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2021年5月 7日 (金)

ユーリのライブから~Tatsuya Brush登場!

 
ドラマーの石川達也くんからのある日の架電。
「シゲさん、ブラシのいいのがあれば教えてください」
「ん?どうしたの?虫歯でも痛むの?」
「歯ブラシじゃありませんよ!ドラムスのワイヤー・ブラシです」
「あ、どうも変だと思った…」
 
「架電(かでん)」という言葉も変か?
37年前、学校を出て新入社員の時に初めて知った言葉なんだけど、コレ、世間一般ではあまり使われていないらしいね。
私のかつての勤め先は古い会社だったからナァ。
「架電」とは「電話をかける」こと。
法律用語から端を発した一種の業界用語らしい。
「至急」を表す「ウナ」なんて言葉もよく使われていた…ファックスの上に「ウナ」と書いてグルっと線で囲んで送るワケ。
それを受け取った方は「おお!急いでいるのか…じゃ早く対応しないとまずいナ」となる。
コレは元となっているのは「至急」を意味する英単語「urgent」のモールス信号から来ているのだそうだ。
「urgent」をモールス信号の略号にすると「u(・・ー)」と「r(・ー・)」で表される。
その「トントンツー」と「トンツートン」を日本語版のモールス信号に当てはめると「ウ」と「ナ」になることから「ウナ」が「至急」を意味する符号になった。
大至急のメールを海外に打つときには今でもタイトルに<URGENT!>なんて入れたりするけど、日本では全く耳や目にすることがなくなったナ。
 
話を戻して…「架電の件、どうなりましたでしょうか?」なんてよく言った使ったものだけど、いまやSNSに押されて電話の出番も少ないからね~。
電話をするのに「今、電話をしてよろしいですか?」とメールするなんて全く狂ってるよ。
電話してくりゃしてして来たで「今、電話してよろしかったでしょうか?」と来たもんだ。
過去形で言うな!過去形で!
「今、チョットよろしいですか?」でいいじゃねーか!
そもそもよろしくなきゃ電話には出ないんだよ!
それで、架電をしたけど通じないのでメールを打つ…というのが普通の道筋だと思うんだけどね~。
ホントに若いヤツらは電話に出ないよ。
ちなみに達也くんと私の間は電話を優先にしてごく普通に連絡を取り合っています。
年寄りの習性に付き合わせて悪いナ、達也くん。10ワイヤー・ブラシというのはこういうヤツね。
この針金の束でスネアドラムをサッサク、サッサクと擦る。
実にいいモノです。
名人の手にかかると使い込んだブラシは、不思議なことに針金の先端が3mmぐらいのことろでカクっと曲がるという。
 20 
達也くんの架電の内容は、「ジャズのコンボで演奏するので、ナニかブラシのプレイで参考になるCDを教えてくれませんか?」ということだった。
こういうのはスキよ。
…といっても「ブラシの名演」なんていうと枚挙にいとまがなくて、ハテ…ナニにしようかとニヤニヤしながら真っ先に思い浮かべたのが「ブラシの名人」の呼び名も高いエド・シグペン(Ed Thigpen)。
シグペンさんは1950年代から60年代の中盤まで栄光のオスカー・ピーターソン・トリオのドラムスの座を飾った大ドラマー。
「ジャズ・アルバム100選」なんていうと「定番」、「人気盤」、「安全盤」として間違いなく出て来る『プリーズ・リクエスト(We Get Requesrs)』のドラムスもシグペンさんだ。
35cdなんで「シグペンさん」なんて珍しく「さん」づけにしているのかというと…私、お会いしたことがあるんですわ。
もう大分前のNAMMショウでのこと。
ホテルのロビーにシグペンさんがひとりで立っていたんだけど、だ~れも気が付かない…というより元より知られていない。
私はすぐにわかって、「あ、エド・シグペンだ!ウワ、ホンモノのシグペンだ!ハハハ、動いてやがる!」とソワソワしてしまった。
それを見て取ったシグペンさんは私に向かってシッカリとウインクをしてくれたのだ。
調べてみると2010年に亡くなっているんだね。
あ~、写真を撮っておけばヨカッタ。
このことを自慢したくて今日の記事の構成をキメた。
 
