SHOW-YA『組曲』~Battle Orchestra~ <後編>
「え!『組曲』をオーケストラとの共演でッ!?」
最初に今回の企画を耳にした時は驚きを隠せなかった…と、同時に大きな興味を膨らませた。
<後編>はまずその『組曲』を振り返ってみることにしよう。
…と言っても、過去のMarshall Blogのレポートをご覧頂くだけなんだけどね。
☆SHOW-YA 35th Anniversary Live『組曲』~SHOW 1 <前編>
☆SHOW-YA 35th Anniversary Live『組曲』~SHOW 2 <後編>
『SHOW 2』のレポートでは「組曲」について書いたので、今日は「ロック・バンドとオーケストラの共演」について少し書かせて頂く。「ロック」という音楽は様々な外的な要素を貪欲に吸収して発展し、生き延びてきた音楽だからその過程で「オーケストラとの共演」という手法があっても全く不思議なことではない。
ま、ロックが70年代の後半までに取り組んできたことは、何年も前にすでにジャズがやっていたことではあるんだけどね。
西洋音楽史の本なんかを読むと「外界の要素を取り込む」という点においては、それよりももっと前にはクラシックがやり尽くしていたことがわかる。
ところで…ロックの歴史を振り返ってみて、弦楽器だけではなく、本格的な「オーケストラとの共演」を標榜した作品ということになると第1号はナンだったんだろう?
浅学にして私は知らないが、1969年のディープ・パープルの『ザ・ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラ』あたりは最も古い部類に入るだろう。
その翌年の1970年のピンク・フロイドの『原子心母』、72年のプロコル・ハルム、74年のキャラヴァン、リック・ウェイクマンに至っては74年、75年と連続でオーケストラ作品を発表している。
一方、バンドがオーケストラと共演する形式ではなく、ザ・フーやジェスロ・タルのようにいわゆるロックの名盤/名曲と謡われる作品をオーケストラが演奏するというスタイルのアルバムも散見される。
ココに挙げたアルバムは不思議と全部イギリス製だな…。
変種としては、フランク・ザッパの曲をオーケストラが演奏している『オーケストラル・フェバリッツ』なんてアルバムもある。
コレは元々ザッパがオーケストラのために書いた現代音楽曲集の第1弾なので、ロックではないのだが…。
あ、コレはアメリカだわ。
と、まぁ、ひと口に「ロック・バンドとオーケストラの共演」と言っても色々なスタイルがあるワケで、結局作品の出来の良し悪しを決定づけるのは、素材となる元の曲のクォリティ次第なんだよね…と私は思っている。
また、いくら元の曲のクォリティが高くてもオリジナルのままの方がいい場合もあるしね。
つまり、何でもただオーケストラを引っ付ければ良いというワケでは決してないんだな。
その点、SHOW-YAのレパートリーはオーケストラとの相性が良いのではないか?…それが一番最初に書いた大きな興味を寄せた理由。
そんなワクワクする気持ちを抱きながらこの日の第2部を迎えた。
バンドの後ろの中割幕が引かれ、台の上に上がったオーケストラの面々のシルエット…スポット・ライトを浴びてタクトを持つ手を上げる指揮者は…『組曲』の編曲を手掛けた笹路正徳。
恵子さんの歌が入る最初の曲は「水の中の逃亡者」。
何ともリッチなサウンド!
そして「BATTLE EXPRESS」。
sun-goさんが弾くリフに雄大なオーケストラのサウンドが絡みついていく!さすがの笹治さんアレンジ!!
こういうのこそが聴きたかったのだ!こんなドライビング・ナンバーでもオーケストラ効果バツグン!
お客さんは総立ちだ。疾駆するmittanのドラミングも完璧にマッチする。
captainのキーボーズとオーケストラが曲間をつないで…「OUTSIDER」!
sun-goさんがリード・メロディを奏でるインスト・パートは…「兵士の肖像」
コリャ、カッコいいわ~!
