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2017年7月26日 (水)

あなたの知らない「汚レコード」の世界展


おはようございます。
今日の東京、涼しくていいけどスゴイ雨ですな。
先日の雹はマジで驚いたな~。
あんまりだったので一部始終を携帯で撮影したわ。
イヤ、驚くどころか「世界の終わり」を感じさせるぐらいコワかった。
まったく地球はどうなっちゃうんだろうか…。
  
突然ですが…レコード、あるいはレコード・ジャケットはお好きですか?
      
「レコード・ジャケットはレコードをしまっておく単なる『入れ物』だからして、どんなものでも構わない」、あるいは同じ理由で、「ジャケットなんか汚くても一向に気にしない」という方はもうココここで帰って頂いて構わない。
この先を読んでもちっとも面白くないから。
  
そうそう、ソニーがレコード盤の生産を始めるんだって?
1980年代の中頃、全人類を挙げてあれほど崇め奉ったCD様の音質より「音の温かみがある」ことが指示されているからだとか…。
実に結構。
そのレコード盤を真空管のアンプと38cmウーファーを搭載した堅牢なスピーカーで大音量で鳴らしてくだされ!
え?違う?
アナログ・レコードの音源をパソコンに取り込んで、パソコンのスピーカーやポータブル・オーディオとイヤホンで聴くんだって?
それじゃアタマが人間で身体がロボットみたいじゃん。
それで「♪あったかいんだから~」ってやるの?
儲けるためには何でもやっちゃうのね?…としか見えないな~、私には。
「レコードが持つ本来の音質を楽しんで頂くためには、重量のあるプレーヤー、真空管アンプとまでは言いませんが、高品質のアンプとスピーカーをご用意ください」ってことを同時に案内してレコードを販売するなら大賛成だけど。
そんなことするワケない。
それじゃ誰も寄りつかず、商売にならないもんね。
最後の方で私の貧弱なLPコレクションを開陳するけど、私はレコードで育った世代だ。
したがって、あの音質を十分経験したので、年を取った今では音質云々よりもCDの利便性の方に軍配を上げるわ。
土台音質なんて、大きな音で聴ける環境がなければ、装置にいくら凝ったところでさほど意味がないと思っている。
どんなにいい音が出るイヤホンだって絶対にパラゴンから出て来るサウンドには叶わないからね。
つまり、最終的にはオーディオもギター・アンプもアナログの方が断然いいと思っているんよ。
ナゼなら人間の耳はアナログだからだ。
    
さて、今日の記事は先月開催されていた『あなたの知らない「汚レコード」の世界展』という展示会のレポートをお送りする。
「おレコード」というのは人類初の言葉か?
内容は下にあるように、故意に汚された、イヤ、私の立場から言うと「汚されてしまった」レコード・ジャケットの展示会だ。

