instgram vol.2~D_Drive Seiji and 原田喧太
今回のライブ・レポートは新横浜の「Strage」からお送りします…というと「D_Drive Seijiソロ・ライブ」だと思うでしょ?
ま、ソロはソロなんだけど、今日のステージはダブル・ヘッドライナーの「instgram」というイベントの第2回目。
お相手は最近のMarshall Blogでは「デーモン閣下」のコンサートや『がんばっぺ福島』で登場してくれる原田喧太(以下「喧ちゃん」)。
喧ちゃんとは今はなき六本木の「スイート・ベイジル」で2001年に開催されたジルジャンのイベントからのお付き合いですからね、長いよ~。
その2人がソロでステージをこなすギター・インストのイベントが『instgram』。
「Instagram」ではありませんからね…インストグラムね。まずステージに上がったのはSeijiさん。
今日はステージの上。
この姿、久しぶりに見たな~。まずは手堅いところで「Attraction 4D」。
続けて「Red Light, Green Light」。
今回のSeijiさんのMarshallは「JVM410H」と「1960TV」。
前回1960TVを試しに使ってみたところ、Seijiさんが弾くJVMとの相性がとてつもなく良くて今回もその組み合わせで臨んだ。1960TVは普通の「1960A」よりも2インチ背が高いキャビネットにCelestionのGreenbackを4ケ搭載した仕様だ。
2インチといえば5.08cm。
これだけで音がガラリと変わるからキャビネットはオモシロイ。
ああ、私も2インチ背が高かったら少しはいい声が出ていたのかも知れないナァ。
でもこればかりはスピーカー・キャビネットのようにはいきませんな。こうしてシャープなD_Driveの2曲のキラー・チューンをまずはブッ込んだ!
今日は喧ちゃんファンのお客さんもお見えになっているので、最初のMCはSeijiさんの自己紹介。
そして、ここ数年『フロア・ライブ』と称してStrageでは舞台に上がらないで演奏してきたが、今日は久ビルりに高いところで演奏するのがとても新鮮だという感想。
また「インスタグラム」ではなく、「インストグラム」と銘打ったこのインストゥルメンタル・ミュージックをフィーチュアしたイベントについて語った。MCに続いては「Runaway Boy」。
ストレート・アヘッドなロック・ビートに広がるインストゥルメンタル・ミュージックならではストーリー展開。
ところでD_Driveファンの皆さん、今日Seijiさんが弾いているのはこれまで見かけたことがないギターだとは思いませんか?
そう、Seijiさんはギターのブランドを替えたんですよ。
タマタマこの新しいギターを作っている会社に友人がいるので、このモデルについて話を伺ったところ、ギタリストの間でとても高い評価を受けているのだそうだ。
さすが音にうるさいSeijiさん、お目が高い!その音は実際に太く、とてもヌケのよいサウンドで、私の耳には今までに比べるとより落ち着いた重厚な感じに響いた。
そんなサウンドで弾いた「Lost Block」は超バッチリでした。2回目のMCで喧ちゃんとの出会いについて語るSeijiさん。
それは2013年9月に東京キネマ倶楽部で開催されたイベント『六弦心』の時だったのだそうだ。その時のようすはコチラ⇒LIVE ROKUGENSHIN~ROCK DAY <前編>
コレ…もう12年も前かよ!
早いな~。
ということは、この時のD_Driveって活動を始めてからまだ3年ぐらいしか経っていなかったのか!
この時はそんなイメージはゼンゼンなかったナ。ワザと似ている写真を並べてみる。
なんかSeijiさん、若くなったんじゃないの?
