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2023年7月 6日 (木)

MOVE FES. 2023の田川ヒロアキ

 
今日のレポートは六本木のEXシアターから。
EXでの催しをレポ―トするたびにこのアングルの写真を掲載しているけど、昼間の写真なんて珍しいでしょ?
というのは…今日は入り時間がとても早いのだ!10今回で6回目の開催となる『MOVE FES.』というイベント。
回を重ね、今回は最も大きな会場での開催となった。
このイベントに田川ヒロアキが出演したのだ。
100ヒロアキくんとも長いお付き合いをさせて頂いてきたが、思い返してみるに初めてその姿を目にしたのは2008年10月、池袋で開催された『楽器フェスティバル』というイベントでのことだった。
いくつかの展示ブースを渡り歩いてギターを弾きまくる姿は周囲からの注目を集めていた。
「ウワ!弾き方間違えてるじゃん!」と思った人も多かったであろうが、とにかくヒロアキくんが繰り出すフレーズは「ロック・ギターの権化」とも呼んでも決して差支えのないモノで、多くの人が弾き方よりもその演奏に釘付けになっていた。Img_3672 その翌年、2009年4月29日、ヒロアキくんは日比谷野音で開催された『HARDなYAON』というイベントに出演した。
その時の楽屋で初めてヒロアキくんに正式に挨拶をさせてもらい、そこからお付き合いが始まった。
「まー作くん」をご覧頂ければおわかりの通り、南の島から結婚式までこの14年の間に様々なシチュエーションでMarshallや写真撮影を通じてサポートしてきたが、最も最初の頃を除いては、その間に「ヒロアキくんが視覚に障がいを持っている」と考えたり感じたりしたことは全くなかった。
 
ヒロアキくんの活躍ぶりはコチラを見てね⇒マーさく君「タ行」

40反対に、それほど気にしていなかったことが見えるようになった。
つまり、身体が不自由な方々への配慮の重要性だ。
言って見ればヒロアキくんに開眼してもらったワケだな。
  
つい先日カナダ人の友達が来日し、こんなことをfacebookに投稿していた。
訳してみると…
昨日、実に重要なことを発見した。
あの東京の歩道や交差点にに埋め込まれている『黄色いヤツ』の正体が判明したのだ。
大変素晴らしい…アレらは目の不自由な皆さんへの戦略的なガイドの役割を果たしているのだ。
目の不自由な人が歩道に埋め込まれているあのタイルの線の上を歩き続ければ通りに平行して歩くことができる。
そして、各ブロックの切れ目や商店の前に来ると、通りに面して走っていたタイルの線が10セント硬貨大の丸い点に変わるのだ。
メチャクチャ賢いアイデアだし、究極的に有益なシステムではあるまいか!
コレを読んでいる人はこのことを恐らくご存知のことだと思う。
しかし、この度この黄色いブロックの正体を知った私は、スーツケースを引っ張り回す時に『コイツぁ何て邪魔なシロモノなんだ!』と文句をつけることが金輪際なくなったのだ
もちろん彼が言っているのは我々にはおなじみの黄色い「点字ブロック」のことね。
カナダに行ったことはないけれど、きっとカナダにはないんでしょうね。
確かにロンドンでも見たことがない。
80
この点字ブロックは盲人にとってものスゴく重要なモノで、この上に荷物を置かれたりすると本当に困るそうなのだ。
現実的にヒロアキくんも障害物が覆いかぶさっていて点字ブロックを読み取ることができず、幾度となく危険な目に遭っているそうだ。
きっと点字ブロックの重要性を知ってさえいれば、周囲の人も荷物や自転車を置いたりするようなことはしないハズで、「知る」あるいは「気づく」ということがいかに重要かということを思い知る。70「知る」といえば、コレ。
コレがナニをするモノがご存知の方はいらっしゃいますか?
私は知っていたんです。
Mini2
話は飛んで…新藤兼人が監督した『母』という映画がある。1963年の公開。
新藤さんが設立した「近代映画協会」という独立プロの製作…つまり映画のインディーズ作品の1本。
乙羽信子、殿山泰司といった近代映画協会所属の俳優さんに当時文学座の分裂問題の渦中にあった杉村春子が加わり、スゴい演技を見せてくれる。
とてもいい映画です。
さて、この映画の主人公の息子さんは不幸にして脳腫瘍を患っていて、時間が経つと失明してしまうことがわかっている。
そこで、目の見えるウチに一生懸命点字の勉強をするシーンが出て来る。
きっと点の組み合わせを学んでいるのだろう、その子供は紙に何やら書き込んでいた。

