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2018年9月25日 (火)

西日本豪雨災害被災者支援 田川ヒロアキの緊急チャリティーコンサート~田川ヒロアキ

 
今日は竹橋から。
竹橋は北の丸公園と一ツ橋1丁目の間に横たわる清水堀にかかる橋で、徳川が江戸に入る前からあった、東京の中でも特に古い歴史を持った橋のひとつらしい。
私たちが小学生の頃は「竹橋」と、隣の北の丸公園の中にある様々な科学遊具で丸一日無料で遊べる「科学技術館」は同義語だった。
ちなみに田安、清水と並ぶ徳川御三卿の「ひとつばし」は「一橋」と綴る。
最後の将軍、慶喜が水戸徳川から婿入りした先ね。
一橋家は8代将軍吉宗が、四男坊の吉尹(よしただ)に一橋門内の屋敷を与えたところからスタートした。
この御三家とか御三卿なんてのはスゴいシステムだよナァ。
家康ってのはホントに頭が切れる。
というよりも、この時代のお家継承問題ってのにはすさまじいモノがある。今、サボってしまっているヘンリー八世もそうだけど、「お世継ぎできればすべてよし」なのだ。
こりゃウチのお世継ぎたちもせいぜい大切にしておかないとイカンな。
 
そして、竹橋と言えば、日本の三大新聞の一角、毎日新聞の東京本社があるところ。
三大新聞は朝日、読売、毎日とされるが、毎日が最古。
うち朝日と毎日は大阪が発祥だ。
1872年、浅草で創刊された「東京日日新聞」が1911年に大阪毎日新聞社に併合され、戦中の1943年に題号を「毎日新聞」に統一した。
なんて、知ったようなことを書くといかにも毎日新聞の熱心な読者のように見えるかもしれないが…違うの。
でも、今の国情を鑑みるに、毎日さんにカッコいい報道姿勢を見せてくれることに期待している1人ではある。
政治とは一線を画してしるMarshall Blogゆえコレ以上は突っ込まないが、我々の子供や孫や子孫が生を営むこの国の将来を左右するカギを握っているひとつの大きな要素は、今の局面、「メディア」であることは間違いないと思っている。

10_2さて、話が「新聞」ということになると、私はコレ。
またしても吉村昭。
私の雑学のほとんどが吉村昭の小説に根差している。
『アメリカ彦三』は1850年、ペリーが来航する3年前、播磨の船乗り「彦太郎」が初めての航海で遭難する話。
吉村先生お得意の一連の漂流モノ。
その後、アメリカの船に救助された彦太郎は当時の幕府の鎖国政策により日本に帰ることができず、「ジョセフ・ヒコ」として洗礼を受け、アメリカに帰化する。
マァ、こういうの読んでいると、今とは大違いのこの時代のアメリカの寛大さに感動してしまうね。
そして、彦太郎は明治維新後、日本に帰国する。
その際日本にアメリカから持ち帰ったもののひとつが「新聞」だったワケ。
おもしろいんだゼ~、コレ。
文庫で550ページ程度の長中編だけど、例によって一気に読み通してしまった。
それこそNAMMへ行く飛行機の中で読んだんじゃなかったかな?
先日、「私の光太夫」で江戸時代にロシアに10年間抑留した大黒屋光太夫に触れたが、私は自分が英語で苦労してるせいか、こうした言葉のわからない地で苦労した人の話に大変興味があるんだな。
だから杉田玄白の「ターヘル・アナトミア」、すなわち「解体新書」の翻訳を手伝った前野良沢の偉業を綴った『冬の鷹』なんてのも夢中になって読んだ。

20bこの彦太郎は1859年に帰国した後、浜田彦蔵と名乗り、米国領事館の通訳として日米交渉にも活躍。
伊藤博文や木戸孝允らとも交わり、1872年大蔵省に入り渋沢栄一の下で国立銀行条例を編纂したというのだから、とても一介の船乗りとは思えない優秀さだ。
そんなことが綴った自叙伝が現代語に翻訳されて上梓されている。
私は偶然それを高田馬場のブックオフで見つけて2冊600円で買った。
奥付を見てみると、初版第1刷が1964年の2月。
私が持っているのは1987年4月の初版第10刷。
つまり、27年の間に1回も改訂されていない。非の打ちどころがない完璧な書物か、あるいはどうでもよい忘れ去られた書物ということになる。
イヤ、10刷ということはそれなりの部数が販売されてきたワケで、一体誰が買って読んでいるのか実に興味があるな。
私は買っただけでまだ読んでいないんだけど、いずれはジックリ読んでみたい。
読書は楽しい。
電子書籍は絶対イヤ。
何度も書いているけど、「読書」というモノは、活字を目で追うだけでなく、本の重さを感じ、インクと紙のニオイを嗅ぎ、指先でページを繰ることまでが「読書」なのだから。