10私はレコード・ジャケットはピッカピカでなければガマンできないタイプなのね。
だから新品で買ったゲイトフォールドのLPのジャケットなんか、180度開いたことなどただの一度もない。
背表紙に白い線が入ってしまうからだ。
おかげで内ジャケットを見たことがない2枚組のLPがウチにはゴロゴロしている。
かつては帯も同様だった。「帯至上主義」。
昔はアレ、「タスキ」とも言ったよね。
まだ学生だった頃、Pabro Cruiseのファンだった今の家内に新作をプレゼントしたところ、「うわ~!聴きたかったんだ!どうもありがとう!」と言いながら、目の前で右手の人差し指を帯に引っ掛けて、グイッと一気に引きちぎった時には卒倒しそうになった。
その様子を見て取った家内は「どうしたの?あ、帯?だって帯なんか付けていたらジャケットが全部見えないじゃん?」と生粋の横浜弁で「帯不要論」を説いてくれた。
当時、私も同じ理由で帯は外してはいたが、もちろん後生大事に保管していた。
それをウチのオヤジが引っ越しの時に捨てちまいやがって!…そこから帯に固執することは止めて真っ当な人間に戻ることができた。
だからそれまでは中古レコードを買う時も帯が完全な形で付いていないものは購買の対象から漏れて行った。
皆さんはどうです?
今ならCDに付いている帯、キープしてる?
そんな風にレコードを我が子のように大切にしているもんだから、ジャケットを単なる「入れ物」としか考えていない外人は困るのよ。
初めてニューヨークへ行った時に寄ったグリニッジ・ヴィレッジの中古レコード屋さんのアイテムの汚さには絶句した。
レコードを立ててディスプレイしていたんだけど、どのレコードも背表紙が擦れきれていて文字を読み取ることなど到底できず、棚一面白くなってた。
平気で値段をジャケットに直に書いちゃうしね。
そして、ロンドンでも。
下の写真はOASISファンならすぐにピンとくるであろう、ソーホーのバーウィック・ストリートというところ。
この通りに中古レコード屋が何軒かあるのをある時発見して以来、ロンドンに行くたびに軽く覗くのを常にしていたんだけど、どこもマァひどい。
いつか、ある店でイタリア人の女性がボロッボロ極まりない10ccの『Live and Let Live』を手にして店内を物色していた。
何しろ。まずジャケットにマジックでガツンと値段が書いてある。結構いい値段だったハズだ。
まさか、その値段でボロボロのレコードを買うはずがないだろう、と思ってどうするかとしばらく観察していたら何のためらいもなく、そのレコードをレジに差し出したのには仰天した。
もちろん私はそんな汚いモノに興味はないが、この通りにある他の店でArgentのCDを何枚か買ったことがあった。
チョット装丁が貧弱だったが、キレイで割安だったのだ。
ところが…後でわかったのだが、コレ、よくある廉価のCDボックス・セットをバラして売ってやがったんだよ。
ま、音楽の内容に変わりはないんだけどね。
とにかく、中古レコードは日本が一番!

15さて、展示会の会場はMarshall Blogに何度か登場している東陽町のDowntown Records。
いまだにCDを置いていないこのお店は、レアな「美レコード」を良心的な価格で販売してくれるレコード好きのパラダイスだ。
Marshall GALAのTシャツや、初期のMarshall Blogのバナー、以前のカタログ等のデザインを手がけた梅村デザイン研究所がサポートしているということでお邪魔してきた。
306月3日~18日の展示期間中にはピチカート・ファイブの小西康陽さんのトークショウも開催された。

20さぁ、行くよ~、汚い世界へ!
店内に入っていきなり目に飛び込んでくるのがコレ。
説明不要。
何だってこういうことするかネェ。
「A面良し」なんて書いてしまうのはどうしたことだろう。ほっとけばいいジャン。
自分の気に入った曲に出くわすと、ジャケットの曲目のところに印を付けちゃう人がいるでしょう?
あの気持ちもわからないが、コレはさらに強力だ。
しからばB面は金輪際一切聴かないということか?
ゼッタイそうなっちゃうよね。
しかし、コレ流行ったよね~。
一応書いておくと、Ben Johnson、じゃないや、George Bensonは「10年にひとり出るか出ないかの天才ジャズ・ギタリスト」だった。
実際、音は良くないけど、『Jazz at Sunday Afternoon』なんてライブ盤の演奏はスゴイわね。
Wesのスタイルを踏襲しているワケだけど、彼はWesの伝家の宝刀「オクターブ奏法」を進化させ、オクターブの2音に4度か5度の音を加えて3音でブッ早いフレーズを弾くまくった。
アノね、速弾きばかりが「超絶」では決してないのよ。
イヤ、Tal Farlowだとか、Wesとか、この人とか、ま、ジャズ・ギター界では枚挙にいとまがないけど、ロックの速弾きより「超絶」なことを演っている人はゴマンといる。
1小節に4回しか音を出さない「超絶」とかね。
反面、私は完全に飽和状態、あるいは金太郎アメ状態に陥っているロック界の「速弾き」が今後どういう展開を見せるか、イヤミではなく、ものすごく楽しみにしているんだ。

50「汚レコード」にもいくつかのパターンがあるようで、私なりのカテゴライズに従って展示アイテムを紹介させて頂くことにしよう。
  
まずは「ぬり絵」編。
お!「ZUMA」のカラー・バージョンなんてあるのか…と、Neil Youngにツユほどの興味のない私はそんなノンキなことを考えてしまうが、さにあらず。
自分で塗っちゃった!
George Harrisonの『All Things Must Pass』なんかもリマスター盤はジャケットがカラーになったじゃない?
アレだと思えば結構いい出来なんじゃない?
だって、コレ、ぬり絵好きが元のデザインを見たら塗らずにはいられないでしょ!

