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2025年9月

2025年9月26日 (金)

はじめてのジョーセッション~Vintage ModernとJVM

 
つい先日、FEEL SO BADの山口"PON"昌人さんの還暦を記念するイベントが開催され、そこに出演した「ユキSESSION」というチームのステージのもようをレポートした。
今日は「ジョーセッション」。
フ~ム…この「ナンジャラ・セッション」っていうのはいつ、誰が始めたのかネェ?
チョット私はニガテなんだけど、「ロック史に残る名盤」の誉れ高いマイク・ブルームフィールドやアル・クーパーの『Super Session』がリリースされたのは1968年のこと。
「スーパー」ならわかるけど、そこにセッション・リーダーの名前を最初に入れたのは一体誰なんだろう?
今となっては調べる術すら思い浮かばないが、Marshall Blogとしては菅沼孝三、江川ほーじん、田川ヒロアキの「手数セッション」なんてのがとても懐かしい。10ということで今日は塚本"JOE"旭による『ジョーセッション~ひとりでできるもん~』のレポート。
会場は初めてお邪魔する新宿の「MERRY-GO-ROUND」。20vオープニング・アクトのステージが終了し、すぐにステージに姿を現した6人。30セッション・リーダーのジョー。40ユキ
60vJien Takahashi50vRyO70vOllie Bernstein80vLouis90vジョーくんが冒頭に絶叫したのは「♪バ~ン」。
100v続けてギターの2人が奏でるこの有名なリフは「Black Night」。
冒頭2曲をディープ・パープルで固めて来た。
ということは当然Marshallの出番だわね。
ユキくんもJienくんもいつもMarshallを使ってくれているんだけど、今日はどうなっているのかな?
ちょっとジョーくん、待っててね。
130_bnまずユキくんのMarshall…S41a1163今日は「Vintage Modern 2466」を持って来てくれた。140v写真ではわかりにくいけどオリジナルのVintage Modernは紫色だった。
このモデルのために新しく調合した濃い紫の下地に少量の黒いインクをマブした色合いのカバリングだった。
設計したのは我が親友、スティーブ・ドーソン。
地元ニューカッスルでレッド・ツェッペリンやディープ・パープルの一番いい時を見ているスティーブはMarshallサウンドの本当の魅力を知り尽くしていた。
で、彼がMarshallの第1号機の「JTM45」のサウンドを現代の使い勝手の良さで甦らせたモデルがVintage Modernだった。
150一方、Jienくんのこの日のMarshallは…S41a1256「JVM410HJS」と愛用のスピーカー・キャビネット「MF400B」。160vJienくんのJVMはノイズ・ゲイトを搭載したジョー・サトリアーニのシグネチャーJVMだ。
サンチャゴ・アルヴァレスが設計してケリー・キングのシグネチャー「2203KK」に搭載したノイズ・ゲイトがあまりにも優秀だったのでこのモデルにも採用されたんだね。
私も仕事がらずいぶんたくさんのギタリストを目の前で見て来たけど、「ああ、ウマいナァ~」と心底感心したギタリストのひとりはジョー・サトリアーニだった。170今回ユキくんからリクエストを頂戴した。
ユキくんはVintage ModernとJVMが同時期に発売されたことを知っていて、「ジョーセッション」はせっかくその2モデルが揃うライブなのだから、レポートを制作する時にはこの2つのモデルについてナニか書いて欲しい…というのだ。
デジタル機器などに目もくれず、日ごろから自力で持って歩いてMarshallを愛用してくれているユキくんの頼みとあれば断るワケにもいくまい。
…ということで、2つのモデルを発売する時のことを少し書いてみることにする。S41a12132003年のMODE FOUR、2004&2005年のハンドワイアード・シリーズに続いて投入されたVintage ModernとJVMは開発した時期が重なる親違いの双子だった。
ん?…親が違えば「アカの他人」か?ま、いいや。
それぞれ2006年末と2007年に発売されたこの2つのシリーズは2006年の冬には既に完成していて、私はフランクフルトの展示会でいち早く両方のモデルを弾かせてもらった。
今ではナンでもないが、この時はJVMの多機能ぶりに圧倒されてしまい、短い時間内の説明では正直ナニがナンだかよくわからなかった。
それよりもシンプルなVintage Modernの方に親近感が湧いたことを覚えているし、音も素晴らしく感じた。
下はその2006年の3月末のフランクフルトの展示会の時のようす。
写真の真ん中で立って話をしているのがVintage Modernを設計したスティーブ・ドーソン。
話し相手はドイツのディストリビューターの担当者。
私がタクシーのトランクにスーツケースを置き忘れてしまった時、警察まで一緒に行ってくれて英語⇔ドイツ語の通訳をしてくれた恩人。
Rimg0004この時、ブースのスタジオでデモ演奏をしてくれたギタリストの1人は、今日これからジョーくんが歌うホワイトスネイクのギタリスト、故バーニー・マースデンだった。
控室にいる時はアイスクリームばっかり食べていた。
何年か一緒になっているうちにとても気安くなり、「シゲ、ちょっとこのアイス持っていてくれる?」なんてやったものだった。
ホワイトスネイクのギタリストのアイスクリームを預かったことがある日本人は多分私だけであろう。
バーニー、スゴイよ。
ブルースなんかを演らせたらそこら辺の日本人は誰も敵わんだろうね。
やっぱり本場の人が現地で出すギターの音はナンというか…「音の骨格」が違うんよ。Rimg0030下は発売に合わせて作られた英語版のブロシュア2種。
スゴく良質な紙で作られていて、手にすると力の入れ具合が即座にわかろうというシロモノだ。
180こんなマルチ・ステッカーも制作していた。190vジムをフィーチュアしたポスターも作った。
不幸にしてこの撮影の数日前にジムは倒れてしまった。
ところが予定に穴を開けてはマズかろうと、持ち前の不屈の精神で復活してジムは撮影に臨んだ。
そしてこのポスターが出来上がった。
9_jjnm22006年10月25日、世界中のディストリビューターを招待し、Marshallの本社にてVintage ModernとJVMの発表会が開催された。
この日は確か雨が降っていたナァ。
コチラはJVM一家。
210コチラはVintage Modern。
この時デモンストレーターにひとりとして、当時イギリスで話題になっていた「The Answer」というバンドが登場し、「ポール・マホン」というギタリストがVintage Modernを弾いて見せたのだが、残念ながらノドの不調を理由にシンガーが姿を見せず、インストゥルメンタルでのデモンストレーションとなってしまった。
このThe Answerというバンドは、「コーマック・ニーソン」というシンガーがウリのバンドだったのでとても残念だった。
それからしばらくして来日し、私は挨拶を兼ねて渋谷のクアトロにショウを観に行ったが、それはそれは素晴らしいステージだった。
The Answerはブリティッシュ・ロックの伝統を踏まえた本当にいいバンドだった。
今もやっているのかな?
200_2そして商品ごとのデモンストレーションではNWOBHMの雄「グリム・リーパー」の創設者の1人である「ニック・ボウコット」が実演を交えてJVMの機能を説明した。
この頃、ニックはアメリカのMarshallに勤めていたのだ。
多彩なJVMのサウンドを聴かせるために、彼は搭載されたMIDIの機能を利用して、予めJVMのチャンネルの情報を組み込んだバッキング・トラックに合わせ、ロックの古今の人気曲のリフを31曲、まったくフットスイッチにもコントロール・パネルにも触れずに音色を次々と替えて演奏して見せた。
コレは本当にオモシロかった。
JVMは真空管のアンプしか出せないサウンドをまったく犠牲にすることなく、ギタリストにとって有益な考えうるすべての機能を搭載したギター・アンプということをニックはこの演奏を通して教えてくれた。
220一方のVintage Modernのデモンストレーションを担当したのはダグ・アルドリッチだった。
バッキング・トラックに合わせて、あるいは無伴奏でトコトン弾きまくってくれた。230下はこの時に会場のロビーで撮った写真。
この数日前、成田空港で免税のタバコを買おうとしたが時間がなくて買うことができなかった。
それまでも何度もイギリスには行っていたがタバコを買ったことは一度もなかった。
だから簡単に「イギリスに行って何かしら買えばいいや」…と思ったのだが行ってビックリ!
ひと箱1,500円もしたのだ。
道理で私が行く時にマーシャルの連中が「タバコを買って来てくれ」と頼むワケだわ。
結局、1,500円も出すのはどう考えてもバカバカしいてので丸々喫煙ごとヤメちゃった。
私は決してヘヴィ・スモーカーではなかったが、イザ止めてみると目の裏チカチカ、指先ジンジンでもうツラいのなんのって!
みんなで行ったインド料理店でその様子を見たダグが「おいシゲ、身体の調子でも悪いのか?大丈夫か?」と気遣ってくれた。
時のMarshallの副社長が、私が禁断症状に陥っていることを伝えるとダグは「ナ~ンダ、そんなことか!」と自分のタバコを差し出してくれた。
だから「ガマンしている!」って言ってんだよ!
結果…ダグの誘惑に目もくれず禁煙成功。以来19年、現在に至っている。
身体もステージもノン・スモークが一番だ!
240vさてジョーくん、お待たせ!
今日のMarshallがわかったところで聴く「Black Night」は一層味わい深い!…そうでもないか?
250客席のほとんどは若者。
世代を超えて客席が盛り上がる!
うれしいね。260「『JOE SESSION』です。よろしく~!
今日は最高なクラシック・ロックをお届けしまぁ~す!」
そう、「ジョーセッション」はジョーくんが選んだ「ロックが最もロックだった時代のロック」を若い人たちに知らしめる啓蒙イベントなのだ。
よくやったジョーくん!
270vココで「オン〇〇」と担当楽器を交えてジョーくんがメンバーを紹介。
ユキくんの番では「オン・ギター」ではなく「オン・ストラトキャスター!」とやった。
280するとユキくん…
「なんか『オン・ストラトキャスター』っていうのもチョット恥ずかしいですね。
色んな感じで怒られそうな気がする」
じゃ私が怒りましょう。
「マーシャル」はどこへ行ったッ?!
次回からは「オン・ストラトキャスター&マーシャル…ユキ!」にして頂きましょう。290v今度はレインボーの「Long Live Rock 'n' Roll」。300_llrコレもノリノリのわかりやすいハード・ロック・チューン。
こうして若い人たちが演奏して、若いお客さんが楽しんでくれればロックも少しはLong Liveするってものだ。
310続いてもレインボーで「Spotlight Kid」。
ジョーくんの汗ダクの熱唱が続く。320v_slk若きシュレッダーを両脇に抱えてギンギンにクラシック・ロックするジョーくん!330RyOくんのキーボードのソロもバッチリとフィーチュア!340v「♪デンジャッ、デンジャッ」
続けてもレインボーの「Kill the King」。
S41a1027_2 今月この曲がMarshall Blogに登場するのは先週に続いてコレが2回目。
前回は「ユキSESSION」だった。350_ktkオリーの重量感溢れる低音と…360vLouisちゃんのシャープなドラミングのコンビネーションがゴキゲンなドライブ感を生み出した。370v「初の『ジョーセッション』…2、3か月前、ユキさんに『ユキSESSION』に誘って頂いて『セッションというモノは楽しいな、うらやましいな』と思ってオレも主催してみることにしたんダァ!
だからオレはすごく楽しい!みんなも楽しいかッ?」
客席から盛大な「イエ~!」の反応。390v次にジョーくんが取り上げたクラシック・ロックはホワイトスネイク。
さっき出したヤツね。
何でもデビッド・カヴァーデイルがジョーくんの一番好きなシンガーなのだそうだ。
390v_cir曲は定番の「Crying in the Rain」。
ハードでヘヴィでドラマチックなロッカ・バラード。
400vギター2人のアンサンブルがビシっとキマった!
410vスゴく気安くて感じのいい人ですよ、カヴァーデイルさん。
一度も会ったことがないのにサンプラザの楽屋の通路で、いきなり後ろからガバっと私の方に手を回して「ヘイ、ブラザー!」って。
誰かと思って顔を見たら、その人がディープ・パープルMKIIIのシンガー「デヴィッド・カヴァーデイル」だったのでアタシャ死ぬほど驚いたわ。
 
その時のコンサートのようすはコチラ⇒WHITESNAKE Live in Japan280ジョーくん、こうして見るとデビッドにソックリだな…ウソこけ!S41a1194 「ココで、ココで、ココで、オレの大親友を呼んじゃおうかな?
オン・ボーカルズ、アキト!」←こういうパート名を表す時、正しい英語では必ず「vocal」に「s」を付けて「vocals」と表現します。
420「今日は珍しいアキトくんのハードロックが聴けますよ!と皆さんに触れ込んでおきました」
「不安でしかたねぇ。不安でしかたねぇぞ!
今日もギリギリまで練習してきた!」430ブレイズブリンガーの2人が歌ったのはコレもホワイトスネイクの「Still of the Night」。
ジャズには「In the Still of the Night」っていうスタンダード曲があるよ。440_son「不安」などオクビにも出さないアキトくんの堂々たる歌いっぷり!450vベテラン・クラシック・ロッカーのジョーくんも安定のシャウトっぷりでエキサイティングなツイン・ボーカルズのパフォーマンスとなった。460_2「ハァ~ハァ~…アキトもちゃんとハードロックしてたよな?
ヨカッタね!」
「ハモれた、ハモれた!」S41a1347_2 「ボクは普段『ブレイズブリンガー』というバンドでボーカルをしていまして、その相方がアキトなんでございます。
そんなブレイズブリンガーに曲を提供をしてくれたJien Takahashiがいますので、今日はその曲をジックリと披露して終わりたいと思います!」
470最後に演奏したのはそのブレイズブリンガーのキラー・チューン「菫色の肖像」。480_ssステージ上の全員が持てるエネルギーをすべて出し切り、どこまでもパワフルにショウの最後を飾って見せてくれた!490v 500v 510v 520v 530v S41a0051 550vこうしてジョーくんの「はじめてのセッション」は華々しく幕を下ろしたのであった。560 

200(2025年8月25日 新宿MERRY-GO-ROUNDにて撮影)

2025年9月24日 (水)

Marshallスナック~Bromley 750登場!

 
先日はMarshallのジンを紹介した。
おかげさまでお酒好きのミュージシャンの皆さまには「飲みたい!飲みたい!」と目下大騒ぎをして頂いております。
そして、今回コレ…Marshallの焼酎。
「ナンダナンダ、ビール、ジンと来て今度は焼酎か?Marshallは酒浸りだな~」なんて思わないでね。
記事を読んで行くウチに状況がわかるから!10v外箱には「Marshallスナック」のラベルが貼付されている。
「スナック」というと枕詞が「場末」というのが相場になっている。
「場末のスナック」…と聞くと、私の場合ナゼか能登の「珠洲」を連想してしまう。
珠洲へは昔の仕事で富山に赴任していた時に一度行ったぐらいだったのだが、どこかで耳にした「珠洲あたりの場末のスナック」という風なことを言った人がいて、多分それが強烈な印象を私に与えたのだと思う。20さて、ココは歌舞伎町。
能登とは何の関係もない江戸の昔から栄える甲州街道の最初の宿場「内藤新宿」だ。
でもよっぽどの用がない限り私は新宿には近寄らない…特に夜。
今回9時に歌舞伎町のド真ん中に赴き、その猛烈な人出にビックリ仰天!
そもそも駐車場の料金が昼間より20:00以降の方が高いだなんて全く知らなかった。
そんな歌舞伎町にある「王城ビル」。
コレはまたずいぶんとビンテージな建物だナァ。
これまでに何度か前を通ったような気はすれど、目に留めたことは一度もなかった。
30v調べてみると東京オリンピックが開催された1964年(昭和39年)に落成したそうだ。
ナンダ、私より2歳も年下でやがんの。
こういう古い建物を残すのはとても良いことですよ。
地震が多いとはいえ、日本人はみんブッ壊しちゃから。
「100年経てばどの建物も名物になる」と言った建築家がいた。
昔、機械や薬剤の力を借りずにハンドメイドで建てた鉄筋コンクリートのビルは100年経っても全くビクともしないが、今のコンクリートで作ったビルは40~50年しかもたないのが普通だそうだ。
そこへいくと良質な素材でチャンと造った木造の建物は、手入れさえ怠らなければ100年でも200年でも平気でもつという。
それは古刹の数々を見れば一目瞭然のこと。
昔の人は本当にスゴかった。
40その入り口の両側に飾ってあるのは…50v「Party Anywhere」と題字を入れた見紛うことなきMarshall製品の額。60そしてビルの側面にも…80vその額の絵柄と同じ巨大な幕が…よく見えない!
何でも隣の神社がお祭りで、それに備えてデカいテントを張っちゃったんだって!
コレは残念至極!
70今日はご招待を頂いてコチラにお邪魔しま~す。0r4a0032受付でスタッフのパスを受け取る。
「スナックのスタッフ」ということは…バーテンダーってことか?
シャカシャカって一度やってみたかったんだ!
90中に入るとこんな感じ。
ズラリとスナックが並んだ新小岩駅近くの裏路地みたいな…。100通路にはこんな酒樽が飾ってある。120自動販売機に入っているタバコの銘柄がスゴい。
「エコー」に「わかば」、「ロングホープ」ときたもんだ。
どれも吸ったことはなかったけど懐かしいね。
125通路を進んでいくと…お、左側に「Marshallスナック」の看板が出て来たぞ。110右側に「スナックMarshall」。130コレが「スナックMarshall」…といっても張りぼてだけどね。
マッカランの12年物が注がれたグラスを傾けているジムに会えそうな気がして思わずドアを開けようとしたわ。0r4a0054このMarshallスナックの前にある記念写真を撮るためのスペースで来客の皆さんにご挨拶をしているのはMarshall Groupの日本と韓国のマーケティング・マネージャーを務める「飯村一誠」。
お客さんはメディアの方々。
170今日の「Marshallスナック」と銘打ったイベントは翌日に発売開始となるMarshallのパーティ向けのスピーカー「Bromley(ブロムリ―)750」の発表の場なのだ。
コレがそのBromley 750。
150だから入り口にこんなデカデカとした看板が立っていたのです。160v一誠がこの日の主旨や段取り並びに館内の説明をする。180vこのビルの3階まで使った壮大な企画は、ゲストの皆さんによるパフォーマンスも存分に詰め込んだ。
夜の10時にスタートして翌朝の5時にお開き。
スナックだから。190v入り口からの通路に立っていたスナックの看板にある店名はこの日のパフォーマーの皆さんのお名前になっていたのです。
「COLDIE」…200v「CFn macik」220v「N2」、「DJ CELL」230v「YOUNG COCO」などなど。
この新商品の発表イベントは世界で開催されていて、各地のイメージを象徴するような造作にしているのだそうだ。
そこで日本は「スナック」。
いいね~。
「銭湯」なんかでもヨカッタかも知れないね。0r4a0082さて2階へ上がる。
Marshallの暖簾をくぐって…250チィ~ス。
2階はもうひとつの「スナックMARSHALL」。
260ダーツやら…270各種ゲームが並んでいて…280カラオケのコーナーも設置されている。290そして部屋の真ん中には「Bromley 750」を展示。300一誠が詳しく商品を説明する。
330Bromleyは「パーティ・スピーカー」の名の通り、リビング・ルームから屋外のパーティまであらゆるシーンに応じて音楽の場を提供するパワード・スピーカー。
最大40時間の連続再生と独自の全方位サウンドがウリ。
もちろんラウドであることは言うまでもない。
それにリッケンバッカーのギターみたいに音に合わせてチカチカするライトも大きな特長だ。365v2×10"ウーファー
2×5.25"ミッドレンジドライバー
2×1"ツイーター
2x0.8"ツイーター
のスピーカーが搭載されていて、それを…
2×100W(ウーファー)
2×50W(ミッドレンジ)
4×50W(ツイーター)
のパワーアンプで鳴らすという。
これだけで相当な「スゴイ感」があるね。
310コントロール部はシンプルでとても使いやすい。
Bromleyは使用する場面に応じて「Dynamic」と「Loud」という2つのサウンドのモードを選ぶことができる。
室内で使う際にはDynamicモード、屋外ではLoudモードを選択し、音の明瞭さと力強さをそれぞれ自由に調節して使用する。
実際に音を聴かせてもらうと…クリアで芯のあるサウンドは快感そのもの!
背面にはマイクや楽器のインプット・ジャックを付いていてBromleyで鳴らすことができる。
我々ギター・アンプ・サイドの人間から見ると、「ASシリーズの逆」みたいなイメージと言えばわかりやすいかも?
335上に書いたようにスピーカーがこれだけ載っていれば当然重い…約24kgというからセメント1袋分(25kg)だ。
でも大丈夫。
頑丈なキャリーがついていてどこへ行くにもゴロゴロと転がして行ける。
350お客さんの質問に丁寧に答える一誠。360ところでMarshallのスピーカーはいつもイギリスの地名を商品の名前に当てていて、今回の「Bromley」も例外ではない。
「ブロムリ―」というのは「Greater London(グレーター・ロンドン)」と呼ばれるロンドンの中心の行政区の南東に位置する町で、『タイムマシン』や『宇宙戦争』等の著名なSF作品を書いたH.G.ウェルズの生誕地だ。
ところで、この一連の商品名にMarshallの地元の「Bletchley」がないことに気づき、大分前に関係者にそのワケを尋ねたことがあった。
何でも「Bletchley(ブレッチリー)」という固有名詞は同じ英語圏でも一部の国の人々にとってとても発音がしにくいから…というのがその理由だった。
「ブレッチリー」…日本はイケるぞ!0r4a0025 さて、今度は3階へ移動して来た。370天井から吊り下がったたくさんのMarshall提灯。3803階は「MAIN STAGE」と称したイベントのためのスペースだ。
♪ヨォヨォ、ココでBROMLEYを使ったDJやラップのパフォーマンスが披露されるヨォ。
390さあ、10時を過ぎてお客さんが続々と集まり始めたよ~。4002階のスナックMARSHALLも盛り上がって来た!410Bromleyのカラオケ・コーナーでは早速マイクを握る人が…。
ビックリしたんだけど、歌っていたのはラップのカラオケなんだよ。
今、こんなのがあるのね~。420コチラは「Gliiico」というバンドをやっている私のお友達。
私がよく行く本所吾妻橋の居酒屋の常連だったという話しを聞いた時は思わずノケぞった!
430アチコチで色んな音を出していて室内はもうグワングワン!
海外のお客さんも多く、こういうところで英語を聴き取るのはホントにキツイ!4403階の様子を見に行ってみると、コチラもとてもいい雰囲気になって来た!450ターンテーブルを回しているのはAJUCHAN。
4801階にはチャンとAJUCHANの看板が出ている。
240v言っておきますが、Marshallは1970年代の初頭にはもうディスコで使用するターンテーブルを作っていたんですよ。
恐るべしジム・マーシャル!Img_1099
このステージでは夜中の1時からラップの皆さんが登場してBROMLEY 750の発売を盛り上げてくれた
…といってもヨォヨォ、いつも10時過ぎには床に入っている私のこと、そんな時間までは到底起きていられないので11:30頃には会場を後にしたんだヨォ。460外へ出て見ると入り口にはいつの間にかスゴイ人!
まるで帰宅時間のロンドンのパブみたいだ。490冒頭でお見せした八丈島の麦で作ったMarshallの焼酎はこの日の記念のために来場者に謹呈した記念品だった…というワケです。500vBROMLEY 750の詳しい情報はコチラ⇒Marshall.com0r4a0025 

