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2013年2月 8日 (金)

Guitar☆Manを見逃すな!~リハーサル潜入レポート!

ロックの名曲を超一流ミュージシャンの手でよみがえらせて「ギターの魅力を見直そう!」という企画が『Guitar☆Man』。サブタイトルが「SMOKE ON  THE WATER <FIRST GIG>」というんだから徹底している。そういえばマーシャルの『50 YEARS OF LOUD LIVE』の全員参加のフィナーレも「Smoke on the Water」だった。やっぱロックは♪ジャッジャッジャ~よ!

いよいよ今週の日曜日(2013年2月10日)に開催される第1回目のコンサートが近づきリハーサルが行われた。今日はそのレポート。ようするに日曜日の宣伝で~す!

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ここでいつも書いているように楽器は音楽あってこそのもの。音楽も楽器がなくては成り立たない。いい音楽こそが楽器を進化させ、いい楽器が音楽を通じ自らを発展させてきた。

今、このバランスが崩れまくっている。先人の素晴らしい音楽遺産との間にミッシング・リンクが生じ、音楽のアイデアが底をつき、音楽の深みがなくなる反面、デジタル・テクノロジーの恩恵により昔では考えられなかったことが何でもできるようになってしまった。

その結果、テクノロジーを制覇し、進化を希求する人たちの音楽が、器楽演奏能力と音楽性の両面において一番退化しているという大変不思議な現象を生んでいるように見える。

もうどうあがいても新しいものはできない。テクノロジーを駆使した「新しく聴こえそうな音楽」は現れるものの、内容としては何ら新しいものではない。殊に日本のロックっぽい音楽は、方向性が湾曲し、どんどんフォーク化しているようにも感じる…というとフォークに失礼なんだけど、つまり、「それ、バンドでなくて弾き語りで演ったらいかがでしょうか?」という意味ね…。

もっともこんなエラそうなロック論をぶったところで、チャールズ・ミンガスがまだ存命のころ、70年代初期のインタビューでの一言でイチコロなんだけどね…「何だ(怒)、今のロックってのは(怒)?あんなものオレが20年前(1950年代)にやってたことじゃないか!(怒)」…意味はわかってるつもり。やっぱ巨人はスゴイわ。

 今朝新聞で読んだが、今年のグラミー賞の候補者はルーツ・ミュージック色が濃いんだってね。私はグラミー賞自体には昔からとんと興味がないが、この記事を読んでアメリカ人は今の音楽の状況に気づき、「温故知新」を取り入れ出したのかな?と思った。アメリカン・ルー・ミュージックはアメリカ人の大変大きな遺産ですからね、大切にしているんだろうな~…とも感じた。

そして、同時にポピュラー音楽のルーツを持たない日本人の音楽はどこへ向かい、どこへ戻ればいいのだろう?

私の答えは「洋楽」だ。ロックはみ~んな、アメリカ人とイギリス人に教わった。

この手の企画が、オヤジたちが「あれ知ってる!」、「これ知ってる!」の懐古趣味でよろこぶだけのものでなく、若い人たちが会場に足を運び、「こんな曲があったのか!」と感銘を受ける場に成長してくれればよいと思っているし、そうなればギターなんて自然に流行り出すであろうと個人的には信じている。だって、あの時代のロックを聴けばロックやベースがカッコいいと思い、自分でもやりたくなるのが自然だもん!

いい音楽があって、いいミュージシャン(アーティストなどとは軽々しく呼ばない)がそれを奏でる…もうそれだけでいいのよ。

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『Guitar☆Man』はシリーズのイベントで、毎回出演者が変わっていく。

やっぱり名人芸は見ておくべきなのよ。やれ、「ローウェル・ジョージを見ておけばよかった!」とか「ロイ・ブキャナン行けばよかった!」なんて聞くけど、(私は両方観てます。心の中で自慢。でも、ツェッペリンもBBAも観てないからエラそうなことは言えない。ただの例です)我々の身近に観ておかなきゃならない人がたくさんいらっしゃる。私は志ん朝も談志も観ておいて本当にヨカッタと思ってるからね。

ま、失礼な話に聞こえるかもしれんばいけど、もう誰も到達することのできないような音楽的至芸を身につけた達人たちも齢を重ね、いつ観れなくなるとも限らない。でも、これは真剣な話で、最近日本のロック界は不幸な出来事が続いていることもあって、音楽関係者とそんな話をする機会が増えた。

ナゼ、二度とそういう人がもう出てこないかというと、そういう達人はもっともロックがよかった時代、自分の耳だけでリアルタイムに音楽を勉強した人たちだからだ。その時代の空気感が詰め込まれているということもある。

69年製の1959SUPER LEAD、60年代のアメリカ製のセルマーや59年のレス・ポール等が今の技術を持っていてもまったく同じに再現できないのと似ているかもしれない。いい意味で人間が良質のビンテージ楽器なのだ。

『Guitar☆Man』の出演者はそんな音楽達人ばかりが集められる。

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今回のヴァーチュオーゾたちは、企画に深くかかわった伊藤広規がベース。

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ギターに北島健二。
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土方隆行。
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キーボードは難波弘之。

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ドラムが渡嘉敷祐一。
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ボーカルはMicey-T、StuartO、浦田健志の3名。(写真はStuartOさんが欠)

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やっぱりスゴイ演奏だ。まるでCDを聴いているかのよう。

このコンサートもうセット・リストの一部が発表になっていて、その中にナント、フォーカスの「Sylvia」が入っていた。うれしい!

もちろんヤン・アッカーマンの"F"のオクターブのカッティングから始まるワケで、カッティングとくればカタやんだ!もうこの時点でタマラン!

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そこへ加えて北島さんがメロディを乗せる!もう歌いまわしがアッカーマンで、オシッコちびりそうなぐらいカッコいい!

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さらにタイス・ヴァン・レアとまったく同じオルガンがかぶさってる!

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もとは歌詞が乗る予定だったこのフォーカス最大のヒット曲、もう何回聴いたかわからんけど、こうして人間(達人)が演奏しているのを聴くと「こんなことやってたんだ~」と新しい感動を呼ぶ。

2年前にロンドンでアッカーマン抜きのフォーカスを見たけど、こっちの方がよっぽどホンモノっぽいな…。70年代にはこのオランダのグループがミュージック・マガジン誌のリーダーズ・ポールの上位にいたんよ~。そんな時代があったのさ。

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また渡嘉敷さんのドラムがそれっぽい~!

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…とすべての曲がこんな具合で聴きどころ満載!やっぱ名人芸は素晴らしい!

このGuitar☆Manにいいところは、洋楽だけでなく、上質な日本のロックっぽい歌謡曲も演奏してしまおうというところ。賛成であ~る。それらは一流の作者の作品だ。こうした達人たちの手で演奏されて息を吹き返すことほどうれしいことはない。

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「はいはい~」。いつでもホンワカ・ムードの広規さん。

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趣旨に賛同し、Marshallもサポートさせていただいた。

今回北島さんはVintageModern2466と1960Aを使用。

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土方さんはJVM410Hと1960A。

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広規さんは1992SUPER BASSと1982。1994年に限定発売された「Barney」とあだ名される1982Bキャビを擁した通称「ヘンドリックス・スタック」、1959LTDのベース版。といいたいところなんだけど、これSUPER BASSも生産されたんだ?モノの本にも出ていない。 ちょっとフィル・ウェルズに確認してみよう。広規さんはリンクして使用している。

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ギターの魅力はマーシャルの魅力。今回のGuitar☆Manはマーシャルの魅力をそのまま楽しんでいただくことにもな~る!

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「Purple Haze」のエンディングの説明をする北島さん。

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2004年だったかな?『Hand Wired Show』と称して、土方さんと北島さんにお願いして東京と大阪で1974Xと2061Xのデモ・ショウを開催した。

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東京ではFuzzy Controlが、大阪ではSavoy Truffleに共演していただいて、最高のギター・ショウになった。おふた方ともあの時と何も変わらない素晴らしいプレイだ!私は司会もやらせていただいたが、楽しかったな~、あの時も。

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休憩が多いが、広規さんも気合が入る!また、この1992、ウソみたいに音が抜ける!広規さんのグルーヴにピッタリじゃん?!

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難波さんはいつもの通り、ニコニコと繊細な演奏でバンド全体をやさしく包み込む。難波さんのキーボードが鳴り出すと、バンドの音の厚みがドバっと増す!

