第2回福島酒援ライブ~デーモン閣下、アトミック・プードル、田川ヒロアキ他
「呑んで福島を応援しよう!」というイベント。
過去Marshall Blogでは『がんばっぺ福島』というライブ・コンサート・スタイルでの福島応援イベントのレポートを何度か掲載してきたが、コロナ禍の昨今、ショウの形式を採ることができないため、『福島酒援ライブ』と銘打って配信のイベントを開催している。
今日レポートするのはそのイベントの第2回目。
チケットを購入すると、事前に福島の酒が送られてきて、それを飲みながら配信ライブを見て楽しむという趣向だ。
しかし、日本酒はいいね。
若い頃は苦手だったけど、歳を取ってようやくその味わいがわかるようになってきた。
しかも、ここのところ人生で何度目かの「マイ落語ブーム」の真っ只中にありましてね。
熊吉や八五郎が湯呑茶碗でヒヤをキュ~っとやる場面をニヤニヤしながら楽しんでいる。
私は父の影響で18歳ぐらいから落語を聞き始めたんだけど、これほど「酒」のシーンが目につくことはかつてなかった。
本も映画も音楽も、鑑賞する年齢によって受け止め方がゼンゼン違うからね。
オモシロイものです。
この日、イベントに参加された方もライブを見ながらおいしい福島の酒をキュ~とやって楽しまれたことと思う。
ライブの会場となったのは『ピアシス』。
田川ヒロアキさんの結婚式の2次会のレポートにも登場した芝浦のレストランだ。
まるでテレビ番組の収録風景だ…ま、テレビ番組みたいなモノなんだけどね。
最初のセッティング、整いました。
「福島とかけて何ととく」
「台所につづく廊下とかけます」
「その心は?」
「ママ通る」
あのね、ワタクシ、郡山の美術館に集まった200人の前でコレをやったことがあるの。
馬鹿ウケ受けだったよ。
往きの新幹線の中で七転八倒しながら考えた甲斐があった。
ナンでそんなことをしたのかというと…興味がある方はコチラをご覧くださいまし。
↓ ↓ ↓
【SHEENA & THE ROKKETS 35周年記念特別企画】鮎川さんとMarshallとわたし
それと、「福島」といえば、こんなこともあった。
↓ ↓ ↓
★【Marshall Blog 11年目突入記念企画】RE-BIRTH WITH MUSIC! ~ いわき街なかコンサート2011
★いわき街なかコンサートin 平 2012 <前編>
もうMarshall Blogって以前のモノも含めると3,000本近く書いていて、その間色んなところに取材にお邪魔しているんだけど、まだまったくご登場頂いていない県がたくさんある中で福島はかなり深い縁を頂戴しているのです。ソロソロ始まるよ~!
プログラムはここピアシスでのライブだけではなく、福島各地との多元中継で進行する。
この部隊がそれをコントールする。
開演前…イヤ、開宴前か?
各所から届けられたビデオ・メッセージが放映される。そして、デーモン閣下の影のオープニングMCがあって司会者が登場。ピアシスを経営するレストラン企業「株式会社無洲」の浅野正義代表取締役社長。フリー・アナウンサーの長沢裕。
福島から内堀県知事もご挨拶。
村岡山口県知事、小池東京都知事…これまでMarshall Blogには何人かの知事にご登場頂いている。
今回は中継でのご登場となってしまったが、内堀さんは日本で一番Marshall Blogに多くご登場頂いている知事さんなのだ。
ホンモノの「ガバナー」ですからね。乾杯の儀。
福島から福島酒造組合の有賀理事長のご発声。カンパーイ!
福島の各会場との中継もバッチリ。
そしてピアシスのステージで最初のパフォーマンスがスタートした。
福島和楽器バンドの登場。
まずは…リーダーの遠藤元気の太鼓と…佐藤通芳の三味線のデュエット。
いきなりの熱演!次の曲ではメンバーが増えて…琴の大川義秋。
お琴はどうやって数えるか皆さんご存知ですか?