2ahjその毎日新聞社の地下街。
なつかしいな。
隔年で開催される楽器フェアの合間に、科学技術館で「大楽器祭」という展示イベントを開いていた時期がかつてあった。
その時、ココに入っている飲食店で打ち上げをやったのよ。
30その地下街の突き当りにあるのが毎日ホール。
今日のレポートはココから。
我が田川ヒロアキによる西日本豪雨災害者支援のチャリティ・コンサートが開催されたのだ。

40入り口には酒樽。
コレが募金箱として活躍した。

50まずは主催者方々からのご挨拶。

60v本コンサートの主旨などが述べられる。

70そして、「がんばっぺ福島」でおなじみの株式会社無洲の浅野社長も急遽駆けつけてくれて、ご挨拶にマイクを握った。

80vそして、ヒロアキくん登場!

90今日はバッキング・トラックを使ったソロ・パフォーマンス。

100_ssお供は愛用のJVM210Hと今日のキャビネットは1960A。
JVMが2台積んであるのは「景気づけ」だ。
黒、白、金…しかし、Marshallってのはキレイだね~。
何も足したり引いたりする必要のない完璧なデザインだと手前ミソながら思うわ。

100vオープニングはおなじみの「Seascape」。
時に「君が代」と合体したして数々のステージの冒頭に置かれるヒロアキくんの挨拶曲。

110v続いては軽快な「Dear Heart」。
2011年、「田川プロジェクト」の発足を記念して制作された限定シングルCDに収録された曲。
CDの売上の全額を東日本大震災の被災地へ寄贈した。

120_dhパッヘルベル!
コレ前から演ってたっけ?
要するに「カノン」。
「アヴェ・マリア」もそうだけど、ヒロアキくんはこうしたユッタリとしたメロディを歌わせるのが実にウマい。
きっと自分で歌い上げている気分で弦をハジいているのだろう。

130v_cmまずはご挨拶。
同じ西日本出身として、急遽ではあったがこのチャリティ・コンサートの申し入れを受け、このステージに立ったことに触れた。
そういえば、ヒロアキくんも件の豪雨の被災者だったんだ。
というのは丁度西へ向かっている時に災害が発生し、新大阪駅でいつ解放されるともわからない足止めを喰らい、マンジリともしない時間を過ごさざるを得なかったのだ。

140ココから先は昨年10月に発表したフル・アルバム『Theme Park』からの選曲を中心にプログラムが組まれた。
もう1年かよ!
このアルバムの制作にあたっては、タイトルから、写真から、チョットしたことまで色々とお手伝いさせて頂いたが、楽しかったナ。
ジャケットが少しずつ出来上がっていくプロセスにとてもワクワクした。
このアルバムの詳細についてはコチラをクリック!
  ↓    ↓    ↓
『THEME PARK』を100倍、イヤ10倍、イヤイヤ1.5倍ぐらい楽しむ <前編>
『THEME PARK』を100倍、イヤ10倍、イヤイヤ1.5倍ぐらい楽しむ <後編>

しっかし、この記事…我ながらスゲエ大作を編んだものだな~。自分で言うのもナンだけど、今読んでも十分に面白いわ。

150cdまずは「府中に夢中」。
上で紹介した記事をお読みいただければそれぞれの曲の解説は要らないだろう。

160_fm続いては「酎HIGH KING」。

170_skヒロアキくんも当日のMCで触れていたが、「酎HIGH KING」は広島県呉市にあるライブハウス「ケラウスランブラ」の20周年を記念してヒロアキくんが作ったお店のテーマ曲。

180cdコレがそのケラウスランブラの店内。
オーナーのNaoさんはてらちん、向山テツさん、下山武徳さんSHOW-CHU-ROCK(焼酎ロック)というンドのギタリスト。
もちろん頭に「バカ」がつくMarshall好きだ。
どんなにデジタル・アンプが跋扈しようとも微動だにしない、Marshall一筋のありがたいお店。