30p
この映画を観たのと偶然ほぼ時を同じくして、上の機器を知った。
テレビで見たのかな?
コレは「Braille Sense(ブレイルセンス)」という「点字音声情報端末」。
点字と音声の読み上げ機能を搭載した、通信から事務作業まで何でもこなせるノートパソコンとでも言えばわかりやすいか?。
一番の特長は情報のやりとりを点字でできること。
本体の下部に付いているボツボツが浮いたり沈んだりして点字の情報を提供してくれる。
そして、ディスプレイが不要なので極端なまでに小型なのだ。
この機器の存在を知り、「ああ、コレがあればあの『母』に出て来た子もよろこんだろうにナァ」と即座に思ったワケ。
そして、このルックス!
表面には商品名以外の文字がナニも入っておらず、サッパリとしていて実にカッコいい!
ナンカ無限の可能性を秘めているような感じがしない?
商品名にある「braille(ブレイル)」とは「点字」のこと。
この「braille」という言葉は、世界標準となった「ブライユ点字」を考案したフランスのルイ・ブライユ(Louis Braille)という19世紀の視覚障がい者の名前に由来している。
「braille」を英語読みすれば「ブレイル」だ。
ちなみにブライユの点字の大きな功績のひとつは楽譜を点字で表記できるようにしたことだったそうだ。昔のフランスの視覚障がい者には音楽を生活の糧としていた人が多く、そうした音楽家にブライユ点字は大歓迎された。
19世紀の話…そして、21世紀は「ブレイルセンス」だ。

Mini1_2さて、再び場面は替わりEXシアター。
冒頭に書いたようにこの日は会場の入り時間が早く、ヒロアキくんの出演までタ~ップリ時間があった。
私はノートPCを持参してMarshall Blogの原稿書き。家内は読書。
そして、ヒロアキくんの方を見ると…。
おお!アレじゃん!ブレイルセンスじゃん!
さすが、ヒロアキくん、すでにこのカッティングエッジを導入していた。
まったく使い方がわからないので「やらせて、やらせて!」というワケにはいかないが、代わりにヒロアキくんが使い方を丁寧に説明してくれた。
50v
ヒロアキくんはよく「勉強不足で点字はニガテなんですよ!」なんて言っているが、いつか缶ビールのフタに刻印されている3つの点字を「お・さ・け」といとも簡単に読んで見せてくれた。
しかし、こんなところに「お」をつけて行儀よくふるまうなんていかにも日本人らしい。
ヒロアキくんによれば、「コレはもしかしたら日本で最も認知度の高い点字表記かも?」って。
それでも我々は触ってもゼンゼンわからないからね。0r4a0078しからばヒロアキくんにもご愛飲頂いている我がMarshallビールはどうか…。
ゴメン、のっぺらぼうだわ。
「美味しすぎるので飲みすぎ注意!」ぐらい入れておいた方がいいかもな。
コレはどういうことか…。
イギリスで考えると、向こうは酒類の自動販売機がなく、全て対面販売なので目の不自由な方が酒類を買おうとすれば、店員が教えるから点字表記が不要なのかも知れない。
ちなみに、日本では「プハ~!」ってビールを飲むテレビ・コマーシャルが当たり前だけど、イギリスではコレが禁止されている。放映しちゃいけないの。
アル中患者を増やすことにつながりかねない…という理由で先のエリザベス女王から禁止令が発布された。
だから女性のタレントがビールや酎ハイをグビっとやっているコマーシャルを目にするイギリスの人はすごくビックリするんよ。
0r4a0083 さて、ヒロアキくんと一緒にいると、時折携帯電話を耳に当てて、そこから発される音声をまんじりともせず聴き入っていることがある。
ヒロアキくんの携帯には「読み上げソフト」というアプリケーションがインストールされていて、電話に詰まっている情報を音声によって吸収するワケ。
Marshall Blogもヒロアキくんには音でお楽しみ頂いているワケだが、聴かせてもらうとスゴイ早口なのに驚いた。
誤字脱字とか恥ずかしいな…。
便利といえば便利ではあるが、この作業はとても疲れるのだそうだ。
しかも「耳」はヒロアキくんの大切な商売道具だからね。
そこに、音声だけでなく点字という「文字」で情報を吸収できる「ブレイル・センス」が登場した。
それによって「聞く」から「読む」に動作が変わった。
我々には想像できないぐらいの利便性の向上になったのだそうだ。
これも初めて知った。
楽屋でブレイル・センスを巧みに操るヒロアキくんの動作を見ていたんだけど、パソコンと違ってキーを叩く音がまったくしないので実に静か!

