠させるという悪いヤツ。
似たような犯罪が頻発しているところ、今の世の中の方がインキュバスよりよっぽど恐ろしい。
それと、コレはまさに『ローズマリーの赤ちゃん』だよね。
アレはヨカッタね。さすがロマン・ポランスキー。ミア・ファローもジョン・カサベテスもメッチャよかった。
「エイドリアン・マルカトー」という名前は忘れることができない。今でも時々観たくなる。
ちなみにこの映画が撮影されたのは、ジョン・レノンが射殺されたセントラル・パーク・ウエスト、西72丁目にあるダコタ・ハウスだ。

さて、この夢魔、女性型をサキュバスという。
こっちは寝ているの男性を襲い、誘惑して精を奪うという。誰だ?うらやましいとか言ってるのは?!
笑っちゃうのは、コイツら下半身丸出しで現れるんだって!要するにそそってるワケ。
オイオイ、こんなの、今時実際に捕まってるヤツら珍しくないじゃん!

320vメタリックな曲調にピッタリのドライビング・ソロ!イケイケ~、後輩!

330vMCの後は『ここ何』から「悪逆無道」。
情次兄さんがギターで奏でるメロディは一時期ライブのオープニングSEに使用されていたもの。

340v_agmこのメロディはアルバムの中で何回か登場するが、その中のひとつで「闇」という凶子姉さんの語りの曲があるが、コレはおもしろいな~。日本のロック史上、こんな曲初めてなんじゃないの?
ポール・マッカートニーの歌みたいにバカスカ固有名詞が出て来ちゃう。

350アルバムのクローザーでもある「悪逆無道」はサバスチックなヘヴィ・チューン。
そのテーマ・メロディを凶子姉さんが繰り返し歌う中間のパートがすこぶるカッコいい!

360v日野日出志のジャケットが目を引く『地獄の子守唄』からタイトル・チューン。
小学生の時、日野日出志には本当にショックを受けたね~。
今のアニメ好きの若い人たちは知っているのかしらん?「わたしの赤ちゃん」とか「蔵六の奇病」とか。
旦那さんが動物をくっつけちゃう秘密の実験をしているのを知った妊婦の奥さんの悲劇は何ていったっけ?

370_jkいよいよ『呪歌』の二日目も最後のセクションに差し掛かる。
名曲「運命のカルマ」。

380v_uk目の覚めるようなストレートなハード・チューン。
明兄さんが叩くNATALのラウド・サウンドが会場の空気を揺るがす。

390vEDENのクリアなトーンでドライブ感を倍増させるジン兄さんのベース。
410
7/8と4/4を組み合わせた変拍子のキメ・パートから炸裂する情次兄さんのソロ!
やっぱりこういうのはMarshallじゃないとダメだね。

400そして「ドグマの呪い」で本編を締めくくった。

420v_dnアンコールの演奏に入る前に今日も情次兄さんから重要なご講和。
内容は昨日同様、平和な日常に突然起こった「地獄」の話。

445v

アンコールは待ってましたの「白痴」!
「♪どうせブァカなんだろろろろ!」
カッコいい~!

430

460v

470

480v

440v
つーことで、今年も「バカスポ」は大盛況のうちに終了した。
ハイ、カラーに戻します。『オズの魔法使い』みたいでしょ?
こんな色でした~!

犬神サアカス團は『黄金郷レコ発巡業』と銘打ったツアーを開始する。
初日は21日の広島。
東京公演は年明けの5日。
コリャ正月から「自殺」だの「地獄」だの「ウジムシ」だの…にぎやかになりそうだワイ!
  
犬神サアカス團の詳しい情報はコチラ⇒犬神サアカス團公式家頁

500<オマケ>
【犬神サアカス團のMusic Jacket Gallery】
犬神サアカス團のアルバムのジャケットがいい。
特に最近入れ込んでいるっぽい、横尾忠則調のコラージュ・タッチがとても好き。

510cdコレなんか『Joe's Garage』の頃のCal Schenkelみたいだもんね。

520cd『Uncle Meat』を思い出しちゃう。

Um コレも色合いが実によろしいな。

530cdここからシンメトリックの世界が始まる。

540cd私はこういうゴチャゴチャっとしたにぎやかなデザインが好きでしてね~。
Toddの『A Wizard, a True Star』も中学二年の時に半ばジャケ買いした。

Wt そして、今回の『黄金郷』。
中身もジャケットもドンドンよくなる犬神サアカス團なのだ!

550cd
1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square
★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。 詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2016年10月20日 下北沢楽園にて撮影)

2016年12月14日 (水)

犬神サアカス團単毒公演「呪歌」~TOKYO BAKA EXPO2016より <sideA>

「♪心臓、膵臓、そして子宮、肛門へ」…と歌ったのは名古屋の「なぞなぞ商会」。
ご存知の方もたくさんいらっしゃるだろうし、何度もココで言及しているのでMarshall Blogの読者であれば、世代が異なる人でもその名前ぐらいはアタマのどこかに残っているかもしれない。
説明が過去と重複してしまうが、なぞなぞ商会はFrank Zappaの曲を日本語で演奏する「尾張名古屋は芸どころ」を地でいくようなスゴいバンドだった。
本当にZappaがそういうことを歌っているかのように思えるほど強烈な歌詞もバンドの魅力のひとつだった。
で、上の歌詞の曲、コレはZappaのナンバーではなくて、『Rocky Horror Show』でRiff Raffが歌う人気曲「The Time Warp」に当てられた歌詞。
もちろん原曲では「Heart, pancreas, and womb to anus」などは歌っていないことは舞台なり映画をご覧になった方はよくご存じだろう。
元は「♪It's astounding  Time is fleeting  Madness takes its toll」という歌詞だ。
「astound」というのは「ビックリ仰天させる」という意味。
「fleet」は「素早く過ぎ去っていく」ということ。
すなわち、「光陰矢の如し」でビックリ!と言うこと。「狂気は通行料を要求する」というのは、アッという間に過ぎる時間の代償は安くない」、つまり「少年老いやすく…」ということを言っているのだろうか?
考えてみると、この曲がアメリカのPromで必ず取り上げられたり、今でもダンス・パーティでの定番曲になっているのは、英語圏の連中にとってこの曲は、過ぎ去った時間を懐かしみながら踊る楽しさがあるのだろう。
実際に去年もイギリスに行ってMarshallの社長主催のパーティに出席した際、ダンスの部で「The Time Warp」がかかってみんな喜々として踊ってたよ。
コレとてかなり古いが、昔のディスコで「YMCA」がかかった時の状態と同じだった。
私だって「東京音頭」さえかかればな~。(ウソ、実際には全く踊れない)
「え、イギリス人もRocky Horroe好きなの?」なんて思わないでくださいね。
映画で有名になった節もあるけど、『Rocky Horror Show』は元々イギリスのモノですからね。作者のRichard O'Brienはイングランド南西部のチェルトナムの出身だ。
さて、何が言いたいのかというと「Time is fleeting」ということ。
チョット前に「Time flies!」で大騒ぎしたばかりなので、チョット目先を変えてみたのだが、とにかく時の経つのが早すぎる!
マァ、毎回こんなこと書いていたらキリがないんだけど、今回はホント、早すぎるわ。
ある日、犬神サアカス團のスタッフに新宿の楽器屋さんでバッタリ出くわして、「もうすぐ『バカスポ』ですね」なんて言うんだもん!
「アッレ~?チョット前にやったばかりでしょ!」とただ驚くばかり。
『TOKYO BAKA EXPO』は毎年10~11月にかけて下北沢の「楽園」で開催されているアングラ・エンタテインメントの祭典だ。
一年の早さにも驚くが、お手伝いするのが今回で四回目だっていうのもにわかには信じられないんだよね~。
チョット前に犬神サアカス團と知り合って、浅草の「蛇骨湯へ行こう!」なんて話を明兄さんとしたばかりのような気がするわ。
歳を取ると、子供の時に比べて時の速さは3倍に感じるようになる…なんてことをナンカの本で読んだが、コレ、気をつけていないとアッという間に還暦が来るぞ。
皆さんも決して笑いごとじゃなござんせんぞ!

10v演劇からお笑いまでバラエティに富んだ出し物で構成される「バカスポ」にあって、犬神サアカス團のステージはハイライトのひとつだ。
今年は主宰する劇団「あぁルナティックシアター」が結成30周年を迎えるとあって、犬神が何と二日間にわたって登場するというスペシャル企画!今日はその一日目のレポートとなる。
まずは冒頭いつも通り、「あぁルナティックシアター」の座長、橋沢進一さんからご挨拶。
相変わらずいい声だな~、橋沢さん。
みなさんもテレビで時々お見かけするでしょ?
橋沢さんの30年もさぞかし早かったことと思う。
そこで、昔ばなしが出た。
「むかし~、むかしのことじゃった~」…それじゃない!
普通の昔の話。
それは、劇団の名前に関すること。「あぁルナティック」なんて変わった名前だな…とは思っていたがヤッパリ。
元々は普通に「ルナティックシアター」という名前だったのだが、これだと頭文字が「る」なので、「ぴあ」への情報掲載順が後ろの方になってしまう…。
ムムム…チョット待てよ。
もしかして、もう「ぴあ」自体知らない若い人も多いんじゃないの?
今でいう「タウン情報誌」っていうの?
最初の頃はペラッペラだったけど、しまいにゃ何でもかんでも載っかっちゃって雑誌みたいになった。
映画の時間を調べたり、ライブハウスの出演者を確認したり…とずいぶん私もお世話になったし、高校の時のバンドを名前だけ載せてもらったことがあった。
他に「シティ・ロード」なんてのがあったよね。
閑話休題…。
「高校の時のバンド」っていえば、こないだの日曜日、またビックリすることが起こったのよ!
マァ、私も「ビックリ」の安売りばっかりで、まるで「驚きの殿堂」なんていわれているけど、(コレがホントの「びっくりドンキー」←ホントはコレが言いたかっただけ。あ、ご存知ない方のために一応書き添えておきますが、『安売りの殿堂 ドンキホーテ』にかけているんですよ)ホントに驚いたな~。
その出来事とは…夕方の寒い中、吉祥寺のシルバーエレファントの前を通り過ぎようとしたら、「Marshall GALAの人ですよね!」と見知らぬ方に声をかけられた。
最近はおかげさまでそれっぽい場所に行くと、ありがたくもお声をかけられる機会が滅法増えた。でも「Marshall GALAの人」と呼びかけられたのは初めてだった。
「はい。その通りです、お越しいただいたんですか?ありがとうございます!」なんて話から会話が始まった。
何でも、その方は私と話がしたくて、どこかでバッタリ出くわすチャンスをずっと狙っていたとおっしゃるのだ。
何のことかと思ってお話を伺うと、Marshall Blogの「GALAレポート」の「稲葉囃子」の回についてのことだった。
その記事に私は高校時代に出場したある楽器店主催のバンド・コンテストのことを書いたのだが、ナント、その方もそのコンテストに出ていらっしゃったというのだ。
ザッと37年前の話!
寒風が吹きすさんでいることも忘れて大笑いしちゃった!
ビックリもしたけど、多くの方々にMarshall Blogをチャンと細かく読んで頂いていることがメチャクチャうれしかった。
同時に「ヘタなことは書けないな…」と自重した次第。
Neo-Zonkファンということで、話題がショボンちゃんに移り、その方が「NATAL」という名前をごく自然にお口にされたこともうれしかったな。まだまだだけど、もうNATALは日本でも完全に「Unknown drum brand」から脱したことを確信した。
あの時の方、お声をかけてくだすってありがとうございました!
  
さて、話を元に戻すと、橋沢さんは一計を案じて「ぴあ」の「演劇」のページの初めの方に「ら行」の「ルナティック」が掲載される方法を思いついた。
それはアタマに「あ」を二つくっつけるというアイデアだった。
「あ」が一個では効果が薄いので、二つ付けたというところが賢いではないか!
果たしてその結果は…「あぁルナティックシアター」は「演劇」のページの一番目に躍り出ることに見事に成功したそうだ!
コレを聞いて、筒井康隆で同じような話を思い出した。
それは「ん」。
居酒屋だか小料理屋が「電話帳で目立ちたい」と思い立ち筒井康隆に相談した。
当時、電話帳には「ん」の項がなかったので、店の名前を「ん」にすればそれだけで一項設けなければならず、しかも掲載されるのはその店だけ…とあって絶大な効果が期待できた。
電電公社にその旨を申し入れに言ったら。「アンタ、そんなことできるワケないでしょ!」と取り付く島もなかったという。
ホントかどうか知らないよ。でも、ホントに言えることは電話帳とかアドレス帳って見なくなったよね。
あと、家に必ずあった電話番号簿。アレもなくなった。
「あ」と「ん」で期せずして狛犬の話みたいになっちゃった。
とにかく時は経ったのだ…。

20さて、時は経っても変わらないのが前半のコント。
今回も「いつ、だれが」のヤツで盛り上がったよ~!

30このシリーズも三回目とあって大分フックのパターンがキマって来てやりやすくなりましたな。
明兄さんの田中邦衛とか…。継続は力なりだね。

40演ってる本人が楽しんじゃってるもん!

50vしかし、破天荒とはいえ、橋沢さんの名アシストも手伝って、なかなかうまくまとめて来るあたりはサスガ!

60実は今、ステージの上の五人に私を含めた計六人のうち、四人は同じ大学を出ているのよ!スゴクない?2/3だよ!
だから「バカ・エキスポ」だったりして?! あ~、またしても私が最年長だ。
ステージの方は…お後がよろしいようでございました~!

70休憩をはさんでお待ちかねの演奏のコーナー!

80犬神凶子
以前にも書いたけど、ウチのPCは「きょうこ」って打って変換キーを打つと「恭子」でも「京子」でも「今日子」でもなく、一番最初に「凶子」と変換されるからね。
最強だぜ、ウチのPC。

90v今年もゴキゲンなバックラインがセットされた。

100犬神情次2号

110vJCM800 2203と1960A。
ナンカここへきてJCM800プレイヤーが目立ってきたね~。

120v犬神ジン

130vEDEN WT-800とD410XST。

140v現在、EDENのフラッグシップ・モデルはWT-800からWorld Tour Pro WTP900に移行している。
「World Tour Pro」なんてタイガー・ウッズみたいでカッコいいべ!

150_900_2そして、今バツグンの人気を集めているのが500Wのコンパクト・ヘッドTERRA NOVAだ。

9_stn501_hr_3 犬神明

170v明兄さんはNATAL。
今日はバーチ。
タムはいつもと異なり10"と12"が組み込まれた。

190情次兄さんのソリッドなギター・リフでステージは幕を開ける。

200_ud2000年発表の『赤猫』から「鬱病の道化師」だ。
いきなり「ウジムシ」だよ。

210v続けて「命みぢかし恋せよ人類!」。

220_imk2003年のメジャー・デビュー・シングル。

230なるほど、コレいい曲だね。
チョット「I can't Stop Falling Love with You」を思わせるメロディがグッとくる。
凶子姉さんの声がベスト・マッチ。

240v「あぁなるティックシアター30周年」への献辞を含めた凶子姉さんのMCをはさんで「赤猫」。
今日は旧作が多いね。

250v_an「あかねこ」ってワープロで打っても「赤猫」って一回で変換されないでしょう?
よくない言葉だからだ。放送禁止用語なのかな?
「放火魔」という意味。だからそういう歌詞になってる。
「赤猫這わしたろうか!」とかいう表現があるらしいんだけど、私は聞いたことがない。
コレは「火を点けるぞ!」という脅し文句で、猫に火を点けて相手の家に放り込むことが元になっているらしい。つまり「赤猫」とは「火の点いた猫」ということだ。
オイオイ、物騒だな~。無茶しちゃイカン!

260v

演歌調マイナー・チューンとでも言うのか、犬神サアカス團の固有パターンのひとつ。

270v続いては「けもの道」。

280_kmコレも「赤猫」系の曲調。
凶子姉さんの歌いっぷりの妙が味わえる。
しかし、この歌詞!

300v2007年のシングル「地獄に堕ちた子供たち」を続けて演奏。

310_jok軽快なジャンプ・ナンバー。
リズムはプリプリの「ダイアモンド」と同じだが、こっちは「地獄」だ。
向こうの場面はキラキラと光り輝くダイアモンド。こっちの場面は針の山やら血の池地獄やら…。「ダイアモンド」か「地獄」か…どっちを選ぶかはアナタ次第。
オレは「ダイアモンド」を選んで黄金郷でリラックス。
320v
いつも犬神の曲を聴いていて思うんだけど、最も歌詞に多く出て来る単語ってナニかね?
誰か統計を取ってくれないかナァ。
間違いなく「地獄」はAクラスに入るよね?トップは「死」か?
290v
ということでホラね。
ニュー・アルバムから「死に行く日に」。
シンプルな歌詞からジトっと深い犬神ワールドがにじみ出す。

Img_0041_1重苦しいギター・ソロも実にいい感じだ。
この曲はPVも公開されている。
どこで撮影したのか見てすぐにわかっちゃった!こないだ私はココで若手バンドのアー写を撮影したよ。
あ、夢を壊すようなこと言ってスミマセン!

Img_0072さて、コレが11月9日にリリースされたニュー・アルバム『黄金郷』。
ね~、ジャケットが心臓でしょ?
ここで記事の一番最初につながるワケ。
スゴイね、マーブロって。
このライブの時にはファンはまだ誰も聴けてない状態。
この後、もう二曲ほど『黄金郷』の曲を演奏した。
あ、言っとくけど「桃源郷」じゃないからね。間違えないでね。「黄金郷」だから。

Okヘヴィな7/4拍子のリフは「虎の威を借る狐」。

330_tikkストレートなドライブ感も犬神の大きな魅力だ!
340v

そのドライブ・フィーリングは「生存狂騒曲」で爆発する!

360_skkシンプルなE7#9のイントロからスタートするすさまじい疾走感!

370犬神リズム隊の面目躍如たるところ!
390
「♪偉い和尚さん現れて 川の向こう手招く」
「♪死んだ母様現れて お花畑いざなう」…って、いったいどんな歌詞よ!
童謡の一節も引用されてメッチャかっこいい。
メロディの最後をクロマチックで〆るのも「團チック」だ。

380vそして、情次兄さんのドライビング・ギター!
この曲は情次兄さんの作品だ。

400v
「ニュー・アルバム13曲のうちもう3曲も演っちゃったよ!」という凶子姉さん。
前作『ここから何かが始まる』から「死ねばいい」。

410_si犬神サアカス團のツイスト!
ノリノリだよね~!

420ライブの定番「自殺の歌」。

430_juコレって聴き方によっては、暗黒の「横浜たそがれ」だね。
実にカッコいい!

440v「スタジオ作りたい…『犬スタ』。それよりも『犬ハウス』。介護施設なの。とか、『犬スホステル』もやりたい」…とMCでやっておいて、ステージは最後のセクションに突入する。
「犬ハウス」って考えてみると単なる「犬小屋」のような気もしますが
「光と影のトッカータ」!

450_hktコレもライブの定番とだけあって大盛り上がり!

460vしかし、このバンドのレパートリーの層の厚さってスゴイものがあるよね。
掘っても掘っても出て来る感じ。

470v_zp22年のキャリアと休みなく作品を世に放ち続ける創作意欲がなせるワザだ。

480v
さらに「残酷楽園」で激走して本編を終了した。

490アンコールに入る前に情次兄さんからスゴイ話が披露された。
今になって考えてみると、その話、つまり情次兄さんの体験がナンダカンダ言って一番「残酷」で「地獄」で「死」だわな~。
書きたいけどガマン、ガマン。

Img_0287
…と気を取り直してアンコール。
「最後のアイドル」で景気よくsideA>を締めくくった。

500v

510v

520v

530v犬神サアカス團は『黄金郷レコ発巡業』と銘打ったツアーを開始する。
初日は21日の広島。
東京公演は年明けの5日。
コリャ正月から「自殺」だの「地獄」だの「ウジムシ」だの…にぎやかになりそうだワイ!
  
犬神サアカス團の詳しい情報はコチラ⇒犬神サアカス團公式家頁

540

<sideB>につづく

  
1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square ★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版) ★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。 ★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。 詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2016年10月19日 下北沢楽園にて撮影)

2016年12月 7日 (水)

野獣 NOKEMONO LIVE at 鹿鳴館

通称「ワテロク」…つまり先般シリーズでレポートした中野重夫の還暦記念コンサートでも触れた通り、野獣が復活しツアーを敢行した。
今日はその東京公演のもよう。

10まずはオリジナル・メンバーの紹介から…
ボーカルはAce Nakaya

20vギターはおなじみShigeo "Rolla" Hendrix…中野重夫。なんか、シゲさんステージネームがスゴイことになってるな。

30vベースが千蔵"Cherry"正明。

40vそして、この三人に加わったサポート・メンバーは…
ギターに日下部"Burny"正則。

50vドラムに川口千里

60v野獣のウリのひとつはよく練られたメロディを一糸乱れぬコンビネーションで聴かせるツイン・リード・ギターだろう。
その魅力は、長い付き合いのバーニーがサポートで参加したことによって倍増した。
そして、この手の音楽になくてはならないのがMarshallだ。

70シゲさんは…あ、今日はRollaか…。
「ローラ」ったって「カローラ」のローラだからね!

80vRollaのMarshallは1959SLPと1960A。
今日はストラトキャスターで見慣れた「中野重夫」ではなくて、VとSGの「Rolla」だ。

90足元のようす。
Rolloverの時とは異なりかなりコンテンポラリー!
細かく書いてあるのは曲の出だしのキッカケとか構成とか…。
こんなに細かいの本番中に読めるワケない!
こういうところがいかにもシゲさんらしい。一種のお守りということなのだろう。

100バーニーのMarshallも最近は小型化が進んで1936を使ったりしているが…

110v今日は1987Xと1960Aのハーフ・スタック。
やっぱりバーニーほどの名人は4X12"キャビでド~ンとブチかますのがお似合いだ!

120v_2バーニーの足元。

130冒頭、バーニーのアルペジオに導かれて曲が始まる。
240v
一曲目は「Down to Hell」。

140_dth「いかにも!」という感じの「日本のハード・ロック」チューン。
野獣が「80年代の新しいメッセンジャー」としてデビュー・アルバム『地獄の叫び From the Black World』をリリースしたのは1979年のこと。
サウンドといい、歌詞といい…瞬時にして鹿鳴館はその時代にタイムスリップした。
この時私は高校二年生だったんだけど、ご多聞に漏れずそのバンド名を「やじゅう」と読んだ。
いわゆるジャパメタ・ブーム以前。イギリスではパンクの嵐が吹きすさんでいた時代。
早熟だったのか、歳を取っているだけなのか…私はコチラ、すなわち「ジャパメタ紀元前」の世代だ。
150vコレコレコレコレコレ、ハード・ロックのツイン・リード・ギター。
いいよな~。

160こういうバンドってホントになくなってしまった。
今でも超絶技巧を使ったリード・プレイ・アンサンブルを聴かせるバンドもあるが、違うんだよな~。
この「Wishbone Ashを通って来なければ絶対に生まれてこない精神」っていうのかな?
「ブリティッシュ・ロックの香り」っていうのかな?
何しろ日本人の心の琴線に触れまくるパフォーマンス…それがこの手の「ツイン・リード」だ。
170そのツイン・リード・ギターを着実にサポートするCherryさんの低音!

S41a0096 そして、今回の見どころのひとつ、千里ちゃんのドラミングが暴れまくる!
千里ちゃんはヒロアキくんのソロ・コンサート以来のMarshall Blogへのご登場。
今回の衣装は「野獣」Tシャツ。
街で「野獣」なんてTシャツを着ている女の子に出くわしたらビックリするだろうな。イヤ、「野獣」ファンと納得するべきか?

