15th 真夏のJazz葉山 <後編>
葉山で楽しむジャズ…<後編>いきます!
そういえば、会場のホールがやや山手にあるせいか、歴史ある建物のせいか、施設の中に一切携帯の電波が入ってこなかったの。
で、携帯を使う度に屋外に出なければならないワケなんだけど、一歩表にでるだけで、「ア、アヅイ!」と毎回絶叫してしまうほどの暑さ。
ミュージシャンのみなさんも外の日陰に入って汗をタラしながら携帯をイジっている姿が印象的だった。
汗かいて、冷房のきいた部屋に入って、また外で汗かいて、冷やして…こんなん身体にいいワケないよね。ワカッちゃいるけどやめられないのはワカッちゃいるけど。
一体誰がこんなに暑くしやがったんだ!
当日の司会は湘南BeachFMの晋道はるみさん。
「晋道(しんどう)」さんって今までお行き会いしたことのないお名前だな…とピンと来てチョット調べてみた。すると「晋道さん」は山形の苗字のようで、思った通り、かなりのレアなお名前のようだ。あ、こういうの調べるの大好きなの。余計なことをしてスミマセン。
私が今までお会いした方の中で一番衝撃の大きかった苗字は「上段(うえんだん)」さんだ。初見で正しく読むことは絶対にできない。まるで外人みたいでメッチャかっこいい!
晋道さん、さすが軽妙洒脱なおしゃべりで幕間をつなぐ。
次の出番は「いわし」。
もう後ろで思いっきりスタンバイしてる!
アレレ…和佐田さんがコワイ顔をしているゾ。
それもそのはず和佐田さんの経歴で「あの『爆笑スランプ』のベーシスト」と紹介してしまったのだ!
イヤイヤ、これはわかるナァ。つい言っちゃったんでしょう。和佐田さん、許してあげて~!
実際この後の紹介も「いわしの三人によるトークショウをお楽しみください!」と来たもんね!
いきなり和佐田さんのボケ!
「チャウチャウ、アンタの席、そこチヤウがな!」
すぐに演奏に入るかと思ったらこの有様。
完全にトリオ漫才。
ホントにトークショウになってる!
会場は大爆笑!
「鯛」だの「鰊」だのバンド名をネタに豪快に笑いをつかみ取る!私はアフリカの名前のクダリが大好きなの。ミッシェッル・ンデゲオチェロみたいな…。
ココに詳しく書きたいけど、まだいわしを見たことない人のために書かない。是非コンサートに足を運んでください。
「い」の井上尚彦。
「エ」のEDEN。
え、お呼びでない?こりゃまた失礼しゃーしたッ!
「し」の進藤陽悟。
しゃべるだけしゃべったら演奏のコーナーに入る。ここからがまたスゴイ。
ピアノとベースとドラムによるジャズ・ファンク・トリオ!
いっきなし和佐田さんのベース・ソロが炸裂!和佐田さんとEDEN WT-800のスタックの組み合わせは絶妙だ
これまでにもヤッチンや李涛(Li Tao)、またSWSのステージで共演していたが、和佐田さんがイメージしているベースの音がうまく再現できるようで、和佐田さんも水を得た魚と化す。
演奏家と楽器がインスパイアしあう…これがいいプレイヤーといい楽器の理想的な関係だ。
<後編>はEDENが大活躍だよ!
続いて進藤さんのピアノ・ソロ!
これまた軽快にしてエキサイティングなプレイ!
次の曲もいかにも「いわし」らしいゴキゲンなファンク・チューン。
まずは進藤さんのソロ。思う存分指をSTEINWAYの鍵盤に叩きつける!
火花散らすふたりのインタープレイ!
そして、「い・わ・し~」!
いわしのライブではこのジングルが時折挿入される。
「この日のため、他のモノは全部手を抜いてきました」という和佐田さん。信じちゃいけませんよ。
和佐田さんがおっしゃるには、「続いては名曲中の名曲」でマイルスもミンガスもホメてたという。
続いては井上さんの曲。
コレまた三人の個性が打ち出される佳曲だ。
またね~、井上さんを紹介する和佐田さんのキマリ文句が面白いのよ。大好きなんだけど書けないのが残念!
