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2021年5月

2021年5月26日 (水)

TOKYO 2020 OLYMPIC TORCH RELAY<後編>


 
さて、『TOKYO 2020 OLYMPIC TORCH RELAY』イベントの開演時間が刻一刻と近づいて来た!Simg_0003報道陣も準備にあわただしい。426そして、いよいよスタート!
プログラムは今から始まる「オープニング・プログラム」と聖火を迎える「到着セレモニー」の2部構成。430_2総合司会は金子恵理子さん。
日本語でしゃべってからすぐに同じことを英語で話すセルフ通訳方式。
コレ、大変なんだよ。435vステージの上にはMarshallのロゴが映える………映えない!
真っ黒だぁ!
なんてね、いわゆる「大人のためのスポンサー事情」。
メイン・スポンサーに家電大手メーカーが名前を連ねていることへの忖度。
周囲の皆さんがすごく気にしてくれてありがたかったんだけど、気にしない、気にしない!
こちとら世界一のギターアンプ・ブランドよ…知っている人は誰がどう見てもMarshallだし、知らない人は一生知らずに終わるシロモノだから。
イギリスにも早速レポートしておいたけど、「世の中、金を出したヤツが一番強いんだから逆らってはいけない」ということで問題なし。
でも、やっぱりロゴが入っていた方がよろしいナ。440vヒロアキくんの出番は一番最初。
ステージに児童合唱チーム「綺楽凛(きらり)」が勢ぞろいしたところで、このコーナーの司会、篠田愛純さんが登場。450_2「田川さんは下関出身で、先天性の視力のハンディキャップのため、ギターの一般の演奏方法を見たことがないことからピアノのように演奏するスタイルを確立し、その超絶的な技巧により様々なサウンドを奏でています。
本日は東京五輪/パラリンピックに向けて制作された『Sky』を菊川よさこい蓮合キッズチーム『綺楽凛』の皆さんのコーラスと一緒に…。
そして山口県のよさこい総踊り曲『男なら』をよさこいチーム『馬関奇兵隊』と『菊川よさこい蓮合』の皆さまにステキな演舞で盛り上げて頂きます!」
ハハ、後ろでヒロアキくんが待機してるわ!

460v田川ヒロアキ登場。
まずはひとことご挨拶。
ココは時間との勝負だった。
ま、超パンクチュアルなヒロアキくんのことだから時間のマネージメントに関しては何の心配もいらないんだけどね。
あ、今「パンクチュアル(panctual=時間厳守の)」なんて書いてどこかの国の首都の知事さんみたいなことをしてしまったが、ヒロアキくんはその方とも共演してますからね。
「皆さんこんばんは、田川ヒロアキです!」

470_2「一生に一度あるかないかの記念すべき日だと思います」と切り出して「Sky」の制作過程とレコーディングの経緯を手短に説明した。
「『綺楽凛』の子供たちとレコーディングしてから2年が経ちました。その『Sky』を聴いてください」480v2009年の日比谷野音以来、今まで様々な場面でヒロアキくんの熱演を見て来たけど、やっぱり今回はいつもと異なる「スペシャル感」が強く漂っていたね。490_2感情をタップリ込めて歌い込むヒロアキくん。
楽屋ではいつもと全く変わらない様子にしていたけど、もう今日は歌い出しからその「スペシャル感」に呼応するような「やったるでフィーリング」が伝わって来ていた。

500_2そのヒロアキくんを大いに盛り上げたのが「綺楽凛」のお嬢さん方。
 
「♪大空 見上げて 心の叫びを描けば」

510「♪降る雨 吹く風 夜明けが塗り替えてく」
 
<前編>に書いたように、「綺楽凛」と生で共演するのはコレが初めての機会だった。
ヒロアキくん、とてもうれしそうだった。

520_2そして、思いの丈を指に託したギター・ソロ。
やっぱりMarshallじゃなきゃムリだわ。
他のアンプじゃとてもヒロアキくんの気持ちを音にしきれない。

530_2〆のポーズも心なしかいつもよりキマっているような?
まずは1曲、最高の出来で仕上げたぞ!540_22曲目。
「綺楽凛の子供たちからよさこいチームに入れ換わってにぎやかになりました。
20年前に民謡をよさこいにアレンジした曲です」
…と「男なら」を紹介。
よさこい部隊は、「馬関奇兵隊」と「菊川よさこい蓮合」のドリーム・チーム。550静まり返った会場に響き渡るよさこいサウンド!Simg_3796来場者は一糸乱れぬ演舞に目も耳も釘付けになる。

S20r4a0251 このエキサイティングなパフォーマンスを更にドラマチックに仕立てているのが「あおり」と呼ばれる掛け声だ。640菊川よさこい蓮合の方は大越則子さん。

Simg_3868_2 ヒロアキくんが上手を見ると…

Simg_3818親友の馬関奇兵隊の濱崎康一さん。
「♪ハ~ッ、ホッ!」と景気の良い合いの手が否が応でも雰囲気を盛り上げる。

590v私は生で見るのはコレが2回目。
前回は2015年の『世界ボーイスカウトジャンボリー』でのこと。
あの時は9つものよさこい連がくんずほぐれつの大演舞を披露してくれたが、ナンのナンの!
人数では比肩のしようがないが、今回も熱気にあふれた最高のパフォーマンスを見せてくれた!
570_2そして、ヒロアキくんのギター・ソロ!
大爆発!
「ギャハハ!こんなんココでやっちゃっていいの~?」というぐらいの弾きまくり!
♪ギュイーン、ギュイーンと、あまりのハチ切れぶりに見てて思わず笑っちゃったよ。Simg_3787もちろん音は最高。
広い会場の隅々まで抜け渡る真正ロック・ギター・サウンド!
アンプにロゴが付いていなかったので確かなことは言えないが、こんな音を出すのはMarshallに他ならないだろう…もういいか。失礼しました!
いつも浅草雷門の提灯をありがとうございます!(←わかってくれる人だけわかってください)

Img_3806 よさこいチームも盛り上がる一方だ。

600_2
650そして、ヒロアキくんもあおりに入る!

580_2お客さんに手拍子を促してさらに盛り上げるのだ!

645vステージの傍らでは「菊川よさこい蓮合」の大旗が威勢よくはためく。
そしてそれを見守る綺楽凛のメンバー。645徹底的にやりきったヒロアキくん。
思い残すことはナニもないだろう。

660vそして2つのよさこいチーム。
三千世界(この世のすべて)のカラスをスッ飛ばしちゃいそうなパワーみなぎる「男なら」だった!

670オープニング・プログラムはこの後、スポンサー企業さんのプレゼンテーションが続いた。
終了後、田川チームは楽屋のテント村で記念撮影。
皆さんが出演したのはこのイベントの実行委員会が提供する枠で、山口県民138万人の代表だったワケ。
他にもこの枠にふさわしい山口県出身の歌手や芸人がたくさんいらっしゃったことだろう。
しかし!
写真に写っている皆さんが「山口県」の顔として一生に一度しかないであろうステージに立ったワケよ。
おめでとう!

680ヒロアキくんは、最近そればかりでない。
数か月前には山口県立大学の客員教授に就任。
イヨッ、キョウジュ!
Syluそして、元々山口県の「ふるさと大使」を務めていたのだが、それに加えて下関出身ヒロアキくんは同市の「しものせき海響大使」に任命された。
イヨッ、カイキョウ!
下はその任命式の時の前田下関市長との記念写真。
「しものせき海響大使」は、文化的な側面から下関の発展を促進するのがその任務。

社会的なステイタスを確立している影響力のある人が任命される栄えあるポジションなのだ。

前田市長もギターを嗜んでいらして、ヒロアキくんと面会した時にはすっかりギター・ヒーローと直面したような風情だったとか…。

アンプはMarshallかどうかは聞いていない。

ま、ヒロアキくんファンだから当然三段積みをお持ちのことでしょう。

次の曲のテーマは間違いなく「ふぐ」だな。
「Who? Good!」なんてね。Skk2…と思ったら、ホラ!
ヒロアキくんの海響大使の名刺…早速ふぐだよ!S 今回は取材の数もスゴかった!
私が一緒にいる短い間ですら読売新聞やら地元のテレビ局やら、入れ替わり立ち代わりですよ。
下は身内のビデオ。
マネージャーの美瑞穂さんがインタビュアーに扮して本職のしゃべりっぷりを見せてくれた。
690ちなみにこのMarshall CODEというモデルのデモンストレーション動画でセッティングの解説のナレーションも美瑞穂さんの仕事。
実にウマいもんです。

ビデオカメラを回しているのはヒロアキくんとは30年以上のお付き合いだという木ノ切(きのきり)さん。
ヒロアキくんが高校生の時に出演したアマチュア・バンド・コンサートの時からのお付き合いだそうです。
もちろん山口ご出身の方で、私も半日ご一緒させて頂いて「道の駅」のことやその他の重要な情報を頂戴した。

Skks馬関奇兵隊の濱崎さんともMarshallをバックに記念撮影。

700そして、同級生も駆けつけてくれた!
ウソウソ!スミマセン!
あんまり親しそうにしたいたもんですから。
村岡嗣政山口県知事にもワザワザ楽屋を訪ねて頂いた。
何せホンモノの「Guv'nor(ガヴァナー=知事)」ですからね。

710下は2015年の宇部の「山口きらら記念公園」で開催された『世界ボーイスカウトジャンボリー』の時のようす。
もう6年も前かよ!

713この時は2人でギター・バトルを演ったんよ!

360 村岡さんは高校の時にプリンスに憧れてギターをやっていらしたという。
昔の写真を見せてもらったことがあるんだけど、バリッバリのロング・ヘアでロック野郎そのもの。
その後、東京大学でシッカリとお勉強されて自治省(当時)に入省された。
ココがそこら辺のロック野郎とチョット違うところ。420 この時も楽しかったナァ。
やっぱり馬関奇兵隊の皆さんと一緒だった。
タイからシリモンコン・ルーパスパットさん(中央)も駆けつけてくれたんだっけ。715村岡さんと一緒にお見えになったのは山口県議会の副議長、二木健治さん。
二木さんがケッサクで、ヒロアキくんの本当のファンで『Fly Away』もご自分で買って持っていらっしゃるっていうんだよね。
このお固そうなルックスで「チョーキング」がどうとか、ヒロアキくんとおしゃべりされている姿が憧れのロック・スターに面会したギター少年のようで微笑ましかった。

720ハイ、記念撮影。730ステージでは「オープニングプログラム」が終了した。

740ココからがメイン・イベントの聖火の「到着セレモニー」。

750聖火ランナーがこの花道を通過するワケ。
本当は聖火をつないでつないで県内を回ってココに到着する計画だったけど、山口県もそれを中止して最後の部分だけをフィーチュアすることになった。
いわばアメリカン・フットボールで言うと「タイ・ブレイク方式」ですな。
同点で制限時間内に決着がつかない時、途中を大幅にカットして、いきなりエンドラインの数ヤード前からプレイを始めて、ただタッチダウンできるかどうかを競って雌雄を決するスタイル。
サッカーで言えば「PK合戦」というところか。

760キタキタ~!
場内は「誰?誰?」の合唱。
実際、事前にアナウンスされていなかったからね。770ランナーはカヌー・スラローム日本代表選手の足立和也さん。
カヌー競技でオリンピックに出場するために大学を中退し、日本を代表するカヤックのコーチである市場さんという方の指導を仰ぐため、萩市に居住されたそうだ。780v点火!790ついた。
805v
無事に儀式が終了。
この後、村岡知事他のご挨拶があってセレモニーは無事に終了した。800お疲れさまでした~!
 
私もこの11年の間に宮古島やら、LOUD PARKやら、SPORTS OF HEARTやらMarshall GALAやら、Marshallと共に何度もヒロアキくんの大舞台にご一緒させてもらってきたけど、終演後にこんなにうれしそうに、楽しそうに、満足そうにしているヒロアキくんを見たのは初めてのことだった。
大仕事をやり遂げてホッとした…とかいうのではなく、故郷に帰り、故郷の人たちと故郷の人の前で自分の音楽を奏でたことがうれしくてならないようだった。
まさにヒロアキくんの曲が「大空」に飛び立った日だった。
故郷ってのはいいもんだね~。
 

田川ヒロアキの詳しい情報はコチラ⇒FretPiano

810v

以前、本記事に併載していた「私の萩<後編>」はShige Blogに引っ越しました。
コチラ⇒Shige Blog 私の萩<後編>

S_2

200 
(一部敬称略 2021年5月14~15日 山口県萩市にて撮影)

2021年5月25日 (火)

TOKYO 2020 OLYMPIC TORCH RELAY<前編>

 
生まれて初めて降り立ったこの空港は島根県の萩石見空港。
いいね~、地方の空港って…広々としていて、とても静かなんだよね。
昨今のコロナ禍で羽田から日に2便飛んでいたウチの夕方の便が欠航だって。
ホントにANAさん頑張って耐え抜いて欲しい。
さもないと長年貯め込んできた私の虎の子のマイレージが水の泡になってしまうからね。
Simg_5444 これから向かうのは山口県の萩市。
後で地元の方に訊いてみたところ、東京との行き来には普通宇部空港を使うらしい。
飛行機の運航便数が多いのと、アクセスする道路の便が良いとか…。
そして、萩石見空港は「国内最優秀空港」というANA社内のコンペティションで4年ぶり2回目の優勝を果たしたそう。
「安全性」、「定時性」、「快適利便性」の3つのポイントにおいて全空港従業員が一丸となって業務を遂行している姿勢と結果が評価されたらしい。
前年は最下位だったんだって!
また、空港から萩へのルートも超快適だった。
新しい発見もあったし…。10私がどうして萩まで来ているのかと言うと…オリンピックの聖火リレーのイベントに田川ヒロアキが出演するので、Marshall Blogがその取材にお呼ばれしたのだ。
会場となったのは市役所や総合庁舎が立ち並ぶ町の中枢部にある「萩中央公園」。
当初、5月13日と14日の2日間にわたっての開催が予定されていたが、昨今の情勢を鑑み全プログラム通じてのハイライトとなるセレブレーションのパートだけが催行された。240天気は心配なさそうだ。
何しろ野外ステージは先月、日比谷野外音楽堂で地獄を見たからネェ。
でもこの翌日は丸1日雨だった。
そういう意味ではこの日はとてもラッキーだった。
コレがイベント・ステージ。250イベントのクライマックスはこの花道をトーチ・ランナーが駆け抜ける算段だ。

260入場者数は300限定。
来賓の方々のイスの配置もご覧の通りの距離が置かれ、厳格なコロナ感染拡大予防の態勢が取られていた。

270コレはオリンピックの聖火リレーのオフィシャル・ショップ。280スポンサー各社のPRブース。
NTT…

290コカ・コーラ…。
何せスポンサー様が神様ですから。
この後のその神様の力を目の当たりにすることになろうとは!