180一曲終えたところでAceさんがご挨拶。
「35年ぶりの東京です!昨日は厚木で騒いで…今日はもっと騒ぐぞ!」
35年ぶり!
歓声を上げたお客さんはその時から35も齢を重ねたといいうことか…あ、ワタシもだった。

190v二曲目はデビュー・アルバムのタイトル・チューン、「From the Black World」。

200_ftbwまたAceさんの声がいいんだよね~。
そして、「ロックのコブシ」とでも言おうか、歌い回しが完全にソレなんだよね。
今の若いバンドってこういうメロディのなぞり方をしない。
それも最近のバンドの「ロック臭」を抑えている要因のひとつといえるだろう。

210ココでも二人のギターがタップリとフィーチュアされる。

220v

S41a0063 間髪入れず「Big Wednesday」。

230_bwズンズン来るヘヴィなテイストがタマりまへんな~。

250バラード「灰に消えた過去」。
「灰」といえば、この時代、東京のミュージシャンはハイライトを吸っている人が多かったナァ。
ちなみにハイライトのパッケージのデザインは和田誠の仕事だ。

260_hiメンバー紹介を経て「偽曲」。
シゲさん、イヤ、RollaはVもよく似合う。本人曰く、「フライングY」だそうです。また、「末広がりの八」でもあるそう。

270gkここも続けて「Love Machine」。

280_lmそのままステージの照明が落とされ、ピンスポットはシゲさんに…あ、Rollaに!

340_gs

「アメリカ国家」以外では珍しいシゲさん(ココはOK)のア・カペラのギター・ソロ。
360v
ん~、聴き慣れたMarshall+ストラトでなくして、このVのコシのあるサウンドも素晴らしい。
どういう事情があるかは「ワテロク」のレポートをご参照頂きたいが、シゲさんは現在オール・タイムのギタリストではない。
しかし、研究に研究を重ねて完成させた「トラクション・コントロール・ピッキング(逆アングルピッキング)」がヒネリ出すトーンはシゲさん独特のモノで、日本屈指のギター・サウンドと呼んでもよかろう。

350
ココは「Ezy Rider」やチラリと「Purple Haze」を引用して自分のルーツをシッカリとアッピールした。

S41a0211 次に「蟻地獄」。

290_ajこんなアクションも!チョットしたEXILE状態?
Aceさんはとてもいいギタリストでもあるからね。

300出身地が近いということで耳栓をしながら参加している千里ちゃん。「野獣はウルサイ」って!MCで大ウケ。
何しろバッシバッシと気持ちいいドラミング!
いつも書いている通りこういう新旧の交流は大歓迎だ。

305v「時々休まないと息が切れる」と小休止がわりのMCをはさむ。
Aceさん、トークめっちゃ上手だからね。MCも楽しみだ。
休憩の後は「アンジー」。

310_ang続けて「閉ざされた街」。
OZの「♪腐った猫」とは同名異曲。アチラは「町」だ。

320_tm「失われた愛」。
申し遅れましたが…現役時代、私は野獣を観たことなかったんです。
「野獣デビュー」みたいなチラシを野音でもらった記憶があるんだけど…ああいうの捨てないで取っておけばヨカッタなぁ。
もうチョット言うと、音も聴いたことがなかったの。
この頃は聴く音楽としてはプログレッシブ・ロックに夢中で、ごく一部を除いては日本のロック・バンドのレコードにお小遣いを充てる余裕がなかったのね。
だから、今こうして野獣に接してみると、ずいぶん時代は変わったナァと思うよね。
それを顕著に感じることのひとつはこれらの曲のタイトル!
今は耳にしないテイストのものばかりだ。実に味わい深い。

330v_ua今度はバーニーのソロ!

470
もうね~、ホントいいわ。
まさに「燃えたぎるギター」。
いつもバーニーのプレイを「ロック・ギターの教科書のような」と表現しているが、やっぱりその通り。
何のギミックもない正統派ギターは内野ゴロでランニング・ホームランをしてしまうような豪快にして爽快な魅力がある。
それでもシゲさんは、前日の厚木でバーニーが猛烈な速弾きを披露したので、今日はそれに対抗して自分らしさを出すべく、上に書いたようにヘンドリックス・フレイバーをマブしたのだそうだ。

480v

そして、このMarshallサウンド!
いいとか悪いとかでは全くなくて、このステージでは100Wと50Wの違いがよくわかるサウンドを聴くことができた。

Img_0086 ドンドン出て来るレパートリー…「Wait a Minute」。
「昔取った杵柄」とはいえ、シゲさん、コレ覚えるの大変だったろうナァ。

370_wam

ショウはいよいよ最後のセクションに突入する。

400v

「Back Street」…

380vSGに持ち替えたRolla。
DYNAGONの時はいつもSGだが、このギターのシェイプもシゲさんによく似合う。
そう、シゲさんってギター自体が似合うんだよね。
440
「You Believe in me」…

390_bs実はバーニーは高校生の時に野獣に誘われたことがあったそうだ。
ご両親に相談すると「頼むから高校だけは出てくれ!」と言われ断念。
もしその時野獣に加入していたらどうなっていたか…。
こうなっていた!

410当然、千里ちゃんもソロを披露。
お待ちかねの人も多かったのでは?

490
スティック・トリックでも魅せる!

510v
ハッシ!
難なく着地成功。

520v

失礼ながら、時に「早く終わって頂けると大変ありがたい…」というドラム・ソロも世の中にはあるけれど、千里ちゃんのソロは見ていてゼンゼン飽きないナァ。
もうドンドン演っちゃってくだされ!

530

曲は「Runaway」。
現役時代リーダーだったCherryさんの作品。

420vこの曲は何とカラオケになっているそうだ。
ところが、「野獣」を「のけもの」ではなく、「やじゅう」と誤って登録してしまったため、歌手検索を「ナ行」でしても見当たらない。
「ヤ行」のページで「八代亜紀」の次に出ているそうだ。
ま、両方ともMarshall Blogつながりということで…亜紀さんはコチラでご登場頂いている。「八代亜紀」から「野獣」まで…こうして見るとMarshall Blogスゴクない?
450
とうとう本編最後の曲、「Blue Scorpio」。

430vこうして見るとみんな実に楽しそうだ。

460もちろん客席も35年ぶりに東京に現れた野獣たちのワイルド演奏を存分に楽しんでいた。

560

アンコールは「Let's Break」と…

570_en「Terrible Noght」の二曲を披露。
結果、デビュー・アルバムを全曲演奏するという当時のファンにはタマらない内容になった。

580熱狂冷めやらない観客のアンコールに応えて五人は再びステージ現れ「Born to be Wild」を演奏してすべてのプログラムを終了した。
550v

590v

600v

610v

620vイヤ~、おもしろかったな~。
やっぱりこういうブルースに根差した伝統を踏まえたロックを聴かせてくれる正統派バンドの演奏というのはいいね。
「いい音楽を聴いた!」という幸せな気分に浸らせてくれる。
また、来年の5月も決まったみたいよ。
今回見逃した方はゼヒ!若い人にも見せてあげて!
  
中野重夫の詳しい情報はコチラ⇒facebook

630(一部敬称略 2016年10月16日 目黒鹿鳴館にて撮影)

2016年12月 6日 (火)

LOUD PARK 2016 ~ KUNIの巻

今回、短いながらもDougやUliに会って挨拶できたのはうれしかったな。
Uliなんかまったく相変わらずのトーンで、「シッゲ~…」みたいな。
Dougが来ているのを知らなかったので、Fury of Fearの楽屋の前でバッタリ出くわしてお互いにビックリ!
さて、FOFの後、バトンがBIG ROCK STAGEに渡され、次にULTIMATE STAGEに立ったのは…

062010年以来の登場となる…

10_2KUNI!

20vDarren Smith

30vTony Montana

40vそしてドラムはPONサマ。我らが山口PON昌人!

50vご存知の通り、ギタリストとしては海外での活動が長いKUNIさん。
HR/HMのフィールドで、KUNIさんのように筋金が入っている人はまずMarshallだ。

80

この日はJCM2000 TSL100のフル・スタック2セットがステージにセットされた。

140v
1曲目は2000年のアルバム『Fucked Up!』から「Tear it Down」。
この「tear」は「涙」の「ティア」じゃないからね。
「テア」と発音して、「引き裂く」という意味。この動詞は「tear-tore-torn」と変化する。
ポール・ニューマン、ジュリー・アンドリュースにルドヴィク・ドナスが共演したヒッチコック後期の作品に『引き裂かれたカーテン』ってあるでしょ?あの原題は『Torn Curtain』という。
まさに圧倒的なパワー・プレイで会場の空気を引き裂いたKUNIさん!
あ、それとちなみに「tearing down」で、日本で言ういうところの「撤収」という意味になるので覚えておくと便利だ。ようするに「バラシ」のこと。同じ意味で「dismantle」という言葉もよく使われる。どちらかと言うと「tearing down」はアメリカ、「dismantling」はヨーロッパでよく聞くかな?

70v
KUNIさんのパワフルなギターを迎え撃つPONさん。
こういうハデなステージではPONさんのドハデなドラミングがベストマッチするね。
実に気持ちいい!
曲は同じアルバムから「Hard Life」。

90v 今度はTonyがマイクを握る。
歌い手がジャンジャン替わっていくのだ!
曲は1986年発表のKUNIさんのファースト・アルバム『Masque』から「When we Rock」。

110Tonyに代わってベースに入ったのは長谷川淳。
淳さんはチョットまえにYOUさんの3 tea 3でご一緒したばかり。
バッタリ会ってビックリしちゃった。

120vギターを持ち替えてますます冴えたソロを聴かせるKUNIさん。

130v
まだまだ変わる局面。
4曲目の「Shine on」は1988年の『Lookin' for Action』から。

150このセクションでヴォーカルで加わったのがJeff Scott Soto。
守くん、共演したかったんじゃないの~?

160そして、そのタイトル曲「Looing' for Action」を立て続けにプレイ。

165v もうこの辺りはエキサイトが束になったような盛り上がりよう!
とにかくKUNIさんの存在感がハンパなくデカい!

1706曲目は「Hands up!」。ファースト・アルバムからのチョイスだ。
やっぱりこの手のロックにはMarshallがベスト・マッチすることをKUNIさんが教えてくれる。
190
こんなアクションも!
向こうの人はやっぱりパワーがスゴイ!

180TUBESか?ROXYのZappaか?、はたまたHawkwindか?
女性ダンサーも入り混じってステージは豪華絢爛に展開する!
2010年のアルバム『Rock』で取り上げているKISSの「Rock and Roll All Night」だ!

135
コレは盛り上がるにキマってる!
230
そして、その盛り上がりの頂点でKUNIさん、ギターをスマ~ッシュ!

200vバキッ!!!!
何度もステージにギターを叩きつける!

210v 見事ボディは真っ二つに!
Rockの完成形だ~!

220演奏後、KUNIさんのご挨拶…「30周年を迎えました。今日で引退します!」。
エ~、あんな絶好調のパフォーマンスを見せてくれたのに?!
未練のカケラを全く見せず、シレっとアナウンスしたところがまたニクイ!

250v …と、驚きつつKUNIさんのステージを見届けたのであった。
これでもか!これでもか!…とKUNIさんのワンマン・ショウを一本丸々見せてもらったかのような充実のステージだった。
ハデでナンボ。ショウ・ビジネスはこうでなきゃ!

260KUNIさんお疲れさまでした!
  
そして、PONさん、FEEL SO BADもBLIND BIRDも楽しみにしていますッ!

270KUNIさんとはこの時まで面識がなかったのだが、この日、私の古くからの友人がKUNIさんのギター・テクに入っていらっしゃったので、その方にお願いして急遽取材をお願いした。
KUNIさんには即刻ご快諾頂き今日のこの記事と相成った次第。
KUNIさん、Oさん、ご協力ありがとうございました!

280 (一部敬称略 2016年10月9日 さいたまスーパーアリーナにて撮影)

2016年12月 5日 (月)

LOUD PARK 2016 ~ Fury of Fearの巻

「シゲさん、決まりましたよ!決まったんです!!」
Fury of Fearのギタリスト、守くんからの電話だった。
いつの時かは正確に覚えていないが、電話口の向こうの守くんの興奮した様子はありありと覚えている。
「『決まった』ってナニが決まったの?公営住宅の抽選にでも当たったの?」
「イエイエ、LOUD PARKへの出演が決まったんですよ!」
「誰が?」
「イヤ、誰が…って、Fury of Fearがオープニング・アクトでLOUD PARKに出演できることになったんですよ!」
「エ~!Fear of Furyがッ?!」
…と思わずバンド名を間違えてしまうぐらい私も驚いたよ!
とにかく「おめでとう!」と伝え、電話越しではあったが、彼の感激のおこぼれを頂戴したのであった。

Img_0045今年のLOUD PARKは10月の8日と9日。

10会場はさいたまスーパーアリーナ。
ロビーにズラリと展示されたアーカイブ。

20実は…開催の3日前までどういうワケか、今回は幕張メッセだと思い込んでいたんだよね。
それで、出演者に「今頃ナニ言ってるんですか!今年はスーアリですよ!」と正してもらって命拾いした次第。(ココにはサラっと書いたが、実はかなりビビった)

30オープニング・アクトの出番だからして、現場入りの朝は早かったけど、メンバーは元気イッパイ!
「夢の舞台」に立って、「お~、デケェ!」と観客がまだひとりもいない客席を見渡して大感激。
ご存知の方も多いだろうが、LOUD PARKにはSUMMER SONIC同様、「ラウパ出れんの?」と銘打って、新人バンドへの門戸を開き、オープニング・アクトの出演者を一般から公募している。
こういうのはとてもいいシステムだと思う。
日本は残念ながら「前座」というシステムを止めてしまったが、海外ではまだ盛んに行われており、無名、あるいは新人バンドが栄光を掴む大きなチャンスとして扱われている。
そういうツアーを通して前座を務めるバンドのことを「Support Band」と呼ぶ。
2日間に分けて開催されるLOUD PARKのオープニング・アクト・バンドは初日と二日目の2バンドのみ。
Fury of Fearは何回かの審査を経て、100を優に超える応募者の中から選ばれた2バンドのうちのひとつになったのだ。

50「守くん、直人くん!」と呼びかけると、いかにも興奮を隠しきれないように、頼みもしないのに元気よくポーズを取ってくれた。
この子たち、昨日眠れたのかしらん?

60緊張しながらのセッティング。

40

守くんはいつも1959を使っているのだが、今回は会場でMarshallをお借りしようということで、このJMP時代の2203と1960Bをご用意頂いた。
コレがまたすこぶるいい音だった!
Oさん、どうもありがとうございました!

70vドラムはNATAL。
バーチの12"、13"、16"、22"というキット。

809時半を過ぎ開場。
おかげさまでもう何回もLOUD PARKにはお邪魔させて頂いているが、さすがに開場より前に来たのは初めてのことだった。

90今年も「ULTIMATE」と「BIG ROCK」のふたつのステージがセットされた。

100Fury of Fearの舞台は向かって左側のULTIMATE STAGEだ。

110出番の10時キッカリにFury of Fearの演奏が始まった!

120西村直人

130v西村守

140vふたりはこの日のためにわざわざアーティスト写真まで用意したのだ。
いよいよそんな気合をブツける時が始まった!

0524 ベースは西村歩(あゆむ)。
4人のメンバーのうち、3人が「西村さん」。OKAMOTO'SかROMONESのマネかと思ったでしょ?
さにあらず。
守くんと直人くんはアカの他人。
歩くんは守くんのお兄さんなのだ!

150vドラムはNAKED MACINEの石川達也。
先日、三宅庸介さんのStrange,Beautiful and LoudとMashaくんのSilexが同じステージに立つ機会があった。
その時、三宅さんがMCで、「今日の組み合わせはMarshall GALAのおかげ」とアナウンスしてくれたのね。
私はそれを聴いてすごくうれしかったのですよ。
世間から見ればMarshall GALAなんてチッポケなイベントかもしれないけど、それをやったことによってミュージシャン同士の新しい出会いが生まれたワケだから。
それは取りも直さず日本のロックに貢献できたとさえ思っているんだ。
そうしてMarshallを中心とした「ロックの和」みたいなモノが作れたらとてもうれしいな。要するに「Marshall Family」だ。
実は、この組み合わせもMarshall GALAが縁になっている。
Marshall GALAの時に守くんとMashaくんに組んでもらったThe Shred Mastersというバンドのドラムに欠員が出てしまったため、達也くんにお願いして掛け持ちで演奏してもらったのだ。
それが縁で達也くんが今日LOUD PARKのステージに上がっている…というワケ。
もちろん達也くんがNATALプレイヤーだったという縁でもある。

160v持ち時間は15分。
泣いても笑っても2曲ポッキリの一発勝負!
190
1曲目は昨年の2月に発表したミニ・アルバム『CREST』から「Hunger never filled」。

170達也くんのドコドコから始まる急速チューン。
180
最後のWHITESNAKEまでどれだけのメタル・チューンが演奏されるのかは皆目見当もつかないが、LOUD PARK 2016の2日目の初っ端に披露されるに持って来いのナンバーではなかろうか?

210

本人たちは案外ケロっとした感じに見受けられたが、私なんか結構緊張しちゃってね~。
ナニせ自分の息子より若いからね。
もう、完全に親の気持ちよ。

200v…というのも、前回Marshall BlogでFury of Fearのステージをレポートした時は守くんと直人くんのふたりだけだったでネェ。
だから「LOUD PARK出演」の報を耳にした時も「メンバーどうすんのよ?!」という心配があった。
260
最終的に決めたメンバーとて歩くんは大阪在住だし…

240v達也くんもNAKED MACHINEの他にもいくつもサポート仕事をしている売れっ子だ。
つまりリハーサルの時間もままならないのでは?

250vなんて心配もあったにはあったが、演奏が始まった途端、そんなことが杞憂だったことがわかった。
もう、この時とばかりに若いパワーと勢いをブツけるサマは見事だった!
S41a0320
そして、守くんのソロ。

270将来どこかで誰かが、「ところでサ、2016年のLOUD PARKの二日目って、一番最初にギター・ソロ演ったのって誰だっけ?」なんて質問をした時の答えは、「ああ、Furyの西村守だよ」ってことになる。
オープニング・アクトの立場もなかなかに貴重なものだ。デビューした年にしか取れない新人賞みたいなもんだ。
230v
オッシャ!
まずは無事に乗り切った!

280v15分しかないのでMCなんかやってる時間はない!
「ボクたち、Fury of Fearといいます!今日は名前だけでも覚えて帰ってください!よろしくお願いします。ア、ギター・アンプはMarshall。ドラムはNATALです!
それではボクたちのステージ、最後の曲です」
私が代わりにMCを今やっておいいた。
守くんのイントロですぐに2曲目へ!

290_k曲は「Tales of the End of the World」。
今年リリースした同名のミニ・アルバムから。

300vこの曲は知ってるんだ。
「♪こがね虫は金持ちだ~」のようなメロディが初めて聴いた時に一発で耳に残ったのだ。
もちろん本人たちは「こがね虫」のことなんか考えていないんだろうけど、そういうことですよ。
つまり、今、音楽の多様性が広がっているようなイメージがあるけど、実は大勢のミュージシャンがよってたかって同じことをやっているに過ぎない。
ジャンルはイッパイあっても、メタルはメタル、J-POPはJ-POPと、その中でやっていることは全て同じで、オリジナリティを感じさせる音楽には滅多に出くわさない。
恐ろしく音楽が画一的なのだ。
とにかくみんな同じようなことをやっている。
ま、それが「ジャンル」ってものだけど、60~70年代のロックが育ちざかりの頃はひとつのジャンルの中にも色んなヤツがいたもんですよ。
それほど奇を衒わずして聴いた人の印象に残るということは大変なことだ。でも、人と同じことをやっていても何の意味もない。
310
歩くんは実は本職はギタリストでバークリー音楽大学のOBだ。
やっぱりYngwieが好きで、大阪では自分の音楽活動の他にギターの先生をされている。
この時が初対面だったんだけど、楽屋でユックリとおしゃべりする機会があって、とても楽しかった。
「今度はギタリストとしてまたLOUD PARKのステージに立ちたい」と言っていたのが印象的だった。
そのイキ、そのイキ!
いい音楽を死ぬほどたくさん聴いて、カッコいいロックをクリエイトしてもらいたい。
もちろんMarshallでね!
350

この曲でも守くんの火を吹くようなピッキングが大活躍!
会場の空気を切り裂く2203の音も文句なしだ!
330v
Yngwieばりのアクションも忘れずにバッチリとキメて見せた!

320この表情!
弾ききった!

340vナゼ、すぐに脱ぐ!?
達也くんも大エキサイトだった!
メッセではなくて、スーアリだということを教えてくれたのは実は達也くん。
最近、本当に活動がにぎやかでオジちゃんもうれしい。
スゴイよ、達也くんは…。
来年の4月8日には大塚Hearts+で「TSUTAYA PARK」、ちゃうちゃう「TATSUYA PARK」とも言うべき達也くんのイベントが予定されている。 
もちろんNATALといっしょだ!
 
石川達也の詳しい情報はコチラ⇒facebook

360v演奏はエンディングに向けて激しさを増すばかり。

370ナニも思い残すことなど恐らくないであろう大胆にして慎重なパフォーマンスを展開した。

380守くんのギター熱演に一歩も引けを取らない直人くんの激唱!

380nそして、守くん渾身のアクション!

390v「最後にゼッタイにコレをやる!」とキメてたんだろうな~。
まだ朝早いので満員のお客さんというワケにはいかないが、たくさんの「まもる」コールを浴びていた。

400こうしてFury of Fearは『LOUD PARK 2016』二日目のオープニング・アクトという重責を立派に果たしたのであった。
出演&成功おめでとう!
390
  
【オマケ】FOFのLOUD PARK 2016アルバム
★チャンと楽屋が用意されていて、ドアには「Fury of Fear」の貼り紙が!
これだけでメンバーさん、大感動!
ところで、この貼り紙で初めて気が付いたんだけど、バンド・ロゴの「Fury」の「F」と「Fear」の「F」ってシンメトリックになってるのね?

410★セッティング待機中の4人。
アウェイ感バリバリで、まだ借りて来たネコのようにおとなしい。

420★達也くん、キットのポジションを微調整中。

430v★同じNATALプレイヤーのPONさんと…
PONさんはKUNIさんのバンドで出演した。(明日レポート掲載予定)

440★サウンドチェックの前にみんなで記念撮影。

460v★この日のお弁当。
アレレ、違うバンドさんの分だ。
ナンチャッテ!私も最初の頃はよく間違えました!

470<つづく>
  
1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square
★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2016年10月9日 さいたまスーパーアリーナにて撮影)

2016年12月 2日 (金)

Kelly SIMONZ~TOMO & KELLY GUITAR ACADEMY 2016 <後編>

今しか書くタイミングがないので、Kellyさんには申し訳ないが強引に割り込ませて頂く。
私は日本人が騒ぐハロウィンを好きではない。
ナゼなら歴史や意味を知らずしてよその国の文化をただ商売のネタにしているからだ。
クリスマスも同様だが、もうコレは避けようがないだろう。
そこへ持ってきて今度は「ブラック・フライデー」と騒いでいる。
もういい加減にしろって!
日本には「勤労感謝の日」はあってもそもそも「感謝祭(Thanksgiving Day)」はない。
このブラック・フライデーというのは感謝祭(11月の第4木曜日)の翌日のこと。
アメリカはこの日を境にクリスマスまで一気に盛り上がる。
デパートはバーゲンを始め、クリスマス・プレゼントのアイテムを中心に売って売って売りまくる。
海外は日本のように「国民の休日」が多くなく、夏とクリスマスのシーズンに長~い休みを取って家族とユックリすごす。
つまり、もうこのシーズンが楽しみで、待ち遠しくて仕方がない。
そして、クリスマスには愛する人に気持ちを込めてプレゼントをしてクライマックスを迎える。
その代わりクリスマスが終わればドッチラケよ。正月はほとんどめでたくない。Marshallは2日から普通に営業している。
そのクリスマスの盛り上がりのスタート・ラインがこのブラック・フライデーなワケ。
土台精神と背景が違うのだ。
日本のは一体ナンだ?
そりゃ「歳末大売出し」より聞こえはいいかもしれないが、ワケわからず人様の文化で浮かれるのはヤメろって!
こういう上っ面だけのツマミ喰いの「海外文化カブレ」をしているからいつまでたっても「英語がヘタな国民」から脱することができないと思うし、個人消費を活性化したいなら、もっと抜本的な根治治療を施さないとラチが開かないぞ!
ま、こうして考えてみると、この西欧の文化ってのは非常にうまいことビジネスと文化を組み合わせていると思うよね~。
「ブラック・フライデー」ったって、Steely Danの名盤、『Ketty Lied』の1曲目を聴いてごらん。
ヒヒヒ、さすがDonald Fagen!
あ、ちなみに私は実際には彼の地に住んだことがなく、この季節の現場に居合わせたことがないので、上はアメリカの友人からの聞き伝えにはなること申し添えておく。
Kellyさん、お邪魔しました!
   
