Marshall Blogに掲載されている写真並びに記事の転載・転用はご遠慮ください。
【マー索くん(Marshall Blog の索引)】
【姉妹ブログ】
【Marshall Official Web Site】
【CODE/GATEWAYの通信トラブルを解決するには】

« TAGAWAセカンド・アルバム『Wind』~レコ発演奏会千秋楽 | メイン | ワテは60からだす!!:中野重夫の還暦を祝う <その2>~私のお伊勢さま (前編) »

2016年8月30日 (火)

ワテは60からだす!!~中野重夫の還暦を祝う <その1>

今の若い人が聞いたら驚くかもしれないが、四十年ぐらい前、すなわち自分が十六、七歳の頃は、三十歳を超してロック・バンドをやっている人は奇異の目で見られるのが普通だった…というか、二十代で芽が出ないと、自ら身を引いて行った感じだった。
ロックというのはそういう音楽だった。
まだ、「男子は三十歳になる前に結婚するのが当たり前」と言われた時代だ。
今では三十歳なんてまったく若手だもんね~。
そうかと思うと十歳ぐらいでピロピロと大人顔負けのシュレッディングを披露するスーパー・キッズもそう珍しくなくなってきた。
一方、ベテラン組もかさむ年齢もなんのその、そこら中で「還暦祝い」のイベントが開催され、バリバリと現役で活動しているのはうれしいことだ。
私が若いころは還暦を迎えるロック・ミュージシャンは皆無だったんよ。誰もいなかったのだよ。
そしてまた、バリバリの現役のまま還暦を迎えた「ロックバカ」…イヤ失礼!…大ベテランを祝うイベントが開催された。
ギタリストの中野重夫である。
以下、「シゲさん」。
イベントのタイトルがいい…『ワテは60からだす!!』。
ケンタッキーのオジちゃんも六十60歳を超えてからニワトリを揚げ始めたっていうじゃんね。
「六十歳なんてまだまだこれから」ってことなんだな~。
さて!
今日はせっかくだからまずはじめに「還暦」の勉強をするぞ!
何で六十歳で祝うのか?…ま、こういうのは大抵深く掘り下げず、「ああ、長生きできて感謝、感謝」ということでまとまってしまうことが多いが、ご存知の方も多いと思うが、今日はちゃんとおさらいをしておこう。
「還暦」…「還」は「戻る」という意味。「暦」はもちろん「こよみ」だ。
「暦が戻る」とはどういうことかと言うと、まさに「暦が戻る」ということだ。
我々は干支(えと)についてはよく知っているでしょ?「ねー、うし、とら、うー…」と十二のメンバーで構成しているバンド…あ、バンドじゃないか。
日本の暦というのは、もうひとつ、「十干(じっかん)」というヤツを組み合わせて年を表すことになっているのね。
「十干」は『おれは鉄兵』のカバッチョ先生が担任している「戊組」でおなじみの「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」ね。
コチラのメンバーは十。
このふたつを合体させたものを干支(かんし)といいて、コレでその年を表現するワケ。
例えば今年は「丙」と「さる」がくっつく「丙申(ひのえさる)」の年。
来年はひとつずつズレて「丁酉(ひのととり)」。
再来年は「戊戌(つちのえいぬ)」
…と順繰りに組み合わさっていく。
するとその組み合わせってのにはズレが生じてくるでしょ?
方やメンバーが十。もう片方が十二なんだから。
こうしてすべての組み合わせを済ませて、元の干支(かんし)に戻るのに六十年かかるワケ。
コレはKing Crimsonの「Frame by Frame」でRobert FripとAdrian Belewが演ったのとまったく同じ現象だ。
だから今年還暦のシゲさんは昭和31年の「丙申」の年の生まれで、次に「丙申」の年がやってくるのは六十年後の2076年になる。
おもしろいネェ。
もうひとつ…還暦のお祝いには赤いチャンチャンコを着るじゃんね。
コレはナニか?
暦が一巡したことで、昔の人は「もう一度生まれたときに戻る」と仮想したワケ。
このあたりは以前、広規さんの還暦祝いコンサートの時にも触れた。
古来日本では赤い色は「魔除けの色」と考えられ、赤ちゃんの産着(うぶぎ)には赤が用いられた。
そこから、赤ちゃんに戻る還暦の時にもう一度赤いものを身につける風習になったとさ。
あ~、いい勉強になったね~。
…ということでシゲさんの還暦祝いのはじまり、はじまり~!

