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2018年8月18日 (土)

GRANRODEO e-ZUKA~Marshallコンボで大ごったく!

 

8月10日発売の最新YOUNG GUITAR誌。
表紙の「THE 速弾き」という文字を目にして色めき立ったギター・ファンも多かったのでは?
しかし、この「速弾き」という言葉は「携帯」のように最後まで「速弾き」だったナァ。
大分前、Marshallの会議に出席した時に英語圏の連中が「shred」とか「shredding」という言葉を盛んに口にしていて、「シュレッドってな~に?」と尋ねたことがあった。
今でこそそれらの言葉が定着した感がなくもないけど、ナントいっても「速弾き」だ。いいことだ。
「速く弾く」んだから「速弾き」で十分だ。わざわざ英語に言い直す必要なんてコレっぽっちもありはしない…国内にいるウチは。
他方、日本では「チョーキング」と呼ばれている「ベンド」なんかはまだ馴染みがないギター用語のウチのひとつだろう。
「ヴァイブラート」、「ケイポゥ」と発音が異なる言葉や、「ワーミーバー」、「マシンヘッド」、「フレットボード」等々、呼び名が習慣的に異なる単語も少なくない。
「チャンク(chunk)」なんて言葉は日本では絶対に聞かないでしょ?私も知らなくてタマタマ日本に遊びに来ていたオーストラリア人に意味を教えてもらった。
しかし、この「用語のズレ問題」の代表的なモノは「シールド」だろうナァ。
「線」とか「コード」とか呼ぶより聞こえが良いということなのか、日本では「シールド」という言葉を使う人がナント多いことよ。「シールド線」を指しているので決して間違いではないんだけど、コレが世界の方言であることは間違いない。海外では通用しない…というか、ギターの話をしていてこの言葉を耳にした試しがない。
ま、私も昔はそのクチだったんだけど止めた。だってカッコ悪いんだもん。「ツーマン」、「スリーマン」ぐらいカッコ悪い。
イギリスでは「ギター・リーズ(Guitar leads)」と呼んでいる。「郷に入れば郷にしたがえ」で、現地に行けば私もそう呼んでいるが、日本ではチョット気恥ずかしいので「ギター・ケーブル」という表現を使っている。コレはイギリスでもアメリカでも普通に通じる。
付け加えるならば、イギリスの人たちは「ピック」のことを「プレクトラム(Plectrum)」と呼ぶ。弦楽器の弦を弾く「爪」のことですな。
さらに付け加えるならば、日本では若い人を中心によく「ピック」を「ピック⤵」ではなく「ピック⤴」と発音するでしょう。アレは気持ち悪いな~。「ギター⤴」もそうなんだけどね。
ま、発音は仕方ないにしても、この用語のズレっていうのはどこから生まれて来るんだろう?
こうしたアイテムは基本的には欧米から入って来るモノなのだから、初めから素直に同じ言葉を使っていればいいと思うんだけどナァ。
いつも騒いでいる映画や曲の邦題と同じ。
本は世界に冠たる「文学国」ゆえ、我々はこうした言葉イジりや表現の創作が元々好きなのかも知れないな。
 
さて、速弾き。
私も若い頃は夢中になったナァ…。
「Highway Star」のソロが「人間の限界を超えた速弾き」ぐらいに扱われていた頃よ。
この速弾きも丸っきりスポーツと同じで、食べ物の質の向上や練習メソッドの発達で、目まぐるしくレベルが向上した。誌面から一節拝借すると「ギター史は"速さ"の歴史である」…けだし的確な分析であろう。
今、ロック・ギターを志す人たちは大変だよ。コレがスタート・ラインだもんね。
「速くて当たり前」…まるでピザの宅配だ。
昔は速いだけでスターになれた向きもあったが、やっぱり「速弾き」は「技術」という手法ではあっても「音楽」という最終目標ではないからね。
速弾きをマスターして自分のスタイルを確立して、そこからいかに人とは違う魅力的な音楽を作り出さなければならないのだからタマったモノではない。
それを成し遂げたギタリストこそがこの分野の音楽の将来を担っていくんだろうね。