『TOMO & KELLY GUITAR ACADEMY 2016』も後半に入る。
トモさんの「Kyoto」を教材にギターについてあれこれ語った後は、もうひとつの人気曲「Just Funky」を取り上げて、作曲についての考察が行われた。

10そして、トモさんのライブ・コーナー。

20トモ藤田

30vバック陣はそのままで…Yosuke Yamada

40vキーボードに盛山こういち

50vベースは坂本学。

60v曲は「Just Funky」。
小気味よいカッティングが聴く者を魅了する!

70vカッティングは魅惑のギター奏法のうちのひとつと言ってよいだろう。
Roland Bautista、Al McKayといったアース勢やNile Rogers、「♪ゴーットバッター」で人気者になったRay Parker Jr.等、海外にはカッティング職人がたくさんいるのに対し、日本はトンと聞かないネェ。
何でだろう?
答えは簡単。そうしたカッティングの妙を必要とするファンク・ミュージックが浸透していないからだろう。
私もその手の音楽に関しては余りにも門外漢だが、1枚だけ人様におススメできるアルバムがある。
それはHerbie Hancockの『V.S.O.P』だ。
ココで聴けるRay Parker, Jr.とWah Wah Watsonのコンビネーションはいつ聴いてもトリハダものだ。
このアルバム、内容としてはHerbieのジャズの仕事とファンクの仕事がカップリングされたニューポートのライブ盤なのだが、もうひとつどうしようもなくカッコいいシーンがジャズの面に収録されている。
それはHerbieのメンバー紹介。
Tony Williamsから始まって、「The greatest…ルォン・カーラー」と紹介されたRon Carterがベース・ラインを刻み、Freddie Hubbardが加わり、「ウェイン・ショーラー」が出てくるサマは子供の頃にはじめて聴いた「Smoke on the Water」と同じ興奮を覚える。
そして曲がHerbieの代表作「Eye of the Hurricane」だからタマったもんじゃない。
普段ジャズを聴かないロック・ファンがいきなりコレを聴いても「カッコいい!」と思わざるにはいられないだろう。
それと、ロック界のカッティング名人で忘れてならないのは、私の場合は、絶対「ジャ・ナッカーマン」、すなわち、Jan Akkerman。
こないだ来日していたのにゼンゼン話題になっていないのは一体どういうことだろう?

Vsopトモさんの「Just Funky」はこの1995年のファースト・アルバム『Put on Your Funky Face』に収録されている。

9_cd01 …ということは、もう20年以上もレパートリーに収まっているトモさんの大愛奏曲なのだ。

80今回も大好きなトモさんのサポートでゴキゲンなYosukeくん!
しかし、この人もこういう音楽からSilexまで音楽の幅を一気に広げて来たよ~!110v
もう1i曲も同じくファンク調の「Confidence Cat」。

90vこういうGrant Greenの「Windjammer」のような、正に真っ黒なファンク・チューンってのはカッコいいよね~。
なかなか日本人にはこの味が出せない。

100そこはさすがトモさん。
日本人ばなれしたグルーヴとあふれ出る密度の濃いフレーズの連続で聴く者の耳をくぎ付けにしてしまった。
  
トモ藤田の詳しい情報はコチラ⇒Tomo Fujita Official Website
120
トモさんのセットで2曲演奏した後、Kellyさんが加わった。

130曲は「Littel Wing」。
140v
もちろん歌はKellyさんだ。
150

曲の後半にはお定まりのソロ交換だ。
160
ソフトに、しかしシッカリと言葉を投げかけるトモさん。

170
ガツ~ンと雄弁に自分を主張するKellyさん。

180v予想通りの展開が逆におもしろい!

185続いて「I Love you More Than You'll Ever Know」…古典ですな。
Blood, Sweat & Tears。

190もちろんKellyさんがBS&Tの曲をそのまま演奏するワケもなく、コレはGary Mooreが取り上げていたんだね…そのGaryバージョン。

230v
この曲でもふたりのギターが火花を散らした!

210Yosukeくんの顔!いつもニコニコなのに…真剣すぎてコワイ!

220本編の最後を締めくくったのはStevie Wonderの「Isn't she Lovely」。

240Kellyさん、この曲好きだな~。
過去にも何回かKellyさんのステージで取り上げられている。

250vおっそろしくバラエティに富んだレパートリーを完璧にこなしたバック陣!

260v

270

280vKellyさんも大熱唱だ!

290もちろんこの愛らしいh曲でもタップリとギター・ソロがフィーチュアされた。
320v
事前には聞いていたけど、Kellyさん、今回全曲で違うギターを使ったんよ。
気が付いた?
Kellyさんの愛器のサウンドの違いを楽しむステージでもあったのだ。

310vさて、アンコールの前にCM。
今年5月に東京キネマ倶楽部で開催した『Kelly SIMONZ's BLIND FAITH -Are You Ready To Ride 2016-』のライブ映像がブルーレイとなり、すでに発送が開始された。
サウンドはラインとオーディエンスの音をミックスした「一発録り」で、ライブの臨場感はバツグン!
ド迫力なカメラワークも必見だ。

330dvdそしてマーシャル・コマーシャル。
先日の楽器フェアでKellyさんにデモンストレーションをお願いしたMarshall初のフル・モデリング・アンプシリーズCODE。
340

54年の歴史に名を刻む名機の音をふんだんにを詰め込んだ機能がウケにウケ、初回に日本上陸したCODE25とCODE50は瞬時にして完売してしまった。

335今後も続々と入荷が予定されているので、楽器店でお見かけの際にはゼヒお試し頂きたい。

CODEの詳しい情報はコチラ⇒CODEネームは'D'

350さて、アンコール。1曲目はKellyさんとACADEMYバンドによる「Opus #1」!

370やっぱコレが出ないとね~!

380上述の楽器フェアでもCODEを使って弾いてくれた。お客さんの目がテンになっていたことは言うまでもない。

390v今日もまるで決壊したダムの水流のような音の勢いに圧倒されっぱなし!
会場はKellyサウンドの洪水となった。

400最後はトモさんも加わって「Just "Transcendental" Funky」。

410「transcendental」なんて「出る単」にも載っていないようなビッグ・ワードだ。
私の記憶ではネイティヴの外人がこの言葉を使っているのはただの一度もない!勉強になる。
Kellyさんは「超絶」という意味で使っているののでコレは「超絶Just Funky」ということになる!
   
蛇足ながら、音楽の場合は「virtuoso(名人の)」という専用の単語がある。
「virtuoso」は名詞では「名人・達人」という意味。「名人技」という風に使いたいときは「virtuosity」という単語を使う。

420ココでもKellyさん、やってくれました!
胸のすくような壮絶シュレッディング。やっぱりKellyさんはこうでなくちゃね!

430何しろ盛りだくさんの内容で昨年に続いて大成功の運びとなった『TOMO & KELLY GUITAR ACADEMY 2016』であった!

440さて、さてさて!
来る12月4日…ってもう明後日じゃんかよ~!
『HIGH RESOLUTION LIVE 2016』と銘打ってBAD TRIBEとSilexの共演が実現する!
場所はMarshallオフィシャル・ライブハウス、東京キネマ倶楽部。
「Yosuke 血祭」という物騒な副題が付けられたお祭り!

450vf実は2013年4月にも『HIGH RESOLUTION LIVE』が開催されたことがあった。
その時のようすはコチラ;
その1:Their Time Has Come ~Crying Machine登場!
その2:Kelly SIMONZ~"the 5th" High Resolution Live 2013

すなわち今回KellyさんとMashaくんが同じステージに立つのは2回目のことなのだ。
ただし、前回のMashaくんはCrying Machineとしての登場だった。
今回は話題沸騰中のSilexでの出演。
実に楽しみではないか!

14317532_1022915974495922_9089135_2でもね、私、行かれないの。
残念ながらMarshall Blogでレポートはできないので、皆さん実際に出かけてモノホンを見て来てくだされ!
私の分もよろしく!

Kelly SIMONZの詳しい情報はコチラ⇒Kelly SIMONZ Official Website

Img_04721965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

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詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2016年10月7日 東京キネマ倶楽部にて撮影)

2016年12月 1日 (木)

Kelly SIMONZ~TOMO & KELLY GUITAR ACADEMY 2016 <前編>

昨年の10月に開催し好評を博したKelly SIMONZのクリニック型コンサート、『GUITAR ACADEMY』の再演。
今回もボストンのバークリー音楽大学ギター科助教授、トモ藤田氏をお招きしての開催だ。
前回にも増して盛りだくさんで、トモさんとKellyさんの妙技を交えながらギターの魅力をお伝えする内容となった。

10ステージの上にはMarshallとNATAL!
ん~、アカデミック!ナニがじゃい?!
そんじゃ「アカデミー」って一体何のことかしらん?
アメリカの「映画の賞の名前」?
チガウ、チガウ!
辞書に出ている意味は…「学術・文芸・美術などの協会、学会、学士院」、「専門学校」、「学園、学院」など。
語源はプラトンですよ、プラトン。
プラトンが紀元前387年に開設した「アカデメイア」という学園が語源になっている。
そこにあった体育場は「ギュムナシオン」といって、こちらは「ジムナジアム(gymnasium)」の語源。「gymnasium」は「体育館」という意味ね。
オリンピックの器械体操ってあるでしょ?内村くんとか丹下くんとかがクルクル回りまくるヤツ。
あの競技は英語で「gymnastics」というんだけど、やっぱりココから来てる。
こういう「academy」のような勉強っぽい英単語はギリシアが発祥になっていることが多い。「mathematics」とか「history」とか。
かと思うとそうでもなくて、チャーリー・パーカー作の有名なバップ・スタンダードに「antholopology(人類学)」とか「ornithology(鳥類学)」という曲があるけど、前者はギリシア語、後者はラテン語を語源としている。
病気は名前はラテン語が多いね。だからやたらとムズカシイ。

20で、私はオスカーおじさんに似ているワケでもないのだが、「アカデミー」となると今出たように「アカデミー賞」ということになる。
ホントはいつかNeo-Zonkの時に書いたように、オリヴィア・デ・ハビラントとジョーン・フォンテーンの話なんかをココに書き記したいところだが、アカデミー賞について書き出したらとても今日の記事が終わらないので忘れることにしよう。
ところで、だいぶ前にLAに行った時、アカデミー賞の授賞式に使われるShrine Auditoriumという大劇場に入ったことがあった。
確か、この建物はロスの空港からNAMMの会場に行くときにハイウェイの右側に見えるよ。

Sa ロビーの壁には、ハリウッド盛んなりし頃の昔のアカデミー賞授賞式のポスターがズラリと飾ってあってメチャクチャ興奮したっけ。
アニメと怪獣ばっかりの最近のアメリカ映画にはもう何の興味も持てないが(邦画も同様)、昔のハリウッド映画はヨカッタ。
で、夜に劇場の周辺をひとりでブラついていたところ「危険すぎる!」と地元の人にキツく注意された。日本でも大体的に報道されたチョット前の黒人の大暴動が起きたのはそのエリアだったのだ。
それを後で知らされて小便チビッたわ。
この劇場で録音されたたくさんのライブ・アルバムが残されているが、テナー・サックスのStan Getzもそのうちのひとり。

Sgs あ~、ただ今二次脱線中です…。
また、Genesisの4枚組のボックスセット、『Genesis Archive 1967-75』に収録されている『The Lamb Lies Down on Boradway』全曲演奏のライブ音源はココで収録されたものだ。

Ga 「アカデミー賞」の話題をあきらめる代わりにロンドンに飛ぼう。
「アカデミー」という言葉で思い出すのはコレ…「Royal Academy of Arts」。
日本では「王立芸術院」と呼ばれている。
要するに国立の美術学校で、美術館が併設されているのだが入ったことがない。
ナゼならほとんどの美術館や博物館が無料のロンドンにあって、ココは有料だから…というのは冗談で、何となく入ったことがないだけ。
そのせいか、この施設は「国立」でありながら国からの資金援助を受けていないんだと。

9_3 さて、なんでコレが頭に浮かぶのか…この建物の裏口がすごくカッコよくて最初に見た時に感動しちゃったのね。
そして、何だってコレに出くわしたのかと言えば、この写真を撮っている通りは「サヴィル・ロウ」といって「背広」の語源になったところで、ロック・ファンがロンドンに行けば必ず訪れたくなる場所なのね。
そう、この通りにはアップルの本社ビルがあったのだ。
アップルったってiPhoneやMacのアップルじゃないよ。ビートルズのアップル。
1969年1月30日にビートルズがあのルーフトップ・コンサートを演ったビルがすぐソコなのだ。

9_img_0347 そして、鶯谷!
厳粛な雰囲気の中、Kellyさんのご挨拶で『TOMO & KELLY GUITAR ACADEMY 2016』の幕は切って落とされた。

25顔ぶれは前回と同じ。
アカデミー主宰、Kelly SIMONZ教授。

30v今日は1959と1960の組み合わせだ。
それと珍しくステージにズラリと愛器たちが並んだ。

40v足元のようす。

50ドラムはKellyさんの片腕片足、おなじみYosuke Yamada
次の日曜日、12月4日にはココ東京キネマ倶楽部でフィーチュアリング・コンサートが企画されていて鼻息も荒いYosukeどん!

60vキーボードに盛山こういち

70vベースに坂本学。
Kellyさんの教え子さん…ん~、アカデミック!

80v今回も前回と同じく…
①Kellyさんのステージ
②アカデミー
③トモさんのステージ
④おふたりの共演
…という構成でショウは進行した。

90まずはKellyさんのステージ。
すべてコピー曲を並べた。
1曲目はGary Mooreの「Sunset」。

100vKellyさん、ギャリー好きだな~。
Garyが「この曲をランディ・ローズに捧げます」とアナウンスして弾いた曲。
Kellyさんも情感豊かに曲に溶け込んでいった。
  
最近世の中はコピー・バンドのライブがやたら横行しているが、何となく「コピー」という言葉を隠そうとしているように見えて仕方ない。別にコピーはコピーでいいじゃない。
するとチャンと「カバー」とか「トリビュート」なんて言葉を探してくるからおもしろい。
Kellyさんはいつもは自分で作った曲を演奏する「真のアーティスト」だ。
そのKellyさんが他人の曲をそのまま演奏してする。それをコピーと呼んだところでなんの失礼もないハズだ。
「カバー」や「トリビュート」などという耳当たりのいい言葉を使ってロックの退廃に加勢するよりよっぽど潔いとは思わない?
コレは余談だが、「コピーは是か非か」論争が時折SNSで繰り広げられているが、ロックのコピー・バンドを擁護する意味で、「クラシックやジャズだってコピーばかりしている」という意見を目にして心底驚いた。
もちろんコレが誰もが思っているような普遍性の高い意見だとは決して思わないが、ごく一般的に音楽を楽しんでいるであろう人が、シレっとこういうことを言うあたりに日本人の芸術的民度の低さを見るような気がするのである。あ、それはもちろん西洋音楽に対峙した時の話ね。
さて、いいですか?
例えば「古典芸能」のひとつであるクラシックは、「古式ゆかしい素材をどう料理するか?」を楽しむ音楽なんですよ。
落語や浪曲も同じ楽しみ方をする。同じ「古典芸能」だから。
例えばベートーベンの「交響曲第7番」をフルトヴェングラーはこう演った。ベームはこうやった。トスカニーニはこうだ。クライバーはどうだ?
こういうところを味わって楽しむ。
コレは「コピー」とは言わないの。
100年近い歴史を持つジャズも同様。
マイルス・デイヴィスがシャンソンからジャズに取り入れた「枯葉」をコピーとは言わない。カバーとも呼ばない。「素材」と表現されることが多いようだ。
その「枯葉」をありとあらゆる人が演奏して録音してもそれをコピーとは呼ばない。
「枯葉」のコード進行に沿って即興演奏をし、あるいは元のコード進行をリハーモナイズして、独自のアドリブ・メロディを乗せて、原曲を題材として自分だけの音楽を作るのがジャズだ。もちろんオリジナル曲の味わいも果てしないものだ。
一方、ロックのような比較的簡易に自己表現を実現することができる大衆音楽は、演奏することよりも作り出したことにはるかに大きな意義があって、その作品を素材にしたものは、どんなことがあっても「コピー」と呼ぶべきである…と思うんだよね。
いつも書いているけど、昔はコピー・バンドはライブ・ハウスに出してもらえなかった。そもそもコピー・バンドが出演することがあっても多くの人は見に行かなかった。
言い換えればコピー・バンドは「アマチュアの特権」で、プロは「オリジナル曲を作る」という試練を乗り越えなければならなかったのだ。
当時はホンモノが存命だったということもあったが、聴く方も他では聞くことのできないそのバンドのオリジナル曲に音楽的な刺激を求めていた。
今、そういった黄金時代のバンドがなくなってしまい、それらのコピーバンドを観に行くことを「疑似体験」と思っているいるお客さんもいるようだが、それならCDで本物を聴きなさい。ホンモノのナマは潔く諦めなさい。
そりゃMarshall盛んなりし頃の音楽だから、本当は昔のいい曲がドンドン広まってくれればうれしとは思いますよ。確かにはじめはそう思っていた。
でもそんなことをやっていたら本当にロックが滅びてしまうのではないか?ということに気がついた。
40年のキャリアを持つ難波弘之さんも奇しくもあるインタビューで「このままいけば我々世代のロックは滅びる」とキッパリ予見された。
ここ20年近く内側からロック界を見てきたが、ナニからナニまで状況は悪い方向に向かっているように見える。
我々世代のロックがしばらくすると滅びてしまうと思えるひとつの洞察としては、新しい聴き手が現れていないということ。若者がそういう時代のロックに興味を示してくれていればよいのだが、そんな気配は皆無だ。
ということは…短絡的ではあるものの、演る方も聴く方も齢を重ねて引退したら音楽もろとも消滅してしまうと思うのだ。
コレは真の意味でロックの発展に与しているとは言えないのではないか?
何とかして新旧の交流を図って延命ができないものか…ま、こんなことばっかり考えている。
さて、今日のKellyさんがやっていることは違うよ。
コレは「ギター・アカデミー」という企画内での選曲であって、コピー・バンドが出演しているワケではないことは皆さんもご存知の通り。
Kellyさんには申し訳ないが、この場をお借りして最近のコピー・バンドの氾濫について所感を綴らせて頂いた。

1202曲目は「Little Savage」。Yngwie Malmsteenだ。

130vYngwieはこんな曲もあるのね。
この2回目のブレイクのフレーズはKellyさんソノモノだね~。
しかし、Yngwieというのはスゴイね。問答無用で偉大なるイノヴェイターだと思う。
ギターのテクニックということよりも、そのテクニックで音楽の一分野を作って、アホほどフォロワーを生み出したところがスゴイと思うのだ。
そうは言っても、実際にあのテクニックを目の前数10cmでアレをやられた時にはサスガの私も腰を抜かしたよ。
ナゼか?
とことん美しいのだ。
…というようなことを踏まえてKellyさんは演奏したに違いない。

140完璧なコピーで臨むハイテク・バック陣!

150v

P

160vKellyさんが熱唱しているのはJourneyの「Who's Crying Now」。
コレは知ってる。
でも、コレ、こういうタイトルだったのね?

180v昨日も書いた通り、アメリカン・ロックがどうもピンと来ない私なんだけど、その最右翼がJouneyなんだよね。
令文さんに「1枚目と2枚目は今のJourneyと違うから」と勧められて、買って聴いてみたけどやっぱダメだった!
ドラムがAynsley Dunbarなのにナァ。
Steve Smithなら『Buddy's Buddies』の方がゼンゼン好き。
でも、Neal Schonに1960を貸したことあるよ。

190そんな私のどうでもいい意見とは関係なく、Kellyさんが歌う人気曲に観客席が沸いた。

200vここでトモさんが登場。
まずは1曲。
人気の「Kyoto」だ。

210私はこの曲を聴くといつもAl Di Meolaの「Ritmo De La Noche(夜のリズム)」を思い出してしまう。
コチラのリズムはルンバで「Kyoto」とは全く違うが、両方ともなんというか、まるで霧雨が降っている、怖いぐらい静かな夜の街をひとり歩いているような感覚が何ともいえない。
でもその雨の彷徨がうれしいのだ。
いい曲だ。
私にとっても京都はFrank Zappaの街であることは以前にも書いた。

220vトモさんファンのYosukeくんは今日もうれしそうだ!