60売値は200円だって。
「ジャケット・ダメージ」で返品不可。
苦心の作も「ダメージ」扱いか。

70お、すると、The Whoの『The Who By Numbers』のジャケットのアノ線をつなげちゃった場合はどうなるんだろうか?
ダメージだろうな~。
実際、昔は時々そういう中古盤を見かけたナァ。

Wbn 次は映画音楽、ボストン・ポップス・オーケストラのJohn Williamsのコンピレーション。
コレが施術前。

90r

あ~、あ~、あ~、あ~、あ~!
汚ね~な~。

80こっちはコレでよろしいんじゃないスか?

100元はコレ。

110r続いては「落書き」編。
George Lewisはディキシーランド・ジャズの名クラリネット奏者。
「ジャズの歴史的名盤紹介」となるとこの人の『Jazz at Ohio Union』というアルバムが必ず出て来るけど、シデキだけは全く聴かない私は未経験。
何やらジャンジャン落書きしてある。

140この人は知らない。
ゲ、B面が「屋根の上の仔猫」だって。PANTAさんご存知かな?
「評判が良い!Good!」…かつての持ち主はよっぽど熱心なファンだったのかな。
昭和53年に引退ということは1978年…大分古い人だね。

150

「Loveにてタマキと踊った曲!」か…。
相当楽しかったんだろうな~。
「踊る」なんてのがいいよね。この頃はディスコじゃないからね。
ビッグ・バンドの演奏に合わせて2人で身体を揺らしたんだろう。優雅な時代だ。
1965年、西田佐知子はこの「赤坂の世は更けて」で紅白に出たようだ。

160続いて「記録」編。
プレスリーの逝去が記録してある…昭和52年か。
1977年だから今年で、エ!40年?! そんな経ったの?
ウチのオヤジが「プレスリーがドーナツ食いすぎて死んだ!」って大騒ぎしてたな。
そのオヤジも2年前に死んじゃったけど…。
  
「Elvis has left the building」ってあるじゃない?
Frank Zappaの曲名にもなっているでしょ?
コンサートが終わってもアンコールをせがむ観客に向かって司会者が「もうエルヴィスはココにはいませんよ~!」と言ってショウを打ち切っていた有名なセリフ。
コレをですね、The KinksのRay Daviesが演奏をする前にこうやった。
「The Kinks just enter the building」
さすがRay!
こういうのは本当におもしろい。
The Kinks大スキ!

170コレなんか山田邦子とは何の関係もない「千代の富士優勝」のデータが書き込まれている。
今なら「こんなこと書かなくたってインターネットですぐに調べられるじゃん!」と思いがちだけど、当時はこうして何かに記録しておかないと、何事も調べるのにエラク苦労したんですよ。
反対に知らないままに済ませておくことが普通のノンビリした時代でもあった。
ま、こうしておけば「歌は世につれ、世は歌につれ」が絶対的なモノになる…とでも考えていたのかしらん?
しかし、こんなレコード買う人が実際にいるんだね~。
もっともそういう人で経済は成り立っているんだろうけど。

180「贈り物」編。
「〇〇さんから頂きました」とか「XXさんへ」系のプレゼントでレコードが使われるケース。
私はやらないけど、コレはわかる気がする。
私の経験に照らし合わせると、見たこともないようなCDが棚から転がり出て来てビックリすることが時々ある。
そんなアイテムがあったことを知らないワケだから、当然自分でお金を出して買ったモノではないハズ。
するとそれは誰かからの贈り物だったりするワケ。
私の場合、「シゲは音楽が好きだから」と海外の方が現地のCDをお土産で持ってきてくれることがちょくちょくあって、その贈り手が付き合いの短かい人だったりすると、もう誰からのギフトだったのかなんて皆目見当がつかない。
そういう意味ではこうしてモノに書き込んでおくのは有益かもしれない。
私はこれからも絶対やらないけどね。

190写真では見にくいんだけど、左下のメモにはこうある。
「〇〇へ ご入学おめでとう。リオにもこんなにステキなゴーゴーボーイがいます 1967年 XXより」
このRoberto Calrosという人はメモにあるようにブラジルのミュージシャンだ。
ただ「ゴーゴーボーイ」ではななくてシンガーソングライターのようだ。
でも、わたしの目に留まったのは「ゴーゴーボーイ」よりも、「素敵」を「ステキ」とカタカナ表記しているところ。
私もMarshall Blogではよく「素敵」を「ステキ」と書き表すが、50年も前に同じことをしていた人がいたなんてステキじゃない?

