黒門町のNATAL~Haruka Plays NATAL
今日は最寄りのJRの駅で言うと「御徒町」にある「JAM SESSION」というライブハウスから。
お隣の上野駅周辺も含めて、このあたりもライブハウスがずいぶん増えた。
子供の頃の御徒町というと、ナント言ってもモデルガンの「MGC」を指した。
「御徒町」の「徒(かち)」というのは、乗り物を使わないで歩くこと。つまり徒歩のこと。
江戸時代、江戸城や将軍の護衛をする、馬に乗ることが許されない下っ端の武士を徒(あるいは徒士)と呼んだ。
その徒に「御」がくっついて「御徒」。
今で言う御徒町駅のあたちにはその徒がたくさん住んでいたことから「御徒町」という地名になった。
だからこの地名は城下町であれば、何も東京だけでなくどこにでもある地名なのだそうだ。
でも、このお店の付近は御徒町ではなく、昔は「黒門町」といった。
東京の花見の名所、上野恩賜公園。
元々この辺りは増上寺と並ぶ徳川家の菩提寺、東叡山寛永寺の境内だった。
コレが今の寛永寺。
こんなに小っちゃくなっちゃった。
芝の増上寺と並ぶ徳川家の菩提寺の東叡山寛永寺は、3代将軍家光が江戸城の鬼門となる丑寅(北東)の方角を封じるために建てられた。
東の比叡山で「東叡山」だ。
非公開ではあるが、4代家綱、5代綱吉、8代吉宗、10代家治、11代家治、13代家定が寛永寺に墓所を構えている。
最後の将軍慶喜はお隣の谷中霊園で一般に公開されている。
その寛永寺の総門を「黒門」と呼んだ。
下は昇斎一景という歌川広重の門人が明治4年に描いた「東京名所四十八景」のうちの「上野黒門前花見連」という浮世絵。
奥に見えるゲートが「黒門」だ。
コレ、今で言うと上の広小路付近。
いいね~。見てみたかったナァ。
このあたりで彰義隊とフェイクの錦の御旗を掲げた薩長軍が壮絶な戦いをしたんだネェ。
もしタイムマシンがあれば、未来なんかどうだっていい。江戸時代の吉原や江戸の町の方々を見て歩くね。
でもデロリアンもプルトニウムも持ってないならな~。
コレは上野恩賜公園の入り口にある水のオブジェ。
黒門をイメージしているのだそうだ。
上野戦争で焼け残った黒門は明治40年に荒川区の円通寺に移築された。
坂上田村麻呂が開祖といわれる円通寺には彰義隊の墓所があるともことで、近々訪れてみようと思っている。
しかし!
「黒門町」といえば!
このお方なのであ~る!
「黒門町の師匠」、8代目桂文楽。(ちなみに9代目はペヤング)
もう大スキ。
5代目古今亭志ん生がウェス・モンゴメリーなら、8代目桂文楽はパット・マルティーノ。
演目が少ない代わりに、何度演っても数秒しか違わなかったという練りに練り込んだ緻密な噺っぷりは天下一品。
文楽が高座で甘納豆を食べる芝居をすると、寄席の売店では甘納豆が飛ぶように売れたという。
しかし後年、高座での本番中、登場人物の名前が出て来ず絶句。
「台詞を忘れてしまいました…申し訳ありません。もう一度…勉強をし直してまいります」と深々と頭を下げて挨拶をし、噺の途中で高座を降りた。
そして、その後二度と高座に上がることなく「昭和の大名人」の生涯を終えた。
芸に対する何たる真摯な姿勢!
昔の芸人は本当にスゴかった。
でもね、芸人がスゴかったばかりではなくて、お客さんの質も高かったんだよ。そんな黒門町からお送りするのは『Instrumental Summit Vol.16 Ladies Night』という女性バンドのセッション・ライブ。
ステージに立ったのは…
セッションリーダーのRie a.k.a. Suzaku
はるかちゃんはNATAL。
アッシュのホワイト・スワールのキットを持ち込んだ。
今回で16回目となるシリーズ・ライブ。
Rieちゃんの人気のほどがうかがえるというものだ。
ショウは2部構成で、第1部のオープニングは「Southern Wind」。
涼し気でオシャレなナンバーのリズムを軽快に奏でる。
やっぱいいね、NATALの音は…ナニをやってもカッチリとキマる。
Fate Gearつながりの久留実ちゃん。
この人、チック・コリアみたいなフレーズを弾くんだよね。
お客さんとの一体感バリバリのMCが楽しい。
Rieちゃんの名前にある「a.k.a.」というのは「also known as」の略で「またの名を」という意味であることは皆さんもご存知でしょう。
コレはまだ英語だから覚えやすい。
このほかネイティブさんがよく使う略語に「i.e.」とか「e.g.」とかいうのがあって、元がラテン語だけあって、コレがなかなか覚えられない。
i.eは「id est」の略で「すなわち」とか「言い換えれば」という意味。
また、e.g.は「exempli gratia」の略で「たとえば」ということ。
自分で使えば覚えるんだけど、覚えていないから使えない。i.e. 覚えられないでいる。
このセッションでは、オリジナル曲だけでなく、セットリストにコピー曲を盛り込むことになっていて、この日はゲイリー・ムーアの「Parisienne Walkways」を披露。
ジュナちゃんはテクニカルかつド迫力のベース・ソロをお見舞いしてくれた!
バッキングにソロにと大活躍の久瑠実ちゃん。
こういうフュージョニーな音楽にはやっぱりキーボーズは欠かせない。
そして、ギターにおしゃべりにとファンを魅了したRieちゃん。
1部2部とも6曲ずつの構成。
アンコールに「Across the Sky」を演奏して黒門町のライブは盛大に幕を閉じたのであった。