10vしかしね、「速弾き」ってのは今に始まったことではなくて、昔からあったんよ。
例えばこの下のアルバム。
コレはジャズ・ギタリストのロイド・エリスという人の『The Fastest Guiar in the World』というアルバム。
ウソこけ。
買って聴いてみるとまったく大したことない。古めのジャズ・フレーズをよどみなくペラペラと弾いているだけ。
でも、このアルバムが発表された1958年当時は「アラ、速い!」ということだったんだろうね。
コレだったらタル・ファーロウやバーニー・ケッセルの方がゼンゼンすごいんだけど、こんなアルバムを作ってしまったところが何ともノンビリしていて微笑ましい。
やっぱり、人間は強くて、大きくて、速いものが好きなのか?
でも、ドラムスの「速叩き」やサックスの「速吹き」、ヴァイオリンの「速擦り」なんて聴いたことないもんナァ。

Le ロック系の速弾きギタリストはYOUNG GUITAR本誌の詳しいので、ココでチョットだけ「Jazz Shredder」を紹介しておくことにしよう。
 
1. Jack Wilkins:知人のツテでマンハッタンの家まで遊びに行かせて頂いた大好きなギタリスト。

Jw 2. Billy Rogers:一時期The Crusadersに在籍した名手。ドラック禍で早逝。まぁ、弾くわ弾くわ。渡辺香津美さんはこの人と共演されたことがあって、「とにかく弾きまくりでスゴかった」とおっしゃっていた。

Br 3. Tony Purrone:いまだに名前の読み方がわからん。ややスペイシーにとめどもなくジャズ・フレーズをシュレッディングするスタイル。ココではリーダー・アルバムの1枚を挙げたが、ドラマーのEd Thigpenのアルバム『Mr. Tastte』でのプレイはスゴイ。

Tp もう少し…。
私はカントリー方面は完全な門外漢だけど、アチラの方にもまさにジョウドロッピングな速弾きギタリストが掃いて捨てるほどいるでしょう?
Johnny Hilandなんてアホほどカッコいいもんね。
でも、「速弾き」がどうの、なんてことは聞かない。
ナゼでしょう?
私が考えるにジャズもカントリーも「ギター」という楽器が花形ではないからではなかろうかね?
反対に「ロックといえばギター」、「ギターをやるならロック」ってなもんで、ロックはギターがなければ始まらない。
その花形楽器を操る人たちが「オレが、オレが」と華麗なテクニックに磨きをかけ、ロック・フレーズは「速度」を求めて行ったのではなかろうか?
そして、見逃してはならない歴史的な事実は、そこにMarshallがあったってことなのよ。
Marshallがなければ実現しなかった音楽があったからこそ、「速弾き」が発展したワケ。
さっきのヤンギさんのお言葉を再度借りれば、「速弾き史は"Marshall"の歴史である」であって、このことは何人も否定できまい。
ま、つべこべ言っても、とどのつまりは「カッコよかった」ってことだわね。
20…と、ずいぶん「速弾き」で紙幅を割いてしまったが、ここまでが前置き…というか脱線。
今日の話題はMarshallの現行の小型コンボ・モデル。
Marshallのコンボといえば何といっても1962 Bluesbreaker。
エリック・クラプトンが車のトランクに入るような小型のアンプを開発して欲しい…とジムにリクエストして誕生した初のMarshallのコンボ…と言われているが、コレは西ロンドンの都市伝説。
1962が「Marshall初のコンボアンプ」であることは間違いないが、クラプトンのリクエスト云々の前から存在していた。
そんな逸話も残っている名器だけに「Marshall初のコンボの物語」として、こんなBluesbreakerの本まで出てる。