10v♪行くぜ松阪、東名に乗って、こりゃ腰がタマらんらん!
シゲさんは三重県は松阪の人だ…ってんで午後1時に用賀から高速に乗って一路伊勢の国へ!
実は車の運転あんまり好きじゃないのよ…。

Img_3246 着いた~!
東名高速を休み休みで約6時間。
一緒に行った家内の助けもあって、そんなに辛くなくて助かった。
実はシゲさんのところへ来るのはコレが三回目でしてね。
最初はシゲさんのお父さんのお葬式だった。
そんなことで去年ウチの父が死んだ時にもワザワザお線香を上げに東京まで来てくれた。
二回目は、当時シゲさんがDJをやっていたFM三重(後にFM愛知)のラジオ番組『中野重夫のキープオンロッキン!』にゲスト出演させてもらった時だ。
考えてみるとシゲさんの番組には、都合3回出演させてもらってるんだよね。
で、なんで下の写真の場所が目的地なのかって?

20_2シゲさんの本業はギターなんだけど、それよりチョット趣味がかって長年取り組んでいるのが「タイヤ屋さんの社長さん」というパフォーマンスなのだ。
普段は「有限会社中野タイヤの社長」という役回りを演じている。
そして、今年でめでたく十万六十歳。
悪魔じゃないないって!
40
EAGLE SHOPというGOODYEARの正規代理店で、お店からほど近い鈴鹿サーキットにも納品している。F1の仕事をしているというワケ。
30
何でも過去には売り上げが好調でGOODYEARから表彰されたこともあるそうだ。
それがサ、私はそのGOODYEARの代理店の総会というのにお邪魔したことがあったのよ。
余興の部で、Marshallを使ってギターを弾くというので面白そうだから遊びに行った。
コッチはジミヘンのシゲさんしか知らないじゃない?ところが、そこではシゲさんは「中野社長」って呼ばれているのよ。
ま、当たり前なんだけど、最初、誰のことかと思ったらシゲさんのことでビビった。
「それでは、三重の中野タイヤの中野社長によるギター演奏です!」と紹介されてVintage Modernのコンボでバッチリとキメてくれた。
80

店内のようす。

501年前にリニューアルを済ませたばかり。

60明るくて、清潔でとても感じのいいお店だ。

70遊び心豊かなシゲさんらしくこんなものも置いてあった…ってシゲさんが自分で遊んでんだよ。
好きな人が集まってコレを使ってイベントを開催してるんだって。

90もちろんこんな公私混同アイテムも!
売りものではありません。
以前来た時にはギターが置いてあったっけ。

100もちろん本職もバッチリ!

120あ~、ウチも来年の車検はタイヤがヤバそうだな~。

130もちろん季節の変わり目は寝る間もないぐらい忙しくなる。
最近は雪の量が信じられないぐらい少なくなって、タイヤの履き替え需要も激減しているそうだ。

140中野タイヤの詳しい情報はコチラ⇒中野タイヤ公式ウェブサイト

「マーシャル・ブログを見た」とお店で伝えてもオマケはありません。

150さて、コチラは松坂駅。

160とりあえず駅前に人はいない。

170あ~、ココ、前回シゲさんと夜中まで飲んだ店だわ。

180松阪といえば「松阪牛」。
何せ焼肉屋が多い!
その中でもとりわけ有名なのは、回転焼肉でおなじみの「一升びん」だろう。
何軒あるのかは知らないが、やたらとどこでも目に付く。

190v最初、「回転焼肉」っていうから、てっきり焼き網が回っているのかと思ったよ。
あの中華料理のテーブルのイメージね。
そしたら回転寿司みたいにネタが回ってくるっていうじゃんね。驚いちゃったよ。
でも、どうもそっちの方が普通の考え方だとか…。
しかし、ナンダって「一升びん」なんて名前をつけたんだろう?