シグペンさんはこんなブラシの教則ビデオも出していた。
ウチにあったと思ったんだけど、どっかへ入り込んでしまっていて探したけど出てこなかった。
このビデオにはブラシの動かし方を描いたブックレットが付いていて、それがまるで『おれは鉄兵』に出て来る上杉鉄兵が剣道の対戦相手の足さばきを分析したメモみたいでオモシロかったのを覚えている。
40vdシグペンさんは教則本も出していた。
出版社はAlfredだったのか…。
なつかしいな…ラシェールどうしてるかな?
日本が大好きな女性の担当者で、よくメールでニューヨークの様子と情報交換をしたものだった。50b…ということで、達也くんには下の『Mr. Taste』というギター・トリオ盤をおススメした。
またこのギターのトニー・ピュローン(Tony Purrone)というインドっぽいルックスの人がスゴくてね。
選曲もいいし、ギター・ファンにもおススメの1枚。30cdブラシはやっぱり魅力的なプレイなのか、こんな「ブラシの競演」みたいなDVDも出ている。
コレは私の親友のロブ・ウォリスがやっているHudson Musicの一作。
ブラシはうるさくなくていい。
60dvdもうひとつ…エルビンから1枚選ぶことにした。
色々迷ったけど、私の愛聴盤ということでトミー・フラナガンの『Eclypso』。
曲よし、演奏よしの7曲中、4曲をブラシで演奏している。
ベースのジョージ・ムラーツもカッコよくて、ピアノ・トリオ盤とはいえ、聴く時は耳を三等分してピアノ、ベース、ドラムにそれぞれ振り分けることにしている。70cdさて、その達也くんのジャズのお仕事とは、ユーリというシンガーソングライターのバックを務めるピアノ・トリオでの演奏。90ピアノは鈴木史門。

100ベースは永松徳文。

110そして、石川達也。120v達也くんの今日のNATALはCafe Racerの「TJ」というジャズ向けのキット。
10"タム、14"フロア、18"バスという組み合わせ。
小さくて可愛いでしょ?
でも鳴りはおっそろしくシャープ。

130スネアは14"x5.5"のメイプル。
ペダルもNATALだ。140vスティックとブラシを持ち替えながらこのキットを巧みに使いこなしていた。150 そして、主役のシンガーはユーリさん。
達也くんから「ジャズ」と聞いていたので、コッテコテのスタンダードを演るのかと思っていたらさにあらず。
その音楽性は「ジャズ」という枠に全くハマらない自由な発想に基づくものだ。
この日も独特の選曲がオモシロかった。160v1曲目は007シリーズ第2作目の『ロシアより愛をこめて』の主題歌「From Russia with Love」をボサノバで。
ユーリさんの007はコレだけに収まらず、時代を大幅に下らせて2012年の『スカイフォール』の主題歌も熱唱した。
多分、これまでMarshall Blogで「007」については書いたことがほとんどないんじゃないかな?
ナゼかというと…映画としては『ゴールドフィンガー』までで、私、他はチョット苦手なのよ。
でも下の写真を見てください。
私の007シリーズのチラシのコレクション。
『ゴールドフィンガー』あたりまではリバイバル公開の時のモノだけど、他は全部ロードショウ公開時のホンモノ。
こうして見ると写真の使い回しがヒドイな。170映画は苦手でも主題歌はいいね。
シャーリー・バッシーだの、トム・ジョーンズだの、ポールからシーナ・イーストンまで、イギリス色が濃くて実にいい。
番外編とはいえ『カジノ・ロワイヤル』のハープ・アルバートのマリアッチの主題歌も大好き。
でも一番好きなのは『ドクター・ノオ』でアーシュラ・アンドレスが歌うカリプソ「Underneath the Mango Tree」だったりする。
小学生の時に聴いて「なんていい曲なんだろう!」と思って一発で覚えた。
でもね、曲はどれもカッコいいんだけど、『ゴールドフィンガー』とか『サンダーボール』とか、歌詞を聞くと大ゲサで結構赤面モノなんだゼ。
ってんで主題歌集のCDなんかも持っていたりして…。
右は『Basie Meets Bond』というカウント・ベイシー・オーケストラが演奏した主題歌集。
007はどこへやらの徹底したベイシー調が心地よい。
ベイシーは『Basie's Beatle Bag』というビートルズものも作ったけど、原曲より個性を放っている珍しいビートルズ集になっている。180ジェイムズ・ボンドといえばピストルはワルサーPPK。
どうしてドイツ製のピストルを持たせたんだろうね?
調べてみると、原作では元々ベレッタを使っていたようだ。
ベレッタとて、アレは~、イタリアか?
ヒトラーが自殺に用いたのはワルサーPPKだったらしい…コレだな。