紀州の梅かなんかを食べて…。
ということで「U-Me」。コレは本当にいい曲だと思う。
よく「曲が育つ」とか言うけど、まさにコレがそれに当たると思う。
正直最初は「ナンじゃコレは?」っぽい感じがしたけど、聴いているウチに良さがジワリジワリと滲み出て来て、今ではD_Driveの音楽性を語る代表曲だとすら思っていますよ。続けては楽しい楽しい「Thumbs Up」。
ホールトーン。ディミニッシュ、ミクソリディアン等のスケールを巧みに組み合わせて作られたこの曲もSeijiさんの「作曲家」としての才を示す最良のショウケースといえよう。
ココでオリジナル・グッズのPR。
この日のSeijiさんの屋台村。
今回は新しくメロイック・サインのグッズが加わった。
ギターやエフェクターの他にこれだけ持ってくるのは大変なことですよ。残すところ3曲。
そのウチのひとつはSeijiさんが新しく作った「TSURUGIー剣ー」。
基本的に振り払って使う「刀」と異なり、「剣」は突き刺して使うモノ…それでチャンチャンバラバラやるイメージをSeijiさんが曲にした。細かくハードな音符が飛び交うサマはまさに「項羽と劉邦」の戦いのようだ…司馬遼太郎の本を何十年も前に読んだんだけどスッカリ忘れたな。合ってるかな?
気になるのはSeijiさんの「つるぎ」の発音。
「つるぎ」って言うんだけどそれだと、富山に住んでいた私には石川県の「鶴来(つるき)」になっちゃうんだよな~。
で、富山警察の裏手に「鶴来」というとてもおいしくて盛りの良いうどん屋があって、それを思い出しちゃうんですよ。
ま、うどんを刻むアレも「剣」の一種か?続いて「The Last Revenge」。
闘いに破れ臥薪嘗胆、捲土重来の気持ちをこの切れ味鋭い剣のようなドライビング・チューンにした。
今回の「ソロSeiji(「ソーセージ」みたいでいいね)」の出番の最後を飾ったのは「Gradation」。
美しいメロディをつないでハードめに展開するポップ・チューン。
最後の最後まで素晴らしいギター・サウンドで名曲の数々を奏でてくれた。
ホント、新しいギターとの相性もバッチリ!
そして、やっぱりギターを鳴らすなら真空管アンプに限るネェ。「どうもありがとうございました。
引き続き原田喧太さんの演奏をお楽しみください」
Seijiの詳しい情報はコチラ⇒D_Drive offcial websiteこういうライブは転換がほとんどなくていいね。
下は入り口に飾られた2人のサインが入った掲示板。コレは喧ちゃんの屋台村。
最新作のソロ・アルバムだ。原田喧太登場!
1曲目は「Shake Your Hip」。
ウワ~、なつかしいナァ。歌にギターにとハナからスロットル全開!
喧ちゃんも「JVM410H」。
ちなみに喧ちゃんは最も早い時期からJVMを愛用してくれているギタリストの1人なのだ。
だからJVMのことはよ~くわかっていて、アータ、「リターン挿し」なんてトンデモナイ!
喧ちゃんのJVMの使い方は、島崎藤村の『夜明け前』風に言えば「歪みはすべてアンプの中である」である。こうなると並べてみたくなるのは男の心理?
JVM410Hが4台!
コレは初めての景観だ。続いてはその新しいアルバム『Addiction』から「It's Show Time」。
ゴキゲンなハード・ツイスト!
それに賑やかなカデンツァが付いて、そのままア・カペラでブルースに。
「はい、指から出まかせのコーナーでした」
イヤイヤ、全然そんなことありません!
この前日の晩の11時頃、住まいの近くまで帰って来たところで車にトラブルが発生。
レッカー車を呼んだりしてすべて片付いたのが午前3時!
ヒエ~!
この手の人が悲惨な目に遭う話は盛り上がるのが常ですな。コレが『Addiction』。
喧ちゃんのソロ・アルバムは『心の音』以来かな?
バラエティに富んだ曲が詰まった意欲作。
この日はこのアルバムから4曲を取り上げた。耳馴染みの良いメロディが魅力の「白い雨」が続く。
喧ちゃんはこうして華麗にメロディを歌わせるのが実にウマい。
ループを使ったソロ。
「C|G|Am|F」とコードを循環させて鬼のように弾きまくる!