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渡嘉敷さんは土方さんが玉置浩二さんのサポートをしていた時にはじめてお会いした。楽屋でツェッペリンの未発表音源を嬉々としてお聴きになられていた。そういうお方!ビシッ~としたドラミングが快感!

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とてもみんな楽しそうだ!これはきっといいコンサートになるよ~。だって、演奏している人たちが一番楽しそうだからね!これぞ音楽の基本!

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「そろそろ休憩しよーかー」。ああ、広規さんのパートナー、くり子さんと3人でロンドンをブラついた時を思い出す~!これぞ広規流!スタジオの周囲にパブがなくてヨカッタ?

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すぐに書いとかないと!土方さんは自分で見やすいようにすべて譜面を書き直している(リサイズともいう)!これぞプロ根性!

いつか土方さんが「こんな感じ…」と実際にレコーディングで使用している譜面を持参して話をしてくれたけど、スタジオの仕事を始めた若かりし頃、譜面が苦手で猛烈に訓練をされたそうだ。土方さんでもそうだったのだ。

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譜面を読みほどく広規さん、チョー真剣!

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私はミュージシャンが譜面に何かを書き込んでいる姿がすごく好きなんです。絶対カッコいい!

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確認に余念がないメンバーのみなさん。仕上がりが楽しみだ~!

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…というわけで、

開催は2013年2月10日(日)。場所は汐留BLUE MOOD。

当日は17:00と20:00の二回興行(入れ替え制)。入場料は、前売り(全席自由): ¥4,000 当日: ¥4,500 + お食事(¥1,000) + 1ドリンク(¥500)となっている。

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Guitar★Manの詳しい情報はコチラ⇒ Guitar★Man公式ウェブサイト

素晴らしい音楽を!素晴らしい演奏を!いっしょに楽しみましょう!

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(一部敬称略 2013年2月7日 都内某スタジオにて撮影)

2013年1月 7日 (月)

【英王室アルバム】Her Royal Highnessがお見えになりました!

マーシャル・ブログの読者の皆様方におかれましてはよきお正月をお迎えのこととお慶び申し上げます。

そこで、新年第1回目のマーシャル・ブログの更新はおめでたい話題といきましょう!

ビートルズの『Abbey Road』の最終曲、「Her Majesty」って短い曲があるでしょ?「Her Majesty」というのはイギリスの国王にだけ付けることができる敬称。今は女王様(何か変だな、この言葉)だから「Her」だ。息子のチャールズ皇太子が国王になれば「His Majesty」と呼ばれるし、国家「God Save the Queen」は「God Save the King」に替わる。

下の写真はロンドンにある、その敬称を冠した「Her Majesty's Theatre」。

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ずっと「オペラ座の怪人」がかかっている。

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さて、今日の主役はそのイギリス王室から「Her Majesty」ではなくて「Her Royal Highness」。

「ハー・ロイヤル・ハイネス」と聞いてもなんのことやら正確にわかる日本人は少ないんじゃないスか?ハチミツか?みたいな…。このイギリス王室の仕組みたるや複雑で何しろよくわからん。日本の皇室のことだって勉強不足でよく知らないだから、イギリスの王室ときたら尚更だ。でも、何かカッコよくてね。すごくスター性があって親しみやすいし…。興味がないワケではない…というより詳しく知りたいもんですわ。

で、話題はHer Royal Highness The Princess Royalのマーシャル社ご来訪。

もちろんマーシャルの50周年を祝してのイベントなんだけど、お呼びしたって「ホナ、イキマッサ」なんて簡単にお越しになるワケがない。ところが、マー本にも記してある通り、マーシャルは創業者のジム・マーシャル(Dr. Jim Marshall Order of British Empire:今日のマーブロはお正月にふさわしく何やら格式が高いぞ!)がHer Majesty The Queenから2度にわたりThe Queen Awardを下賜されたイギリス王室ゆかりの企業なのであ~る。

ところで、Her Royal Highnessって一体どこのどなた様?ということになる。ひらたく言えば、昨年在位60周年の記念イベント「Diamond Jubilee」をにぎにぎしく開催したエリザベス2世の長女であるアン王女のこと。アン王女の本名はAnne Elizabeth Alice Louise。イギリス王室の方々も名字を持たない。

ちなみにエリザベス1世は1588年にスペイン無敵艦隊を破ったイギリス史上もっとも偉大な勝利者といわれているお方。リック・ウェイクマンの『ヘンリー8世の6人の妻(The Six Wives of Henry VIII)』のB面の2曲目に出てくるヘンリー8世の2番目の妻、「アン・ブーリン(Anne Boleyn)」のお嬢様。このあたりの話しは結構面白くて、書き記したいこともなくはないが、キリがないし、ボロがでそうなのでここでやめておこう。

話しは戻って、この「Her Royal Highness」もしくは「His Royal Highness」という敬称は国王または王女の息子や娘、国王の息子の息子または息子の娘、王子の妃ぐらいしかつけられない大変に位の高いものだそうだ。つまり、狭義の「イギリス王室」のメンバーを指すワケだ。モノホンなワケですよ。

ってんでマーシャルでは大騒ぎ!

以下のイタリック体はマーシャル社エリー・エラリーExecutive PAがマーブロのために特別に書いてくれたレポートの翻訳。

2012年12月6日、HRH The Princess Royalがマーシャルの工場にお見えになられたことは、記念すべき創立50周年の最高の出来事となりました。
 

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マーシャルにお越しになる前に殿下は障害者ための乗馬学校にお寄りになりました。とても寒い日で殿下が大きなネック・ウォーマーを付けていらっしゃるのはそのためです。

殿下はヘリコプターでミルトン・キーンズに到着され、お車に乗り換えて工場にお見えになりました。当社社長のジョナサン・エラリー、ミルトン・キーンズ町長および議員のカトリオーナ・モーリス氏、そしてミルトン・キーンズ議会長のデヴィッド・ヒル氏が挨拶をするために外に出て殿下をお待ちしました。バッキンガムシャーのロード・リューテナントのオーブリー・フレッチャー卿が彼らを殿下にご紹介されました。

(※イギリスの各地方に駐留する王室の代理人。王室のメンバーがその地方を訪れた際に面倒をみるのがひとつの仕事。バッキンガムシャーはマーシャルの工場があるミルトン・キーンズが属する地方。「~シャー」というのは県や州のようなイギリスの行政区画。Countyと同義)

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その後、メイン・レセプションに歩を進め、エラリー社長がグラハム・ヤング、デヴィッド・コール他の会社経営陣を殿下に紹介しました。

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それから、社長は会社の歴史を簡単に説明し、「アンプ#1」を殿下にお見せしました。

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そして、工場見学の案内役として製造責任者のグラハム・ウェリングスをご紹介。

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その他、殿下は工場内のたくさんのスタッフとご面会され、アンプ製造のそれぞれの工程において大きなご興味をお示しになりました。

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作業中の工員ひとりひとりにお声をかける殿下。繰り返すが、殿下がお首に付けていらっしゃるのはネック・ウォーマー。別にムチウチというワケではない。エリーが言うには「みんなそう訊くのよ!」って、それもムリないよね。

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実際に殿下に会ったマーシャルの社員に話しを聴くと、やはり気品にあふれた大変「エレガント」な方だったそうだ。ちなみにこの「elegant(エレガント)」という単語、以前に日本に滞在していたアメリカ人の友達に「『エレガント』という言葉はどういう人があてはまるのか?」と訊くと即座に「プリンセス・マサコ」と言っていた。そういことなんですね。

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カバリングの説明をしているところ。わかりやすく説明するために製造途中の製品をカット・モデルとして並べている。

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木工工程もジックリと見学。

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「アラ~、いい写真ですこと~」。バッキンガム宮殿で衛兵とJCM900が並んで撮影した写真。

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フレット・クロス貼り付けの工程。上の写真といい、後ろのAFDといい、いつもはこんなに飾り立ててはいないのよ。

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外装パーツを取り付ける最終工程。「ここはキズ、凹み等取扱いに気を遣わねばならない思ったよりタフな工程なんですゼ。若いヤツらにはなかなか務まりゃしませんわ、殿下」なんと説明しているのかもしれない。

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ここはテストの工程。

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殿下の優雅な物腰と会社に関する知識で瞬時にして打ち解けた工員の製品づくりに対する情熱と献身に、殿下はすっかりと感銘をお受けになられた様子でした。

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工場見学が終了すると、シアターで静かな昼食をお摂りになりました。その後、マーシャルがチャリティで支援している関連組織の代表者が殿下に紹介さ れました。すなわち、マーシャルMKアスレチック・クラブ、MKドンズ・フットボール・クラブ、MKビクターズ・ボクシング・クラブ、ステイブルス・シア ターそしてウィレン・ホスピス&マクミラン等の方々です。