曲の合間にはさまるトーク・コーナー。
お笑いばかりではない。
このイベントが捧げられている早逝されたモヒカーノ関さんをはじめ、偉大なる先人達の業績を称え、継承していくのは現存する音楽家たちの大切な役目と語った。
まったくその通りだと思う。
「最後だけはマジメにちゃんと演ります」と最終の曲を演奏した。
え?今までマジじゃなかったの?イヤイヤ、真剣にやっているからこそ面白いということは、よ~くわかっておりますから、ハイ。
いわしの詳しい情報はコチラ⇒いわしfacebook
汗あり、笑いあり、涙あり、素晴らしいベース・トーンありの最高のステージでした!
和佐田さん、まだニラんでる!
和佐田達彦の詳しい情報はコチラ⇒和佐田達彦ウェブサイト
ガラッと雰囲気が変わって四番手に登場したのはJazz Dekorationというストレート・アヘッドなジャズを演奏するバンド、いやコンボ。
「So What」と並んで有名なベースのイントロ、曲は「Seven Steps to Heaven」でスタート。
奏でるは斉藤"クジラ"誠。
ピアノは羽仁知治。
クジラさんは日本ジャズ・ベース界の大御所。この日はじめてお目にかかったのだが、クジラさんの方からお訪ね頂いた。
というのはステージにセットされたEDENを発見して「使わせてほしい」とワザワザご挨拶して頂いたのだ。
「もちろんですとも!」とお答えしたのは書くまでもないけど書いておいた。
クジラさんは私の大親友のサックス・プレイヤーのこともよくご存じでいらっしゃったこともあって、楽屋でもとても親しくして頂き、ジャズ界の色んなお話しをお聞きしてメチャクチャ楽しかった。
さて、EDEN。
コレがマジですごかった。
EDENから「こんな音が出るのかッ!」と仰天した。
深く、太く、ふくよかで、ツヤのあるアップライト・ベース・サウンド。
もちろんそのほとんどが弾き手によるものだが、こうしてアンプの素晴らしさにも触れておかなければEDENが気の毒というものだ。
このサウンド、天国まで7段も要らない。2、3段で十分だ。
ちなみにこの「Seven Steps to Heaven」という曲は「Miles Davisの曲」というのが定番だが、実はコレはイギリス人ピアニスト、Victor Feldmanとの共作。
この人とロンドンはオックスフォード・ストリートにある有名な「100Club」の関係はコチラに記しておいた。興味のある人はどうぞ!
「♪One, two, three, four, five, six, seven, that's heaven 」と歌詞をつけたのは偉大なるジャズの詩人にしてヴォーカリーズの始祖、Jon Hendricks。ウマいことやりよる!
二曲目からは清水秀子が加わる。
ジャズ・ボーカルとMarshall…いいね~、滅多に見れない光景だ。
秀子さんの声がまたトコトン素晴らしい。
英語の発音もナチュラルなことこの上ない。
曲は「Goody Goody」。私は知らないが作曲はMatty Malneckという人。歌詞は有名なJohnny Mercer。
私はこの曲をChicagoの演奏で知った。親しみやすく楽しいメロディがステキ。
続いてはEydie Gormeのバージョンがよく知られるボサノヴァの名曲、「The Gift」。別の名を「Recado Bossa Nova」。原題は「Recado」。ポルトガル語で「贈り物」という意味だ。
秀子さん、ありがとう…コレは私への「Recado」なのですね?
というのは私この曲が大好きで、ジャズを聴き始めた30年チョット前、この曲聴きたさにさして安くもなっていない中古のHank Mobleyの『Dippin'』を数寄屋橋のハンターで買ったのです。
これまた秀子さんの声にピッタリのゴキゲンな演奏!
今度は「Summertime」と「I Got Rhythm」でGershwinメドレー。
猛然とスイングするサマが実に気持ちいい~!
曲によってはフルートに持ち替えた藤田さん。ココはアルトでバッピッシュにキメる!