225v「出るわ出るわ」のおいしいフレーズ。
驚異的なダイナミックレンジでそれらのフレーズに命を与えていく。

230vさて、ここからがギター・アカデミーのメイン。
Kellyさんが聴き手になってのギター・クリニック。
冒頭に書いたようにトモさんはバークリー音楽大学ギター科の助教授だ。
そんな授業が鶯谷で受けられるとはうれしいぞ。
バークリー音楽大学のことをご存知ないロック・ファンの方々に一応説明しておくが、この学校は1945年にローレンス・バークという人が創立した「シリンガー音楽院」という名の音楽の私塾が元になっている。
その後、1954年にバークが息子の「リー・バーク」の名前から「バークリー音楽学校」と改名した。だからつづりが「Berkley」ではなくて、「Berk-lee」になってる。「バークレー」ではなくて「バークリー」。
本屋さんの「ジュンク堂」とまったく同じシステム。ジュンク堂の創設者のお父さんの名前は「工藤淳」さんなのだ!
で、1970年に音楽大学創設の認可を得て現在の「バークリー音楽大学」となった。
創立当初はクラシックを教える学校だったが、現在ではジャズを教える大学として「バークリー・メソッド」の名前が世界中に知れ渡っている。
日本人で初めてバークリーで学んだのは穐吉敏子だ。
敏子さんはJATPで来日したオスカー・ピーターソンの目に留まり、1956年、26歳の時に単身ボストンに留学した。スゴイね~。
アメリカ人最大の発明のひとつと言われているジャズの発展に貢献した敏子さんは、その後ニューヨークの名誉市民となるが(国籍は自分の意志で日本のまま)、そうした業績が評価されてバークリーの構内に「Toshiko Akiyoshi」の名を冠した設備(ホール?)があると聞いた。いちファンとしては是非とも行ってみたい。
1962年には渡辺貞夫もバークリーで学んだ。
帰国後、貞夫さんはバークリーで学んだ理論を日本のジャズ・ミュージシャンに広めるべく講座を開講した。その講座で本場のジャズ理論を学ぼうと多くのミュージシャンが詰めかけ、毎回異常なほどの熱気だったという。
そりゃそうだよ。
まだ1ドルが360円の頃で、外貨の持ち出し額に制限があり、海外への旅行なんて夢のまた夢だった時代なんだから。
1960年代とは言わないまでも、私が大学ぐらいの時…すなわち今から30年チョッ前でも、「エ~バークリー出てんの!」ってな具合だった。
それが今ではどうだ?
私の友人にもOBが何人かいるが、「バークリーを出た」なんていうことを聞いても「あ、そうなの?」とか「じゃ、英語できるんだ~?」ってなもんだ。
日本がどれだけ裕福になったかを表す一面と考えてよいだろう。
さて、そのバークリー・メソッド…なんてサ、自分も学んだようなことを言っているけど、ただの憧れです…というのはチャーリー・パーカーを中心としたモダン・ジャズの方法論を大系化したものだと聞いている。
実際にどういうモノかというのは、本である程度学ぶことができる。
貞夫さんも『ジャズ・スタディ』という本を出しているが、それは理論書なので、楽器をやらない人には読んでもピンと来ないだろう。
そこで、こういう本が出ているので興味のある人は読んでみるとよいだろう。
それは、人気サックス奏者の菊地成孔と大谷能生共著の『憂鬱と官能を教えた学校』という本。タイトルの「学校」というのは「バークリー音楽大学」のことを指す。
「バークリーの生徒さんはこういうことを学んでいます」という口述筆記。
菊地さんはバークリーのOBではないが(メーザーハウス卒業)、例の立て板に水の語り口でバークリーで学ぶとされているジャズ理論を説明してくれている。
私はこれより先にジャズの理論書を何冊か読んでいたので(全然マスターはしていない)、復習の感じでスラスラとおもしろく読めたが、ジャズに興味のない人には迷惑かも。

Book_4さて、アカデミーはそんなこととは全く関係ないギター好きならヨダレが出そうな話題で進んていった。

240当然実演もタップリ。
トモさんの説明にKellyさんが、「ボクは高血圧なのでいつでも速弾きOKですからこうなっちゃいますね」と徹底してシュレッディングで対抗するところがおもしろかったナ。

250前回、「教えるときはホメなきゃダメ」というトモさんの言葉をお聞きして、すっかりセガレたちに申し訳ないことをしたと猛省した。
なんかね~、やっぱりいいんだよね~、教え方というか教わる人への接し方が…。
説得力もハンパじゃない。
何人かのバークリー留学経験者から話を聞くと、やっぱりみんな英語で苦労するらしい。帰国して英語の先生になっちゃうツワモノもいるにはいるらしいが、どうしても「英語で悩む」と口を揃えて言っている。
そんな環境でトモさんのように日本語が通じて、物腰も柔らかい先生がいたら「地獄に仏」なんだろうな~。
今回印象に残ったトモさんの教えは、「『何時間練習すればいいんですか?』と練習の時間を訊いてくる生徒はまずダメですね」。
集中力ですな。
エチュードのようなものを使って短時間でいいから効果的な練習をすべし…と実例を見せてくれたりした。
それと、「休むことはとても大切です。睡眠は大事。休むとパフォーマンスがよくなります」というのも自分でキモに命じておこうと思った。
早速休むか!

260スタイルも性格も音楽も異なるふたりの共演だが、私の目から見て共通していることがいくつかあってね。
ふたりともとても几帳面だと思う。
優れたミュージシャンはみな几帳面だが、このおふたりも同様。
結果、「とても美しくギターを奏でる」という共通点をお持ちだと思った。

トモ藤田の詳しい情報はコチラ⇒Tomo Fujita Official Website

270vKelly SIMONZの詳しい情報はコチラ⇒Kelly SIMONZ Official Website

280v<後編>につづく

1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

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(一部敬称略 2016年10月7日 東京キネマ倶楽部にて撮影)

2016年11月30日 (水)

Marverics & Mystics ~ BLINDMAN編

世によく言う、その誕生の瞬間を「Rock Around the Clock」だとすると、ロックは今年で還暦を迎えて早二年経過したことになる。
その間、オールディーズ、テケテケ、ビートルズ、グラム・ロック、ブルース・ロック、ジャズ・ロック、ハード・ロック、プログレッシブ・ロック、パンク、ニューウェイブ、テクノ、デス…最近のはサッパリわからないけど、一体今までどれぐらいの種類の「ロック」と呼ばれる音楽が現れては消えていったのだろう?
ジャズなんてアータ、ディキシーランド、スウィング、ビ・バップ、後はフリーを含むモダン…乱暴にやればこれだけでコトが済んでしまう。
ま、「モダン・ジャズ」の中にもクールとか、ハード・バップとか、ジャズ側のジャズ・ロックとか、ゴチョゴチョあるけど、とにかくロックの多様性の足元にも及ばない。
一般的にクラシックは150年、ジャズは10年で大きな転機が訪れると言われているが、最近のロックに関してはそれを「数か月」としても過言ではなかろう。
少しでも金儲けの可能性があればドド~っとそちらになびいてしまう。そこには「芸術性」のカケラもない。あるのはかぐわしき福沢さんの香りだけだ。
さて、それだけの種類で構成されるロックだからして、生まれ育った時代や環境で人はそれぞれに「自分のロック」を持っていることでしょう。
私はビートルズからロックを聴くようになり、パンクやらニューウェイブが出て来る前まではずいぶん色んなロックを聴き込んだが、問答無用でプログレッシブ・ロックが一番好きなのね。
でも自分の「ロックの原風景」ということになるとチョット違う気がするんだな~。
しからば、自分の一番のルーツは何かというと…「ハード・ロック」ということになるかナァ~。
要するにMarshallがあったからこそこの世に産声を上げた音楽。
それも絶対的にブリティッシュなんだな。
アメリカン・ハードってのは昔からどうもソリが合わない。
Marshallを産んだ国のMarshallが作ったロック…ソレが私の原風景のような気がする。
今回の『Marverics & Mystics』の後半に登場したBLINDMANはそうしたブリティッシュ・ロックの伝統的な風合いを頑なに守り続けるガッツあふれるバンドだ。すなわち私の原風景がそこにある。
ガンコ結構、ワガママ結構!
我が道を突き進んでこそ「アーティスト」ってもの。そしてそれが「ロック」ってもんじゃないの?
Marshall Blogに登場するアーティストやバンドはみんなそういう方々だ。

10_2中村達也

20v_2ボーカリスト レイ

30v_2戸田達也

40v_2松井博樹

50v實成峻

360v
(中村)達也さんはMarshall。
ズッ~とMarshall。
だってBLINDMANはそういう音楽なんだもん!
どういう音楽かって?
冒頭に書いた通りMarshallがなければこの世に存在しなかったであろう「ロック」だ。

70愛機のJCM800 2203。

80v足元のようす。
しかし、最近の皆さんのペダル・ボードがにぎやかだね~。
自分の勉強不足をタナに上げて言うけど、見たこともないようなヤツばっかり。
もちろん長命の商品もあるけど、エフェクター、特に歪み系商品の移り変わりの速さったらないよね~。
日本はペダル天国だから余計か…。
多分ロンドンのデンマーク・ストリートで展示しているエフェクターを全部かき集めても、種類で比べれば、東京の大きめの楽器店一店に負けるよ。

90_2今日の1曲目は4枚目のアルバムのタイトル・チューン、「Turning Back」。
100_2イキイキとしたプレイを見せる達也さん。
「水を得た魚」とはこういう状態を指すに違いない。

110_2ブルースの11~12小節を「ターン・バック」と呼んだりするが、「turn back」とは「来た道を引き返す」という意味だ。

120v若き同志をファミリーに迎え、再び歩み直すという気持ちが込められているのか、意味深なオープナーだ。

60v

その若き同志がBLINDMANを律動させるために今日タッグを組んでいるのはNATAL。
やっぱりブリティッシュ・ロックにはMarshallをはじめとしてイギリスのギアがベスト・マッチする。

1407枚目のアルバム、『Re-rise』から「In the Pain of Love」。

150ん~、安定のBLINDMAN節。
何せ安心するわ~。

180_2短いMCで「ニューアルバムに収録される予定」と紹介された曲、「Rising Sun」。

190_2松井さんのキーボードから「Without a Word」を続けて演奏した。

200v胸のすくようなブッ速い曲ばかりでなく、こうしたドッシリとした曲調もBLINDMANの魅力だ。

210「昔なつかしい曲で楽しみましょう!」と紹介されたのは「Why did You Come Back?」
ファースト・アルバムからのチョイスだ!

220_2この曲はいかにもBLINDMANというイメージが強い。
達也さんのソロもまさにBLINDMAN的に鳴り響く!
230
達也さんのフォームも美しいな~。
310
次の曲もスタートは松井さんから。

240_2そのキーボードの音色が飛び出した瞬間に大きな歓声が上がったのは「The Tears of God」。

225
ヘヴィに迫りくるレイさんのボーカル。
コレがBLINDMANの声だ!

250vニュー・アルバムからの2番目のチョイス、「In the Sleepless Night」でブッっちぎる!260_2
音楽は「年齢」じゃないけど、やはり若いメンバーのパワーを感じずにはいられないほどの疾走感!
いつも書いているけど、ロックはこういうベテランと若者の交流をドンドン推進するべきなのだ。
若者はベテランから経験と知識を学び取り、ベテランは若者の感性とパワーを大いに吸収すべし!
コレが実現したところに新しいロックの道が日ら開けると信じでいる。
S41a0446
「若者」って言えば、峻くんと話をしていて大笑いしちゃったんだけど、彼がもっと若い時、すなわち中学生の時に私を見てるって言うんだよね。
カレコレ10年も前の話。
この業界、驚くほど狭いということは先刻承知なんだけど話を聞いて驚いたわ~。
私はミュージシャンでも何でもないので彼に「見られた」っていうのもヘンなんだけど、関西で学校対抗の大きなバンド・コンテストがあって、その審査員をさせて頂いた時のこと。
コンテストに先立って、出場する中高生向けに「機材の使い方教室」のような講演会が用意されていた。
当時「時空海賊SEVEN SEAS」のEITAちゃんをデモンストレーターに迎えて「アンプの使い方」をテーマに何回か私が講師を務めさせて頂いたのですわ。
その時、中学生だった峻くんが客席にいたっていうんだよね。
改めて「どうだった?」って訊いたら、「すごくおもしろかった!とにかくJVMを激押しされていましたよ!」だって!子供相手に押し売りとは恥ずかしいわ…イヤイヤ、教育ですから!
当時、彼の学校にはMarshallが3台も置いてあって私が心底うらやましがってたらしい。我々が中高校生の時にはMarshallのニオイすら嗅げなかったからね。
そう、以前は専門学校から「アンプ教室」の講師を依頼されて、同時に「Marshallやロックの歴史」みたいな講義をずいぶんやらせて頂いたんですよ。
私はエラそうに人前で話すのがそうキライではなくて、好きな仕事のひとつだった。
私の授業の第一のテーマはとにかく「笑い」。
Marshall GALAの時もそうだったんだけど、まずは聴き手を笑わせることに注力する。
そうしないとオッサンのつまらん話なんか誰も聴いてくれないからね。
そんなワケで、時々峻くんみたいに、「あの時私教室にいたんですよ!」なんて臨時教え子さんたちに出くわすことがある。
相手の数が多いので、残念ながら相手を思い出すことはできないが、すごくうれしいもんだ。さらに皆さん、「お話がすごくおもしろかった!」と言ってくれる。
コレがつまらない授業だったら誰も声をかけてくれないでしょう?
笑いの中でMarshallの話をするワケ。
生前Jimもしょっちゅう冗談を言っていたので、コレには大賛成してくれているだろう。
そんなMarshallの講義をある専門学校で久しぶりに受け持つことになりそうで今から楽しみにしている。
「笑って笑って、気が付いてみればキミもMarshall博士!」そんな講義をご希望の方、ゼヒお声をかけてくださいまし!
  
ところで、峻くんが実際にそのコンテストに出たのか尋ねたところ、出たんだって。
その時の何人かの審査員のうちのひとりが私で、もうひとりはD_DriveのSeijiさんだ。私はそこでSeijiさんに出会ったのだ。
ちなみに、峻くんはウチの上の子よりも年下なのよ。
若い。
そんな彼がBLINDMANのリズムを刻んでいるんだから応援したくなるのは「道理」ってもんでしょ?
S41a0731
ジ~ックリ「River of Life」を聴かせておいて…

290_2

達也さんのギター・ソロをア・カペラでタップリ…。

300_2
Marshallとレス・ポール。
素晴らしいサウンド…ロック・ギターの魅力がギッシリ詰まっているサウンドだ。
Benoや『Truth』の時代から50年。
この牙城は崩せない。
ナゼならそういう「音楽」だから。そのサウンドによって成り立っている「音楽」だから。
  
解せないのは、後から後から出て来るMarshallのコピー商品のこと。
コピーするのは構わない。Marshallだって最初はそうだった。
それを「Marshallより良い音がする」と喧伝するのもゼンゼン構わない。それが彼らのビジネスだし、ビジネスにはそうした宣伝惹句は不可欠だ。
不思議なのは、それほどMarshallより優秀という自信があるのならどうしてルックスを似せて作るんだろう?恥ずかしくないのかな?
せっかく自分の納得のいく音が出る製品の開発に成功したのなら、見た目も本家とゼンゼン違う形にしてオリジナリティや優位性を確立させればいいと思うんだけど。
私だったら絶対そうするな~。
それと「Marshall好きならきっと気に入りますよ!」とかいう商品説明。
Marshallが好きならホンモノを使えばいいのにね。そこから自分の味を引き出すのがアーティストの腕であり、仕事であると思うんだな。
そこへ行くと達也さんをはじめ、マーブロにご登場頂いているギタリストの皆さんはやっぱりスゴイ。
みんな大好き…自分が好きなMarshallを好きでいてくれて、最高の音を聴かせてくれるから!

320_2
そのままセカンド・アルバム収録の「Hot Blood」。
270v

MCでは12月21日にリリースが予定されているニュー・アルバム『TO THE LIGHT』への想いが語られた。
達也さん本当にうれしそう!
失敬を承知でこんな言葉を使うが、やっぱりこうして「愚直なまでに」自分たちのやっていることに誇りと自信を持って、「己が道」を突き進む姿に感動を覚えずにはいられない。
意志ある「継続」は「力」どころの騒ぎではない…「継続は感動」だ!
私はMarshall Blogを通じてそういうアーティストたちとお付き合いさせて頂いていることを誇りに思っている。

160

その「感動」の度合いを高めたのが峻くんの存在だ。
以前にも触れたが、一旦録り終えたすべてのドラム・トラックをこの新加入の若きドラマーのプレイに差し替えたのだ。
峻くんといい、MashaくんのSilexといい、Crying MachineのOBの活躍が目立っている。
ちなみにMashaくんが今使っているブルーのストラトキャスターの前のオーナーは達也さん。
Mashaくんは達也さんに敬慕の念を寄せているのだ。ここでも新旧の交流が!

280
コレがそのニュー・アルバム『TO THE LIGHT』。
12月21日の発売ゆえ残念ながらまだ聴けていないが、渾身の一作に仕上がっていることは想像に難くない。
耳にするのが楽しみだ!

170cd

そして、アッという間にBLINDMANのステージも最終セクションに突入する。

Img_0185
「The Touch of Gray」…

S41a0506「Blazing Crisis」…

S41a0463と立て続けにブチかまして本編を終了した。

Img_0194熱狂のアンコールは「もちろんこの曲!」として…

330_2「Living a Lie」を演奏した。

340_2完全復活を遂げたBLINDMAN、Marshallとともにジャンジャン暴れちゃってくだされ~!
130v

350v

370v

380v

390vさて、直近のBLINDMANの予定は、『at the end of the year ~Between life and death tour final~』と題したCONCERTO MOONのコンサートへのゲスト出演が決まっている。
ゲストだから「ダブル・ヘッドライナー」ではない。
東京は12月18日の目黒鹿鳴館。
そして、ニューアルバム『To the Light』のレコ発ワンマン・ショウ、『LIVE TO THE LIGHT 2017 TOKYO Vol.1』は年が明けて1月21日。
場所は同じく目黒鹿鳴館だ。

BLINDMANの詳しい情報はコチラ⇒BLINDMAN Official Web Site

4001965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square
★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2016年10月2日 目黒鹿鳴館にて撮影)

2016年11月29日 (火)

Marverics & Mystics ~ APHRODITE編

今回のレポートは久しぶりにご登場頂くグループがふたつ。
岡垣正志率いる様式美の雄、APHRODITEと正統派ブリティッシュ・ロックの伝統を奏で続ける不死鳥、BLINDMANのダブル・ヘッドライナーだ。
だからまずはアレをやらないと!
「ツーマン」では断じてない。「ダブル・ヘッドライナー」だ…ってヤツ。
「ダブル・ヘッダー」でもいい、とにかく「ツーマン」だけはヤメましょう。
しかし、どうして「ツーマン」なんて言葉が出て来たかね~?
おそらく、昔から広く使われている「ワンマン」という言葉の「ワン」を「ツー」とか「スリー」に置き換えた感覚なんだろうね。
そこには当然「man」の複数形が「men」だなんて感覚は介在しない完全な日本語感覚なんだろう。
だからそれを「Two Man Live」などとアルファベットで表記するなんて恥ずかしいことこの上ない…とチョット前に書いたばかり。
そういえば、昔のバスって運転手と車掌さんの「ツーマン」だったんだよね。あ、イカン!
「ツーマン」って言ってしまった!
車掌さんが真ん中あたりに乗っていて硬い切符をチョキチョキ改札していた。のんびりした時代だった。
さて、ネイティブの人にこの辺りのことを尋ねると、「ワンマン」という言葉もどうもシックリこないらしい。
「One Man Concert」なんて聞くと、あるグループから一人だけ独立して演奏する弾き語りのような形態のショウを思い浮かべるらしい。
しからば、グループがひとつだけ出演するコンサートをどう呼ぶか?…というと特別な言い方が思い浮かばないということだった。そういうコンサートが当たり前なので、ワザワザ特別な言葉を充てる必要がないのかもしれない。
そもそも昔のライブハウスはね、今ほど複数のバンドがいっぺんに出るなんてことがなかったんだよね。
だから「今度ワンマンやります!…♪ドコドン、ジャ~ン!」なんてやっていた記憶もないなァ。
私は故意に「コンサート」とか「ショウ」いう言葉をMarshall Blogで使っているが、コレらの言葉も「ライブ」…「ライヴ」か?…という言葉に押されて絶滅しそうだもんね。それより先に「リサイタル」という言葉をトンと耳にしなくなった。
本当に言葉というものは世につれて変化していくもんですな~。
でも、どんな言葉が使われようが、「ツーマン」だけはチョット…。
  
まずはAPRODITEの出番。

10さて、同名のイベントで7月にはJILL'S PROJECT-D名義でステージに上がった岡垣正志。
今回はAPRODITE!

20v荒木真為

30v西村守

40v西村さんは当然Marshall!

50ANI-Katsu

55vトレードマークのフロント・ヘッドを擁するのは…

60堀江睦男

70v一曲目は「アンシャン・レジューム」。

80タイトルの「アンシャン・レジューム(レジーム)=Ancien regime」はフランス語。
16~18世紀のフランス革命以前の絶対王政期の同国の社会・政治体制のこと。フランス以外の国々では「旧体制」を意味する比喩として用いられることが多い。
英語で言えば「ancient regime」…ほぼ同じ。

90急速調でドラマチックな展開はオープニングに持って来い。
こうしたロックがなかなか聴けなくなったのは本当に残念だ。まさに「Ancien regime」!
120
岡垣さんのキーボードから始まる二曲目は「Holy,Unholy」。

100これまた迫力のスピード・チューン。

110ギター・ソロもバッチリきまり、最近の作品で固めた滑り出しは絶好調!

130「7月は夏が始まる感じ、今日は(10月初旬)は秋が始まる感じでココ鹿鳴館のステージに上がっています」という岡垣さんの時候のご挨拶の後は「Long Live The Dead」。
150v
前二曲とは異なり、若干テンポ・ダウンしたドッシリした雰囲気が重厚感を演出する。
140v

岡垣総帥の世界をミッチリと織りなしていく三人。

160v

S41a0026

170曲は「詩人シャロー」へ…。
「♪詩人シャロ― 難解すぎて 詩人シャロ― 誰にもわからない」という歌詞が最高。
ま、私は残念ながら詩歌をジックリと味わうほどロマンティックな人間ではないが、瀧口修造という人の作品には腰を抜かしたな。
『妖精の距離』という作品はこんな具合だ…チョット飛ばさないで読んでみて!
  
うつくしい歯は樹がくれに歌った
形のいい耳は雲間にあった
玉虫色の爪は水にまじった
脱ぎすてた小石
すべてが足跡のように
そよ風さえ
傾いた椅子の中に失われた
麦畑の中の扉の発狂
   
…イッちゃってますね、完全に。
若い頃は「ロクでなし野郎赤い羽根 ミシンをかついたギタリスト 傘をかぶったベーシスト おいらは銀河のニヒリスト」にも相当ビックリしたけど、瀧口修造の言葉の四次元ぶりは尋常ではない。
まさに難解すぎてサッパリわからん!

180そのかわり、ギター・ソロはストレートにブッ放す!
やっぱりこういうギターはMarshallでないと!

S41a0310岡垣さんのキーボード・ソロ。

180v徐々にエキサイトしてキーボードをゴインゴインと猛スイング!

190そして、曲は五番目の「Fear」に突入する。
こうしたドロッとした重苦しい曲調もすごくマッチする。

S41a0128 堀江さんのドラムが雄叫びを上げた!

220
鐘や雷の音から始まったのは「Edge Of The World」。

240西村さんの流麗なギターがフィーチュアされる!

250Rick Wakemanのようなカッチョいいピアノのイントロから「人形愛」。
230v
ソリッドなリフからメロディアスなボーカル・パートへ。
290
この曲でも聴かせてくれる華麗なギター・ソロ。
280v
岡垣さんのオルガン・ソロ!
グワングワンとキーボードを前後に揺さぶる岡垣さん。その振幅は増すばかり!

260しまいにはコレもん!
200
Ani-katsuさんはゴリンゴリンと遠慮なく図太い低音を放り込んでくる!

270その低音とガッチリコンビを組む堀江さんのシャープなドラミングが小気味いい!…と、APHRODITEのエキス満開!
295v
さらに「Daydream」。
完璧なバック陣にサポートされた真為さんのボーカルが冴えわたる。

300最後の最後までとにかく突っ走る。
もう「様式美」ファンにはタマらないステージだ!

320そして、APRODITEのステージは「紅蓮の炎」で幕を閉じた。

330岡垣正志とAPHRODITEの詳しい情報はコチラ⇒Masashi "Jill" Okagaki Official Website340<BLINDMAN編>につづく

(一部敬称略 2016年10月2日 目黒鹿鳴館にて撮影)

2016年11月25日 (金)

Sound Experience 22~ 足立祐二 3 tea 3編的な?

22回目を迎えた今回もダブル・ヘッドライナーでお送りしている『Sound Experience』。
レポートの後半は足立祐二率いる3 tea 3の登場だ。
さて、こうした「対バン形式」のことを日本ではいつの頃からか「ツーマン」とか呼んでいるが、断じて「ツーマン」なんて言葉はおかしい。
「ダブル・ヘッドライナー」だ。「ダブル・ヘッダー」でもOK。
「ダブル・フィーチュア」は大掛かりなコンサートの場合に使われるか、「二本立て上映」という意味で映画の興行に充てられる。『Rocky Horror Show』のオープニング・ナンバー、「Science Fiction/Double Feature」がそれ。
さて、おかげさまでMarshall Blogも意地を貫き通して来て、最近では「『ツーマン』という言葉はおかしい」という賛同のご意見を頂戴するケースが増えてきた。
せっかく「ダブル・ヘッドライナー」って言っていたのに「ツーマン」に戻っちゃった人もいるけど…ネェ~、Sさん!
一方、Mくんは一昨日のステージで「ダブル・ヘッダー」という言葉を使った。うれしい。
滑稽なのは「Two Man」とアルファベットで表記したりしているケース。
何でも貪欲に吸収しちゃう日本語のことだからして、「ツーマン」をもはや純粋な日本語として捉えるのならまだしも、間違えた英語をアルファベット表記するのは二重に恥ずかしい。
ま、とにかく一度張った強情は最後まで貫き通すぞ!
アレ、デジャヴ?
このあたり、どこかで書いたことがあるような気がするゾ…。
あ、昨日も書いたんだった!
  