300ステージ裏のスタッフのテント村。

310野外イベントには付き物の光景だけど、コレ、閉め切っていると風が一切入って来ないので夏場は暑いのなんのって!

320ステージではヒロアキくんのリハーサルの準備中。
S0r4a0141 「よし、今日もいい音だ…と」
コーラスの子供たちもMarshallの音の良さに驚いていた。
「やっぱりギター・アンプは真空管アンプに限りますね!」と言ったとか、言わないとか…言うワケないか。

340ヒロアキくんは今日もJVM210Hと1960Aの組み合わせ。
「誇るべき歴史と美しい自然が織りなすふるさとを愛し、心のよりどころとなる、あたたかいまち」にもMarshallのロゴが映える!

350vまずはボーカルズとギターのサウンド・チェック。Simg_3660 そして、コーラスが入って「Sky」を演奏。
これまで何度もMarshall Blogで紹介してきた通り、オリンピック/パラリンピックで日本に来る人たちを迎えるために作った曲。
2019年、ロサンゼルスでレコーディング。
ギターの録音ではMarshall USAが用意してくれたJVMが使われた。
380昔で言えば三波春夫の「東京五輪音頭」的なアニバーサリー・ソング。
前のオリンピックの時、私は2歳だった。
もしくは、これも三波春夫で万博の時の「世界の国からこんにちは」。
万博の時は小学2年生だった。

「よいしょこーら 夢じゃない オリンピックの顔と顔」
「こんにちは こんにちは 世界の国から こんにちは こんにちは 握手をしよう」
「大空見上げて心の叫びを描けば 降る雨 吹く風 夜明けが塗り替えてく」
こうして見ると、エラくモダンだな~。
時代を感じるね~。
古賀政男に中村八大、そして田川ヒロアキ…ここまで来た!
やってることは同じですからね。440cd聴けば聴くほど味が出て来るのがヒロアキくんの曲。
いつの間にか「♪お、お、ぞら~…」って口ずさんだりしちゃうんだよね。390vそして、今日は菊川よさこい連合キッズチーム「きらり」の皆さんとの共演。
彼女たちは何と、レコーディングの時のメンバーそのままなのだそうだ。
そして、ライブでは初の共演となる。

Simg_3684 レコーディングから2年もの月日が経ってしまったので、全員声変わりしていたけど…冗談ですよ~。女の子ですからね、声変わりはありません。
リハーサルでも鈴を鳴らすような声で美しいメロディを歌い上げてくれた。

S0r4a0153そして、場面は変わって…
360本番で演奏するもうひとつの曲、「男なら」。
コチラは下関から「馬関奇兵隊」と「菊川よさこい蓮合」が参加しての演技。400ヒロアキくんは2000年からたくさんの「よさこい」チームのための曲を作って来た。
その中にあってこの「男なら」は「総踊り」といって、山口のよさこいを取りまとめるようなステイタスの高い曲なのだ。

410vヒロアキくんの大親友、馬関奇兵隊の濱崎さんの掛け声もリハーサルから力が入る。420この「男なら」は、一般民衆の間では長い間忘れられていた存在であったが、この曲を記憶していた萩市の助役の母がキッカケとなり、昭和11年(1936年)にレコードを制作。
それが大ヒットして「炭鉱節」と並ぶ全国的に知られる民謡となった。
そんな山口で最も有名な民謡をヒロアキくんがよさこいに作り直したというワケ。
私は田川バージョンしか知らなくて、下のCDを頂戴した時からすごく気に入っていたんだけど、今回、この曲の歴史を知ってオリジナルをYouTubeで聴いてみた。
ビックリ!
ヒロアキくん、よくコレをアソコまで持って行ったな~、とスッカリ感心してしまった。
やっぱりリズム面でのアレンジで苦労したとのこと。

On曲は、文久3年(1863年)尊王攘夷思想を強硬に押し出す長州藩が関門海峡を通過する外国船たちに向かって問答無用で砲撃を加えた。
その翌年、イギリス、アメリカ、フランス、オランダが手を携えて報復措置に踏み切ったからさあ大変。
コレがいわゆる馬関戦争、あるいは下関戦争。
「馬関」とは下関の昔の名前。
列強四天王にかなうわけがない。
そんなご時勢だったもんだから萩も外国船の襲来に備えるべしとして、「菊が浜」というところに全長2kmもの土塁を築いた。
この作業を支えたのが武士の妻や奥女中だったので、この土塁は「女台場(おなごだいば)」という異名を取ったのだそう。
そして、この作業をする時、士気を上げるために歌われたのがこの民謡「男なら」なのです。
 
♪男なら
お槍かついで お中間となって
ついて行きたや 下関
お国の大事と聞くからは 
女ながらも武士の妻
まさかのときにはしめだすき
神功皇后さんの 雄々しい姿が 
鏡じゃないかいな オーシャリシャリ
 
私が男だったら戦に出れるのにナァ。
でも女だそうもいかない。
でもイザという時には見てらっしゃい…みたいな。
「オーシャリシャリ」といいのは「おっしゃる通り」という意味。
要するに銃後を守る萩の女性の心意気を歌っているワケ。 
するってーと、萩の女性は気が強そうですな~。
 
戦後、連合国軍側から莫大な賠償金を請求されたんだけど、長州藩はそれに応じず、仕方なしに幕府が肩代わりしたんだよね。
しかも、長州藩は幕府とくっついてると攘夷はムリだな…と考えるようになって、今度はイギリスとくっついて討幕運動を推し進めることになっちゃった。
この頃、ヴィクトリア女王の時代イギリスはとにかくヒドイからね。
中国、インド、ミャンマーがとにかく散々な目に遭わされ、本国イギリスは東西の三角貿易で巨万の富を得、世界の覇者になった。
そもそも今の世界の問題の8割ぐらいはイギリスが元だと私は見ている。
私はイギリスの会社に勤めているぐらいで、イギリスが大好きなんだけど、過去にナニをしでかしたかということぐらいは勉強するようにしている。
一方、フランスは幕府にくっついて貧乏クジを引いた。
イギリスは倒幕を支持したとする論功行賞で、明治新政府は現在英国大使館がある皇居の隣の一番町の地所を未来永劫イギリスに貸し与える約束をして現在に至っているという。
何回かあの中に入ったことがあるんだけど、スゴイよ…イギリスなの。

430この「男なら」の3番の歌詞が「三千世界のカラスを殺し、主と朝寝がしてみたい」となっているらしい。
この都都逸は古典落語の「三枚起請」のサゲに使われているので、私は昔から知っているんだけど、民謡の歌詞の一部になっているなどということは知らなかった。
コレ、女郎の気持ちを歌った都都逸で、高杉晋作が作ったとされている。
なるほど「男なら」には「高杉晋作は男の中の男」なんてクダリも出て来るもんね。
江戸の昔はカラスがものすごく多かった。
大ゲサだけど、集まったカラスが一斉に飛び立つと空が真っ黒になったというぐらい。
そして、早朝になると腹を空かせたカラスが住民を起こそうとして「カアカア」と大合唱した。
住民を起こして、ゴミを出させて、それをエサに頂こうという利口なカラスたちの算段だ。
「大好きなおまいさんとこうしてユックリ床に入っていたいけど、カラスがうるさくてそうもしていられないよ」…という馴染みの客へのラブ・コール。
客は「おおそうか、別れるのは寂しいけどまた来らぁ!」となる。
コレは本当は女郎の手練の歌…要するにお世辞ですな。
「とっとと帰ってくれ」ということ。
女郎というのは、吉原を例に採ると「大引け」といって夜中の2時に仕事が終わり、朝6時には客を送り出すために起きなければならない。
客を送り出した後、二度寝をする時間が少しあったものの、昼は昼で忙しく、慢性のひどい睡眠不足だった。
つまりこの都都逸は、相手がいようといまいと「もっとユックリ眠りたい!」という女郎の睡眠への欲望を唄ったモノなのだそうだ。
コレは落語を通じての我々江戸チーム解釈なので長州サイドではまた別の理解があるかも知れません。
 
脱線しますよ。
最近、何度も引き合いに出して恐縮なんだけど、また川島雄三の『幕末太陽伝』が登場する。

Btdこの『幕末太陽伝』は「居残り差平次」をベースに「三枚起請」、「五人回し」、「品川心中」といった古典落語のスタンダートのエキスを巧みに織り込みながら、高杉晋作らの英国大使館焼き討ち事件前夜の品川宿を描いている。
で、この映画の中でこんなシーンが出て来る。
湯船に浸かったフランキー堺扮する佐平次が「♪三千世界のカラスを殺し~」と、いわば「男なら」の3番の歌詞を歌う。
すると湯船で隣にいる石原裕次郎が「おい、ヤメてくれんか。それはオレが作った文句だ。目の前でやられちゃさすがに照れる」。
裕次郎が演じているのは、そう、高杉晋作。
他に若き日の二谷英明が井野聞多、小林旭が久坂玄瑞を演じている。
左幸子も南田洋子も芦川いづみも若くて美しい。
フランキー堺、最高!
日本映画史に残る名作と謳われるだけあって、黒澤映画に匹敵するとでも言いたくなるぐらい完璧な作品。

Bath一方、上に書いた通り、落語でこの都都逸が出て来るのは「三枚起請」。
サゲがこの都都逸になっている。
五代目古今亭志ん生が有名だが、師匠は都都逸の説明はおろか、高杉晋作の名前を一切出さない。
志ん生は本名を美濃部孝蔵といって、お父さんが旗本だった。
いわば佐幕派…幕府の人だったんだから当然だ。
上に書いた馬関戦争が起こったのは、明治23年に志ん生が生まれるたった27年前の出来事だからね。
もしかしたら、志ん生は倒幕派の雄の名前を出すのがイヤだったのかも知れない。
一方、その息子の三代目古今亭志ん朝。
昭和の大名人=志ん生の大親友=黒門町の師匠=八代目桂文楽をして「この人は100年にひとり出て来るか出て来ないかの天才なんだからみんなで大切にしなければイケません」と言わせしめた超名人が志ん朝。
私も生前に一度だけ高座を拝見したが、ヨカッタね~。
その志ん朝の「三枚起請」を聴く…もちろん最高中の最高。
志ん朝は枕で都都逸の説明はするものの(上の私の説明は志ん朝の受け売り)、やはり「高杉晋作」の名前は一切出さないんだよね。
やはり、日暮里で生まれ育ち、お父さんの薫陶を受けた生粋の江戸っ子だからだろうか?
しからば!と思い立ち、志ん生の長男=志ん朝のお兄さん=池波志乃のお父さんである金原亭馬生はどうかと思ってYouTubeを検索してみたが見当たらなかった。
ちなみに「池波志乃」という芸名は、お父さんの馬生が池波正太郎のファンだったところから名付けられた。
馬生は池波さんにキチンと挨拶をして、許しを得てから娘にその芸名を付けさせたそうです。
ちなみに池波さんの生家は吉原にほど近い待乳山だ。

Ss

Sc

リハーサルは順調に進む。

Simg_3650 はためく菊連の大旗。
コレは大変な仕事だよ。
私なんか見ているだけで腰が痛くなってくるわ。S0r4a0168ヒロアキくんとよさこいチームは長いお付き合いだからね、もうイキの合いようはこの上なし。
後は本番で爆発するのみ。440記念撮影。
この皆さんが「山口県」の代表として今日のイベントに登場する。

450聖火皿とMarshall。
こんな機会はもうないだろうと思って撮っておいた。
やっぱりMarshallのロゴはどこでも映えるね。
この聖火の台、どうも「皿」って呼んでいたように聞こえたんだけど「皿」なのか?
コレ、萩焼にすればよかったのにね。
 
本番のようすは<後編>でレポートします。
 
田川ヒロアキの詳しい情報はコチラ⇒FretPiano

460<つづく>
 
以前、本記事に併載していた「私の萩<前編>」はShige Blogに引っ越しました。
コチラ⇒Shige Blog 私の萩<前編>

S_2

 

200 
(一部敬称略 2021年5月14~15日 山口県萩市にて撮影)

2021年5月21日 (金)