200コレも昭和49年の入学祝い。
モノは『ディズニーランドの小鳩くるみ』というディズニー映画の主題歌集。
「小鳩くるみ」というと、我々の世代では何といっても『アタックNo.1』の「鮎原こずえ」の声でしょう。
ところが、ナーニ、この人!
本当の姿はイギリス文学者並びに児童文学研究者で、目白大学外国語学部及び目白大学大学院言語文化学科の教授なんだって?
で、永井荷風や野村万作の血縁なんだと。
道理で苦しくたって平気なワケだ。

210「名前」編。
コレもまったく理解できない。
「千社札」の感覚なのかな?
何にでも名前を書いちゃう人っているんだよね。
確かに小学校の時は先生に「自分の持ち物には名前を書きなさい」と指導された。
でも、レコードに名前を入れる必要がどうしてもわからない。
誰かに持って行かれてしまうと考えるのだろうか?

230え?「前川清」?
同性同名だろうね~。
昔の仕事の取引先に「松本清」と「西田敏行」という人がいたっけナァ。

240「文字落書き」編。
もう何だか意味もなく文字で落書きしちゃう。

250何で?どうして書いちゃうの?

260「私」は百恵ちゃんということか?
関西のオバちゃんの「松坂慶子」みたいなもんやね?
「ナンでわかったん?」
実は私コレ持ってます。

270このレコードの持ち主はよっぽど拓郎さんが好きだったんだろうね~。
400落書きに迫力と愛情を感じるわ。
「浅田」ってのがスゴイね。
この相合傘は、浅田美代子じゃなくて陽水さんと一緒になれということか?
しかし、「上」という字ぐらい間違えないで書きなさいよ。

410インドネシアの歌手だそう。
外人も同じね。
ナニが書いてあるのかはわからないけど、平気でメモしちゃう。

280続いては「メッセージ」編。
レコードジャケットを用いて伝言しちゃうという。
このコーナーこそ「汚レコード」の醍醐味かも。
まずは、管原昭子という秋田出身の歌手のシングル盤。
放送局へ持ち込まれたらしいモノで、「A面キズ」と書かれているのを線で消して、新たにこう書かれている。
「キズじゃないのでかけてくださいね」
ハハハ、便利だな~、レコード・ジャケットって。
この管原さんという人、「スター誕生」で同じ秋田出身の桜田淳子と同時に合格したのだそうです。
「若い新宿」か…昭和49年、新宿は当時ナウい街だったんだな。

220

コレはカッコいい!
インナースリーヴに「愛してるよ」って書いてあるの。
しかもジャケは八代亜紀。
となると、雰囲気あるな~。
私も冒頭のPabro Cruiseのレコードに同じことを書いて、当時の彼女=ウチのカミさん=Marshall Blog記録部長に渡せばヨカッタ。
できない、できない!

310

「アタシ……マサミです。今夜も指名してくれる?」…ってコレ男じゃねーか!
「今夜も」ということは、このレコードを渡された人はマサミさんにかなりゾッコンなんだな。
でもコレ、一体どういうタイミングで渡したんだろう?
「同伴」だったらこんなことはするワケないし、開店前に一緒にいる時間があったということか?

325

古いレコードだナァ。
味の素の販促品だね。
もうこのあたりになると、少しぐらいの書き込みは何でもない。
でもコレは裏面のメモがスゴイ。

290「清水さんの家にいます  母より」
ナンでレコードに書くのッ?!
確かにおたくのママは世界一だわ。
このメモを見てお母さんを迎えに清水さんの家へ行ったのかしら?
  