60さて、ココまでは前置き。
「知る」というのはいかに大切なことか…を伝えたかった。
 
今日レポートするイベントの主催者は、「WITH ALS」というALS(筋萎縮性側索硬化症)の課題解決を起点に、全ての人が自分らしく何事にも挑戦できる社会を実現することを目指した団体。
その活動のひとつが『MOVE FES.』で、2016年からほぼ毎年開催してきたが、コロナ禍により昨年は開催を断念。
そして、今回様々な企画を盛り込んで『MOVE FES.』史上最大の会場での開催にこぎつけた。
今回の『MOVE FES.』は『UNREAL REALITY. 非現実的な現実』という撞着をテーマに掲げた。
同じ社会の中で我々のすぐそばにある「非現実的な現実」に光を照らすという企画だ。
 
「ALS」という名前は知っていても、恥ずかしながら私は「筋肉に関連する疾患」という意識だった。
今回、ALSが脳と脊髄間の情報伝達に支障をきたす神経疾患であることを知った。
「WITH ALS」はこのイベントを通じてメッセージを発信し、世界に支援の輪を広げていくことで、「ALSが治癒する未来」という「非現実」を将来実現させることを目標としているのだ。
そう、とにかくまずは「知ること」として「知らせること」なのだ。
1_pos会場のロビーに飾られた祝い花の数々。110会場には分身ロボット「OriHime」とタッグを組んだ「01 ROBOT POP-UP STORE」が設置された。
ボーダレスウェアを展開するWITH ALSのアパレルブランド「01 BORDERLESS WEAR」の商品を分身ロボットが販売する。
120コレがその分身ロボット「OriHime」。
明日、ちょうど七夕だね。
接客にあたるOriHimeは障がいを抱えるパイロットさんたちが遠隔操作しているそうだ。
130WITH ALSの代表は自らもALSの罹患者である武藤将胤(まさたね)。
武藤さんはクリエイター、DJ、経営者として、エンターテインメント、テクノロジー、介護の3領域で様々なプロジェクトを推進し、視線入力や音声合成、脳波、分身ロボットなど様々なテクノロジーの研究開発に取り組んでいらっしゃる方。
このイベントの企画や演出も武藤さんが手がけている。S41a0039その武藤さんの発病をご存知の上でご結婚されたご夫人、木綿子さん。
愛と科学で病に立ち向かう2人の姿を描くヒューマン・ドキュメンタリー映画『NO LIMIT,YOUR LIFE ノー リミット,ユア ライフ』が6月23日から公開された。1_3202 会場ではその映画のチケット販売コーナーが設けられ、注目を集めていた。
140この日の出演は内澤崇仁(androp)、清春、NOBU、 KURO(HOME MADE家族)他の皆さん。
トークショーも交えられ、充実の内容となった。
 