200(一部敬称略 2025年9月22日 新宿王城ビルにて撮影)

2025年9月22日 (月)

instgram vol.2~D_Drive Seiji and 原田喧太

 
今回のライブ・レポートは新横浜の「Strage」からお送りします…というと「D_Drive Seijiソロ・ライブ」だと思うでしょ?
ま、ソロはソロなんだけど、今日のステージはダブル・ヘッドライナーの「instgram」というイベントの第2回目。
お相手は最近のMarshall Blogでは「デーモン閣下」のコンサートや『がんばっぺ福島』で登場してくれる原田喧太(以下「喧ちゃん」)。
喧ちゃんとは今はなき六本木の「スイート・ベイジル」で2001年に開催されたジルジャンのイベントからのお付き合いですからね、長いよ~。
その2人がソロでステージをこなすギター・インストのイベントが『instgram』。
「Instagram」ではありませんからね…インストグラムね。10vまずステージに上がったのはSeijiさん。
今日はステージの上。
この姿、久しぶりに見たな~。
20_4dまずは手堅いところで「Attraction 4D」。30v続けて「Red Light, Green Light」。40_rlgl今回のSeijiさんのMarshallは「JVM410H」と「1960TV」。
前回1960TVを試しに使ってみたところ、Seijiさんが弾くJVMとの相性がとてつもなく良くて今回もその組み合わせで臨んだ。
50v1960TVは普通の「1960A」よりも2インチ背が高いキャビネットにCelestionのGreenbackを4ケ搭載した仕様だ。
2インチといえば5.08cm。
これだけで音がガラリと変わるからキャビネットはオモシロイ。
ああ、私も2インチ背が高かったら少しはいい声が出ていたのかも知れないナァ。
でもこればかりはスピーカー・キャビネットのようにはいきませんな。60vこうしてシャープなD_Driveの2曲のキラー・チューンをまずはブッ込んだ!0r4a0013今日は喧ちゃんファンのお客さんもお見えになっているので、最初のMCはSeijiさんの自己紹介。
そして、ここ数年『フロア・ライブ』と称してStrageでは舞台に上がらないで演奏してきたが、今日は久ビルりに高いところで演奏するのがとても新鮮だという感想。
また「インスタグラム」ではなく、「インストグラム」と銘打ったこのインストゥルメンタル・ミュージックをフィーチュアしたイベントについて語った。70MCに続いては「Runaway Boy」。80v_rwbストレート・アヘッドなロック・ビートに広がるインストゥルメンタル・ミュージックならではストーリー展開。90_lbところでD_Driveファンの皆さん、今日Seijiさんが弾いているのはこれまで見かけたことがないギターだとは思いませんか?
そう、Seijiさんはギターのブランドを替えたんですよ。
タマタマこの新しいギターを作っている会社に友人がいるので、このモデルについて話を伺ったところ、ギタリストの間でとても高い評価を受けているのだそうだ。
さすが音にうるさいSeijiさん、お目が高い!
100vその音は実際に太く、とてもヌケのよいサウンドで、私の耳には今までに比べるとより落ち着いた重厚な感じに響いた。
そんなサウンドで弾いた「Lost Block」は超バッチリでした。0r4a00212回目のMCで喧ちゃんとの出会いについて語るSeijiさん。
それは2013年9月に東京キネマ倶楽部で開催されたイベント『六弦心』の時だったのだそうだ。
110vその時のようすはコチラ⇒LIVE ROKUGENSHIN~ROCK DAY <前編>
コレ…もう12年も前かよ!
早いな~。
ということは、この時のD_Driveって活動を始めてからまだ3年ぐらいしか経っていなかったのか!
この時はそんなイメージはゼンゼンなかったナ。250vワザと似ている写真を並べてみる。
なんかSeijiさん、若くなったんじゃないの?
紀州の梅かなんかを食べて…。
ということで「U-Me」。130v_umコレは本当にいい曲だと思う。
よく「曲が育つ」とか言うけど、まさにコレがそれに当たると思う。
正直最初は「ナンじゃコレは?」っぽい感じがしたけど、聴いているウチに良さがジワリジワリと滲み出て来て、今ではD_Driveの音楽性を語る代表曲だとすら思っていますよ。140続けては楽しい楽しい「Thumbs Up」。150_tuホールトーン。ディミニッシュ、ミクソリディアン等のスケールを巧みに組み合わせて作られたこの曲もSeijiさんの「作曲家」としての才を示す最良のショウケースといえよう。160vココでオリジナル・グッズのPR。
170vこの日のSeijiさんの屋台村。
今回は新しくメロイック・サインのグッズが加わった。
ギターやエフェクターの他にこれだけ持ってくるのは大変なことですよ。
120残すところ3曲。
そのウチのひとつはSeijiさんが新しく作った「TSURUGIー剣ー」。
基本的に振り払って使う「刀」と異なり、「剣」は突き刺して使うモノ…それでチャンチャンバラバラやるイメージをSeijiさんが曲にした。180v_trg細かくハードな音符が飛び交うサマはまさに「項羽と劉邦」の戦いのようだ…司馬遼太郎の本を何十年も前に読んだんだけどスッカリ忘れたな。合ってるかな?
気になるのはSeijiさんの「つるぎ」の発音。
るぎ」って言うんだけどそれだと、富山に住んでいた私には石川県の「鶴来(つるき)」になっちゃうんだよな~。
で、富山警察の裏手に「鶴来」というとてもおいしくて盛りの良いうどん屋があって、それを思い出しちゃうんですよ。
ま、うどんを刻むアレも「剣」の一種か?
190v続いて「The Last Revenge」。200v_rl闘いに破れ臥薪嘗胆、捲土重来の気持ちをこの切れ味鋭い剣のようなドライビング・チューンにした。210今回の「ソロSeiji(「ソーセージ」みたいでいいね)」の出番の最後を飾ったのは「Gradation」。240_grd美しいメロディをつないでハードめに展開するポップ・チューン。250v最後の最後まで素晴らしいギター・サウンドで名曲の数々を奏でてくれた。
ホント、新しいギターとの相性もバッチリ!
そして、やっぱりギターを鳴らすなら真空管アンプに限るネェ。
260「どうもありがとうございました。
引き続き原田喧太さんの演奏をお楽しみください」
 
Seijiの詳しい情報はコチラ⇒D_Drive offcial website270vこういうライブは転換がほとんどなくていいね。
下は入り口に飾られた2人のサインが入った掲示板。280コレは喧ちゃんの屋台村。
最新作のソロ・アルバムだ。290原田喧太登場!3001曲目は「Shake Your Hip」。
ウワ~、なつかしいナァ。
310v歌にギターにとハナからスロットル全開!320喧ちゃんも「JVM410H」。
ちなみに喧ちゃんは最も早い時期からJVMを愛用してくれているギタリストの1人なのだ。
だからJVMのことはよ~くわかっていて、アータ、「リターン挿し」なんてトンデモナイ!
喧ちゃんのJVMの使い方は、島崎藤村の『夜明け前』風に言えば「歪みはすべてアンプの中である」である。
330こうなると並べてみたくなるのは男の心理?
JVM410Hが4台!
コレは初めての景観だ。340続いてはその新しいアルバム『Addiction』から「It's Show Time」。330_istゴキゲンなハード・ツイスト!360vそれに賑やかなカデンツァが付いて、そのままア・カペラでブルースに。370「はい、指から出まかせのコーナーでした」
イヤイヤ、全然そんなことありません!
この前日の晩の11時頃、住まいの近くまで帰って来たところで車にトラブルが発生。
レッカー車を呼んだりしてすべて片付いたのが午前3時!
ヒエ~!
この手の人が悲惨な目に遭う話は盛り上がるのが常ですな。
380vコレが『Addiction』。
喧ちゃんのソロ・アルバムは『心の音』以来かな?
バラエティに富んだ曲が詰まった意欲作。
この日はこのアルバムから4曲を取り上げた。350耳馴染みの良いメロディが魅力の「白い雨」が続く。390v_ia喧ちゃんはこうして華麗にメロディを歌わせるのが実にウマい。400vループを使ったソロ。410_lp_cgamf「C|G|Am|F」とコードを循環させて鬼のように弾きまくる!
やっぱり真空管アンプが出すギターの音は素晴らしい!420v『Addiction』のオープナー「Going Home」。430v_ghおお!ドヴォルザークもビックリの壮大な頌歌風のワルツ。
スケールの大きな曲調も素晴らしいが、コレをアルバムの冒頭に持ってきたところがスゴイと思う。
440本人から『Addiction』の説明。
昨年ソロ活動30周年を迎えた喧ちゃんだが、このアルバムが初めてのインストゥルメンタルのアルバムとなった。
そして、来年は「ギタリスト」として40周年を迎える。
私なんかね、テレビのワイドショウでお父さんが「息子がギタリストでデビューするんだよ」と喧ちゃんを紹介していたのを覚えていますよ。
「『ケンタ』の『ケン』は『喧嘩』の『喧』だ!」ともおっしゃっていた。
あの時から40年か…。
俳優として大注目されている息子さんの活動についても触れた。
そういえば彼がまだ赤ちゃんだった時に三宿のライブハウスで写真を撮ったっけネェ。
450冒頭に書いたように喧ちゃんとのお付き合いは24年になるんだけど、一番最初の本格的な仕事はMarshallが2003年に発売した「MODE FOUR」だった。
この時も出たばかりのMODE FOURを大変気に気に入ってくれてすぐに使ってくれたんだよね。
それで作ったMODE FOURの宣伝ポスターがコレ。
このポスターがもう残っていなくて長年探していたのです。
それがある時、某音楽学校の壁に貼ってあってラッキー!だったのです。
実になつかしい!22年前かな?9_mf さて、続いて演奏したのはアルバムのタイトル・チューン『Addiction』。
喧ちゃんらしいトリッキーな1曲。470_add昔は上のMODE FOURのプロモーションで喧ちゃんとよくデモンストレーション・イベントをやったものだった。
そのショウの中でいつも演奏する複雑な自作曲があった。
クロマチックを多用した妙なメロディでね、私はそういう曲が好きなのでいつも楽しみにしていた。
で、確かその曲には曲名が付いておらず、私は「The March of Centipede」としたらどうか?と提案しようと思っていた。
この「Addiction」も同じタイプのスリリングな曲だ。
ちなみに「centi」は「100」、「pede」は「足」、すなわち「centipede」とは「ムカデ」のこと。
要するに「ムカデの行進」みたいにウネウネとメロディの曲なワケですよ。
ま、「ムカデの行進」なんて実際には見たことないけどね。
480vココでもまずア・カペラでソロを爆発させて「Running Out」へ。490_roファンキーに、ヘヴィに、メロディアスに突き進むダンサブルなナンバーに会場も盛り上がる!500v「じゃあ最後の曲です。
これは三本締めで、チャチャチャ、チャチャチャ、チャチャチャンチャン。
コレを曲にしたらどうなの?って思って作ってみた。
三本締めで〆たいと思います」510vコレはウマいことやりましたな!
曲は『Addiction』のクローザー「Sanbonjime」。
昔、日野皓正さんが「三三七拍子」を取り入れた曲を演っていたが、浅草の大工のセガレの私としてはコッチの方がシックリくる。
私にとっては小さな頃父に連れられて何度もお邪魔した「建前」で耳にしたリズム・パターン。
それを何度も曲の中に埋め込んだ!530v_sbjソロではワーミー・バーをワイルドに使って大暴れ!
コレが喧太流!
お祭り気分でハッピーに本編を締めくくった。
 
原田喧太の詳しい情報はコチラ⇒喧太の一言いわして
540そしてアンコール。
「ありがとうございます。
楽しんで頂けたでしょうか?
せっかくSeijiくんもいるので、今日、最後は2人でナニも考えずに遊んでみたいと思います」550アンコールでは特に曲を決めず、喧ちゃんがその場で作ったループのバッキングを用いた大インプロビゼーション大会となった。560とは言ってもライバル感剥き出しの速弾き大会などではなく、2人でいい感じでソロを渡し合ってギターの魅力を存分に伝えてくれる内容となった。570特筆すべきはチャンとMarshallを使って、真空管アンプしか実現し得ない最上のギター・サウンドを聴かせてくれたことであろう。
会場の隅々までミッチリと行きわたった2人が出したギター・サウンドはとても見事だった!580「どうもありがとう!」
お互いに名を呼んでその好演を称え合い『instgram』の第2回目は終了した。590 

200(一部敬称略 2025年8月24日 新横浜Strageにて撮影)

2025年9月19日 (金)

