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2024年12月23日 (月)

金属恵比須のキンゾク万博2024

 
新たなキーボード・プレイヤーを獲得してますます意気の揚がる日本のプロッグ・ロック界の最重鎮「金属恵比須」。
結成33年を迎える金属恵比須は去る12月11日に待望のライヴ・アルバムを発表し、それに合わせる形で今年もポップアップ・ストア「キンゾク万博」を開設した。
そこでさっそく会場の新宿のディスクユニオンにお邪魔して来た。
と思ったら…
05v新宿に着いて気が付いた…会場は渋谷だった!
完全に思い込み。絶対に新宿だと勝手に思っていた。
トホホ、ただでさえ人出の多い繁華街へ赴くのが大きな苦痛だというのに、よりによって日曜日の新宿と渋谷を訪れるなんて何たる悲劇!
よっぽど渋谷へ行かないで帰っちゃっおいかと思ったけど、どうしても「キンゾク万博」が見てみたかったので歯を食いしばって人ごみに我が身を投じた。
しっかし、渋谷ってヒドイね。
私が大学生頃はとても魅力的な街だったのにナァ…と言っても40年前の話だけどね。
あの頃は銀座も浅草も今よりステキだった。新宿は知らん。10_2 会場は渋谷のディスク・ユニオン「ロックイントーキョー」。
こんなのができたのか…。
私の「渋谷のディスクユニオン」といえばパルコの筋向いにあった間口が1間半ぐらいの店舗だからね。
当時はもう少し公園通りを上がったの右側に「ハンター」もあったんだよ。
さて、店舗のある地下へ降りる階段の壁一面には古今東西のロックの名盤のジャケットが展示されていて壮観!
でも、近い将来はこんなこともできなくなるんだろうナァ。
サブスクにはジャケットがないからネェ。20到着!
コレが「キンゾク万博」の会場。30vニューアルバムを中心に金属恵比須のありとあらゆるアイテムが展示されている。
40この日の警備員を務めていた高木大地さんと後藤マスヒロさん。35やっぱり「万博」となるとコレだよね~。
そう、長時間並んで「太陽の塔」に入ったわ。
せっかくの機会なのでココで「万博」で大きく脱線させてもらいましょう。
あの「日本万国博覧会」が開催されたのは1970年(昭和45年)の3月から9月。
今から54年前。
私は小学校2年生で、も~行きたくて行きたくて仕方がなかった。
そこで出不精の父が珍しく連れて行ってくれることとなり、平日に大阪へ行くことになった。
母は事前に学校へ行って担任の先生に休みの許可を願い出た。
すると先生は「一生に一度あるかないかのことでしょうから、休みを取ってよ~く見せてあげて来てください」と言ってくれたそうだ。
50vコレがその時の入場券。
小人は400円だったので、大人でも800円程度のものであったろう。
裏面に開場時間が書いてあって、それを見ると4月末から最後までは朝の9:00からナント夜の10:30まで開けていたそうだ。
60コレは万博を訪れる人たちのための記念周遊券。
東は草津、西は明石までの区間が乗り降り自由だった。
私はこの時に生まれて初めて新幹線に乗った。
万博終了後に取り払ってしまった新大阪駅から千里丘の会場に向かう電車の中から太陽の塔が見えた時には気絶しそうなぐらいうれしかったのを覚えている。
何しろ日帰りだったからね~。
アメリカ館だのソ連館だの、行列に長い時間を要する人気の展示館は避け、タンザニア館とかガーナ館とか並ばなくても入れるマイナーな展示館ばかり見て回った。
しかし、太陽の塔だけは「記念に見ておこう」ということで長い行列に加わったのだった。
こんな訪問でも大満足だったし、あの感動は一生忘れまい。70とにかくスゴイ人出でね。
以前にも何度かやっているんだけど、万博のそんな様子を垣間見ることができる映画を紹介しましょう。
それは1970年、山田洋次監督の『家族』という作品。
長崎の伊王島の炭鉱夫の家族が、斜陽化する石炭産業に見切りをつけ、酪農家になるために先行して入植した友人がいる北海道を陸路で目指すロード・ムービー。
何も知らない田舎の人たちなので、大阪を通過する時、「万博でもチョット見て行こうか」と軽い気持ちで会場を訪れると殺人的な人出にスッカリまいってしまう。
映画は全編ロケーション撮影であることに加え、万博のシーンなどは演出をしていないのでその混沌ぶりが実によく表現されている。Av話は飛んで…柴又の「寅さんミュージアム」のすぐ隣に「山田洋次ミュージアム」が併設されている。
みんな簡単に「寅さん、寅さん」と気安く呼んでいるけど、最終的には寅さんひとりで「松竹」という大きな映画会社を支えていたワケですからね(歌舞伎は別)、井上ひさし先生に言わせると「車寅次郎は世界最強の架空の人物」だというワケ。Bそれを作ったのが山田洋次。
