Guitar☆Manを見逃すな!~リハーサル潜入レポート!
ロックの名曲を超一流ミュージシャンの手でよみがえらせて「ギターの魅力を見直そう!」という企画が『Guitar☆Man』。サブタイトルが「SMOKE ON THE WATER <FIRST GIG>」というんだから徹底している。そういえばマーシャルの『50 YEARS OF LOUD LIVE』の全員参加のフィナーレも「Smoke on the Water」だった。やっぱロックは♪ジャッジャッジャ~よ!
いよいよ今週の日曜日(2013年2月10日)に開催される第1回目のコンサートが近づきリハーサルが行われた。今日はそのレポート。ようするに日曜日の宣伝で~す!
ここでいつも書いているように楽器は音楽あってこそのもの。音楽も楽器がなくては成り立たない。いい音楽こそが楽器を進化させ、いい楽器が音楽を通じ自らを発展させてきた。
今、このバランスが崩れまくっている。先人の素晴らしい音楽遺産との間にミッシング・リンクが生じ、音楽のアイデアが底をつき、音楽の深みがなくなる反面、デジタル・テクノロジーの恩恵により昔では考えられなかったことが何でもできるようになってしまった。
その結果、テクノロジーを制覇し、進化を希求する人たちの音楽が、器楽演奏能力と音楽性の両面において一番退化しているという大変不思議な現象を生んでいるように見える。
もうどうあがいても新しいものはできない。テクノロジーを駆使した「新しく聴こえそうな音楽」は現れるものの、内容としては何ら新しいものではない。殊に日本のロックっぽい音楽は、方向性が湾曲し、どんどんフォーク化しているようにも感じる…というとフォークに失礼なんだけど、つまり、「それ、バンドでなくて弾き語りで演ったらいかがでしょうか?」という意味ね…。
もっともこんなエラそうなロック論をぶったところで、チャールズ・ミンガスがまだ存命のころ、70年代初期のインタビューでの一言でイチコロなんだけどね…「何だ(怒)、今のロックってのは(怒)?あんなものオレが20年前(1950年代)にやってたことじゃないか!(怒)」…意味はわかってるつもり。やっぱ巨人はスゴイわ。
今朝新聞で読んだが、今年のグラミー賞の候補者はルーツ・ミュージック色が濃いんだってね。私はグラミー賞自体には昔からとんと興味がないが、この記事を読んでアメリカ人は今の音楽の状況に気づき、「温故知新」を取り入れ出したのかな?と思った。アメリカン・ルー・ミュージックはアメリカ人の大変大きな遺産ですからね、大切にしているんだろうな~…とも感じた。
そして、同時にポピュラー音楽のルーツを持たない日本人の音楽はどこへ向かい、どこへ戻ればいいのだろう?
私の答えは「洋楽」だ。ロックはみ~んな、アメリカ人とイギリス人に教わった。
この手の企画が、オヤジたちが「あれ知ってる!」、「これ知ってる!」の懐古趣味でよろこぶだけのものでなく、若い人たちが会場に足を運び、「こんな曲があったのか!」と感銘を受ける場に成長してくれればよいと思っているし、そうなればギターなんて自然に流行り出すであろうと個人的には信じている。だって、あの時代のロックを聴けばロックやベースがカッコいいと思い、自分でもやりたくなるのが自然だもん!
いい音楽があって、いいミュージシャン(アーティストなどとは軽々しく呼ばない)がそれを奏でる…もうそれだけでいいのよ。
『Guitar☆Man』はシリーズのイベントで、毎回出演者が変わっていく。
やっぱり名人芸は見ておくべきなのよ。やれ、「ローウェル・ジョージを見ておけばよかった!」とか「ロイ・ブキャナン行けばよかった!」なんて聞くけど、(私は両方観てます。心の中で自慢。でも、ツェッペリンもBBAも観てないからエラそうなことは言えない。ただの例です)我々の身近に観ておかなきゃならない人がたくさんいらっしゃる。私は志ん朝も談志も観ておいて本当にヨカッタと思ってるからね。
ま、失礼な話に聞こえるかもしれんばいけど、もう誰も到達することのできないような音楽的至芸を身につけた達人たちも齢を重ね、いつ観れなくなるとも限らない。でも、これは真剣な話で、最近日本のロック界は不幸な出来事が続いていることもあって、音楽関係者とそんな話をする機会が増えた。
ナゼ、二度とそういう人がもう出てこないかというと、そういう達人はもっともロックがよかった時代、自分の耳だけでリアルタイムに音楽を勉強した人たちだからだ。その時代の空気感が詰め込まれているということもある。
69年製の1959SUPER LEAD、60年代のアメリカ製のセルマーや59年のレス・ポール等が今の技術を持っていてもまったく同じに再現できないのと似ているかもしれない。いい意味で人間が良質のビンテージ楽器なのだ。
『Guitar☆Man』の出演者はそんな音楽達人ばかりが集められる。
今回のヴァーチュオーゾたちは、企画に深くかかわった伊藤広規がベース。
キーボードは難波弘之。
ボーカルはMicey-T、StuartO、浦田健志の3名。(写真はStuartOさんが欠)
やっぱりスゴイ演奏だ。まるでCDを聴いているかのよう。
このコンサートもうセット・リストの一部が発表になっていて、その中にナント、フォーカスの「Sylvia」が入っていた。うれしい!
