SIMO with 森園勝敏<第2部>
久しぶりのsimoのライブ。
休憩をはさんでの第2部のオープニングはホレス・シルバーの「Senor Blues」。
森園勝敏が冒頭からステージに上がった。
「森園」さんは全国で約4,000人いらっしゃる番付が3,159位の名字だ。
楽屋でご自身もおっしゃっていたが鹿児島がルーツ。
昔は4,000人もいなったそうだ。
森さんはSTUDIOシリーズの「ST20H」と1x12"スピーカー・キャビネットの「ST112」を使用。
1962年のMarshallの第1号機「JTM45」の3世代目を20Wモデルで復活させたのが「ST」のラインナップ。
このMarshallを得て森さんの説得力のカタマリのようなギターが大いに本領を発揮した。
延々と12/8拍子でウネリをあげる宮野さんと…
大二さんの最強リズム・タッグ。
大二さんはNATAL(ナタール)。
お気に入りのバーチのキットでバシバシと好プレイを披露してくれた。
為人さんのピアノ・ソロ。
後半にかけて激しく盛り上がっていく様は圧巻だった。
そして、エフェクターを実に上手く使った関ちゃんのソロが続いた。
今日の関ちゃんは愛用の「SV20H」と「1922」にJCM900のSTUDIOシリーズ・バージョン「SN20H」と「SC212」を併用。
そう、今日はSTUDIOシリーズ三昧なのだ!
ところで、下は「Senor Blues」のオリジナル・バージョンが収録されたホレス・シルバーの1956年のブルーノート盤『6 Pieces of Silver』。
この曲には歌入りバージョンというのがあって、作曲者のホレスが初めて「歌詞」を書いたのだそうだ。
よく森さんたちは「セニョール」ということでこの曲を「ダンナのブルース」なんて呼んでいたが、コレ…歌詞を読んでみると、「メヒカリ(カリフォルニアの南からホンの少しメキシコに入った辺り)あたりじゃ彼のことをみんなセニョール・ブルースって呼んでいるゼ」となっている。
歌の中では「セニョール・ブルース」というのは、背が高くてハンサムなメキシコのあんチャンのアダ名のようだ。
しからばホレスがそっちの方の出身かと思えばさにあらず。
正反対のコネチカットの出身なのだ。
この「Conneticut」って発音がムズカシくてサ、「クンネリキャッ」とやらないとなかなか通じない。
アニタ・オデイもこの曲を歌っていたんだネェ。
知らなかった。
イヤ、私はアニタがすごくスキでしてね。
下はよく聴いたアルバム。
音源を聴いてみるとアニタの「Senor Blues」も持ち前のハスっぽさがいい具合に発揮されていて実にカッコいい。
次、森さんのギターからスタートするのはジョー・ザヴィヌルの「Mercy, Mercy, Mercy」。
みんなでタップリとテーマを奏でた後は為人さんのファンキー風味のエレピのソロ。
関ちゃんはセミアコに持ち替えてバップっぽいフレーズを交えてソロを組み立てる。
そして最後はユーモラスに中華フレーズで締めくくった。
1967年、この曲はキャノンボール・アダレイ・クインテットの演奏でビルボードのR&Bチャートの2位まで上がったというんだから恐れ入る。
いい時代だったネェ。
もちろん私はそのキャノンボール・アダレイの演奏でこの曲を知ったが、モノはついでということで調べてみると、この曲も当たり前のように歌入りバージョンがいくつか存在している。
オモシロかったのは1967年の「The Buckinghams(ザ・バッキンガムズ)」というバンドのバージョン。
こんな名前とルックスだから当然イギリスのチームだろうと思ったところ1966年に結成したシカゴのチームだった。
ただただザヴィヌルが作ったメロディを歌でナゾっているだけなのだが、なかなかによろしいナ。
歌の終わりで毎回リタルダントするところが微笑ましい。
「今日は先ほども申しましたようにMarshallさんの取材が入っております。
森さんもMarshall、私もMarshall、そして大二さんのドラムスはNATAL。
そんな大事な日にギター・テックが台湾に行ってしまいまして…向こうの方がギャラがヨカッタんですね。
で、今日は15年ぶりぐらいに師匠である森さんの家まで迎えに上がりました」
「介護なしではギターも弾けない身ですからね」
「森園勝敏と岡井大二といえば日本が世界に誇るプロッグ・ロックバンド『四人囃子』のお2人ですからね。
数年前から森さんもちょくちょくsimoに参加してくれるようになりまして私も責任を感じています。
皆さんの応援あってのsimoでございますのでこれからもよろしくお願い致します。
ということで四人囃子の曲をお届けします」
為人さんがエレピで奏でるおなじみのイントロの三連のフレーズ。
♪ダンダンダンダンダンダン!