山口"PON"昌人 還暦祭!<後編>~ユキSESSION & EARLYSNAKE


『山口"PON"昌人還暦祭り!』レポートの最終回。
いよいよご本人の登場だ!
と、その前に…以前PONさんがやっていて2019年の『Marshall GALA2』にもご出演頂いた「Gotwee3」というチームのライブ・レポートを書いた時に「ポン」を話題にしたことがあった。
「ポン」というのは牛乳ビンのフタを使って遊ぶ対戦型ゲームのこと。
私が小学校の低学年だった時にコレが猛烈に流行した。
そのレポートに少々詳しく書いたので今回は内容については触れないが、コレが地方によって「ポッコン」とか「キャッポン」とか呼ばれていることを最近知って笑った。
もうひとつ知ったのは、地域によって遊び方に決定的な違いがあって、フタをヒックリ返す際、我々は手の平を裏返し、人差し指の爪をフタの淵に押し当てて転覆させていたが、拍手の風圧や吐息でヒックリ返して遊んでいた子供たちもいたということ。
ナント素朴な遊びだったことか。
ところが、今年の3月を最後にガラスビンの牛乳の製造を終了したんですってネェ。
つまりあの牛乳ビンのフタの絶滅とともに「ポン」というゲームも消滅してしまったことになる。
寂しいね…そうでもないか?10こちらのポンは絶好調!20vこの日のPONさんのNATAL。
10"、12"、13"、16"、24"×2のコンフィギュレーション。
30スネアは愛用の14"×8"のアルミ・シェルだ。40さて、ステージの方は4番手のユキSESSION。60Yuki70vDio Ken80vAoi90v臼井"OZMA"孝文100vそして本日の主役、山口"PON"昌人。120vオープニングはRainbowの「Kill the King」。
セッション・リーダーのYukiくんが冒頭から大ハッスル!
130「Kill the King」か…1976年12月、私が中学2年生の時、武道館で生まれて初めて耳にした外タレが生で演奏した曲がコレだった。
その前に武道館で聴いた音楽と言えば母に連れられて観に行った「ケロヨン」ということになろうか?140誰もが知るハード・ロックのスタンダードで会場は大盛り上がり!
ナニを演るのか先刻お見通しでも盛り上がっちゃう。1502曲目はAoiちゃんのスケールの大きいキーボード・ソロから。160v_gobエキゾチックなメロディがトコトンかっこいい「Gates of Babylon」。170PONさんと…180vOZMAさんのコンビネーション「POZMA」。
この組み合わせって過去のMarshall Blogにあったかな?
パットンとロンメルが握手をしたかのようなゴキゲンなハードロック・グルーブが押し寄せて来る。190v気分良さそうにその鉄壁のリズム隊に乗せて来るKenちゃんの張りのある声。
いつも思うけど、この曲ってカッコいいね。
ゴメンね、Rainbowって『Rising』までしか聴いていないの。
だから今、楽しんでいます。
220vそしてYukiくんがステージ中央に歩み寄ってバリバリ弾きまくる。200ワーミー・バーを大胆に揺さぶる激演!210vYukiくんのストラトキャスターを図太い音で鳴らしているのは<前編>で詳しく紹介した1999年製の「1959SLP」と「1960A」だ。120v 「『PON祭り』ですよ!
でもこの曲順だと半分『Dio Ken』祭りになってるんですよ。
大丈夫です!ちゃんとコレでPON祭りになりますから!
イヤ~、しかしPONさん…還暦ですよ。
どんだけデビューが早かったんだって話ですよね?
ところで、今日はオリジナルのバンドが出て来て、ナンでその後にカバーのセッションが出なきゃいけないのか?と思ったんですけど、2番目のARESZのベースがFEEL SO BADだったり、MOONSHINEは以前一緒にやっていたBLIND BIRDのベースだったりしてちゃんと『PON祭り』になっているんですよね」
230「楽しいね!
そもそもは、CRIMZON FLAREのYukliくんから『今度PONさん、セッションしましょうよ!』って言われて『いいよ、いつやる?』って答えたら『8月11日が空いてるんですけど…』と言うワケ。
その日が自分の誕生日だということを言ったら『ア~、ちょうどいいじゃないですか!』ってなって決まったんですよ。
ありがとうYuki!」
240vYukiくんの名前が出るとすかさずKenちゃんが…
「コレ、Yukiくんのアームを見てください。
コレね、若い子たち…若い子はそんなにいないけど。
ボクらの年代で言うと『リッチー・アーム』っていって、普通のよりチョット太くてね、それでこのカックン、グニューンって曲がって…も~リッチー・アームなんですよ!
我々の世代ではコレを使っている人がいなくなってるから一周回ってうれしいね!」
270「ありがとうございます!
初めてMCで突っ込まれたのでチョット恥ずかしいです!」260v「Yukiくんはさっき最初のCRIMZON FLAREでもギターを弾いていましたけど、どれも曲がメチャ速かったんですね!
しかし、我々も速い曲を用意してきましたよ!…またチョット『Dio Ken祭り』になっちゃう気がするんですけどPONさんの選曲ですからね!
ココの3人(PONさん、Kenちゃん、OZMAさんのこと)の精一杯の速さです。
CRIMZON FLAREを見ちゃった人はミディアム・テンポだと思うかもしれないけど、私たちにとっては最速の曲…しかもまたDIO!」280v勇猛なPONさんのドラムスに続いて…
310vYukiくんが力強くリフを奏でるナンバーは「I Speed at Night」。
290vOZMAさんの低音が暴れまくって…300vKenちゃんが猛シャウト!
「好き」を貫き通すということはナント美しいことか。
「♪I speed at night!」のパンチ・ラインはロニーが乗り移っているとしか思えん!320続いてAoiちゃんが愛らしいフレーズを奏でて始まるヴァン・ヘイレンの「Dreams」。330_drこの曲はよく耳にするけどヴァン・ヘイレンの曲だったのか。
350ギター・ソロはユキくん流で!340vPONさんは「PON HALEN」というヴァン・ヘイレンのトリビュート・バンドをやっているからね、もうお手の物です。370「この曲、高いんですよ…ロニーより全然声が高いんです、サミー・ヘイガーは。
疲れましたけど皆さんが手を叩いてくれていたのが見えたのでボクも余計に跳ねちゃいました。
ピョンピョンやりすぎて無駄に疲れましたね。
こんなに楽しいのもPONさんのおかげでございます。
ところでPONさんと言えば、最近は吉川晃司さんと奥田民生さんとの還暦スーパー広島トリオじゃないですか…」
380v「皆さんからすると、吉川晃司、奥田民生って言ったら芸能人でしょうけど、広島の同級生なんですよ。
ボクの実家に集まって来てたの。
『メシ食わしてくれや』みたいな。で、ご飯食べながら練習。
割と吉川と奥田は共通点がなかった。
たまたまオレの中でプランはあったんだけどね。
でも、今回のをキッカケに将来みんなが死ぬまでにはナンかやろうや!みたいな」
390vココでKenちゃんのリードでPONさんと吉川さんの「幻のバンド」の話が飛び出した。
PONさんが渡米している時に撮影でアメリカに来た吉川さんがPONさんを訪ねて「ドラムを叩いてくんねぇかな?バンドやりてぇんだよ」と提案した。
するとPONさんは「今、ワシはこうしてアメリカに来てるんよ。オリコンじゃなくてビルボードを目指しているんだ。だから吉川、ゴメン…今はできんわ」と吉川さんの申し入れを断った。
吉川さんは「ホォ~かぁ。オマエのドラムで演ってみたかったんだけどな」とPONさんとバンドを組むことを潔く諦めた。
そして「お互いにガンバろう!」って言って別れたのだそうだ。
PONさん曰く「それからボクは、アメリカに打ち砕かれて…コテンパンにやられて…日本に帰ることになっちゃたんですけどね」
その吉川さんがPONさんを誘ったバンドは「COMPLEX」だった。
400そしてPONさんがユキSESSIONのメンバーを紹介した。
コレ、「ポンSESSION」にした方がヨカッタんじゃないの?…とお思いになったお客さんもいらしたかも知れない。
イヤイヤ、誘ったのはYukiくんだし、「ココは若い人に花を持たせて」…というPONさんの先輩としての心意気なのであろう。
「ユキSESSION」でいいのだ。
118a0836さぁPONさんのツーバスが炸裂!
イケイケ~!
曲はモトリー・クルーの「Red Hot」。410v_rh「Kenちゃんがモトリー?」と一瞬不思議な感じがしたが、20年ぐらい前は米軍基地でよく歌っていたのだそうだ。
超久しぶりとのことだったが、ナンノナンノ、その歌いっぷりはスッカリ板についていた。430OZMAさんのモトリーもチョット意外だな。
もちろんギンギンギラギラのベース・サウンドをブッ放していた。
360v新旧肩を寄せ合うエキサイティングな演奏。
Yukiくんもうれしそうだ!
440ココでもしっかりギター・ソロをブチ込んでセッション・リーダーの存在感を示した。450私はモトリー・クルー世代ではないので、一度も通っていない(最近通ってる)のだが、「ピュアなロックのエキス」だけで成り立っているチームであることはわかっているつもり。
そのカッコよさをこの5人の演奏がバッチリ表出してくれた。460さて、ユキSESSIONもいよいよ大詰め。
「もう帰ってイイですか?…ダメですか?
じゃ、ココでちょっとレアな曲を演りましょう。
齢を取ってからこういうテイストも好きになりましたね。
ちょっとグッとくる感じ。
Dio Kenの歌をしっかりとサポートしていくっていう感じの楽しみ方でいきたいですね」490この曲もAoiちゃんのキーボーズから始まる。
曲はRainbowに戻って「Can't Let Go」。
ここまで6曲中3曲がキーボーズでスタートする曲だ。
80年代はこうスタイルがよっぽど流行っていたんだネェ。
あ、「キーボーズ」と「キーボード」の違いが気になっているんでしょ?
「キーボーズ」はパート名、「キーボード」は楽器…という風になるべく使い分けるようにしております。
500vロニーが歌っていないRainbowの曲。
Rainbowってこんなに普通のポップ・チューンを演っていたのか…。
520もちろんこうした曲でもLynn Kenちゃんが熱のこもった歌声を聴かせてくれる。
どうでもいいことだけど、この曲が収録されているのは『ストリート・オブ・ドリームス』という1983年のアルバム。
原題は『Bent Out of Shapes』で。コレは「メッチャ怒る」とか「屈辱を感じる」とかいう意味。
ちなみに「屈辱」といえば、「humble pie」も「屈辱」みたいな意味で「eat humble pie」で「不本意なことを甘んじて受け入れる」という意味合いになる。
510で、今訴えたいのはその邦題の方。
コレね、同名の曲がアルバムにも収録されているけど、「Street of Dreams」っていう古いジャズのスタンダード曲があるんですよ。
ホッコリとしたとても良い曲です。
ココで思い出すのが、「Deep Purple」というのも同じ時代に作られたジャズ・スタンダードということなのね。
もしかしてリッチーってジャズがとても好きなのでは?…コレはあまりにも邪推の域を出ないか?

9_dp そして最後!
PONさんとOZMAさんがファンキーなビートを打ち出して…
「OK!ゴキゲンなパワフル・ナンバーでいくぜ!」
530vナント最後はPONさんの歌でスティービー・サラスの「Tell Your Story Walkin'」。540今日2度目のボーカルズ。
気合が十分に入った歌声は迫力満点!
コレが還暦パワー!
550v最後にこれまでとはまったく毛色の異なる曲が出て来てビックリしたが、難なく演奏をこなすユキSESSIONの皆さん!560
118a0729
 590v全編を通してKenちゃんの熱唱はPONさんへの強力な祝福となった。580そんな仲間に囲まれて最後までアクセル全開の今日の主役!600バラエティに富んだレパートリーで盛大に盛り上がった~!610最後…この日を締めくくったのは1978~1984年までのWHITESNAKEのトリビュート・バンド「Earlysnake」。620Ray630v木下秀幸640v芦萓ハンペン正博720vギター2人の背後には「JCM2000 DSL100」と「1960A」のハーフスタックが2セット。660Toshi Shimada670vNamie118a0941そしてシンバル暖簾を持ちあげて「毎度!」…山口"PON"昌人。
008a0020 コレがこの日PONさんが使用したNATAL(ナタール)。6901曲目は「Come on」。
008a0031ハナから聞き慣れたRayさんの歌声が爆発!A30 2曲目には「Sweet Talker」が続いた。730
118a1053RayさんのMCではまず還暦のお祝いの言葉がPONさんに贈られた。
そして、Earlysnaleはメンバーをチェンジすることなく、結成して11年が経過したことを述べた。
それはスゴイですよ!
またバーニー・マースデンと共演したことはとても感慨深かったとのこと。
曲は「Walking in the Shadow」が続いた。
740Rayさんの説明によると、Earlysnakeは66歳が2人、62歳が1人、そして今回PONさんが還暦を迎えてメンバーの2/3が60歳以上になったそうだ。
ますます誰かに似て来たといわれていたハンペンさんからひと言…バーニーでしょ?
「今日8月11日は世間では『山の日』なんですよ。でもココは『山口の日』なんです。
ちなみに一昨日はオレの誕生日だったんです!
そんなんで今日は山口くんを大いに盛り上げてあの世に送り出しましょう!」118a1052続いて「Ready An'Willing」。710_st11年もの長きにわたってホワイトスネイクの音楽に対する愛情を注ぎ続けるメンバーの熱演が続く!750v 760vそしてこの日初めてのPONさんのドラム・ソロ!780ココまでソロというソロがなかったPONさん。
790vなるほどこういう演出だったのか!
118a1074 いよいよ最後で一気に大爆発というワケだ。
しかし、改めて思ったけど、この歯切れの良いNATALの音はPONさんのゴージャスなドラミングにピッタリだね!
810vホワイトスネイクにこんなドラマーがいたのか!…と思ったらミュートに使っていた黒いビニール・テープが剥がれてしまったのでとりあえず鼻の下に貼ってみたんだって!
スパークスの「ロン・メイル」かと思ったわ!118a1058いつものPON節で思う存分ハデハデに叩きまくった見事なソロだった!
PONさん還暦、お客さん感激!830vそして「Fool for Your Loving」で出番を締めくくった!770_rawこれにて本編終了。
PONさん、お疲れさまでした~!860アンコール。
巨大な機材を携えて越中富山からお越し頂いたShimadaさんの労をねぎらおうとキーボード・ソロをお願いした。
景気よく、いかにもハードロック盛んなりし頃のドラマティックなサウンドをタップリと聴かせてくれた。
いいね、やっぱりこういうのは。
ああ、それにしても「糸庄」の「もつ煮込みうどん」が食べたい…。
そしてソロの最後を締めくくったメロディは「♪ハッピバ~スデ~トゥ~ユ~」。
870v前に出てくるように促されたPONさんにサプライズでバースデイ・ケーキのプレゼント。
ケーキを持って来てくれたのは、先日Marshall Blogでレポートした『おれたの』というイベントを企画&上演したAyaさん。
もちろんPONさんもそのイベントに出演した。
880早速フゥ~。890vそしてもうひとつのサプライズ。
ステージのスクリーンに現れたのは…900爆発する「バリバリ最強No.1!!」。
ということは…008a0061FEEL SO BADの川島だりあさんからのビデオ・メッセージだ!
♪ハッピバ~スデ~PONちゃ~ん!
還暦おめでとう!
だりあももうすぐ還暦の『あら還』です。
PONちゃん、これからもずっとカッコいいドラマーでいてくださいね!
920「だりあ、クリス、ありがとう!
そしてEarlysnakeのみんなもありがとう!
今日は本当にたくさんの人が来てくれて最後までいてくれてありがとうございました!…うれっしいっスね!」
008a0079 「皆さん、ホント長生きするもんだわ。
配信の皆さんもお身体に気を付けて、ストレスを溜めないように…ボクみたいにこうやって発散していけば悪い病気に罹らないから!
だから楽しんで、元気に、ハッピーに、みんなと仲良く過ごしていきましょう!」
930最後の最後にもう1曲…「Don't Break my Heart Again」を演奏してPONさんの還暦をお祝いする長い1日が終了した。
850_fflPONさん、おめでとうございました!
これからもNATALでバリバリ最強No.1で暴れまくってください!118a0975<おしまい> 

200(一部敬称略 2025年8月11日 吉祥寺CRESCENDOにて撮影)

2025年9月18日 (木)

【追悼】BARAKA平石正樹さんのこと

 
結成28年を迎えるBARAKAのドラマーでオリジナルメンバーの平石MAX正樹さんの訃報に接した。
本当に驚いた。
平石さんは早生まれの私と同じ学年で、3か月チョット前にお会いした時にはとてもお元気でいつもと変わらない様子だった。
ライブの会場でご一緒する程度のお付き合いだったが、BARAKAのメンバー3人のウチ一番最初にSNSでつながったのは平石さんで、Marshall BlogにBARAKAのライブ・レポートを掲載すると毎回真っ先にシェアをしてくださっていた。
その3か月前のLINE CUBE SHIBUYAの時は、開演前に男子トイレで一緒になって、少し世間話をしたのだが、それが平石さんとの最後の会話になってしまおうとは一体誰が想像できようか。
予てよりガンと闘っていたなどということは全く存じ上げなかった。
010Marshall Blogで古参バンドのひとつであるBARAKAはD_DriveのSeijiさんのご紹介だった。
私がプロッグ・ロックの類の音楽が好きなことを知っていて、ベースの依知川さんと知り合いのSeijiさんが顔つなぎをしてくれたのだ。
A10初めてBARAKAの演奏の場にお邪魔したのは2015年4月18日にシルバーエレファントで開催したBARAKAの500回目のライブを記念するタイミングだった。A20SeijiさんがBARAKAを紹介してくれた理由はもうひとつ。
高見一生さんがMarshall。A30依知川伸一さんが当時Marshallが取り扱っていたEDENを愛用してくれていたからなのであった。
210平石正樹さんはNATALではなかったが、気にしない、気にしない。
プロッグ・ロックにMarshallにEDEN…「コイツぁ、コタえられネェ!」とばかりによろこんで吉祥寺に足を運んだのであった。A50vSeijiさんのおススメに間違いはなく、1回で気に入ってしまったBARAKAを次に取材したのは結成20周年を目前に控えた2016年11月11日。
場所は渋谷の「PLEASURE PLEASURE」。F10この頃のBARAKAはビートルズとクイーンのカバーアルバムをリリースしたばかり。
Bcd2つのバンドが残したロックのスタンダードの数々をBARAKAの3人の人智を超える大胆なアレンジで聴かせるステージはまさに圧巻だった。F20 F35 F40そして今度は600回目のライブの記念公演。
2019年3月20日、会場はまたシルバーエレファント。B70この時も他のバンドでは到底考えつかないようなBARAKAだけの音楽をノビノビと演奏して観客を圧倒した。B20 B30 B402022年11月30日、六本木のEXシアターで結成25周年を祝った。C10このチームは結成してから一度もメンバー・チェンジをしていない。
このワンアンドオンリーの音楽が3人の気持ちをまとめ上げるのか、お互いに弱みを握っているのかは存じ上げないがこの団結感もスゴイと思う。
C25v C30v C40メンバーがマイクを握ってトークをするのはBARAKAのステージのルーティンのひとつ。
いつも最初に依知川さんが「いらっしゃいませ」のご挨拶をして、平石さんがBARAKA全体の話をし、一生さんが終演間近にアクロバチックな話で爆笑を誘う…概ねこのようなトークの流れになっていた。20_2 そして、もうひとつのルーティンは平石さんのドラム・ソロ。
毎回後半でタップリとその鮮やかなスティックさばきを見せてくれた。C60「25周年があるなら26周年があってもいいじゃないか」ということで渋谷PLEASURE PLEASUREにBARAKAが戻って来た。D10この時「Superior Force」を初めて生で公の場で演奏した。D60 D50 
D20vこの時の平石さんのトーク。
「去年25周年を記念してEX Theaterで演りましたがあの時もありがとうございました。
普通25周年の次は、30周年、35周年、となるんでしょうどBARAKAは26周年。
そしてまた、結成した時と同じ日にライブを演るという…こう見えて意外と3人ともマジメなんです」
C50vもちろんこの時もバッチリと平石さんはドラム・ソロをキメてみせた。D70そして結成28年を迎えた今年の5月。
アルバム『Superior Force』リリースを記念するツアーの千秋楽。
会場はLINE CUBE SHIBUYA。008a0032 この日、一生さんは数日前に左手を骨折する大ケガを負ってしまい、手をパンパンに腫れ上がらせた状態でステージに上がった。
開演前にそれを知らされてとても心配だったが、まさかこの時、平石さんのお身体の調子が悪いなどとはツユほども思わなかった。D15v_2 E20v 
E30vツアーの千秋楽ということで、この時のトークのコーナーで平石さんはツアーの醍醐味を語り、「とにかくステージに立って皆さんの前で演奏することがとても好きなバンドですので、そういう感じでまた1年間ガンバっていきます。
これからも応援よろしくお願いします」
と言っていたのに…。E40vそしてショウの後半でいつも通り元気にドラム・ソロを披露した。E50vまさかコレが私にとって平石さんの最後のドラム・ソロになろうとは…。E60熱演に送られた大喝采に応える平石さん。
E70v上に書いた通り、28年間もの長い間メンバーを変更することのなかったBARAKAの一角が欠けてしまったことは大変に悲しく残念なことだ。
しかし平石さんとともに3人で創り上げてきたBARAKAの音楽は間違いなく継続していくことであろう。
E55名ドラマーのご逝去を心から悼み謹んでお悔やみ申し上げます118a0125 そして今夕、10月16日にZepp Shinjukuにて『BARAKA28周年記念ライブ』として開催される予定であった公演を急遽『平石正樹追悼ライブ』とすることが発表された。
 
詳しくはコチラをご参照ください⇒BARAKA Official Web Site
E80 

200

2025年9月17日 (水)