42303206_267831950513595_4049376899この人がその「Marshallバカ」…イヤイヤ、オーナーのNaoさん。
上で紹介した『Theme Park』の記事にも書いたが、Naoさんの酒豪ぶりをMarshallで表現したら1959の三段積みが5セットぐらいになろうか?
ヒロアキくんの結婚式にも出席された。
そのケラウスランブラも今回の豪雨で被害を受けてしまい、一時休業を余儀なくされてしまった。
その被害は甚大で、当初は年内の再開は絶望視されていたが、今では状況が好転し、ライブやイベントについては10月12日より開催できる運びとなった。
ただし、通常のショット・バー営業の再開は来年になる見通しだそうだ。
Naoさん、ひとまずおめでとうございます。
これからもMarshallバカぶりを存分に発揮して頑張ってください!
Nao2_1気合いの入った正統派ロック・ナンバーから…

190v雰囲気がガラリと変わって民謡調に。
下関のよさこいチーム「馬関奇兵隊」のために書いた演舞曲。
コロコロと変わる曲調が楽しい。

200_ikそして、「カラムーチョZ」。
横浜のライブ・ハウスにヒロアキくんが出演した時、近くのコンビニにこのお菓子を買いに行ったっけナァ。

210v今日は久しぶりの「お尻が痛い!」だった。

220v「秋ですね~」…と、秋の新ネタ。
「秋童謡」と題し、「虫の声」や「夕焼け小焼け」を大胆に料理。

230_adコレが容赦無用のドヘヴィ・アレンジ!
よ~やるわ!
そういえば、昔はどこの家でも鈴虫を飼っていたものだった。
子供の頃、翅をコスることによってあの音を出しているって知った時、驚かなかった?
だから鳴き声ではないんだよね。

240vハイ、それではここでマーブロ・クイズ。
当たってもMarshallはもらえません。
 
問題です。
下のそれぞれの写真の虫の名前と鳴き声を答えてください。 
 
紙幅が嵩むのでいきなり答え! 
まず、コレが松虫。
高校の時に松川さんという現国の先生がいらっしゃって、アダ名が「松虫」だった。
この虫、「チンチロ、チンチロ、チンチロリン」と鳴く。
ホンマかいな?
今戸の鉄火場じゃあるまいし。
英語では「pine cricket」。
ハハン、コレを直訳したな?
別名が「bell cricket」…いいね、どうにも。
英語圏のベルはチンチロチンチロ鳴るらしい。

2コレは有名ですな…コオロギ。「蟋蟀」という漢字は書けんな。
「キリキリキリキリ」鳴くのか…。
コオロギはディズニーの『ピノキオ』にも出て来るので、英語の名前は比較的知られているだろう。
そう「cricket」。
ピノキオを製作するゼペットっていうジイさんがいるでしょ?
あのゼペットって「Geppetto」って綴るんだぜ。
そう、ピノキオってイタリアなんだよね。

Photoちなみにマイルス・デイヴィスの「Picocchio」が収録されているのは1967年の名盤『Neferttiti』だ。
ゴメン、2、3日前に久しぶりにアルバムを通して聴いたらあまりのカッコよさに感動してしまってつい「ちなんで」しまった。

Nf ハイ、「虫」に戻る。
この曲の「コオロギ」の部分はキリギリスに置き換えられるらしい。
私はどっちで覚えたかな?
他のヤツらが「ナニ虫」、「カニ虫」と言っているのにコイツだけは「キリギリス」なんておかしくない?
ギリシア人みたいな名前だ。
「チャキリス」とか「デュカキス」とか「カサベテス」とかバキバキした名前がおおいんだよね、ギリシア人って。
コレ、鳴き声からきてるんだってサ。
で、YouTubeでその鳴き声を確認してみると、「ビュイー、ビュイー」っていってるだけ。
私にはとても「キリキリキリギリス」なんて聞こえません。
キリギリスは英語で「katydid」。

Photo_3ハイ、その通り。
年季の入ったロックファンならビビビと来るでしょう。
Steely Danの『katy Lied』のジャケットのヤツね。
コレについては以前にも書いたが、あまりにもタイムリーなことが書いてあるのでそのまま引用させて頂く。
 
1975年の『Katy Lied』。
「Rose Darling」「Daddy Don't Live in That NYC no More」、「Everyone's Gone to the Movies」、「Your Gold Teeth II」、「Chain Lightning」…名曲そろいの傑作だと思う。
特に「Doctor Wu」のPhil Woodsのソロが好きだった。
そういえば日本でもおなじみになったんだか、なじまなかったんだか知らないが、「Black Friday」なんてブギも入っていた。
この『うそつきケイティ』という邦題はなかなか良いセンスだと思ってる。
ところで、アルバムのジャケットがなぜバッタだか知ってる?
コレ、実はバッタではなくて「Katydid」というキリギリスの仲間なんだって。
イギリスでは「Bush Cricket」というらしい。