「~面」と数えます。
尺八に小湊昭尚。
尺八も管理が大変な楽器なんですってネェ。久しぶりにMarshall Blogに尺八が出て来たのでチョット脱線させてね。
小澤征爾が武満徹の作品をレナード・バーンスタインに聴かせたところ大変気に入り、ニューヨークフィルの125周年記念のために「日本の楽器とオーケストラとの協奏曲を書いて欲しい」と武満さんに依頼してできたのが有名な「ノヴェンバー・ステップス」。
そして、1967年11月9日にニューヨーク・リンカーン・センターにおいて初演された。
この時に尺八を吹いたのが横山勝也という大家。
横山さんは尺八を何本も持参したのだが、片っ端から割れてしまって困り果ててしまったという。
ニューヨークの気候が尺八という楽器にマッチしなかったんだって。
この曲、尺八と琵琶が出て来るところが滅法カッコいいんだよね。
一方、その琵琶を担当したのは鶴田錦史という薩摩琵琶の天才演奏家。
武満さんは作曲する時に鶴田さん以外の琵琶弾きを考えていなかったという。
この方が鶴田さん…女性です。
イヤ、女性を捨てて男として半生を過ごされた。
マァ、私もコレを知ってビックリしましたよ。 で、すぐに買って読んだのが下の『さわり』という沢田さんの評伝。
とてもオモシロかった。
「さわり」というのはギターで言うと「ビビり」みたいなもの。
いわゆる「バズ・ノイズ」。
三味線でも琵琶でも「ビエン、ビエン」と弦がネックやボディに当たってノイズを出しているでしょ?
コレ、ギターやマンドリンのような西洋の楽器だったら絶対に許されない音なんだけど、日本人は感性がズバ抜けて豊かなので、それを「さわり」と呼び、このノイズを味わうことができる。
ちなみに「耳なし芳一」に出て来るような「琵琶がたり」という音楽は、戦前はものスゴイ人気だったらしい。
それが時代や世代が変わり、普及活動をしなかったがために人気が衰え、弾き手もいなくなり、戦後になるとほぼ絶滅してしまった。
今の日本の音楽の状況がこのまま続くと、多分ブルースなんて音楽は早晩無くなってしまうと私は見ている。
脱線終わり。
マイクを握っているのはさっき三味線の素晴らしい演奏を披露してくれた佐藤さん。
「君といつまでも」…じゃなくて、米米クラブの「君がいるだけで」を熱唱。ピアシスの皆さんはペンライトを振り振り会場を盛り上げる。
本当にココの人たちはみんな暖かい。続いて福島和楽器バンドのステージに加わったのは…
まず美和さんは「民謡メドレー」を熱唱。
私でも知っているような有名な民謡をいくつか。
いいね、民謡は。
この声ですよ、声。
ロックとジャズはもちろん、クラシックの現代音楽から民族音楽、あるいは浪曲まで…色んな音楽をカレコレ45年以上にわたって聴いてきたけど、歌のある音楽ってのはとにかく「声」だね、声。
このことが本当にわかるようになって「スゴイ!」と思うようになった音楽のひとつのは「民謡」ですね。
「土着の音楽」というものは世界中のどれをとってもスゴイけれど、日本の民謡は世界的に見ても特にすさまじいオリジナリティを誇っている「声の音楽」だと思う。
美和さんは「太陽とシスコムーン」というアイドル・グループの元メンバーなのだそうだ。
一方、ご実家が民謡の「小湊流」という流派の家元だそうで、3歳の時から舞台に立たれていらっしゃる。
道理でスゲエと思った。
尺八の昭尚さんとは姉弟。
民謡から一変して大流行りした「紅蓮華」。
なんとバラエティに富んだステージだったことよ。
法被を着た司会のお2人。
ピアシスのステージから離れ、「会津ほまれ」や「大天狗」等、福島の蔵元との交信。そして…実演でないのが残念といえば残念なんだけど、やっぱりコレが出ないと!
いわきのハワイアンズ。一方、ピアシスのステージは転換で大忙し!ステージに上がったのはMarshall JVM210Hと1936。
真ん中の段のJVM410Hはスペア。ベースアンプもMarshall。
ヘッドは400Wの3540。スピーカー・キャビネットは1x15"の1515。
どちらも80年代後半のモデル。準備もほぼ完了…でもなさそうか?