それから殿下はマーシャル社のスタッフ全員が集まったシアターに移動し、クジ引きで当選した幾人かの事務所のスタッフが殿下に紹介され、この栄誉にあずか りました。そして、エラリー社長が忙中工場にお越しいただいた御礼を含めた簡潔なスピーチを述べ、殿下はステージにお上りになったのです。当初、殿下は何もおしゃ べりにならないと聞かされていましたが、殿下は今年(2012年)が、わが社が創設者を亡くした悲しい年であったこと、そして、当社がこれか らも継続して成長していくであろうことをこの工場見学で目の当たりにした…と即興で述べられました。

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このご訪問を記念したスタックのベールが脱がされ、熱狂的な声援が送られました。さらに、エラリー社長からは#1アンプの姿が刻まれたクリ スタルの記念品が贈呈されました。また、5歳になるジョナサン・ウォルドック(輸出スタッフのサンドラ・ウォルドックの息子)と9歳になるテイト・ムーン (品質管理担当のバリー・ムーンの孫。バリー・ムーンはキース・ムーンのいとこ)から花束が贈られました。ジョナサンもテイトもクジ引きで当選しこの栄誉を手にしたのです。

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そして殿下はお帰りになり、スケジュール通りスムースにすべての事が運んだことに私は大きな安堵の溜息をついたのでした。

翌週、Her Royal Highness The Princess Royalの侍女の方から我々のもてなしに対する謝意を表するうれしい手紙が送られてきました。それをここに引用します。

「創立50周年を記念してマーシャル社を訪れ、皆様にお会いした機会をHer Royal Highnessは大変うれしく存じております。貴社は大変な成功を収め、すべての従業員の方が熱心で献身的でいらっしゃいます。また、長年にわたる様々 な方面でのチャリティ活動はまったくもって寛大であり、賞賛に値するものです」

この日、ベールを脱いだ記念のスタックは、素晴らしき日の思い出にメイン・レセプションに飾られています。

それにしてもジムが生きていたらこのイベントをどれほどよろこんだことだったろう…。
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(2012年12月6日マーシャル工場にて撮影 Photo by Marshall Amplification plc Reported by Ellie Ellery, Executive PA  Thank you very much for your generous cooperation, Ellie!!)

2012年12月29日 (土)

2012年 年末のごあいさつ

締めくくりにツラっと今年の出来事を書いてご挨拶をしようと思ったが、この1年、本当にいろんなことがあってとても書ききれそうにない。
もう昨年のことなどほとんど思い出すことはできないが、公私ともに今年の方がはるかにたくさんの出来事が起こったような気がする。ワイドショウの見すぎかな?

で、マーブロ的自分勝手に超かいつまんで印象に残ったことを書いてみる。

マーブロ的には何といってもDr. Jim Marshall OBEが逝ってしまったことが筆頭に挙げられる。覚悟はしていたものの、やはりとても悲しくさびしい出来事だった。
普段いっしょにいることがなかったせいだろうが、何かいまだに元気にされているような感じがして、工場に行ってジムの元いた部屋を覗くと、そこに帳簿をチェックする元気だったころのジムがいるような気がしてならない。
ジムの思い出はコチラをご覧いただきたい。⇒ありがとうジム・マーシャル!I Remember Jim!

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5月の下旬にはジムのお別れ会に参加した。
詳しくはコチラ⇒ジム・マーシャルの生涯を祝う会

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その際、訪れたロンドンの街はエリザベス女王の在位60年を記念(Diamond Jubilee)して大イベントに盛り上がっていた。
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この時は寒かったナァ~。

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詳しくはコチラ⇒女王陛下のロンドン<前編><後編>

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そして、ロンドン・オリンピック。あ、コレは見たワケではござらんよ。この写真はテムズ川南岸のO2アリーナがあるノース・グリニッチからオリンピックのメイン・スタジアムがあるストラットフォード間を行き来するロープウェイ。もちろんオリンピックのために作られた。何かオリンピックの関連の写真を載せようと思ったけど見事になくてコレを使いました。

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2012年は「○×△何周年」というのが多かった。ビートルズもデビュー50周年ということで、『Let It Be』というミュージカルがロンドンで上演されていた。

Diamond Jubileeとオリンピック、ポール・マッカートニーがよく登場した。

詳しくはコチラ⇒『Let It Be』を観たよ

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「50周年」といえば何といっても我がマーシャル。

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9月22日にはウェンブリー・アリーナにて『50 YEARS OF LOUD LIVE』と題した記念コンサートが開催された。

この一大イベントのレポートは、前日のリハーサルのようすからしつこくマーブロに連載中⇒【50 YEARS OF LOUD LIVE】
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5月には山口県柳井市に「Marshall Museum Japan」がオープン。オープニングにはEARTHSHAKERのSHARAさんやマーシャル社からJonathan Ellery社長が駆けつけてくれて大いに盛り上がった。

詳しくはコチラ⇒Marshall Museum Japanオープニング・セレモニー・レポート

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スカイツリーも開業した。

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伊藤広規さんと過ごしたロンドンの数日も一生の思い出となった。

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いっしょにマーシャルへも行った。

詳しくはコチラ⇒伊藤広規ロンドンを往く

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さらに、念願のスコットランドへも行けたし…
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これからはじまる「UKロック名所めぐり」の取材でサウス・シールズにも赴いた
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イギリスに数えきれないほど存在する「イギリスいちウマいフィッシュ&チップス」のひとつをサウス・シールズでいただいた。、これはヤケクソにおいしかった!
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それにしてもよくチップスを食べた。これはマーシャルの工場の近くのフィッシュ&チップス屋のもの。これもなかなかにウマい。
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これは同店のチキン&チップス。あ~、見てるだけで胃液が逆流して食道に入り込んで来そうです。
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さらにチップス。これはフィンズベリー・パークのケバブ屋のもの。ズイマだった。ヒツジ。とにかく、今年は一生のうちで最も多くポテト・フライを食べた年であったことは間違いない。
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このTESCOのサンドイッチもよく食べた。「ブリティッシュ・ハム&イングリッシュ・マスタード」…これはシンプルで家のサンドイッチみたいでおいしかった。食べ物は話題にしないマーブロだけど、たまにはいいでしょう。またしても日本のごはんのおいしさを思い知らされた年でもあったな…。マジで日本の食べ物は世界最高だと思う。
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10月26日からは梅デ研デザインのバナーを戴いてマーシャル直営のブログをスタートすることができた。自分の居場所が戻ってきたみたいでうれしかった。そして、マーブロがいかに多くの方々に可愛がっていただいていたかを知り感動した。

詳しくはコチラ⇒マーシャル・ブログを語る

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そして、年末には日本ではじめてのマーシャルの本、『マーシャル・クロニクル』を上梓することもできた。制作には大きな労苦を強いられたが、とてもやりがいのある仕事だった。この場を借りて改めてプロデューサーの亀戸さんに御礼を申し上げる。

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まだまだここに書ききれないたくさんの出来事があった。残念ながら数々の物故にも遭遇した。考えてみるに恐ろしく充実した1年だったナァ。

とりわけ、こうして英マーシャル社直営でマーシャル・ブログをスタートできたことを大変うれしく思っています。

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年内のマーブロの更新はこれにて終了、そして、新年は1月7日より再開させていただきます。

来年もご愛読のほどマーシャルともども何卒よろしくお願い申し上げます。

どうもありがとうございました。

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2012年12月12日 (水)

日本で初めてのマーシャル本、『Marshall Chronicle』ついに出来!~メイキング・オブ・マーボン

今日は12年12月12日全部12!めでたい~!そんな日に日本ではじめてのマーシャルに関する本、『Marshall Chronicle~50th Anniversary Edition』がついに出来した!
マーシャルの本、だから「マーボン」だ。今日のマーブロはマーボンができるまでを振り返ってみたい。

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よく本屋さんで「まるごと一冊XXXXXX」とか「△△△△の本」とかいう楽器関連の本を見かけるでしょう?昔から「いいナァ~。マーシャルもやりたいな~」って思ってた。もちろん、過去何回か「マーシャルの本をつくりませんか?」なんて企画を頂戴したことは何回かはあった。
しかし、経済的な理由や、「まるごと」ではなかったりして、結果として1冊すべてのページをマーシャルに割いた本というのは実現しなかった。
そりゃいいよ、ギターは何て言ったってギターなんだから、主役なのは認める。どうせアンプは脇役よ。いいよ。でもさ、一体誰がギターの音を大きくしてあげてるのかな~?