コレも井上先生の受け売りだが、「男はつらいよ」というのは「貴種流離譚(きしゅりゅうりたん)」といって、世間知らずの高貴な身分の人が旅に出て、社会の荒波にもまれて成長する…という古代ギリシアやローマの時代からあるような作劇の基本のその逆をやっているのだそうだ。
寅さんは失恋していつもガックシになるでしょ?
それだけに話の基盤が強固で、新しいアイデアを肉付けするだけでいくらでも作ることができるというのだ。
ま、戯曲作家のプロ中のプロが言うのだから間違いないでしょう。
さすが山田さん、東大出だけのことはある。Cvそんな山田さんの業績を結構キメ細かく展示しているのがこのミュージアムなんだけど、この『家族』にはほとんど触れていない…残念!
というのも、数ある山田作品の中にあって、興行成績がすぐれなかった作品のウチの1本に数えられているのだそうだ。
でも内容はとてもいいですよ。
泣けます。008a0138さらに脱線させてもらうと…。
コレは「大波止(おおはと)」という長崎港にある桟橋。
映画の中で伊王島から船で出て来た家族はまずココへ到着するのね。
ちなみにこの大波止はオランダに帰ってしまったシーボルトが戻って来やしないかと、日本人妻のお滝さんが幼い娘の楠本イネを抱きながら入港してくる船を毎日眺めていたとされる場所。
稲本イネは成長して日本で最初の女性産婦人科医になった。Dそして『家族』の家族は桟橋からこの交差点に出て右に曲がって長崎駅を目指す。E家族は福山や大阪を経て何とか東京までたどりつくが、疲労が重なり家族の一員である乳飲み子が死んでしまう。
クリスチャンである一家がその弔いをしようと探し出した旅先の教会が上野の駅前、浅草通り沿いにある「下谷教会」。
映画では下の写真の以前の建物が出て来る。
そして、家族は艱難辛苦に耐えながら何とか北海道にたどり着く…というお話。
私は父の推薦でこの映画を小学生の時に初めて観たんだけど、万博会場が出て来ることもあってエラク感動してしまいましてね。
みんなにおススメしているのです。
多分、日本で一番スケールの大きなロード・ムービーなんじゃないかな?Img_2787それと…こういうお店が谷中にある。
アンティーク・ショップということなんだろうけど、親しみを込めて呼ばせて頂くならば「ガラクタ屋」。
私はこういうお店が大好きなのだ。
ありとあらゆるヘンなものが置いてあって、私はアルテュール・オネゲルというフランスの作曲家の交響曲全集2枚組CDを100円で見つけてよろこんだことがある。
オネゲルはプロッグ・ロックとして聴くと大変にカッコよろしい。
高木さんなんかもお好きなんじゃないかしらん?
で、店名が示すように、大阪万博に関するグッズもたくさん取り扱っている。Ex さて、「認知して!プログレ。」のキャッチ・コピーが目を惹くキンゾク万博。
ハイハイ、もう認知してからカレコレ50年近く経ちますからご安心あれ。
既に書いたように展示の中心は…
11012月11日に発表したライブアルバム『金属恵比須 邪神<ライヴ>覚醒』。
丸っきり個性が異なる「塚田円」と「大和田千弘」からなる2人のキーボード・プレーヤーをそれぞれゲストで迎えた時の演奏が収録されている。
2通りの金属恵比須が平面的に並んでいると言えばいいのかな?
こういう作りのアルバムってのは結構珍しいのではなかろうか?
他に同じ趣向のアルバムがなかろうか?と考えてみたのだが、ひとつしか出て来なかった。
それは、1977年のマッコイ・タイナーの2枚組の『Supertrios』というピアノ・トリオ・アルバムで1枚目と2枚目でリズム隊が丸ごと変わる…というモノ。
もうコレしか思い浮かばなかった。Mt もちろん『金属恵比須 邪神<ライヴ>覚醒』には「武田家滅亡」、「う・ら・め・し・や」、「紅葉狩」、「邪神覚醒」といった人気曲がド迫力な演奏でタップリと収録されている。
 
それぞれの演奏はMarshall Blogでレポートしているので未読の方はゼヒ!
 ↓  ↓  ↓
<塚田さん編>
金属恵比須~猟奇爛漫FEST vol.6 <前編>&私のチョット井の頭
金属恵比須~猟奇爛漫FEST vol.6 <後編>
<大和田さん編>
金属恵比須~邪神"大和田千弘"覚醒 <前編>~私の「日本映画と音楽」
金属恵比須~邪神"大和田千弘"覚醒 <後編>
90個人的にジャケットもうれしかったね。
NATALドラムスが2台も登場している。
これまで1台というのは何回かあったんだけど、2台は多分「世界初」だと思います。
どうもありがとうございます!100v高木さんと来たら、ヒマさえあればPOPを手づくりしているようで、まぁ、展示のナント賑やかなことよ!80会場でメンバーがお迎えできる予定は…
12月28日:18:00~20:00 稲益宏美
12月29日:14:00~16:00 後藤マスヒロ&埜崎ロクロウ
万博の会期は12月31日まで。
 
金属恵比須の詳しい情報はコチラ⇒金属恵比須Offician Web
130(一部敬称略 2024年12月22日 ディスクユニオン ロックイントーキョーにて撮影)