コレには夢中になった…UFOの1974年の『Phenomenon』。 『げんしょう』…このアルバムも『狂気』とか『宮殿』みたいに邦題の方で呼ばれやすいアルバムのひとつですな。 ちなみに「phenomenon」の複数形って知ってる? 「phenomenons」じゃないよ…「phenomena」という。 発音は「フェノ~メナ」。 問答無用で素晴らしいジャケットの意匠はヒプノシス。 元々はモノクロの写真で、手作業で色を塗って疑似カラーにしたそうだ。 皆さんはコレをどういう設定だと想像しますか? 私はこの女性が超能力かなんかを持っていて、空飛ぶ円盤を呼び寄せることができる。 だから予めカメラを手にしていて、飛んで来たところを撮影しようとしている。 一方、そんなことを知らないダンナは飛んで来た円盤にビックリしている。 奥さんは一度だけ映画に出たことがあるので、この後円盤に乗ることができるのだ…とか、そういうストーリーを想像していた。 ハイ、ところ変わってMarshallの本社があるブレッチリーの隣のフェニー・ストラッドフォードという小さい町を流れるカナル(運河)。 イギリスではチョット田舎に行けば、こうしてカナルにナロー・ボートが浮かんでいる光景をどこでも見かけることができる。 このボートに人が住んでるのよ。その近くの原っぱに老人が4人ほど集まって空を飛ぶ鳥を指さしてみんなでワイワイやっている場面に出くわした。 私にはその姿がこういう風に見えてしまった!さて、このジャケットデザイン。 コレは、ダンナがニセの「空飛ぶ円盤写真」を撮ろうとして、タイヤのホイールを投げて、奥さんに写真を撮らせようとしている場面なんだって。 うまくいけばその写真を雑誌社かなんかに売り付けて小遣いでも稼ごうという魂胆なワケだ。 一方、奥さんはそんなことはしたくない。 それで奥さんはこんな顔をしているのだそうだ。 「チョット見てよ…ウチのバカ旦那」というところ。 なんかガッカリだ。 ジャケットをよく見ると確かにコリャ車のタイヤのホイールだわ。 「カー・ジャケット特集」だからバッチリか! 色々と想像して損した。 1975年リリースのブルー・オイスター・カルト初のライブ盤『On Your Feet on Your Knees』。 この黒塗りの車は葬式にでもやって来たのかしらん? このままブラック・サバスのアルバムに転用できそうな不吉なイメージのジャケット・デザインではあるまいか? この2枚組のアルバムはビルボードのチャートで22位まで上昇。 コレがブルー・オイスター・カルトのアメリカでのアルバム・セールス・チャートの最高位だった。そんなんでよく呼んだとも思えなくもないが、1979年に来日。 高校2年だった私は新宿厚生年金会館へ観に行った。3,800円だった。 このコンサートは私の「行っておいてヨカッタ」チャートの上位にランクされている。 宴もたけなわになるとドラマーまでギターを提げて前に出て来てね、「5リード・ギター」なんてやってたよ。 それが下のコンサート・プログラムの表紙の写真。 サービス精神が旺盛でホントにオモシロかった。 4年前、Marshallの本社に行った時のこと。 Marshallの事務所内では有線のようなモノで薄っすらとロックを流していて、たまたまブルー・オイスター・カルトの曲が流れて来た。 曲は「(Don't Fear)The Ripper」といって、1976年に「キャッシュボックス 7位」、「ビルボード 12位」というバンド最大のヒット曲だった。 ビックリしたのは、20代の若い男の子がそのBGMに合わせて小声で歌っているんだよね。 43年前の曲でもABBAの「Dancing Queen」ならわかるけど、アメリカの小ヒット曲ですよ…ブルー・オイスター・カルトですよ! 不思議に思ってその場で彼に訊いてみた。 「ヴァイナルを持っていたりするワケではないんだけど、チョコチョコとアチコチで耳にしているウチに覚えちゃったんだ」 だそうです。 門前の小僧、習わぬ青牡蠣を知り…やっぱり日本とはゼンゼン違うと思った。ホントだ…コレもジャケットに車が写っていたのね? 