まぁね、確かにアンプがなくてもギターは弾けるけど、ギターのないアンプこそ困っちゃうもんね~。眺めて楽しむという使い方もなくはないけど、使わないマーシャルほどデカくてジャマなものはないもんナァ~。
実際、大学生の時、1959と1960AXを6畳の自分の部屋に置いていたけど、ライブハウスに出て使うなんてのは月に1回か2回で後はもう部屋に置きっぱなし。ジャマだぜ~。アレはステージやスタジオに置いてある分には問題ないけど、普通の家の部屋に入れた日にはデカいのなんのって!それに、眺めて楽しむにも限界があるからね。

ところがだ、マーシャルがなかったらハード・ロックが生まれなかったかもしれないよ~。祭典の日も来なかったかもしれないし、紫の炎も燃え上がらなかったかもしれないよ~。

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みなさんは自分のレコードやCD、もしくはiPODから「マーシャルが使われていないものを取り除け」と言われたらかなりコレクションが縮小してしまうのではないですか?

え?ビートルズが残るから別にかまわない?ダメダメ、マーブロの読者たるもの、ハード・ロックやメタルが聴けなくなったら困るでしょう?

でもね、こんなことを偶然昨日発見した。たまたま写真の整理をしながら、ポール・マッカートニーの『Venus and Mars』を聴いていた。「これからすごいロックが聴けるよ~」という『サージェント・ペパーズ』の焼き直しとも言えそうな、いかにもポールらしいコンセプト・アルバム。ジャケットはヒプノシス。2曲目に「Rock Show」という曲が入ってるでしょ?ご存知の通り、この曲はロック・コンサートに臨む時のあの高揚感を歌ったものだよね。そこにこんな一節がある;

♪The lights go down - they're back in town OK.  Behind the stacks you glimpse an axe.

これが「やがてライトも消えて-ほらショーの始まりさ  積み重ねた乾草の裏にこっそり隠した斧」と訳されている。

これは、どう考えても「stacks」っていうのはマーシャルを表しているんでしょう?それから「斧」っていうのはギターのことでしょう?向こうの人は楽器のことをスラングで「Axe」って呼ぶからね。サックスもアックスだ。

つまり、ポールはステージにズラリと並べられたマーシャルの壁に見え隠れする楽器の目にすると、コンサートへの期待が高まり興奮してしまう…ということを歌っているじゃないのかしらん?…なんのこっちゃ、「乾草」って?「斧」って?

ポールはジムが亡くなった時に正式に弔辞を送っているからね。ステージではマーシャルを使わなかったポールだけど、ちゃんとマーシャルのことを認めている…という話し。

だからやっぱりマーシャルは大切な音楽の素材なのですわ。それなのにマーシャルの本がなかった!

しかし、時は来た…のであった!

『Marshall Chronicle』はシンコー・ミュージックのYOUNG GUITARの別冊として上梓された。シンコーさんの担当の方、亀戸(仮名)さんから連絡を受けた時はうれしくもちろんふたつ返事で引き受けさせていただいた。

ところが、それから実際の作業となると骨折りの連続でしてね~。でもとても勉強になったし、楽しかった。ちょっとそのあたり、私が担当させていただいたパートを振り返ってみたい。

■50 YEARS OF LOUD LIVE レポート

マーブロでもリハーサルのレポートを連載して、これから本番のレポートに移るところだが、とにかくここに掲載されているライブ写真を撮るのはシンドかった~。そのあたりはまたマーブロに詳しく書きたいと思っている。「日本人唯一のスタッフとしての視点からレポートを書いて欲しい」という亀戸さんのリクエストに応えてテキストを書いた。紙幅が限られているので、ほんのチョットでも詳しく書こうものなら字数がオーバーしてしまうあたりに苦労した。思い入れが深いのでつい書きすぎちゃうからね。詳しくはマーブロで!

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■The History of the "Father of LOUD"

これは苦労しましたよ。約23,000字。これまでにも「マーシャルの歴史」関連については専門学校で講義をさせていただいたりもしているし、記事も書かせていただいているが、講義は別として、記事はいつも厳格な字数制限があり、なかなかすべてを書き記すことができないでいた。それが今回は亀戸さんからとりあえず好きなだけ書いていいといううれしい指示を頂戴して取り組んだ。

色々な文献をひっくり返したり、工場の友人に事実を確認しながら書き進めていると、知らなかったこともゾロゾロ出てきて面白くてしょうがない!それにすでに認識している事象に若干の誤謬を発見したりもした。

マーシャルの歴史で何といっても面白いのは、1962年にJTM45を開発するあたりで、その前後については特に紙幅を割かせていただいた。

せっかくのマーボンなので、今まで見たことのない写真の発掘にも尽力した。9月に工場に行った時に、PR担当のSteve Greenwoodと過去の写真データをひとつひとつチェックさせてもらった。

率直に言って、50年もの歴史を持っていながら、残された写真の類が存外に少なく、収集に苦労した。

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それで、フト思いついたのが、かつての社長室。つまりジムが生前に使っていた部屋。「確か、部屋の片隅に何やら資料っぽいものが積み上げてあったナ…」と。で、社長の奥方にお願いしてみた。「ナ~ニ、アレが見たいの?どうぞ好きなようにしていいわよ!」と快く了解してくれたので、その資料の山をひっくり返してみた。 すると、下のような見たことのない写真が少し出てきた。

それらをかき集めて「The History of the "Father of LOUD"」のコーナーに掲載させてもらった…というワケ。よく使われている古い写真もあるし、もしかしたら過去に公開されたものも含まれているかもしれないが、本邦初公開の写真もかなりあるはずだ。

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■コラム

亀戸さんにお願いして、エッセイ的に3つのコラムを書かせていただいた。

①マーシャルの故郷を訪ねて

これは楽しかった!元来ロンドンの街を歩き回るのを無上のよろこびとしているだけに、ジムの生家やお店の跡を見て回るなんてことが楽しくないワケがない!これもマーブロで新装再スタートしようと思っている「イギリス・ロック名所めぐり(仮称)」で詳しく再録しようと思っている。

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もしね、私がロンドンのロック名所めぐりのガイドなんかを頼まれたら、絶対にここコースに組み入れるよ。

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②シリアル#1アンプの物語

考えてみるとこの話しに詳しく触れたことがないことに気づき、挿話させていただいた。いつか実際に弾いてみたいと思ってるの。

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③"Father of LOUD "ジム・マーシャルが英国で愛される理由

誰だ?このタイトルつけたのは?私ではござらんよ。私はロックと同じぐらいジャズが好きで、いつかこのジムのCDについて何か書きたいと予てから思っていた。チャンス到来。もっとスペースがあれば1曲ずつ解説を書いちゃうところなんだけど…。ジムがパーティで歌っている写真を探したんだけどなかったナ。ドラムを叩いている写真はいくつか見つけたんだけど…。やっぱり写真は面倒がらないでバンバン撮っておくべきだナ。

■Marshall Products Gallery

山口県柳井市のマーシャル・ミュージアム・ジャパンが所蔵しているアイテムに足りないモデルを足して構成した。製造年度は私が調べたものを亀戸氏が精査した。これは時間がない中で亀戸氏は大変な労苦を強いられたハズだ。

写真はすべて私が撮影した。ミュージアムのアイテムは、オープン前に5日ほど泊り込んで撮りまくった。これは泣きたいぐらい大変だった。何が大変かって?とにかく重いでしょ、マーシャルって。向きがちょっとズレたりしていても、ちょちょいと直すことなんてできませんからね。いちいち「おりゃ!」と掛け声とともに動かさなければダメ。ま、実際には竹谷館長にそっちの重労働はお願いしたんだけどね。もしひとりでやったら腰が大爆発よ!

それと、デカいアイテムはなかなか光が回り込まなくて、4灯ものストロボを使用した。

実はコレクションを撮影するのは2回目。以前のマーブロで「T氏のコレクション」を作った時にもこの作業をしたが、あの時は光だの色だの、ほとんどおかまいなしに撮ったけど、今回は1台ずつキチンと撮らなければならないので膨大な時間がかかった。

厄介だったのはミュージアムには案外スタンダードな1959やJCM800がなくて、それを補完しなければならないことだった。そして亀戸氏の調査の元、都内の中古楽器店に撮影道具一式を携えてロケを敢行。アホみたいに暑い日でね~。ホント、この本はみなさんのご協力の結集やね。

そして、#1のJTM45 。いつもは下の写真の壁側のロゴの真下の白い展示台にガッチリと収められていて、そう簡単に触ることすらできない。でもね、よ~くこの写真を見ると別の場所に#1が置いてある。ど~こだ?