Bbbさて、そのMarshallのコンボ。
時代と音楽のトレンドが大きく変わり、かつてはMarshallの三段積みが所狭しと並べられていた大きな舞台ににコンボ・アンプがチョコン…なんてコンサートも珍しくなくなった。
昔を知っている私なんかには、あの光景は商売を抜きにしてとても寂しく映る。
ま、その話は置いておいて、Marshallも56年の長き歴史において色んなコンボ・アンプを販売してきた。
意外と知られていないところでは、1959や1987のコンボだってあったんだから。
当時は「19」アタマはヘッド、「21」アタマはコンボという採番手法が採られていて、それぞれ「2159」と「2187」という型番がついていた。
7、8年ぐらい前に「2187X」の型番のもと、日本だけ50台限定で販売したが、アレを買った人はラッキーだったね。
だって1987のコンボなんて、とにかくスゲエじゃん?
ココで話はYOUNG GUITARの今月売り号に話は戻る。
雑誌の後半でMarshallの現行コンボモデルのデモンストレーションが特集されているのだ!
新発売のORIGIN、Mini Jubilee、DSL、CODE、MG…しかし、ホントに多彩になったな~。
コレらのモデルを試奏して頂いた。

660_0r4a8395弾き手はGRANRODEOのe-ZUKAさん。
いつも1959の三段積みを後ろにズラリと従えているe-ZUKAさん。



だが、この時はその正反対の小型コンボたちで大ったくして頂いた。
しかもe-ZUKAさん、首周辺をカスタマイズした自前のMarshallユニオンジャックTシャツをお召になられてのご登場!

S41a5117e-ZUKAさんがプレイしいる様子はYOUNG GUITARさんのウェブサイトで見れますからね~。
本誌⇔動画⇔Marshall Blog…何たる立体企画!
ロック・ファンも、ギター・ファンも、ロデオ・ボーイも、ロデオ・ガールも、Marshallファンも、コンボアンプ・ファンも、ゼヒ存分にお楽しみ頂きたいのであ~る!
 
動画はコチラ⇒マーシャル・コンボ・アンプ徹底試奏!

660_2ygc以下、Marshallの仕様などはYOUNG GUITAR本誌に詳しいので当記事内では触れませんことあしからず。
 

まずはMini Jubileeから。
Jubileeというのは1987年にMarshallの創立25周年を記念してリリースされたシリーズ。
25周年は「Silver Jubilee」…だから銀色なのね。
Mini Jubileeのラインナップは20Wのヘッドとコンボ。
コレらは25周年の時にはなかったモデルで、Marshallのスタック誕生50周年を記念して企画製作され、2015年に復刻されたSilver Jubileeに彩を添えた。

30真剣な面持ちで音を出してみるe-ZUKAさん。
このモデルを弾くのは初めてのことだ。

40チョコチョコっとEQを調節して…

50ニンマリ。
ウン、Jubileeがe-ZUKAさん好みの音だとは前から想像していた。
動画の1:34から1:40あたりのフレーズがタマらんね。
60続いてはリニューアルを施したDSLシリーズから…

70DSL20Cにトライ。

80e-ZUKAさんが普段GRANRODEOのステージで愛用しているMarshallはJCM2000シリーズの50Wヘッド、DSL50なのね。

90vなのでコレもシックリ。

100お次はついに7月25日に日本でも発売となった新シリーズORIGIN。

110まずは20WのORIGIN20C。
ムウゥゥゥ…1:16~1:28に注目。
今、自然発生的にこういうフレーズを繰り出すロック・ギタリストってe-ZUKAさんぐらいなんじゃないかしら?
指ならしに「Billie's Bounce」とか「Bright Size Life」とかバリバリ弾いてたからね。