1973年、エルトン・ジョンの『Don't Shoot me I'm Only the Piano Player』。 このアルバムについては、「Daniel」と「Crocodile Rock」という大ヒット曲が収録されているのと、「Have Mercy on the Criminal」のイントロが「Layla」同様「アートネイチャー」のCM曲に似ている、そして、タイトルがフランソワ・トリュフォーの映画をパロっている…ことぐらいの認識しかなかった。 ところが、調べてみると色々なことがわかってメチャクチャ面白かった! さすがレジナルド・ドワイト。 個人的には期せずして今回の記事の目玉になったわ。 まず、タイトルについて…。 上に書いた通り、コレは1960年のフランソワ・トリュフォー監督、シャルル・アズナブール主演の『ピアニストを撃て(原題: Tirez sur le pianiste, 英題: Shoot the Piano Player)』という映画から引用したとされている。 だから「a piano player」ではなくて「the pianp player」なんだろうな。 で、この「Don't shoot the piano player」という文句には出自があって、よく西部劇の酒場のシーンにチューニングの狂ったピアノを弾いてBGMを演奏している人が出て来るでしょう? すると大抵酔っ払い同士がケンカをしたり、お尋ね者が入って来て撃ち合いになっちゃったりする。 当然、そんな時はピアノを弾いている人に流れ弾が当たって命を落とす危険性も高いワケだ。 今でも同じだろうけど、その時代にはピアノを弾ける人が極端に少なかったので、そうした撃ち合いに巻き込まれてピアニストを失ってしまうと後釜を見つけるのが大変だったらしい。 そこで、酒場の主人は「Don't shoot the piano player!(ピアノ弾きを撃たないでください!)」という注意書きを酒場の壁に貼ったっていうんですよ。 で、この話をヨーロッパに持ち帰ったのが『幸福な王子』や『ドリアン・グレイの肖像』で知られるオスカー・ワイルドなのだそうだ。 いいですか~?ココからがますます話がオモシロくなるよ~。 さて、もう一度ジャケットをよく見てみましょう。 例によって車のことはわかりません。 劇場の入り口の脇に「ELTON JOHN DON'T SHOOT ME」という立て看板が置いてあって、その右奥に注目。 コレはマルクス兄弟が主演した『Go West(マルクスの二挺拳銃)』という1940年のMGMのコメディ映画なのね。 この項を書くためにDVDを引っ張り出してきて久しぶりに観たけどオモシロかった。 もうとんでもなくスラップスティックでスクリューボールなコメディなのね。 Marshall BlogではQueenの話題が出て来る度に「マルクス兄弟」について書いて来たけど、打てど全く響かないのでまた書く。
マルクス兄弟は1910年代から40年代に活躍したコメディアン・チーム。 元は5人兄弟であったが、後に3人編成になって数々の映画に出て大きな人気を博した。 映画の中では兄弟という設定ではないんだけど、下の写真のグルーチョが一番若いワリには最もエラそうで年長者のような感じなのね。 見ての通り、ドリフの「ヒゲダンス」の元ネタ。 前かがみになる歩き方もグルーチョのモノ。 元々昔の日本のコメディはほとんど欧米のコピーだから。 「ス―ダラ節」もバーンスタインのパクリと気がついてビックリしたことがあったぐらい。 で、『Don't Shoot Me~』というアルバムのタイトルの出元はトリュフォーもさることながら、このグルーチョ・マルクスにあるようなのだ。 エルトン・ジョンはグルーチョと仲良しだったようで、グルーチョの家で開かれたパーティでピアノを弾いていると、グルーチョが手でピストルの形を作ってエルトンを指し、「ジョン・エルトン!」とからかった。 エルトンはそれに対して「Don't shoot me, I'm only the piano player」と反応した。 アルバムのタイトルはココから来ているというのだ。 