答えは左下のコンボの前にタテになってるヤツです。この日、コンサートを翌々日に控えて、BBCやら地元のテレビ局やらが入れ替わり立ち代わりやってきてエラくバタバタしていて、ついしまうの忘れちゃった。マーシャルも案外ユルイ。よっしゃ!ということで、自由きままに撮影してしまったというワケ。

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マァ実際には「チョット写真とらせてチョ」とフィル(後出)に頼めば、何の制限もなく撮影できるんだけどね…。

■Details of Marshall Products

ここはシンドかった。元来私はトレイン・スポッターではないので、至福を埋めるのに苦労した部分もある。それでも、やればやっただけの成果というものは得られるワケで、改めてとても勉強になった。むしろ、ここは色々と内容の正誤性や関連性を精査した亀戸氏のPoop Cleaner的な重労働に感謝!

■Marshall-men talk...

①Jonathan Ellery

エラリー社長のインタビューはメールを介して行われた。50周年のコンサートにあたり、さまざまな媒体でエラリー社長のインタビューが取り扱われたが、このマーボンのインタビューはコンサート後に行われた珍しいもの。一大イベント直後の高揚感と安堵感と寂寥感が表れたいいインタビューになったと思う。それに過去のインタビューを少々混ぜて再構成されている。私は翻訳と写真を担当させてもらった。ちなみに右ページの写真はBBC1のインタビュー時のもの。翌朝、このBBCのインタビューは「Breakfast」という日本でいえば「朝ズバ!」とか「めざましテレビ」みたいな朝のワイドショウ番組でOAされていた。

②Phil Wells

実は、この本の企画を相談された時、真っ先に思いついたのがこのインタビューだった。フィルは工場の技術畑ではもっともキャリアの長い人で、おもしろい話しがたくさん聞けるとニラんだのだ。

「今回の滞在中にインタビューの時間を作って欲しい」とお願いしたところ、「シゲのためならいつでも、どこでもよろこんで対応するよ!」と気持ちよく引き受けてくれた。実はフィルとはマーシャルと関わり出した最初の頃からの知り合いで、思い返してみると最初に工場を案内してくれたのはフィルだった。

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案の定、インタビューはもうメチャクチャおもしろくて、ファンにはタマらない内容になったと思う。フィルから話しを聞いていて、「ああ、ここに三宅さんがいればよろこんだろうにナァ…」と何回思ったことか!紙幅が限られているので、マーボンには2ページ分しか掲載されていないが、実際のインタビューは3時間半近くにも及んでしまった。

このフィルの話しは、もし誰かがフィルの頭の中に残っている内容を活字にしておかなければ、永久に聴くことができなくなる可能性が高いと思った。誰も語ることのなかった貴重なマーシャルの歴史だ。実際にインタビューをする私の後ろにはマイルス・ホートンという若いエンジニアがいて、聞こえてくるフィルの話しに何度もも「へ~」と感心していた。

そこで、亀戸氏にお願いして、マーボンに掲載できなかった部分をマーシャル・ブログで公開させてもらうようお願いした。全文に目を通した亀戸氏もその希少性を高く評価し、後日マーブロに掲載することを許してくれた。ファンのみなさん、お楽しみに!

③Steve Dawson

大の仲良しのスティーヴからは、日本に伝わってこなかったたくさんのブリティッシュ・ロックの情報をもらってきた。この人とのおしゃべりはいつも楽しい。図々しくもイングランド最北部のスティーヴの家まで遊びにも行ってしまった。このあたりのことはシゲ・ブログでレポートしているのでチラリとご覧いただきたいと思う。
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そして、思いついたのがスティーヴのインタビュー。70年代の若き日をニューキャッスルを中心としたイングランド北東部で過ごした彼に当時のロック事情+マーシャル事情を語ってもらおうと思ったのだ。

■Marshall Factory Tour

亀戸氏は以前に工場を訪れているため、ここはスムースに事が運んだ。ここは写真と最新情報を提供した。さすがにもう何回も見学しているし、写真も多数撮ってきたので、今回は職人さんが写るように撮ってみた。

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もうみんな顔見知りなので実に愛想よく対応してくれる。

今回ひとつ初めて知ったことがあった。カバリングを貼り付ける際、細かい部分をピタリと接着させるために使う白い棒状の器具がある。それを何と呼ぶか知りたくて、知りたくて…訊いてみた。「え?コレか?これはボーンって言うんだよ、ボーン」。は~、「骨」か…。

日本語と英語は文法的に真反対に位置するといわれるけど、発想は案外同じなんだよね。ラックのアンプをラックにくっつけるために前面に付いている「耳」とか呼ぶ部分あるでしょ?あれ、英語で「ear」っていうんだよね。アンプの底面についてる「足」は「feet」だし。それと、よく展示のひとつのかたまりを「島」って呼んだりするじゃない?あれも「island」って呼んでたな。

■Promitional Literature Gallery

これは亀戸氏が困った。「カタログ、チラシ等の販促物を全部ひっくるめて英語で何というんですかね?」…こんな質問が彼から寄せられた。さっそく英語の達人、つまりイギリスの方々に訊いてみると、「Promotional Literature」でいいのでは?という回答を得、こう題された。ほとんどがミュージアムからの提供品。

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最後のThe Marshall Worldは例の元ジムの部屋の片隅に積み上げられていた書類の山から発掘したもの。事務所の中で光の具合がいいところを選び、一枚一枚写真に収めた。これがまた腰が痛くなる過酷な撮影でござんしてね…。その作業を見た事務所の連中が「またシゲが変なことやってるゾ!」なんて騒いでるし…。つまり、彼らにはこれの希少性がツユも感じられないのね。ところが、全部70年代のロックの一番おいしい時期のアーティスト・ニュースじゃない?こちとら読みだしたらとまらなくなっちゃって…。

■Marshall Museum探訪
扉の写真がヤケに暗めに刷られちゃったねぇ。実際の写真はもっと明るいんだけどナァ。

■マーシャル座談会
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これも楽しかった。座談会の聞き手は亀戸氏。
これは本当は元のアイデアがあったの。それはその道のプロにマーシャルが使われた名盤を語ってもらうという企画。例えばノンちゃんにパープルの『Who Do We Think We Are』の聴きどころを説明してもらう…とか、三宅さんにジミヘンの『Winter Land』を語ってもらう…とかね。
それがなかなかまとまらなくて、「それじゃ、マーシャル・プレイヤーに集まっていただいて座談会をやろう!」と提案した。普段お忙しい方々なので、スケジュールを調整するのが心配だったんだけど、こういう時は恐ろしいもんで、みなさん、一発で電話にお出になってくれて、しかもすぐに、そして、見事に全員が空いている日が見つかった。天国のジムが操作したとしか思えない手際のよさ!こんなこと滅多にない!
そして、東京キネマ倶楽部さんも快く場所を提供してくださった。
みんなよくしゃべる!すべてマーシャルの話題。ありがたいことです。座談会の後の打ち上げでもまた同じ話題。でもおもしろかったな~!
みなさんありがとうございました。この場をお借りしまして改めましてご協力に感謝申し上げます。

■Marshall Album Selection
これにはまったく絡んでない。亀戸氏は思ったに違いない。私に任せたら恐ろしく偏ったセレクションになってしまう…と。結果、ヤンギらしいセレクションになってよかったと思う。

ちょうど同時進行で広規さんのCDのライナーを書いたり、写真の整理が山になったりと、実に多忙な日々であったが、やりがいのある楽しい仕事であった。今、こうしてイザ上梓されてしまうとうれしいような、さびしいような…。

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みなさん、書店&楽器店に是非お手に取ってみてください。

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『Marshall Chronicle』の詳しい情報はコチラ⇒シンコーミュージック公式ウェブサイト

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2012年12月 8日 (土)

ギター大脱走!~ポール・ギルバート情報

ポールから連絡が来た。ポールが主宰する『GREAT GUITAR ESCAPE』の情報だ。

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7月の8~13日までニューヨーク州のフル・ムーン・リゾートで開かれるギターのクリニック・キャンプだ。昔は日本もこういうのよく見かけたんだけどね…。
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ポール曰く、「自分の音楽の炎を燃やすためにもっとも重要な燃料は、すごいミュージシャンのスゴ技を見ることだよ」。
ってんでスゴ腕の先生を集めて充実したギター合宿が開かれるワケ。アンプはマーシャルなんだろうなぁ~。

タイトルはもちろんジョン・スタージェスの『大脱走(Great Escape)』からでしょう。ポールらしい。
で、このウェブ・サイトに使われているポールの写真は『50 YEARS OF LOUD LIVE』で私が撮影したものなんです。
とにかくチェックしてみてね!

詳しい情報はコチラ⇒GREAT GUITAR ESCAPE   

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2012年12月 1日 (土)

Marshall Chronicle

マーシャルの創立50周年を記念して『Marshall Chronicle(マーシャル・クロニクル=マーシャル年代記)』というムックがシンコー・ミュージックより上梓される。
これまでギターの分野においては、「1冊まるごと●●」の類の本がたくさんあったが、ギター・アンプに関する「丸ごと本」は見た記憶がない。

そこで、出る…マーシャルでそういうのが。

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50年前、週に2~3台のアンプ製作から事業をスタートしたジム・マーシャル。住む世界は違えど、今でこそアンプに関しては大先輩のフェンダーと肩を並ばせてもらっているが、同社の従業員が600名を数えていた1964年当時、マーシャルの従業員はたったの15人だったという。ジムはいかにして「Marshall」を世界の一大ギター・アンプ・ブランドに育て上げたのか…。

ロンドン取材を敢行し、マーシャル社徹底協力のもと本邦初公開の写真を交えておくる感動のマーシャル50年史、古参マーシャル職員の興味深い証言、貴重なマーシャルを紹介するギャラリー、日本を代表するマーシャル・プレイヤーたちのエピソード、『50 YEARS OF LOUD LIVE』レポート等々、充実の内容でおおくりする一冊!

発売は12月12日。

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2012年11月 6日 (火)

ポール・ギルバートのニュー・アルバム、『VIBRATO』の秘密

  ポール・ギルバートがニューアルバム『VIBRATO』を発表した。

ポールの作品やライブ演奏に接するたびに思うことがある。それは、ポールが素晴らしいギタリストやシンガーであるだけでなく、真のエンターティナーであるということだ。ギターや歌を通じてどれだけ聴衆や観衆をよろこばせることができるか…。これに心血を注いでいるような気がする。

そして、ロックへの愛情。先日のウェンブリ―でのコンサートでも先人の偉大なる遺産をカバーしていたが、こうしたパフォーマンスはポールのロックへの愛情と私は受けとめている。今回の『VIBRATO』でもその愛情は爆発しきっている。

そんなポールから、新作『VIBRATO』に対するメッセージが届けられた。今日はそれを紹介する。

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以下はポールからのメッセージ;

『VIBRATO』というニュー・アルバムを発表したんだ。ひとつ残らずギターの音はマーシャルで録音したよ。何しろカズーにも自分のマーシャルを使ったぐらいなんだから!

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「Vibrato」という曲のギター・ソロを録音していた時、ギターを置いて純粋で音楽的なソロを作り込むことにした。普通のソロ・フレーズや指グセによるソロにはしたくなかったんだ。そこで、エレクトリック・カズー(そう、僕はエレクトリック・カズーを持ってるのさ!)を自分の2061Xにつないでボリュームを上げた。マーシャルにつないだまま気に入ったメロディやフレーズが出てくるまでソロをハミングして、それを録音した。その後、プレイバックを聴いてギターでそれをどう弾くか研究したんだ。ミックスの時には元々のカズーのトラックは使わなかったんだけど、そのギター・ソロを聞いた時に、フレーズがいかに歌っているかわかってもらえるといいな。もちろん最終的にギター・ソロを録音した時にも2061Xを使ったよ。

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『VIBRATO』のギターはバンドと同時に演奏して録音したんだ。ステレオにしたかったのでギターの信号をLehleのP-Split Boxに通してから2台のMXRのPhase90につないだ。そして、それぞれのPhase90 のスピードを少しズラして設定したんだ。それで激ワイドなステレオ効果が実現したのさ。もちろんステレオにするにはアンプが2台必要だよ。そこで2061Xと1987Xを使ったんだ。

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両方ともビンテージ・ヘッドのリイシューだから、70年代の僕のお気に入りアルバムで聞かれるようなロック・サウンドに仕上げてくれた。THDのHot Plateを両方のヘッドに使ってボリューム・アップしたんだけど、適度な音量に抑えたよ。スピーカーにはVintageModernの2×12”コンボ(2266C)を2台使った。2266Cのヘッドはバイパスしてスピーカーだけを鳴らした。

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レコーディングの時、バンドのみんなとすべての機材を同じ部屋に結集させたんだ(レコーディング・エンジニアすらもね!)。ドラムからギター・アンプのスピーカーをそむけてセットしたよ(ドラムのマイクがギターの音を拾わないようにね)。それで今度はギター・アンプのマイクがドラムの音を拾わないようにボリュームがアップした。もちろん、少しは音を拾っちゃうんだけど、僕とバンドでとてもよいライブ・パフォーマンスの状態にすることができた。作業が早くなることも知ったよ。そういうシチュエーションであれば、少しぐらいの音かぶりは平気なんだ。実際、具合のいいルーム・サウンドも加わったしね!
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アルバム1曲目の「Enemies(In Jail)」という曲をシゲさん(筆者注:私のこと…)に聞かせるのを楽しみにしてるんだ。シゲさんはフランク・ザッパのファンでエキスパートでもあるんだよ。僕は子供のころ『Zoot Allures』というアルバムを持っていた。

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それに「Don’t Eat the Yellow Snow」と「Cosmic Debris」というシングル盤も持っていたんだ。(訳者注:写真はポールが持っていたシングル盤の曲が収録されているフランク・ザッパのアルバム『Apostriphe(')』)

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でも自分の音楽はフランク・ザッパには影響を受けていない…今まではね!「Enemies (In Jail)」は「言葉をしゃべる」セクションがある僕の最初の曲なんだ。エレクトリック・ピアノ・ソロの間、「幸せとは何ぞや」というユーモラスな哲学的説明を入れたんだ。予定はしていなかったんだけどね。実際、このしゃべるパートのことはバンドや僕がプレイバックを聴いている時までは考えてもみなかったんだよ。ちょっとバンドのみんなを笑わせるためにそれを始めたんだ。でも、それがすごくうまくマッチするし、すごくフランク・ザッパのスタイルっぽいことがわかった。だからシゲさんがこの曲を気に入ってくれることを願ってるんだ。そして、来年の1月の僕のバンドのツアーでこの曲を演奏するのをとても楽しみにしているんだ。(『VIBRATO』に入っている他の曲もね!)

ポール

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いい人だ~!もちろん「Enemies (In Jail)」気に入りましたよ~!ありがとう、ポールさん!

そのポール・ギルバートがクリニックで近々来日する。彼はは新しいDSLシリーズからDSL40Cを使うことになってるからね。それも楽しみにしていてね!見逃せませんぞ!

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ポール・ギルバート・ギター・クリニックの詳しい情報はコチラ⇒星野楽器販売株式会社公式ウェブサイト

アルバム『VIBRATO』の詳しい情報はコチラ⇒WHDエンタテインメント公式ウェブサイト

(一部継承略 マーシャル商品以外の写真提供:ポール・ギルバート Thank you very much Paul-san!  Look forwad to seeing you soon!!) 8

I have just released a new album called VIBRATO, and every note of guitar was recorded with a Marshall amp. I even played a kazoo through my Marshall amp! When I was recording the solo for the song, "Vibrato," I decided to put my guitar down, and compose the solo with pure musical intention. I didn't want to be influenced by my usual guitar licks and fingering patterns. So I plugged my electric kazoo (Yes, I have an electric kazoo) into my Marshall 2061x and cranked it up. I hummed the solo through the Marshall until I had the melodies and phrases that I liked. Then I recorded it. Then I played it back and learned how to play it on the guitar. When I mixed the song, I didn't use the original kazoo track, but when you listen to the guitar solo, I hope you can hear how it "sings." And of course, I played my guitar through the same Marshall 2061x when I did the final solo.