やっぱり真空管アンプが出すギターの音は素晴らしい!『Addiction』のオープナー「Going Home」。
おお!ドヴォルザークもビックリの壮大な頌歌風のワルツ。
スケールの大きな曲調も素晴らしいが、コレをアルバムの冒頭に持ってきたところがスゴイと思う。本人から『Addiction』の説明。
昨年ソロ活動30周年を迎えた喧ちゃんだが、このアルバムが初めてのインストゥルメンタルのアルバムとなった。
そして、来年は「ギタリスト」として40周年を迎える。
私なんかね、テレビのワイドショウでお父さんが「息子がギタリストでデビューするんだよ」と喧ちゃんを紹介していたのを覚えていますよ。
「『ケンタ』の『ケン』は『喧嘩』の『喧』だ!」ともおっしゃっていた。
あの時から40年か…。
俳優として大注目されている息子さんの活動についても触れた。
そういえば彼がまだ赤ちゃんだった時に三宿のライブハウスで写真を撮ったっけネェ。冒頭に書いたように喧ちゃんとのお付き合いは24年になるんだけど、一番最初の本格的な仕事はMarshallが2003年に発売した「MODE FOUR」だった。
この時も出たばかりのMODE FOURを大変気に気に入ってくれてすぐに使ってくれたんだよね。
それで作ったMODE FOURの宣伝ポスターがコレ。
このポスターがもう残っていなくて長年探していたのです。
それがある時、某音楽学校の壁に貼ってあってラッキー!だったのです。
実になつかしい!22年前かな? さて、続いて演奏したのはアルバムのタイトル・チューン『Addiction』。
喧ちゃんらしいトリッキーな1曲。昔は上のMODE FOURのプロモーションで喧ちゃんとよくデモンストレーション・イベントをやったものだった。
そのショウの中でいつも演奏する複雑な自作曲があった。
クロマチックを多用した妙なメロディでね、私はそういう曲が好きなのでいつも楽しみにしていた。
で、確かその曲には曲名が付いておらず、私は「The March of Centipede」としたらどうか?と提案しようと思っていた。
この「Addiction」も同じタイプのスリリングな曲だ。
ちなみに「centi」は「100」、「pede」は「足」、すなわち「centipede」とは「ムカデ」のこと。
要するに「ムカデの行進」みたいにウネウネとメロディの曲なワケですよ。
ま、「ムカデの行進」なんて実際には見たことないけどね。ココでもまずア・カペラでソロを爆発させて「Running Out」へ。
ファンキーに、ヘヴィに、メロディアスに突き進むダンサブルなナンバーに会場も盛り上がる!
「じゃあ最後の曲です。
これは三本締めで、チャチャチャ、チャチャチャ、チャチャチャンチャン。
コレを曲にしたらどうなの?って思って作ってみた。
三本締めで〆たいと思います」コレはウマいことやりましたな!
曲は『Addiction』のクローザー「Sanbonjime」。
昔、日野皓正さんが「三三七拍子」を取り入れた曲を演っていたが、浅草の大工のセガレの私としてはコッチの方がシックリくる。
私にとっては小さな頃父に連れられて何度もお邪魔した「建前」で耳にしたリズム・パターン。
それを何度も曲の中に埋め込んだ!ソロではワーミー・バーをワイルドに使って大暴れ!
コレが喧太流!
お祭り気分でハッピーに本編を締めくくった。
原田喧太の詳しい情報はコチラ⇒喧太の一言いわしてそしてアンコール。
「ありがとうございます。
楽しんで頂けたでしょうか?
せっかくSeijiくんもいるので、今日、最後は2人でナニも考えずに遊んでみたいと思います」アンコールでは特に曲を決めず、喧ちゃんがその場で作ったループのバッキングを用いた大インプロビゼーション大会となった。
とは言ってもライバル感剥き出しの速弾き大会などではなく、2人でいい感じでソロを渡し合ってギターの魅力を存分に伝えてくれる内容となった。
特筆すべきはチャンとMarshallを使って、真空管アンプしか実現し得ない最上のギター・サウンドを聴かせてくれたことであろう。
会場の隅々までミッチリと行きわたった2人が出したギター・サウンドはとても見事だった!「どうもありがとう!」
お互いに名を呼んでその好演を称え合い『instgram』の第2回目は終了した。