【号外エッセイ】 CANTAにて~二十歳の原点
昨日はCANTAの春のツアーの初日。赤坂BLITZへお邪魔してきた。
折しもTBSの季節の看板生特番、『ナントカ感謝祭』と重なって赤坂サカスはすごい人だった。
昨日はおもしろかったナァ~。ルークさんが猛烈にキレッキレで、最高のCANTAを見せてくれた。
外で芸能人がアゴを上げて走ろうが何をしようが、昨日のCANTAの演奏には到底かなうまい。
もちろん、後日Marshall Blogでレポートをさせて頂くので乞うご期待。
さて、ファンの方々が持つトレンドというのはバンドごとに異なるのが当たり前で、CANTAの場合、皆さんが私にまで気軽にお声をかけてくれる傾向がある…ということは以前にも触れた。
「Marshall Blog見てますよ!」
「記事が楽しみです!」
「体脂肪率、高すぎませんか?」
「耳毛が長いですね!」
…とかいう類のヤツね。
マ、後のふたつは冗談だけど、声をかけてくれるのはすごくうれしいし、Marshall Blogに関するお褒めの言葉を頂戴すれば、それがとても大きな励みになってヤル気にもつながってくる。
昨日も多くの方にお声をかけて頂いた。
だからCANTAファンは好きだ。
特に皆さん、ありがたくもMarshall GALAにお出かけ頂いていて、「とても楽しかった!」とか「次回も絶対に行きます!」と笑顔でうれしいご感想を添えて頂いた。
この笑顔が最高にたうれしい。
しかも、すでにレポートしているようにルークさんのチームはメチャクチャ盛り上がったからね!
お声をかけて頂いた中で、おひとり、20歳の女性からこんなお話しを頂戴した。
その方はもちろんルークさんのファンだからして、BLITZにもおいでになっているワケだし、キネマにもお越し頂いたワケ。
「Marshall GALAは本当に楽しかった!」という感想に続けて、こうおっしゃったのだ…
「ルークさんはもちろん最高でしたが、あれだけいろんなタイプの音楽が聴けてすごく面白かった」
この時点でかなりうれしいわね。
そして、ルークさんのチーム以外に「とても感動したグループがあった」とおっしゃる。
あれだけギター三昧のコンサートだ。
音楽離れが著しい世代の若い女性がお目当てのバンド以外に一体何に感銘を受けたのだろうと思い、尋ねてみると…
「稲葉囃子がものすごくカッコよかったんです!」
…と我が耳を疑うような答えが飛び出してきたのだ。
そりゃ、我々の世代のリスナーにとってはカッコいいにキマっている。
何しろ四人囃子の音楽なんだから!
ところが、「一触即発」も「なすのちゃわんやき」も今から40年も前の音楽、彼女にとっては自分が生まれる20年も前の音楽だ。
しかし、現在のロックを聴く年代の人がそれらの音楽に魅力を感じるということが証明されたのだ。
「そうこなくちゃ!」…こっちが彼女の言葉に感動した。
いい音楽はやっぱり世代を超えるんだ。
そして、Marshall GALAの目的のひとつが達成されたような気がした。
大きなお世話なのは百も承知だが、ロックも歌謡曲も知らない今の若者たちが不憫でならない。
大人は「売上げ至上主義」でヒドイことばかりする。
つまり、いつもMarshall Blogに書いているように、若い人たちはいいモノを知らされていないだけなのだ。
そのお客さんは稲葉囃子から四人囃子を知って、「プログレッシブ・ロック」というキーワードを得るかもしれない。
その分野の音楽に興味を持って、YesやKing Crimsonに感銘を受けるかも知れない。
すると、「ロックはイギリスなのね?」とブリティッシュ・ロック全般に興味が広がるかも知れない。
今、ビートルズといえば名前しか聞いたことがないけど、このことがキッカケで全213曲を聴くことになるかも知れない。
ハード・ロックにも興味が拡大してLed ZeppelinやDeep Purpleだって好きになっちゃうかも知れない。
反対にテレビで流れているようなロックだけだったら、どうなる?
「ありがとう」と「がんばれ」だけで終わっちゃう。ま、彼女にはCANTAが付いているのでその心配はないが…。
かたやビートルズやLed Zeppelin、かたやどこを切っても「ありがとう」か「負けないで」…人生どっちが豊かになるか考えなくてもわかる。
「古いモノがいい」ということでは決してなくて、「いいモノはいい」ということだ。私の持論ではロックのいいものは1975年までですべて出そろってしまっている。
でもね、我々の時代でもBay City Rollersしか聴かない子は他のモノを絶対に聴かなかった。それもわかってんの。
興味を持つ子は貪欲にいろんな音楽を聴くし、そうでない子は与えられた流行りのものだけで大人しくしている。後者が経済を支えていることも十分にわかってる。
ただ、今、色々な意味であまりにも音楽文化が衰退している風潮が見て取れるので、本気で「温故知新」を考えてみたらどうか?と【号外】を利用して提案しているワケ。
彼女にとってはMarshall GALAを起点のひとつとして素敵な音楽人生を送ってもらいたいと思う。
これがホントの『二十歳の原点』…なんちゃって。
お後がよろしいようで…。
若者よ!
ちゃんとお金を出していい音楽を聴こうではないか!
君たちはまだ何も知らされてはいない。何も知らない。
そして、知らなくていいことばかり教えられている。
いい音楽は、かけがえのない人生の宝物になるぞ!
しかし、これからビートルズやLed ZeppelinやYesを知るなんて、うらやましいよな~。