山口"PON"昌人 還暦祭!<中編>~MOONSHINE

 
山口"PON"昌人の還暦をお祝いするイベントのレポートの第2弾。103番手に登場するのはMOONSHINEだ。
コレはMOONSHNEの屋台村。
3枚の3曲入りCDとオリジナルTシャツ。
期せずしてずいぶんと「3」が並んだナ。
ベージュ色のCDはチャーリーの「梵天」のアルバム。
中身もさることながら、篆刻のようなジャケット・デザインがとてもステキ。
20「MOONSHINE」のロゴが入ったTシャツの前面と…30背面はコチラ…でもコレは特別仕様。
一般の商品には図柄は入っていません。
40vさぁ、MOONSHINEのステージが始まった!
1曲目は「引き裂かれた絆」。
上の3枚のCDに収録されていないヤツ。
50藤井重樹60vCharlie Tanaka(=「チャーリー」)70v河野充生80v金光健司90vココからこのイベントのドラム・キットはNATALとなる。
100金光さんは12"、16"、24"のシングル・タムのコンフィギュレーション。
シェルの素材はメイプルだ。110vこの曲の後半でリズム・パターンが変わるパートがアホほどカッコいい!
140そのパートに続くギター・ソロ。120チャーリーの背後にはMarshall。
愛用の「JCM2000 DSL100EC」と、キャビネットは「1960BV」。
このコンビネーションによって出される真空管アンプ特有の図太くヌケのよいサウンドでチャーリーならではのギター・プレイを聴かせてくれるのだ。130v早速会場はMOONSHINEの世界一色に塗り替えられた!008a0498 「ヘーイ、ヘーイ、ヘーイ、クレッシェンド!
MOONSHINEです!」150v藤井さんのひと言挨拶にすかさず河野さんのベースが連なる。
コレコレコレコレコレ!
待ってましたの「まがいもの」。190チャーリーのアルペジオが重なって…170v藤井さんの歌が入り込む。180そして金光さんが思いっきりヘヴィなグルーヴを流し込む。
こんな曲他にあるかァ?
200vチャーリーのハードなギターが容赦なく炸裂!210vナンのまだまだ。
この曲も後半で意外な展開を見せる。220藤井さんの凄まじいまでのシャウトが存分に味わえるのだ。008a0658聴きどころの多い1曲だけど、やっぱりココは作曲者である河野さんのベースに注目してもらいたい。
どのパートでも河野さんがベースという楽器の魅力を教えてくれるわ。
どうよ、コレだけ書いたらMOONSHINEを観てみたくなるでしょ?
008a0623 「改めましてこんばんはMOONSHINEです。
今日はみんな大好き『山口“PON”昌人還暦祭』!
おめでとうございます。
今日出演される皆さんはそれぞれPONさんとゆかりの深い、馴染みある方たちばかりだと思いますが、我々も馴染みが深いと言えば深そうで、深くないのかも知れない?…と」230「イヤイヤ、オレは深いですよ。
10年ぐらいBLIND BIRDというバンドを一緒にやっていましたからね」240v「オレはPONさんが大阪でまだ『FORT$KNOX』をやっていた頃からだから…40年ぐらいの付き合いです」250v「オレが知らないだけですごく馴染みが深かったね。
いかに自分が新参者だってことを思い知らされたわ!
山口“PON”昌人のバースデイ・パーティー…この後もブチかましてくれると思います。
その前にMOONSHINEを楽しんでいってください。
よろしくお願いします」260v開放弦を使った独特のギター・リフから始まるのは「嘆きと嘘」。
最初のCDに収録されたチャーリー作曲のMOONSHINEスタンダードのひとつ。008a0596藤井さんのウソ偽りのない力強い歌唱が素晴らしい。
「楷書」の歌だ。
実際に藤井さんは絶対にフェイクしないからね。
どんな曲でもキチンと丁寧に歌う姿が美しい。280シットリとした曲調は途中でガラリと様相を変え、4人が一枚岩と化してハードに迫りくる!290毎回書いているけど書かないではいられないのがチャーリーのチャーリーだけの言葉によるソロ。
真空管アンプがそのオリジナリティを忠実に増幅する。
やっぱりどこをどう聴いても真空管アンプしか勝たん!
重量部門も優勝だ!
118a0336「誰にだって決して捨てきれない夢がある…」という藤井さんのセリフ付きでスタートしたのは「くすんだダイヤモンド」。
この曲もCDにはまだ収録されていない。
118a0314 どこまでも重厚な「金光ビート」。310vそこへ河野さんがローB弦の低~いところを乗せて来る。
そう来りゃ2人のコンビネーションは重いにキマってる!
320そんなヘヴィなリズムにピッタリとマッチするメロディをナゾる藤井さんとトライトーン含みの和音で合いの手を入れるチャーリーのギターがまたイカしてるんだよ。
008a0473ナンと言ってもこの曲のチャーム・ポイントはみんなで4分で歌うサビの「♪く・す・み・か・け・て・る」のパート。
以前にも書いたことはわかってる。
でも何度も書きたくなっちゃう。330そんな「♪ひ・け・ら・か・す・よ・な」輝きを放つ魅力的な1曲。345チャーリーのソロはこの曲においてもすこぶるクリエイティブ。
008a0666このソロ・パ―トでの河野さんのベースも決してお聴き逃しなく!008a0462 「いかがですか、MOONSHINEは?
美味しい?…チガウ、チガウ!
マズくないだろ?…チガウ、チガウ!
ここまで4曲演奏したんですが、我々は『デモCD』という形で3曲入りのシングルを3枚リリースしています。
全9曲…全部お買い上げ頂くとアルバムになります。
それとTシャツをご用意しましたのでよろしくお願いします。
今、我々はレコーディングの最中なので、この後しばらくライブの予定を入れておりません。
なので今日は存分に楽しんでいってください。
11月24日にはライブがありますのでよろしくお願いします」350vそう、MOONSHINEは長い長いレコーディングに臨んでいる。
私もその現場に一度お邪魔したが、細部にまでこだわった創作に対する4人の姿勢には畏敬の念を抱かざるを得なかった。0r4a0054そしてレコーディングは残すところ藤井さんの歌入れだけとなった。
ところが、昨日SNSでご自身が発表した通り、藤井さんはノドの具合を気遣い、大事を取りながら進めているため時間がかかっているとのこと。
そうよ、ムリ&ムチャは絶対にダメ。
私もいつか冗談で「東海さんの墓普請」なんてことを書いたが、「せっかちの安普請」をしたところでそうは良いモノなんてできゃしませんよ。
それに藤井さんのノドにもしものことがあったら元も子もないじゃないの?
大人しく待ってます。0r4a0282そしたら藤井さん、ウマいコト言ったね~!
「3曲入りCDが3枚集まればアルバム1枚分」って。
そういうやり方があったのか!
レコーディングが完了するまではこの「複合アルバム」でMONNSHINEの音楽を楽しむことにしましょう!008a0601 チャーリーが弾くアルペジオから「過ぎゆく時を」。370_syt藤井さんが丹精込めて歌い上げるミディアム・スローの1曲。
コレもまだCDには収められていない。
380激しく重いばかりではない金光さんのビートが曲を柔らか~く膨らませていく。
390vMOONSHINEにしてはとても素直なナンバー。
これもまたとても良き哉。400金光さんのシンバルが導く「ひび割れた記憶」。
2枚目のCDに収録された1曲…「複合アルバム」で言えば真ん中あたり。
410_hwk大人しいパートから…420ガツンとハードなパートへ幾度となく繰り返されるパターン。430このハードなロック・ビートに変わるところがトリハダもの。
このチームはこの手の仕掛けの曲を自然に、かつドラマティックの聴かせるのが実にウマい。440息詰まるようなスリル満点のチャーリーのソロ!450vそしてテンションのカタマリのような藤井さんの歌声が全編を貫き通して聴く者に「ロックの感動」を与える。460「早いもので我々の出番ももう少しで終わりです。
ありがとうございます。
また別の機会にお目にかかることがあったら、是非ともMOONSHINEを楽しんでください。
よろしくお願いします」
470バンドの中でPONさんとの付き合いが一番長い金光さんからもひと言。
「今日はPONちゃんの誕生日ということでおめでとう!
今日も相変わらずの暴れ太鼓をPONちゃんがブチかましてくれると思います。
オレは、PONちゃんと出会ったのが17歳ぐらいの時で、とっても大きな影響を受けました。
こういうことしたりとか(スティックくるくる)、こういう顔したりとか(ギューの顔)、ワァ~って言ったり…大きく影響を受けてます、オレ。
今日もPONちゃんの素敵な勇姿を拝みたいと思います。
みんなでお祝いしましょうね!」
ご存知の通り金光さんもPONさんもNATALを愛用して頂いているけど、PONさんを紹介してくれたのは実は金光さんなんです。475v「じゃあ、ボクらからの最後のメッセージ。
『明日へと続く道』を歌っております」480v曲は1枚目のCD収録の「明日が壊れても」。490_akt「♪明日が壊れても 昨日がウソでも この道は続く」…と、藤井さんの言葉でPONさんにエールを送った4人。
520v 490v 500v 510vホントにこのバンドはカッコいいと思うんですよ。
ロックが大人のモノだった時代のロック。
今となってはひとりでも多くの老若男女に聴いてもらいたい。
どうかライブ会場に足を運んでください。530短いながらも充実したMOONSHINEのステージが終わりイベントも後半に突入する。540<後編>につづく
 

200(一部敬称略 2025年8月11日 吉祥寺CRESCENDOにて撮影)

2025年9月16日 (火)

山口"PON"昌人 還暦祭!<前編>~CRIMZON FLARE & ARESZ

 
この8月、奇しくもNATALをご愛用頂いているドラマー2人が還暦をお迎えになり、それを記念するイベントが各々開催された。
こうしたミュージシャンの還暦を祝福するイベントは今となっては決して珍しいモノではなくなったが、コレはいつ頃から慣行されるようになったのであろう?
Marshall Blog的には2014年の伊藤広規さんのお祝いライブが最初かな?
振り返ってみるに、少なくとも私がロックを聴き始めた頃は「還暦記念ライブ」なんていう企画は絶対にあり得なかった。
だってその頃、つまり1975年あたりだとポール・マッカートニーが33歳、ミック・ジャガーも32歳だったのだから。
多分「60歳を迎えてロックを演奏している人の姿」を想像した人なんて世界にひとりとしていなかったと思う。
何しろ当時は30歳を越えて芽が出ないバンドに狂っているような輩は世間では「極潰し」と呼ばれていた。
あるいは「アイツは家が金持ちだから」と言われるのが普通だった…コレは今でも同じか?
「金がある」たって本人が持っているワケでもないのにね。
それが今では30歳台は「若手」とか「ヒヨッコ」扱いですからね。
かく言う私も還暦を過ぎてこんなことをやっているんだから天に向かってツバを吐いているようなものか?…一応マーブロは「ロック・ジャーナリズム」のはしくれということで。
そして、そのポールやミックが今では83歳に82歳だもんね。
もう還暦を迎えていたことすら忘れているのではなかろうか?
とにかく還暦記念ライブ、大いに結構!
往年のロックの在り様や雰囲気をご存知のベテランが今も元気でいてくれるのは私としてはとてもうれしく、ありがたいことだ。
今回のPONさんの還暦祝いのライブも老若男女の出演者が入り乱れてとてもにぎやかな大イベントとなった。10こういうのは「ゴーマン」っていうの?
5つのバンドが出演するイベントのトップを飾ったのが「CRIMZON FLARE」。
Marshall Blogへは2度目のご登場。30Keiichi(以下「Kちゃん」)40vYuki50vReanne60vShoko008a0141_2 サポート参加のMari。80v1曲目の「Twilight Time」でイベントがド派手にスタートした!90「さぁ~本日の1発目は我々『CRIMZON FLARE」』でございます。
というワケであのFEEL SO BADの山口昌人さん…おこがましくてまだ『PONさん』ってお呼びできないんですけど、今日が60歳の誕生日っていうことです。
おめでとうございます!
スゴイですよね。
先ほどリハーサルを拝見したんですが、とても還暦の方とは思えないドラミングで、この後をお楽しみにしていてください。
我々まだ未熟者ですが、そんなPONさんの還暦をお祝いできればと思っております。
かなり気合を入れて演奏しますので最後までついて来てください!
よろしくお願いします!」100vKちゃんのMCに続いてはYukiくんが鮮やかな無伴奏のギター・ソロを披露。110vそのギターの音を出しているのはYukiくんが持ち込んでくれた自前の白い「1959SLP」。
Yukiくんは自分のMarshallサウンドを出すためにいつでもステージに自分のアンプ・ヘッドを運び入れてくれる。
お金を払って来て下さるお客さんに真空管アンプが出す本物のギター・サウンドを聴いて頂きたいからだ。
スピーカー・キャビネットは「1960A」。
120vYukiくんはジャンプをせずに「チャンネル1のハイ」にインプットしている。
ん?…近くで見て気が付いたのだが、この1959にはフロントの上下の中ほどにビーディングが施されていない。
溝は切ってあるのだが…。130と思ってもっと近くで見てみると…コレは白い1959ではなくて、ヘッド全体を薄くて白いビニールでキレイに包み上げているのだ。
以前、Kちゃんが「時空海賊SEVEN SEAS」で一緒にやっていたEITAちゃんは「JCM2000 TSL100」を専門業者に依頼してピンク色に染め上げていたが、この1959は違う。
多分、元の黒いカバリングをすべて剥がし、強力な接着剤を用いて白いビニールを貼り直したのであろう。
それにしても器用な人がいるもんですな~。
ロゴやパイピング、ビーディング、フロント・パネルも取り外しての作業なのでさぞかし大変だったと思う。
コレはYukiくん自身がやったのではなくて、はじめからこういう状態のモノを手に入れたそうだ。140リアパネルも自家製。
これまた実にキレイに作ってある。
ところでこの1959SLPは1999年製なので「センド&リターン回路」を搭載していない。
コレを探している人が結構いらっしゃるのよ。
実は1999年製は「センド&リターンなし」の1959SLPを作っていた最後の年なのだ…と言ってもコレはヨーロッパの話。
Marshallは1999年に一旦1959の製造を終了させ、アメリカと日本にだけ製造し、輸出していた。
つまりヨーロッパには1959が流通していない期間が3年ほどあったのだ。
そしてMarshsallの創立40周年を記念して「Vintage Reissue」として2022年に再デビューさせた。
こっちは「ヨーロッパで1959SLPが流通していなかった」なんて知らなかったものだから、その時分にMarshallから送られてくる1959SLPの資料に「Vintage Reissue」としてあるのを大変不思議に思ったものだった。
だって日本ではずっと販売し続けていたワケだから。
そして2022年に「Vintage Reissue」と謳った1959SLPには「センド&リターン」が付いていた…というワケ。
こんな話、オモシロイですか?
1501959の太くヌケるサウンドでYukiくんがモリモリとシュレッドしてくれて…
160そのまま2曲目の「Fight For」へ!170Mariちゃんのツーバスが炸裂するド迫力のナンバー!
118a0048起伏の激しいメロディをKちゃんがシャウトすると…118a0053 Shokoちゃんが完璧なコーラスを添える。200v緊張感あふれるギターとキーボーズのアンサンブルと…210vソロが続き…220v曲は転調を交え息もつかせぬ展開でクライマックスへと上り詰めていった!220続いての「Fire Bird」はReanneくんのシンフォニックなキーボーズから。118a0114 「ホイ!ホイ!」とKちゃんがアオりをかますと客席から力強い反応が!240キメのフレーズはShokoちゃんがコーラスを添えて歌われる「♪Fire bird」。
コレは耳に残るわ~!008a0226曲が盛り上がって来たところで~…260Yukiくんが猛シュレッド。
やっぱり真空管のアンプの音は存在感が違いますな。
遠慮なく観客の耳と感性を直撃する!270しかし、Mariちゃんのツーバスがスゴイ!
こんなことをして足は大丈夫なのかッ?
一度でいいからMariちゃんにはこの曲を演奏する時に万歩計をつけてみてもらいたい。
何歩になるのか教えて!280v「ありがとう!クレッシェンド楽しんでくれていますか?
ありがとうございます。
おそらく初めて我々を観るという方もいらっしゃると思います。
そんな初めての皆さんに『コレから演る曲で一緒に歌ってください』とお願いするのはコクかもしれないんですが、それをやって頂くようにするのが我がCRIMZON FLAREでございます。
そんな感じで非常に暑苦しいバンドではございますが、残す2曲は皆さんと一緒に合唱したり叫んだりして楽しみたいと思います。
最後まで楽しんで頂ければうれしいです!」290続いてはCRIMSON FLAREのテーマ曲「Crimson Flare」。
コレもMariちゃんのパワフルなドラムスでスタートだ。
360v開放弦を使ったテクニカルなイントロ・リフ。310猛然とドライブするヘヴィなリズム!008a0192自分たちのテーマ・ソングとだけあってKちゃんの歌声にも力がこもる。
330v「♪Crimson flare」
この曲でも全編を通してShokoちゃんのコーラスが大活躍!
340そして曲の途中のピックアップ・ソロでメンバーが紹介される。
まずはそのしょーこちゃんから。
「オン・ベース、Shoko!」
350「オン・ドラムス、Mari!」
180「オン・ギター、Yuki」370v「オン・キーボード、Reanne!」380vReanneくんの周りに集まってCRIMZON FLAREの鉄壁のバンド・アンサンブルがウネりまくる!390「We are Crimzon Flare!」400そして景気の良い「レッツゴー!」の掛け声と共に始まった出番最後の曲は「Raising Fire」。008a0033最後を飾るにふさわしい煙の出るようなハード・ドライビング・ナンバーを一糸乱れず演奏した5人!420 430v 118a0159 008a0259  470そしてさっきKちゃんがMCで説明したようにお客さんと「Fire!」の大合唱!460まさに「真っ赤にゆらめく炎」を思わせる熱気あふれるパフォーマンスだった!
 
Crimzon Flareの詳しい情報はコチラ⇒Official X480この日の屋台村のようす。
CRIMZON FLAREのアルバムとともにYukiくんのソロ・アルバムを取り扱っていた。20一方コチラは何ともゴージャスなARESZの屋台村。
スゲエ品揃え!Img_4035開場前にこれだけの量の商品をキレイに並べるのはさぞかし手がかかると思ったけど、聞けばCRESCENDOをホームにしているARESZ、3日連続で出演していてこの日が最終日だった。
つまり3日間、ズッとこの状態だったんだって!Img_4036そのARESZ、久しぶりにMarshall Blogにご登場頂いた。490瑠海狐500v那都己510v翔己520v雅己530v鉄平540v以前と変わらない顔ぶれで、以前と全く変わらない相変わらずのARESZミュージックを爆発させた!550「PONさん、還暦おめでとうございます!…60歳。
でもまだスタートラインじゃないですね。
私の持論では男性は80歳、女性は88歳からがスタートラインだと思っています。
それまでは修行です。
でも人生は『食べ放題、飲み放題』やと思ってるんで、好きなモノを飲み食いして、好きな音楽を聴いて、好きな所に行って…人生を謳歌できるかどうかは自分の責任やと思います。
それを地でいってるPONさん!…マジでリスペクトします!
スゴイよね、『60歳』っていう感覚がないもんね。
大先輩がこうやって走ってくださっている限り、我々もガンバらなければいけないと思います。
そんな今日のイベントで言うところの『ヒヨッコ』、31周年を迎えますARESZであります!
気づいたら31年経っています。
ま~、売れたこともメジャーデビューしたこともないけども、そんなことはどうでもええねん!
とにかく1日でも長く自分の演りたい音楽をやっていく…それがARESZのテーマになっています。
よろしくお願いします!」
560_mcそうだ、忘れていた。
瑠海狐さんはおしゃべりの達人だったんだ。
Marshall Blogではなるべくショウの内容をそのまま伝えようとMCの文字起こしをしているんだけど、実はこのMCのパートには結構手を入れているのね。
もちろんそれは皆さんの話がマズイからではなくて、話し言葉と書き言葉には大きな隔たりがあって、しゃべったことをそのまま文字にしても意味が通じなかったり、読み解くのに苦労したりすることが多いのが普通なの。
その点、瑠海狐さんのおしゃべりは手を入れるところがない…と言っていい。
英語では「シンタックス(syntax)」、日本語で「統語論」という、意味が通じるように単語を並べて文を構成する能力にズバ抜けているのね。
上のPONさんに贈る言葉も実際にしゃべったことをほぼそのまま文字にしただけなのです。
「ア~」だの「ウ~」だのは一切ないし、そもそも全く噛むことがない。
関西弁でしゃべる発音も実にクリアだ。
前から思っていたが、MCの技術に関しては瑠海狐さんは間違いなくトップクラスであろう。
「軍神党」とかいって国政選挙に立候補して街角で演説すればきっと当選するよ。565ココでPONさんの還暦祝いということでFEEL SO BADの曲を取り上げた。
大好きなFOB…瑠海狐さんとしてはナニを演るのか迷いに迷ったそうだが、とりあえず大好きな曲ベスト3に絞り、さらにその中から選曲したそうだ。
その結果、瑠海狐さんが選んだ曲とは…「ハマッテしまった」。
「だりあさん、配信ご覧になってますか~!」566…と思ったらFELL SO BADのドラムスの人が登場!
本物です。5702人で仲良く「ハマッテシマッタ」を激唱!580PONさんもとても楽しそうだった!590この後も結成31年の熟成ARESZサウンドを満員の客席に向かって撃ち放った!