PROG TOKYO 2021 SPRINGのALL IMAGES BLAZING~私のプログレッシブ・ロック

 
今日はプログレッシブ・ロックの話。
最近でこそ「プロッグ・ロック」なんていう言葉を耳にするようになったけど、また渡英の経験がなかった23年前のちょうど今頃、当時Marshallのデモストレイターをしていたジェフ・ホワイトホーン(現Procol Harumのギタリスト)から初めてこの言葉を聞いた時その意味がわからなかった。
「イギリスではやっぱりプログレッシブ・ロックが盛んなんですか?」と尋ねると、「プログレッシブ……プログレッシブ…ん?もしかして『プロッグ・ロック』のことを言ってるの?
ハハハ、今UKでそんなのを聴いているやつは1人もいやしないよ!」という言葉が返って来て大きなショックを受けた。
もうひとつ、2年前のMarshall GALA2の時、四人囃子SPIN OFF#1が演奏する「一触即発」を聴いたMarshallの社長の奥さんが「どこで拍手をすればいいのかわからなかったわ!さすがプロッグ・ロック!」と言っていた。
この曲をご存知の方は意味がおわかりのことと思う。
自称「Uxbridge Girl(Uxbridge=アクスブリッジはロンドン西部にある町の名前)」の奥さんは70年代のロックをリアルタイムで、しかもロンドンで経験している人。
だから「Prog Rock」なんて言葉がスラっと出て来る。
しかし「70年代のロックをロンドンで経験した」…なんて羨ましいよナァ。
ナニもバラカンさんだけでなく、当たり前の話だけどロンドンに行けばこういう人がゴマンといる。
70歳を超える女性から「Edgar Broughton Bandをよく観に行った」とお聞きしてビックリしたこともあった。
観に行くのも「ハマースミス・オデオン」とか「マーキー」とか「スピークイージー」だからね!
つくづく、ことロックに関して言うと、神様は決して公平ではないと思うよ。
 
さて、翻って見るに今の日本のプロッグ・ロックはどうか…。
若い人は「プログレッシブ・ロック」なんて言葉すら知らないでしょう。
最近、「英国ロック」という言葉をよく見かけるんだけどアレは何だろう?
その前は「UKロック」という言葉を散見した。
10年ぐらい前、オモシロがってイギリス人に「UK Rock」という言葉を使ってみたところ、「ナンダそりゃ?そんな言葉はこの世にないよ。アノね、それは『ブリティッシュ・ロック』っていうんだよ」と完全にバカ扱いされたわ。
まぁ、言葉もそんな具合だし、今はビートルズの音楽すら知らない人が多いぐらいなんだから、世代間の音楽の受け渡しはもはや絶望的だろう。
とにかくプログレッシブ・ロックが絶滅の危機に瀕している音楽の最右翼であることは間違いない。
 ところが!
その一方でこんなイベントが開かれているのはどういうことだ!
『PROG TOKYO』…うれしいじゃあ~りませんか!
2017年からスタートし、毎年春秋の2回開催されているという。
その名の通り、プログレッシブ・ロックのバンドが「プログレッシブ・ロックの聖地」の異名を取る吉祥寺のシルバーエレファントに集うイベント。
私は普段ロックの他にジャズだ、クラシックだ、民族音楽だ、と騒いでいるけど一番好きだったロックのジャンルはプログレッシブ・ロックなんです。
そこで、その遍歴をココに書いたんだけど、前置きがあんまり長くなってしまうので、巻末へ引っ越した。
お時間があれば最後まで読んでやってください。
10ココから先は5月2日に開催されたその『PROG TOKYO 2021 Spring』のレポート。
出演は、イベント・ホストのあらんちゃんバンド(仮)とALL IMAGES BLAZING(以下「AIB」)。
お邪魔したのはAIBの方。
AIBは以前にも何度かこのイベントに出演している。

さて、リーダーの片岡さんはKRUBERABLINKAに在籍した時からのお付き合い。
オランダにTraceというキーボーズ・トリオがいて、このバンドの音楽を紹介するに「クラシックの楽理とジャズのリズムや旋法を同じレベルで学んだ人が聴くとすさまじくオモシロイ」という記述があった。
Traceがクラシックのパロディやワンコードで延々とジャズ・フレーズをつなげていくサマはそんなのを学んでいなくても十分にオモシロイ。
この辺りのことを鹿鳴館の楽屋で片岡さんに持ちかけると「Traceってリック・ヴァン・ダー・リンデンのTraceですか?」とスラリとお答え頂いた。
その瞬間、「ああ、こっち側の人だ」と確信した。
そして、「『ALL IMAGES BLAZING』というバンドを新しく結成したので聴いてみてください」とファースト・アルバムを送って頂いた。
聴いてビックリ!
私が「プログレッシブ・ロック」という音楽に対して期待するサウンドがギッシリ詰め込まれていたのだ!
関西を拠点としているバンドだけになかなか拝見することができなくて、この日とうとうその機会が巡って来たというワケ。

10sこの日のステージは3枚目のアルバム『Crimson Red』のレコ発ツアーの東京公演。
今回のアルバムも前もって送って頂いていた。
ま~、こんなに色んなことを詰め込んじゃって!というのが第一印象だった。
でも、こういうの大好きなのよ!
Yesの『Close to the Edge』じゃないけど、本番でどこまでこのサウンドを再現できるのか、この日のナマ演奏をすごく楽しみにしていたのだ。
そして、聴いていてどうしても気になるのがアチコチに出て来るロックの名曲の断片やイメージの数々。
失礼かも知れないが、黙ってはいられない私のこと「アソコはアレですよね?」といくつか片岡さんに確認すると、イヤな顔ひとつせず「このアルバムではホンマに好きなことをやらせてもらいました。もうね、『オマージュ』とかいうんとちゃいますねん。好きなモノを好きなようにそのまま使ことるんですわ」と答えてくれた。
 
コレでいいのだ!
まさに正解であり、これこそが正しい「ロックの伝承」の仕方だと私は思うのです。
そもそもLed ZeppelinだってDeep Purpleだってブルースを素材に同じ手法で自分たちの音楽を作り上げたワケでしょう?
やっぱりコピーはどこまでいってもコピーでオリジナルにかなうワケがないからね。
コピーで音楽を伝承することはできないでしょう。
過去のいいものをドンドン取り入れて自分たちの音楽を磨き上げる温故知新の手法は音楽を活性化させるひとつの有力な手段だと思うのです。
そこで今日は私がこのアルバムに収録されている曲を聴いていて気が付いたことを交えながら、ライブのレポートをお送りしたいと思う。
95cdところで、もうひとつ気になったのはこのタイトル。
「Crimson」に「Red」といえば「うなぎに山椒」、「スイカに塩」みたいな「つきモノ」だけど(King Crimsonのことを言っています)、コレ両方とも「赤」という意味じゃない?
他にも有名なナサニエル・ホーソーンの『緋文字』の原題は「The Scarlet Letter」。
この「scarlet」も「緋」というぐらいだから「赤」を意味する。
また、色鉛筆に「Vermillion」という赤いヤツがあるでしょ?…コレは朱色を意味する。
「フーム…コレはオモシロそうだ」と思い、「赤」関係の英単語にどういうモノがあるかを調べてみた。
red, scarlet, vermillionの他にも…
garnet
cardinal
blush
carmine
magenta
claret
burgundy
rose…等々。
意味はご自分で確認して頂くとして…日本語で言う「ワインレッド」や「赤紫」なんてのも含めておいたけどかなりたくさんあるようだ。
戦争ばっかりやって来た民族の言葉だから、「血」の色を表現するために色々な言葉が使われるようになったのではないか?…なんて勝手に想像してみたよ。
でもね、こと「色」の表現に関しては恐らく日本語の敵じゃないと思う。
日本は着物に使う反物の色を表現するために、色の名前がアホほどたくさん存在している。
日本人は繊細なのよ。
そういえば1981年にKing Crimsonが初来日した時、私は今は無き浅草国際劇場で観たんだけど、「Red」を演奏する前にエイドリアン・ブリューが「The next song is…ア~カ~」ってやったのがすごく印象に残っている。
AIBの「Crimson Red」はジャケットにあるように夕焼けの「赤」ね。
  
『Crimson Red』のオープナー「Roll on Tomorrow!」が流れる中、メンバー4人が登場。

20キーボーズ/リーダーの片岡祥典。

Img_2604 片岡さんの機材。
並べてカッコいいのはMarshallだけじゃない。
鍵盤楽器もこうなると圧巻だ。
ああ、もしもピアノが弾けたらなぁ~。
でも、組み立てとバラシは大変だぞ!
15ギターは楠戸洋一50v楠戸さんはMarshall。
JCM900 4100と1960Aのハーフ・スタック。
「くすど」さんとはなかなかにお珍しい…フーム、岡山に多い姓なのか。60vベースは藤井博章70v藤井さんにはEDENをご愛用頂いている。
WTP-900だ。80ドラムスは尾崎正敏。90v1曲目はアルバム5曲目の「The Moon is Laughing at us」。
ノッケから壮大なスケールで鳴り響く片岡さんのオルガン。

110疾駆する7/4拍子のリフを経てギターが主題を奏でる。120そしてシンガーが加わる。
100ボーカルズは田中敦子。
30vボーカル・パートになるとクルリとリズムを変える。130v曲はその後も何度もリズムや調子を変えてクライマックスに向けて突き進んでいく。
そうだよ、コレだよ、コレですよ!
私が期待する「プログレッシブ・ロック」のサウンドは!1402曲目の「Change Before You Have to」もオルガンのサウンドがガンガン押し寄せて来る。
BbのペダルトーンでDeep Purpleの「Might Just Take Your Life」を匂わせる。
オルガン・サウンドっていいもんだナァ。
150v_cbyhtそして、コレは…Genesisの「Watcher of the Skies」のようなキメ。
160これまたスティーブ・ハケットがいかにも弾きそうなフレーズが乗っかってくる!
ク~、タマらん!
200サビ(っていうのかな?)の「♪Don't break me down, bring me down」のメロディとオルガンの合いの手がものすごく耳に残るんだよね。180v今度はYesで「Roundabout」。
しかも歌詞は「♪Hold down」と「Siberian Khatru(サイベリアン・カートゥル)」を思わせる。
コレがAIBサウンド…コレでいいのだ!
チャンとしたロックを聴き込んでいれば聴き込んでいるほどオモシロく、そしてカッコいい!
190「ありがとうございます!
『Crimson Red』という新譜を出したAll Images Blazingです。
今日の衣装は白、白、赤、赤…紅白引き分けですね。
こうなったのは別に仲が良いからというワケではありません。
(片岡さんの方を見て)エルトン・ジョンですよね?
電撃ネットワークじゃないよね?」205_mc「アー写をコレで撮って出したら電撃ネットワークの方からフェイスブックの友達申請が届きましたよ!
今日は初めて演る曲ばかり…9割が新曲です。
どうぞ楽しんで帰ってください!」
40v片岡さんの装束はもちろんこのレジ。
あ、久しぶりに書きますが、リアルタイムでエルトン・ジョンの全盛期を体験したイギリスの人はエルトン・ジョンのことを「レジ」と呼びます。
本名を「レジナルド・ケネス・ドワイト」といいます。
あ、今は「サー・エルトン・ジョン」か…。
ちなみに、「エルトン」はSoft Machineのサキソフォニスト、エルトン・ディーンから、「ジョン」はブルース・シンガーのロング・ジョン・ボールドリーから借用したとか…。
ボールドリーはロッド・スチュアート、ジュリー・ドリスコル、ブライアン・オーガー、ミッキー・ウォーラー等とSteampacketなんてバンドをやってましたな。
後にジェフ・グループに参加するドラムスのミッキー・ウォーラーはジム・マーシャルのドラム教室の生徒さんです。
 
下の写真はマンチェスターの中心地をブラブラ歩いていて出くわした小さな画廊の店頭に飾ってあった美術作品。
どこが「美術」なのかというと…270_3全面に小さなロケットが引き詰められている。
作品のタイトルは当然「Rocket Man」。
レジが相棒のバーニー・トウピンやプロデューサーのガス・ダッジョンらと運営していたレコード・レーベルも「Rocket Record」といった。
エルトンは今も「Rocket」が付いた名前の事務所を運営していて、イケメンのチェロ・デュオ・チーム、2Cellosが所属しているんよ。280_3次も片岡さんのキーボーズからで、静かにスタート。
曲は新譜の4番目に収録されている「Fall Asleep to Dreams」。210_fatdそこに藤井さんのフレットレス・ベースが絡む。
ん~、いい音だ~。
170初めてこの曲を聴いた時、もうイントロでグワっと来たわ。
もうね「No Quarter」と「Love to Love」なワケ。
片岡さん、よくこんなところに目を付けたな~。
ってんで「Love to Love」を聴いてみて驚いた、コレって7/4と5/4の変拍子になっていたのね?
高校の時よく聴いていた曲だけどゼンゼン気がつかなかった。
その時代以来聴いてなかったのでAIBのこの曲がすごく心に沁みた…イヤ、待てよ、違うわ。
2010年のロンドンの「High Voltage」でフィル・モッグが歌ってたわ。
年甲斐もなく小声で「♪みすてぃぐり~ん」と一緒に歌ったのを思い出した。
しかし、そもそも「No Quarter」と「Love to Love」のイントロって雰囲気がよく似ていたんだな。

220メロトロンをバックにシットリと歌い込む敦子さん。
ホンモノのメロトロンでなくたってゼンゼンOK。
この雰囲気が大切なのです。
230ワルツのパートではアコーディオン風のサウンドでまた異なった雰囲気を醸し出す。
なんて盛りだくさんなんだ~!250尾崎さんのドラムスから「I'm lost inside of you」。

260v_ilioy雰囲気がいきなりファンキーに!

270そして、次に出演したイベント・ホストのあらんちゃんバンド(仮)から月本美香を迎えた。
美香さんも以前から存知上げておりましてね。
この日はAIBが終わって失礼しなければならなかったので、残念ながらステージを拝見することができなかった。
なので、この1曲でその熱唱を楽しませて頂いた。280グルーヴ感満点の藤井さんのベース。
しつこいようだけど、いい音だ~。
ヌケがスゴイ。2902人のコンビネーションは完璧!300仲良し缶丸出しで見ているこっちもすごく楽しくなったよ。
330楠戸さんのギター・ソロ。
音を選ぶタイプのギターですな…いいもんです。
Vintage Modernをお持ちだと以前お聞きしたことがある。
アレは名器でした。
大切にしてください。310vココでもオルガンやクラヴィネット風サウンド、ストリングスと多彩な音色を使い分けて曲をパノミックに演出する。
320v2人の激唱とノリノリの演奏でドッカ~ンと盛り上がった!
CDでは「♪Storm is coming」のところがどうしても「トニー谷」と聞こえるのは私の「空耳」ということで…。

350「新しいコスプレ」と紹介したのが片岡さんがかけているサングラス。
音声センサーがついていて、キャッチした音の周波数で色が変わるというモノ。
写真はそのデモンストレーション中。
昔、リッケンバッカーにもそういうギターがありましたな。
340_l4ココで新作から離れて、ファースト・アルバムから「Love 4」。
380豪快にブっ飛ばすAIBのドライビング・チューン!