さて、3 tea 3はインストゥルメンタルのギター・トリオ。
YOUさんも次から次へと色んなグループを送り出してくるナァ。

10足立"YOU"祐二

20v_2YOUさんはMarshallを使用。
JVM210Hと1960Bだ。

30vベースは長谷川淳。

40vそしてドラムは今週パパになられた星山哲也。
星山さん、おめでとうございます!
赤ちゃん、ダッコしたいな~。

50v徹頭徹尾、YOUさんの音楽とギターを楽しむグループだ。
1曲目のアップ・テンポな「Magical Arms episode 2」からしてYOUワールド全開!
目まぐるしく変化する場面の数々に引き込まれてしまう。
今時普通ならタッピングを使って対応するようなフレーズを開放弦を組み込んで処理するところはYOUさん流。
定規を使ったかのような正確無比なプレイが素晴らしい。

60派手なキメが入ったり、ワルツになったりと展開が予想できない!

70vそうした複雑な構成を完璧にこなすリズム隊も絶好調だ。

802曲目は「天使の誘惑」。
我々の世代だと絶対に「黛」という名前が出て来る。
「黛」といっても「黛敏郎」のことではない。
『題名のない音楽界』の司会で有名なこの人、「涅槃交響曲」などの作品で知られる現在音楽の大作曲家だ。
黛さんは極貧ゆえピアノを買うことが出来なかった後進の天才作曲家にピアノを1台無償でプレゼントしたことがあったという。その天才作曲家とは武満徹のことである。
で、「天使の誘惑」は「敏郎」ではなくて「ジュン」の方。
1968年のレコード大賞を獲得した「黛ジュン」が歌った名曲だ。今、聴いてみると殺人的にいい曲だな。
歌詞も可愛いし、信じられないぐらいメロデイが素晴らしい。歌もいいし、アレンジも秀逸。つまりムダな部分がナニひとつないのだ。
「♪私の唇に 人差し指で 口づけして あきらめた人」…なんて、今時そんな純なヤツはいまい。
本当に昔の歌は魅力的だ。
もちろんYOUさんの「天使の誘惑」はそれとは何の関係もない。
三連のリズムに乗ったシャープなテーマ、親しみやすいメロディ(ココは同類)にノケ反ってしまいそうになる予想外の展開。
これぞ「天使のYOU惑」!

90vこの大サビの旋律!まるで歌のようだ。だがプレイはカミソリのように鋭いぞ!
そして、何しろJVMの音が気持ちよい。

100ベースソロからスタートするのはミディアム・スローの「My SUN」。
長谷川さんにはこの10日後にある現場で偶然一緒になってビックリしちゃった! 

110ホロ苦いメロディ。
そのメロディを感情豊かなアーティキュレーションで歌い上げるサマはまるで管楽器のようだ。

120ピッキングの位置やピックが弦に当たる角度を調節して出す音ひとつひとつに表情が与えられていく。
シュレッディングとはまったく異なる違う恐るべき技術の集積と集中力。
「超絶技巧」とは断じて速弾きばかりではない。

220角度を変えてみるとこんな感じ。
左手のグリッサンドの入れ方も独特至極。
ロックの定石フレーズをほとんど弾かないこともYOUさんのサウンドを独特なモノにしているポイントのひとつだ。

230バック陣がまるで分身のようにYOUさんのプレイに反応していくのも見事。

130「伊豆ライナー episode 3」という曲。
コレも本当に列車の中から景色を見ているように情景がコロコロと変わっていく。
中間部は7/4というか、4/4に7/8がくっついているのか…?

140vこの曲も強烈だ。
ビックリするほどポップなメロディからキテレツなフレーズまで、何が飛び出すかサッパリわからない。
そういう意味ではもはやザッパ的。トリオではなくて大編成のバンドにアレンジしたものを聴いてみたい!
ヘタなプログレよりゼンゼンすごい。
150前曲とメドレーのようにして演奏した「Magical Arms Episode 3」はタイトルからするとは1曲目の続編なのかな?
3/4拍子のテーマ内のトリッキーなフレーズとその後の展開の対比がスゴイ。
これまた予想外の転調からブギへ!
こんな曲があればおもしろいな…とフザけて考えた無茶な曲がそのまま現実になってしまったような印象を受ける。
途中で5/4拍子のアップテンポに!
そして、エンディングのキメ…エ、これで終わりなの?こういう茶目っ気がYOUさんらしいんだよな~。

160v6曲目は「Hard Tension」という作品。
これはワルツ。
もはや当然のごとく、曲は意外な展開を見せるが、一か所三宅さんの「murt'n akush(マラケシュ)」のリフとほとんど同じフレーズが飛び出してビックリ!
後は何しろ聴いたことのないようなフレーズがテンコ盛りで面白いことこの上なし。

170「Ghost Song」が続く。
チョット怪しいイメージのテーマ・メロディ。やっぱりダイナミクスのつけ方が際立っている。
一か所しか出てこないが、転調を重ねるパートがスリリングだ。
そして、繰り返し出てくるメイン・テーマが耳に残る。
それにしても似たような写真ばかりで恐縮至極ですわ~。
YOUさんのライブ・レポートはいつもこうなっちゃうの。だってYOUさん表情ひとつ変えないんだもん!
顔で弾く人、暴れながら弾く人、いろいろな表現方法がギタリストにはあるけど、YOUさんは指で弾く人だな。当たり前のことなんだけど「指」だ!
下の写真はかなりレアな表情。

180v私が経験した限り、YOUさんのステージには曲間にMCがない。
ドバーっと演奏して最後にひとこと…というパターンだ。
そして、そのMCを挟んで最後の曲、「Worry Rat」。
開放弦を使ったトリル・フレーズ。ココでもYOUさんは右手を使わない。
190
胸のすくようなドライビングチューン!
これも独特のテーマメロディを持つ曲だ。

200v変拍子パートもバッチリ挿入されている。

210vそして、ギター・ソロ。
ココは怒涛のロック・フレーズ・ラッシュ!
十分に気を衒った素材なのに異様なまでの耳なじみのよさ。
プレイはもちろんスゴイんだけど、曲が何しろおもしろい。
このSBLとのダブル・ヘッドライナー、ギター好きのシリアスなリスナーには相当お値打ちだったハズだ。
  
足立祐二の詳しい情報はコチラ的な?⇒You's Alien blog

S41a0260 アンコールは3 tea 3に三宅さんが加わった。
名門バンド、Terra RosaのOBふたり…まずはその周辺の話で大盛り上がり。
メチャクチャ笑ったわ~。
内容は保安上、割愛させて頂きます。
あ、YOUさんの歯に衣着せぬところ、大好きですとだけ書いておこう。
240さて、出演者の競演はこの「Sound Experience」の名物だからして、今回も当然お二人にバトとって頂きます。

250このバトル…JVM210Hと4x12"スピーカー・キャビネットとアンプの状況がほぼ共通だ!
しかし、ゼ~ンゼンサウンドが違うから面白い。
270v
でも、共通なのは「自分だけの言葉」を持っているということ。
それだけに以前にも観てはいるものの、この共演はとても楽しみだった。

260v曲はJ.J. Caleの「Cocaine」。
コレは完全な私見だけど、オールド・ファンの皆さん、桑田佳祐の歌い方ってJ.J. Caleにソックリだと思わない?
さて、この曲を選んだのは、リフがあってワン・コードで延々と弾ける…という発想。
本当は「Cocaine」はワン・コードの曲ではないけどね。
歌詞は中学校の英語のテストだったら大変なことになる。
「She don't lie」だからね。主語は三人称単数ですよ!果たして「Cocaine」が女性名詞か?ということもあるけれど。
Zappaにもこういうのがあるね。
「She don't wanna get drafted, she don't wanna go(彼女は徴兵なんてまっぴらゴメン!戦争になんか行きたくないんだよ!)」…「I don't Wanna Get Drafted」という曲。
コワイね、徴兵…。たった2、3年前までは現実のものとして考えたことすらなかったのに。
3.11から日本のすべてが変わってしまった。
アメリカはイギリスから遅れること13年後の1973年に徴兵制を廃止したが、代わりに故意に格差社会を推進し、貧富の差を作って志願兵を確保した。
ちなみにこの13年の差が「ブリティッシュ・インヴェイジョン」を実現させたことは事実と観ていいだろう。
それを礎にDeep PurpleやLed Zeppelinをはじめとした栄光のブリティッシュ・ロックが誕生する系譜になるワケだが、これだけでは条件を満たさないんだな…。
イギリスにMarshallがあったからブリティッシュ・ロックは世界を制覇したのも厳然たる事実なのだ。
あ、イカン、思いがけず変な脱線の仕方をしてしまった!

290期待通り火花を散らすような「ギター」対決…というよりピロピロ一切なしの「音楽」対決!
イヤ、対話かな?
何回も交換される上質なソロ。
技術の見せ合いではなく、いかにいいフレーズを弾くか…コレならいくら聴いていても飽きることはない。ピロピロは飽きる。

300三宅さんのソロの最中にムニッ!

310YOUさんのソロ。

320三宅さんのソロ…ムニッ!
「あ、やめて…弾きにくい!」

330YOUさんのソロ。

340三宅さんのソロ…ムニッ!
「あ、また!やめて!」

350「後ろへ逃げちゃおう…」

360YOUさんのソロ。

370v三宅さんのソロ…ムニッ!
「あ、また!今度はネックを握ってる!」

380「やめて!」
「ゼッタイ放さへんで!」

400「放してくれ~!」
390
「ああ~、そんなことやってるウチに曲が終わってしまった!」…と最後まで楽しくスリリングなショウでした!

4101965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square

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詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

※本日は祭日ですが更新しました。その分、Marshall Blogは28日の更新をお休みします。

(一部敬称略 2016年9月29日 三軒茶屋GRAPEFRUIT MOONにて撮影)

2016年11月24日 (木)

Sound Experience 22~ Strange,Beautiful and Loud編

毎度おなじみ三宅庸介の『Sound Experience』。
今さら説明は不要だろう。
ナニせ今回で22回目!  
今回はStrange,Beautiful and Loudと足立祐二率いる3 tea 3のダブル・ヘッドライナーだ。
断じて「ツーマン」では断じてない。
「ダブル・ヘッドライナー」だ。
おかげさまでMarshall Blogも意地を貫き通して、最近では「『ツーマン」という言葉はおかしい」という賛同のご意見を頂戴するケースが増えてきた!
せっかく「ダブル・ヘッドライナー」って言っていたのに「ツーマン」に戻っちゃった人もいるけど…ネェ~、Sさん!
せっかく止めたタバコをまた吸いだすようなもんですぞ!
滑稽なのは「Two Man」とアルファベットで表記したりしているケース。
何でも貪欲に吸収しちゃう日本語のことだからして、「ツーマン」をもはや純粋な日本語として捉えるのならまだしも、間違えた英語をアルファベット表記するのは二重に恥ずかしい。
ま、とにかく一度張った強情は最後まで貫き通すぞ!
次は「参戦」だな…。
そうそう、アーティスト・グッズなんかを指して「戦利品」なんて呼んでいるのを見かけるけど、アレもすごくイヤな気分になるナァ。
戦争に関する本を何冊か読んでみるといい。
「戦利品」とはナニか、どうやって手に入れるか…。戦争が民間人に一体何をもたらしたのか…。
史実を知ったらたちまち「戦利品」なんて言葉を軽々しく使えなくなるハズだから。
イカンイカン、また書いているうウチに燃えてしまった!
  
林先生ほどではないけれど、私は言葉に関するウンチクが結構好きでしてネェ。
先日KRUBERABLINKAの赤尾和重さんと英単語に関することをメールでやり取りしていて、スゴイことを教わっちゃった!
その内容はTerra Rosaのライブ・レポート(gig review)の時にでも!

Img_0001三宅庸介

S41a0007 山本征史

S41a0011金光健司

S41a0041この黄金のトリオ、あるいは「魔のロック・バミューダ」が奏でる三宅ミュージック。
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楽器の重要な成分を占めるのはMarshallと…

Img_0077
NATALで構成されている。

S41a0338今日の1曲目は「Ring」。
2_img_0022

三宅さんの作品の中でも作るのに最も時間を要した曲だという。
ギター一本の指板の中にどれだけのメロディーやハーモニーの可能性が潜んでいるか…ということを探求したというのだ。
S41a0039
その作業は本当に少しづつ、細心の注意を払い、何度もやり直しながら進められたそうだ。
その甲斐あって、曲の構成の面でも、ありがちなのロック・インストとは全く違うとても独自性の強い曲に仕上がっている。
2_img_0050
この3人で演奏した三宅さんのセカンド・アルバム、『orchestral supreme』の収録曲の中でも「マジカルなテイク」として自身もとても誇りに思っているとお聞きした。
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S41a0052

続いて「mani」。
征史さんと並走する重く暗いリフ。
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「70年代初期のマーキー・クラブ」が曲のイメージ。すなわちハード・ロックがものすごいスピードで熟成されていた時期だ。
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この曲を演奏する時の心構えは「バンドでどれだけリズムの伸縮を表現できるか」ということだそうだ。セクションごとにテンポが変わり、それぞれに適切なムードを与えられるか?ということを頭に入れて演奏している。

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いつも通りの緊張感の中、3曲目に移る。「bloom」だ。
レパートリーの中では古い部類でSBL以前から演奏している、双方も含めて三宅エキスが詰まった曲。
2_img_0037
ソロの後半に繰り返されるアルペジオなんかは20歳の時から取り入れている弾き方で、三宅さんの特徴的な弾き方のひとつだ。
「弾き方」と聞いてチョット思ったんだけど、三宅さんの左手、指板への親指の乗せ方が深いとは思わない?
どんな時でもグッと握りこんじゃうの。
S41a0120

 まタマにはこういうのもある。
これは思い切りアームダウンして弦を動かしているから指をフィンガー・ボードから離している。

2_img_0075

ホラまた、ギュッ!
2弦の5フレットをチョーキング(へへへ、ここは「ベンド」って言わないの。人間が古いから)する時ってこんなに握らないんじゃない?
親指が長いのかな?

S41a0124

…と思って、昨日おとといと三宅さんと一緒になったので、手を見せて頂いた。
親指が長いのかと思ったらさにあらず。
それよりも手の甲が長いというか、親指のついている位置が下の方というか、手のひらが細長いということだけは言えそうだ。
ちなみに、ガバっとネックを握るのもジミの影響かと思ったら、それは関係ないそうだ。

9_2img_2970 この汚い手はワタシ。
三宅さんのと違って横幅が広くなんと不格好のことよ!
この親指の付け根がシッカリしているのは「お金が入ってくる手」と言われているけど、ウソこけ!
まったく入って来ねーじゃねーか!

Lf

 


4曲目の「devil」は比較的新しい曲。
この曲も「Ring」に似た発想で作らている。
「リフがあって、ハイ、次はメロディ」という展開の形を採らず、リフそのものを大きなメロディとして捉えているという。
Img_0048
ココでも既成のロックにとらわれない三宅さんの気概が見て取れる。
しかし、それは決して奇を衒ったモノではないところがスゴイところだ。
ま、こういう音楽を聞き慣れていないとなかなかそうは感じないかも知れないけど…。

S41a0004

リフの弾き方についても「Ring」に倣ったところがあるそうで、それはとにかくMarshallでストラトキャスターを鳴らす楽しみであり、『限りなき探求(Infinite Research/Miroslav Vitous…ギターはJohn McLaughlin)』なのだそうだ。
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そう、このトリオって3つの楽器のうち、2つMarshallから音が出ているせいか、ものすごく音色のコンビネーションがいいんだよね。

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もちろん金光さんが叩くNATALのサウンドもすごくキレイに溶け込んでいる。
ちなみに…邦楽の打楽器は「叩く」とは言わないで「打つ」と言います。
S41a0046
「♪シャ~バダ~、シャバダダダシャバダダダ、シャ~バダ~、シャバダダダシャバダダダ」…コレな~んだ?
クロード・ルルーシュの『男と女』の主題歌。主演はジャン・ルイ・トランティニアンとアヌク・エーメ。
作曲したのはフランシス・レイ。
今の若い人はフランシス・レイなんて知らないだろうな…。
フランス映画をあまり観ない私でもココまでは知ってるけど、もうひとり、この映画の音楽を担当しているのがブラジルのギターの大名手、バーデン・パウエルだったとは知らなんだ!
フランシス・レイは『パリのめぐり遭い』、『白い恋人たち』、『雨の訪問者』、『ある愛の歌』といったフランス映画を代表するような作品の音楽を担当し、数々の名曲を残した。
『なつかしの映画音楽』みたいなコンピレショーン・アルバムには必ず何曲かが収録されるであろう大作曲家だ。
フランス映画についてはまたどこかで触れることにして、今日は先を急ぐ。
さて、三宅さん自身も「大切な曲」と呼ぶキラー・チューンで、必ずステージで演奏される曲がこの日の5曲目「if」だ。
「if」もフランシス・レイもご存知の方はにわかには信じられないであろうが、三宅さんは子供の頃から大好きだったというフランシス・レイの影響が強いのだそうだ。
  
チョット思い出したんだけど、上に挙げた『白い恋人たち』という作品は原題を『13 Jours en France』と言って、「フランスにおける13日間」という意味で、1968年冬のグルノーブル・オリンピックの記録映画だった。
この大会で滑降、大回転、回転で金メダルを獲得したジャン・クロード・キリーが世界的大スターになった。小学校に上がるか上がらないかの私でも名前を知っていたぐらい。
それで、その次が1972年の札幌よ。
この札幌オリンピックの主題歌で「虹と雪のバラード」ってのがあってね、この曲を小学校の音楽の時間に徹底的に歌わされた。
「みんなでこの曲を歌ってオリンピックを迎えましょう」…みたいなヤツだ。今では信じられないでしょう?
あんまりコレばっかりやらされすぎて、当時この曲がものすごくキライになったよ。
東京の小学校だけかと思って家内に尋ねてみたところ、横浜でもさんざんやらされたそうだ。
そもそも、オリンピックは札幌で開催するなんだから東京や横浜の子は関係ないだろうに。
おかげで家内も私も今でも歌えるよ。
でも、へへへ、今聴くと実にいい曲だナァ~。昔の曲は本当にヨカッタ。今の巷の曲とは土台クォリティが違う。
作曲は村井邦彦。
慶応のライトミュージックソサエティ出身で、数々のGSのヒット曲を世に送り出したアルファ・レコードの創設者、つまりYMOの生みの親だ。
2_img_0068
繰り返されるメロディと下降するコード、そして曲の後半では更にメロディも一緒に動いてドンドン転調していく。
「同じ場所にいながら過去の様々な出来事を思い出してる…そんな世界観が創れたんじゃないかと思っています」というのは本人弁。
曲を作りながら「オルゴールで聴くような曲」という発想を交えたそうだ。
中間部のリフやソロのパートには伝統的なブルース・ロックの施法を挿入した激しいワルツだが、三宅さんの作品の中ではもっとも親しみやすい曲であろう。
2_img_0103
この曲では征史さんのすさまじいアクションも見逃せない。

S41a0129

アタマを激しく前後に揺さぶるサマにはいつも鬼気迫るものを感じる。

2_img_0079「作曲」という作業と「演奏」という作業をを切り離して作った曲…というのが「petal」。
その時、人生で「作曲をする」という言葉を最も意識したというだけあって、三宅さんもかつて愛奏曲のひとつに挙げていた。
S41a0024

曲は大きく分けて4つのパートで構成されており、「A」のパートのメロディとソロの前半のそこかしこにGary Mooreの影響が表れている。
「今も好き」というGaryは、三宅さんの子供の頃からのギター・ヒーローだ。そういえば、Garyがなくなった時もいち早く私に情報を発信してくれたのも三宅さんだった。
それにJim Marshallの時もそうだった。
あの時、私はすでに前職を辞していて、Marshallとは何の関係もなくなっていた時期であったが、三宅さんは私の気持ちを慮って世間が騒ぎ出すよりはるか前に連絡をくれたのだった。
私は夜更かしができないので、時差のある海外での出来事に関する情報にはどうしても出遅れてしまうのだ。
それで、この「petal」には、子供の頃に持っていたGaryに対する「なんて素敵なメロディーと表現!」という印象を素直に反映させた。
2つのパートでは、Marshallの三宅さんが「クリーン」と呼んでいる浅いクランチがとても重要で、Marshallのトーンあってこそ具現化した曲という感覚が強いそうだ。
ここでもGary Mooreの薫陶を受けているに違いない。
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レギュラー・グリップの金光さん。
三宅さんの意図を酌んだサトルな表現が素晴らしい。

S41a0076

そして「murt'n akush(マラケシュ)」。
「ストラトキャスターで低音弦を使ったリフ」という着想で作られたこの曲は5/4拍子。
リフを弾いた時からすでにこのリズムが決められていた。
アウトロのワルツ以外は全て自然な5拍子でまとまった。
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「if」やこの曲、さらに「mani」や「Ring」は特にリズム隊の2人とどれだけ楽しみ、そして挑発しながら演奏できるか?というテーマも含まれている。
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当然、作曲する時も2人のプレイを完全に頭の中で描いて作業が進められた。
S41a0097
その結果、リズムの骨格がクリアに浮き出ることとなった。
作曲者自身もその仕上がりに満足しているようだ。

S41a0041

今回のクローサーは「virtue」。
今演奏しているレパートリーの中では「bloom」と並んで一番古い曲。

2_img_0111
キャリアのある曲だけあって、SBLのステージでもとりあげられる頻度が高い。

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それだけに猛り狂う溶岩のような猛烈な演奏が楽しめる一作。
この日もスゴかった!

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三宅庸介の詳しい情報はコチラ⇒Official Blog

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<3 tea 3編>につづく

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1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

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★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

※本日は祭日ですが更新しました。その分、Marshall Blogは28日の更新をお休みします。

(一部敬称略 2016年9月29日 三軒茶屋GRAPEFRUIT MOONにて撮影)

2016年11月23日 (水)

セキーン・オカーン&ミヤーン in ところざわまつり前日祭

今日は「勤労感謝の日」か…。
今まで54回感謝してきたけど、一体何に感謝してるの?
「勤労感謝の日」というのは、「勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」のが趣旨だってばよ。
  
なんてフザけている場合じゃない。
だって、この祭日はスゴイよ。メッチャ古い。
そもそも農業国である日本は、太古から神々に五穀の収穫を祝う風習があったんだね。コレはよくある話。
そして、昔は食品の保存の技術なんてないから、その年の収穫物は、国としても向こう一年を養う大切な蓄えとする必要があった。
そこでだ、その収穫物に感謝する大事な行事として、ナ、ナント飛鳥時代の皇極天皇の時代に始まった新嘗祭(にいなめさい)の日が「勤労感謝の日」なんだって。
だから1400年近い歴史があるのだそうだ。
戦後のGHQの占領政策によって、1948年(昭和23年)に今の形となった。
へへへ、感謝しあおうぜ!
みんな、ありがとう!