『うちのママは世界一』は昭和34年から日本でも放映されたアメリカのホーム・ドラマ。
私は知らないけど、主演がドナ・リードだったんだね。
フランク・キャプラの『素晴らしき哉、人生!』で主役のジミー・スチュアートの相手役を演じた。
とても美しい人でね~。
ドナ・リードとかグレース・ケリーみたいな人を「美人」っていうんだよ。
『素晴らしき哉、人生!』も何度観ても泣ける映画だ。
ところが、後にこの映画はアメリカという国の素晴らしさを広めるためのプロパガンダ映画だと知った時はショックだった。
公開は1949年。
「アメリカってこんなにいい国なんですよ~!」、「アメリカ人はみんないい人ですよ~」と、誰もが落涙するであろう美しいヒューマン・ドラマの裏で有色人種に対してすさまじいまでの差別をしていたのだ。
そのクセ、この映画や『12人の怒れる男』だの『アラバマ物語』だの、さらには『ルーツ』なんてのを作っちゃうんだからやっぱりアメリカってのは恐ろしい。
味の素か…。

300マァ、どうしてもコレがチャンピオンだろうな。
「ごはんお たいておく事 さちこさんへ 母より」
同居か…。
お母さんはレコードのことをナンだとお思いだったのでしょう?
しかも、真ん中にキチっと書いてあるところがおもしろい。
パッと見ると俳句みたいじゃん?
「あ、いい句ができたわ。どこかに書いとかなきゃ…紙がないわ。エエイ、レコードに書いちゃえ!」みたいな?
レコードが入っていなかったので何のシングルだったのかは不明だそうだ。

320「絵柄落書き」編。
ジャケットの写真や絵に描きこんじゃう落書きの基本的手法ね。
音楽の教科書には必ず必要なヤツ。
子供の頃、いしだあゆみの頬骨は確かに気になったことがあったのでこれを施した人の気持ちがわからないでもない。

330ナゼ「③」なのじゃ?
よく見るとインナースリーブに名前のスタンプが押してある。

340メガネは基本中の基本だね。

350キチッと落書きしてる。
伊東ゆかりにはメガネとお歯黒。
この「KYOWA SANGYO KK」という会社をインターネットで調べてみたが、案の定、日本には「きょうわさんぎょう」なる会社が星の数ほどあってとても特定はできなかった。
落書きからすると海運業かなんかだろうか?
自分の大切なレコードに勤め先の情報を落書きするなんて見上げた愛社精神だ。

360どうしたんだろう?
さっきの「いしだあゆみみ」みたいにどうしても唇が気になっちゃったのかしらん?
この曲、「音頭」と銘打っているけど、なかなかイキな変形ブルース。
1963年の青山ミチの大ヒット曲。
「♪イカさぬ人にはヒジ鉄砲、イカす人には無鉄砲」なんて気の利いたことをお歌いになられている。
この曲、エンケンさんがカバーしているのには驚いた。
青山ミチは我々世代には安西マリアの「♪ギ~ラ~ギ~ラ」でおなじみの「涙の太陽」のオリジナルの人。