350v当然、こういう曲ではガツンとしたギター・ソロが不可欠だよね~。

365ドライビング・チューンとはいっても、そこはAIBのこと。
仕掛けやらキメ満載でカッコいいことこの上ない!
片岡さんのソロも爆発!
今にして思うとこの片岡さんのプレイもトニー・バンクスっぽかったんだな。

Img_2715本編を締めくくったのはニュー・アルバムのタイトル・チューン「Crimson Red」。
藤井さんのフレットレス・ベースがジト~っとしみ込んでくる。
400vメジャーになったり、マイナーになったり…そして、それをグッとまとめるかのようなサビのメロディがとても素敵だ。

390インスト・パートではギターと…430vキーボーズの掛け合いで聴く者の耳を惹きつける。410vひとしきり暴れた後…420戻った歌のパートが1曲目の「Roll on Tomorrow!」なんだな。Img_2608片岡さん、ウマい!
コレもGenesisの『A Trick of the Tale』なんかにも使われているテクニック。
こうしてループを結ぶことにより「コンセプト・アルバム感」というか「ドラマ感」が猛烈に引き立ってくる。

Img_2732この日、「Roll on Tomorrow!」は実際に演奏はしなかった(実はとても楽しみにしていたの)けど、オープニングSEに使われていたので見事にアルバムを再現したと言っていいでしょう。0r4a0083「どうもありがとう!」

440アンコールはセカンド・アルバムから「Too Late to Be Saved」。450_tlt最後まで一糸乱れぬバンド・アンサンブルで自分たちの音楽を綴った5人…

460v

470

480

490なんだけど、楠戸さんはこの日がAIBのラスト・ステージとなった。500このレコ発ツアーの残りはyasuさんというギタリストを新しく迎えて続行されることが数日前に発表された。
間髪入れず前進を続ける姿勢が素晴らしい!
どうか日本のプログレッシブ・ロックの火を艶やかに灯し続けてくだされ!
 
ALL IMAGES BLAZINGの詳しい情報はコチラ⇒Official facebook510v後はオマケ。
 
この「プログレッシブ・ロック」という言葉ほど、良く言えば「間口が広い」、悪く言えば「定義がいい加減」な音楽のジャンルはないね。
ハード・ロックはハード・ロックじゃん?
ブルース・ロックはブルース・ロックじゃん?
ジャズ・ロックはジャズ・ロックじゃん?
大変カチっとしている。
ま、ジャズ・ロックに関しては、ロックの人が演ると「ジャズ・ロック」だし、ジャズの人がやると「ロック・ジャズ」になるんだけどね。
屁理屈だけど、コレは演奏中に使っている音楽の言葉が作り出す違い。
で、ことプログレッシブ・ロックとなると…
*曲が長い
*ブルースを感じさせない
*変拍子を多用する
*珍しい楽器を使う
*メロトロンを使う
*何やらワケがわからない
*変
…等、この辺りのどれかが当てはまるとみんな一緒くたに「プログレ」にくくってしまう傾向があるでしょう?
別にどうでもいいことなんだけど、どう聴いても我々世代が認識している「プログレッシブ・ロック」とは様相を異にしているのにそう呼ばれているのはどうもガテンが行かない。
例えばDream Theaterとか?
あのDream Theaterのフォロワーさんたちの音楽は技術的には確かにスゴイけど、ナニをどうやってもプログレッシブ・ロックには聞こえない。
海外に行くと驚いたことにD_Driveの音楽も「プログレッシブ・ロックっぽい」って言われるんだよ。
要するに上に書いたように定義がメチャクチャなワケよ。
 
つまるところプログレッシブ・ロックか否かを判断するのは、曲の形式やインストゥルメンタリゼーションではなくて、その精神性が「進歩的」かどうかということなんじゃないかしらん?
例えば、Jethro Tullもプログレッシブ・ロック・バンドのひとつに数えられることが多いけど、『Thick as a Brick』や『A Passion Play』のようにA面B面で1曲の変拍子を含む長い曲を作って演奏しただけで、いわゆるプロッグ・ロックのサウンドではないと思うの。
一方、同じA面B面で1曲の『Tubular Bells』なんかは猛烈にプログレッシブ・ロック性を感じるでしょ?
トッドの『A Wizzard/A True Star』辺りもメチャクチャやってるけど全然プログレッシブ臭を感じない。
一番いい例はザッパだろう。
私は14歳の時に『Fillmore East - June 1971』を買ってから45年間フランク・ザッパの音楽を聴いて来たが(一時期中断あり)、彼の創作する音楽がプログレッシブ・ロックに聞こえたことはただの一度もない。
その時代に、従来のモノとは違う「進歩的(プログレッシブ)なロック」を作り出そうとして出来上がった音楽がタマタマ上の手法を取り入れていた…コレだけの話なんじゃないかしらん?
音楽理論と同じで理屈は後から付けられるからね。
そして、当時のロックに飽き飽きしていた人たちが「ウワ!ナンじゃこりゃ!」とビックリして飛びついた先がKing Crimsonであり、Pink Floydであり…。
そして、それらの音楽は人呼んで「プログレッシブ・ロック」となった。
…ってところじゃない?
だから、「人と同じがいい」みたいな現在風潮の音楽界からは生まれてこない音楽のひとつでしょう。
そもそも制作サイドが儲からないしね。
 
そこで、その考え方に則って最もプログレッシブ・ロックらしいバンドはナニか?と考えるとダントツでKing Crimsonだと思う。
アルバムごとにスタイルを変えて、80年代に入り、どのバンドも時代に媚を売る中『Discipline』を出したでしょう?
出てすぐに出来たばかりの渋谷のタワーレコードで買ったのを覚えている。
聴いてメチャクチャ感動した。
あの後、黄色いのや青いのを出してしばらく締まりがなくなったけど、またその後にスタイルを変えて自分たちだけの音楽を作り続けるこのスゴさね。
でも、もっとスゴイのは、このバンドがいつでも大衆の支持を受けていることでしょう。
好きなことをやって、売れて、それでいて芸術性が高い…こんなの他にマイルス・デイヴィスとパット・メセニーとフランク・ザッパぐらいじゃない?
 
さて、ここまでプログレッシブ・ロックを熱く語りたくなっちゃうのは冒頭で触れた通り、好きなのよ、プログレが…。
以前から折に触れてチョコチョコと何回か書いてはいることだけど、今日まで45以上年音楽を聴いて来て最も時間を費やした音楽はジャズなんだけど、ロックに関して言うとダントツでプログレッシブ・ロックなのね。
 
初体験は13歳の時にラジオで聴いた「21世紀の精神異常者」だった。
1976年のことだったので、アレは『宮殿』がリリースされてから7年後のことだったのか…。
問答無用で「カッコいい!」と思ったね。
そしてアルバムを買って聴いたけど、「Moonchild」の後半あたりはかなりシンドかった。
オコチャマだったから。
その次が『Tarkus』ぐらいだったかな?
コレは数寄屋橋のハンターで生まれて初めて買った中古レコードでもあった。
ココから私の中古レコード人生が始まったんだナァ。
こんな私でもYesやらPink Floyd等、一応王道ものにひと通り夢中になっていたワケです。
『The Dark Side of the Moon』は随分聴いたけど、Pink Floydはいまいち性に合わなかったな。
でも1977年に『Animals』が出た時は大騒ぎだったのをよく覚えている。
私も買って聴いたものの、前の2作ほどには夢中にはならなかったナ。
正直言って『Atom Heart Mother』もどこがオモシロイのかがよくわからん。
そのくせ、こんなことはやってます⇒【イギリス-ロック名所めぐりvol.9】 バタシー発電所

Kc

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ハードロックに飽きてしまっていたので、その後も色々とプログレッシブ・ロックを聴き続け、Gentle Giant、Van Der Graaf Generator、The Enid、Curved Air、Isotope、Greeslade、Nice、Brand X、Moody Blues、またSoft Machine、Caravan、Hatfield and the North、Matching Mole等のカンタベリー一派も好きでカンタベリーに行ってみたいと思ったもんです。
その後2回ほど訪れたけど、とても美しい町でロックを抜きにしても実にいいところだった。

そのレポートは⇒【イギリス - ロック名所めぐり vol.15】 カンタベリー…プログレの聖地
もう1回が⇒【Shige Blog】イギリス紀行 2015 その6~カンタベリー巡礼

とにかくブリティッシュ・プログレッシブは片っ端から聴いた。
でもね、RenaissanceとかCamelは苦手だった。
UKなんかも2枚目にはガッカリしたな…コンサートはヨカッタけど。

Gg

Bd
GongやAngeのフランス勢。
聞き慣れないAngeのフランス語の歌が最高にキテレツに聞えてクラスのロック好きの友達と大爆笑したものだった。
Gongは一般的に評価の低いこのライブ盤が好きだった。
1977年、リアルタイムで買った初めてのGongだったから。
Gongはデヴィッド・アレンの時代もいいし、後のピエール・モエルランのフュージョン期も好きでよく聴いたナ。
ちなみにこのスゴ腕ドラマーの苗字(Moerlen)の正確な発音が知りたくて毎年日本にやって来ていたフランス人に実演してもらったことがあったがとてもマネできなかった。
Atollとか、Zaoとか、Pulsarとか、Tai Phongとか、フランスもいいバンドがいるんだよね。
Magmaなんかも好きだったけど、後年ストラヴィンスキーを聴き出したら興味が失せちゃった。
スティーヴ・ヒレッジっていいよね。

Ange

Gon

イタリアものは今でも好きで時々聴いてる。
PFMを聴いてハマってすぐにArti e Mestieriを買った。
Banco Del Mutuo Soccorso、Formula 3、Quella Vecchia Locanda、Latte e Miele、Le Orme、New Trolls、Osanna…こうして見るとイタリアはなかなかに層が厚いな。
ディスク・ガイド本を見ては買い漁ったけど、どれも個性があってオモシロかった。
イタリア語は音が柔らかく、ロマンチックな響きなのでロックにもすごく合うんだよね。
それがオペラを通じてイタリアを世界一の音楽の国しているひとつの要因でもあるんだな。
大分前にPFMのヴァイオリニストに(マウロ・パガーニではない人)JCM2000のフル・スタックを貸し出したのはうれしかったけど、ライブは期待したほどではなくてちょっとガッカリした。

Pf

Aem

オランダにはFocusがいたしね。夢中になったナァ。
今日の最初に出て来たTraceとかFinchなんてもヨカッタ。

F3

Tr
ハンガリーのOmegaやAfter Cryingとか、ポーランドのSBBとか、大分後になって東ヨーロッパのバンドにも手を出した。
そんな中でポーランドを代表する歌手(らしい)、チェスワフ・ニーメンの下の2枚はすごくヨカッタ。
向かって左の『Niemen Aerolit』は「チャンとしたプログレッシブ・ロックが聴きたい!」という人におススメ。
この人、とにかく「歌を歌うために生まれて来た」としか思えないぐらいの魅力的な声の持ち主で、ひとつ前にリリースした向かって右の『Mourner's Rhapsody』にはそんな魅力が詰まっている。
プログレ臭もまあまあ。
で、スゴイのは一体ナニが起こったのかは知らないが、レコーディング・メンバーが「なんじゃコリャ?」状態。
まず、ドラムスがヤン・ハマー。
ベースが同じくマハビシュヌからリック・レアード。
ギターにジョン・アバークロンビーとスティーヴ・カーン。
キーボードはドン・グロルニック。
どういうワケがフルートがベテラン・サキソフォニストのセルダン・パウエル。
そして、ヴァイオリンがポーランドの名手、マイケル・ウルバニアク…この人はスウェーデンのSteeplechaseから何枚かリーダー・アルバムを出していて、チャンとしたビバップを演っている。ラリー・コリエルとの共演盤が私の愛聴盤なんです。
 
このニーメンみたいな場合もあったけど、こうした辺境モノは玉石混交もいいトコだったナ。
 
バルカン地方の音楽はすごく魅力的だと思うし、ロシアが本気になってスラブ系のメロディをロックに持ち込んだらまたオモシロいのが出て来そうな気もしている。

Niemen_2

Nie
…とマァ、私なんざぁ真のマニアの人にはとてもかなわないけど、一応若い頃に片っ端からプログレッシブ・ロックを経験してみた。
しかし、ドイツ勢だけはどうしてもムリだった。
Canぐらいならまだいいんだけど、Kraftwerkにはじまって、FausutとかTangerine Dreamとか、Ash Ra Tempelとか、マニュエル・ゲッチングとか、クラウス・シュルツェとか…ムリ。
ドイツ人と結婚した家内の親友がいるんだけど、この辺りの話になりましてね、その彼はこういうのが大好き。
で、ノイバウテンっているでしょ?
音楽が好みではないことも手伝って、この人のファースト・ネームがどうしても覚えられない…なんて話をしたら「アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンのこと?」とスラっと口にしたのには笑った。
ちなみに私が知っているドイツ人は、特段若いワケでもないのにナゼかみなScorpionsをイヤがる…「古臭い!」っていうんだよ。