さて、今日の舞台は所沢。人生で二回目の所沢。

10去年の『ところざわ収穫祭~秋のミュージックフェスタ』に続いての往訪だ…ということは何やらMarshallに関係があるということ。
私はMarshall関係以外では、中古CDを買いに行くのと、さぼりがちだが運動のためにしているウォーキングぐらいしか他に外に出ないからね、極端な話。

20なので、行った先々ではなるべく何かしらおいしいモノを食べるようにしている。
…と言ってもラーメンばっかりだけどね。
今回はビートたけしが命名したとかいう『まぼろし軒』というところのラーメン。
別にたけしが名付けたから行ってみたワケではないが、おいしかったな。
最近は東京のラーメン屋さんもとんこつドロドロばっかりでしょう?
どちらかというと私はアレが苦手なもんだから、ここのような透き通った系のスープのラーメンはうれしいね。
鶏ダシのラーメンが好きだナァ。
街中にあるラーメン屋さんの中でもっともおいしいと思う「鶏系スープ」のラーメンは浅草橋の「水新菜館」の「とりそば」だな。高いけど。
ココは広東麺が有名で、カップラーメンにもなっているぐらい。確かにすごくおいしいんだけど、ケタ違いに「とりそば」の方が好き。
こういう味は中華街に行かないと出くわさない。
そこらへんのラーメン屋の塩ラーメンのスープとは違うコンセプトのモノだ。本当においしくて、できればこのスープの風呂に浸かりたいぐらい!
スープを一口ずつ大事そうに口に運び、私があんまりおいしそうに味わっていたら、それを見たマスターがツツツと近寄ってきて、「おいしそうに頂いてもらってありがとうございます!」とワザワザお礼を言っていたぐらい。
私の中のラーメン・ランクは、一位が浅草「十八番」のニラそば。コレは40年食べ続けている。
二位がこの「とりそば」かな?
三位は高円寺もしくは江古田の「太陽」の煮干しラーメン。
あとはほぼ全部同列。
あ、あといつか原田の喧ちゃんに連れて行ってもらった札幌の「純連」の味噌ラーメンも腰を抜かしそうになるぐらいおいしかった。残念ながらチョットやソットじゃ行かれないもんね。
いかん、いかん、ラーメンの話なんてどうでもよかったんだっけ!
危うく「マーブロ」が「ラーブロ」になる所…沢。

Smkさて、今回も所沢駅前WALTZ入口に設けられたステージで開催された『ところざわまつり前日祭』というイベントにお邪魔した。
所狭しと並ぶのはMarshall、NATAL、そしてEDEN。

30首都圏近郊の皆さまご愛読のフリー・ペーパー「ショッパー」にもホラこの通り!
私はコレ知りませんけど、八王子だの、大宮だの、町田だので合計82万部も流通している情報紙だそう。
木曜日の午後になるとみんな「♪迫る~、ショッパー!」と歌っているのは、毎週金曜日に発刊しているため。
1989年に創刊した所沢版の流通部数は44,000部。所沢市の人口は34万人なので市民の1割以上の人が目を通しているということになる。
読者層は30~69歳の女性で80%を占めているそうだ。
だから所沢の女性はみんなNATALをご存知なんだね~…ウソこけ!

40前回レポートしたのは『ところざわ収穫祭~秋のミュージックフェスタ』という企画だったが、今回はそれとは異なり、上にも書いた通り『ところざわまつり前日祭』というイベントだ。

50出演は関雅樹、セキーン。

60v岡井大二、オカーン。

70v宮野和也、ミヤーン。

80vそして、ゲスト参加のアルト・サックス、加賀明宏、カガーン。

90v セキーンはMarshall…って、最初に写真を出してるんだった。

100ASTORIA CLASSICと1987X。

110オカーンはNATAL。上に同じだね。

120フィニッシュは異なるが、いつも大二さんが使っているのと同じバーチのキット。
スネアはブビンガだ。

130ミヤーンはEDEN。
やっぱり「〇〇ーン」は宮野さんが一番シックリくるな。

140v WT-800とD410XST。

150WT-800は現在は製造していない。
今流通しているEDENのフラッグシップ・モデルはこのWT-900PROだ。

9_wt900pro2 そして、今大きな人気を読んでいるのがコレ。
TERRA NOVAというモデルだ。

Terra_nova_2さて午後2時、定刻通りにステージがスタート。
1曲目はThe Metersの「Cissy Strut」。

160_cs関ちゃんはいつも軽快なテンポで演奏しているが、オリジナルはもっとスローで重た~いサウンドだ。
「オリジナル」といえば、毎日夜10時にテレビ朝日で放映している報道番組のテーマ曲ってコレに似てると思わない?
最初聴いた時に「アッ!」と思ったのだがいかがだろう?

170v やっぱり魅力的な大二さんのドラム。
いつもドラムのカッコよさの真髄を教えてくれる。

190v
「安定」、「安心」の宮野さんのベース。カバーする音楽の幅もすこぶる広い!

180加賀さんは関ちゃんの音楽の先生だったのだそう。
関チャンは『Speak No Evil』とか『Juju』とかをよく聴いているけど、Wayne Shorterは加賀さんから教わったとか。
あ、「Juju」っていったって歌手じゃないからね。

200v コレね、『Juju』は。

Juju 2曲目はBilly Joelの「New York State on my Mind」。
ま、こう言っちゃなんだが、所沢駅前というロケーションはなかなかにミスマッチだ。

210_ny「Billy Joelとサックス」といえば、「Just the Wat You Are」のPhil Woods。
何でもココでの演奏がPhilの生涯のベスト・プレイとされる向きもあるようだが、違うからね!
Steely Danの「Doctor Wu」だからね!…というのは悪い冗談。
Phil Woodsは良質のアルバムを多数残してモダン・ジャズの歴史のその名前を残している。

220v続いては宮野さんの作品、「koto」。
「koto」は「古都」だ。
魅惑的な4ビートのワルツ。

230v
関ちゃんは新しいギターに持ち替え。
出力の低いピックアップを弦が磁力の影響を受けないようにさらに低くセットし、木の鳴りを強調している。
なるほど、独特のサウンドだ。
そうしたもくろみがうまくいくのもASTORIAや1974Xがあることが前提だ。
ギターのチョットした違いまでも忠実にアンプリファイしてくれるのが「いいアンプ」なのだ…値段もいいけど。

220v_kt通りかかる人は間違いなく全員見て行くね。
そりゃそうか…。

225v一回目のステージの最後は加賀さんが再び加わってU2の「With or Without You」。
この曲って好きな人多いね~。
私はまったくU2ってのは門外漢でしてね。
初めてこの曲を聴いたのはアメリカのフィンガーピッカー、Doyle Dylesの演奏だった。
すごくみんながよろこんでいたのが不思議だった。
関ちゃん、自家薬籠中の曲。
よく取り上げているんだけど、私は80年代に入ってからの以降のこうしたロックはどうしてもキツイ。病気なのかな?

240_ww去年来たのは10月31日だったんだけど、やっぱり激曇りで、急にモノスゴク寒くなっちゃってね~。
イベントで展示していた熱燗をおいしそうに飲んでいた大二さんを思い出す。
あまりにも寒いもんで、一部と二部の間に上着を買いに出たんだっけ。
結局、いいのが見つからなくて買わずに帰って来て、震えながらシャッターを切ったのよ。
今年は朝のうちは土砂降りだったけど、寒さはセーフだった。

2503時半になって第二部がスタート。
今回、一部と二部の間はもちろん、演奏していない空き時間は朝早くからエンドレス・テープで延々と関ちゃんと大二さんのプロフィールがアナウンスされていた。
関ちゃんなんか「所沢北高」なんて出身校まで紹介されちゃって完全に「郷土の星」状態。
大二さんは「日本が世界に誇るロック・バンド、四人囃子のドラマー」っと紹介されていた。
ふたりとも照れちゃってステージに上がりづらそうだった!

260第二部の一曲目は「Cause We've Ended as Lovers」。
邦題は「別れの理由(ワケ)」。
タイトルからしてムード歌謡の香りがプンプン。
関ちゃんがこの曲を取り上げるのは珍しいかも?…というのはウソで、コレは名盤の誉れ高い『ギター殺人者の凱旋』から「哀しみの恋人たち」。Jeff Beckね。
チャンと訳すと「別れの理由」。
私はこの曲を収録している『Blowe by Blow』というアルバムの邦題を誰かが口にしているのを耳にした記憶がない。14歳の頃、友達が言ってたかな?
Yesの『危機』とは正反対だね。今の若い子の間ではどうなっているんだろうか?若い子はJeff Beckなんかに興味ないか…。
「blow by blow」とは「具に」という意味。ボクシングの実況放送が語源だ。

270vココで関ちゃんがマーシャル・コマーシャルをしてくれた。
Marshall、NATAL、EDENを紹介してくれて、このライブがMarshall Blogでレポートされることに触れてくれたのだ!
Marshall Blogのくだりではお客様からチョットした拍手喝采が!うれしいもんです!
関ちゃん、どうもありがとう!
280関ちゃんのオリジナル曲で「Laundry」。

300

スペイシーなギターだが、関ちゃんのプレイはとても男性的だ。
何というか、フレーズと音に「ガツン」とした芯があるんだな。
そして、意表をつくフレーズ。コレがタマらん!

290v 続いてはビートルズの「Dear Prudence」。
もちろんそのまま演奏するワケはなし。

310_dp実は関ちゃんはHiram Bullockの大ファン。
Hiramは下の1995年にリリースした『Live at Manny's Car Wash』というアルバムで「Dear Prudence」を取り上げている。
私はHiramはチト苦手なんだけど、このアルバムはナゼか出てすぐ買ったんだよな。関ちゃんと知り合うずいぶん前なのに。
でも、『Live Under the Sky』のGil Evansのオーケストラで、ピチピチのレオタードみたいのを身につけてキレッキレのダンスをしながらギターを弾く姿はそれはそれはカッコよかった。
後年、Marcus Millerと来日した時、楽屋で出会った極度に太った黒人がHiramだったとは、本人がステージ上がるまでわからなかった。

Mcwこうして見ていると、演奏していることにまったく興味を示さない人もいるんだナァ。
サッサとエスカレーターでおりてっちゃった。

315第二部の最後を締めくくったのもU2の「With or Without You」。

320v_2大2さん、じゃなかった、大二さん、今日は全編通して半袖だった!
プレイも熱気に満ちたもので、だっぷりと大二さんのドラミングを堪能させて頂いた!

330宮野さん、今日はDEENのサポートで日本武道館のステージだ!

350v

Marshall、NATAL、EDENのサウンドが所沢の街に鳴り響く秋のよき一日だった。

360_u終演後、大二さんは『1000のMarshall Blog』用にNATALと記念撮影。

370関雅樹の詳しい情報はコチラ⇒Seki's Web

3801965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square

★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

※本日は祭日ですが更新しました。その分、Marshall Blogは28日の更新をお休みします。

(一部敬称略 2016年10月8日 所沢WALTZ特設会場にて撮影)

2016年11月22日 (火)

44605960(ヨシロー・ゴクロー)~人間万事塞翁が馬~ <後編>

ベテラン・ドラマー、久嶋喜朗さんの壮行コンサート、『44605960~人間万事塞翁が馬~』のレポートの<後編>。
   
よしろーさんはそのままに次のグループに出し物が移行する。
しかし、28インチのバスドラムってのはデカいな~。直系71cmだもんね。
ロックで使う普通のバスドラムは22インチ、つまり56cm。
12インチのスピーカーが4個入っているおなじみのMarshallのスピーカー・キャビネット1960の横幅は77cmだからね。
28インチってのは相当デカいことがわかる。

10v次のグループはこんな面々。
70

大谷令文!

30v鈴木ユタカ

40高橋竜

50v_2曲は「Jet」。
STANDの「Jet」ではなくてポールの方ね。「♪ウウウウ~ウウウ~ウウ」の方だ。
ビートルズ関連で言うと、令文さんはジョンの「Jelous Guy」をよくインストで演奏しているけど、コレを演奏する令文さんを見るのは初めて。
20

やっぱり令文さん、スゴイ存在感。
ギターとキーボード、両方のパートを演奏した。
60v_2
例の28インチ・バスドラでジャンボ級の「Jet」になった。こんなに重くて月まで飛べるのか?!
私はこの曲で「女性参政権」という英単語を覚えた。実際に使ったことはこれまで一度もないけど…。
David Bowieにも「Suffragette City」という曲があるが、断然「Jet」の方が言葉の使われ方のインパクトが強い。
久しぶりにWingsのCDを引っ張り出して来て聴いてみたが、やっぱり「Venus and Mars」あたりまではポールの才能全開という感じですごくいいね~。
私が中学2年生ぐらいの頃は、絶対にロックなんか聴いていないような子も「あの娘におせっかい(Listen to What the Man Said)」のイントロのメロディを口ずさんでいたりしたな。いい時代だった。
この後、『Wings at Speed of Sound』から「心のラヴ・ソング(Silly Love Songs)」が大ヒットした。それにしても双方ヒドイ邦題だ。

75
それにしても令文さんのギターってのはどうしてこう外人の空気感が強いんだろうね~。
曲は「Band on the Run」へ。

80v今日の令文さん、ハコのDSLを使ったけど、やっぱり「令文サウンド」だった。
正しくは「令文+Marshallサウンド」だ!

90令文さんがステージを降りてメンバーが入れ替わる。
ここからは女性ボーカルをフィーチュア。

100ボーカルはTomoya。
130v_2
令文さんに替わって再びステージに上がったのは石井仁さん。

120曲はGuns N' Rosesの「Paradise City」。
別に言わなくてもいいんだけど、なんか後ろめたいような気がするので白状しちゃうと、私、このガンズってゼンゼン知らないんだよね。
Slashには二度ほど会ったことがあるんだけど…。
140_2
何しろ、Guns N' Rosesがデビューして活躍していた頃は横分けにして、ネクタイ絞めて、スーツ着て、おカタイ仕事していたんだ。
でもこうして聴いてみると、80年代のバンドにしてはなるほどカッコいいもんだ。
今頃楽しめてうらやましいでしょう?

150v_2

実際、Tomiyaさんが本当にカッコよかった!
すさまじいまでのエネルギッシュな歌いっぷりにッビックリしたよ。

9_img_0408 その歌声に呼応するかのようにヘヴィにバンドをプッシュするよしろーさん!

155v歌に、アクションに、後半の大きな見どころのひとつとなった。

160v_2続いても女性シンガーの出番。

180_2Tomiyaさんに替わって登場したのは元ノーマ・ジーンのMARI。

190v_2またコレ、MARIさんがスゴくて!

200Stevie Salasの「Born to Mack」という曲を演奏。
私はコレまたゼンゼン知らない曲なんだけど、メッチャかっこよかった!
さすがダイナマイト!この発破力は完全に「松」級だ!

210vそして、TomiyaさんとMARIさんがそろい踏み!
このコンサートにあった「G.S.T.Q.」とは「God Save the Queen」のこと。
コレを指していたのかしらん?
エリザべス女王はまだご健在だけど、チャールズ皇太子が後を継いだあかつきにはイギリスの国歌は「God Save the King」になりますからね。
どうするSex Pistols!
ま、王位後継問題に関しては、カミラ・パーカーボウルズのことがどう影響してくるか…もうヘンリーが継ぐべし!なんて真剣にやってるからね。
仮にウィリアム・ケンブリッジ公が王位を継いだとしても国歌は「God Save the King」だ。
また誰かそれにちなんだ歌を作るでしょ。

220さて、曲の方はというとCCRの大ヒット・ナンバー、「Proud Mary」。「♪ローリン!」のヤツね。
ここはもう2人の独壇場!

230v_2「このコンサートのハイライト」と言っても過言ではない、留まるところを知らない盛り上がりよう!

240vコレはゴーゴーの時代と言うことになるのかな…

250振り付けも究極的なまでにエキサイティングだった。

260よしろーさん、怒涛のドラミング!

265vメンバー全員が悔いを残さないように思いっきりこの機会を楽しんでいる感じ。

280とにかくステージが燃え上がってしまいそうな熱狂ぶりで本編を終了させた。

290アンコールでは「44605960~G.S.T.Q.」のメンバーが全員ステージに登場。

300ウワサをすればSex PistolsのTシャツを着た竜さん!

9_img_0550 曲はナゼか「Helter Skelter」。
こういう場にはおおよそ似つかわしくない曲のような気もするが、暴れちゃえ!

310_2当然、ギター・バトルも!

320_2冒頭に出演したよしろーさんのお弟子さんもステージに加わって最後を締めくくった。
曲は「Anarchy in the U.K.」。
370_2
ゴメン庄ちゃん、今回は終始フロントに人たちに気を取られてしまってドラゴン・ファイヤをやったことに気付かなかった!

340v_2MARIさんの爆発的なヴォイスも炸裂!
330

「よしろー」コールで…

350よしろーさんが〆る!

360v_2「ありがとうございました!」

380v_2よしろーさんが前で出てご挨拶する。
今回は竜さんの企画であったことを説明。タイトルも竜さんの発案だったそうだ。

390vそして、よしろーさんが出演者全員に関する思い出を語って別れを惜しんだ。
よしろーさんの故郷は石川県の小松だそうだ。
私、上に書いたおカタイ仕事をしていた時、2年ほど富山に住んでいて、石川県と福井県を担当していたんだよね~。
だから金沢、松任、根上、小松あたりは8号線を走ってよく行ったものです。
よしろーさんは小松で音楽関係のお店を営むそうだが、もうドラマーは辞めてしまうという。
とても寂しいことだが、ここで思い出して欲しいのは<前編>の冒頭の昔ばなしじゃ。
「人間万事塞翁が馬」…人生はチョコレートのハコのようなもの、開けてみるまでは何が入っているのか誰にもわからないもんじゃ。
  
いずれにしても、ベテラン・ドラマーの門出を彩る最高のコンサートになったことは間違いない。
よしろーさん、ありがとうございました!
新しいキャリアでのご成功をお祈り申し上げます。

400よしろーさんの詳しい情報はコチラ⇒What's a YOSHIRO World

410※明日は「勤労感謝の日」で祭日ですが、Marshall Blogは明日も更新します。代わりに28日(月)の更新を休みますこと予めご了承ください。

(一部敬称略 2016年9月28日 吉祥寺ROCk JOINT GBにて撮影)

2016年11月21日 (月)

4460 5960(ヨシロー・ゴクロー)~人間万事塞翁が馬~ <前編>

むか~しむかしのことじゃった~。
中国の北の方の塞(とりで)の近くに占いの巧みな老人が住んでおったそうじゃ。
塞の近くに住んでいるジイちゃんだから「塞翁(さいおう)」じゃ。
ある日、そのジイちゃんがとても大事にしていた馬が「胡(こ)」の地方に逃げてしまった。
「あ~、あ~、あんなに可愛がっていたのに…」と、周囲の人々がジイちゃんを大層気の毒がったそうじゃ。
さぞかしジイちゃんはガッカリしただろうと思うと、「ま、仕方なかんべな。そのうちにまた福が来るだろて」と馬のことを潔くあきらめたんじゃな。
ところがしばらくすると、ジイちゃんの大切な馬が戻って来たんじゃ。
しかも、胡からとてもいい馬を連れて来たんじゃな。
今度は、周囲の人々は「やったじゃん!チョーラッキーやんけ!ジイさん!」と祝ったが、ジイちゃんは浮かれたりすることなど全くなく、「インヤインヤ、コリャ不幸の元になるに違いない…」と占った。
するとジイちゃんが予言した通り、その胡から来た名馬に乗っていた老人の息子が、落馬してしまって、バキッ!!…ああ~、気の毒に…足の骨を折ってしまったんじゃな。
周囲の人々が息子さんを見舞うと、今度はジイちゃんは「これがラッキーの元になるだろさ」と皆に言ったそうじゃ。
息子さんが足の骨を折って、一体何かラッキーと言うんじゃ?
それから一年後、ジイさんの村に胡の軍隊が攻め込んで来て戦となった。
いつの時代も戦の犠牲になるのは若者じゃ。
ジイさんの村の若者のほとんどがその戦で死んでしまった。
しかし、足を折って動けないジイさんの息子は、兵隊に行かないで済んだため、死ななくて済んだのじゃ。
まったく人生どうなるかわからんもんじゃ…。
  
Marshall Blog史上初の「昔ばなし」調。
文章を頭の中で読みながら書いていると、その読む声が自然に常田富士男になってるんだよね。私は『日本昔ばなし』より10年以上前の世代なのにスゴイ影響力だ。モノマネのせいだな。
さて、以上が「人間万事塞翁が馬」のストーリー。
何が言いたいのかと言うと、「人生はスペース・マウンテン」ということ。
人生は上るか下るか誰にもわからない。だから何でも安易によろこんだり悲しんだりするべきではないというたとえ。
ガンプのセリフといっしょ。
"Life is like a box of chocolates, you never know what you're going to get.
ああ、考えてみると『フォレスト・ガンプ』の原作者はこの中国の故事をヒントにしたのかも知れないね。
興味があったので、チラっと調べてみると、この故事は中国からきたせいもあってか解釈にバラエティがあり、色んな英訳があるようだ。
ロマンティックかつ乱暴なヤツに…
"Que Sera, Sera" 
なんてのがあった。ま、コレはスペイン語だけど。
コレを英語で言うと、"Whatever will be, will be"。 ま、「Let it be」の条件付き未来形とでも言おうか…チョット強引だけど面白い解釈だ。
で、一般的には…
"Joy and sorrow are today and tomorrow"
「今日のよろこびは明日の悲しみ」
わかりやすいけど、チト大味な表現だな。
他にも…
"A joyful evening may follow a sorrowful morning"
「悲しみの朝にはよろこびの夕べがつづく」
前のヤツと同じパターンですな。
それと、もうひとつの一般的なヤツは…
'Inscutable are the ways of Heaven"
というヤツがある。
「天のやることはワケわからん」という意味。
いずれにしても表現に味とかロマンがないんだな~、英語には。合理優先の言葉だから仕方ない。
「人間万事塞翁が馬」なんて、ド~ンとストーリーがにじみ出てきてステキじゃない?
元は中国だけど、日本語って素晴らしい!
   
そんな故事をタイトルにしたコンサートがあるよ…と、令文さんから情報を頂戴し、さっそくお邪魔してきた。

104460(ヨシロー)とはドラマーの久嶋喜朗のこと。
本木雅弘、aiko、平井堅、高橋克典他多数の人気歌手のサポートの他、頭脳警察やNuovo Immigratoにも在籍した超ベテラン・ドラマー。
過去に一度だけMarshall Blogにご登場頂いたこともある。
そのよしろーさんがドラマーを卒業し、東京を離れ故郷へお戻りになるというのだ。
その壮行会となったのが今日レポートするコンサート。
よしろーさんの長いキャリアに関わったたくさんの音楽仲間が結集し、よしろーさんの新たなる旅立ちを祝った。

20vコンサートのスタートはよしろーさんのお弟子さんたちのバンドから。
まずは、marcominelmanというグループ。
エ、マルコ・ミネマンじゃないの?
まだマルコがデビューしたての頃、フランクフルトで見たことがあってね…あの時はビックリしたナァ。Eddie Jobsonのバンドで来日した時はそうでもなかった。
このmarcominelmanはプログレとは縁もユカリもない元気な今風のロックを披露してこの記念すべきコンサートのオープナーの重責を果たした。

30ボーカル/ギターの堀泰輔。

40vギターはwataru。

50vベースはりょーへー。

60vドラムがキヨ・サチコ。

70v続いて登場したのは2014年に活動を開始した「いろは」。
パワフルなボーカルが印象的な5人組。
コンセプトは「感情のおもちゃ箱」だそうだ。

80ボーカルのみすず。

90vギターはTacky。

100vもうひとりのギターが、あまがい。

110vベースがコム。

120vそしてドラムが田山直樹。
この人だけ本名なんだな?

130v若手の熱演が終わると、ステージはガラリと雰囲気が変わった。
HEAVY FUNK ALL STARSと名付けられたセッション・バンドの登場だ!

140もちろんドラムはよしろーさん。
200v
ギターはTHE KEY PROJECTの八重樫浩。
八重樫さんは「十二単」というバンドの出身。十二単は1982年のEASTWESTで優秀グループに選出された。
よしろーさんは「ロッキンf」を見て十二単のドラマー募集に応募したことがあったそうだ。
結果は残念ながら落選。
その時採用になったのは五十嵐公太さんだったのだそうだ。公太さんが十二単にいたのは知らなかったナ。
ちなみに1982年のEastWestのレディース部門のグランプリはSHOW-YAが獲得。
シニアのベスト・ボーカリストは久保田利伸だった。
150v上手にはJimisen
すごい久しぶりの登場!

