Joe Satriani ~ Surfing to Shockwave Japan Tour 2017 <追補版>
単独公演としては15年ぶりの来日となったJoe Satriani。
イヤ~、素晴らしいショウだった!
私はJoeを観たのは今回が2回目。
前回はウェンブリーで開催されたMarshallの50周年記念コンサートの時だった。
前日のリハーサルの時、別室で彼が弾くところをすぐ目の前で拝見したが、「ギターのうまい人だな~」と思った。アレは大きな役得だった。
私も職業柄、数えきれないほどのスゴ腕のギタリストの演奏を目の前で見て来たが、とにかく「うまい!」と感じた。
それも、特に速く弾くわけでもなければ、トリッキーなプレイをするワケではまったくない。
何か呼吸みたいなものが独特なんだよね。日本人にはこういう感じの人はいない。
それと何せ出てくる音が素晴らしくてトリハダが立ってしまった。
そんな経験をしていたものだから今回の来日公演もとても楽しみにした。
今回のメンバーは…
Joe Satriani
ギターとキーボーズにMike Keneally。
Mikeは2008年に単独で来日し、原宿アストロホールでホッピーさんや鬼怒さんと共演した時以来。
その翌日に新宿のディスクユニオンで弾き語りのミニ・ライブを開催した。Frank Zappaの「The Idiot Bustard Son」とビートルズ「And Your Bird can Sing」を取り上げていたっけ。
ご存知の通り、MikeはZappaバンドの最後のサイド・ギタリスト/ボーカルズを務めた人だ。
当時、Mikeが使っているアコギの仕事をしていた関係でフランクフルトの展示会で一緒になるのがすごくうれしくて、「Carolina Hard Core Ecstasy」のイントロの弾き方がを教わったりした。
すごく楽しかった。
さて、MikeもMarshall。
Joeのシグネチャー・モデルJVM410HJSと1960Bを使用した。
キーボーズのソロ・コーナーもあったりして、比較的キーボーズの仕事の比重が大きかったが、ギターに関しては、時折訪れるソロやJoeとの掛け合いで素晴らしいテクニックと音楽性を見せてくれた。
この人、「天才」って言葉がよく似合う。
ベースはMikeの盟友、Bryan Beller。
Bryanもフランクフルトで何回も観たな。
Mikeと組んでアコースティックでZappaの曲を演奏していた。
超絶も超絶、やっぱり「Inca Roads」はすごい人気だった。
今回はステージ上手で派手なアクションをキメつつ、着実なプレイでバンド・アンサンブルを強固なモノにした。
ドラムスはMarco Minneman。
今日は何だか「Frankfurt MESSE思い出の会」みたいになっちゃったけど、この人も10年以上前にフランクフルトで初めて観た。
それは某シンバル・メーカーが主催する、Thomas Lang、Johnny Rabbとのドラム・トリオのコンサートだった。
マァ、ドラムのゲップがいいように出たけど、「またエライ人が出て来たな~」と感心したものだった。
Eddie Jobsonの来日公演もこの人だったかな?
この人もZappa好きなんだよね。
今回もタップリとドラム・ソロですさまじいテクニックを見せてくれた。
Joeはもちろん自分のシグネチャー・モデル、JVM410HJSを使用。
指定キャビネットはすべて1960Bだ。
ステージにはハーフ・スタックが3台セットされたが、使用したヘッドは真ん中のみ。両端の2台はスペアだ。
キャビネットは向かって右と中央のモノを鳴らした。
セッティングは大変シンプルだ。
基本的にはJVMの2つのセンド&リターンのうち「Programmable Serial FX Loop」から外部のマルチ・エフェクターにつないでいる。
それとJVMのEmmulated line Outから信号を取り出して恐らくPAへ送っているのだろう。
西欧ではギターもベースのように、スピーカーをマイキングした音とアンプからのライン・アウト信号を混合して音作りをすることが多いらしく、JVMはその需要に応えるべくEmmulated Line Outを搭載した…なんてことをJVMの発売時にクリニックでずいぶん実演つきで説明したけど、日本人はゼンゼンこれを使わないね。
でも、こんな大ギタリストがこの機能を使っていることによって、JVMのEmmulated Line Outの優位性が証明されてヨカッタ、ヨカッタ。
後で変更になったかもしれないが、サウンド・チェックの時のコントロールは全チャンネルGAINが10。
MASTERは1、2とも6ぐらい。
このモデルはCLEANとCRUNCHのトーン・ヴォイシングが普通のJVMと異なっていて、OD1とOD2は若干歪みが抑え気味になっている。
OD系のセッティングはEQはすべて4ぐらい、VOLUMEは5。
繰り返すが、コレはサウンド・チェックの時のセッティングなので本番では大きく変わっているかもしれない。
ギター・テクの人が弾いた時はモッサモサな音だったんだけど、Joeが弾いたらアラ不思議!
鋭くも太く美しいサウンドが洪水のように飛び出してきた!
コレがJVM410HJS。
見た目としての通常品との違いはフロント・パネルの上部がカバリング仕様になっていることと通常ホワイトのパイピングがゴールドになっていること、さらにストラップに1959等に使われているビンテージ・タイプのものが採用されている…ことかな?
機能的には上で触れたように、トーン・ヴォイシングが通常品とは異なる他、4つのREVERBがNOISE GATEに置き換わっている。
JoeはそれぞれTHRESHOLDを4にセットしていた。
ショウはアンコールも含めて2時間。
チト、私は詳しくないのでよくはわからないが、セットリストはオールタイムベストといったところか…。
それにしてもスゴイね、あの完璧さは…。
自己の持ち得る能力を超えたところへ行って勝負するミュージシャンもいるが、たいていプロは持っている力を全部出さず、余裕を考慮して演奏するものだ。
人それぞれだけど、どうだろう、7割ぐらいの力で演っているのかね?
でも、Joeを見ていると7割どころか3~4割ぐらいで演っている印象を受けるナァ。
何というか、お茶を飲みながら楽しくおしゃべりをしている感じ?
それは、きっとJoeが「ギターを弾いている」ということよりも、「ギターで作った自分の音楽を奏でている」ということが伝わるからではなかろうか?
もちろんやっていることや出ている音は筆舌しがたいほどにスゴイんだけどね。
そして、この音の良さは何人も否定することができはしないだろう。
やっぱり真空管のアンプだよ…Joeは言葉では言わないかも知れないけど、彼のギターがそう言ってるじゃん!
ところで、Joeって還暦なの!?
若い!