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Art

私が若い頃はパンクやらニューウェーブやらテクノなんてのが全盛で、「ぷろぐれっしぶろっく」なんてモノを聴いている人は周りにまずいなかった。
「80年代の商業ロック前夜」とでも言えばいいのかな?
ヘソ曲がりだった私は例によって『ベストヒットUSA』を見て喜んでいる連中の気が知れなかった。
その当時から「あんなのロックじゃない」ってやってたんだもん。
つくづく自分は「70年代ロックの化石のガンコジジイ」だと思うわ。
しからば何が一番好きか…と訊かれると(誰も訊いてくれないけど…)、「現時点で」というか、「最終的に」というか…いわゆる「プログレッシブ・ロック」の括りで言えば、イタリアのAreaが一番好きかな?
それと、イギリスに行くようになってから俄然オモシロくなったのがGeneis。
この2バンドは今でもよく聴いています。
ディメトリオ・ストラトス…ソロ・アルバムには腰を抜かしたけど、惜しいことをしたな。
Areaみたいなバンドがズット新作を作り続けてくれていればどんなにヨカッタか…。

Ar

Gn

一度自由に自分のプログレッシブ・ロック遍歴のことを書きたいと思っていたのでスッキリした。
最後までありがとうございました。

 200_2 
(一部敬称略 2021年5月2日 吉祥寺シルバーエレファントにて撮影)

2021年5月13日 (木)

Girls Guitar Three vol.4~Rie a.k.a. Suzaku、Sena&瀬川千鶴

 
Rie a.ka.a Suzakuがホステスを務めるガール・ギタリストのイベント「GG3」。

330vベテラン男性ギタリストを3人揃えて「ジジイ3」というやり方もあるにはあるが、ガール・ギタリストを3人集めて「Girls Guitar Three」とした方が花があってよろしいな…と、ホンモノのジジイがこんなことを言うのもナンだが。
 
GG3は今回が4回目の開催。
そのウチ、Marshall Blogでレポートをお送りするのはコレが3回目。10vハウス・バンドを務めるのはエル・フリーデの星野李奈。450vそうそう、エル・フリーデのギターのりょうちゃん、オリジナルのMarshallを大事に使ってくれているそうだ。
ホント、今また見てもステキなデザインだよ。190v キーボーズは深井麻利恵。40vドラムスは森はるか。50v今回もNATALのCafe Racerでシャープなドラミングを聞かせて頂きました。

60最初のチームの演奏が始まる。80トップバッターはSena。70vSenaちゃんはいつもMarshall。
4x12"のハーフスタックだ。
90この日はJVM410Hと1960BV。100v1曲目は「Velinade」。110v続いて「PUZZLE」。
ゴキゲンなシャッフル!
Senaちゃんのステージは自身のプロジェクトのレパートリーで固められた。120なかなかに忙しい曲でハウス・バンドの皆さんも大変だ。
でもそこは「GG3」を支える皆さんですからね、安定したプレイで主役のギタリストをサポートした。
李奈ちゃんのテクニックは文句の付けどころがないし…

130v麻梨恵ちゃんは普段からモノスゴイ音楽をやっているし…140はるかちゃんの百戦錬磨ぶりも言うに及ばない。
160vまたNATALの音色がいいんだわ~。
150「ギタリストのSenaです!
はじめましての方が多いのではないかと思います。
ステキなイベントにお誘い頂いてとてもうれしいです!
こんな皆さんとご一緒できるなんて、緊張しています。
まだまだ下っ端の私ですがガンバります!」170vさざ波のSEからスタートしたのは硬派なワルツ「Hydrogenium」。
もちろん海をイメージした曲。180そして最後を飾ったのは「SOAR」。

190ハードな曲調で華やかに出番を締めくくった。
 
Senaの詳しい情報はコチラ⇒SENA'S OFFICIAL WEBSITE

200_2続いてステージに上がったのは瀬川千鶴。210v1曲目は「inside outside」。
ん?コレは10/8拍子か?
千鶴ちゃんが弾くギターはジャジーな音列を盛り込んだフュージョン・テイスト。

2202曲目はまさにそのフュージョン・エキスをタップリ詰め込んださわやかチューンの「Morning」。

240この「GG3」はセットごとの時間が短い上に転換もアッという間なので見ていて飽きないんだよね。
要するにショウのテンポが早い。
というのもバック・バンドが固定しているからなんだよね。
その代わりバンドの皆さんのご負担は大変なモノです。
譜面を見ながらとはいえ、持ち寄られた三人三様の曲をこなすのはなかなかにハードなことだと思う。250v

360

270v「ありがとうございます。
1曲目は変拍子の曲…ライブでは演らないんです。
難しいのでメンバーがイヤがっちゃう。
今日は'特別感'があったのでムリを言ってお付き合いしてもらいました。
2曲目はさわやかな曲。
ヘア・メイクやってもらったんです。
フュージョン女子は自分でやらないんですよ!」280続けての曲もオリジナルで「Trap」。
イキの良いロック・チューン。290vそして、出番を締めくくったのは…千鶴ちゃんは「ジェフ・ベックの'ストレイタス'」と紹介していましたが、ハイ、ここで覚えちゃいましょう。
「Stratus」は「ストレイタス」ではなくて「ストラトゥス」と読みます。
曲を作ったのはジェフ・ベックではなくて、ドラマーのビリー・コブハムです。
1973年リリースの『Spectrum』というアルバムに入っていますので是非オリジナルを聴いてみてください。Sp_2実は私もこのことを知ったのはそれほど昔のことではなくて、十数年前にフランクフルトの楽器ショウで知った。
Marshallのブースにダグ・アルドリッチがやって来て、バーニー・マースデンとナニか演ることになった。
確かダグの方からだったと思うんだけど、「'ストラトゥス'はどう?」とバーニーに提案すると、「ああ、いいよ。'ストラトゥス'ね」ってな調子だった。
横でそれを見ていた私は「(…そうか、アレは’ストラトゥス’って読むのか…)」と、得した気分になった。
もちろんスゴい演奏でした。
バーニーのギターの音のすばらしさと言ったらないよ。
最近はああいう純粋ないい音でギターを鳴らす人が本当にいなくなった。Simg_1310 千鶴ちゃんの熱演もかなりのもの。
弾きに弾き切って持ち時間を終了した。
 
この時と同じ月の下旬、千鶴ちゃんとは雨の日比谷野外音楽堂で再度ご一緒させて頂きました。S41a0367_2トリを飾るのはいつも通りRIE a.k.a. Suzaku。3001曲目は「Rudra」。310vRieちゃんのMCがまたいいんだよね。
いつも爆笑してしまう。
「前回、1年前にココでvol.2をやったんですが、女子でインストというとなかなか出演してくれるギタリストがいなくて…みんな断られちゃうんですけど、1年ぶりにvol.4を開催することができました!」

S41a0485ココでメンバー紹介。
「メタル系のはるか!」
RieちゃんとはるかちゃんはLOUDNESSの山下さんがやっているHARUKAというバンドで一緒なのね。
この時、初めて知ったんだけど、HARUKAというのははるかちゃんの「はるか」ではなくて、JR西日本の特急電車の名前なんだって。
てっきりSantanaとかVan HalenとかBon Joviみたいなヤツかと思い込んでいたわ。340vはるかちゃんの編み込みヘアも披露。350v李奈ちゃんの手によるものだそうです。
李奈ちゃんはMCでも大活躍だった。
S41a0164この時はるかちゃんが話していた音源付き写真集『森のはるか』が発売になった。
「森のはるか」なんてお菓子みたいでいいね。
「音源付き写真集」か…皆さん色んなことを考えますな~。

Mh 2曲目はGG3ではおなじみの「Wangan Street」。390続けて「Sunrise」。

S41a0454 最後は定番「Furinkazan」。

320「風林火山」ってのは元は孫子なんだね。
武田信玄ではない上に、「風林火山」という表記はどこにもないらしい。
どこからコレが出て来たかというと、どうも井上靖の『風林火山』からだという話があるようだ。
コレ、読んだけど全く覚えていないな。
 
曲は風のように速く、林のように静かではないし、火のように侵略はしないし、山のようにジッとしていない。
だからオモシロイ!
Rieちゃんのキラー・チューンのひとつ。
毎回取り上げられるだけあってバンドも「立て板の上の水の如く」だ!

370v
260v

380vくんずほぐれつの大混戦!

400今回も自慢の4曲をガッツリとキメ込んでくれたRieちゃん。
410vアンコールは全員集合のセッション大会。

420ココは正真正銘ジェフ・ベックのレパートリーで「The Pump」。
作曲はトニー・ハイマスとサイモン・フィリップス。

430この辺りも皆さん、お手のモノ。

460

30もう1曲はこのイベントのフィナーレで必ず演奏している「Led Boots」。
コチラはマックス・ミドルトンの作品。

470ドラム・ソロもバッチリとフィーチュアされた!

480ココでも三人三様のスタイルでソロを聴かせてくれたGG3。

473v

474v

475v今回もオモシロかったです!
Rieちゃん、ありがとう!
vol.5も楽しみにしています。
「我こそは!」という腕に自信があるガール・ギタリストの皆さん、Rieに連絡してあげてくださ~い!

500 

200_3
(一部敬称略 2021年4月9日 汐留BLUE MOODにて撮影)

2021年5月12日 (水)

【イギリス-ロック名所めぐり】vol.65~ヘンリー八世と六人の妻 <その4:ジェーン・シーモアとアン・オブ・クレーヴズ>

 
ヘンリー八世の6人のお妃の内、最もドラマチックな生涯を送ったアン・ブーリンに続く4番目の奥様はジェーン・シーモア。
今回は曲から聴いてみましょう。
10cdB面の1曲目が「Jane Seymoure」。
ウチのレコード棚に40年以上居座っているLPのライナー・ノーツを見ると「ジェーン・シーモーア」となっているけど、ま、世間一般では「ジェーン・シーモア」で定着しているようなのでマーブロもコレに従うことにする。
また固有名詞の読み方がアーダコーダとやっていると間違いなくキリがなくなるでね。Shviii アルバム全6曲中、もっともキーボーズのア・カペラパートが多い曲。
途中少しだけドラムスが加わるが、ほとんどがパイプ・オルガンをフィーチュアした「ソロ・パフォーマンス」と言ってもよいでしょう。
この曲のオルガンのレコーディングはロンドンの「セント・ジャイルズ・ウィズアウト・クリップルゲイト(St. Giles-without-Cripplegate)」という長ったらしい名前の教会で行われた。
「セント・ジャイルス(ジャイルス聖人)」に捧げられた教会で、ロンドンに残された数少ない中世の教会のウチのひとつ。
1394年に造られ、1666年のロンドン大火や2度の大戦でも焼け残ったという「件」がいたとしか思えない生命力の強い教会。
Ssgc「ウィズアウト・クリップルゲイト」というのはローマ時代に作られたロンドン・ウォールの外側に位置するという意味。
「ロンドン観光」となると劇場街やコヴェント・ガーデンやソーホーがあるウエスト・エンドにどうしても人気が集中してしまうが、東から歴史が始まったロンドンは、ザ・シティ地区にたくさんの古跡が手中していて見て歩くと存外にオモシロイ。
近代的な建物に混ざってこうしたローマ時代の遺跡がボコボコ残っていたりする歴史好きにはタマらないエリアだ。
東京だったらこんなこと考えられないよ。Simg_7842 教会の場所は「ロンドン博物館(Museum of London)」のそばなので近くには行ったことがあるんだけど、その時は教会のことは知らなかった。
今度ロンドンに行く時に見て来るわ。Simg_7828 「聖人(Saint)」については過去にどこかでやっているけど、今日この後でもう1回出します。
リック・ウェイクマンはレコーディング・スタジオで色々と試してみたが納得のいくサウンドが得られなかったため、この教会のパイプオルガンを借用してレコーディングを行ったという。
このパイプ・オルガンは「Close to the Edge(危機)」にも使われたのよ。
あの後半の入り口の♪ビヤ~っとやるとこね。
Spo
「Jane Seymoure」という曲のアレンジとして、あんまりパイプ・オルガンだけにしてしまうと、宗教音楽みたいになってしまうので、ドラムスや後半にムーグを重ねたりしてロック・チューンっぽく仕上げたそうだ。
このムーグのパートはYesのライブ盤『Yessongs』のリックのソロのコーナーで出て来るね。
オリジナルより全然カッコいいんだよね。
というか、ライブの方だけ聴いていたら原曲がこんなに物悲しい雰囲気だということは想像がつくまい。
さて、3番目の奥様、ジェーン・シーモアはこの曲から受ける悲しい印象の人生を送ったのであろうか…。15この人がジェーン・シーモア。
元々はキャサリン・オブ・アラゴンとアン・ブーリンに仕えた女官だった。
アン・ブーリンが処刑される1年ぐらい前からヘンリー八世はジェーンのことを気にするようになり、最終的に恋人に浮上した。
そして、アンが処刑された日に婚約し、その10日後に挙式を執り行ったてぇんだからヒデエ話だ(この日程については異なる説もあるようだ)。

20v「下衆の後知恵」で恐縮だが、ちょっとアン・ブーリン時代に戻らせて頂く。
しかも以前に少し触れたことがある内容なんだけど「聖人」が出て来たところでもう一度やりたいと思うのです。
下は世界的に有名なロンドンの美術館「ナショナル・ギャラリー」のとなりにある「ナショナル・ポートレート・ギャラリー」に飾ってある肖像画。
「ナショナル・ポートレイト・ギャラリー」はこのように王室のメンバーの肖像画を中心に人物がだけを展示している美術館だ。
左上は「征服王」の別名で有名な初代イングランド王のウィリアム一世(William the Conquror)。
1027年の生まれだっていうから古いよ。
そのとなりが「碩学王」の第3代イングランド王「ヘンリー一世(Henry Beauclerc)」。
その隣が…とやっているとみんなイヤがっちゃうのでココで止める。
世界史は同じ名前のヤツが何回も出て来てややこしいから嫌われるっていうんでしょ?
まったくその通りだよね。
こうしてズラリと歴代のイングランドの君主の肖像画が並べられている中、最下段の真ん中にいるのが…