ARESZの詳しい情報はコチラ⇒official web site of ARESZ610<中編>につづく
 

200(一部敬称略 2025年8月11日 吉祥寺CRESCENDOにて撮影)

2025年9月12日 (金)

amber lumber~森永JUDYアキラ今年も誕生50周年! vol.5?!<後編>

 
<前編>でも触れた通り、今回のアキラさんの誕生記念ライブはamber lumberの新しいアルバムの発売を記念する機会でもあった。05v下がそのニュー・アルバム『スターズ』。
まずはジャケットを見てみると…今回も意匠はタロット・カードから。
私はタロット・カードに関する知識を全く持ち合わせていないので調べてみると…「星」は17番目のカードで正位置の意味は「希望、ひらめき、心願成就」。
逆位置の意味は「失望、絶望、放棄」などを意味するそうだ。
元のデザインは真っ裸のお姉さんが甕の水を泉に流し出していて、その背後に大小の星が浮かんでいる…みたいな。
征史さんの絵筆にかかると当然お姉さんはネコ大仏に置き換えられる。
カワイイね。
それと、フォント。
今までのアルバムの表のパネルに使われている文字はタイトルもチーム名もすべてアルファベットだったけど今回はカタカナ。 440cdその代わり裏パネルに掲載されている収録曲のタイトルがすべて英語に訳されてアルファベット表記になっている。
コレが存外にオモシロい。
例えば「冗談はない」は「Cut It Out」。
「Cut it out」はグダグダと同じことを繰り返す相手に向かって「いい加減にもうヤメれ!」と注意する表現。
発音は「カリラッ!」だ。。
また「Eしか弾けない」なんて「E」だけ。
こういうのはカッコいいね。
これらの所業はまるで黒澤明の『天国と地獄』が『High and Low』、溝口健二の『西鶴一代女』が『The Life of Oharu』と英訳されたような感覚だ。
肝心の内容は…間宮アレンジ、スゴイよ。
「『編曲』という仕事はこうやってこうやるもんだ!」ということを上手に教えてくれている感じ。
元の曲を知っているだけに実に興味深い。
特にリハーモニゼーション。
「ウワッ!そう来たか!」みないに聴いていてゾクっと来る瞬間多数。
そんなゴキゲンな1枚の発売記念の場ともなった「神田SHOJIMARU」の現場へ移動しましょう!100「それでは第2部の始まり、始まり~。
ありがとうございます。
演りたい曲が多すぎて、みんなブッ込んで駆け足で演っています。
本日は滋賀からお越しの方がいらっしゃいます。
滋賀のことは皆さんよく知らないと思いますが、『琵琶湖』という湖があります…知ってるわ!
琵琶湖に行った時に、琵琶湖のおかげで出来た歌を演ります」10アキラさんがギターのボディの側面を叩きながら弾き語る「毒を吐く」。20v_dohそのボディを叩いた音まで忠実に出してくるのがMarshallのアコースティック楽器用100Wアンプの「AS100D」。
今はもう生産していないのが残念だが、50Wのモデル「AS50D」がその代役を務めている。30_2時折早口で吐き出されるアキラさんの毒。
このピリピリとした雰囲気がいいね。
40v「毒をもって毒を制す」のが征史さんのベース。
そんなことはないか…曲のイメージを膨らませる実に的確なプレイだ。50vそして「♪歌え、歌え」、「♪踊れ、踊れ」でリスナーを感動の海に突き落とす。
ん?「毒を吐く」……「独白」。
コレは「アキラさんの独り言」というシチュエーションになっているのか?…なんて今頃思いついたりして。60_2続けて久しぶりに取り上げたという「ホントはね、」。
タイトルが読点で終わる曲は珍しい。
60_htn夜の空気が伝わってくるようなワルツ。
元はアキラさんのソロ・アルバム『Arms』に収録していて、amber lumberでは『Hermits』にこの曲を収めた。
サックスやフリューゲルホーンを従えてアキラさんの若い声で歌うソロ・アルバム・バージョンも、また間宮さんのツボを得たバンド・アレンジの『Hermits』のバージョンも双方聴き応えタップリの1曲。
70そしてこの2人のライブ・バーションはナンカ「大人のamber lumber」みたいな感じでこれもまたすこぶるよろしいな。80v「こんな私の歌を今日も聴いてくれてありがとう~」と殊勝な言葉を客席に向かって投げかけてつないだ曲は…90vニュー・アルバムで取り上げた「Herat to Heart」。
この辺りはアキラさんの歌声をしみじみと味わうゾーン。100_hthノドの奥からやさしく押し出されて来たような「♪Heart to heart」のメロディにグっとくる。
征史さんのコーラスは飛び切りやさしい。120_2「『Heart to heart』ってワンマンの時にしか歌えないような気がするんだよね。
でもサ、犬とか猫の魂ってどうなんだろうね?あるのかな?」
130v_2「あるでしょう。猫があのキュウリの馬に乗って、ナスの牛で帰っていく。
ところで今度の野音のために猫大仏を2,000枚書いたんですよ!
amber lumberの初めての野音ですからね」
140v「『初めて』ということで言うと、だいたい1番最初に行った時が大変だったところは、後にホームになっているお店がワリと多いよね。
それの一番は苫小牧。
苫小牧は私たちのホームというかナンというか…もうホント1回旅行で来てほしい。
もう全員アホだから!
初めて行った時、メッチャ嵐だったんだよね。こんなんでお客さんが来るのかな?って感じだった。
そしたらありがたいことに『ウオン、ウオン』いいながらドンドン集まって来た。
事前にお店でCDをかけてくれていたのでみんな曲を知っていて初めて行った時から大合唱!
ところでそのマントっぽいのナンなの?」008a0319_2 スナフキンみたいな征史さんのお召し物のこと。
「森永さんは肩が出てるし…」160「コレは痩せ見えだから。
ワザワザ開けてもらったんだよ。
そういう目で見ないで!
お願いしますから私を女として見ないでください。
私はワリと若い時から男は好きだったんだよ。
だけど、こんなに興味のない人とズ~っと一緒にいるっていうのはホントおもしろいね」170 何気なくスゴイことを口にした後はカワイらしい曲、「最後のひとつ」。180v_sh ナニを言われても気にしない、気にしない!
音楽第一の征史さんのソロやバッキングがやさしく、そして温かく鳴り響く。190_2落語の「三題噺」のようにファンからお題を募って歌詞を書いた1曲。
それがこうして見事にamber lumber色に仕上がっているのはサスガ。
「♪伸びすぎた髪の毛気にしていること」がグっと来る。
こちとら伸ばす髪の毛ももうありゃしないけどよ!200_2ココでさっき征史さんが「2,000枚のネコ大仏を描いた」と言っていたSHOJIMARUの10周年を記念して去る8月24日に日比谷野音で開催されたコンサートの予告。440 「今から歌う曲はメッチャ久しぶりに急に演りたくなったんだけど、その理由がわかった。
今日、昔バンドを一緒に演っていた人とか、その頃のお客さんがお見えになっているんですよ」210v_2その「急に演りたくなった曲」とは『Hermits』収録の「ボクの場所」。230客席から「いい曲」という声が上がっていた。
240_bnbこうして改めて聴いてみると…ウン、とてもいい曲だと思う。
1曲の中に筋がしっかりと組まれたドラマが仕組まれてる。
270v征史さんはとびっきりのベース・ラインとソロで曲を深く、分厚く演出した。260v_2アキラさんの昔の仲間の皆さんも存分にこの「amber lumerの世界」を堪能して頂けたのではなかろうか。250v 「今日はMarshallを使えることが決まっていたので弦を張り替えたの。
そしたら今の曲を演りたくなって今日、山本さんに伝えたら『エッ?』ってなった。
それでも演ってみると『あ、そう言えば!』みたいに思うところもあったの」280v「リハーサルでも全然できんかった。
ちょっと上でおさらいをしてきました。
それで今弾いていて『山場を越えた』と思って時計を見てハッとなったんですよ。
今日、夜もあることを思い出した…全然、山場超えてへんやんか!」
征史さんはこの日の夜、高崎晃さんのバンドの本番が控えていた。
そのため今年のこのライブがマチネーになったというワケ。
だから征史さんはこの日、昼は「アキラ」、夜も「晃」の「Akiraダブル・ヘッダー」だった。
こんなことって珍しいんじゃない?220v続いて演奏したのは今のところ最新の曲「宇宙のあかりへ〜祝福の歌〜」。
子供の誕生を喜ぶゆったりとしたワルツ。280v_uaメロディアスにまとめた征史さんのソロは曲にベスト・マッチ!
290_2この曲は色々なところで歌って段々と育って来たという。
それこそアキラさんのカワイイ子供ですな?
タイトルが二転三転してきたというが、最終的に「宇宙のあかりへ〜祝福の歌〜」に決めたそうだ。
最後におジイちゃんが出て来るところがタマらん!300v_2今日はアキラさんの誕生日記念なのだから「アキラさんの声と歌をしみじみと味わう会」ということでいいでしょう。
だから「半分の月」。320v_htamber lumberの「月ソング」の代表格。
アキラさんが切々となぞるメロディはいつ聴いても感動的だ。350_2この曲のもう半分の月は征史さんのベース・ソロだ。
次から次へと魅惑のフレーズを繰り出して曲をロマンティックに演出する。340v「半分」でチョットだけ脱線させてもらうと…
「もう半分」という一種の怪談噺がありましたな。
五代目古今亭今輔のオハコ。
太平洋戦争の末期、志ん生と圓生が満洲へ慰問に行った。
満洲側で2人を受け入れた現地スタッフは森繁久彌だったという。
この慰安の仕事は本当は圓生ではなくて、そもそも今輔が行くことになっていたという。
志ん生と圓生は終戦を迎えても日本に帰って来ることができず、2年後に引き揚げて来た。
その2年を題材にして井上ひさしが『円生と志ん生』というお芝居を作った。
私は芝居は観ないので、その台本を読んでみた。
「孝蔵(美濃部孝蔵=志ん生)」と「松尾(山崎松尾=圓生)」という本名で2人を登場させたところが井上先生流。
前半はあんまりピンと来なかったが、後半に入ると俄然オモシロくなる1本だった。008a0001 「お~、終わっちゃう、終わっちゃう、終わっちゃう!
夜の部がなければ、ズ~っと演りたいところではございますが…今日、気がついた?
山本さんの歌ないから。
コレ、1回やってみたかったの。
それで今日覚えて欲しいのは、自分の誕生日が来たら皆さんに2つやってもらいたいコトがあります。
1つは親に感謝。
そして、もう1つは免許の有効期限の確認!
私は8月に生まれなんだけど、8月生まれの人いる?ウソ、いないの?」
350v「amber lumberは自前でファンクラブをやっているんですが、会員にお誕生日の人がいるとささやかなプレゼントを送っているのね・
でも8月生まれは1人しかいないの。
あと5月生まれも1人しかいない…反対に2、3,4、6、12月はメッチャ多いの。
それも宇宙だよね。
夏の空には天の川があって、そこに地球から1番近いブラックホールがあるらしんだ。
ハッブルなんとか群?天体ナントカと言ってた。
でお盆はホントは8月の13日とかじゃないんだよ。
『8月の満月の日』がお盆です。
つまり昨日、8月9日が今年のお盆だったんですね。
コレが最後のMCでいいのか?」370vアキラさんはどこで仕入れて来るのか、時折含蓄に富んだ話を持ち出して来て感心してしまう。
ウチでいまだに話題に上がるのが「一番若い人がその家の祖先の集大成だ」というご箴言。
コレって本当にそういうことなんだよネェ。
この話を耳にしてからというもの、1歳半になる孫娘が「ジイジ~」と寄って来るたびに「コレがウチの集大成なのか~」と感じ入ってしまう次第。
まぁ、なんてカワイイ集大成でしょう!380_2いよいよ今回の集大成…イヤ、本編最後の曲。
いつも通り「ここにある宇宙」で締めくくった。390v_kku曲の後半、アキラさんがギターをかき鳴らして…400征史さんの宇宙が広がる。
Marshallを最大限に活かしたベースのビッグバンだ!410v_2足を270度開いてペダルを操り…420楽器を揺さぶって本編の幕を下ろした。430v_2征史さんのMarshallは今日はすべてギター用のモデル。
ヘッドは下段の「JCM800 2203」、スピーカー・キャビネットは向かって左の1x12”「1912」を2台使用した。
ホントにいい音だったわ~。460_2さて、アンコール。
いよいよ征史さんが歌う番が到来。
「違うんですよ…森永さんがドラムスを叩きたいだけなんですよ」なんて言っていたけど、演る曲はもうわかっていて、みんながそれを聴きたがっているのだからいいの、いいの!470_bloodその曲とはもちろん「I wanna be your blood」。
490_2アキラさんのドラムスとコーラスがヘヴィに響いて…480v_2征史さんが徹底的にシャウトする。470v最後のジャンプもキレイにキマった!500v「サンキュー、赤血球!」510「じゃあ最後の1曲…歌わせてもらおうと思います」
…とその前に「JUDY OSBOURNE」Tシャツの話になった。
タイミングよくオジ―がバーミンガムでコンサートを開催し、すごいタイミングでTシャツを作ったところ、その後すぐに亡くなってしまった。
「だからオジー追悼でもあります。
でもなんかこういうタイミングでTシャツを作るっていうことは、やっぱりつながってんナァと思います。
それで今日は天国のオジーに捧げて歌ってみようかな。
なんつって、スミマセンでした!」
520vこのTシャツね。
イラストは征史さん。70vこの日の最後、アキラさんがギターを降ろしてハンドマイクで歌ったのは…「青い月夜」。530_2征史さんをベースを降ろしてコーラスを添える。560いつものショウで取り上げられるamber lumberスタンダードの1曲だが、このスタイルでの演奏を耳にしたのはコレが初めて。570v_2ジックリと歌に入り込んで熱唱を聴かせてくれたアキラさんに大きな喝采が送られた。590すると…ケーキ登場!600♪ハッピバースデイをみんなで歌って…
610v_2「フゥ~」620_2「毎年ホントに私の50歳のライブに来て頂いてどうもありがとう!
本当に世界が平和になることをお祈りしています…私、ちょっと偉そうだけど。
ありがとうございました!
残れる方は『あじろ』でケーキを食べて帰ってください。
今日はホントにホントにホントにありがとうございました!」
アキラさんの5回目の「50歳の誕生日コンサート」が無事に終了。
そして征史さんはこの後、ヘビメタの舞台で暴れ狂ったに違いない。
アキラさん、5回目の50歳のお誕生日おめでとうございます。
 
amber lumberの詳しい情報はコチラ⇒amber lumber Official Web Site
630<おしまい>
 200(一部敬称略 2025年8月10日 神田SHOJIMARUにて撮影)

2025年9月10日 (水)

amber lumber~森永JUDYアキラ今年も誕生50周年! vol.5?!<前編>

今回で5回目となるアキラさんの生誕50年をお祝いするライブは珍しくマチネーとなった。
12:30開宴のランチタイム・ショウだ。
10vいつものソワレと大きく時間帯が異なるため、いつも停めている駐車場に空きがなく、少しでも割安なパーキングを求めて神田美土代町の方まで足を延ばすことになった。
この辺りの地名にはみんなアタマに「神田」って付いていますからね。
コレは神田の人々の誇りだから省略してはいけません。
誇り高いのは地名だけではなくて、神田のエリアは駐車料金がベラボーに高い!
運よくそれなりの駐車場を見つけ、歩いて神田淡路町に戻る途中、神田司町でこんな石碑が目に入った。
やっぱりメンドくせ~な「神田~町」は!もうヤメる。
コレは「斎藤月岑(げっしん)」の居宅がココにあったことを示す碑だった。
こういう住居跡を示す碑に出くわした時にいつも思うのだが、果たしてその住居は石碑の向こうにあったのか?、はたまた手前にあったのか?…ということ。
石碑の向こうは道路でしょ?
でも手前ならば石碑を裏返しにして今の歩道の反対側に建てるべきではないか?
20vその点ロンドンなんかが実にわかりやすい。
100年や200年前の建物が平気で残っているのでこうしたプラークをポコっと取り付けるだけでOK。
下の場合は「かつてココにあった建物にアマデウスが住んでいたよ」ということで、実際の建物ではないが、それでも道路の拡幅で建物が消滅してしまうなどということはまずない。
私は「インバウンド」だとか騒いでいるなら長崎市を見習って東京もコレを見習うべきだと真剣に思っている。
残念ながら東京は関東大震災と東京大空襲とオリンピックで昔の街並みが壊滅してしまったのでやりにくいのはわかるが、何がしかの形で行政が歴史を可視化してもっと観光のネタを作るべきだ。
外国人は知ったかぶり屋さんが多いから、史跡を説明する英語の案内板が立っていればみんな見ていくよ。
それでその隣に抹茶の店でも作れば繁盛すらぁ。
長崎市なんかはそうした歴史をアッピールする事業にものすごく熱心で、街中が博物館みたいなものだ。
だから街を歩いていてオモシロくてしょうがない。
多分、長崎市の「面積あたりの見どころ率」はニューヨークやロンドンを凌駕するのではなかろうか?Img_0102 話しを戻して…この吉原に近い「樋口一葉」の旧居跡もそう。
でもコレには正確な位置を知らせる説明が施してある。
それには「この碑の位置は、一葉宅の左隣り酒屋の跡にて、一葉と同番地の西端に近く碑より東方6メートルが旧居に当たる」とある。
「悪文」と言ってよいのではなかろうか?
コレを読んで一葉の旧居がどこにあったかをにわかに特定できる人が果たしているのか?
『樋口一葉に聞く(文芸春秋社発売)』という一葉の評伝を著している井上先生なら間違いなく私に賛同してくれるであろう。
それで色々な石碑を目にして考えた挙句、この手の「住居跡」とか「生誕の地」という碑は背面が道路であろうと海や川であろうと、はたまた山や林であろうと、基本的に碑の後ろ側を指している…と考えることにした。
上の「斎藤月岑」の碑を例に引けば、そもそもどこも昔は今ほど道幅が広くなかったハズで、かつて月岑の住居があったところも「外堀通り」ではなく宅地だったと思うからなのです。Img_2552ところで、「斎藤月岑」というのは誰じゃろかいな?ということになると思うんだけど、月岑のおジイちゃんが書き始めた「江戸名所図会」という今でいう「東京のガイドブック」を完成させた人。
例えば下はその「日本橋」のページ。
スゲエ人の数!
挿絵は「長谷川雪旦(せったん)」という人。
斎藤チームは解説文の方ね。30コレはお茶の水。
当たり前のことだけど、昔からこんな風になっていたのね?
神田川をこんな船が上り下りしていたなんで風流だネェ~。
ところでこのガイドブックのタイトルの「図会」は「ずかい」ではなく「ずえ」と読む。
元々は「ずかい」と読んでいたらしいが、どこかで「ずえ」になってしまったらしい。
40この江戸名所図会をガイドした「杉本苑子」の本を読んでみた。
杉本さんは女流歴史作家の大御所「永井路子」先生が「歴史的な事実しか書かない」と太鼓判を押す歴史作家。
杉本さんの著書では「図会」の挿絵を細かく分析し、現在との差…と言ってももう50年前に上梓された本なのだが…を解説するという内容。
かつて「玉川上水」を造った「玉川庄衛門」と「清右衛門」兄弟を描いた杉本さんの著書を読んだことがあった。
文庫で600ページに及ぶ大著。
これがですね~、驚くことに400ぺージを越えても工事が始まらない。
「このままだと玉川上水は完成しないぞ~」と心配しながら読み進めると、最後の100ページぐらいでチャチャチャと造り上げちゃう。
こっちは難工事の苦闘がこと細かく描かれているとばかり思っていたので、キツネにつままれたようだった。
「あとがき」を読むと、玉川兄弟に関する資料がほとんど現存していないため、工事について詳しく書くことがないらしいのだ。
そのためそうしたアクロバチックな話の展開になってしまったのだそうだ。
やっぱり「事実しか書かない作家」なのね?
今度は川上音二郎の奥さんの「マダム貞奴」の本を読んでみようかと思っている。50「図会」の他にもうひとつ、江戸の町を描いた書物に「江戸切絵図」という地図集があった。
下はそれこそ神田SHOJIMARU近辺の地図。
あ、コレはいつか紹介したことがあったね?
「池波正太郎」のエッセイにあったのだが、江戸についての小説を書く時、歴史小説家たちは漏れなく「江戸名所図会」と「江戸切絵図」を参考にするそうだ。
一時期、池波先生は外出する時に「江戸切絵図」を肌身離さず持って歩いたのだとか。Kirieところで、月岑を含む斎藤家三代の墓は東上野の「法善寺」というところにある。
法善寺はウチの上の子の中学校の先輩の家で、数年前に山門不幸(住職が亡くなること)あったため、そのセガレである友人が現在住職を務めている。
1663年に開山した古刹ですからね、スゴイもんです。