160vもちろんふたりともMarshall!
八重樫さんはJCM800の1959。

170いつもは1959のJimisennさん。今日はJCM2000 DSL100だ。

180ベースはshoo-G。

190v1曲目に演奏したのは「Born to be Wild」。
歌はよしろーさん!

9_s41a0071 よしろーさんのドデカいバスドラムの迫力にあおられて、「ワイルド」で行くより「ヘヴィ」で行く感じ!

240_2続いては八重樫さんのリード・ボーカルで「Don't Let me Down」。

230v
「ガッカリさせないで!」…去りゆくよしろーさんに向けて歌っているのかな?
210
次はJimisenさんをフィーチュア…
220v
…とくれば当然Jimi Hendrix。
「Foxy Lady」を大熱演!

250vもう1曲、Jimi Hendrixから。
「Little Wing」をシットリと…。

9_img_0177 そして、そのままシットリと終わるワケはなく…

260v激烈ギター合戦!

265当然こんなワザも飛び出す!

270vしかし、このバスドラ!よしろーさんのトレード・マークだ。
28インチってこういう音か…。22インチや24インチとはもはや別の楽器だな。

280vよしろーさんに送る白熱のギター・バトルは延々続いた!

300vここからは「4460 5960~G.S.T.Q」と称して、入れ代わり立ち代わり、次々とよしろーさんの仲間が登場した。
まずはこの組み合わせ。

310ギターは石井仁
ヨシローさんが20代前半に「SOY SAUCE SONIX」というグループで活動を共にしたギタリストのギタリストとして山瀬まみや本木雅弘のツアーなどもこなしたそうだ。
石井さんも普段はMarshall。

320vベースは高橋竜
竜さんもMarshallのベース・アンプ愛用者だ。

340vドラムはそのままよしろーさん。
早い話が、よしろーさんが出ずっぱりね。主役だから。

350vボーカルは、そう、満園プラン太郎!

360v曲は…コレは珍しい!
当然Led Zeppelinなんだけど『Physical Graffiti』から「The Wanton Song」!
こういう時には普通やらないよ!
たいてい「Rock 'n' Roll」じゃんね。こういう選曲はうれしい。

370完全なりきりの庄太郎ちゃんもうれしいね!

380vここで、ギターがもうひとり加わる。
元マルコシアス・バンプのギタリスト、鈴木ユタカ

330v

満園庄太郎がベースにまわって…
400v
今度は竜さんが歌う。
今日はベース⇔ボーカル大会か!

390竜さんのスーパー・ボイスが響き渡るのは「Mama Kin」!

410vハード・ロック・ギターの魅力満点の名曲だからして、ギター・チームが猛ラッシュ!

430vやっぱり名曲は熱演を呼ぶね!

440よしろーさんの詳しい情報はコチラ⇒What's a YOSHIRO World

450v<後編>につづく

(一部敬称略 2016年9月28日 吉祥寺ROCk JOINT GBにて撮影)

2016年11月18日 (金)

GRANRODEO LIVE 2016 G11 ROCK☆SHOW -TRECAN ▶⦿◀ PARTY- <後編>

楽器チームの素晴らしいソロ演技が終わったところでショウは後半に突入する。

10_4衣装替えした二人。
今回は真ん中で「Can Do」。
もう演っちゃうの?!

20_cdKISHOW(谷山紀章)

40v
e-ZUKA(飯塚昌明)

30_3瀧田イサム

50v長井VAL一郎

60vオラオラ、後半も盛り上がっていくぞ~!
間髪入れず「Once & Forever」。

70v_o_fキャッチーな曲だけどギター・ソロの濃度は高い。
それがグラン流!

80_3今回はこの背面飛びが多いKISHOWさん。

90v演奏中に足がつってしまったというe-ZUKAさん。
「皿うどん」を引き合いに、今回導入されている「サラウンド・サウンド・システム」を紹介した。
曲は「背徳の鼓動」へ。
シットリのマイナー・ムードから…

110_2ドラマチックな展開を見せる。
コレはスゴイ歌詞だね。
「I believe 行く道はなくとも まだ見ぬサーカス一座と 旅する夢に抱かれて幾度眠る」…なんて。
寺山修司っぽくてカッコいい!
100v_hk
KISHOWさんの熱唱をギターに置き換えたかのようなe-ZUKAさんのソロ!
アンプ・テンポな曲だけがGRANRODEOの魅力ではない。

120_3ココでメンバーがステージから降りる。
すると舞台の上から白い布が降りてきた。

130_3そこには赤装束の女性の姿が!

140_2「偏愛の輪舞曲」のSEに合わせてヒラヒラとエアリアル・ダンスを披露。
アブアブアブ!
160_2

コレ、今気が付いたんだけど、布は二本だったのね?…あ、それなら自分もできる!ということでは決してありません。
硬いポールと違って、どうやって横になってたんだっけかナァ~、とチョット不思議に思っていたもんで…謎が解けました。
写真撮ってるとそっちに夢中になっちゃってとこどころ記憶がないのです。

170_2

そして、ダンスの後半から「偏愛の輪舞曲」を演奏。
180_hr

長いことロック・コンサートを観て来たけどこういうのは初めてだナァ。
とてもステキな演出だ。
150v_2

ワルツになるところからのギター・ソロがカッチョええ~!
「輪舞曲(ロンド)」というのは曲の形式のことね。「ロンド形式」。
モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」は「大ロンド形式」というヤツ。

185またここから怒涛の盛り上がりセクションに入るよ~!
「RIMFIRE」と「紫炎」をカマす。
「RIMFIRE」カッコいいよね~。KISHOWさんの声がタマりまへんナァ~。
で、コレ「rimfire(リムファイア)」とは何ぞや?と思って辞書を引いたファンも少なくなかったのでは?
「周辺起爆式」なんて出てるでしょう?でも何のことやら?
私も初めて見た単語。
「rim」はリムショットとかいうようにヘリのこと。「fire」は発火とここまでは検討がつく…。
そこでチョイと調べてみると、コレは弾薬の発火方式のひとつ。
かつて主流だったピンファイア方式に代わって普及したもので、カートリッジのシリの外周のリム部に発火薬を詰めて、そのリムを撃鉄が叩いて発火する仕組み。
私、小学生の時にモデルガンに夢中になったことがありましてね。
で、このリムファイア方式は、 その後センターファイアという方式に主流の座を奪われることになる。
ナゼならリム内に発火薬を均一に詰めることが難しく、不発の確率がセンターファイア方式に比べてはるかに高かったかららしい。 しかし、単純な構造なため大量生産がきくため、価格が非常に安く、民生用途では広く普及しているとのこと。
GRANRODEOは勉強になるナァ。

190_rfここから最後まではスロットル全開!
お客さんも待ってましたの大騒ぎ!

200_4あのSEが流れただけで大歓声が沸き上がるヘヴィ・チューン「Rose Hip Bullet」。

210_2コレのPVはいいよね~。いきなりMarshallでスタートするし…。
曲が始まる直前にe-ZUKAさんの右手がアップになってピックを指の中で転がすでしょ?
アレ、わかるな~。ピックを使う人はよくやる仕草だ。

220_rhb本編の最後がもうそこまで来てる…「modern strange cowboy」!
このPVに映っているMarshallはJCM2000 TSL100。
e-ZUKAさんの愛機はJCM2000 DSL50だ。

225v目も覚めるようなスピード・チューンが会場の隅から隅までを引っ掻き回すのだ。

230_mscそして、またまたジャ~ンプ!
え?よくそんなにジャンプするところが撮れるなって?ズット待ってるのよ。
KISHOWさんが飛ぶ気配を出すのをず~っと観察してるんだよ。
こんなに飛んでくれるんだもん、うまくとらなきゃバチが当たる!

240v「楽しすぎるぜ!いつまでもやっていたいッ!急遽決まったライブなのに本当にありがとう。アレ、なんか出て来た…」
ステージの上手にセットされたのはGRANRODEOの電飾が施されたアップライト・ピアノ。
e-ZUKAさんが手で人形劇ををしてくれている。

250_2「次は必ず演る曲です。オレたちの曲だと思っている…13年前に出会って夢をかなえた…」とセンチメンタルにスタートするのは…

260_2「We wanna R&R SHOW」だ~!

270_3いいナァ~!
ポール・マッカトニーもマッサオのGRANRODEOのロックンロール賛歌!
火星や金星までスッ飛ぶテンション!

280v_2コレコレコレコレ、このギターソロ。
「♪チュララ。チュララ」と、こういうソロが巷で弾かれなくって久しい。
徹頭徹尾「Rock」だから私はGRANRODEOが好きなのだ!

300v_2見た目通りの炎のパフォーマンスで20曲の本編を終了した。

290

即座に猛アンコール。
「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロデオ!」…

340_2

「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロデオ!」…
まだ出て来そうにないのでCM。
GRANRODEOは今月の23日、TVアニメ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』第2期のエンディング主題歌「少年の果て」をリリースする。
コチラはCD+DVDの初回限定盤。

320cd「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロデオ!」…
こっちはCDだけの通常盤だ。

330cd
「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロデオ!」…
まだ時間がかかりそうなので便乗してマーシャル・コマーシャル。
コレは9月末に日本でも発売開始となったMarshall初のモデリング・アンプCODE25とCODE50。
54年の長きにわたってギター・アンプの王座に君臨するMarshallの歴代のモデルのサウンドが詰まった夢のアンプ。
コレがまたお買い得なんだ~。
初回入荷分は即完売しちゃったけど、またすぐ入荷するハズなのでゼヒ.。
e-ZUKAさんが使っているDSLの音も入ってるよ!

C35 「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロデオ!」、
「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロ」…。
  
モノスゴイ歓声の中、お召し替えして登場!

350v_hvアンコールの一曲目は「HEAVEN」。

360「コレやらないと終わらないでしょ!」
二曲目は「Go For Ot!」。

410v

IGPXは…
●GRANRODEOはじめての人!
●今回のツアーで他の公演にも行ってG11に来た人!
●ツアー全公演行ってからG11に来た人!
…等々。
やっぱり盛り上がるね!楽しいね!

3_img_0059 またジャ~ンプ!
文句なくキマった!

390「これアンコールだったね!盛り上がっちゃったね~タップリやってます。お客様は神様です!」
そして告知をはさんで…
「今日、オレ、見つけちゃったかも…。キミたちの笑顔とオレたちの笑顔が合わさって希望となる宝物もの…」
チャンと言った!(何のことかわからない人は<前編>を読み返してね)
「『希望の彼方』を聴いてください」

400_2e-ZULAさんのアコギに合わせてシットリと歌いアンコールの幕を降ろした。コレは314?414?…「ESシステム」とかなつかしいナァ。あ、こっちの話。

420v「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロデオ!」、
「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロデオ!」、「グラン!」「ロ」…。
もう一回登場!

430_2曲は「バラライ」。

440楽しかった大コンサートにふさわしい楽しくゴージャスなフィナーレ。

450v_2もう説明は要らないでしょう。

460vFIRE HORNSの三人も楽しそう!

470_2FIRE HORNSのメンバー全員に個別にからむe-ZUKAさん。律儀だ~。
490

480_2

500ボリューム満点の『G11』。
「ROCK☆SHOW」の名の通り素晴らしいエンターテインメント・ショウだった。
こういうのこそ「エクストラヴァガンザ」というのだ!

520瀧田さんの華麗なテクニックに操られる多弦ベースがクリエイトする豊かな低音。

370v_2

瀧田さんとの完璧なコンビネーションでストレートアヘッドにバンドをドライブさせるVALさんのドラミング。

525vそして、男が聴いてもホレボレしちゃうカッコいいKISHOWさんの声。
まったくフェイクをせず、最初から最後まで猛ダッシュで絶唱し続けるKISHOWさんの姿にはいつも感動してしまう。

510v

そして、e-ZUKAさんのギター。
ヘヴィなリズム隊、カッコいい声のボーカル、ギター・リフとギター・ソロ…「ロック」というものはこれらの要素で完結する音楽だ。
でも、ココで触れておきたいのはe-ZUKAさんの作る曲、すなわちGRANRODEOの音楽について。
GRANRODEOの曲ってどれもギターの魅力にあふれているでしょう?
普通、e-ZUKAさんの演奏を目の当たりにすれば誰だって「ギターってカッコいい!」って思うでしょう?
それは、もちろんプレイがカッコいいからなんだけど、実はそれよりも先にe-ZUKAさんが作る曲がそういう風にさせていることを知っておくべきだ。
どうしてギターがそんなにカッコよく響くか…e-ZUKAさんの作る曲は1970年代のロック、すなわち「オリジナリティ豊かなロックの黄金時代」のエキスに満ち溢れているからだと思うのだ。
それは、カッコいいギターがなければロックがニッチもサッチもいかなかった時代。Marshallがなければあり得なかったロックの時代とも言えよう。
そのロックがロックらしい、最も魅力的なスタイルを誇っていた40年前の音楽に最新のテクノロジーやテイストをマブしているのが私のGRANRODEOの音楽の分析だ。
e-ZUKAさんはそうしてオリジナル曲でロックのコアな部分の遺産を伝承しているのだ。
 
ここに集まった約一万人のファン、全国の数万・数十万のファンとGRANRODEOとの間には様々な人気アニメが介在していることは百も二百も承知している。
でも、キッカケはアニメだったかもしれないけど、ファンの皆さんはこの音楽の魅力を実際に十分理解し、楽しんでいるワケでしょう?
しからば、ゼヒこうしたロックをジャンジャン浴びてもらって、音楽ライフを豊かにしてもらいたいと思う。
自分から探さなきゃダメよ。残念ながら待っていても向こうからはやって来ないから。
手前ミソながらMarshall Blogを参考にしてもらうのもいいだろう。
反対に、ロック・ファンを標榜している連中にも、アニソンとの間の垣根を取り払ってGRANRODEOのようなキチっとしたロックを聴いてもらいたいと願うな~。
ロックとアニメソングの間にある垣根なんて低くてスカスカじゃないか!向こう側が透けて見えてる。
ファンの往来によって双方のますますの繁栄を願うばかりである。
なんか宴会の挨拶みたいになっちゃったな…。
では、一本締めではなくて…

530v_2一本飛び!
G11、見納めのひとジャ~ンプだ。

540_2最後は出演者全員でごあいさつ。

550_2お楽しみのプレゼント・コーナー!
KISHOWさんはキックしてタオル。

560VALさんはドラム・ヘッドでフリスビー。

570e-ZUKAさんはピックを客席に投げ入れた。

580終わり~!
楽しかったね~!

590ナント、GRANRODEOが、日本が世界に誇るLOUDNESSと共演する!
12月29日に開催される『Rock Beats Cancer FES Vol.5』がソレ。
コリャお年玉を年内にもらっちゃうようなもんだ!楽しみ~!
  
GRANRODEOの詳しい情報はコチラ⇒GRANRODEO Official Website

600_2(一部敬称略 2016年9月19日 代々木第一体育館にて撮影)

2016年11月17日 (木)

GRANRODEO LIVE 2016 G11 ROCK☆SHOW -TRECAN ▶⦿◀ PARTY- <前編>

代々木第一体育館。
人がビックリしているのを見てすごくビックリした。
朝のワイドショーで例の「オリンピックの会場をどうすんべかネェ…」というヤツをやっていた。
水泳の会場の候補として「代々木第一体育館はどうか?」という案が紹介されていて、某人気フリーアナウンサーとそのアシスタントの女性がその案に大層驚いていたのである。
「ココは、ナ、ナ、ナント昔はプールだったんですってネェ。1964年の東京オリンピックの水泳競技のために造られたって知ってましたか?」…ってな具合。
知っとるわ!
このアナウンサー、この建物をコンサートとかイベントのためのものかと思っていたらしい。アシスタントもしかり。(この二人のことは好きなので悪くは言わない)
驚いたわ~。
今、コレを読んでいる人の中にも「エ、そうなの?アレって武道館の代わりじゃないの?」なんていう人もいるんじゃない?
そもそも、日本武道館だって元はコンサート会場じゃないからね!
私なんかはこの代々木第一体育館は、いまだに「プール」のイメージの方がダンゼン強い。
というのも、昔は奥の方…というか、今コンサートの時にステージを作っているあたりに10m、7.5m、5m、3m×2の高飛び込みの台があったの。
で、私は小学校六年生の時に、ひと夏ココの飛び込み教室というのに通ったことがあったんですわ。
普通のプールも盛んに一般公開されていて、もちろん有料だけど誰でも入ることができた。大学の頃まで行ってた。
だから、私が若い頃はココでコンサートが開催されるなんてことは想像すらしたことがなかった。
だってプールだったんだもん。
ロンドンのウェンブリー・アリーナも元々はプールだったんだよね。

10_3今日はGRANRODEOの『G11 ROCK☆SHOW』。
30_2
実は一番上の体育館の写真は別の日に撮ったモノでね、
あいにく当日は天気が悪かった。

20_2…なんてことは、まったく関係なく、もちろんいつも通りの満員の大盛況!
天井につられている大きな風船の数は11。
もちろん『G11 ROCK☆SHOW』のナンバリングにちなんでのことだ。

40_2Yesの「Close to the Edge」のアタマみたいな、「森の音」のようなSEが止み、客電が落ちる。

50_2号砲一発!

60_2煙幕の中から~…

70_2GRANRODEO~。

80_2この歓声!
これぞ大会場でのロック・コンサートの醍醐味よ!

90_2KISHOW(谷山紀章)

100ve-ZUKA(飯塚昌明)

110vやっぱりGRANRODEOのステージはコレがないとね~!Marshallの壁!
しかし、仕事とはいえ、世界中のあらゆるMarshallの壁を見ているけど…飽きないナァ。
それは、この壁に「夢」が詰まっているからなんだ。
「音楽の夢」だ。
そして世の中には似たようなヤツがたくさんあるでしょ?
それらをこうして積み上げて壁にしてごらん。
人様のアイデアをマネッコしたものを並べてみたところで何の「夢」も「ロマン」も感じることができないでしょう?
それがオリジナルとコピーの違いなんだ。

120_2
『G11』のオープナーは「帰結する共犯者」。
ク~、どこまでも楽しいこのAC/DCっぷりがタマらん!
145
しょっちゅう書いているように私が初めて観た外タレ(海外ミュージシャン)の生演奏を体験したのは1976年、40年前のこと。
音のデカさにビックリもしたけど、興奮したよ~!
それから80年代に突入するまで一体どれだけ海外のバンドのコンサートに出向いたか数えられないが、いつもワクワク、ドキドキだった。
GRANRODEOのコンサートはいつもその時の感激を呼び覚ましてくれるんだよね。
この時もそうだった。
シャッターを切りながら心の中で「ウワ~!」って叫んじゃった!

130_2今回も二人をサポートするのは、瀧田イサム

150vそして、長井VAL一郎
あ、VALさん、先日は楽器屋さんでお待たせしちゃってスミマセンでした!

160v

一発目のソロ!
おいしいフレーズの連発にニンマリ。
140v

オリャ~!すさまじいドライビング・チューン!

2_s41a0173 続けて飛び出したのは「ケンゼンな本能」。
170_kh
ナニせ問答も理屈も無用でカッコいいと言って差し支えないでしょう!
180v_2
瀧田さんのベース・ソロも炸裂。
200_3
そして、ワイルドなギター・ソロ。
ロックのスリルがテンコ盛りだ!
190v_2
もう一曲続けて演奏したのは「Pink Phantom」。

210_pp6枚目のアルバム、『カルマとラビリンス』からのチョイス。
コレ、あんまり演らないんじゃないの?

220_2早くもダンサーのお姉さんが登場してステージをゴージャスに彩る。

230_2

「代々木第一体育か~ん!お待たせしました!
今年もやって来たぜ…G11!」とKISHOWさん。
「まだ宝が見つかっていない。みんなと一緒に宝さがしをしたいと思います。」とMCしたのはe-ZUKAさん。
やっぱりコンサートの最後には「宝物は君たちの笑顔」って言っちゃうんだろうね~!…というKISHOWさんの自己ネタばらしで大笑い!

240v_mcココで「TRASH CANDY」。

250_tce-ZUKAさん、今度はVに持ち替え。
ダウン・チューニングのヘヴィな音像が気持ちいい!
270_2

この曲、途中で予想外の転調するところメッチャかっこいいな~。

260v続けて「NO PLACE LIKE A STAGE」。最新版「There's no business like show business」ですな?
ん~、このソロも密度が濃くてカッコいいな~。
e-ZUKAさんのソロは至極テクニカルだが音楽的なところが素晴らしい。
どんなにシュレッディングをカマしてもピロピロ感がまったくないんだよね。
ナゼか…曲がいいから。

280v

このセクションもバンバン続けて演っちゃうよ~。

290_psおなじみ「Passion」。

300v

そして、このセクションの最後は「ブランニューDAY」。

310_bndやっぱりいいね~。
ギタリストの後ろは背後霊でなくMarshallが定番だ。

320このセクションをジャ~ンプで締めくくる。

330vココでホーンが登場。

340GRANRODEOのコンサートではおなじみのFIRE HORNSだ。

350雰囲気がチョット変わってファンキー・ムード。
380
こういう曲のKISHOWさんの歌がまたいいんだよね。
「♪キャノンボールのように」というサビがすこぶるクールだ!

360v関係ないけど、Julian "Cannonball" Adderley好きです。
アルバム20枚以上持ってるけどゼンゼンまだまだだな…。

370v

カラーガーズが登場したのは「Beat it, Love!」。
「Beat it!」はマイコーのおかげで日本でもよく知られる英語表現になったけど、かなり品の悪い部類のスラングなので、相手をよく見てから使うようにしましょう。

390_bil「♪ウォオッオッ」が耳に残る印象的なナンバー。
この曲にカラーガーズをつけるセンスが秀逸!

410FIRE HORNSが戻って「PUNKY FUNLY LOVE」。

420_pfl

この曲もサビが印象的だよね。
コレはウケるにキマってるよナァ~。
超人気アニメ『黒子のバスケ』の主題歌だけど、アニメ抜きでも第一級の「明るいハードロック」でバッチリ!

430ココでも手の込んだe-ZUKAさんのギターが聴ける。

440v絵に描いたようなジャンプ!

450v

「Lovers High」の軽快なエイトビートに乗って華麗な舞いを披露するふたり。

460_lhホントに色んなことをするナァ。
今、「ナンバーワンのジャズ・アルト・サックス奏者」の呼び声も高い私の大学の後輩は、かつて誰もが知っている人気ロック・バンドのホーンセクションをやっていたんだけど「踊りだけは勘弁して欲しい」と言っていた。
で、楽器を演奏しない「踊りの練習」の日というのがあって、そういう時は「とても憂鬱」だとこぼしていたっけ。
こういうのはKISHOWさんやe-ZUKAさんが「踊らせてくれィ!」って希望するのかしら。
喜々として舞っていらっしゃるように見えます。
何より楽しそうです。

470そしてガツンとギター・ソロ。

480やっぱこっちの方がいいか!

490v

このあたりまでが前半。

495迫りくるすさまじい激演と凝った演出、それに呼応するお客さんの尋常ならざる盛り上がりで大コンサートの楽しみを存分に見せつけてくれる。

500v

そうだね~、このペンライトの海ってのは大きな会場でしか見ることができないもんね~。
キレイなことこの上ない!

510恒例のソロ・コーナー!
『Yessongs』で言えばC面。今度「名所めぐり」で『ヘンリー八世と六人の妻』を取り上げるのでお楽しみに!
さて、まずは瀧田さんのベース・ソロ。

530v

バリッバリのテクニックを駆使してソロ楽器としてのベースの魅力を見せてくれる。

2_s41a0610 FIRE HORNSとのカラミもスリリングだ!

550

FIRE HORNSは湯本淳希(あつき)…

570v近藤淳也(ジュニア)…

560v

そして、川島稔弘(とっち)の三人。
タップリとソロも聴かせてくれた。

580vそしてVALさんのソロ。
610v
ストレートでエネルギッシュなパフォーマンスは絶対に期待を裏切らない。

590vアオるね~、FIRE HORNS!