もちろんヤン・アッカーマンの"F"のオクターブのカッティングから始まるワケで、カッティングとくればカタやんだ!もうこの時点でタマラン!
そこへ加えて北島さんがメロディを乗せる!もう歌いまわしがアッカーマンで、オシッコちびりそうなぐらいカッコいい!
さらにタイス・ヴァン・レアとまったく同じオルガンがかぶさってる!
もとは歌詞が乗る予定だったこのフォーカス最大のヒット曲、もう何回聴いたかわからんけど、こうして人間(達人)が演奏しているのを聴くと「こんなことやってたんだ~」と新しい感動を呼ぶ。
2年前にロンドンでアッカーマン抜きのフォーカスを見たけど、こっちの方がよっぽどホンモノっぽいな…。70年代にはこのオランダのグループがミュージック・マガジン誌のリーダーズ・ポールの上位にいたんよ~。そんな時代があったのさ。
また渡嘉敷さんのドラムがそれっぽい~!
…とすべての曲がこんな具合で聴きどころ満載!やっぱ名人芸は素晴らしい!
このGuitar☆Manにいいところは、洋楽だけでなく、上質な日本のロックっぽい歌謡曲も演奏してしまおうというところ。賛成であ~る。それらは一流の作者の作品だ。こうした達人たちの手で演奏されて息を吹き返すことほどうれしいことはない。
「はいはい~」。いつでもホンワカ・ムードの広規さん。
趣旨に賛同し、Marshallもサポートさせていただいた。
今回北島さんはVintageModern2466と1960Aを使用。
土方さんはJVM410Hと1960A。
広規さんは1992SUPER BASSと1982。1994年に限定発売された「Barney」とあだ名される1982Bキャビを擁した通称「ヘンドリックス・スタック」、1959LTDのベース版。といいたいところなんだけど、これSUPER BASSも生産されたんだ?モノの本にも出ていない。 ちょっとフィル・ウェルズに確認してみよう。広規さんはリンクして使用している。
ギターの魅力はマーシャルの魅力。今回のGuitar☆Manはマーシャルの魅力をそのまま楽しんでいただくことにもな~る!
「Purple Haze」のエンディングの説明をする北島さん。
2004年だったかな?『Hand Wired Show』と称して、土方さんと北島さんにお願いして東京と大阪で1974Xと2061Xのデモ・ショウを開催した。
東京ではFuzzy Controlが、大阪ではSavoy Truffleに共演していただいて、最高のギター・ショウになった。おふた方ともあの時と何も変わらない素晴らしいプレイだ!私は司会もやらせていただいたが、楽しかったな~、あの時も。
休憩が多いが、広規さんも気合が入る!また、この1992、ウソみたいに音が抜ける!広規さんのグルーヴにピッタリじゃん?!
難波さんはいつもの通り、ニコニコと繊細な演奏でバンド全体をやさしく包み込む。難波さんのキーボードが鳴り出すと、バンドの音の厚みがドバっと増す!
渡嘉敷さんは土方さんが玉置浩二さんのサポートをしていた時にはじめてお会いした。楽屋でツェッペリンの未発表音源を嬉々としてお聴きになられていた。そういうお方!ビシッ~としたドラミングが快感!
とてもみんな楽しそうだ!これはきっといいコンサートになるよ~。だって、演奏している人たちが一番楽しそうだからね!これぞ音楽の基本!
「そろそろ休憩しよーかー」。ああ、広規さんのパートナー、くり子さんと3人でロンドンをブラついた時を思い出す~!これぞ広規流!スタジオの周囲にパブがなくてヨカッタ?
すぐに書いとかないと!土方さんは自分で見やすいようにすべて譜面を書き直している(リサイズともいう)!これぞプロ根性!
いつか土方さんが「こんな感じ…」と実際にレコーディングで使用している譜面を持参して話をしてくれたけど、スタジオの仕事を始めた若かりし頃、譜面が苦手で猛烈に訓練をされたそうだ。土方さんでもそうだったのだ。
譜面を読みほどく広規さん、チョー真剣!
私はミュージシャンが譜面に何かを書き込んでいる姿がすごく好きなんです。絶対カッコいい!
確認に余念がないメンバーのみなさん。仕上がりが楽しみだ~!
…というわけで、
開催は2013年2月10日(日)。場所は汐留BLUE MOOD。
当日は17:00と20:00の二回興行(入れ替え制)。入場料は、前売り(全席自由): ¥4,000 当日: ¥4,500 + お食事(¥1,000) + 1ドリンク(¥500)となっている。
Guitar★Manの詳しい情報はコチラ⇒ Guitar★Man公式ウェブサイト
素晴らしい音楽を!素晴らしい演奏を!いっしょに楽しみましょう!
(一部敬称略 2013年2月7日 都内某スタジオにて撮影)