Img_4166ココからはamber lumberのホーム「神田SHOJIMARU」。
今回の屋台村のようす。60やっぱり目につくのはこの「JUDY OSBOURNE」のTシャツ。
アレ?ココには「55th Birthday」って入れたんだ?
70v今回のおさとし。
「人たらし」なんて言葉は最近全く聞かなくなったね。
人たらしでありたいものです。80今回は「ランチタイムのショウ」ということでカレーライスが振る舞われた。
アキラさんの特製だよ!
客席のアチコチで「おいしい!」、「ウマい!」の声が上がっていた。90そして、今回はニュー・アルバム『スターズ』の発売記念も兼ねた。100そういえば昔「Starz」というアメリカのバンドがあった。
ジャック・ダグラスがプロデュースしていることから「エアロスミスの弟分」を標榜し、鳴り物入りでデビューした。
セカンド・アルバムに収録されていた「Cherry Baby(1977年)」という曲のシングルをオレンジ色の盤面に惹かれて買ってみたけど、その後はどうなったんだろう?110定刻にステージに上がったamber lumerの2人。
「まだ早いか?…昔は相撲も時間いっぱいになる前に立っちゃうことがあったんだってね。
普通は『待ったなし!』って言ってからだからサ」
120「うれしい!昼間なのにこんなにたくさんお越し頂いてありがとうございます!
『カレーの予約して』って言ったじゃん?…仕込みの加減があったんだよ。
今日は余裕で余って、後でみんなに配ろうと思っていたぐらいなんだけどもうないって!
皆さんに食べて頂いてうれしいです。
ありがとうございます。
今日は新衣装を着て、歌いたい歌ばかりを演ります。
山本さん、チョット旅人っぽくない?」130v今年は去年の新曲を改作して「うっかり」という仮題がつけられた1曲(ややこしいな)。
「♪ウッカリ、ウッカリ」とホンワカ繰り返すパートが何ともカワイイ。
140_ukri森永JUDYアキラ150v山本征史160vもちろんこの「ウッカリ」は免許の更新時期にご注意という意味も含まれている。
アキラさん、めでたく2回目の初心者マークを卒業したそうです!
曲の中でアキラさんは「昔より時間が経つのが早い」と歌っているが、子供の時に感じた時間の経過の速度は齢を重ねると3倍の速度になるそうです。
「歳をとるとトキメキがなくなるから時間が早く感じるようになる」とNHKの番組でやっていたが、コレは理解できん。
何かにトキメキを感じることが少なくなったのは事実だけどね。
そんなことより短くなって来た残りの人生を案ずることの方がよっぽど重要なのだ。170そのまま続けておなじみ「ランデヴー」。
10/8拍子のリズムを超自然に歌いこなすアキラさん。
180v_rdv征史さんが抜き足差し足でアキラさんに忍び寄っていく。
もちろんアキラさんはそれに気づいている。180そしてバァ~。
でも歌に集中してシカトを決め込むアキラさん。
このコントラストがステキ。
190アキラさんが小気味よいファンク・ストラミングを聴かせてくれるのは「ドウシテコンナニコワインダロウ」。200_dkkdそのアキラさんをやはりファンキーに盛り立てるベースライン。
220v「♪そのプライド、プライド、プライド」
曲がグングン盛り上がったところで…
210v征史さんのソロが炸裂!
ココまで3曲続けてツカミはバッチリ!
今日もamber lumberは絶好調。
230v「なんかそっちはエライことになってるね…どういうことだ、コレは?」250v「いつも自分のMarshallを車に積んでいて、ココでのワンマンの時に使っているんですけど、今回は新幹線で来たので『ベース・アンプがないナァ…、ベース・アンプがないナァ…』と3回ぐらいMarshallのシゲさんに話したんですよ」
260v「そうしたら『こういうのありますよ』、『こういうのもありますよ』、『こういうのはどうですか?』って提案してくれたヤツ全部が来ちゃった!」
270「リハーサルで全部試した結果、この100Wのヘッドとこの12インチのスピーカーがひとつ入っているキャビネットを2つ鳴らしています。
コレが超優秀なんですよ!
ギター用のキャビネットなんですが、セレッションの『B150』というベース用のスピーカーが入っているんですね。
かつてRCサクセションでもギターを弾いていた故小川銀次さんが生前『世界で一番低音が出る1x12"キャビネット』とおっしゃっていたそうです」
310実は征史さんはそんな「アンプを持って来て欲しい」のようなオネダリは一切されなかった。
ただ「新幹線で行くからMarshallを持っていくことができません」と申し訳なさそうにおっしゃっただけ。
ヨッシャ!それじゃギター・アンプでよければ…と私の方から水を向けたのだ。
すると征史さんは猛烈に喜んでくれるじゃないの!
こっちもキライじゃないのでアレコレと提案させてもらった…と、こういう話。
しかし「瓢箪から駒」、試してみるとホントにいい音が出てきてビックリしてしまったのです。280初めは上段のビンテージの50Wのヘッド「1987X」を試したが、少々音が小さかった。
そこで下の「JCM800 2203」で鳴らしてみると、さすが100W!、シッカリとした音が飛び出して来て超バッチリ。290スピーカー・キャビネットも初めは2x12"の「1936」に「2203」をつないでみた。
コレもバッチリだった。
「でもせっかく持ってきたんだから」と、下の1x12"の「1912」を2台鳴らしてみると…ナンじゃ、コリャ~!
「1936」とはゼンゼン違う引き締まったサウンドで、ナンというか、私には征史さんのアコースティック・ベースの「アコースティックな要素」がすごく強調されているように聞こえた。
昔、ウェザー・リポートにジャコ・パストリアスが加入する時、ジャコがプレイする音源を耳にしたジョー・ザヴィヌルが「とてもいいね。でもキミはエレクトリック・ベースも弾けるのかい?」と訊いたという。
ザヴィヌルはジャコが弾いたエレクトリック・ベースの音を完全にアップライト・ベースの音だと思い込んでしまったというワケ。
この話を思い出してしまった。300v「私もまたMarshallを使っています!」
320アキラさんのMarshallはいつものヤツ。
アコースティック楽器用のアンプ「AS100D」。
我ながら安定の最高のアコギ・サウンド。
330アキラさんの衣装…肩が出ていることを征史さんに指摘されて…
「コレね、そろそろチョット色気を出してみようかなと思ったワケですよ。
ナイショだけど『痩せ見え効果』っていうヤツ…痩せて見える効果があるんだよ」340v「今、世の中はお盆休みらしいじゃん?
病院なんて18日くらいまでどこも開いていないの。病院ってサボり過ぎじゃね?
イッパイお金をもらってる人はもっと働けっちゅうんだよ。
参議院選挙もあったじゃん?
みんなとにかく経済、経済…そしてみんな貧乏だ、貧困だって言ってるのを聞いてると、なんか心が貧しくなってくるね。
それでその『貧困の定義』っていうのが『1ヶ月10万円以下で生活してる人』って言っていて…ガ~ン!
私は貧困だ! 」
008a0105実家にお住いの2人の食費事情で話が盛り上がる。
結論…やっぱり親ってありがたい。
350「こういうの『子供部屋オジさん』とか『子供部屋オバさん』っていうんだよ。
それではお盆にピッタリの曲を…さっきも演りましたけど人生は思っているより短い。
まだ私は30歳くらいの気分でいるけど、もう50歳とか意味わかんネェし…と思っている。
ということは、50歳の気分でいたら70歳、80歳になるワケでしょ?
意外とすぐだと思うよ。みんな、やりたいことやっておこうね!」360v「貧乏も大丈夫だよ」とギターをつま弾きながらお客さんに語り掛けて始まった曲は「ウートートゥ」。370v_utt「お盆」を念頭に置いてこの曲を聴くと…沁みるナァ。380「♪あなたは海 わたしは舟」
アキラさんの声でジックリと歌い上げられて感動を覚えない聞き手はいないだろう。390続けて「呼吸とテレパシー」。
アキラさんの力強いストラミングに…118a0039征史さんのワイルドなベースがカラんでくるイントロ。118a0122 amber lumberのレパートリーの中で1、2を争うハード・ドライビング・チューン!118a0024もちろんそんな曲では征史さんのベースが大暴れするのは必定だ。420v「♪ア、ウン」のパートを経て間違いなくテレパシーは届けられた。400_kt「お昼間ですが2部構成でお届けします。
飲んでる?
ウチの弟の嫁さんが今年居酒屋を始めたんですよ。
それが昼の1時オープン、夕方の6時閉店。
ランチもコーヒーもなくて、本当にただの居酒屋なの。
それがサ、以外と流行ってんのよ!
昼間から飲みたい人って結構いるもんなんだね。
お年寄りが集まってるの。
群馬県桐生市本町っていうところにあります」
いいね~、そんな居酒屋、健康的で!
「桐生」といえば、今年の猛暑のニュースで最も数多く名前を耳にしたところ。
アキラさんに様子を訊いてみると、「ホントに暑いッ!」って。008a0223 「先に誕生日プレゼント渡しておくか。
1個ずつ欲しい?それともいっぺんに?
じゃ、小出しで…」008a0315「ニーナ・シモンのCD。いいでしょ?
中古で買ってんけど、チャンと缶に入ってんのよ。
車ン中がすごい乱雑でCDがかわいそうなことになってるから、缶に入っていたら大丈夫かな?と。
ツアー行くとき一緒に聴きましょう」
マーブロ読者の皆さんは「ハハン、コイツここで絶対ニーナ・シモンで脱線するな?」と思ったことでしょう…でもしない。
もちろんCDは何枚も持ってはいるけど脱線をせずに先に進める。
エリントンのヤツなんかはヨカッタけど、私の場合ブラックすぎちゃって少々ニガテなのです。
450「あとコレは『免許更新に気を付けてくださいネ』っていうジップロックの小っちゃいヤツみたいな警視庁からの注意喚起」
460そして、3番目に手渡されたプレゼントの包みを豪快に開けて…
「あ!あ!あ!ああッ!コレ、欲しかったヤツだぁ~!」
470征史さんからの最後のプレゼントはカラフルなカズーだった。
「アナタ、すぐ失くすでしょ?
amber lumberで使う時も『今日、持って来ていない』とかサ。
首からブラ下げるヒモも付いてるからコレで大丈夫。
気に入ってもらえたようで良かったです」118a0319本当にうれしそうなアキラさん。
さっそく「ズ~ズ、ズズズズ~ズズズズ!(どうもありがとうございます!)」
一旦カズーを口にしたら征史さんへの返答は全部カズー経由となった。480v「曲、ガンバります。
わかった人がいたかどうか知りませんが、第1部は一番新しいアルバムの曲を演っています」490ということで次も新しいアルバムからのチョイスで「Eしか弾けない」。550v_eamber lumberの昔からのファンは誰しもこの曲を一番最初に耳にしたハズ。
私も初めて聴いてビビビと来たものだった。
このチームの礎石のような1曲…だから新しいアルバムでも取り上げられた。570vそんな曲だから2人の演奏にも力がこもる!575vハイ、皆さんご一緒に!
「♪Eっていい、カッコE!」580第1部の最後には「とりあえずハッピー」を持って来た。590vアキラさんの5回目の「50歳の誕生日」とニューアルバムのリリースを記念するイベントはいつも通りハッピーに進行中!610v締めくくりはやっぱりアキラさんの~……「ヨイショ~!」
コレができるように新しい衣装はスカートの裾が広がるようにしてもらったそうです。
相撲への愛情はヘタな新米力士よりよっぽど濃いのだ!
 
amber lumberの詳しい情報はコチラ⇒amber lumber Official Web Site
620<つづく>
 200(一部敬称略 2025年8月10日 神田SHOJIMARUにて撮影)

2025年9月 8日 (月)

真夏のJAZZ葉山2025~杉本篤彦バンド&いわし

 
今年も楽しみにしていた葉山に行って来た。
何しろウチの夏のお出かけは2014年以来ずっと葉山だけ。
海を目にするのも1年を通じてほぼこの時だけだ。
コロナで開催されなかった2020年と2021年を除き毎年『真夏のJAZZ葉山』のお手伝いをさせてもらってきた。
そして今回の往訪でとうとう10回目を迎えた。10高速道路の渋滞がコワいので、いつも朝6時には東京の家を出るようにしているのだが、何もなければ(今まで何かあったことは一度もないのだが…)7時過ぎには葉山に到着してしまう。
まさか朝の7時から機材を入れることは出来ないので、しばらく時間をつぶす必要が出て来る。
そこで毎回寄っているのがココ。20葉山の朝市。
もう何度もココで紹介しているが、どうも正式な名称を「葉山マーケット日曜朝市」というようだ。
10も回来ていて初めて知った。30露店の数は10もあろうか?
小規模ながらの市なれど、毎年訪れているとココでしか販売していないモノに愛着が湧いて来て、いつの間にかそれが我が家の夏の風物詩になった。
ここ数年はナントいってもスイカ。
この朝市で買ったことはないのだが、聞くと三浦地方ではスイカの生産に力を注いでいて、レベルの高い商品を送り出しているのだそうだ。
それは誇張でも何でもなく、ま~、甘くてみずみずしくて文句のつけようがない。
私は生来スイカが大好きなのだ。
で、今回「黄金ナントカ」という銘柄のスイカを買ってみたのだが、切ってビックリ!
「黄金」というぐらいで、それは黄色いヤツだった。
充分おいしく頂いたが、私は赤い方がいいな~。40それでも時間が余るので、いつの頃からか葉山エリアの名所旧跡を事前に調査しては訪ね歩くことにした。
それで一番収穫が大きかったのは何と言ってもこの高級料亭「日影茶屋」。
もちろん食事をしたりお茶を飲んだりするワケではござらんよ。
そんな経済的な余裕は全くありません。
ココで大正5年に起きたいわゆる「日影茶屋事件」に大きな興味を持ったのだ。30この事件については「私の葉山」と「私の葉山2」の2本に2年がかりで書いたので詳しいことは省略するが、日影茶屋のおかげで大杉栄の「自叙伝」や甘粕正彦の伝記等の周辺の本を読み、伊藤野枝のつながりから平塚らいてうの「青鞜」まで手を広げて大正5年まであった事務所の跡まで訪れた。
やっぱりこういうものは読書をすることにって知識が知識を呼び寄せ、それらの知識の島の間に橋がかかることが何よりもオモシロい。
そしてそれはインターネットでは決して味わうことのできない大きな快感と言ってよいであろう。
当然本をたくさん買うようになるが、読書は「積ん読(つんどく)」で十分。
経済的に問題がなければ、チョットでも興味を持った本は片っ端から買うべし。
読んでみて期待していた内容でなかったり、書かれている文章がソリに合わなければサッサと止めて、そういう本が溜まったらブックオフに持って行けばいい。
ツマらない本に時間をかけるのはバカバカしい。
50さて、今回の葉山行きでは下の「蘆花記念公園」というところに行こうとしていた。
京王線の「芦花公園」じゃないですよ。60_3 この「蘆花」は明治の作家で、思想家の「徳富蘇峰」の弟の「徳富蘆花」。
その蘆花を記念して造られた公園。
下はその代表作にして大ベストセラーになった『不如帰』。
今では「ほととぎす」と言われているけれど、蘆花は「ふじょき」としていたらしい。
80伊香保温泉から始まり、逗子が舞台の一部となっているこの作品を、蘆花はこの近くにあった「柳家」という貸し部屋で書いたのだそうだ。
それで文学碑がこの公園に設置されているというワケ。
他にも德川の第16代宗主「家達」の別邸などもあるというので行こうとしたが、「駐車場がない」という理由で断念したのが昨年のこと。90_2 明けて今年、今回は海辺にある近隣の駐車場に車を停めて歩いて行く決心をして臨んだ。
ところが駐車場の案内板を見てビックリ仰天!
アータ、30分で1,200円だって!
銀座の真ん中か!?
海水浴のハイシーズンだから事情はわからなくはないけど…どう考えても高すぎる。
しかし、夜はまたずいぶんと安いな…昼間の1/24か!100_2コレで蘆花記念公園には一生行かれないことがわかったところで、おなじみの「葉山福祉文化会館」へ行って…140第23回目の『真夏のJAZZ葉山』に臨んだ!
私は10回目。110v今年も司会は「晋藤はるみ」さん。
「いわしTシャツ」をお召しになってのご登場。118a0182 今回2番手で舞台に上がった「いわし」。
まずは3人でごあいさつ。
晋藤さんが「いわしのトーク・ショウ」と紹介していたが、ホント、このベテランのトリオ漫才のような板のつきようは生半可ではない。
これからこの3人がカッコいい音楽を奏でるなんて一体誰が想像できようぞ!120演奏のコーナーが始まった。
ラテン・ビートに乗せたワルツ。130新藤陽吾140v和佐田達彦150v井上尚彦160vさっそく和佐田さんのスラップ・べースが炸裂!190v2曲目はガラリとリズムが替わって楽し気なスカ・ビート。
118a0167曲は1曲目同様、進藤さん作の「Sersine Cloud」…「イワシ雲」ね。
進藤さんが奏でる愛らしいテーマ・メロディから…
118a0108美しいソロへと展開した。118a0056 そして、「1(イ)」、「0(ワ)」、「4(シ)」…「あだルと~」!
230観客を爆笑の渦に引き込みながらの新色のTシャツやCDの話題を交えたトーク。
240井上さん作の7/8拍子の曲「Odd Time Story」。250vガツンとドラム・ソロがフィーチュアされた。260「1(イ)」、「0(ワ)」、「4(シ)」…「あだルと~」
ココでは「老い」をテーマに笑いを取っておいて…
270和佐田さん作のバラード「君ヲ想フ」。280「最近会っていない人を思い出しながら聴いて頂きたい」とこの曲を紹介した和佐田さん。280vシンプルで素朴なメロディがまさにそういう雰囲気を醸し出していた。290出番の最後を飾ったのは昨年も演奏したドン・グロルニックのブルース「Nothing Personal」。
コレは本当にカッコいい曲だ。
それをいわしがカッコよく演奏して出番を締めくくった。290v 300v 310v最後はもちろん「1(イ)」、「0(ワ)」、「4(シ)」…「あだルと~」。
あ~、楽しかった!
320ココは「葉山福祉文化会館」の入り口ホール。
出演者のグッズやパンなどの軽食を販売する屋台が並んでいる。330コレが上演中に何度かやっていた「あだルと~!」の出典のサード・アルバム『あだルと』。
よく言ってタイポグラフィ、普通に見てジャケット・デザインが出来上がる前のサンプル…このジャケットはあまりにも強烈だ。
私もMarshall Blogでレコード・ジャケットについての文章をたくさん書いたけど、ココまでインパクトの強いジャケットは洋の東西を問わず存在しないではなかろうか?
あっパれ~!です。335vおなじみの「いわしTシャツ」。
お値段は3,000万円。
最近1億7,500万円でS席のチケットを買って外タレのコンサートに行った友人に聞いたのだが、会場で売っていたTシャツの値段が6,000万円だったって!
ヒエ~!
チケットもアリーナ席ではなく、1階の後ろの方だったらしい。
コレに足代を加えて、帰りにイッパイやろうものなら3億円コースだよ!
私が若い頃は外タレの武道館のコンサートは3,800万円とか、高くてもせいぜい4,500万円だった。
1970年代の後半の話ね。
チョットお小遣いを貯めれば高校生でも十分にコンサートを観にいけるいい時代だった。
Tシャツなんて一切売っていなかったし。
しかし、このTシャツのデザインは本当に秀逸だと思う…なんて思っていると。
Img_4306ロビーの壁をフト見て気が付いた。Img_4305アレ?
コレ…レリーフが「いわし」になってるじゃん!360vMCであれだけ宣伝していたからね…和佐田さん自らが屋台村に席を陣取ってTシャツの拡売業務に精を出されていた。
もちろん大繁盛!340「いわし」に続いてステージに姿を現したのは「杉本篤彦バンドfeaturingそうる透」。
1曲目は2019年にリリースした25枚目のアルバム『CLUB DAZZ』から「Winter Sky」。
『真夏のJAZZ』にメローな「冬の空」!
10_2杉本篤彦20vそうる透30vMAKO-T40v田中晋吾50v正岡淳60v今回初めての参加となる「小林憂旗」。70vソロで珍しく1曲目から過激に弦をかき鳴らした杉本さん。118a0226それはコレのせいかしらん?
この日の杉本さんのMarshall。
ヘッドはこのステージで毎回使用している「JVM」。
今回は4チャンネルの「JVM410H」。
一方、スピーカー・キャビネットは趣向を変えていつもとは異なるモデルを配置してみた。
それは両端の1x12"キャビネットの「1912」。
念のためにいつも使っているキャビネット「1936」も用意したのだが、チラリと弾き比べをしたところ、杉本さんは即座に「1912」×2を選んだ。
コレが本当にいい音だったのよ!
しかも「コレはケーブルを使いましょう!」とご自分でワイアレスのシステムを取り払ってしまった。
それで音がますます良くなってしまった!90_2JVMのクリーンチャンネルはどこまで行ってもクリーンなので安心して音量を上げることが出来る…のはいつものこと。
それを「1912」が分厚く、太く、それでいてコンパクトな音にして出してくれたのだ。
それと今更ながら感心してしまったのだが、音のヌケのよさが猛烈に良かった。
会場のどこにいても杉本さんのギターの音色をPAからではなく、スピーカー・キャビネットから出ている直接の音を味わうことができるイメージと言えばおわかり頂けるであろうか?
100_2気持ちよさそうに弦を弾くこの杉本さんの表情をご覧頂いた方が話が早いか?
要するに杉本さんの音楽にあまりにもピタリとマッチしているギターのサウンドなワケ。
歌声だけでなく、楽器も演奏する音楽にその音色がふさわしいかどうかは最重要課題のひとつですからね。
やっぱり仮面ライダーが軽自動車に乗っていたらおかしいでしょ?
008a0096_2「皆さん、今年も『真夏のJAZZ葉山』へようこそいらっしゃいました。
暑い中、どうもありがとうございます。
今日の1曲目はリクエストがありまして…真冬のクリスマス・ソングでした。
この暑い季節にチョットいいんじゃないかと…」
なるほど…だからか。
Xxx「さて、ボクが初めてCDを出してから30年が経ちました。
そして今回28枚目のアルバムを発表しました。
ステージにはレコーディングに参加してくれたメンバーもいます。
これから演奏する曲を最初に録音したのが1989年…ボクが20代だった頃に横浜で博覧会がありまして、JRのパビリオンの夜のテーマ曲の制作を依頼されて作りました」110v_2曲は今年発表したニュー・アルバムに収録されている「Night Talk」。
この曲の最初の録音はMCで触れていたように1995年に発表した杉本さんのファースト・アルバム『Club Apple』で、今回のニュー・アルバムでのレコ―ディングが3度目となったそうだ。
つまり杉本さんの思い入れがタップリと込められている曲ということだ。
120_ntMAKO-Tさんのムード満点のピアノ・ソロ。118a0438 曲のタイトルを聞いてすぐにアタマに浮かんだのはハービー・ハンコックの「Tell me a Bed Time Story」…「夜のおしゃべり」だから。
透さんの色気のあるリズムがそんな雰囲気を作り出してくれた。
160反復フレーズを多用し、得意のオクターブもふんだんに取り込んだ説得力のある杉本さんのソロ。150ココでも弦を力強くかき鳴らしたのは今日のMarshallが出す音がよっぽど気持ちよかったから?
よくわかる~!170_2コレが今年5月に発表した杉本さんの28枚目のアルバム『Regroth』。
まずはジャケットが目を惹く。
表のパネルがアメリカン・フットボール装束。裏パネルがギタリスト。
このユニフォームに身を包んだ杉本さんは18歳!
タイトルが「Rebrowth(再成長)」。
このアルバムは収録された8曲のウチ、6曲が上で触れたファースト・アルバム『Club Apple』のセルカバーなのだ。
「30年経ってこんなに成長しました!」という杉本さんの音楽の報告書?
それに新曲と既出曲のバージョン違いをひとつずつ収録した。
しかし、録音の方法は「成長」どころかデジタル・テクノロジー華やかなりし現在にあっては「後退」も著しい「つぎはぎ皆無の完全一発録り」。
やっぱり録音はそうでなきゃいけネェ。
聴いてみると、杉本ミュージック以外のナニモノでもありはしない。
どんなに成長してもの根本は全くブレていないということよ。
実は「幕末維新バンド」名義で29枚目のアルバムも今月20日の発売を待つばかり。
タイトルを見ると「佐賀の乱」にまで幅を広げた、例によっての佐幕倒幕の英雄が入り乱れてのフュージョン具合がアクロバチックだ。
この江藤新平にまつわる曲は佐賀県知事からの依頼だったそうだ。
次は「彰義隊」かな?それに「天狗党」、まだまだネタはたくさんある!
そして、30枚目…ナニを企画しているのかがとても楽しみだ。
175そのまま続けて杉本さんのア・カペラのソロ。
やさしく弦をつま弾いて奏でているのは…180v_desイーグルスの「Desperado」。
こういう無党派スタイルも杉本さんの魅力のひとつ。
ダイナミクスのコントロールが感動的!
クドいようだけど、ナニを演ってもホントにいい音だわ。
190そのまま曲は途切れることなく「Love, It's Love」へとメドレーした。200_lilこれまたいかにも杉本さんらしいホンワカ・ムードの愛らしいテーマ・メロディの1曲。
1回聴けば覚えちゃう。
歌詞を付ければその場で歌曲になってしまうようなわかりやすさ。210バック陣も杉本さんの音楽を完全に咀嚼していて…220v最良の伴奏を付けてくれる。
230v小林さんのソロ。
開演前、杉本さんは私に「デヴィッドT」の名前を挙げて小林さんのことを「ソウル・ギタリスト」という風に紹介してくれた。260vなるほど、そのハート・ウォーミングなプレイはまさに「ソウル・ギタリスト」!
1音1音に込めた気魄が伝わって来る。118a0402曲はホンワカでもソロの最後後半はハードにキメた杉本さん。
240_2その熱気のこもったプレイに客席から歓声が沸き上がった!270v時折ピックも使用していたが、基本は杉本さんおっしゃるところの「ツー・フィンガー・ストローク」。
初めて知ったのだが、この杉本さんのシグネチャー・モデルはセミアコースティックなんですってね。
今回この奏法とギターとMarshallの組み合わせが得も言われぬ最上のコンビネーションを発揮したと言えるのではなかろうか?275今回はMCが超短め。
ココでバンドのメンバーを紹介して最後の曲に取り掛かった。280_2最後に取り上げたのは『Regrowth』収録の「Hey, Don't You Cry」。290_hdc2つの音だけで構成した超シンプルなイントロ・メロディからテーマを経てソロへ。
300v_2MAKO-Tさんのソロが続いて…310v_2小林さんがバトンを受け取る。320vリズム隊もダマっちゃいない!
田中さんのシャープ極まりないスラップ・ベース。330vエキサイティングな正岡さんのパーカッション・プレイ!340_2そして透さんがフィーチュアされる!
360v_2いかにも透さんらしいシンバルとタムタムの全てを打ち鳴らすダイナミックなソロ!
350_2再び杉本さんにソロのバトンが回って来ると…118a0272 スイング・ビートでのソロを経て…380最後は思いっきりストロング・スタイルでまとめてくれた。
395v充実のグループ・エクスプレッション。
もしかして、今までの「葉山」での杉本さんのステージで最も長い演奏だったのではなかろうか?390「どうもありがとうございました!」
いつも通り、長年にわたり全くブレることのない「杉本ミュージック」をジックリと聴かせてくれた。
この分だと30枚目のアルバムが陽の目を見るのはそう遠いことではなさそうだ。
400v演奏の後は晋藤さんのインタビュー。
『Regrowth』について、健康について、趣味の歴史について、色々な話が飛び出した。