600

「インスト・コーナー」とでも言おうか、コンサート中盤の大きな見どころとなった。

555そしてもうひとりのソロ!
ステージ後方に注目が集まる。

620目も眩むまんばかりのスポット・ライトにスッポリと包まれるe-ZUKAさん。

630v

すると、e-ZUKAさんが…

640スルリスルリと吊り上げられ…

1_img_0201_2こんなに高くなっちゃった!
好きだナァ、上にあがるの。

1_img_0210 そしてe-ZUKAさんを乗せたゴンドラは前方にせり出してきた。
e-ZUKAさん余裕の表情だけど、いい加減コワイだろうにナァ。
もちろんガシガシ弾きっぱなし。

660v無事帰還!

680vそしてひとしきり弾き倒す!
今回も「熊蜂の飛行」の激超速バージョンを披露。

690Marshallをバックにステージ狭しと弾きまくるe-ZUKAさん。

700プレイといい光景といい、私にとってのハイライトなのだ!

710GRANRODEOの詳しい情報はコチラ⇒GRANRODEO Official Website

720

<後編>につづく

(一部敬称略 2016年9月19日 代々木第一体育館にて撮影)

2016年11月15日 (火)

CURE METAL NITE 2016 - THE LAST <後編>

さて、『CURE METAL NITE 2016 - THE LAST』も後半に入る。
ココでまたシーンが変わった。

20_3ステージに加わったのは尺八の元永拓。

30v三味線の-KIJI-。

50vここから「刃-yaiba-」のメンバーによる『NARUTO-ナルト-疾風伝』のコーナーとなる。
茂戸藤さんが説明しているのは「刃」のサイン。
「刃」とか「匕首」とか、このあたりの漢字の読みは特殊だ。

55v曲は『NARUTO』からの新曲で「勇ある者たち」だってばよ。

60元永さんがステージに用意した尺八。
尺八という楽器は、その長さが「一尺八寸(約54.5cm)」であることからその名前がついたとされているが、実際にはいろんな大きさのものがある。
曲に合わせてサイズが選ばれる。

40_2
ショウも後半に入り、ますますシャープさを増す健至さんのギター。

1_img_0491健至さんがステージに用意したMarshall。
Marshallというギター・アンプはその創設者かJim Marshallということよりその名がつき、色々なモデルがある。
ハードなロックばかりに使われているようなイメージがあるが、音楽に合わせてモデルとサイズが選ばれる。
健至さんのMarshallはジョーサトリアーニのシグネチャー・モデルJVM410HJSと1960Bだ。

90_2-KIJI-さんは以前にもMarshall Blogにご登場頂いたことがあるってばよ。
『GRANRODEO LIVE 2013 ヤッホー ワンダホー FUJIYAMA!!』の時のことだ。
70_2

さらに新曲がふたつ…「永遠に眠れ」と「轟地に立つ」を披露。

75v元永さんは篠笛もプレイ。
私、武満徹の「ノヴェンバー・ステップス」が好きなのね。
知っている人も多いと思うけど、武満徹は世界で最も評価が高い日本人の作曲家で、1996年に亡くなった時は、アメリカの新聞は自国の大統領級の訃報を掲載したほどに偉大な人。
その時日本では最初、NHKが「『夢千代日記』の音楽の作者」と紹介したという。
日本人の恐るべき音楽的民度の低さを露呈してしまった。(しかし、この国はイギリスと並んで文学については世界一だ。両方は土台ムリ。イギリスはロックは最強だが、クラシック音楽の大作曲がいない。ヘンデルとエルガーぐらいか?そのヘンデルも元はドイツ人だ)
1959年にストラヴィンスキーが来日した際、武満の「弦楽のためのレクイエム」をいう作品を耳にし、大絶賛したことで評価を得た。
そして、武満徹の名前を世界的な作曲家に押し上げたのは、小澤征爾の仲介でニューヨーク・フィルから委嘱されて作ったのがその「ノヴェンバー・ステップス」という1967年の作品。
この曲はオーケストラに琵琶と尺八が用いられ、カーネギー・ホールで初演されたのだが、この時の尺八奏者は横山勝也という人で、ナント元永さんはその方の孫弟子に当たるのだそうだ。
その流派は「虚無僧」系。
一方、この時の琵琶奏者は鶴田錦史という人。
この人の生きざまがまたすさまじい。
元は女性なのだが、人生の途中から終生男性として過ごしたという天才琵琶奏者だ。
『さわり(小学館刊)』という伝記が出版されているので興味のある人はどうぞ。

80

立て続けに「形勢逆転」。
テクニカルにしてパーカッシブな三味線のサウンドがパワフルに鳴り響く!

90vこのセクションは問答無用、驚天動地のメドレー形式。
次から次へと次ぐ演奏に高梨さんもエキサイトだってばよ!

95_2そして、「動天」でこのセクションが締めくくられた。
100

そのまま突入した次のコーナーは打楽器の祭典。

110茂戸藤さんの太鼓と…

120v_2市川さんのドラムのデュエットだ!

130イヤ、火花を散らすような和洋の打楽器の共演はやはり「バトル」と呼ぶべきだろう。
あるいは「デュエル」か、それとも「バウト」か?
140_2
でも、別に共演しているだけで決してケンカしているワケではない。
それなのに何となく太鼓を応援しているような気になってしまうのは日本人の性か…。
市川さん、ごめんなさい。
でもMarshallもNATALというドラムやってますから!
昔、大映に『妖怪大戦争』という映画があって、西洋の妖怪ダイモンに挑む日本の妖怪を思い出してしまう…と言ったら怒られるか?
この映画、6歳の時に一度見たきりなのに、私もよく覚えているな~。
今では3分前に名刺を交換した人の名前が出てこないで絶句することもめずらしくない。

150vそして、流れ出したるはチャイコフスキーの『序曲1812年』
打楽器の人たち、コレ好きだな~。
今年見たいくつかのドラムソロでこの曲が使われるのはコレで3回目だわ!
昔、4バンドぐらい出るライブで、そのうちの2バンドがドラムソロで同じことをやったのを見たこともある。
もちろんコージー・パウエルの大きな遺産で、今もってドラマーたちに与える影響力のすごさを思い知りますな。

160でも、曲の運命なんてわからないものだ。
この曲のタイトル、「1812年」はナポレオンのロシア遠征が行われた年。
チャイコフスキー自身は結構チャチャチャと書いた曲のようだ。
『交響曲第六番』とはワケが違うみたい。
なのに、こうしてたくさんの打楽器奏者に愛されているのだから面白い。
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキーも極東の島国(実はお隣さん)の『CURE METAL』なる演奏会で自分の曲が愛奏されているのを知ったら「バリショーエ・スパシーボ」と言うことだろう。
余談だが、クラシックの「もうウンザリ」という作曲家はベートーベン、ブラームス、そしてチャイコらしいよ。
私は作曲家ではないが、曲を上げれば、ロックは「Burn」、ジャズは「Spain」、クラシックは「カルミラ・ブラーナ」だ…ウンザリ。

1702人のすさまじい激演に大きな喝采が送られた!
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この辺りから最終セクションに入る。
今度は『セーラームーン』から。
『セーラームーン』は知ってる。
ウチの下の子が小さい時に見ていたから。
あのオープニングの曲を覚えて歌っていたが、最後の部分の「ミラクル・ロマンス」というところを「♪ミラクルのマウス」ってやってたっけ。
ちなみに上の子は、「かごめかごめ」の「♪いついつ出やる」を「♪いついつJR」と歌っていた。

190v
曲は「スーパーセーラームーンのテーマ」と「プラネット・パワー・メイクアップ」。
そういえば今から20年近く前、コロラドから来たアメリカ人が「娘へのおみやげに」とセーラームーンの単行本を何冊も買って行ったのを見て驚いたことがあったっけ…。
もうその頃から日本のアニメは世界でもスゴイ人気だったんだね。
考えてみると、マーブロでも何回か書いているけど、私には同じ年のアメリカ人のイトコがいて、アメリカに住んでいるその彼が「ウルトラマン」やら「アトム」を知っているのを知って子供の頃にかなり驚いたことがあった。
50年近く前の話。
げにスゴイ歴史だよ、日本のこういう文化は。

200v_2いよいよ、本編最後のパートを迎える。

210_2まずは「プリキュア・ビートアップ!」。

220_phu歌を歌うようにメロディを奏でる健至さん。
やっぱりMarshallの音は素晴らしい。
誰が何と言っても真空管アンプに尽きる!

1_img_0472攻めまくる高梨さん!
今やショルダー・キーボードは珍しくないが、ここまで活用するキーボード・プレイヤーはジョージ・デューク以来かッ?
若い人に言っておくけど、こういうの昔はなかったんだよ。
ショルキーが出て来た時、この楽器に存在自体に賛否両論あったぐらいだったんだから。

260_2そして、クライマックスに突入!
曲は「登場!謎のプリキュア」。
ステージの8人が一丸となって怒涛のパフォーマンスを展開する。
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コーラス部隊も…280v_2打楽器チームも…

250v_2

290v_2弦楽器チームも白熱の鬼気迫る演奏!

1_img_0712 いつか「プリキュア好きなんだよね~」と私に言っていた庄太郎ちゃん。
メッチャ楽しそうにベース弾いてる!

240v
そして総帥の高梨さんが楽隊をまとめ上げる!

300曲は間断なく続いて「明日への戦い」から最後の「燦然!プリキュアオールスターズ」へと移行した!
もう呆れるほどの盛り上がりよう!

320こうして『CURE METAL 2016 -THE LAST-』の本編の幕が下ろされたのであった。
325
もちろん即座にアンコール。
高梨さんからお客さんへの丁寧な感謝の言葉が発せられた。
終演後、楽屋で高梨さんからお話を伺ったが、そのあまりにも多忙な毎日を心配すると…「ボクはインディーズの時代が長かったんです。だから自分の音楽を聴いていくれる人がいるのがすごくうれしいんです。だから、そういう人がいてくれる限りは休まずやり続けるつもりなんです」
その話をお聞きして感動しちゃったよ!
結局は絵でも音楽でも「芸術」ったって、楽しんでくれる人がいなければ何の意味もないからね。
苦労して、本当に努力しているからこそ出て来る言葉だったと思う。

330さあ、アンコール。
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出演者が全員ステージに登場した。

350
曲は「今よ!ファンタジスタドール」!
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これまたずいぶん可愛い曲だこと!

360_2そこへ激烈なシュレッディングが斬り込んで来る!

370

さあさあ、「-THE LAST-」の一番最後のところ!
420
会場には大きな風船から飛び出した色とりどりの小さい風船が!

410お客さんも大よろこび!
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とても楽しい演出なんだけど、プレスピットの中はこの通り風船だらけで歩けない!
バッツンバッツン割ってやったぜ~。ワイルドだろう?

3_img_0178曲にぴったりの演出でドラマティックにショウを締めくくったのであった!
  
高梨康治の詳しい情報はコチラ⇒Team-MAX

400

…と思ったら、「-THE LAST-」に寂しさを隠し切れないファンから熱烈なアンコールが沸き起こった!
450_2
それに応えて再登場!

440_2「最後はキュアメタルで締めくくりたいよね!」と「プリキュアオールスターズ大活躍!」を再度演奏した。

230

サービス満点!

390v_2

コレでとうとう最後!
感動のフィナーレ!!

460記念撮影しました~!

465ファンとの別れを惜しむ高梨さん。

470_2スゴイ人気!

480こちらでも記念撮影。

490お疲れさまでした~!
イヤ~疲れたわ~。
出演者の数が多いと、どうしても撮影が大変なの。上手で撮っていると下手で何かが始まっちゃったりしてもう大忙し!
でも楽しかった~!

500<あとがき>
このコンサートはボストン・ポップス・オーケストラなんかのコンサートと同じなんだね。
つまり、ジョン・ウィリアムスが作曲した映画に使われた曲を「ナマでお聴かせしましょう」…というヤツ。
すなわち、映画や演劇に使われた音楽だけを聴いて楽しむ。
日本でもこの手のコンサートが時々開催されているけど、日本でやるとどうも民音あたりの『映画音楽の夕べ』みたいになってしまって雰囲気がだいぶ異なる。
英米では純粋な「コンサート」として盛んに行われている。
先週も、Marshall Blogに来てくれたグレースがロイヤル・アルバート・ホールに『エイリアン』の音楽のコンサートを観に行って大いに楽しんできたようだ。
『エイリアン』の音楽を担当したのは映画音楽作曲家の最高峰のひとりジェリー・ゴールドスミス、『エイリアン2』はジェームズ・ホーナーといって以前マーブロで紹介したこともあるイギリス王立音楽院(エルトン・ジョンの母校)でリゲティに師事した優秀な作曲家だ。
どんな曲が使われていたのかはサッパリ覚えてはいないが、そんな才人が作る音楽だからして、当然そのクォリティも素晴らしく、音楽だけでも十分独立させて楽しめるレベルのものであることは論を俟たない。
そして、音楽の楽しみ方や楽しみの幅において、英米人は日本人とではどうようしようもなく違っていることがこんなところからも見て取れると思うのだ。
 
さて、この『CURE METAL NITE』も主題歌や劇中歌をヘヴィ・メタルにアレンジして音楽だけを楽しもう!という企画で、内容はその名の通り、ほとんどインストのヘヴィ・メタル、あるいはハード・ロックだ。
とにかく、歌があろうとなかろうと、今テレビ等で流れるの巷の草食系ロックより格段に骨太の音楽をアニメファンの皆さんに聴いてもらっているワケだ。
私は高梨さんと丸っきり同じ世代で、同じロックを通過しているので、『CURE METAL』の音楽が比較的スンナリ入ってくる。
その私が思うに高梨さんは、『プリキュア』の音楽を演っているのと同時に「自分のロック」をやっているワケ。
そして、お客さんたちはその「高梨さんのロック」に熱狂している。
もちろんお客さんと音楽の間にはアニメが介在しているのは百も二百も承知なのだが、今日こうしてメタル版『プリキュア』の音楽を楽しんでいるお客さんは「ロック」を楽しんでいることになるワケでしょう?
いくら関連しているアニメが好きでも、音楽がウンコだったら絶対にソレを聴かないでしょう?
しからば、キッカケがアニメだとしても、この手の音楽をカッコいいと思ったら、ジャンジャン自発的に「ロック」を聴いてみたらいかがだろう?
思い起こしてみるに、父の影響で私は10歳ぐらいから海外の映画に夢中になって、その映画に使われている音楽ばかり聴いていた。
クラスの他の子が百恵ちゃんとか淳子ちゃんに夢中になっていたけど、私はゼンゼン興味がなかった。
だからもう12歳の時にはスコット・ジョプリン(ラグタイム・ピアノの大家)の名前は知っていたし、・ウィリアムスやゴールドスミスはもちろん、ジョン・バリー、ラロ・シフリン、ニーノ・ロータ、エンニオ・モリコーネ、さらにレナード・バースタインだのリチャード・ロジャースだのフレデリック・ロウだのの名前は小学生の時から諳んじて言えた。
それが、13歳になってキッパリ終了、打ち止め、さよなら…ナゼならビートルズの音楽を知ってしまったからだ。
それから20歳ぐらいまでは、ロック中心の生活になった。私も若かったし、それほど昔のロックは面白かった。
で、ナニが言いたいのかというと、今はアニメをキッカケに高梨さんの音楽を楽しんでいる人も、ちょっと幅を広めれば、ロックの魅力を知り、人生が豊かになることだろう…と大きなお世話をしているのである。
『CURE METAL NITE』はそんな「ロックへの扉」を開け放たんとする素晴らしい企画だと思う。
それが最後だとは残念至極だ。
  
あ、それと…カッコいいロックはMarshallから!…お忘れなく!

510(一部敬称略 2016年8月20日 新宿ReNYにて撮影)

2016年11月14日 (月)

CURE METAL NITE 2016 - THE LAST <前編>

ロビーに並んだ夥しい数の祝い花。これらはホンノ一部。

20このロビーの様子を見ただけでも今日レポートするライブ、そして、その音楽の人気や支持が高さを窺い知れよう。

10

大分時間が経ってしまって恐縮だが、今日は8月に開催された『CURE METAL NITE 2016』の様子をレポートする。
今回で三回目。
記念すべき第一回目はMarshall Blogでもレポートした。
あの時は二日興行なれど、さほど広くないライブハウスでの開催となったため、会場は完全にスシ詰め状態。
客席中央部の壁側に据えた脚立にほとんど上がりっぱなしのキツイ撮影だったことが思い出される。
二回目からはガツンと広い会場に場所を移した。
そして、残念ながら今回が最後の開催となるそうだ…エ~!
    
ナニはともあれ結局スシ詰め状態の客電が落ちる。
ショウのタイトルがステージに投影される。

30スライドで出演者が紹介され、数々のヒットアニメサウンドを手掛ける高梨康治が紹介されるとひと際大きな歓声が上がった。

40いよいよ緞帳が上がる。

50CUREMETAL GOD、高梨康治!

60v太鼓の茂戸藤浩司

70ギターは藤澤健至

80v健至さんはMarshall!
ジョー・サトリアーニのシグネチャー・モデル、JVM410HJSち1960Bを使用。

90ゲスト出演のヴァイオリンは水谷美月

95ベースはおなじみ、満園庄太郎

100vドラムは市川義久。

110v魅惑のコーラス隊、Remiと…

120vますだみき
みきちゃん、三年前とかなりのイメージチェンジ!

130vオープニングは「プリキュアオールスターズ大活躍!」。
イヤ~、二度目なのでわかっちゃいるけど、スゴイのよ、この盛り上がり方が!

140ショルダー・キーボードを提げて華麗なソロを披露する高梨さん。

150Marshallと7弦ギターのコンビネーションで縦横無尽なプレイを繰り広げる健至さん!

160v高梨さんの前の客席は興奮したファンが組んずほぐれつの大騒ぎ。
曲は「堪忍袋の緒がきれました!」へと続く。

170v美月ちゃんのヴァイオリンとの掛け合いもスリリングだ。
ワタシ、ヴァイオリンが入っているバンドって大好きなんだよね。

180もうコレもんで…

55
コレもん。
こういうのはうらやましいと思うね。
私も何かと物事に夢中になる性格だけど、ここまで入り込むことはできないの。
皆さんこの記事を読んでまたこの時の興奮を呼び覚ましてくれたらうれしいナァ。
健至さんのギター・アンプはMarshallだということだけは忘れないで!

190「ようこそ!3年目!CURE METALは最後です!完全燃焼します!」
シレっとアナウンスする高梨さんのMCにお客さんは「エ~~~!」。
そりゃそうなるわね。
「次は皆さんの大好きな曲!」…
200v「プリキュア♪ハートフルビートロック」!

210ヘヴィメタル!
でも確かにハートフルでゴキゲンなメロディが楽しいね!

230v続いてはヘヴィな低音が地を這いまわる「暗黒の挑戦者」。

240タイトル通り、いかにも「巨悪に立ち向かうヒーロー(ヒロイン)の雄姿」の雰囲気?
ここでもバッチリとメタル感が発揮されている。

250vへへへ、「ランラン・タイム」。
実は、二年前に初めて観た時に一番印象に残っていたのはこの曲だったりして…「レッツプレイ!プリキュアモジュレーション」。
Remiちゃんとみきちゃんの「ランラン」の歌声が前の曲との雰囲気をガラリと変えてしまう。
2_s41a0207
続けて「プリキュアスマイルチャージ」。
いい曲だナァ。
チョット脱線するけど、こういう女性のコーラスとか子供の合唱団とかってモノスゴイ音としての「力」を持ってるんだよね。
で、この曲は違うけど、児童音楽なんてのもその一種で、いい童謡って親しみやすい上にすごく説得力がある。
例えばJethro Tullの代表作『Thick as a Brick』のA面の最後のメロディとか、ローマ法王の前で演奏することを許されたというイタリアのプログレッシブ・ロックグループ、Latte E Mieleの名作『Papillon』なんていうのもいい例だ。
私はパンク・ロックって自分から聴くことは絶対にないが、限りなく童謡に近いと思っていて、あるいは童謡をそのままロック・バンドで乱暴に演奏すればパンク・ロックになると信じている。
だから、パンク・ロックというものが支持され続けていると分析しているのだ。

270ここまでは前回と同じ展開だったとか…。
そして、ココでさらにドカっと盛り上がる。
プリキュアシリーズの九作目、『スマイルプリキュア!』で日野あかね/キュアサニー役を演じた田野アサミがゲストで登場したのだ!

290v曲はもちろん、キュアサニーのキャラクターソング「オンリーワンダフル!」。

300v元気いっぱいのステージングに会場に大きな花が咲いたようだった。

310「太陽があるということは月があります。この曲をアサミが歌うことなはい。
今、ここにいる皆さんだけが体験できる。
泣くぞ~!
スペシャルな曲をスペシャルなこの空間に!」と、アサミさんはもう一曲、「MOON~月光~ATTACK」を熱唱。
350v
次に用意されていたのは五人で歌う「笑う笑えば笑おう♪」という曲。
Remiちゃん、みきちゃん、ヴァイオリンの美月ちゃん、そしてアサミちゃんとステージに女性四人が集まってはいるがもうひとり足りない。
するとスクリーンに「道」の文字が…すると客席からどよめきが起こる。
ナンダ、ナンダ?
私にはサッパリわからん。
「寄り道、脇道、回り道…しかしそれらもすべて道!」という名セリフにちなんだものなのだそうだ。
博多駅前の道も大変だが、ここ新宿も大変な盛り上がり。

315大歓声の中、もうひとり女性シンガーが加わる。

316サプライズ・ゲストの西村ちなみ。

330x五人が勢ぞろいしてにぎやかに「笑う笑えば笑おう♪」を披露。

340コレは盛り上がるにキマってるわナァ。
アニメをまったく知らない私だってウキウキしちゃんもんね。楽しいなッ!

360茂戸藤さんが担ぎ太鼓でフロントへ…。
メンバーの誰かが「あ~あ、出て来ちゃったよ…」とボソっと言ったのがおかしくおかしくて!

420v

高梨さんのキーボード・ソロを経て、ここからは『プリキュア』から離れた高梨さんの作品が立て続けに披露された。

370v『Fairy Tail』から「ドラゴンフォース」と「3人のドラゴンスレイヤー」。

380v茂戸藤さんの登場で雰囲気がまた一転!

430

台風のような茂戸藤さんのパワーでメンバーもあおられっぱなしだ!
茂戸藤さんって、過去知らない間に撮影させて頂いて、前のMarshall Blogにご登場頂いたことがあったんだよね…茂戸藤さんがポール・ギルバートと共演した時のことだった。

440市川さんもエキサイト!
この打楽器チームは後半でたっぷりフィーチュアされる。

460v続けて「FAIRY TAIL  メインテーマ2014」と…

470『ログホライズン』から「メインテーマ 2014 ver.」を披露。

1_img_0356圧倒的な迫力で怒涛のコーナーを走り抜けた!

1_img_0400

そして、10月から放映が始まったアニメ『All Out!!』のメインテーマを演奏した。

390v

この曲がフルサイズで人前で演奏されるのはコレが初めてのこと。本邦初公開だ!

400v

『All Out!!』はラグビーをテーマにした作品。
何と、日本ではラグビーのアニメというのはコレが初めてなのだそうだ。
そうか…そう言われてみるとそうなのかも知れない。ルールを知ってる人からして少ないもんね。
これも五郎丸効果のなせるワザなのか?焼きおにぎりでも食うか!
そうしたエポックメイキングな作品の音楽制作が委嘱されるというのも高梨さんの売れっ子ぶりを物語っているに違いない。
  
高梨康治の詳しい情報はコチラ⇒Team-MAX

2_s41a0245 <後編>につづく
 
(一部敬称略 2016年8月20日 新宿ReNYにて撮影)