Ppk

終戦直後、ソ連兵の捕虜となってシベリアに抑留された日本兵に関する『帰還 ダモイ』という本、オモシロイよ。
よくある「寒くて、辛くて」という内容では一切ない。
頭のいい人主人公はロシア語をたちまち覚えて、収容所内でドンドン出世していく…みたいな内容。
その中でソ連軍からスパイを命ぜられ、ドイツ兵の捕虜に接し、果たしてヒトラーが本当に自殺したのかどうか調査させられるシーンが出て来る。
ヒトラーは自殺した後側近のモノが爆弾を仕掛けて死体を粉々にしたから、死体が残っていない…コレをスターリンが不審に思い、ヒトラーは生きているのではないか?と極度に疑っているので国を挙げて調査したというんだよね。
ま、この辺りに関しては色んな説があるようだけど、ヒトラーは死んだのか、生き延びたのか…。
コレ以上は書かない。
後は読んでのお楽しみ。
ユーリさんがロシア好きとおっしゃるので、少しだけそっち方面をカバーしてみた。
Dmi  
ジェイムズ・ボンドの愛車はアストン・マーチン。

Am へへへ、アタシャ工場へ行ったことがあるのです。
Marshallの工場からそう遠くないニューポート・パグネルというところに主力工場があって、車に興味はないんだけど記念にお邪魔してきた。
車はいいとして…Simg_2422 やってるやってる!
♪サクサクサクサク…ブラシ、バッチリです。190vユーリさんはグロリア・エステファンや吉田美奈子さんの曲を披露。
ホントに選曲の幅が広い。
NATALの紹介もして頂きました。
「月と女」と「Sinner Kingdom」というオリジナル曲も聴かせてくれた。
とてもいい感じだった。200第2部はニナ・シモンの「Feeling Good」からスタート。
ニナ・シモンって好きな人結構多いんだよね。
歌もスゴイけど、ピアノがメッチャかっこいいんだよな。
そして、その1曲目が終わった後、ユーリさんが後ろを振り返って小さな声で「スピーク・ロウ…」と指令を出した。
一瞬「ナニナニ?」みたいになっていたけど、史門さんのリードで曲はスタート。

210「NATALのタトゥーが入っています」なんてうれしいジョークをカマしてくれた史門さん。
力強いタッチでガンガン弾いちゃうピアノが実に気持ちいい!
聞いたらナント、史門さんは元ブルース・ギタリストでピアノは後から独学でマスターされたそう。
そんなことあるのかよ!
そういえばカウント・ベイシーもそうだったハズ。
羨ましい音楽的才能である。220vベースの永松さんも4ビートからスラップまで自然に弾きこなすテクニシャン。
幅広いユーリさんのレパートリーにもってこいのベーシストだ。230vこのお2人、女性のドラマーを擁して「海賊船」というトリオで活動されている。
ロック・ナンバーをピアノ・トリオで演奏するというコンセプト。
ジミ・ヘンドリックスの「Fire」なんかを演られていてね、こういうのはオモシロイね。240v_2「♪愛を語る時には小さな声で…」…「Speak Low」はクルト・ワイルが書いたラブ・ソング。
「クルト・ヴァイル」って呼ばれることが今は多いのかな?
私は「三つ子の魂」で「クルト・ワイル」で一生通す。
「フィル・リノット」や「ピーター・ガブリエル」と一緒。
スキでしてね~、ワイル。
ユーリさんもお好きとのことで、The Doorsやデヴィッド・ボウイなんかでロック・ファンにもおなじみの「Alabama Song」をレパートリーに入れていらっしゃるそうだ。
 
クルト・ワイルはユダヤ系ドイツ人で元々はクラシックの作曲家だったが、ナチスの迫害から逃れるために1935年にアメリカに移住した。
そして、アメリカでポピュラー音楽を勉強してブロードウェイ・ミュージカルのための曲を多数残した。
この「Speak Low」も『A Touch of Venus』というミュージカルの挿入歌。
「September Song」とか「Mach the Knife」とか、ジャズのスタンダードになって今でも頻繁に演奏されている。
「Speak Low」というとドンズバでウォルター・ビショップJr.のアルバムが頭に浮かぶが、ソニー・クラークの『Sonny's Crib』のコルトレーンの演奏も忘れ難い。
ちなみに「crib」というのは暗号を仮に解いた時の平文(ひらぶん)のこと。
この言葉がそういう意味で使われたのは、Marshallの本社の近くにあるブレッチリー・パークの暗号解読所が最初だった。
暗号の話をするとキリがなくなってしまうので興味のある方はコチラをどうぞ。
  ↓   ↓   ↓
【NAMM速報】 BREAK THE CODE!~その暗号を解け!<前編>
それと…
【イギリス-ロック名所めぐり】vol. 46 ~ ブレッチリー・パーク <その1>

 
ジャズではギンギンに演奏することが多い「Speak Low」でも、元のミュージカルを聴くと、もう文部省唱歌のようにおとなしいの。
でも、やっぱりメロディの芯が太いから曲の力はそう演奏しても変わることがない。