200で、到着した晩、シゲさんとのディナーは一升びんには行かず、名古屋グランパス御用達のこのお店に連れて行って頂いた。

210コレがまたスゴイ店で、中に入るとドバ―っとだだっ広く、ビジュアル系のライブもビックリのスモーク状態!
前回ウチの社長と行ったっきりで焼肉も久しぶりだったもんだから、お腹がパンパンになるほど詰め込んだ!
メッチャおいしかった~!

220さて、還暦記念コンサートの会場は老舗ライブハウスのM'AXA。

230前を通ったことはあったんだけど、中に入るのは今回が初めて。

240国道42号線に面した外壁にもバッチリとサイン・ボードが!
「キングオブジミヘン」ってのがスゴイね!

250

260

265_1お店の入口。
「剛」さんというのはココのボス、中山剛さんのこと。

270実は「M'AXA」というのはシゲさんが付けた名前なのだ。
…といっても、「AMAKUSA(あまくさ)」という前のお店の看板から「A」が落ちて「MAKUSA(まくさ)」になっていたところから名付けたということなんだけどね。
いい名前だ!

275v広いし、雰囲気はバツグンだし…こんなお店が東京にあったらいいのにな~。

280アメリカ映画に出て来る、それこそ国道沿いの生バンドが出ているパブみたいな感じ。
イメージは『ブルース・ブラザーズ』のアレ。

290お、中野タイヤから飛んできた!

M'AXAの詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト

300一方楽屋では…。

301_1シゲさんの還暦を祝うために昔からの仲間が大集合。
もう始まる前から大騒ぎ!

302ベーシスト三人衆。
ちなみに今日の主役はギタリストなので、ギター弾きのゲストはほとんどなし。

303本番前の記念写真!

304 ステージのようす。

310自慢のSUPER100JHの壁+1959。

320シゲさんの愛器だち。

330足元のようす。
今日はジミヘン仕様ではない。

340下手にはノエル本多のMAJOR1978のハーフ・スタック。

350vドラムはNATALのバーチ。

360フィニッシュはサンバースト・フェイド。

370vシゲさんからのご祝儀。
来場のお客さんに配られたトート・バッグと…

386記念Tシャツ。

387ところでさっきから何回もお目見えしているこのデザイン。
メッチャよくない?
後にドラマーで登場する堀与作さんの手によるものだ。

285

そして、いよいよコンサートが始まった!
本日の主役がシレっと登場。
え、客席からッ?! 
おそるべきリラックス・ムード!
シゲさんらしいわ~。
410

ここでMCが登場。

3_img_0072 ACEさん(左)と剛さん。

400

ACEさんは野獣のボーカル。剛さんは前掲のM'AXAのボス。
お互いに長い過去を知りつくしているだけに、完璧なコンビネーションだ。

420
それじゃ早速イってみよ~!

430
トップ・バッターはBlue Wild Angels。

440ボーカルは濱哲哉。
現在はTribal Soulというバンドで活躍中だ。

450vベースは寺田章。

460vドラムは板倉淳。

470v冒頭は「C'mon Everybody」で元気にスタート!

480vBlue Wild Angelsは2012年ごろシゲさんがよく大阪に出向いて活動を展開していた時のバンドだから比較的最近のプロジェクト。
松阪から大阪っては「阪」でつながっているんだか、存外に近く、車で片道1時間もあれば行き来ができるのだそうだ。

500
ところで今かけているシゲさんのサングラス。
還暦祝いのプレゼント…Marshall Eyewearなのだ!

485もちろんモデルはJIMIだ!