だからジャケットに『Go West(マルクスの二挺拳銃)』のポスターを登場させたというワケ。ところで、マルクス兄弟の長兄は「チコ」といって役者である傍ら超絶技巧を誇るピアニストでもあった。 下の写真のように人差し指1本で鍵盤を巧みに叩くのが得意で、あたかもその手はピストルのような形だった。次兄はハーポ。 ハーポは一切セリフを口にしない。 すべてパントマイムで演じるのだが、その名前の由来となったハープの演奏が大きな見せ場だった。 コレがまたモノスゴイ技巧の持ち主で、後に正式な教育を受けたが、独学で奏法をマスターしたという。 ハーポがいつもヨレヨレのコートを着ていて、当意即妙にそのコートのポケットから色々取り出して見せる。 私は藤子不二雄はマルクス兄弟の映画を観てドラえもんのポケットを思いついたのではないか?とニラんでいる。先ほどQueenの名前を出したが、何度も書いている通り、『オペラ座の夜(A Night at the Opera)』はマルクス兄弟の『オペラは踊る』、『華麗なるレース(A Day at the Races)』は『マルクス一番乗り』から借用している。 どの作品も、ギャグあり、アクションあり、音楽ありと、エンターテインメントの最高峰と言っていいでしょう。 1937年の『A Day at the Race』からは「All God's Chillun Got Rhytm(神の子はみな踊る)」というジャズのスタンダード曲も生まれている。
さて、先頃スウェーデンの公演を最後にツアー活動に幕を下ろしたエルトン・ジョン。 私は2011年にイギリスのクリケット場での野外コンサートで観たことがあるんだけど、いいコンサートだったナァ。 「A Funeral for a Friend」から始まる人気曲のオンパレードだった。 ベースのディー・マレイがすでにこの世にいないのが残念だったが、デイヴィー・ジョンストンとナイジェル・オルソンという全盛期のギタリストとドラマーとステージに上がったのもうれしかった。<後編>につづく
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前々からライブにお邪魔しようと思っていて、実際に2度ほど会場にお邪魔しながら出番の時間の関係で見逃していたのがCALAVERAS。 そのチャンスがようやくめぐってきた。 しかも、オープニング・アクトが2バンド出演するという設定。 今回は『LA CALAVERA』と題したそのライブの模様を2本立てでレポートする。まずステージに上がったのはRed Bed Rock。ボーカルズ/ギターはカナダのニコラス・ファラグナ(Nikolas Faraguna)。ギター/コーラスのケン・ツァーホ・オガワ(Ken Zachow Ogawa)はベネズエラから。ベースはコンノ・トモタカ。そして、ドラムスは新加入のマイク・マリントン(Mike Marrington)はオーストラリア出身。…という国際色豊かなチームがRed Bed Rock。 ハハン、さてはこの「Rock」は音楽の「ロック」と「岩」のダブル・ミーニングなんだな? 「red bed rock」というのは「赤色層の岩」の意味になるからだ…のようだ。1曲目はオリジナルで「Blind Lies」。 サウンドはややポップでガッツあふれる骨太ロック。 とてもいい感じ! ニコラスは歌だけでなくギター・ソロでも大活躍。 もちろんMarshall!JVM210Hと1960Aを使用した。続いてもオリジナル曲で「Bad Girls」。 80年代テイストのゴキゲンなドライビング・チューン!「♪Bad girl, bad girl」のコーラスがとても印象的。 しかし、海外の人たちってどうしてこうもコーラスがウマいかネェ。 ホントにいつも感心しちゃう。 恐らくコーラスの巧拙の前に、そもそも「コーラス」というパートに対する認識が日本人と全く違うんだろうね。 ビーチボーイズのウィルソン兄弟は「子供の頃からコーラスをして遊んでいた」と何かの記述で読んだことがある。 ハードロックにはMarshallで弾くカッコいいリフやギター・ソロがあるのが当然のように、向こうの人は「歌のある音楽にはコーラスがあるのが当たり前」と思っているのであろう。 