杉本篤彦詳しい情報はコチラ⇒杉本篤彦公式ウェブサイト410vインタビューが終わるやいなやロビーの屋台村へ!
お買い上げ頂いたCDにサインをする杉本さん。420もちろん『REGROWTH』がフィーチュアされて多くのお客さんが手に取っていた。430 200(一部敬称略 2025年8月3日 神奈川県葉山町福祉文化会館ホールにて撮影

2025年9月 5日 (金)

THE VIOLET冠<後編>~VIOLET ETERNAL

『THE VIOLET冠』のレポートの<後編>は「VIOLET ETERNAL」の出番。
話はまず「ー二」から入ることにする。
「1、2」じゃないよ。
「ー」は出版業界で「音引き」と呼ばれている前の文字の音を伸ばす印。
正式な名称は「長音符合」。
「二」はカタカナの「二」。
「ー二」の「ー」の前に文字がないので、この場合「ー二」を発音することはできない。
心の中で読んでください。
ところで、VIOLET ETERNALは若手ギタリストの「ジエン・タカハシ」とイタリアのシンガー「イヴァン・ジャンニーニ」が中心となって活動している日伊混合のヘビィ・メタルのチーム。
ジエンくんからイヴァンの「ジャンニーニ」という名字を耳にした時にすぐにある話を思い出した。
下は1998年5月、JR名古屋駅の新幹線のホームで撮った写真。
写りが悪くて恐縮だが、真ん中に立っているおジイさんはジム・マーシャル。
その向かって左は当時Marshallの海外マーケット担当で私の親友だった故スティーブ・イェルディング。
向かって右はベーシストのトム・キャリーとその背後が私。
ジムは彼らデモンストレーション・バンドを率いて来日し、東京、名古屋、大阪で「JCM2000 TSLシリーズ」の発表会に臨んだ。
この来日の際に私は初めてジムにお会いしてMarshallの仕事に関わり出した。
そして今日までアッという間に27年が経過したが、この写真を撮った時は将来Marshallの禄を食むようになるなんて全く思いもしなかった。Ngy_2この時にみんなで栄町の「ハードロックカフェ」へ繰り出した時の写真。
向かって左で私を指さしているのはギターのジェフ・ホワイトホーン。
IF、バック・ストリート・クロウラー、クロウラー、ロジャー・チャップマン、エルキー・ブルックス、ポール・ロジャース、ロジャー・ウォーターズ、バッド・カンパニー、THE WHOの「Quadrophenia」のライブ、そしてプロコル・ハルム等々でプレイしたコアなブリティッシュ・ロック・ギタリストの頂点みたいな人だ。
現在でもTHE STRYDESというバンドで活躍している。
そして向かって一番右はマンフレッド・マンズ・アース・バンドのドラマーだったジョン・リングウッド。
トムはBBCでベースの仕事をしているとか言っていた。
慣れないイギリス英語がわかったフリをするのには四苦八苦したけれど、この時は本当に楽しかった。
Hrc下はその発表会の東京での様子。
会場は昔の「銀座TACT」。
トムのベース・アンプがまだ「DBS(Dynamic Bass System)」だったことに驚く。
「VBAシリーズ」が発売される前のことだから当然なんだけど…。
本題はココから。
この時、トムに当時私が勤めていた会社の営業担当者を紹介して名前を伝えると彼はビックリしてこう言った。
「ナンだってッ?キミはイタリア人なのかッ!」
その営業の方はかなり伝統的な日本人のルックスをしていた。
トムはそのルックスと名前の大きな差に仰天してしまったのだ。Band「イタリア人」?、「名前」?…一体トムはナニを驚いたのであろう。
そこで映画や音楽を通じて頭に思い浮かぶイタリア人の名字を並べてみると…
 二コロ・パガニーニ
 アルトゥーロ・トスカニーニ
 ジャコモ・プッチーニ
 マウリッツオ・ポリーニ
 カルロ・ジュリーニ
 ジョアキーノ・ロッシーニ
 パオロ・パゾリーニ
 ミケランジェロ・アントニオーニ
 ロベルト・ロッセリーニ
 フェデリコ・フェリーニ
 ジャンカルロ・ジャンニーニ
あ、ベニート・ムッソリーニもいたな。
ナンと「ー二」の多いことよ。
しからば、トムが紹介された営業担当者の名前をナンといったか…。
それは「新谷」さん。
トムは「しんたに」という名字を耳にして、英語の発音のクセから「シンターニ」という名前のイタリア人だと真剣に思い込んでしまったのだ。
調べてみると「ー二」は日本でいえば「△木」さんとか「〇山」さんぐらいの感覚で特に深い意味がないようだ。
そういえば、かつてMarshallの「Pantony」さんという若い女性がいて、彼女もよく「パントーニ」さんというイタリア人に間違えられると言っていた。
「t」と「n」の間に「o」が入っているからであろう。
今日のオープニング・トークは以上…チャオ!10vさて、今日は珍しくジエンくんの前説から。
「今日は電車が止まったりして色々と大変な中、そしてお暑い中、ご来場頂きありがとうございます。
ココまでPARADOXXもTHE 冠も熱いメタル魂をぶつけてくれました。
VIOLET ETERNALはもっとスゴイぞ!
まもなく始まりますのでよろしくお願いします。
あ、チョット言っておきます…VIOLET ETERNALはガンガン画像を録って、バンバンSNSにアップして、ドンドン広めてください!
ジエン・タカハシでした」60この日は今回のレポートの<前編>にも書いた通り、午後4時頃に山手線にアクシデントが発生し、交通機関が一部マヒしていた。
そのため、遅れてお見えになるお客さんのためにショウの開始時間を少々遅らせる措置を採ったのだ。
要するに客席はVIOLET ETERNALの登場を待ちわびていたというワケね。
だから演奏が始まった途端…ド~ン!
130VIOLET ETERNALは…
Ivan Giannini(以下「イヴァン」)と…80vJien Takahashi(以下「ジエンくん」)が結成したチーム。90v加えてAndrea Cappellari(以下「アンドレア」)…100v「Illusion Force」のOllie Bernstein(以下「オリー」)…110v「Neu:NOIZ」のYAMATO…120vの計5人のツワモノ軍団が鉄壁のメタル・ステージを披露してくれた。
オープニングは「The Echoes of Time」。75「VIOLET ETERNAL」なんていい名前だね。
結成の経緯については他の媒体に詳しいのでココには記さないが、ジエンくんが趣味で取り組んでいたコンピュータで制作したデザインをMAJUSTICEのマネージャーに見せたところ「そのデザインにふさわしいアルバムを作るべし」というところから始まったのだそうだ。
ジエンくんはイヴァンにコンタクトを取るがうまく調整できず、またその反対のケースもあったりしたが、最終的には「VIOLET ETERNAL」という形に昇華した。
チーム名はそのジエンくん作のコンピュータ・デザインのタイトルから…それは「Road to Violet」だった。140続けては「Now and Forever」。150YAMATOさんと…
160オリーの強力なコンビネーションがクリエイトする心地よくも強烈なグルーヴ。170そのゴキゲンなロック・ビートに乗ってイヴァンが猛シャウト!180もちろんギター・チームもダマっちゃいない。
アンドレアのソロから…190vジエンくんのソロへ…。210vジエンくんはもちろんMarshall。
220自慢のMODE FOURキャビネット「MF400」の上下に…220vジョー・サトリアーニのシグネチャー・モデル「JVM410JS」を組み合わせて轟音を聴かせてくれた。
やっぱりちゃんと使うMarshallの音はヌケがゼンゼン違いますな。
そういえばサトリアーニも「ーニ」だ。230イヴァンが「新曲」と紹介した次の曲は「Ember Flame」。
「ember」というのは「燃えさし」のこと。
「Flame」は「炎」だから「残り火」というところか?240少々エスニックな雰囲気のハード・チューン。
250ピックアップ・ソロあり…2602人のアンサンブルありでココでもギター・チームが大活躍。270チョット雰囲気を変えてポップな感じで「Land of the Golden Sun」。280イヤイヤ、ポップじゃないわ…全然ハードだわ!290vオリーのワイルドなベース・ラインが曲をダイナミックに演出する。300v意表をつく転調からギター・ソロへ。
次々と変わっていく情景がうれしい1曲。
VIOLET ETERNALのオリジナル曲はすべてジエンくんが作曲、ほとんどの英詞をオリーが手掛けているそうだ。310vココでゲストが登場する。
キーボーズで瑠美奈
320瑠美奈ちゃんが来ているTシャツのイラストがライオンだということでみんな「ウッソだろ~!」。330v演奏した曲はイヴァンがやっていた「Vision Divine」のレパートリーから「Angel of Revenge」。
YAMATOさんの鮮やかなスティックさばきのイントロからすさまじいツーバス・プレイが展開する!340vそして、瑠美奈ちゃんのキーボーズがバンド・アンサンブルを徹底的に分厚くする!350イヴァンの叫びがまたスゴイんだわ~!360vギター・チームの…
370爆音に負けじと…380瑠美奈ちゃんも必殺のシンセサイザー・ソロをお見舞いした!390さらに次のゲストがステージに上がる。
オリーがゲストではありませんよ。さっきから出ているんだから。
ゲストは向かって左のJinnJeon(以下「ジン」さん)。
ジンさんはオリーが参加している「Illusion Force」のボーカルズを務めているのだ。400…ってんで取り上げたのはIllusion Forceから「Beast of the Earth」。410ジンさんと…420vイヴァンの…430v激唱に次ぐ激唱!
470対するギター・チームも激弾きだ!445ジエンくんのソロはベートーベンの「第5」をクォートしてチャーミングにまとめ上げた。455どこまでも突っ走っていく演奏をバックにノドが張り裂けんばかりの2人の絶叫が響き渡った。
コレはもうハイライトのひとつでしたな。460「…ということで新曲を演ります。
ココまでも速い曲を演ってきましたが、多分、次に演る曲は冠さんやPARADOXXのレパートリーを含めて今日1番速いのではないか?
その速くて熱いヤツをブチかましていこうと思います。
準備はよろしいですかッ?」
オイオイ大丈夫なのか?速い曲は大歓迎だけどムリすんな!
今のヤツでも十分速かったぞ!480vと、ジエンくんが自らハードルを高くして臨んだ曲は「Azure Explosion」。
490確かに速い!
YAMATOさんがスゴイことになってる!
580v「速けりゃいいって…」もんだなコリャ!
ドンドン行ったらんかい!
510ただ速いだけじゃなくて、曲中間部にはサオ・チームのクラシカルなアンサンブルが仕込んであったりしてスリル満点!
520この曲もこの夜のハイライトのひとつと言ってよかったでしょう。530本編の最後はイヴァンの歌い出しで「Under the Violet Sun」。
なんか前の曲の後だとおとなしく聞こえるナァ。
といってもパンチの効いたストレート・アヘッドなナンバーだ。540死力を尽くした5人の爆発的なパフォーマンスに大きな歓声が送られた!550v 118a0629 570v 118a0261 590v今日のVIOLET ETERNALの屋台村のようす。20こんなのやってんのよ。30ジエン湯飲み。40「Do you know me?」…とは言っていませんでした。50vアンコール。
まずはVIOLET ETERNALがステージに登場。
600ジエンくんが「アンディ、イケメン!」と振ると…
610v「ラーメン、つけ麺、ぼくイケメン!」620v彼はコレがやりたかった!
ちゃんとポーズまでキメてくれた。630vアンドレアは日本が大好きで、自分がやっているバンドに「ネコマタ」という名前を付けて活動している。
妖怪の「猫又」ね。
下はそのセカンド・アルバム『EUPHORIA(国内発売元:RUBICON MUSIC)』。008a0002さて、アンコールでは全員Tシャツに着替えて登場し…640まずは「Over the Sorrow」を演奏した。 660v 670v最後まで猛り狂ったギター!
700こんなシーンも…。118a0728豪壮極まりないリズム隊!
680v 690vそしてイヴァンのスーパー・ヴォイス!
素晴らしいメタル・ステージだった。
650この後、冠さん、AMANEちゃん、ジンさんの歌い手チームと瑠美奈ちゃんが加わりX JAPANの「Runsty Nail」を演奏してイベントを締めくくった。
 
VIOLET ETERNALの詳しい情報はコチラ⇒VIOLET ETERNAL Official Website
710<おしまい>

200_3(一部敬称略 2025年7月20日 渋谷CYCLONEにて撮影)

2025年9月 3日 (水)