490Marshallウォールを背中にゴキゲンなおじいちゃん。
この姿をもう何度も見てきたが、今日は特にシゲさんが映えるナァ。
赤ちゃんに戻ってるからナァ。
ちゃ~んと赤いものを身につけてる。

600_2「C'mon Everybody」は元は1958年のエディ・コクランのヒット曲…シゲさんが2歳の時だ。
皆さん大好きMichael ShchenkerのあのUFOは、1970年にこの曲を再ヒットさせた。

610続いてはRick Derringerの「Rock and Roll Hoochie Koo」。
先に挙げたシゲさんのラジオ番組のオープニングにはEdgar Winterの「Frankenshtine」が使われていた。
すごくアメリカンなんだよね、シゲさんって。
650v
ロック史に残る名曲をド迫力で熱唱する濱さん。
Rick Deringerってこの曲が収録されている『All American Boy』とか『Spring Fever』とか『Derringer』とか結構いい仕事してるんだよね。
ギターもウマいし。

620じゅんぺーさん、Marshall Blog久しぶりのご登場!
相変わらずキレのよいドラミングでオープニングを盛り上がる。

630v「ナンで脱ぐねん!!」と同じく大阪から来た巨体ベーシストから野次が飛んだ寺田さん!
ノリノリなのだ!

640v関西のハード・ロック・シーンを代表するベテラン・シンガーとシゲさんのイキもピッタリ!

660エネルギッシュにオープニングを飾り上げたシゲさんなのであった!

670転換中はMCのふたりの楽しいおしゃべり。
シゲさんとの思い出やM'AXAの歴史などが話題に選ばれた。

390

二番手はJimi Bruce Band。
Marshall Blogには二回目の登場。前回は、今年も出演が予定されている米軍横田基地の『友好祭』のレポートだった。

685ベースはYoko Lee。
カッチョいい~!

690vドラムはズーミー・ブッシュ。

700Vに持ち換えたシゲさん。

710vナゼか曲は「Apache」。
790

私は通りいっぺんのことしか知らないんだけど、シゲさんって私と6つしか違わないのにヴェンチャーズ強いんだよね~。
ジミヘンだけじゃないの。
770
六つ違いでリアルタイムなワケないので、そのワケを訊いてみると、昔となりに住んでいた十歳ぐらい年上のあんちゃんの影響なのだそうだ。
それなら納得。

730vシゲさんだけじゃなく、リズム隊も完璧な演奏。

740カナダでも人気あったんだろうね、ヴェンチャーズ。

750Jimi Bruce Bandは年配のファンが多く、ヴェンチャーズのリクエストをよく受けるため仕込んだのだそうだ。
そのおかげでオヒネリをもらったこともあったとか!
800
マァ、色んなことをやるシゲさんだけど、Jimi Bruce Bandは今最も力を注いでいるバンドといえよう。
何しろ既に2回もアメリカで演奏しているのだ!
最初は2年前の横田基地。あの中はアメリカだから…。
そして、今月初めにはグァムで演奏してきた。

760v「Apache」は例外で、Jimi Bruce Bandはバッチリとオリジナル曲を演奏している。

3_img_0130 2曲目はZoomyのボーカルでオリジナルのハードロック・ナンバー、「Strawberry Jam」をプレイ。

780vJimi Bruce Bandの意外に早い出番にはチト驚いたが、盛り上がり度は最高!

720

昔からの仲間同士でMCもにぎやかなことこの上ない。

810vさて、場面はガラっと変わって三番手に登場したのは「サーモンとフランクフルト」というデュオ・チーム。

820vボーカルはシゲさんのお店の店長を務める津村佳嗣。
自身、ギターも演奏する音楽愛好家だが、今日は歌での参加。
歌がうまいのでシゲさんに引っ張り出されたというワケ。

840

曲はシットリと「Sound of Silence」。
津村さんは心をこめて熱唱。静かに社長の還暦を祝った。

850vハモリをつけるシゲさん。
こんなのはじめて見た!

860v

この後、シゲさんにゆかりのある方々がドバ―っと出て来るのでお楽しみに!

中野重夫の詳しい情報はコチラ⇒facebook

265_2

1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square

★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

<つづく>

(一部敬称略 2016年7月1日 松阪M'AXAにて撮影)