370え~、岩下志麻ってドドンパやってたの?
知らなかった。
私が高校生の時ね、連合赤軍事件の初公判が東京地裁であったの。
私の世代はもう学生運動なんてのは、もう無いに等しかったんだけど、当時頭脳警察を知って、学生運動に興味を持った。
当時入手不可能だったファースト・アルバムを先輩にテープに録音してもらって聴いたところ、「世界革命戦争宣言」に大きなショックを受けたんだね。
「我々はァァ!」ってヤツ。
あ、勘違いしないでよ!
「運動」に興味があったので決してなくて、自分と大差ない年齢の若者が、チョット世代が違うだけでどうしてあんな活動にのめり込んでいたのかをすごく不思議に感じたのよ。
「あさま山荘事件」が起こった時はまだ小学2年生でナニが起こっているのか知る由もなかったけど、成長して色んな本を読んでいるウチに連合赤軍の悲惨な事件を知った。
ショックだったね~。
妙義山だの、迦葉山だの、榛名山だのという名前を耳にすると、いまだに角間隆の『赤い雪』や高木彬光の『神曲地獄篇』のような、当時読んだ本のことを思い出す。
それで、その事件の初公判があるというので、傍聴券をもらうために朝一番でロック好きの友達と東京地裁に赴いた。
クジ引きの順番の列に並んでいると、「若いのにどうしてこの事件に興味を持ったの?」なんて新聞記者のインタビューを受けたりもした。まだ17歳ぐらいだったからね。
「あの、頭脳警察というロック・バンドの影響なんです」なんて答えたりしたっけ。
ところが、残念ながらクジにハズれ、傍聴券はゲットできなかった。
それでムザムザと家に帰るのもナンだし、社会勉強のために何か傍聴券を必要としない裁判を見ていこうということになった。
どうせなら「殺人事件」がいいだろうと、適当な裁判を選んで公判室に入り、イスに座って目の前のやりとりを見ていた。
もう何年も続いている裁判らしくて、もう全然ユルユルでサ、映画なんかの裁判劇とまったく違ってツマらないワケ。
こりゃサッサと帰った方がよさそうだ…と思っていると、大きなサングラスをかけた華やかな女性が静かに私の隣に腰をかけた。
いい匂い~…。
コリャ普通の女性じゃないな…と思い、チラチラと横目でその女性の顔を確かめると、ナント岩下志麻だった!
それはそれはキレイだったよ~。
数年後に岩下志麻は松本清張原作の『疑惑』で桃井かおりの弁護士役を演じたが、今にして思うと、それの役作りの勉強にきていたのではないかと思うのだ。
岩下志麻って声がまたいいんだよね~。
  
このシングル盤も岩下志麻の美しさに敬意を表してか落書きは極めて控えめだ。
  
下の青い部分。
「最高の実力を誇るモダン・フルバンドの演奏に最新決定のドドンパの踊りかた」とある。
そのバンドとは宮間利之とニューハードのこと。
曲目をみると「エリーゼのために」とか「オーソレミヨ」とか…エ~、ドドンパで踊るの?
それに誰がどうやって「最終決定」したの?
ドドンパの人気が最高潮だった頃のお話。

380それに引き換え、コレはヒドイ!
川中さん、お気の毒。
ナニが気に食わなかったんだろう?
しかも右側に書いてあるのは他の人の曲の歌詞だって!

385最後は「オリジナル」編。
勝手にジャケットを作っちゃおう!のコーナー。
コレ、レコードは「ツィゴイネルワイゼン」なのに「若大将」になっちゃってる。

420ジャケットを失くしちゃったんだろうね~。
タテ書きというのが渋い。

430コレもインナー・スリーブにタイトルを書きこんだ自作。
ご丁寧にイラストまで入っている。

440「♪フステー」の「悲しきあしおと」。
長野にいた時、ハコバンでこの曲をよく演ったな~。
コレなんかはかなりよくできてる。
ヘタすると昔実在していた感じすらあるもんね。

450これはジャケットではなくて、振り付けを記したオリジナルの解説書が付いている。
「おれは鉄平」のメモみたいじゃん!

455最後はコレ。
あ~、ジャケットをチョン切っちゃってる!

460ジャズ・ドラマーのジミー竹内のアルバム。
歌謡曲を演奏している。
アレンジに富樫雅彦が参加しているということで写真を撮っておいた。

470以上、『あなたの知らない「汚レコード」の世界展』でした。
私には想像できない世界ですな。
おもしろかった。
  
オマケで、ウチの「汚レコード」を探してみた。
コレがウチのLP棚。
昔はもっといっぱいあったんだけど、時折マーブロに書いているように、転勤の引っ越しが大変だったので20年以上前に3,000枚以上売ってCDに買い換えた。
マァ、大したコレクションじゃないけど、どれも思い出が詰まったアイテムだ。
向こう側の棚がジャズ。手前側がロック。
手前の一番下の段の大半はFrank Zappa。

480落書きがしてあるレコードなんて絶対に買わなかったので、「風呂沸かしといて!」なんて書いてあるレコードはない。
でも、汚いのは少しある。
まずコレ。
向井滋春の『Favorite Time』。
片面に香津美さんが参加していて、すさまじいギター・プレイを聴くことができる好盤。
向井さんと香津美さんがデュオで「Old Folks」を演っていて、コレが素晴らしい。
コピーして大学のビッグバンドのリサイタルでテナー・サックスのヤツと演奏したことがあった。
写真ではあまり写らないけど、ボロボロのヘナヘナなの。