こうも自然にバンドとオケが絡み合っていると元からオーケストラが入っていたかのような感覚に陥るね。テンポを落として「何故」。
当然、サウンドは圧倒的にドラマチックな展開を見せる。captainのピアノがつないで…「欲しいモノは奪い取れ~!」
ココからは息もつかずにハードなナンバーを矢継ぎ早に並べる。
「I got your love」…「Rolling Planet」…
sun-goさんのギターがフィーチュアされる。
ココで小マーシャル。
sun-goさんのギターを鳴らしているのはMarshall JVM410Hと…スピーカー・キャビネットの1960BDM。
純イギリス製のギター・アンプはオーケストラ・サウンドにもベスト・マッチ! しかし、オケをバックにギター・ソロを弾くなんて気持ちいいだろうナァ~。次は「ギャンブリング」。今日はヘヴィにキメた「Blue Rose Blues」。「愛さずにいられない」…
「その後で殺したい」…の2曲ではブラス・セクションのポップなアレンジがとても楽しい。
今度はグッとテンポを落としたところで指で弾くさとみさんの美しいベースが会場に鳴り響く。
captainの荘厳なオルガン。
そこにsun-goさんのギターがかぶさる。
「叫び」と「限りなくはるかな自由」。
そのままcaptainのオルガンをバックに恵子さんが熱唱したのは「Always on Your Side」。もちろんこんなバラードで活躍するのはストリングス・セクション。
分厚く温かいサウンドが曲をロマンチックに仕立て上げる。 mittanのドラムスがひとたび暴れると雰囲気がガラリと変わる。 「私は嵐」だ~ッ!時折後ろを振り返りSHOW-YAの演奏に目にやる笹路さん。
指揮棒を持つ右手のリストバンドが気になる!?オーケストラの皆さんも楽しそう!
「♪私は~あ~ら~し」…サビのストリングスが奏でるカウンター・メロディのカッコいいこと!
こんな「嵐」聴いたことない!おなじみのギター・リフから…「Fairy」!
ココでもストリングスが大活躍。オケをバックに「♪I can't see」。
さらに「流星少女」が続く!
このあたりのシーンでのSHOW-YAリズム隊のたたみかけるような演奏には鬼気迫るものがあった。
いつものことだけど。さらにココで場面が変わる。
ステージ中央にひざまづく恵子さんにスポット・ライトを当てたのは「祈り」。sun-goさんはこのメドレーで2回アコギを使用した。そして、いよいよ最後!
「カモン!」
20分を超すこの壮大なSHOW-YAの音の絵巻を締めくくったのは「限界LOVERS」。
最後まで完璧な演奏で完走したSHOW-YAの5人。
これだけ覚えるのはさぞかし大変だったことでしょう。
先刻ご承知のことだと思うが、前年に披露した「組曲」とは全く別物ですからね。
そして、笹路さんとオーケストラの皆さんの素晴らしい演奏!「Battle Orchestraのメンバー。
そして、指揮をしてくれた笹路さんに大きな拍手~!
イエ~、最高!みんな最高!」
終わった~!
「どうもありがとう!」
鳴りやまぬ拍手の中、メンバーたちはステージを後にした。さて、アンコールの前に…。
メンバーが<中編>のMCの中で触れていた通り今年も開催される『NAONのYAON』。
出演者も発表になって盛り上がってきた。
今年も4月29日は野音に集合!
NAONのYAONの詳しい情報はコチラ⇒NAONのYAON公式ウェブサイトそして、アンコール。
「みんなどうもありがとう!
改めて紹介します…SHOW-YAの『限界LOVERS』以来のお付き合いになります」
『限界LOVERS』のリリースは1989年だが、レコーディングしたのは前年の88年だった。 「34年のお付き合い。
プロデューサーの笹路正徳さんです!」
「わぁ!鋲だ!ワンポイント?」
鋲?…そんな古式ゆかしい言葉を使う恵子さんが好き。こういうの、スタッドとか言ってるみたいよ。
とにかく気になっていたリストバンドがフィーチュアされてヨカッタ!