Simg_1697ヘンリー八世と、その隣がアン・ブーリン。
アン・ブーリンの向かって右隣りは、ヘンリー八世の最初の奥さんのキャサリン・オブ・アラゴンの一粒種のメアリー一世。
オヤジを恨んでプロテスタントを弾圧しまくって「ブラディ・メアリー」の異名を取ったメアリーは女王様。
つまり、ココに掲げられているのはゼ~ンブ王様か女王様なワケ。
なんでアン・ブーリンだけ王妃の身分。
何で出してるんだろうね?
理由は…わからない!
しかも、処刑までしちゃった仲なのに仲良く並んでいる。
イギリスの「離婚第1号」というスペシャルな関係だからか?
Simg_1698その離婚について、もうチョットだけやらせてね。
下はトマス・モア。
有名な『ユートピア』を著した人ね。
ヘンリー八世の信頼を得て「大法官」というメッチャ高い地位まで上りつめた法律家。
すごくマジメなの。

30vで、この人の生涯を描いたフレッド・ジンネマンの『わが命つきるとも(A Man for All Seasons)』という作品があって、1967年のアカデミー賞に8部門でノミネートされて作品賞・監督賞・主演男優賞を含む6部門を受賞した。
怪獣とマンガと安っぽいヒューマニティだらけの今の映画界のアカデミー賞なんかとは価値が全く違う時代だからね、途轍もなく格調が高い名作なワケだ。
史実に基づいて作られていてもちろん私も観たけど、どこで感動していいのかサッパリわからなかった。
どんな話かと言うと、例の最初の奥さんであるキャサリン・オブ・アラゴンとの離婚がローマ教皇から認められなかったでしょう?
そこで、困り果てたヘンリー八世は大変に人望厚く、教養豊かで全幅の信頼を置いていたトマス・モアに「チョット、バチカンへ行ってポープ(ローマ教皇のこと)ちゃんを説得してくんない?お願い!」と頼むんだけど、敬虔なカトリック信者だったトマス・モアは断っちゃうのね。
そして、ヘンリー八世がローマから離反してイギリス国教会の親分に就任すると、その「大法官」という官位を返上しちゃう。
するとどうなるか…話は簡単。
そんなの即、処刑よ、処刑。
ヘンリー八世の側近だったトマス・クロムウェルが推し進める、国王をイギリス国教会の首長とする「国王至上法」ってのに反対した廉で「反逆罪」に仕立てあげられちゃった。
このトマス・クロムウェルは後でまた出て来るから名前は覚えておいてね。
 
そして、トマス・モアは死後400年経って「聖人」になった。
詳しくは知らないんだけど、この「聖人」に選ばれるのはモノスゴく厳しい審査があって、どんなに早くても認定までに10年を要すのだそうだ。
トマス・モアは400年、ジャンヌ・ダルクなんて死んでから489年後だってよ。
コレって一体どうやって審査の引継ぎをしてるんだろう?
40dv
 
この映画でヘンリー八世を演じるのはロバート・ショウ。
コレがまた適役なのよ。45ロバート・ショウはクイント船長を演じた人ね。
黒板をキ゚~ってやる所なんかは実にヨカッタ。
おわかりね?
『ジョーズ』の話。
こうして見ると、スウェーデンのベースの名手、ニールス・エルステッド・ぺデルセンみたいだな。50vそして、古くはコレ。
カッコいい~!
『ロシアより愛をこめて』でスペクターの刺客、グラントを演った。
列車の中の壮絶な取っ組み合いのシーンね。
あの映画はローバート・ショウのおかげでキリっと引き締まった。60vジェーン・シーモアは6人の妻の内、唯一ヘンリー八世と一緒に埋葬することを許された王妃だった。
アン・ブーリン同様、家族が宮廷内での地位向上を画策してジェーンを操作していたこともあったらしいが、アンとは異なり大人しく、一度もヘンリーと言い争うことはなかった。
下は別の肖像画。
ルックスとしては特に「美人」というほどでもなかったようだ(私の主観ではありません。史実です)。Js下はヘンリー八世の半生を描いたテレビドラマ『THE TUDORS~背徳の王冠』でジェーン・シーモアを演じたアナベル・ウォリスというイギリスの女優さん。
ま、こんなに可愛くはなかったでしょう。
09_js2
このアナベル・ウォリスという人、チョット気になって調べてみたら、ナント名優リチャード・ハリスの姪っ子さんなのだそうだ。
クリント・イーストウッドの『許されざる者』で「イングリッシュ・ボブ」を演った人ね。
我々世代だと『ジャガーノート』という映画でおなじみか?…なつかしいナァ。

09_ebMarshall Blog的にリチャード・ハリスを紹介するならば、ジミー・ペイジが住んでいる(住んでいた?)サウス・ケンジントンの「タワーハウス」という豪邸の前の持ち主。
ジミー・ペイジはデヴィッド・ボウイと競って、今の貨幣価値にして7億円でコレを買い取った。
サウス・ケンジントンはロンドンの中でも指折りの高級住宅地なのです。

80v「聖人」の話を引っ張ったのはコレやりたかったから。
ジョン・コルトレーンは無くなる1年前に来日し、記者会見で「10年後はどうなっていたいですか?」と訊かれ「I want to be a saint(聖人になりたい)」と答えた。
練習に明け暮れ壮絶な演奏技術を身に付けて自分だけの音楽を想像したコルトレーンは「私の人生にレジャーはなかった」とも言った。
なるほど、記者会見でのコルトレーンの答えは、人生を犠牲にして芸術の道を歩んだジャズの巨人として「聖人」という地位の崇高さを認識してのモノだったんだな…と感心した。
カッコいいじゃん?
そしたら…どうもこのコルトレーンは発言は半分冗談だったということを最近知った。
文字だけだとなるほど含蓄に富んだ発言に見えるけど、残されたインタビューの音源ではどうも笑って答えているらしい。
「ナンチャッテ!」含みということのようだ。
この来日は7月でもう日本は暑い盛りだった。
翌年、肝臓ガンでなくなるコルトレーンはこの時病魔に侵されていて、一日中アイスキャンディを食べていたらしい。
 
インターネットからお借りしたこのモノクロのポートレイトは写真家の方のジム・マーシャルが撮影したモノ。
スゴイね。
カラー以上に色彩が豊かな印象を受ける。
最近デジカメで撮って「雰囲気が出る」とモノクロで現像しているのを見かけるけど、アレはゴマカシが効いてしまうので見ていてちっともオモシロくない。
私もホンの一時期やってみたけど、腕が落ちると思って止めた。
チャンと色を出して撮る方が格段にムズカシイ。Jc さて、ヘンリー八世がジェーンを自分の隣に埋葬する許可を出したのは、ジェーンが男の子を生んだからなのね。
そのご褒美というワケ。
1537年、三日三晩の大難産の挙句、ジェーンが生んだのが後のエドワード6世。
その難産がジェーンの体力を奪い、衰弱してそれから12日後に息を引き取った。
下はハンプトン・コート宮殿に飾ってある当時のチューダー家の肖像画。
向かって左の立っている女性がキャサリン・オブ・アラゴンとの間に生まれたメアリー。
右がアン・ブーリンとの間に生まれたエリザベス。
ヘンリー八世の前の向かって左の子供がエドワード。
傍らの女性はジェーン・シーモア。
ヘンリー八世が人生で一番幸福な時期を描いているそうだ。
ところが…この絵はおかしいでしょ?
だって、エドワードを生んで12日後にジェーンが死んでいるワケだからジェーンが幽霊でない限りこんな瞬間はあり得ない。
コレは6番目の奥さん、キャサリン・パーが年老いて心身ともに弱っていたヘンリー八世を元気づけようと「人生で一番幸せだった時」を想像で描かせたモノなのだそうだ。
つまり、世継ぎを生んだジェーンが一番ヨカッタということらしい。
ああ、憐れなジェーン。
アン・ブーリンとは異なり、一般大衆からの支持も得ていたジェーンは、もし生きていればチューダー王朝最強の王妃になってヘンリーと共に国を差配したかもしれない…と言われている。
その無念さがリック・ウェイクマンの曲に表されていると思わない?
80そのエドワードは父の死に伴い、9歳で王に即位するが、15歳の若さで死去。
長くなるので詳しくはかかないけど、この辺りの王室の醜い政争はスゴイよ。
下がエドワード六世。
色、白いナァ~。ケンカ弱そうだナァ~。
しかし、お父さんが「ヘンリー八世」ってのはどうなのよ?70v先日、アン・ブーリンの記事をご高覧頂いた方から、アン・ブーリンの首なしの幽霊の動画なるモノがあることを教えて頂いたが、このジェーン・シーモアも出るそうだ。
毎年10月12日になると、出産用の白いドレスを着て、細いローソクを手にした女性がハンプトン・コート宮殿の廊下を歩き回るのだそうだ。
この10月12日とは、ジェーン・シーモアがエドワードを生んだ日なのです。
下は家内が撮ったハンプトン・コート宮殿の廊下の写真。
ココを歩き回るのかどうかわかりません。
このシリーズ、まだもうひとり出る奥さんがいるのでお楽しみに。
90v続いて4番目。
4番目の奥様はアン・オブ・クレーヴズ。
また「アン」だよ。
ヘンリー八世の奥様たちは「キャサリン」が3人、「アン」が2人、「ジェーン」が1日と半分キャサリンなんだよね。
もっとも2人のアンはスペイン人とドイツ人なので「アナ」と「アンナ」になるのかな?
もしかしてヘンリーにはこれらの名前にこだわりがあったのかしらん?なんて思っちゃう。
アンはその名の通り、神聖ローマ帝国領の「クレーフェ公国(現在のドイツとオランダの間)」から輿入れして来た。
当時は写真なんてないので、相手がどんなルックスかは絵に頼るしかない。
ヘンリーはホルバインを現地まで派遣して描かせたアンの肖像画を見て、初対面の時にはどんな服を着て行こうかと色めきだったらしい。
もう結構な歳になっていたからね、若いお嫁さんに少しでもカッコよく見せたかったワケ。
ところが!
ホンモノに会った時に口にしたのは…「お、おのれホルバインめッ!」だったとか。
要するに肖像画とはかけ離れたブスだったというワケ。
何しろ名前が「クレーヴズ」だからね。
100vこの結婚を計画したのはヘンリーの側近のトマス・クロムウェル。
上に出て来た人ね。
結果的にこの人が「王様メッチャエラい!」という法律を推し進めたものだからトマス・モアは処刑されちゃった。
クロムウェルがプロテスタントのお嫁さんということと、クレーフェ公国との関係強化を考えてアンをヘンリーのお嫁さんにセットしたのだが、どうしてもヘンリー八世がアンのことが気に入らない。
イヤでイヤで仕方ない。
結果…処刑。
アン・ブーリンの時にはフランスから死刑執行のプロ中のプロを呼び、普通は斧を使うところアンが少しでも苦しまないように、と飛びっきり切れ味の良い刀をこれ又おフランスから取り寄せたという話を前回書いた。
よっぽどハラが立ったんだろう、クロムウェルの時はその反対に普通の斧で死刑執行業務見習い中の研修生に首を落とさせた。
「あ、イカン!手元が狂っちゃった!耳無くなっちゃいました?」なんてことをヘンリーは期待していたらしいよ。
一方、ホルバインも「もはやコレまでか?!」と覚悟をキメたが、ギリギリセーフ。
「宮廷画家」の資格を剥奪され、追放されるだけでナントカ収まった。

110v処刑で思い出したんだけど、『侍はこわい』という司馬遼太郎の短編小説に切腹を命じられる侍の話があった。
もうだいぶ前に読んだ本なので、その短編のタイトルも覚えていないのだが、とても印象に残った箇所があった。
とてもマジメで気位の高い侍が、何かのミスで切腹を命じられ、文句ひとつ言わずその命に殉ずるんだけど、介錯ってあるでしょ。
腹を掻っ捌く苦痛から解放するために首を切り落とす「武士の情け」というヤツ。
やったことはないけど、あの切腹というのはメチャクチャ痛いらしい。
で、膝をついて前かがみになった姿勢で首を落とされると、その瞬間、人間の身体というものは反動でピョーンと後ろにハネ返ってしまうのだそうだ。
コレが武士として大変みっともないことらしい。
そこでその気高い武士は、腹を切る直前に両足の親指の骨を手で反り返らせてボキっと折ったっていうんだよね。
こうしておくと、首を落とされた時に踏ん張りが効かないので身体が後ろに反り返らないですむというワケ。
ホンマかいな?って思うでしょ?
その侍は腹を掻っ捌いて、前かがみになって首を伸ばして介錯を促す。
すると一瞬首の後ろに刀の冷たさを感じですべて終わった…みたいなことが書いてあったように記憶している。
こういうところがね~、「司馬さんの小説はファンタジー」と言われる所以なのではないかと思ってしまうのです。
吉村さんだったら絶対ココまで書かないと思うワケよ。
だから私は「吉村昭」。
首に冷たさを感じるかどうかを知っている人はこの世にいないんだもん。
でもオモシロかったけどね。

Sk
ホルバインは私情を入れずにモデルを忠実に描く画家という評判だった。
なので、そんなにヘンリーに見せるアンの肖像画を盛っていたのだろうか?と思って他の人の作品に目をやると…そんなでもない感じじゃん?
大して変わらない。
ところがヘンリーは顔面以外のことも気に入らなかったそうで、例えば以前の3人の奥さんに比べて背が高すぎたとか、英語がほとんど話せなかったとか、音楽や文学の素養がなくヘンリーの趣味に合わせることが出来なかったとか…。
加えて、アンは大層体臭がキツかったらしい。
それを隠すために大量に香水をかけていたのもマズかった。
結局、夫婦としての関係はないまま、1年も経たずして離婚。
アンも素直に離婚の提案を受け入れた。