実は今回のイベントには『福島の酒まつり・味噌醤油まつり』という副題が付けられていて、こうしたピアシスの幕間に福島産の味噌や醤油のPRが挟み込まれた。
そういえば、就職して最初に赴任した富山の下宿では、そこの家のお婆さんが毎年オリジナルの味噌を作っていた。
生まれも育ちも東京の私は「味噌を作る」なんてことを考えたことすらなくて、人生で初めて「味噌を作るニオイ」をというものを体験した。
結構ビックリしたね。
それから何年も経って、ロンドンのハマースミスを散歩していたら、やはり人生で嗅いだことのないニオイに出くわして、この富山の味噌のことを思い出してしまった。
そのニオイの元がどうしても気になってホテルの女性にそのことを尋ねた。
ホテルのそばには有名な「London Pride(ロンドン・プライド)」というビールを製造するFuller's(フラーズ)の工場(ブリュワリー)があって、そのニオイはそこでホップを煮ているニオイだった。
そして、そのニオイはハマースミスに住む人々の自慢だって言うんだよね。
そのFuller'sは今や日本の会社となった。一昨年アサヒビールが買収したのだ。
ココがこの話の「ミソ」ね。
「準備OK」となったところで浅野社長が次のパフォーマーを紹介する。「ロックバンド!」
曲はアトミック・プードルの「One Two Step」。メンバー全員がボーカルズを担当する元気な曲。
久しぶりに聴かせて頂いたけど、何というか…「イナセ」だね。
裃をつけた大仰なモノではなく、夏の暑い盛りに麻の浴衣を着た若旦那が横丁の湯屋にでも行くような気軽さがあって、ロック本来もの魅力である「シンプリシティ」が十分に発揮されているナンバー。
コレはコレで他にない日本のロック。
私なんかはやはり外道の音楽にその原点を見出してしまう。
やっぱり秀人さんはカッコいい。
そして、そこに田川ヒロアキというアクセントが置かれていたのがオモシロい。
ヌケヌケのMarshallサウンドで存在感バツグン!
庄太郎ちゃん得意のアクションも見ることができた!そしてお待ちかねのドラゴン・ファイア。
スゲエ出たな~!
「改めましてありがとうございます。
2020年にプロデビューしましたアトミック・プードルです。
10年ぐらいやってきてメジャー・デビューしました!」
「メジャー・デビューだもんね~」
皆さん、一体何度目のメジャー・デビューなのかしらん?
皆さん30年にナンナンとするキャリアをお持ちの方々ですからね。
秀人さんに至っては「キャリア50年」だよ。
「今演った曲はみんなで作った曲で評判がすごくいいんです。
アトミック・プードルの代表曲みたいになってしまいました」
そうでしょう、そうでしょう。「福島の森の奥深く…お前にも福島の酒を呑ませてやる…お前にも福島の味噌を舐めさせてやる…醤油をかけてやる…お前らみんな福島の発酵食品を喰わせてやろうか!」とデーモン閣下登場!曲は「蝋人形の館」。
盛り上がること、盛り上がること!
そして、東日本大震災の復興を願った曲「SOLA」を披露。
ギター・ソロの時にはヒロアキくんに歩み寄り肩に手をかけた。「福島を応援するこういう場で演るのは感慨深いモノがある」と、閣下は入魂の歌声を聞かせてくれた。そして、福島和楽器バンドの皆さんが加わってのフィナーレ。
曲は閣下に合わせてキャンディーズの「やさしい悪魔」。「♪あの人は~悪魔」ね。
すると閣下から…「何度も言うようだが…『悪魔』は『人間』ではない!」とのご指摘。
先日、『「ルシアー」と「ルシファー」」を混同された』と、ギターを製作している人がfacebookに投稿しているのを見て爆笑してしまったが、それと近いナ。
「ルシアー(luthier)」は「弦楽器製造家」のこと。
「ルシファー(lucifer)」は「魔王」だ。
浅野社長がステージに上がる。
いよいよ「第2回福島酒援ライブ」の〆に取り掛かる。
「最後の曲は、春が1日も早く届くようにとキャンディーズの『春一番』を選びました。
全員で歌いたいと思います!」
「♪雪が溶けて川になって流れて行きます」
いいね、昔の歌謡曲は…恐るべき普遍性の高さ!
私ですら歌えちゃう。秀人さんも…
「これからも続けていきたいと思います。
福島の復興はまだまだこれからです!」
…と盛りだくさんのイベントが終了した。
次回も楽しみだ!
福島酒援ライブの詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト