【Marshall Blog 11年目突入記念企画】RE-BIRTH WITH MUSIC! ~ いわき街なかコンサート2011
先週の土曜日の「4月21日」、2008年のMarshall Blogの初めての投稿から10年が経過したことをお伝えした。
今日から11年目!
これからもMarshall Blogをご支援のほどどうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、その記事の中で、2012年の伊藤広規さんの渡英が私のMarshallへの復帰に関するひとつのキッカケとなったことを書いた。
広規さんは、ご覧の通り山下達郎さんのステージにおいても長年にわたってMarshallのベース・アンプをご愛用頂いていることは皆さんもご存知の通り。
そんな広規さんとロンドンを見て回ったのはとてもいい思い出だ。
下はピカデリー・サーカスで次のパブのことを考えている広規さん。
パブに入っちゃトイレに入り、そこでエールを飲んではまた次のパブでトイレを借りる。
またそこでエールを飲んで次のパブでトイレに…こんなこと1人じゃなかなかできませんからね。
ロンドンに行くときはいつも1人だったので、とても楽しかった。
渡英の約ひと月前にリリースされたライブ・アルバムのプロモーションをロンドンでしよう!…ということにもなって、ゲリラ的にビッグ・ベンやオックスフォード・ストリートのHMVの前で販促用のポスターを広げたりした。
そんなこともあって、写真やライナーノーツを担当させて頂いたこの『Relaxin' at IWAKi ALIOS』は私にとってとても思い入れの深い作品だ。
実は今日のMarshall Blogは、例のTHE FEBのライブ・レポートを投稿する予定だったん。
ところが、土曜日にあんな記事を書いたもんだから『Relaxin'』のことを思い出して、久しぶりに自分が書いたライブ・レポートを読んでみようと思い立ち、過去の記事群に検索をかけた。
ない…。出て来ない…。
書いたことは間違いなく覚えているのだが見つからないのだ。
アルバム自体を解説した記事はあるのだが、いつもやっているようなライブのレポートがないのだ。
オリジナルのレポートは以前のMarshall Blogに掲載されて既にデータがインターネット上では消滅していて普通であれば見れないのだが、そのことを勘案し「今後も見れるように」と、現在のMarshall Blogに引っ越してあるとばかり思っていたのだ。
ところがどうもそうではなかったのだ。
私の大事な『Relaxin'』…。
思い出の『Relaxin'』…。
このタイトルだってチャーリー・パーカーの名曲を転用した思い入れの深いモノだったんだぞ!(そのパーカーの代表曲「Relaxin' at Camarillo」についてはSteely Danのウォルター・ベッカーへの追悼文でも触れた。Steely Danが好きな人はコレを読んでみて!)
あの記事がないのはマズイってばよ…。
そこで今日は予定を変更して、『Relaxin' at IWAKI ALIOS』の音源となった、2011年10月16日に福島県いわき市の市民コンサートのレポートの一部をアーカイヴ的に再録することにさせて頂いた。
以前のレポートをご覧になって覚えいる方もいらっしゃるかも知れないが、今日お届けする再録レポートは、文章をところどころ書き換え、未発表写真を大幅に組み入れたたニュー・バージョン。
今は亡き青山純さんと南沢KAZさんを偲びながらご覧頂ければ幸いである。
では、7年前のいわきにGo!
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RE-BIRTH WITH MUSIC! ~IWAKI MACHINAKA CONCERT 2011
バックドロップに浮かぶマーシャル・スクリプト・ロゴ。
場所は福島県の「いわき芸術交流館アリオス中劇場」。
毎年いわき市が街を上げて開催している『いわき街中コンサート in TAIRA』のひと幕。
東日本大震災のチャリティ・プロジェクトの一環として、伊藤広規の呼びかけによってこの一大イベントを盛り上げようと立ち上がった男たちがいた…。
冒頭の写真のように、Marshallも機材で広規さんのサポートをさせて頂いた。
広規さんはVBA400とVBC410。
KAZさんはVintage Modernシリーズの50Wコンボ、2266Cだ。
以前もチャリティを目的に、ギターに松下誠さんを迎えてライブを開催した。
今回は森さんがギターで参加してくれて前回同様、レイド・バックした大人のアメリカン・ロック・サウンドを堪能させてくれた。
私は根っからのブリティッシュ・ロック派で、アメリカン・ロックとなるとフランク・ザッパやトッド・ラングレン、そしてその他のごく限られた範囲しか普段は聴かないのね。
もちろんキライではないんだけど積極的ではない…ということ。
でも、こうした百戦錬磨の名手が心をこめて目の前で演奏してくれるとなるとそうも言っていられなくなる。
もうウットリ…。今回のオープニングはスティーヴ・ミラー・バンドの『Children of the Future』収録の「Baby's Calling Me Home」。
普通こんな曲演らないでしょ~。
ところが、このバンドにはピッタリなのだ。
スティーヴ・ミラー・バンドも日本ではやたらと注目が集まりにくいバンドのひとつだ。
だから来日していない。
ボズ・スキャッグスを輩出したことぐらいしか人の口に上らない。
後は「アブラカダブラ」ぐらいか…?
ところが、欧米では今でもドエライ人気で、ひと声で4、5万人を集めてしまう押しも押されぬスーパースターなのだ。
森さんに言われて思い出したが、そう、ベン・シドランもこのバンドのOBだ。
ベン・シドランってね~、やたらとカッコいい曲があるんだけど…声がナァ~。
自分のことを「Dr. jazz」とか呼んでるぐらいあって、面白いジャズの曲を作っている。
「Piano Players」っていう曲なんだけど、ジャズ・ピアニストの名前をひたすら連呼するの。
こんな感じ…
「♪George Shearing/Freddie Redd/Sonny Clark/Bud Powell/Walter Bishop Jr./Walter Davis/Walter Norris/Wynton Kelly/Art Tatum/Phenious Newborn Jr./Thelonious Monk/Jerry Roll Morton/Horace Silver/Horace Parlan/Barry Harris/Red Garland/Herbie Nichols/Harold Mabern/Tommy Flanagan/Duke Ellington/Jay McShann/Count Basie/Fats Waller/Eroll Garner/Kenny Drew/Bobby Timmons/Duke Pearson/Duke Jordan/Hank Jones/Bill Evans/Elmo Hope/Al Haig/Ceder Walton/Roland Hanna/Dodo Marmarosa…」
どの名前もおなじみだけど、Walter Norrisという人だけ知らなかった。
あ、ちなみにスティーヴ・ミラー・バンドも好きなアメリカのバンドのうちのひとつ。死ぬまでに一度は観てみたい。
2曲目がジョン・ハイアットの「Have a Little Faith in Me」。
この曲はジョー・コッカーやチャカ・カーン、変わったところではビル・フリゼルがカバーをしている。
青山さんのドッシリと重い、貫禄のドラミングがこれらのレパートリーにガッチリとマッチするね。
ユッタリとした曲が続くけど、決してダラダラすることはないんだよね~。
これが名手の演奏だ!
とにかく聴かせちゃう。
ラスカルズの「Groovin'」。
これもピッタリだ!
しかも、コチラは本家よりも尚スローに演奏しちゃう極上のグルーヴィン。
それでも甘くなりすぎることがまったくないのだ。
何だか100%かけ流しの「音楽の温泉」につかっているようで、会場の雰囲気もリラックス~♨
全身の関節ひとつひとつがバラバラになっていくようだ~。
ココで森さんコーナー。
「Lady Violetta(レディ・ヴィオレッタ)」だ!
最上のメンバーで最高の名曲と対峙する…タマラナイね~!
別に英米歌合戦をやっているワケではないんだけど、さすが森さん、ココで1曲イギリス勢のナンバーを…。
デイヴ・メイスンの「Feelin' Alright」だ。
7thコード2個で作り上げるこのソウルフルな世界!
森さんが演るとなおさら深い。
スルメのように噛んで噛んで味わいたくなるKAZさんのギター・ソロ!
音数の多さだけがギター・ソロではないことを教えてくれる。
日本音楽界の最高峰、山下達郎の音楽を長きにわたって支えたリズムの巨人たちだ。
「アウン」どころでなない完璧な呼吸で音楽の下地を練り上げる!
泣きのサックスだけでなく鍵盤ハーモニカでも大活躍の中村さん。
このバンドにはキーボードがいないからね。
鍵盤ハーモニカってのも素朴な音色でいいよね~。
ここでゲストが登場!地元いわきで活躍中のシンガー、菅波ひろみさんだ。
ステイプル・シンガーズの「Respect Yourself」他を激唱。
この方、「いわきのアレサ」と呼ばれているのかどうかは定かではないが、ものすごい声量!
まさに「レディいわきソウル」!
カッコいいことこの上なし!
アンコールはみんなでザ・バンドの名曲中の名曲「The Weight」。
観客も皆さん実に楽しそうだが、演奏しているバンドのメンバーも完全にリラックスした雰囲気で最高に楽しそう!
でも、時間の方は大丈夫なのかしらん?
マーシャルといえば、いつもは轟音+赤いライトとストロボのステージ。
もちろんそれもいいけど、こういうノ~ンビリした音楽も実にいいものだ。
マーシャルが爆音の環境だけで活躍する楽器ではないことがよ~く示されたと思うし、この素敵な音楽の瞬間をサポートすることができて大変光栄に思う。
そして、この市をあげての素晴らしい音楽イベントがますます発展するよう願って止まない。
結局、1曲減らしても持ち時間を大幅にオーバーするほどの大熱演となった!
電車間に合うかな…東京まで帰らなきゃならないんだから!(アリオスのスタッフの方の気転により無事電車に間に合いました。ありがとうございました!)
それにしても会場の音響、最高だったナ!
(一部敬称略 2011年10月16日いわき芸術交流館アリオス中劇場にて撮影)
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…という記事だった。
6年半前に書いたモノだけど…進歩ネェ~!
ま、「進歩がない」のはスタイルを確立しているということで…ハイ。
そしてこの演奏が『Relaxin' at IWAKI ALIOS』になった。
CDのジャケットは今回の『THE FEB』をはじめ一連の広規作品のデザインを手がける「やましたみか」さん。
今、このアルバムは紙ジャケとなって再発され、収録されている曲が試聴できるようになったので、試してリラックス、買ってリラックスしてくだされ。
私が書いた9,000字に及ぶライナーノーツも入ってマス。
『Relaxin' at IWAKI ALIOS』の試聴はコチラ。
明日は広規さんの現在形、THE FEBのライブ・レポートをお送りします。
伊藤広規の詳しい情報はコチラ⇒ITO KOKI official web site