次に用意されていたのは「As Time Goes By」。
「サム、その曲は弾くなと言っただろう」でおなじみの映画『カサブランカ』のアレ。
秀子さんの解説がつく。
「As Time Goes Byをヴァ―スつきで歌います」
ヴァ―ス(verse)っていうのは日本語になってるのかな?
本題に入る前の前置きのこと。ミュージカルなどで歌う前に演者が口にする独り言(monologue)のこと。それにメロディがついている。
落語で言えば「マクラ」みたいなもの。
ミュージカル上がりのジャズ・スタンダードには大抵ヴァ―スが付いているが、何か特別な機会でよほど丁寧に演奏する時以外は省かれてしまうので、知られていないヴァ―スがほとんど。
誰だだったかな~?かなりのジャズの巨人が「Autumn Leaves(枯葉)」にもちゃんとヴァ―スがあったことを知って驚いた…という記述を何かで読んだことがある。
皆さんはHorgy Carmichaelの「Stardust(スターダスト)」という曲を知ってるでしょう?第二のアメリカ国家と言われている曲。いい曲だよね~。
アノ曲、「♪Sometimes I wonder」というところからが本歌ね。その前のパートはヴァ―ス。あまりにいいヴァ―スなのでこの曲はまるごと演奏されることが圧倒的に多い。
だもんで、最も有名なヴァ―スを持つ曲が「Stardust」と言われている。
チョット脱線。
イギリスの国歌はQueenの『A Night at the Opera』で有名な「God Save The Queen」。一昨日、エリザベス女王がヴィクトリア女王を抜いてイギリス史上最も在位期間が長い国家元首となった。まだまだ元気なので心配はなさそうだが、もしもの時はセガレのチャールズ皇太子が国王になる。
すると国歌はどうなるか…当然歌詞は書き換えられて「God Save The King」となり、QueenもSex Pistolsの名演も過去のモノと化してしまう。コレにまつわる経済効果というものはすさまじいらしい。何しろ、世の中に出ている国歌の歌詞をすべて訂正するんだから…。
で、「イギリスの第二の国歌」と言われている曲をご存知か?
年配のロック・ファン、特にプログレ好きなら大抵の人は歌えるハズ。
それは『Brain Salad Surgery』に収録されている「Jerusalem(聖地エルサレム)」。コレを歌えないイギリス人はいないらしい。
それと「Land of Hope and Glory」という曲。お祝いごとがあるとまずコレ。何かというとコレ。
もうイギリス人コレ大好きなの。
タネを明かすと、この「Land of Hope and Glory」という曲、エルガーの「威風堂々」なのね。
クラシックの作曲家がヘンデル以外(ヘンデルも元はドイツ人。かつてはロンドンのジミヘンの隣に家に住んでいた)に不毛なイギリスにあって純な英国人作曲家であるエルガーが誇りなんでしょうね。
ドデカいイベントでは「国家」から「威風堂々」にメドレーするのが普通。それで、みんな大喜びで大合唱する。
日本はこういうのないね。音楽の在り方が欧米とまったく異なることを如実に表している現象だと思う。
やっぱり名曲ですな、「時のすぎゆくままに」。ジュリーじゃないよ!
「No More Blues」。ク~、この曲も大好き。Jobimの作品。Carmen McRaeも演ってるね。
私はこの曲を渡辺貞夫の『Live at Junk』というアルバムで知った。それを録音した時、客席の一番前に香津美さんがいたらしい。増尾さんのギターに憧れて最前列を陣取ったというのだ。
そして最後。
これまた大好きな「I'll Remember April(四月の思い出)」。
イヤ~、名曲と思い出の連続、秀子さんのカッコいい歌声、さらにクジラさんとEDENの素晴らしい音色にノックアウトですわ~。
高橋ゲタ夫さんが中心となった何でもあり~のスーパー・バンド。
カッコよさとおもしろさが分解できないぐらいゴッチャになった演奏。開場は大盛り上がりとなった。
天才少年パーカッショニストも登場!スゴかった!NATALはパーカッションもやってるからね~。というより元々はパーカッションのブランドだから。