120同じくORIGINから5WのORIGIN5。
ココはギターを持ち替えてシングルコイル・サウンドを当てはめてみた。
いい感じですな~。

130bムムム…「太陽から3番目の石」をグッと押しとどめた!
ORIGIN5だけはパワー管が他のモデルに搭載されている「EL34」とは異なり、弟分の「EL84」が採用されている。
よって、他のORIGINとは弾き心地もサウンドも違うイメージがあったんだけど、e-ZUKAさんが弾いている音を聴くとどうもそんなことはないね。

130v続いてMG。
「Gold」となってまた生まれ変わった。
昔はね、このシリーズはMarshallじゃなかったんだよ。
「Park by Marshall」というサブ・ブランド名義でラインナップされていた。
今回でどうも第6世代になったようだ。
徳川で言えば「家宜」だね。
徳川家宣の将軍在位期間は3年5か月と15将軍の中で3番目の短さだった。
即位後1年で大政奉還を実施し、徳川幕府の幕を引いた最後の将軍、慶喜。
5歳で即位した7代将軍家継(3年1か月)が第1位と2位。
しかし、家宜は猛烈に勉強熱心で、間部詮房(まなべあきふさ)や新井白石といった優れたな人材に恵まれ、「正徳の治」と呼ばれる善政を布いた、徳川将軍15人のうちでも最も優秀な部類に入る名将だった。
MGも先代のシルバーからまたゴールドに戻ってギター・アンプ界で善政を治めていってくれることだろう。

150試奏はMG15FXで。

160おなじみのMGトーン。
15Wのモデルは昔はG15CDRとかG15RCDとかいってたんだよな~。なつかしい。
「CD」はCDプレイヤーが接続できるということ。「R」はリバーブね。

170vそれが4つのチャンネルと各種エフェクター等、至れり尽くせりの仕様になって早9年!
「いいものをより安く」、「お値段以上」のJim Marshallの良心のようなシリーズだ。

180e-ZUKAさんの緩急自在な右手の動きが美しいんだよね~。
一見華やかに見える左手より、ギター演奏を見る分には右手の方が圧倒的に面白い。

210最後はMarshall初のモデリング・アンプ、CODE。
CODEとは「暗号」のことね。
なんでそんな名前なのかはコチラをご覧くだされ。

190そういえばe-ZUKAさんにもご出演頂いた2016年3月のMarshall GALAの時、日本で初めてその姿とサウンドを披露したんだけど、おかげさまでその後もよく売れています。

200しかし、e-ZUKAさんが弾き続けるフレーズがナント多彩で音楽的なことよ!
いろんな音楽を聴きこんでいることが瞬時にしてわかる。
こうしたヴァーサタイルな音楽性がGRANRODEOの曲のクォリティを思いっきり押し上げているのだ。

215vん~、ナチュラルでいい音だ~。

220最後にスピンオフでORIGINの50Wヘッド、ORIGIN50Hと1960Aを組み合わせて試奏して頂いた。

230コンボ・アンプにはコンボ・アンプの鳴り方というものがあって、それが魅力なのだが、やっぱりスタックもいいね。
もう実際にORIGIN50CもORIGIN50Hも実際のステージで使って素晴らしい働きをすることが実証されている。
復刻シリーズやMODE FOURのような特殊なケースを除いて、このORIGINは、Marshall史上初めて100Wモデルを含まないシリーズなんだよね。
ま、音量的にはコレで十分なんだけど、時代の変化を猛烈に感じるわ。

240vスタック派にとっては、やっぱりこの4x12"キャビネットが繰り出すサウンドの爽快感は何モノにも替えられない。
それはこのe-ZUKAさんの表情を見ればわか~る。

250e-ZUKAさん、YOUNG GUITARさん、ありがとうございました!
さぁ、まだYOUNG GUITARを買っていない人は書店へ急げ!…なんてのも古いか。
さぁ、まだYOUNG GUITARを買っていない人はポチれ!…ってか?
 
GRANRODEOの詳しい情報はコチラ⇒GRANRODEO Official Website

YOUNG GUITARのの詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

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200_3

 
(一部敬称略)