Most of my guitar parts on VIBRATO were recorded live with the band. I wanted to use a stereo sound, so I split my signal with a Lehle P-Split box, and then ran the two outputs into two MXR Phase 90 pedals. Each Phase 90 has a "Speed" knob, and I set them slightly different from each other. That gave me a very wide stereo sound. Of course, for stereo, I needed two amps. So I used my Marshall 2061x and Marshall 1987x heads. These are both vintage reissue heads, so they give me the rock sound from my favorite albums of the 70s. I used a THD Hot Plate for each head, so I could crank them up, but keep the volume at a reasonable level. For speakers, I used two Vintage Modern 2 x 12 combo amps. I bypassed the heads, and went straight in to the speakers.

Everyone in the band and all the equipment was in the same room when we recorded (even the recording engineer!) So I faced my speakers away from the drums (to reduce leakage into the drum mics.) And I cranked up my amps, so the drums wouldn't leak into the mics for my amps. Of course, there is a small amount of leakage, but the band and I were committed to getting good live performances, so we knew that we wouldn't be fixing things later. In that situation, a little leakage is fine. In fact, it can add a nice room sound to the mix!

I am excited to let Shige-san hear the first song on the album which is called "Enemies (In Jail).." I know that Shige-san is a Frank Zappa fan and expert. I had the Frank Zappa album called "Zoot Allures" when I was a kid. I also had the single with "Don't Eat the Yellow Snow" and "Cosmic Debris," but I never used my Frank Zappa influence in my own music... until now! "Enemies (In Jail)" is my first song with a "spoken word" section. During the electric piano solo, I give a humorous philosophical description of "what happiness really is." I didn't plan this part. In fact, I didn't think about the spoken word part until the band and I were listening the playback of the song. I just started to do it to make the band laugh. But then I realized that it really worked well, and is very much in the Frank Zappa style. So I hope Shige-san will approve of this song. And I'm really excited to play it (and other songs from the VIBRATO album) when I come for my tour in January!

Paul

2012年10月31日 (水)

ダグ・アルドリッチからのメッセージ~A Message from Doug Aldrich

今日はホワイトスネイクのダグ・アルドリッチから寄せられたメッセージを紹介しましょう。

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ダグとはホワイトスネイクでの来日や世良公則さんとの活動、フランクフルトの展示会やアナハイムのNAMMショウ等で一緒になっているうちにとても仲がよくなった…イヤ、初めから仲良かったかな?
というのも、ダグは人見知りをまったくせず、誰に対しても本当にやさしくて、いつでも真っ先に相手のことを考えているような人。あの燃えたぎるような情熱的なギターとは正反対の物静かで思慮深い、とても素敵な人物で、誰でもすぐに仲良くなってしまうのだ。

LOUD PARKの時も出番前にステージ裏の暗闇で私を見つけると、ワザワザ自分の方から近寄ってきて「シ~ゲ~」といいながらハグハグしてくれるほどいい人なのよ。

彼と初めて会ったのはマーシャルの工場で開催されたVintageModernとJVMの発表会の時のことだった。
あの時、まだポンドが高い時分で、タバコがひと箱1,200円ぐらいしていた。ちょうどロンドンに着いた時にタバコを切らしてしまった私はその場で禁煙を決意したのですよ。1,200円も出すのバカバカしいもんね。
私は決してへヴィなスモーカーではなかったのだが、「コールド・ターキー」がもたらす禁断症状はキツクなるばかり!頭クラクラ、目ェチカチカ、指先ジンジン!♪Cold turkey has got me on the run…なんて、アータとても呑気に鼻歌なんか歌ってられない!

ある晩、ダグたちとインド料理店で食事をした時、ダグはそんな私の異常をいち早く見つけて「おい、シゲ、一体どうしたんだ?大丈夫か?身体の調子がおかしんじゃないのか?熱でもあるのか?」とまるで自分のことのように心配してくれたのですよ。やさしいから。

私が「イヤ、数日前からタバコをやめたんだよ」と苦しそうに告げると、ダグは「ナ~ンダ、そんなことか!じゃ、ホラよ!」と彼のタバコを私に差し出したのです…オイオイ!

ダグは『50 YEARS LOUD LIVE』の中でもリッパー・オーウェンズと組んで、最高にカッコいいプレイを披露し、大喝采を浴びた。

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以下がダグからのメッセージ…

ウェンブリー・アリーナで開催されたマーシャルの「50 Years of Loud」コンサートの数日前にロンドンに降り立った時、エネルギーがみなぎった。ホテルの自分の部屋に向かう途中、ザックに出くわした。廊下でそのまま1時間ほど旧交を温め、笑い合った。ザックはとても元気そうで、彼にあえてとてもよかった。

翌朝、火災報知機が鳴って、ザックがオレの部屋のドアをノックした。オレはまだ寝ていてパジャマのままだった。しかし、ザックは強引に部屋に入って来て、オレが着替えるのを待ってコーヒーを飲みに出た。すると火災報知機のスイッチを切っている男が目に入った。我々はコーヒーをしこたま飲んでカフェインをため込んだ。

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次の日、グレン・ヒューズと彼の愛妻ギャビーと朝食を摂った。グレンはショウの内容のことについていろいろと語り、彼とイングヴェイとオレで「Burn」をやろうということになった。結局、時間切れになってしまったが、グレンとつるむのはいつも楽しい。リハーサルは、ケリー・キング、ザック、フィル・キャンベル、リッパー、そしてストーン・サワーのコリーたちの楽しいたまり場になっていた。コンサートの当日、楽屋でもとても楽しい思いをした。楽屋はポール・ギルバートやイングヴェイと相部屋だった。ジョー・サトリアーニとも久しぶりに顔を合わせたのもうれしかった。

何といっても最高だったのは、自分がこのイベントの一部を担ったということだ。

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ジム・マーシャルはオレにとてもよくしてくれた。約7年のつきあいだったが、いろいろな意味でオレは彼が大好きだった。彼はホンモノのオリジナルだった。オレが知る人間の中で最も重要な人物だったんだ。ジムはこのコンサートを誇りにしていると思うよ。出演者全員の演奏は素晴らしかったし、観客も超満員だった。

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新しいマーシャル・ブログに関われてとてもハッピーだよ。できる限りの協力はしたいと思っている。オレは人生を通してマーシャル・ガイだったのでこのブログの一部であることは自分の誇りなんだ。

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長い間自分をサポートしてくれているファンのみんなにはお礼を言いたい。オレやホワイトスネイク、特にマーシャルを支持してくれてみんなに感謝をしている。ジム・マーシャルは最高のアンプを作ってくれた。会社は今でも家族のようだ。自分がその一員であることは幸せこの上ない。

よろしく

ダグ・アルドリッチ

There was a great energy as I arrived in London a few days before the Marshall 50 Years Of Loud concert at Wembley Arena.
I was walking to my room and ran into Zakk. We stood in the hall of the hotel for and hour just catching up and laughing. He was in great form and it was great to see him.

Next morning the fire alarm went off and Zakk came knocking on my door... I was still sleeping and in my pajamas but he busted in my door and waited for me to get dressed so we could go get coffee and find the person who set the alarm off. We drank way too much coffee and got way jacked up on the caffine.

I had breakfast the next day with Glenn Hughes and his lovely missus Gaby. He was talking about all kinds of stuff and we decided that he Yngwie and I should do Burn together. In the end we ran outa time but its always fun to hang with Glenn. At rehearsals it was a fun hangout with Kerry King, Zakk, Phil Cambell, Ripper and Cory from Stone Sour.The show day back stage was also fun, we all shared rooms and nice to see Paul Gilbert and Yngwie. Had a nice catch up with Joe Satriani.

In the end, it was one of the coolest things that I have ever been a part of.

Jim Marshall was very good to me and even though I only knew him for about 7 years, I loved him for many reasons. He was a true original. One of the most important people that I have ever known. I think Jim would have been proud of that concert. Everyone played great and it was pretty much a sellout night.

Im very happy to be a part of the new reformed Marshall Blog. I hope to do more here if I can. I have been a Marshall guy for all my life and its an honor to be a part of this blog.

I want to thank the fans that have supported me through the years. Im very thankful for your support of me, Whitesnake and specially Marshall. Jim Marshall makes the best amps and the company is still like a Family. Im happy to be a part of it.