KUROのステージ。
「楽しんでいきましょう!」
KUROさんのステージではMarshallが登場!150KUROさんと…160DJ…170そして、ギターの3人編成でエキサイティングなパフォーマンスを展開する。175v「ありがとうございます!
『HOME MADE 家族』というバンドをやってます…ただいま活動休止中。
MASA(武藤さんのこと)を見ていて、『継続は力なり』という言葉は本当だな、といつも思います。
心だけはだれにも止められない。
『生きたい』じゃなくて『生きる』ことが大事だと思います。
最後までよろしくお付き合いください!」S41a0005Marshall Blogではかなり珍しいラップ。
今までにも「ラップっぽい」ことを演っているチームはいくらでもあったけど、純なラップのチームがMarshall Blogに登場するのは初めてかも。
「ラップ」っていうとギターがフィーチュアされない音楽というイメージが強いけど、ナンのナンの!…ヌケの良いMarshallサウンドによるシャープなファンク・ストラミングが実に心地よいのだ!
180KUROさんのハーモニカ。
ラップとブルース・ハーモニカってのは良く合うもんですナァ。
コリャ、カッコいいわ!176v観客はKUROさんの歯切れのよい言葉の連なりに耳をそばだてていた。190そして、『MOVE FES. 2023』のクライマックス!
武藤さん自身が視線コントロールでDJ・VJを操作する「EYE VDJ」を駆使してのコラボレーション・タイム。
まずは、ダンスとテクノロジーを融合させたパフォーマンスが話題のM++Dancers(M Plus Plus Dancers)。
210先日のWBCのオープニング・セレモニーに登場したチーム。
チカチカとオモシロい!
230ステージ中央の武藤さんとの共同作業だ。220そして、ヒロアキくん登場!
待ってました!ココまで長かった!
ヒロアキくんらしいダイナミックなワーミー・バーのプレイで曲はスタート。
240「皆さん、一緒に盛り上がっていきましょう!」
ステージに上がっているのは…
 
EYE VDJ MASA(武藤さん)と、最新テクノロジーを満載した視線入力のDJイクイップメント。260vそして、田川ヒロアキと…
250v_260年前のテクノロジーを満載したMarshallの真空管アンプ。
ギターはコレじゃないとダメなのよ!
モデルは愛用のMarshall JVM210Hと1960A。270v曲は「Just Do This」。
2人の共作だ。
武藤さんは視線入力… S41a0041 一方、ヒロアキくんは点字入力でコミュケーションを取って作り上げた1曲。280v武藤さんは視線入力で演奏。
実は冒頭の「皆さん、一緒に盛り上がっていきましょう!」という武藤さんのアオリのひと言も最新技術による合成音声だったのだ。
S41a0135_2思い出のビデオなどに少しでも音声が残っていれば、それをデータとして取り込み、自由に合成して音声を作り上げることができるのだそうだ。S41a0109 下はマネージャーの美瑞穂さんから負ったタスクでシャッターを切った1枚。
「演奏中のツーショットを押さえてください!」
アノね、簡単に言うけど1曲しかシャッター・チャンスがない時ってドキドキなんですよ。
照明の具合、ステージ前のビデオカメラのポジション、もちろん演者のようす。
コレらの条件が全てうまく合致した時にシャッターを切る…ナ~ンてね。
でも、うまく行ったんじゃん?300ヒロアキくんの頭上に見えているのはドローン。S41a0052演奏の間、ドローンが縦横無尽にステージ上を飛び回った。
操作しているのはドローンの操作の全国大会で優秀したパイロット。
開演前に楽屋に挨拶に来てくれたのだが、ナント、中学生なの!S41a0053普段のヒロアキ・ナンバーとはノリの異なるダンサブルな仕上がり。
0r4a0126強烈なタテノリがチョット「和のテイスト」を感じさせてとてもゴキゲン!303vさっきの「ブレイル・センス」同様、テクノロジーの進化が人の営みをこんなにも豊かにしているということを知った1日だった。305そ~らヒロアキくんのソロ!
コチラは古い技術で最高の演奏を聴かせてくれた。320いつも通りのスケールの大きなフレージング。
すべての観客の目がヒロアキくんに釘付けだ!

325vフィニッシュもバッチリ!
「Just So This」は現在正式な音源としてリリースされている。
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この後、フィナーレが華々しく催されて『MOVE FES. 2023』は幕を下ろした。336田川ヒロアキの詳しい情報はコチラ⇒FretPiano 
 
そして、今回の「MOVE FES.」のアーカイブが7月18日までコチラから配信されているので是非ご覧あれ!⇒MOVE FES. 2023公式ウェブサイト
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200 (一部敬称略 2023年6月18日 六本木EX Theaterにて撮影)