Ssl

Ssc
クルト・ワイルは35年ぐらい前にハル・ウィルナーがプロデュースした『Lost in the Stars』というコンピレーション・アルバムでハマった。
も~、このアルバムが好きで好きで!死ぬほど聴いた。
まだCDが主流になる前のこと。
その後、手軽に聴けるようにCDを買おうとしたんだけど、コレが全く手に入らなかった。
レコード会社の知り合いに事情を尋ねると、リリースしてすぐに製造中止となり、再生産されていないからだという。
写真の右下のCDを北浦和のディスク・ユニオンで探し当てたのは5年ぐらい前かな?
しかし、こうして見ると色が全然違うね。
こりゃ、どう見ても色校をしてないな?
このシリーズもニーノ・ロータとモンクとディズニーのヤツまではオモシロかったけど、ミンガスのヤツはツマらなくて聴いていてイライラした。
とにかくこのワイルの作品集がズバ抜けて素晴らしい。25035年前にそのレコードを買ったのがココ。
当時住んでいた大阪は箕面の駅前のショッピングセンターの中にあったレコード屋のワゴンの中に500円で売っていたのをゲットした。
しかし、こういうことはオッソロしくハッキリと覚えているんだけど、最近はパソコンの操作法みたいなことになると5分前にやったことが皆目思い出せないんよ。
下の写真は2年前に大阪に行く機会があったので、なつかしくて箕面まで足を伸ばした時に撮ったモノ。
外見は全く変わっていなかった。255それでワイルにハマってベルトルト・ブレヒトとの作品集やら『三文オペラ』やらチョコチョコ買って聴いていた。
最近でも時々Spotifyで聴いているのです。
この人、そうした歌曲だけでなくてヴァイオリン協奏曲のようなチャンとしたクラシック曲もすごくいいんだよね。
260ユーリさんの「Speak Low」はボサノバ。
ココでも達也くんのブラシが大活躍!280v第2部でも「憂い顔のVenus」と「Night Birds」というユーリさんのオリジナル曲を披露。
コレまたとてもいい感じ。
それに続いて取り上げたのは「愛の嵐」。
「愛の嵐」って、あのルキノ・ビスコンティのアレ。
原題は「The Night Porter」。
その挿入歌が「Wenn ich mir was wünschen dürfte(望みはナニかと訊かれたら)」という曲。
実は…この映画観てないんだよね。
最近偶然にもこの映画はこのMarshall Blogで取り上げた。
というのは、主演を務めたイギリスの女優さん、シャーロット・ランプリングはジミ・ヘンドリックスの友達だったっていうんだよね。
よくフラットに遊びに来ていたという。
その辺りのことが気になる人はコチラをどうぞ。
   ↓   ↓   ↓
【イギリス-ロック名所めぐり】vol. 61 ~ジミ・ヘンドリックスのロンドン <vol.4>
 
この映画の中でシャーロット・ランプリングが歌うのがこの歌だそうで…観たことないからエラそうには書きません。
ひとつだけ…この曲は元々マレーネ・ディートリッヒが歌ったそうで…。
Snp ディートリッヒと言ったら、Marshall Blogではビリー・ワイルダーの『情婦(Witness for rhe Procecution=検察側の証人)』を出さないとマズイ。
キメツだのエヴァだのも、好みは人それぞれだからいいだけど、『七人の侍』とかこういう映画を観ないで死んでいくのは、せっかく人間に生まれて来たのに損ですよ、大損。
このチャールズ・ロートンのメガネがいいね。
ロートンは「ヘンリー八世」を演ってもヨカッタ。Cl その後には驚いた。
ナント、香津美さんの『KYLYN Live』に収録されている矢野顕子さんが歌う「The River Must Flow」が出て来たのだ!
この時、何十年ぶりに聴いたことか!
ユーリさんの選曲、マジでスゲエな。
バリショーエ・スパシーバ!
290…と、驚いたところで最後の曲。
ホリー・コールの「Calling you」をハードなアレンジで。
達也くん、今度はスティックで遠慮なくバシバシと叩きまくっていました。
あ~、オモシロいライブだった!
S41a0188達也くん曰く「NATALの音がいいのは当たり前なんですが、叩いていて他のブランドのキットよりも周りの音がクリアに聞こえる気がします」とのこと。
そんなモノなのか…。
ありがたい感想だ。S41a0070さて、その達也くんが昨年末にバーチャルで開催された楽器フェアでのパフォーマンスの動画が公開されたのでゼヒご覧頂きたい。
人気ギタリストのMashaくん率いるSilexのインスト・バージョンの演奏だ。

そして、そのMarshaくんやI Don't Like Mondays.のChojiくん達とステージに立った一昨年の『Marshall GALA2』の動画もお見逃しなく!

 

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(一部敬称略 2021年4月2日 浅草舵輪にて撮影)