Warm regards,

Doug Aldrich

(一部敬称略 2012年9月22日 ロンドン・ウェンブリー・アリーナにて撮影 Thanks for your help, Steve) 4

2012年10月30日 (火)

マーシャル社社長、ジョン・エラリーのメッセージ~A Message from a director of Marshall Amplification, Jonathan Ellery

本来であればマーシャル・ブログの再開に際し、冒頭に弊社社長よりご挨拶申し上げるべきではございましたが、諸般の事情によりご挨拶が遅れてしまいました。ご無礼をお詫び申し上げますとともに,、ここにひとことご挨拶させていただきます。

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マーシャル・ブログ読者のみなさんへ

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シゲの復帰とともに、マーシャル・ブログが帰って来たことをよろこんでお知らせします。マーシャル・ブログが有用な情報の源であることを皆様にはご理解いただいていると存じます。マーシャル・ブログが再開したことをとてもうれしく思います。そして、今回のブログはマーシャルが運営いたします。本ブログは興味深い記事とともに最新の情報をお届けするでしょう。

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ご存知の通り、今年はマーシャルにとって、とても重要かつ悲しい年となりました。重要だったのは創立50周年を迎えたこと、そして悲しい出来事は不幸にも我々の会社の創始者ジム・マーシャルを失ったことです。我々マーシャルにとって大切なことは、次の50周年に向かって1962年にジムが始めたことを続けること、そしてジムの遺産を将来に継承することです。

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マーシャルを強化するために、ファミリーに新しいふたつのブランド、ナタール・ドラムとエデン・ベースを迎えたのもハッピーなことです。

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すべての皆さんをマーシャル・ブログに歓迎いたします。以前のようにブログのすべてをお楽しみいただきたいと願っております。このブログは今やナタールやエデンの情報と併せて、読者の皆さんとともに作られていきます。

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我々マーシャルは、皆さんの選択がマーシャルであることを誇りに思っています。

マーシャル社社長
ジョナサン・エラリー

To Marhsall Blog readers,

It is with great pleasure that I can announce the return of the Marshall Blog, along with the return of Shige. I know that you all found this a useful source of information and it is great that it has returned and is now under the control of Marshall. The blog will continue to develop and bring you up to date with interesting articles.

As you are aware this is a very important and sad year for all Marshall; firstly for it being our 50th anniversary and then the unfortunate passing of our founder Jim Marshall. It is important that we at Marshall continue what Jim started back in 1962 for the next 50 years and ensure that his legacy lives long into the future.

We are also happy to welcome to the Marshall family our two new brands Natal Drums and Eden Bass to enhance the Marshall offering.

I would personally like to welcome you all to the Marshall blog I hope that you continue to return and enjoy all that the blog has to offer. This blog has been created with you and for you and will now also include information on Natal and Eden.

At Marshall we know that you have a choice and we are proud that you have chosen Marshall.

Director

Jonathan Ellery

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2012年10月29日 (月)

ポール・ギルバートからのおめでとう!~Congratulations from Paul Gilbert!

マーシャル・ブログの再開に際し、ポール・ギルバートからメッセージを頂戴しました。
ご記憶の方も多いかと存じますが、前回のマーブロもポールの登場で始まりました。
その後、ポールにはソロ・バンド、Mr.BIG等色々な形でMarshall Blogに登場して頂きました。最新アルバム『Vibrato』を発表し、ますます意気盛んなポール!
今回も、これからも、またまたお世話になりそう…よろしくお願いします!

Giantmarshall

おめでとう 新しいMarshall Blog!

マーシャルについて語ることよりエキサイティングなことって何かあるかな?
僕はないと思うよ!
それをしているのがここ、Marshall Blogさ!
僕は以前やっていたブログのファンで、Mr.BIGやソロ・アーティストのツアーのレポートで何回もMarshall Blogに登場させてもらったこと誇りに思ってるんだ。
この新しいMarshall Blogも興味深いマーシャルの情報をみんなに発信続けてくれるに決まってる!
僕はそれを見るのをとても楽しみにしているし、近い将来ここに登場できることを期待してるよ!

そうそう、僕も出演したロンドンのウェンブリー・アリーナで開催された、あの素晴らしかったマーシャルのコンサート「50 YEARS of LOUD」について言わなきゃね。

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ステージでは自分のソロ・バンド、それからJoe Satrianiと最高の時を過ごしたよ。(Mike Portnoyをスペシャル・ゲストに迎えたんだ)それから、コンサートの最後のスーパー・ジャムでは、Yngwie Malmsteen、Joe Satriani、Gkenn Hughes、Doug Aldrich他のアーティストと共演したんだ。

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偉大なミュージシャンに最高のお客さん、そしてアンプは完璧だった!

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もうすぐ日本でクリニックを何回か開催するよ。
クリニックでは新しいDSLの40Cを試せたらと思ってる。最近楽器店でのクリニックで弾いてみたんだ(ギリシャでのクリニックの最中だよ)。
激しかったナ。DSLはいつも僕のお気に入りなんだけど、これは特によかった。
また早く弾きたいよ!

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どうもありがとう!

ポール

Congratulations to the brand new Marshall Blog!

Is there anything more exciting to talk about than Marshall amps? I don't think so! And this is the place to do it. I was a fan of the last blog and had the honor of appearing in it many times when I toured in Japan with Mr. Big or as a solo artist. I know the new blog will continue to bring all the most interesting Marshall news to everyone, and I look forward to seeing it and appearing in it in the future!

Also, I should mention the amazing "50 Years of Loud" concert that I just played at Wembley Arena in London. I had a great time onstage playing with my solo band (featuring Mike Portnoy as a special guest), with Joe Satriani, and at the super-jam at the end of the show with Yngwie Malmsteen, Joe Satriani, Glenn Hughes, Doug Aldrich, and more. The musicians were great, the audience was great, and the amps were perfect.

I also have some clinics coming up soon in Japan. I'm hoping to try the new Marshall DSL40C at my clinics. I tried one out recently in a music store (while I was doing a clinic in Greece), and it sounded FEROCIOUS. I have always loved the DSL, but this one sounded especially good. I can't wait to try it again!

Thank you,

Paul

(敬称略 ジャイアント・マーシャルの写真提供はMr. Paul Gilbert、その他は2012年9月22日ロンドン・ウェンブリ―・アリーナにて撮影) 2

2012年10月26日 (金)

Marshall Just Launched Marshall Blog!~マーシャルがマーシャル・ブログはじめました!

2011年末をもって終了いたしましたマーシャル・ブログを再開させていただきます。

前回のブログ脱稿後、今日に至るまで行くところ行くところ、驚くほど多数の読者やアーティストの方々から終了を惜しみ、そして再開を望むお声を頂きました。マーシャル・ブログがあれほど多くの皆様にご支持を頂戴していたことを心からうれしく思いました。この場をお借りしましてご支援をいただいております方々に厚く御礼申し上げます。

そうした状況を受けてイギリスのMarshall Amplification社がここにマーシャル・ブログの復活を果たしたのです。Marshallの、MarshallによるMarshallファンのためのブログです。名前は「Marshall Blog」。日本語表記では「マーシャル・ブログ」。真ん中に「・」を入れてやってください。時には「マーブロ」って呼んで可愛がってやってください。

カッコいいバナーはソフト・マシーン、ジミ・ヘンドリックスの国内盤等、数々のCDジャケットやフランク・ザッパのDVDボックスや宣材物、中山康樹さんの大著『マイルスを聴け!』や『スケルトン・キー グレイトフル・デッド辞典』の表紙等を手掛けている梅村デザイン研究所の作品です。

前回のマーシャル・ブログは3年9ヶ月の間に900回を優に超える更新を果たしましたが、質・量ともそれを超えるべく、決心も新たにまた本日ゼロから始めます。皆様のご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

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さて、去る9月22日に開催されたマーシャル創立50周年記念コンサートも無事終了しました。

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何せ50年に1回の大イベント…次回の参加は無理でしょうから、今回スタッフとして参加させてもらった特権を活かしてマーブロでは徹底的にコンサートをレポートします。

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ところで、今やマーシャルはMarshallだけでなく、3本の商品の柱で構成されています。

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ひとつめの柱は当然Marshall。

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ふたつめはイギリス伝統のパーカッション・ブランド、NATAL(ナタール)。

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そして、ベース・アンプのEDEN(エデン。向こうの人たちは完全に「イーデン」と発音するのね)。

これらの話題についても触れていきます。

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もちろん得意のライブ・レポートもジャンジャンお送りします。

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海外アーティストのコンサートもチャンスがあれば積極的に出向きたいと思っています。

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マーシャル他の商品情報の他にも関係したグッズや…

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おもしろストーリーをテンコ盛りに!

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ロックの情報や…

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マーシャルの本拠地、イギリスの情報も写真、ウンチク&ボヤキ満載でお送りします。

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以前にも増して読みごたえのある楽しいブログづくりを目指します。繰り返しになりますが、読者の皆様の相変わらずのご厚情を賜り度くご愛読のほどよろしくお願い申し上げます。   1