THE VIOLET冠<前編>~PARADOXX

 
海外との人脈を活かした独特の活動を通じ、Marshall Blogではすでにおなじみとなっている若手ギタリスト「Jien Takahashi」。
去る7月、ジエンくんのバンド「VIOLET ETERNAL」と「THE 冠」のダブル・ヘッドライナー・ショウが開催された。
その名も『THE VIOLET 冠』…そのままですね。
今日はそのショウでオープニング・アクトを務めた「PARADOXX」のステージの様子をお送りする。
10v会場は渋谷の「CYCLONE」。
階段を降りると…20「1960A」と「B」がお出迎え。30vPARADOXXの屋台村のようす。40オープニングSEが流れる中、姿を現したPARADOXXの5人!50「今日は最高の1日にするぞ~ッ!」と鬨の声を上げたのはAMANE。118a0037 KAOЯI70vMaiko80v陽奈90vSHONO100vいきなり5人のパワーを全開して1曲目の「逆説のSINGURARITY」をキメた。
「技術的特異点」か…しかもそれの逆説。
私にはムズカシくてサッパリわからんな。
1101曲目が終わるやいなやMaikoちゃんがリフを弾き出したのは「Coward HERO」。120vMaikoちゃんの背中には…Marshall!130v「ホイッ!ホイッ!」と勇ましくあおるAMANEちゃんの姿が「臆病な英雄」というタイトルからほど遠いハード・チューン!
140AMANEちゃんのシャウトが曲によ~くマッチする。150vKAOЯIちゃんのソロ。
キリル文字「Я」が名前に使われている。
「Я」はロシア語のアルファベット最後の文字で「ヤー」と読む。
意味は英語の「I」と同じで「私」を表す。
だから「Я(ヤー)~」の「~」に自分の名前を入れると「私は~です」になる。
マーブロ初の「ロシア語講座」でした。
バリショーエ・スパシーバ!160vKAOЯIちゃんの背後にもMarshall。170vソロを弾きながら…
008a0082ステージ前に歩み出て弾き狂うKAOЯIちゃんの姿に客席は大興奮。180「こんばんは!PARADOXXです。
渋谷の皆さん、楽しんでいますかッ?
私たちPARADOXXは3月にミニ・アルバムをリリースして現在ツアー中です。
今日ご覧頂いて『カッコいいな』とか『チョット気になるな』と思った方がツアーに参加してくださったらとてもうれしく思います。
途中からでも大丈夫ですなのでゼヒ!
よろしくお願いします!」
190v「今日は最強の2つのバンドの対バンで、こうしてオープニング・アクトとして出演できて大変光栄です。ありがとうございます!
私たちも全力でぶつかって盛り上げていきますよ~!
よろしくお願いしま~す!」118a0135ギター2人のアンサンブルが炸裂する「BACk BONE」。
200_2時折ドスの効いた声でとことんハードに歌い上げるAMANEちゃん。
210vポーズもキマってるゥ!008a0167 SHONOちゃんのドラムスのピックアップソロから…220v陽奈ちゃんのベース・ソロへ。225グイグイ押し出してくる低音域は迫力満点!230vお客さんをホイホイ!でアオっておいてからの~…KAOЯIちゃんの強烈なケリが入った!2402人のギターソロが…250vココでも曲を鮮やかに彩った。118a0059 続けて今年3月にミニ・アルバムにして発表した「菖蒲-Iris-」。270SHONOちゃんと…280v陽奈ちゃんのコンビネーションが燃え盛るリズムを叩き出すすさまじいドライビング・チューン!290そして気合満点のAMANEちゃんの激唱!300vKAOЯIちゃんがAMANEちゃんを追いかけるようにして歌うコーラスもとても印象的だ。310vそしてギター・チーム2人の絶妙なアンサンブルとソロが続き…320圧倒的なパワーに押されているウチにアッという間に曲はエンディングを迎えた。330リーダーのKAOЯIちゃんからごあいさつ。
この日は車内で起きた火災の影響で、午後4時頃から1時間ほど山手線の運転が見合されることになり、それに応じてショウの開始時間を遅らせるというハプニングがあった。
「ありがとうございます!
今日は電車の遅延があって、オープン時間を押して始めてるんですが、あたたく待って頂き本当にありがとうございました。
最初からたくさんの方々に観てもらえて本当にうれしいです。
今日はオープニング・アクトでPARADOXXを呼んで頂きありがとうございます!」
続けてドラムスのSHONOちゃんからもひと言…冠さんのバンドのドラムスの「YOUTH-K!!!」さんがSHONOちゃんのお師匠さんで、この日同じステージに立つことができてううれしかった…と感想を述べた。
340vアッという間に最後の曲。
PARADOXXの出番を締めくくったのは「Athena」。
ギリシャ神話の「工芸と戦略の女神」。008a0120短い時間ではあったが死力を尽くしてド迫力の演奏を聴かせてくれた5人!370v 118a0212 
260v  400v 410vガ~っと盛り上げてオープニング・アクトとしての重責を見事にこなしたのであった。
420AMANEちゃんがMCの中で「現在ツアー中」と語っていたが、そのファイナルが今週末に迫っている。
気になるメタル・ファンはお見逃しなく!
 
PARADOXXの詳しい情報はコチラ⇒PARADOXX Official Website
Ptf <つづく>

200_3(一部敬称略 2025年7月20日 渋谷CYCLONEにて撮影)

2025年9月 1日 (月)

那由他計画~プログレサーキット2025

 
今日はMarshall Blog初登場のプロッグ・ロックのチーム「那由他計画」。
『プログレサーキット2025』というイベントに出演した際のレポート。
前から観たかったバンドなので大歓迎なんだけど……失敗した!
実は一昨年の春、「金属恵比須」のステージに那由他計画のリーダーの塚田さんがトラで出演した際のレポ―トで「恒河沙」だの「阿摩羅」などという数の大小を表す単位の紹介と共に「那由他」という言葉について既に書いてしまったんだよネェ。
本来であれば今回それをやるべきだったのに!
まさかこんなことになるとは思っていなかったからナァ。
でもナニか書かないと気が済まない。
しからば方向を替えて…10v「那由他」というのは「一、十、百、千、万…」と数えて18番目に出て来る「10の60乗」を表す位の名前であることはご存知の通り。
それでは、サンスクリット語を語源に持つこの言葉が初めて日本に現れたのはいつのことか…。
驚いたことに『塵劫記(じんこうき)』だっていうんだよね。
塵劫記は寛永4年(1627年)に「吉田光由」という和算家が書いた数学の手ほどき書。
光由の母方のおジイちゃん(外祖父)は京都の豪商「角倉了以(すみのくらりょうい)」だった。
今日は詳しくやらないけど、この人はとても立派な人だったらしい。
谷中の墓地に「角倉家之墓」が立っていたことから興味を抱いて昔調べたことがあるんだけど、角倉了以は「博、明、真理子」の芸術一家、「千住家」の祖先なのだそうだ。
さて、江戸時代の日本の数学、すなわち「和算」は世界でトップか少なくともトップクラスの上の方にあった。
昔は利率の計算とか、面積の算出とか、そうした数学の基礎が一般庶民に浸透していなかったので、塵劫記は大ベストセラーになった。
下はその一例。
もちろん計算に使われている数字はすべて漢字だ。
20『塵劫記』は岩波文庫になっているので読もうと思えば今でも読むことができる。
どこかのブックオフで安くて程度の良いモノに出くわして買ったところで、どうせ私には理解できずに書架の肥やしなってしまうことは必定なので手は出さない。Ikkその替わり『江戸のミリオンセラー『塵劫記』の魅力(研成刊)』という本を買って読んでみた。
著者は「佐藤健一」。
佐藤先生は江戸時代の日本の数学事情に関する本を何冊も著している数学史の研究家だ。
角倉了以のことも私は佐藤先生の本で知った。30佐藤先生の専門は和算。
多分、1979年に上梓した下の『多摩の算額(研成社刊)』が最初の著作だと思う。
私は高校生の時、この本が出てすぐに手に入れた。40数IIBの「数式/二項定理」のテストが16点だった数学音痴の私に和算の興味があったからではもちろんない。
さっきから「先生、先生」とお呼びしている通り、佐藤さんは私の高校の時の数学の先生で、しかも2年生の時は担任だった。
私の学校は生徒のアタマのクオリティが低いワリには、どういうワケか先生方は優秀だった。
他に「日本を代表する瞽女(ごぜ)の研究家」という歴史の先生がいらっしゃって、「中村とうよう」さんの文章にその先生の名前が出て来て腰を抜かしそうになったこともあった。502さて、「算額」というのは、数学の問題とその答えを記して神社に奉納した額のこと。
ナンのためにそんなことをしていたのかというと、「神様のおかげでこんなにムズカシイ数学の問題をこうして解くことができました」と、感謝の気持ちを表すためだった。
もちろん解答者の自慢ということもあった。
多摩地区に残っているそうした算額を片っ端から解読・研究したのが上掲の佐藤先生の著書だった。602ココでガラリと話頭は転ずる。
下は数学者でお茶の水女子大の名誉教授である「藤原正彦」先生。
「新田次郎」と「藤原てい」の間に生まれた次男坊。
『国家の品格』という新書がベストセラーになったのでご存知の方も多かろう。
藤原先生のエッセイにとてもオモシロイ算額に関する記述を発見した。
先生は予てより「薩長という貧しい藩の無学の人々がなぜ明治維新という革命をなしとげ、明治時代をも牛耳ることができたのか」を不思議に思っていて、友人の数学者のある論考でそれが腑に落ちたという。Fjそれによると、薩摩の人たちの気質は「正直で勇猛、親切で情に厚いが、感情の激しさが著しく、団結力が強い」。
そして「一般に科学を好まず、特に数学に不得手なのは、感情が激しく気短かで、忍耐と理想に乏しく、一度試みて成功しなければすぐに放棄してしまうから」と説いてあったそうだ。
要するにお勉強がお好きじゃないのね。
「体育会系の藩」と言ったらお叱りを受けるか?
さらに加えて…本題はココなのだが、算額が全国津々浦々に現存している中、それが全く存在しない県が6つあることを指摘した。
「お勉強がニガテな県」と言ったらお叱りを受けるか?
その6つとは…鹿児島、山口、高知、佐賀、熊本、宮崎の各県。
コレを昔の藩名にすると薩摩、長州、土佐、肥前、肥後、日向。
ね~、「薩長土肥」という藩閥政治を行った4つのチームがスッポリ全部入っているのだ。
これらの地域には数学を楽しむ文化、探求する文化が存在しなかったのではないか?と結論づけられていた。
オモシロイね~。
下は幕府軍とニセの官軍が衝突し半日で雌雄が決してしまった「上野戦争」を描いた錦絵。
根津から上野の山に向けて撃ったアームストロング砲が炸裂してらぁ。
まさかグラバーあたりはそういう薩長人の性格まで知っていて武器を売り、倒幕を後押ししたんじゃあるまいな?
どこかでこのことを書きたかったので今日は千載一遇のチャンスとなった。
ありがとう那由他計画!
Usそしてもうひとつの「ありがとう!」はコレ。
当日はこの「ナユタ・ビスケット」が観客に配布された。
なつかしいね「ビスコ」。
ビスコって我々が子供の頃に発売されたものかと思っていたらトンデモナイ!
昭和8年の発売だって!…ウチの父が生まれた年だわ!70「生きて腸に届くスポロ乳酸菌」…「スポロガム」なんてあったよね?
確か縁日の「型抜き」みたいなヤツだった。
「ペロティ・チョコ」とか「チョコベー」とか懐かしい。80ダンサブルなオープニングのSEが流れる中那由他計画の6人がステージに上がり、そのSEにピタリと同期させて演奏が始まった。
コレは4/4拍子と10/8拍子の組み合わせということになるのかしらん?85ピアノがソロでそのパターンを奏でる。
キーボーズは那由他計画のリーダー、塚田円。
100vオープナーは「Superconsciousness」…「超意識」。
いかにも「出る単」に載っていそうな「consciousness」とか「conscience」って、「con-」の後の「-s-」が曲者なんだよな。
ジャズ・ギタリストのパット・マルティーノが1974年に『Consciousness』という暗~いアルバムを出していた。
とても好きなギタリストでニューヨークのブルーノートへ2度ほど観に行ったこともあったが、「Consciousness」のスペリングが覚えられなくて苦労した思い出がある。
あ、よく「綴り」のことを「スペル」と言うけど、コレは和製英語です。
「spell」には名詞がないので、「綴り」という意味でこの言葉を使う時には「spelling」と動名詞にする必要なある…ハズ。
カントリー・ジョー・マクドナルドが『ウッドストック』で叫ぶでしょ?
「How do you spell?」って…アレです。Pm_2 スケールの大きな那由他計画のバンド・アンサンブルを構築するのは…
ベースの国分巧。130vドラムスの重本遼太郎。140vギターは栗谷秀貴。150vそこに2つのボーカルズが重なる。
月本美香…110v世良純子120v時には一緒に、時には掛け合いで展開するボーカル・パート。
ツイン・ボーカルズの魅力がさっそく炸裂した!170キーボードのソロから…
180ギター・ソロへ。
もちろん英貴くんはMarshall。118a0325 「JCM900」と「1960A」で…
160vいつも通りバリバリと弾きまくってくれた。
「鬼弾き」の異名を取るだけのことがあるプレイ!
ルックスはどちらかと言うと「般若」に近いけど、とても大人しくて優しい人なの。
キング・クリムゾンなんか弾かせたらスゴイんよ。
190次から次へと情景が変わっていく一大スペクタキュラー。
ところどころ色んな拍子が入り組んでいるところが何ともトリッキーだ。
この手の曲って、歌のパートになると4/4拍子になっちゃうパターンが多いが、那由他の計画は全く違う。
全編通して変拍子。
それがとても自然なのだ。
私はこういう音楽が大好きです。200「新しいギタリストを迎えました…栗谷秀貴。
栗谷くんの人となりをあまりご存知ないかも知れませんが、いきなりナニか言えっていっても彼も困ると思うので、今日お出での皆さんが彼に訊きたいと思っていることを予めまとめておきました。
その質問に答えてもらいます」
240v「まず…栗谷さんはシャンプーはナニをお使いですか?」
220「黙秘権はないんですね?
シャンプーですか…いろいろ試してチョット男の人が使わなさそうな高いヤツを使用しています。
もうひとつ塚田さんが読み上げた質問は「エフェクターを何個持っていますか?」という質問。
「多分、40~50個ぐらい持っていると思いますが今日使っているのは4つぐらい。
持ってくるのに重いですからね」
230v「さ、コレで栗谷くんの人となりもよくわかって頂いたところで次のメニューへ行きたいと思います。
このバンドは基本的にボクが曲を書いてるんですが、次の2曲は適当なデモとキー・ビジュアルだけ歌の2人に渡して、それぞれに歌詞とメロディを書いてもらったんですね。
2人の特徴がよく出ていると思います」
210v2曲目は秀貴くんが弾くリフから。
コレは9/4拍子。250v純子さんが下がって美香さんがソロで歌う「Return to Nature」260曲を濃密に演出する力強い美香さんの歌声に観客が耳をそばだてる。118a0031キーボードのソロから…280ドラムスがリズム・パターンをキープしたままのキメ。
そこにうっすらと流れ出て来るメロトロンの音色がうれしい。290純子さんがコーラスで加わって曲はクライマックスを迎える。3003曲目は塚田さんのピアノから。118a0380 美香さんと純子さんが下がり、4人による短いインストゥルメンタル・ナンバー「Introdaction for Harvest 」。
要するに次に控えし曲への「前奏曲」だ。
320ココのリズム隊もカッチョいいなぁ。
ドッシリとした低音でアンサンブルを引き締める国分さんのベース。008a0133テクニカルにして強烈なグルーヴをクリエイトする遼太郎くん。
118a0692そして曲の本体が登場する。
純子さんのソロで始まる7/4拍子の「Harvest」。340相変わらずのお声。
実は純子さんのことは「ALHAMBRA」の活動を通じて10年以上前から存じ上げているのです。330ギター・ソロがバッチリとキマって…008a0078 美香さんが加わる。
なんかマグマっぽくてカッコいいな~。
実は美香さんも「浪漫座」の時にご一緒させてもらったことがあって、ずいぶん前から存知上げている。だから今日はすごくいい雰囲気よ。
それに加えてこの音楽!…いい1日だ!
360バラエティに富んだ音色でバンド・サウンドを彩る塚田さんのキーボーズが何ともゴージャスだ!
「キーボーズ」と「キーボード」という言葉を使い分けているのは、前者が「パート名」、後者が「楽器名」を示すことから。
塚田さんは冒頭で触れたように金属恵比須のライブにゲストとしてご出演された時に初めてお目にかかった。
「実は…」ばっかりなんだけど、塚田さんは私と同じ年で生まれ月も1か月違い。
ナンカ初めから「同じ齢」ではないか?とイヤな予感がしていたんだよね。
ナゼ「イヤな予感」かって?
アータ、この塚田さんの落ち着きようを見てごらんなさい。
それに引き換えこの私の軽さ!「軽佻浮薄」の極みではあるまいか?
もし私の母が横にいたら間違いなく「アンタも少しは塚田さんを見習いなさい!」と一喝されていたことだろう。
当然、塚田さんはそのプレイも「重厚謹厳」に尽きている。
370「ありがとうございます。
皆さま、『パーキンソンの法則』ってわかります?
これ『シビル・パーキンソン』というイギリスの学者の説なんです。
人間ってお金があればあるだけ使っちゃう。
時間があればあるだけ使っちゃうし…つまりそういうことなんですよ。
『CD出すよ!』ってズッと言っていますが、コレ、期限を決めないといつまでも出来上がらないんですね。
人間の心理なんですよ」380v「だから2026年の2月21日に発売することにしました!
コレもう言ったから!
だからガンバりましょう…まだ1つも録っていないんですけど。
ナンならリズムは8月16日と23日と26日に録りますから」
塚田さんのXへのご投稿を拝見するに、リズム隊の録音は宣言通りに終わらせたようだ。
「ゲストをたくさん呼んで制作しようと思っています。
それではそんなボクたちの新しいCDに入らない曲をチョット演ってみます」390さざきおりてひかりあふれ」は国分さんのベースで始まる。400v明快なイントロ・メロディを持つハードなワルツ。410オペラチックに伸びやな声を響かせる純子さん。
純子さんが歌う塚田さん作の歌詞がまたスゴイ。
「♪鷦鷯 降り立ちて 祈り 満ち溢れゆく…」
浅学にして詩歌に疎い私には何が下敷きになっているのか見当もつかないが、「鷦鷯(さざき)」という漢字検定の準1級試験に出て来そうな言葉は、「ミソサザイ」という小さな鳥の漢字表記なのだそうだ。
コレ、島根とか鳥取に行くと「鷦鷯」と書いて「ささき」さんと読む人がいるらしい。
珍名好きの私としては「スワ大珍名発見かッ!」と一旦は快哉の声を上げたが、調べると150人もいらっしゃる…だから快哉の声を上げるほどではなかった。
が、ナント「鷦鷯」さんこそが「佐々木」さんの原型なんだって!…コレにはビックリ!
420v2人のボーカル・アンサンブル。
ハモったりカンターメロディを唱えたり。
ツイン・ボーカルズの効果満点!
4302人の声質の組み合わせがとてもうまくいっていると思う。
美香さんが担当したフィンガー・シンバルやホイッスルのもとても効果的だった。118a0318 そして凄まじい器楽セクション!
コレはタマらんぞ!
シンセサイザーの高速フレーズに…
470_2ギターが絡んで…480vスラップ・ベースが唸る。490そして電光石火の遼太郎くんのスティックさばき!
500大作…「前奏曲」が付いているだけのことはある。
最後も2人の歌声で締めくくった。5107/4拍子のリズムに乗った歯切れのよい歌で始まる「Call to Awaken」520ココでも美香さんと純子さんの絶妙なコンビネーションがモノをいう!530重厚なオルガン・ソロに…540ギター・ソロが続く。
118a0104 そして、ドカンとベース・ソロ。118a0160 「ここぞ!」とばかりに自在に楽器を操り迫力のパフォーマンスを見せてくれた国分さん。560v間を活かしたキメから再び秀貴くん!
タップリ弾きまくって頂きました。
やっぱり真空管のアンプを使って奏でるギター・サウンドは素晴らしい!570v遼太郎くんのソロも飛び出した!
私はこの人のドラムスがとても好きなのです。
590遼太郎くんのプレイを目にしたのは2年半前に今日と同じ場所で開催された「Romanesco」のステージが初めてだったんだけど、見てすぐに「普通のロック・ドラマーとゼンゼンと違う」と思った。
尋ねてみると、音楽学校で打楽器の勉強をして、ズ~っとジャズを聴いて来たということだった。
やっぱりね…速く精密なスティックさばきが生み出す音のキメ細かさはロックの人とはゼンゼン違うんよ。580vシアトリカルな要素を色濃く漂わせて曲は幕を下ろす。
私はやっぱりこういうのが好き。
だって子供の頃から聴いてきたんだもの。
そうネェ…もうカレコレ50年になるわい。
600「ありがとうございます。
ところで『音楽』って時間芸術じゃないですか?
時間の経過が絶対に必要なんですよ。
今日ココにお集まりの皆さまは、物語のように時間の経過と共に展開するような曲がおキライではないですよね?
つまりココにお集りの皆さまは、そういう音楽を聴く心構えが出来ていらっしゃる」
610v「ちょうど世界が不安定になってきてる頃で『あ~、そうだよな』って思わせるメッセージがすごく響く。
ボクらもそういう詩が大好きなんですが、全然そういう展開の曲はない。
だからただ勢いだけで押しまくる曲で締めくくりたいと思います。
ありがとうございました」620那由他計画の出番を締めくくったのは「Arrival」。630最後までパノラミックな素晴らしい演奏を聴かせてくれた6人!118a0017 118a0229  118a0433 
670v  680v 690vやっぱり「プロッグ・ロック」はいいナァ。
そんな気分にさせてくれる充実のステージだった!

那由他計画の詳しい情報はコチラ⇒Official X
700 

200(一部敬称略 2025年7月19日 吉祥寺シルバーエレファントにて撮影)