120v下はヘンリー八世の半生をサラリと描いた1933年のイギリス/アメリカ合作映画『ヘンリー八世の私生活(The Private Life of Henry Ⅷ)』。
映画の中で2人はトランプかなんかやっちゃって、アンとの生活がすごく楽しそうに描写されている。
この作品も以前にココで紹介しているけど、ヘンリー八世を演じたのはイギリスの名優、チャールズ・ロートン。
そして、アン・オブ・クレーヴズを演ったのは、実生活でロートンの本当の奥さんだったエルザ・ランチェスター。
ちなみにこの作品は第6回(古い!)のアカデミー賞で作品賞と主演男優賞を獲得し、その年のアメリカでの興行成績が12位となるヒット作となった。
日本も同じだけど、この頃のアメリカの一般人はまだ知性が高かった。
今じゃキメツだもんな~。アメリカの映画界はもうハメツして久しい。古いハリウッド映画が大好きな私は今のアメリカに本当にゲンメツしている。

130dvこうして、アン・オブ・クレーヴズはブスが幸いして何の危害も被害も受けずにヘンリー八世の元を離れることができた。
しかも、ヘンリーも世間体を考えてかアンに「ヘンリー八世の妹」という称号を与え、膨大な不動産を賜り、富豪女性として幸せな生涯を送ったそうです。
人間、ナニがどう幸いするかわかりませんな。
 
…という人生を送ったアン・オブ・クーブズはどんな曲に仕上がっているのだろうか?
早速、A面の2曲目「Anne of Claves」を聴く。
不吉な音列のイントロに導かれて飛び出してくる変拍子のカッコいいリフ。
コレは11/8拍子と10/8拍子のコンビネーションか。

7:52を要するアルバム中最長の大作。
次から次へと場面がコロコロ変わってカッコいいことこの上なし。
ヘタをするとこの曲がアルバム中一番いいかも。
しかし!
私にはひとつ気に入らないパートがあるのだ。
それはキーボーズのソロの部分。
どうして「エル・クンバンチェロ」のメロディなんか入れちゃったのよ~!
日本でコレを演ると一気に運動会かマジックのイメージになっちゃうじゃんか。
リックはジャケットに予め「それぞれの王妃の人生のイメージを音にしているワケではない」と断ってはいるけど、コレはもっとも題名の本人とイメージがかけ離れているように思います。

140cdところで、そのメイン・リフね。
リックが使いまわしているの知ってる?
それはYesの『海洋地形学の物語(The Tales of Topographic Ocean)』のC面の「The Ancient」。
コチラは4/4といえば4/4拍子なんだけど、3/4と5/4をグルーピングしているのとインストゥルメンタリゼーションが異なるので、聞いた感じは「Anne of Claves」とはチョット違うんだけど、マァ同じと言って何ら差支えはないでしょう。
リックはこのアルバムの制作に反対で、コレを最後にYesを去ってしまうでしょ?
果たしてこのアルバム制作の中心だったアンダーソン=ハウのチームがリックが作ったこのフレーズを使いたがったのか、それともリックが「The Ancient」のフレーズを持って来ちゃったのか…はたまた仲良く協議の上、チョイとリズムを変えてシェアしたのか…どうなんだろう。
『ヘンリー』のジャケットのクレジットを確認するとレコーディングは「1972年10月」とある。
一方、『海洋地形学』のジャケットを見てみると、「1973年夏から初秋」となっていた。
ウェイクマン製のフレーズと考えてマァ間違いないでしょうな。
 
Yesが好きという人はゴマンといるけど、「『海洋地形学の物語』が好き」と言う人に会ったことない。
みんな『The Third Album』、『Fragile』、『Close to the Edge』、『Yessongs』、せいぜい後は『Relayer』の5枚しか相手にしていない感じがする。
かく言う私もそうだった。
コレね、A面で損しているんじゃないかナァと思うんだよね…フォーキーでおとなしいでしょ?
B面も前半が結構ツライ。
ところが、B面の後半を経てC面に入ると俄然調子を上げてカッコよくなるんだよね。
中学生の時に盤を買ったんだけど、恥ずかしながらコレに気が付いたのはココ数年のことなのです。
最初の2枚も結構いいんだよな~…「大いなる西部」とか「Something's coming」とか演っちゃってるヤツ。
私は『Going for the One』からリアルタイムなんだけど、アレには盛大にガッカリしたナァ。
もうあの頃、プログレは完全に死に体と化していた。
この『海洋地形学』はイギリスでは2週間にわたってチャートの1位を飾った。
日本だってこの頃は『Yessongs』がバカ売れしてワーナーの人が腰を抜かしたっていうからね。
昔は洋の東西を問わず、音楽の聴き手の方の知性高かった。耳が肥えていたということね。
だからスゴい音楽がイッパイ出て来た。
 
ところで、先日facebookで「アナタは原題派?邦題派?」というアンケートをやらせてもらった。
ご協力頂きました皆様、どうもありがとうございました。
原題派の方が多いのはチョット意外だった。
実はこのアルバムもお題に入れようかと思ったんだけど、ヤメて『危機』にしたのです。
このアルバムを「ざ・ているず・おぶ・とぽぐらふぃっく・おーしゃん」と呼んでいる人が日本にいると思えないから。
超厳格原題派の私ですら「海洋地形学」って呼んでます。
口にする機会は一切ないけど…。

150cdロックっぽくなったところで今日はおしまい。
ヘンリー八世の奥さんはあと2人残っていますので次回もお楽しみに!

<つづく>
 

200

2021年5月 8日 (土)

NATALのデモンストレーション動画

 
NATAL Drumsの輸入販売代理店をお任せしているヤマハミュージックジャパンさんがNATALのデモンストレーション動画を作ってくれました!
デモンストレーターは人気インスト・バンドのfox capture planの井上司さん。09_banner 
ドラム・キットはウォルナット・オリジナルとカフェ・レーサーの2種類。09_kits 
スネア・ドラムはスゴイよ。
材質やらサイズ違いの6種類のモデルをデモンストレートして頂いた。
わかっちゃいるけど…こうしてみると、ずいぶん音って違うもんですナァ。
コレはオモシロイわい!

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コチラからご覧ください!⇒日本版NATAL公式ウェブサイト アーティストデモ

 

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2021年5月 7日 (金)

【BREAK the CODE】vol.18~TSP Shu

 
プロ・ギタリストがMarshall CODEのサウンド・メイキングを伝授するシリーズ企画『BREAK the CODE』の第18回目はTSPのShu。
Shuちゃんとは長いんですよ、お付き合いが…。
実は中学、高校、大学の後輩だったりもするんですわ。

70ShuちゃんはJMP-1とEL34 100/100というMarshallの最強ラック製品をMODE FOURのキャビネットにつないでサウンドを作っている。
昔々、私のところに試奏をしに来てくれて、お気に召して頂いて以来ズッ~とコレ。
EL34 100/100ってメチャクチャいいデザインだと思うんだよね。
昔は100W/100Wを「9200」、50W/50Wのモデルを「9100」と言った。
真空管をEL34に仕様変更した時に名称も変わった。
多分、単位質量がMarshall歴代の商品の中で2番目に重いモデルだと思う。
1番重いのは「2001」という300Wのベース用ヘッドだろう。
イヤイヤ、今回の『BREAK the CODE』はその上に乗っているプリアンプ「JMP-1」が主題に置かれているのだ。
40v_2LOUDNESSの高崎晃さんが愛用されていることで知られているJMP-1。
要するに世界がうらやむ「Takasaki Sound」のキモだ。
それを同じJMP-1ユーザーのShuちゃんがCODE25で再現してみよう!というワケ。902 CODEはご存知の通りデジタル技術を応用して歴代のMarahall製品の音をモデリングするアンプなワケだけど、実はJMP-1もアナログでそれをやっていたんですよ。
下が当時の広告。
ね、JMP-1の基板に色々なモデルが組み込まれているでしょ?S0r4a0179この広告も同じコンセプト。
過去のモデルがズラリと並んでいる。
ま、コレは宣伝効果を狙っていて、とどのつまりは「どんな音でも出ますよ~」という意味なんだけどね。
S0r4a0181時々、英文和訳の作業をしていて思うことがあるんだけど、まず英文を日本語に訳すでしょ?
そして、今度はその訳文をもう一度英語に翻訳し直した時にどれだけオリジナルの英文に近づくか…。まぁ、私程度の英語力でコレをやったら原型を留めない英文が出来上がることは間違いない。
今回の『BREAK the CODE』はコレに似た感覚がある感じがしてすごくオモシロイと思ったんだよね。
アナログ時代のモデリング名人が出す音をデジタルでモデリングするワケだからね。80v動画はすべてShuちゃんのオリジナル企画にして自作。
さすが慣れているだけあってウマいし凝ってる!
TSPの動画に合わせて弾くところもオモシロイ。160v2 そんなShuちゃんの『BREAK the CODE』はコチラ!

TSPも10周年なんだね~。
Shuちゃん、おめでとう!
あの高田馬場のライブが懐かしいわい。
 
TSPの詳しい情報はコチラ⇒TSP official website
 

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ユーリのライブから~Tatsuya Brush登場!

 
ドラマーの石川達也くんからのある日の架電。
「シゲさん、ブラシのいいのがあれば教えてください」
「ん?どうしたの?虫歯でも痛むの?」
「歯ブラシじゃありませんよ!ドラムスのワイヤー・ブラシです」
「あ、どうも変だと思った…」
 
「架電(かでん)」という言葉も変か?
37年前、学校を出て新入社員の時に初めて知った言葉なんだけど、コレ、世間一般ではあまり使われていないらしいね。
私のかつての勤め先は古い会社だったからナァ。
「架電」とは「電話をかける」こと。
法律用語から端を発した一種の業界用語らしい。
「至急」を表す「ウナ」なんて言葉もよく使われていた…ファックスの上に「ウナ」と書いてグルっと線で囲んで送るワケ。
それを受け取った方は「おお!急いでいるのか…じゃ早く対応しないとまずいナ」となる。
コレは元となっているのは「至急」を意味する英単語「urgent」のモールス信号から来ているのだそうだ。
「urgent」をモールス信号の略号にすると「u(・・ー)」と「r(・ー・)」で表される。
その「トントンツー」と「トンツートン」を日本語版のモールス信号に当てはめると「ウ」と「ナ」になることから「ウナ」が「至急」を意味する符号になった。
大至急のメールを海外に打つときには今でもタイトルに<URGENT!>なんて入れたりするけど、日本では全く耳や目にすることがなくなったナ。
 
話を戻して…「架電の件、どうなりましたでしょうか?」なんてよく言った使ったものだけど、いまやSNSに押されて電話の出番も少ないからね~。
電話をするのに「今、電話をしてよろしいですか?」とメールするなんて全く狂ってるよ。
電話してくりゃしてして来たで「今、電話してよろしかったでしょうか?」と来たもんだ。
過去形で言うな!過去形で!
「今、チョットよろしいですか?」でいいじゃねーか!
そもそもよろしくなきゃ電話には出ないんだよ!
それで、架電をしたけど通じないのでメールを打つ…というのが普通の道筋だと思うんだけどね~。
ホントに若いヤツらは電話に出ないよ。
ちなみに達也くんと私の間は電話を優先にしてごく普通に連絡を取り合っています。
年寄りの習性に付き合わせて悪いナ、達也くん。10ワイヤー・ブラシというのはこういうヤツね。
この針金の束でスネアドラムをサッサク、サッサクと擦る。
実にいいモノです。
名人の手にかかると使い込んだブラシは、不思議なことに針金の先端が3mmぐらいのことろでカクっと曲がるという。
 20 
達也くんの架電の内容は、「ジャズのコンボで演奏するので、ナニかブラシのプレイで参考になるCDを教えてくれませんか?」ということだった。
こういうのはスキよ。
…といっても「ブラシの名演」なんていうと枚挙にいとまがなくて、ハテ…ナニにしようかとニヤニヤしながら真っ先に思い浮かべたのが「ブラシの名人」の呼び名も高いエド・シグペン(Ed Thigpen)。
シグペンさんは1950年代から60年代の中盤まで栄光のオスカー・ピーターソン・トリオのドラムスの座を飾った大ドラマー。
「ジャズ・アルバム100選」なんていうと「定番」、「人気盤」、「安全盤」として間違いなく出て来る『プリーズ・リクエスト(We Get Requesrs)』のドラムスもシグペンさんだ。
35cdなんで「シグペンさん」なんて珍しく「さん」づけにしているのかというと…私、お会いしたことがあるんですわ。
もう大分前のNAMMショウでのこと。
ホテルのロビーにシグペンさんがひとりで立っていたんだけど、だ~れも気が付かない…というより元より知られていない。
私はすぐにわかって、「あ、エド・シグペンだ!ウワ、ホンモノのシグペンだ!ハハハ、動いてやがる!」とソワソワしてしまった。
それを見て取ったシグペンさんは私に向かってシッカリとウインクをしてくれたのだ。
調べてみると2010年に亡くなっているんだね。
あ~、写真を撮っておけばヨカッタ。
このことを自慢したくて今日の記事の構成をキメた。
 