大二さんのフロア・タムが猛クレッシェンドで入って来た!
もうコレで何の曲かわかるでしょう?
わかんない?
曲は1974年の『一触即発』から「空と雲」です。
「♪何か食べ物を買ってから」…歌詞もいいんだよナァ。
音程を上げ下げしながら延々と同じパターンを着実に奏でる宮野さん。
ピアノ・ソロに続いて切り込んで来た関ちゃんのギター・ソロはとてもダイナミックだった。
森さんはほとんどクリーンのサウンドでワーミー・バーを使いながらどうしようもなく味わい深いフレーズの数々をヒネり出した。
しかし、いい音だな~。
クリーン・サウンドということもあるけど、何しろ音のヌケ方が尋常ではない。
もう1曲四人囃子のレパートリーを。
スペイシーなギターの独奏から関ちゃんがアルペジオを奏でると曲が動き出す。
森さんはひたすら8分音符を刻み続ける。
曲は森さんが参加していないアルバム1989年の『DANCE』から「眠い月」。
以前からsimoではこの曲を頻繁に取り上げてきたが、森さんが参加して演奏するのはコレが2回目ということだ。
曲はたゆたうようにして流れ一旦動きを止めるが…
大二さんのパワフルなフィルで息を吹き返しクライマックスへ向かって行った。
「よく『バズる』って言いますよね?
バズって欲しいナァ…と思って次の曲を作りました。
最近は名の通ったレコード会社でも新人に向かって『とりあえずバズって来い』って言うらしいんですよ。
で、バズってフォロワーが何万人になったら面倒見てやるって言うんですって。
simoだって売れる気はあるんですよ。
もしかしたらお客の中に広告代理店の人がいてsimoを気に入ってくれるかも知れませんからね」
「レコード会社って昔っからそういうところはあったけどね。
でも『いい音楽』と『売れる音楽』って別なんだよ。
で、最近YouTubeを見ていて昔の人もみんな売れる気満々だったということに気が付いたんだよ。
デュアン・オールマンとかはそうでもない感じがするけどね」
simoがバズりたい気持ちを込めて演奏した「Buzz」は意外にもリズムがセカンド・ライン風だった。
親しみやすいテーマ・メロディがそのリズムにガッツリと乗っかって来る。
軽快な為人さんのピアノ・ソロがゴキゲン!
宮野さんがパターンをキープしながらソロを展開すると…
3-2クラーベでみんなで楽しく手拍子。
そして大二さんのドラム・ソロが炸裂した!
いいじゃないの「Buzz」。
「お客様の中に広告代理店の方はいらっしゃいませんかッ!」
バズれ~!
これまたノリのよい為人さんのピアノでスタートしたのはおなじみデイヴ・メイスンの「Feelin' Alright」。
森さんがソウルフルに熱唱!
宮野さんと…
大二さんのコンビネーションが送り出すグルーヴがスゴい!
そんなノリに関ちゃんのコーラスも飛び出した!
こうしてsimoの弁天の本編は大いに熱気を含みつつ幕を下ろした。
simoは次の弁天他の予定も決まっていて、当日はそれを告げるチラシが配布された。
森さんの表記がデカイ!
「ド平日にもかかわらず」というヤツだけど、どうぞたくさんいらっしゃってください。
「バズり」を目指していますんで。
写真のご採用ありがとうございます。
アンコール。
「今年のsimoは動きますよ!
バズりたいですからね。さっき言っていた宮野さんの新曲が楽しみですね。
師匠も新曲作ってくださいよ」
「バズるといいネェ。
新曲?…イヤ、こないだ1曲作っちゃったんであと10年ぐらいはいいわ」
と、森さんがシレっと弾き出したのは「Lady Violetta」のテーマ・メロディ。
ク~、カッコいい。
なんたってこのメロディを作った張本人だからネェ。
ゴージャスな演奏で大名曲を披露してくれた5人。
最後は森さんのギターと歌のユニゾンのカデンツァで締めくくられた。
「どうもありがとうございました!」
関ちゃんがメンバーを紹介してこの日のすべてのプログラムを終了した。
名手たちいよる名演…やっぱりいいね。
simoの詳しい情報はコチラ⇒Seiki's Web
<おしまい>
(一部敬称略 2026年3月19日 新中野弁天にて撮影)