とてもお似合いです。
「そうだね。今思うとスゴイよね…生まれた子が34歳になってるんだもんね!」と笹路さん。
「みんなの実力は当時からスゴかったもんね。
『限界LOVERS』っていきなりスタジオ入ってレコーディングだもんね!」
34年にわたるお付き合いの重みを噛みしめながらのトーク。
「ありがとうございます。ズーっとそうやってSHOW-YAのことを盛り上げてくれて、ずっとSHOW-YAの音楽、サウンドをバンドの音を大事にしてくれて、今でも笹路さんとはレコーディングとかでお付き合い頂いております!」
大きな拍手が沸き上がる。恵子さんは普段オーケストラと共演する機会などないので、今回の共演はとても光栄であると喜びを露わにした。
「ところで今回、『組曲』を演ることにあたってお願いしたじゃないですか?大変でした?」
「大変だったけど、すごく楽しい大企画で…SHOW-YAとオーケストラって合うに決まってるじゃん?
だからこういうのが実現できて幸せだなぁ~と思います。
しかし、よく20曲も覚えたね~、みんなも!」
「アノ~、ココで発表していいっすか?
今回演ったこの『組曲』…実はもうレコーディングしてまして~。
それで、CDにしちゃいます!
もうオケの方はね、だいたい出来ていて…もうすぐ完成します。
ライブで演るだけでもうれしいのにCDになっっちゃうんだよ!
ところで、笹路さんとこうやってSHOW-YAとステージに上がるの初めてなんですよね。
で、オーケストラと一緒に演ったのは、『組曲』だけではないのです。
実を言うと、『限界LOVERS』のオーケストラ・バージョンもあります!」
「その『限界LOVERS』を今から初披露しようと思っているんだけど…聴きたいかぁッ!?
じゃあ、『聴きたい‼』って顔見せて!」
当然のようにお客さんは全員「聴きたい!!」という顔を見せてくれる。
この曲が今日の最後になるんだけど、マスクを付けたまま、自由に踊ったり、拳を振り上げたり、ライトを降ったり、思い思いのノリ方で最後は思いっきり、ハッチャケてください!」
「そして!せっかくなんで~、『限界LOVERS』をそんな椅子に座られてたら寂しいじゃないですかぁ。
みんな立ちましょう!」
…と恵子さん、オーケストラのメンバーさんたちに立奏を促した!」「さぁ、SHOW-YAも、笹路さんも…、オーケストラの皆さんも…
お客さんも、ロックするぞ~!」
本当にオケの皆さんお立ちです! そして、何ともゴージャスな「限界LOEVERS」が始まった!コレがいいのよ!
実にいい!私が冒頭に書いた「まず良き素材あるべし」を証明してくれるかのような完璧な編曲と非の打ちどころが素晴らしい演奏!ああ、コレがナマで聴けてシアワセ!
やっぱりライブに来ないとダメね。
「どうもありがとう!
オーケストラの皆さん…」「笹路さんに大きな拍手を!!」
「どうもありがとう!」
ひとまず重責から解放された恵子さん。
今日のお客さんへの「ありがとう」は一段と気持ちが込められているような印象だった。
第2部が始まる前、筋金入りの熱心なSHOW-YAファンの方が私の所へ来て「SHOW-YAとオーケストラとの共演だなんて一体どうなるんだろう?」と期待に胸を膨らせ、目を輝かせていたのを思い出した。
私はリハーサルの一部始終を拝見していたので内容は全てわかっていて、説明をしてあげたかったのだがそこはもちろん「それは観てのお楽しみ!」とだけ答えさせてもらった。
そのファンの方はこの演奏を観てどう思ったのだろう。
期待以上だったに違いない。
そして、この日の演奏が彼女の「SHOW-YAファン人生」の目次に載るような重要な1ページになったことと確信している。「今日は大変な中、SHOW-YAのコンサートに来てくれてありがとう!
配信を見てる人もありがとね!
また一緒に楽しめるようにガンバりましょう!」
5人は客席のみんなとの別れを惜しむようにしてステージを降りた。
「みんな、愛してるよ~」
いつものルーティンを済ませて舞台袖に向かって歩き出したが…
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