METAL QUAD SAGA<前編>~てらちん with Troublesome GUYS &NAKED MACHINE
『METAL QUAD SAGA』…ウ~ム、ケンカが強そうなイベント・タイトルだ。
4つのメタル/ハードロック・バンドが会するRAZOR HIGHWAYの企画。
「Quad」といえば…急に思い出した!
私がまだ日本のMarshallのディストリビューターに勤めていた20年以上前のこと。
Marshallの本社で新商品開発の会議が開かれることになり、事前に主要国のディストリビューターから新商品のアイデアを募ったことがあった。
で、私はどうしたか…。
その時のMarshallのフラッグシップ・モデルは「JCM2000 TSLシリーズ」だった。
TSLは「Triple Super Lead」で3チャンネルだから、せっかくの新商品とあればその上を行くべきだろうな…と、私は考えて「4チャンネルのモデル」を提案した。
「2=Dual」、「3=Triple」と来て、今度は「4」だから「Quad」だ。
名付けて「Quad Super Lead」、略して「QSL」!
そして会議当日。
いよいよみんなのアイデアを紹介する時間になった。
司会をしていたエンジニアが様々なアイデアが集まったことに関するにお礼を述べた後、こんなことを口にした。
「どこの国だったっけナァ…『4チャンネルのモデル』なんてヘンなアイデアもありましたけど…」とか言いやがんのよ!
「ナニをッ!それはオレだ!」などと名乗る勇気もなく、若干小さくなってその場をやり過ごした。
それから数年して…。
Marshallが2007年に満を持して発表した新しいフラッグ・シップ・モデルは4チャンネルを擁する「JVM410」だった。
見たかッ!
もちろん私が提案したアイデアがそのままストレートに取り入れられて開発したワケでは全くないんだけど、私は「勝った…」と思ったね。
さて、新宿Wild Side Tokyoの「QUAD」。
まずご紹介するのは2番目に登場した「てらちん with Troublesome GUYS」。
洋楽の名曲を演奏するチーム。
メンバーは主宰者の…寺沢功一。
高谷"ANNIE"学
佐々木"五郎"博
松井"まっちゃん"博樹
樋口"もっちゃん"素之助
1曲目は「Burn」。
高谷さんの声を聞くのは久しぶりだナァ。
太く図太く、ド迫力のロック・ヴォイスは全く相変わらずだった。
サビのボーカルズはてらちんの担当。
Marshallの50周年記念コンサート前日のリハーサルの時にグレン・ヒューズの生歌を間近で聞いたけど、スゴい声だったよ。
てらちんの歌もバッチリだった!
続いては五郎さんのギターから「Gettin' Tighter」。
ボトルネックがバッチリとキマった。
五郎さんはMarshall。
「JCM900 4100」と「1960A」を使用。
「はじめまして!『てらちん with Troublesome GUYS』です。よろしくお願いします。
久しぶりの方もいらっしゃると思いますけど、リーダー寺沢さんのお気に入りの洋楽のハードロックやヘビメタのカバーを演るという主旨で活動を開始しました」
「今日の4バンドの中では、唯一オリジナルじゃないということでラッキーなシチュエーションでございます。
ナニしろみなさんがよく知ってる曲を演りますからね。
知ってる方は一緒に歌って騒いでください」
続いてはモントローズの「Bad Motor Scooter」。
'もっちゃん'と'てらちん'のコンビネーションが再現する…
いかにも「アメリカン・ロック」らしいノリが楽しい!
雰囲気が替わってブリティッシュ。
もうコレは高谷さんが歌うためにあるような曲じゃん?
ホワイトスネイクの「Crying in the Rain」。
五郎さんの泣きのソロもタップリ!
そして松井さんの鍵盤がドラマティックに演奏を彩った。
「ありがとうございます。楽しんで頂けていますか?
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、今日はちょっとデビカバ増えすぎです」
ちょうど数日前にデヴィッド・カヴァーデイルが引退を表明したタイミングだった。
偉大なシンガーに尊崇の念を込めてこの日の選曲したという説明があった。
「『てらちん with Troublesome GUYS』という名前の由来は、みんなでバンド名を決める時に『てらちんとゆかいな仲間』でいいんじゃないですか?みたいな話があったんです。
でもそれではチョットありきたりだなぁ~ということになった。
じゃあ、もう『メンドくさい連中』っていうコトで『てらちん with厄介なヤツラ』という案も出たんですが、日本語じゃあチョットねぇ。
で、出てきたのがこの『Troublesome GUYS』なんですが、『てらちん』だけひらがなでいこうということにしました」
「カッコ悪くない?大丈夫?カッコいい?大丈夫?ひらがなで…」
ゼンゼン問題なし。ひらがな大歓迎!
…とバンド名の由来を発表して盛り上がったところで再びカヴァーデイル。
カヴァーデイルの思い出は他で何回も書いたので今日は書きませんが、とても感じの良い人でした。
松井さんのキーボーズから…
ホワイトスネイクの「Love Ain't no Stranger」。
そして今度はUFOが出て来た!
厄介な皆さんが取り上げたのは「Lights Out」。
私が高校生の時にアルバム『Lights Out』が出て、も~聴き狂ったね。
2010年、UFOをロンドンで観た時、フィル・モッグが「♪Lights out in London」と歌った日には涙が出た。
まさかホンモノが歌うこの曲をロンドンで体験できることなんて想像したことがなかったからね。
UFOはポール・チャップマンと来た1979年にも中野サンプラザで観たけど「Lights Out」は演ったかナァ…ま、演ったんだろうナ。
この曲も高谷さんにピッタリすぎるぐらいピッタリだ。
弾くわ弾くわ、五郎さんのソロが大フィーチュア!
ところが先頃SNSで発表があった通り、五郎さんはバンドを脱退してしまった。
こんなにバリバリ弾いていたのに!
そして、短い挨拶の後、もう1曲ホワイトスネイクで出番を締めくくった。
曲は「Fool For Your loving」。
満員の客席に向かって力いっぱいの演奏を見せてくれた!
やっぱり「ロックがロックらしかった時代のロック」はいいね。
ゼンゼンTroublesomeではありませんから!
続いて当日3番手でステージに上がったのは今年10周年を迎えた「NAKED MACHINE」。
KAN
里村源多朗
岡本啓祐
本間大嗣
まずは「Vanity of the World」。
人気のドライビング・チューンでブッ飛ばす!
もちろん源ちゃんのソロはノッケからバリッバリ!
今日の源ちゃんのMarshallは「JCM900 4100」と「1960A」。
注目してもらいたいのは…ってお客さんには全く見えないんだけど源ちゃんのペダル・ボード。
ホラ、赤い線で囲ったところ。
ビンテージ・リイシューの「DRIVE MASTER」が入ってるんだぜ!
さすが源ちゃん、ナイス・チョイス!
続いてヘヴィにグルーヴするのは「Wing of Tomorrow」。
啓祐さんの歯切れのよいベースと…
本間さんの百戦錬磨のドラミングが完全に一体化して生み出されるロック・グルーヴ。
源ちゃんはココでもシャープなソロ・フレーズを次から次から繰り出してくる。
左手を大きく左右に振りながら歌うKANちゃん。
お客さんもそれに合わせて大合唱!
アッという間に会場が完全にNAKED MACHINE色に染まった!
<つづく>