ニコラスのギター炸裂! タッピングも取り入れたダイナミックなソロだ。そして、バンドは猛然とドライブ!「ありがとう!メチャメチャメチャメチャ久しぶりネェ。3年チョットね。 でもみんな元気そうね。ホントにうれしい。ねえ。みんなもうれしそう。みんなも元気そう。 ヨカッタね!Yeah~!」 メチャメチャメチャメチャ日本語じょうず! 「Thank you so much for coming out tonight…本当に来てくれてありがとうございます。 You guys ready to rock?…最後までROCKしましょうか! I think…なぜ、みんな生まれたのか?チョット通訳いいですか? What's the reason why you were born?…チョット通訳お願いします」
ケン登場。 「ナゼみんなうまれたのか?」「To rock and roll, to be wild…ワイルドになるために!」と「Born to be Wild」。「♪いつものラーメン」の空耳でおなじみのこの曲は、ニコラスと同郷のカナダのSeteppenwolf(荒野の狼)というバンドの大ヒット曲。 このバンドって日本人が想像しているよりはるかに世界中で人気があったらしい。 日本では映画『イージーライダー』でよく知られるようになった「Born to be Wild」は55年前の曲なんだよ。 全く古くならないし、今でもこうして完璧に盛り上がっちゃうのがスゴい。 これぞ名曲が持つパワーだ。 続いては「Highway Star」。あの有名なソロをギター2人のアンサンブルで…。 ♪ゾン、ゾン、ゾン、ゾンとベースがウネって…パワフルなドラムスが絡むのは「Runnin' with the Devil」。そのままVan Halenつながりで「Eruption」。華麗なテクニックで腕前を披露したニコラス。 そしてそのまま「You Really Got Me」。 やっぱりコーラスがビシっとしていて気持ちいいナァ。 5曲続けてコピーを披露。 「みんな大丈夫?暑くない?暑い時はタオルあるといいよね!」 …と、オリジナル・タオルを紹介。 「コロナの前と後でナンカ変わったことない?」 「あ、髪切った!」 ではなくて、メンバーが入れ替わったことに触れ、新しいドラマーのマイクを紹介した。 最後のセクションはオリジナル曲で固めてきた。 まずはミディアム・テンポの「What You Got」。 深めにディレイをかけたバッキングがサウンドに奥行き感を醸し出す。 とても魅力的なギターのキメのフレーズを経て… コンノさんのベース・ソロもフィーチュア。そして、コーラスのカットアウトもバッチリキマった!「Last song!この後はメチャかっこいいバンド2つあるよ。 だから最後まで楽しんでくださいね!」出番の最後を締めくくったのは「Never Enough」。コレまた歯切れが親しみやすいナンバー。 4人のキャラクターが前面に押し出され、大いに盛り上がって出番を終えた。
トッドは1976年の初来日の直後に好きになって、「そのコンサートに行っておけばヨカッタ!」と臍を噛む思いをした。 それから3年、1979年4月、トッドはユートピアで2度目の来日を果たした。 確かコレも小笠原くんと行ったような気がする。 「Love in Action」の長いブレイクや、トッドがドラムスを叩きウィルコックスがフロントに出て来て歌った「Gangrene」など楽しかったナ。 セットリストはニュー・アルバムからだけでなく「Hiroshima」や「Love of the Common Man」、「Hello It's Me」や「I Saw the Light」等も演奏するヒット曲集のサービスぶり。 サックスを吹いたり、鼻からマイクを出して見せるアクション等、トッドも大熱演だった。 私もこれまでずいぶん色々なショウを見てきたけど、この時のトッドのコンサートは、自信を持って「我がロック・コンサート・ベスト3」にランクインする素晴らしいモノだった。 コレもサンプラザだったんだナァ。