それでアメリカではこの虫が鳴くと「katy did, Katy didn't(ケイティ・ディド、ケイティ・ディドゥント)」と聞こえるんだって。
それで「Katydid」という名前になった。
命名のされ方としては
「ツクツクボーシ」みたいなもんだね。
で、さっきの「Doctor Wu」。
「Katy tried」と「Katy lies」という歌詞が出て来る。
この虫をその歌詞に引っ掛けたんだって。
 
ウォルター・ベッカーが亡くなった時にこの記事を書いたのだが、他にもSteely Danについて書いておいたので興味のある方はコチラをどうぞ。私がスゴイ発見をしたあたりをゼヒご覧頂きたい⇒【訃報】ウォルター・ベッカーのこと

Kl_2続いては「ガチャガチャ」とくつわ虫。漢字では「轡虫」ね。
轡とはあの馬の口にくっつけるヤツね。
ハハハ!英語では「noisy cricket」だって。
コレもYouTubeで鳴き声を確認してみると、確かにウルセ~!
こんなもんが一晩中聞こえたら「おもしろい」どころか「大迷惑」だわ。

1最後は馬追虫。
なるほど!
コレを「スーイッチョン」と表現したセンスは素晴らしい。
この虫を指す英単語はないらしく、「hexacentrus japonicus(ヘクサセントラス・ジャポニカス)」となるらしい。
「centrus」というのは「トゲ」という意味。「hexa」は「6」だからトゲのようなものが6本生えてるのかな?
以上、「虫の声クイズ」でした!

Photo_2「虫」でエラく脱線しちまった。
ゴメン、でもどうしても「無視」できなかったの。
今回の記事を書くのにこの箇所が一番時間がかかったわ。
 
さて、私が虫に夢中になっている間にヒロアキくんはアコギに持ち替え。
皆さん、気が付いた?下の写真。
今初めての上手側からのショットなんだよ。
立奏すると光がまったく当たらないため、コチラ側からは一切写真が撮れなかったのです。
コレ、フリオ・イグレシアスやスタン・ゲッツだったら大変なことになっていた。

250曲は「たんぽぽと風」。
260v
冒頭にご挨拶をされた浅野社長の株式会社無洲の社歌だ。
ヒロアキくんの「やさしさ」と「あたたかさ」がふんだんに盛り込まれた愛らしい一編。
もちろん『Theme Park』収録。

270そしてソロ・コンサートでは時折取り上げられるビートルズ・ナンバーから「All my Loving」。
「自分で書いた曲でないのが悔しい!」とジョンに言わせしめた初期のポールの代表作。
移動の最中に歌詞を書き、公演会場の楽屋のピアノで曲を付けたという。
曲に歌詞をつけるのがポールの通常の作曲手法だったが、コレはその反対の順序で作られた珍しい1曲。
1964年2月、エド・サリバン・ショウに出演した時、一番最初に演奏した曲としても知られている。
つまり、この曲からビートルズのアメリカ制覇がスタートしたのだ。

280エレキに戻って「平和の風」。
ジェスチャーを交えて熱唱するヒロアキくんの姿が感動的だ。
いい曲だよネェ。
コレはやや上手から撮ってるナァ。

290その感動を盛り上げるのが後半に出て来るギターでメロディをナゾるパート。
美しいヒロアキ・ギターの魅力が満載だ。
それを演出しているのがアータ、Marshallですよ。

300vそして、コンサートの本編を締めくくったのは「アヴェ・マリア」。

310vこのアルバム『Ave Maria 』をリリースしてから6年か!
コレのジャケット撮影の時も楽しかったな。
デザインは『Theme Park』を手掛けた梅村デザイン研究所。

320cdコレも曲・演奏・音色が三位一体となった美しいヒロアキ・ギターの格好のショウケースと言えよう。

330こうしてジックリとギターを聴かせて本編を締めくくった。

340v客席からは花束が贈呈された。

350アンコールはガツンとカマしたよ。
ココ最近のキラー・チューン、MAZDAファン・フェスタのテーマ・ソング「君を乗せて」。

360vコレもよく書けた曲。
スポーツカーが疾駆していくような中間部のギター・ソロがスリリングだ!

370vこのコンサートで販売したCDの売り上げはすべて西日本豪雨災害被災者への義援金に充てられた。
また、このコンサートのレポートが9月22日の毎日新聞の東京版の朝刊に掲載された。
 
田川ヒロアキの詳しい情報はコチラ⇒fretpiano

380v

200 
(一部敬称略 2018年9月10日 毎日ホールにて撮影)