490r裏ジャケもこんなに汚れている。

500rコレもヒドイ。
Pat Martinoの『Starbright』。
もうほとんどジャケットの裏表が離れ離れになっているもんだからセロテープでくっつけてある。
そのセロテープが溶けてくっついちゃってビニール袋から出すこともできない。
え、ナンでこんな汚いのを買ったのかって?
コレを買ったのは大学の時なんだけど、当時、Pat Martinoの音源ってなかなか手に入らなかったのよ。
お店で売ってるアイテムといえば、それこそライブ・アルバムぐらいで、初期のPrestige盤なんてまず見たことがなかった。
このWarner期も同様だった。
だから我慢して買ったけど、盤面もヒドくて結局ほとんど聴いていない。

510rそれと、Laurindo Almaidaの「Concerto de Aranjuez」。
コレも角が折れ曲がっているし、ボロボロのグチャグチャ!
でもですね、ボロボロにもかかわらずこの3枚を買ったのにはチョットした事情がありましてね。
かつて神保町に「コンボ」というジャズ喫茶があって、大学時代ジャズ仲間とよくそこへ時間を潰しに行った。
当時、御茶ノ水や神保町の界隈にはジャズ喫茶がたくさんあったからね。
コンボは、ひとたび足を踏み入れようものならパンツまでタバコ臭くなるような古式ゆかしい汚いジャズ喫茶の典型で、お店の奥に飾ってあったArchie Sheppのモノクロ写真のパネルがカッコよかったのが印象に残っている。
コーヒーは美味しかったナ。
ある日店に行くと、いつもと様子が違ってイスが取り払われ、店の真ん中にはレコードが詰まった段ボール箱が並んでいた。
顔見知りだったマスターに事情を訊くと、「イヤね、もうやっていかれないんで店を閉めることにしたんだよ。だからもうレコードも要らないんだ。好きなの持って行きな。一枚50円でいいよ」ということだった。
早速ハイエナのように段ボールを漁ると、そこはそれ何十年もお店で使われ続けたレコードだけあって、お世辞にもキレイなモノとはいえなかった。
でも、記念の意味もあって上で紹介した3枚を買ったのだ。しめて150円。
まだ消費税がなかった時代だからね。
本当はもう1枚、Charles Mingusの『At Carnegie』を買ったのだが、「あ、ゴメンね~、それはオリジナル盤だから高いんだよ~」と言われたのだが、値段を尋ねると700円だというので即買った。
さらに話を聞くと、熱心なお客さんは、お店のドアを売ってくれと言って来たそうだ。そんなもん持って行ってどーすんのよ!
その近くに新しくライブハウスが出来たので最近行ってみたが、コンボがあった形跡は微塵もなかった。

520r会場となったdowntown recordsさん、相変わらずのこだわりのアイテムと極めて高い商品のクォリティ、良心的な値付けに親切なマスターと、いいことずくめ。
他のレコード屋さんでは見かけることのないアイテムが目白押しでいくら見ていても飽きない。
レコード好きで未体験の方はゼヒ一度訪れてみてはいかがだろうか。
先述の通り、CDは扱ってないからね。
  
downtown recordsの詳しい情報はコチラ⇒Official websie

40

※すみません!
予てからパソコンの使い過ぎが原因で患っていた右ヒジの腱鞘炎が思わぬ方向に悪化してしまいました。
痛みはほとんどなくなったのですが、その痛みを防ぐ治療具の過度な使用で右腕が赤ちゃんの手のようにパンパンに膨れ上がってしまったのです。
「ナンダこれ!誰の腕だ?あ、オレの腕だ~!」みたいな。
マジで驚きましたわ~。
右腕だけ赤ちゃんのオッサン…コワい!コレがホントの「The right hand man」?
かといって、その治療具を使わずして作業をするともうタイヘン!
手を使わなきゃすぐ治ることはわかってるんですわ。
少し右手を休ませてやろうかと思います。
よって、様子を観る間、不定期更新とさせて頂きますことご了承くださいませ。
ライブの取材は継続します。
  
(一部敬称略 2017年6月17日 東陽町downtown recordsにて撮影)