シグペンさんはこんなブラシの教則ビデオも出していた。
ウチにあったと思ったんだけど、どっかへ入り込んでしまっていて探したけど出てこなかった。
このビデオにはブラシの動かし方を描いたブックレットが付いていて、それがまるで『おれは鉄兵』に出て来る上杉鉄兵が剣道の対戦相手の足さばきを分析したメモみたいでオモシロかったのを覚えている。
40vdシグペンさんは教則本も出していた。
出版社はAlfredだったのか…。
なつかしいな…ラシェールどうしてるかな?
日本が大好きな女性の担当者で、よくメールでニューヨークの様子と情報交換をしたものだった。50b…ということで、達也くんには下の『Mr. Taste』というギター・トリオ盤をおススメした。
またこのギターのトニー・ピュローン(Tony Purrone)というインドっぽいルックスの人がスゴくてね。
選曲もいいし、ギター・ファンにもおススメの1枚。30cdブラシはやっぱり魅力的なプレイなのか、こんな「ブラシの競演」みたいなDVDも出ている。
コレは私の親友のロブ・ウォリスがやっているHudson Musicの一作。
ブラシはうるさくなくていい。
60dvdもうひとつ…エルビンから1枚選ぶことにした。
色々迷ったけど、私の愛聴盤ということでトミー・フラナガンの『Eclypso』。
曲よし、演奏よしの7曲中、4曲をブラシで演奏している。
ベースのジョージ・ムラーツもカッコよくて、ピアノ・トリオ盤とはいえ、聴く時は耳を三等分してピアノ、ベース、ドラムにそれぞれ振り分けることにしている。70cdさて、その達也くんのジャズのお仕事とは、ユーリというシンガーソングライターのバックを務めるピアノ・トリオでの演奏。90ピアノは鈴木史門。

100ベースは永松徳文。

110そして、石川達也。120v達也くんの今日のNATALはCafe Racerの「TJ」というジャズ向けのキット。
10"タム、14"フロア、18"バスという組み合わせ。
小さくて可愛いでしょ?
でも鳴りはおっそろしくシャープ。

130スネアは14"x5.5"のメイプル。
ペダルもNATALだ。140vスティックとブラシを持ち替えながらこのキットを巧みに使いこなしていた。150 そして、主役のシンガーはユーリさん。
達也くんから「ジャズ」と聞いていたので、コッテコテのスタンダードを演るのかと思っていたらさにあらず。
その音楽性は「ジャズ」という枠に全くハマらない自由な発想に基づくものだ。
この日も独特の選曲がオモシロかった。160v1曲目は007シリーズ第2作目の『ロシアより愛をこめて』の主題歌「From Russia with Love」をボサノバで。
ユーリさんの007はコレだけに収まらず、時代を大幅に下らせて2012年の『スカイフォール』の主題歌も熱唱した。
多分、これまでMarshall Blogで「007」については書いたことがほとんどないんじゃないかな?
ナゼかというと…映画としては『ゴールドフィンガー』までで、私、他はチョット苦手なのよ。
でも下の写真を見てください。
私の007シリーズのチラシのコレクション。
『ゴールドフィンガー』あたりまではリバイバル公開の時のモノだけど、他は全部ロードショウ公開時のホンモノ。
こうして見ると写真の使い回しがヒドイな。170映画は苦手でも主題歌はいいね。
シャーリー・バッシーだの、トム・ジョーンズだの、ポールからシーナ・イーストンまで、イギリス色が濃くて実にいい。
番外編とはいえ『カジノ・ロワイヤル』のハープ・アルバートのマリアッチの主題歌も大好き。
でも一番好きなのは『ドクター・ノオ』でアーシュラ・アンドレスが歌うカリプソ「Underneath the Mango Tree」だったりする。
小学生の時に聴いて「なんていい曲なんだろう!」と思って一発で覚えた。
でもね、曲はどれもカッコいいんだけど、『ゴールドフィンガー』とか『サンダーボール』とか、歌詞を聞くと大ゲサで結構赤面モノなんだゼ。
ってんで主題歌集のCDなんかも持っていたりして…。
右は『Basie Meets Bond』というカウント・ベイシー・オーケストラが演奏した主題歌集。
007はどこへやらの徹底したベイシー調が心地よい。
ベイシーは『Basie's Beatle Bag』というビートルズものも作ったけど、原曲より個性を放っている珍しいビートルズ集になっている。180ジェイムズ・ボンドといえばピストルはワルサーPPK。
どうしてドイツ製のピストルを持たせたんだろうね?
調べてみると、原作では元々ベレッタを使っていたようだ。
ベレッタとて、アレは~、イタリアか?
ヒトラーが自殺に用いたのはワルサーPPKだったらしい…コレだな。


Ppk

終戦直後、ソ連兵の捕虜となってシベリアに抑留された日本兵に関する『帰還 ダモイ』という本、オモシロイよ。
よくある「寒くて、辛くて」という内容では一切ない。
頭のいい人主人公はロシア語をたちまち覚えて、収容所内でドンドン出世していく…みたいな内容。
その中でソ連軍からスパイを命ぜられ、ドイツ兵の捕虜に接し、果たしてヒトラーが本当に自殺したのかどうか調査させられるシーンが出て来る。
ヒトラーは自殺した後側近のモノが爆弾を仕掛けて死体を粉々にしたから、死体が残っていない…コレをスターリンが不審に思い、ヒトラーは生きているのではないか?と極度に疑っているので国を挙げて調査したというんだよね。
ま、この辺りに関しては色んな説があるようだけど、ヒトラーは死んだのか、生き延びたのか…。
コレ以上は書かない。
後は読んでのお楽しみ。
ユーリさんがロシア好きとおっしゃるので、少しだけそっち方面をカバーしてみた。
Dmi  
ジェイムズ・ボンドの愛車はアストン・マーチン。

Am へへへ、アタシャ工場へ行ったことがあるのです。
Marshallの工場からそう遠くないニューポート・パグネルというところに主力工場があって、車に興味はないんだけど記念にお邪魔してきた。
車はいいとして…Simg_2422 やってるやってる!
♪サクサクサクサク…ブラシ、バッチリです。190vユーリさんはグロリア・エステファンや吉田美奈子さんの曲を披露。
ホントに選曲の幅が広い。
NATALの紹介もして頂きました。
「月と女」と「Sinner Kingdom」というオリジナル曲も聴かせてくれた。
とてもいい感じだった。200第2部はニナ・シモンの「Feeling Good」からスタート。
ニナ・シモンって好きな人結構多いんだよね。
歌もスゴイけど、ピアノがメッチャかっこいいんだよな。
そして、その1曲目が終わった後、ユーリさんが後ろを振り返って小さな声で「スピーク・ロウ…」と指令を出した。
一瞬「ナニナニ?」みたいになっていたけど、史門さんのリードで曲はスタート。

210「NATALのタトゥーが入っています」なんてうれしいジョークをカマしてくれた史門さん。
力強いタッチでガンガン弾いちゃうピアノが実に気持ちいい!
聞いたらナント、史門さんは元ブルース・ギタリストでピアノは後から独学でマスターされたそう。
そんなことあるのかよ!
そういえばカウント・ベイシーもそうだったハズ。
羨ましい音楽的才能である。220vベースの永松さんも4ビートからスラップまで自然に弾きこなすテクニシャン。
幅広いユーリさんのレパートリーにもってこいのベーシストだ。230vこのお2人、女性のドラマーを擁して「海賊船」というトリオで活動されている。
ロック・ナンバーをピアノ・トリオで演奏するというコンセプト。
ジミ・ヘンドリックスの「Fire」なんかを演られていてね、こういうのはオモシロイね。240v_2「♪愛を語る時には小さな声で…」…「Speak Low」はクルト・ワイルが書いたラブ・ソング。
「クルト・ヴァイル」って呼ばれることが今は多いのかな?
私は「三つ子の魂」で「クルト・ワイル」で一生通す。
「フィル・リノット」や「ピーター・ガブリエル」と一緒。
スキでしてね~、ワイル。
ユーリさんもお好きとのことで、The Doorsやデヴィッド・ボウイなんかでロック・ファンにもおなじみの「Alabama Song」をレパートリーに入れていらっしゃるそうだ。
 
クルト・ワイルはユダヤ系ドイツ人で元々はクラシックの作曲家だったが、ナチスの迫害から逃れるために1935年にアメリカに移住した。
そして、アメリカでポピュラー音楽を勉強してブロードウェイ・ミュージカルのための曲を多数残した。
この「Speak Low」も『A Touch of Venus』というミュージカルの挿入歌。
「September Song」とか「Mach the Knife」とか、ジャズのスタンダードになって今でも頻繁に演奏されている。
「Speak Low」というとドンズバでウォルター・ビショップJr.のアルバムが頭に浮かぶが、ソニー・クラークの『Sonny's Crib』のコルトレーンの演奏も忘れ難い。
ちなみに「crib」というのは暗号を仮に解いた時の平文(ひらぶん)のこと。
この言葉がそういう意味で使われたのは、Marshallの本社の近くにあるブレッチリー・パークの暗号解読所が最初だった。
暗号の話をするとキリがなくなってしまうので興味のある方はコチラをどうぞ。
  ↓   ↓   ↓
【NAMM速報】 BREAK THE CODE!~その暗号を解け!<前編>
それと…
【イギリス-ロック名所めぐり】vol. 46 ~ ブレッチリー・パーク <その1>

 
ジャズではギンギンに演奏することが多い「Speak Low」でも、元のミュージカルを聴くと、もう文部省唱歌のようにおとなしいの。
でも、やっぱりメロディの芯が太いから曲の力はそう演奏しても変わることがない。

Ssl

Ssc
クルト・ワイルは35年ぐらい前にハル・ウィルナーがプロデュースした『Lost in the Stars』というコンピレーション・アルバムでハマった。
も~、このアルバムが好きで好きで!死ぬほど聴いた。
まだCDが主流になる前のこと。
その後、手軽に聴けるようにCDを買おうとしたんだけど、コレが全く手に入らなかった。
レコード会社の知り合いに事情を尋ねると、リリースしてすぐに製造中止となり、再生産されていないからだという。
写真の右下のCDを北浦和のディスク・ユニオンで探し当てたのは5年ぐらい前かな?
しかし、こうして見ると色が全然違うね。
こりゃ、どう見ても色校をしてないな?
このシリーズもニーノ・ロータとモンクとディズニーのヤツまではオモシロかったけど、ミンガスのヤツはツマらなくて聴いていてイライラした。
とにかくこのワイルの作品集がズバ抜けて素晴らしい。25035年前にそのレコードを買ったのがココ。
当時住んでいた大阪は箕面の駅前のショッピングセンターの中にあったレコード屋のワゴンの中に500円で売っていたのをゲットした。
しかし、こういうことはオッソロしくハッキリと覚えているんだけど、最近はパソコンの操作法みたいなことになると5分前にやったことが皆目思い出せないんよ。
下の写真は2年前に大阪に行く機会があったので、なつかしくて箕面まで足を伸ばした時に撮ったモノ。
外見は全く変わっていなかった。255それでワイルにハマってベルトルト・ブレヒトとの作品集やら『三文オペラ』やらチョコチョコ買って聴いていた。
最近でも時々Spotifyで聴いているのです。
この人、そうした歌曲だけでなくてヴァイオリン協奏曲のようなチャンとしたクラシック曲もすごくいいんだよね。
260ユーリさんの「Speak Low」はボサノバ。
ココでも達也くんのブラシが大活躍!280v第2部でも「憂い顔のVenus」と「Night Birds」というユーリさんのオリジナル曲を披露。
コレまたとてもいい感じ。
それに続いて取り上げたのは「愛の嵐」。
「愛の嵐」って、あのルキノ・ビスコンティのアレ。
原題は「The Night Porter」。
その挿入歌が「Wenn ich mir was wünschen dürfte(望みはナニかと訊かれたら)」という曲。
実は…この映画観てないんだよね。
最近偶然にもこの映画はこのMarshall Blogで取り上げた。
というのは、主演を務めたイギリスの女優さん、シャーロット・ランプリングはジミ・ヘンドリックスの友達だったっていうんだよね。
よくフラットに遊びに来ていたという。
その辺りのことが気になる人はコチラをどうぞ。
   ↓   ↓   ↓
【イギリス-ロック名所めぐり】vol. 61 ~ジミ・ヘンドリックスのロンドン <vol.4>
 
この映画の中でシャーロット・ランプリングが歌うのがこの歌だそうで…観たことないからエラそうには書きません。
ひとつだけ…この曲は元々マレーネ・ディートリッヒが歌ったそうで…。
Snp ディートリッヒと言ったら、Marshall Blogではビリー・ワイルダーの『情婦(Witness for rhe Procecution=検察側の証人)』を出さないとマズイ。
キメツだのエヴァだのも、好みは人それぞれだからいいだけど、『七人の侍』とかこういう映画を観ないで死んでいくのは、せっかく人間に生まれて来たのに損ですよ、大損。
このチャールズ・ロートンのメガネがいいね。
ロートンは「ヘンリー八世」を演ってもヨカッタ。Cl その後には驚いた。
ナント、香津美さんの『KYLYN Live』に収録されている矢野顕子さんが歌う「The River Must Flow」が出て来たのだ!
この時、何十年ぶりに聴いたことか!
ユーリさんの選曲、マジでスゲエな。
バリショーエ・スパシーバ!
290…と、驚いたところで最後の曲。
ホリー・コールの「Calling you」をハードなアレンジで。
達也くん、今度はスティックで遠慮なくバシバシと叩きまくっていました。
あ~、オモシロいライブだった!
S41a0188達也くん曰く「NATALの音がいいのは当たり前なんですが、叩いていて他のブランドのキットよりも周りの音がクリアに聞こえる気がします」とのこと。
そんなモノなのか…。
ありがたい感想だ。S41a0070さて、その達也くんが昨年末にバーチャルで開催された楽器フェアでのパフォーマンスの動画が公開されたのでゼヒご覧頂きたい。
人気ギタリストのMashaくん率いるSilexのインスト・バージョンの演奏だ。

そして、そのMarshaくんやI Don't Like Mondays.のChojiくん達とステージに立った一昨年の『Marshall GALA2』の動画もお見逃しなく!

 

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(一部敬称略 2021年4月2日 浅草舵輪にて撮影)