Sound Experience 15 <前編>~DAMIEN♡REGANとVoodoo Butterfly
三宅庸介のStrange, Beautiful & Loudが、毎回対バンやゲストを迎えてシリーズで展開している企画『Sound Experience』。
今回の対バンは、記事のタイトルにあるDAMIEN♡REGANとVoodoo Butterfly。
常々Marshall Blogはこのシリーズのもようをレポートしてきたが、その15回目はとてもゴージャスなものになった。
チョット開演前の楽屋をのぞいてみよう…。
赤尾和重、今井芳継…キラ星のごとく集まった超ベテラン&腕利きの顔触れ。でも、かなりのリラックス・ムード…。
コレはいいコンサートになりそうだ!
会場は満員!
あ、ちなみに「キラ星のごとく」は「キラボシ」じゃないからね。「キ」にアクセントをつけて「キラ 星のごとく」と「キラ」と「星」の間に間を入れて読んでくださいね。
トップバッターはYoshitsugu Imai's Voodoo Butterfly。
今回もア・カペラのギター・ソロで演奏は始まった。
ギターは今井芳継。
Voodoo Butterflyは2013年7月の『Sound Experience 8』以来の登場だ。
今回のベースは関“ANI-Katsu”勝美。岡垣さんのプロジェクトでMarshall Blogには何度もご登場頂いている。
ドラムはSHOWという布陣。
ちょっと機材のトラブルに見舞われてしまったが、そういう時こそプロの真価が発揮される。
平然と弾き続けた挙句、うまく次へつなげたあたりはさすが!
今井さんももちろんMarshallプレイヤー。
今回はJVM410Hと1960Aを使用した。
独自の言葉を持つ今井さんのギターをタップリとフィーチュアした、ワン&オンリーのインスト・ロックだ。
その今井ミュージックをガッチリと支えるリズム隊。でも、前回と大分音の雰囲気が異なる。
ベースが替わったからだ。
これほどサウンドが変わるとは!昨日も書いたけど、ベースがバンドに果たす役割たるや甚大なものなのだ。
ココはさすが百戦錬磨のANI-Katsuさん。実にうまく曲を料理していた。
控えめながら緻密なプレイでバンドのサウンドを分厚くするMAMIさん。
名手SHOWさんのダイナミックにして抒情的なドラミングがまたこのバンドにベストマッチする!
技術や精神力を高め、「楽器を演奏する」ことで自分を表現するインスト・ロックってのはやっぱりいいナァ。
最近、富みに巷間の音楽の幅が狭まっているように感じる。
音楽もビジネスだから、「売れる」、「売れない」を基準にすることは一向に構わないのだが、以前は「売れない」あるいは「売れそうにない」、もっと言えば「売れるワケがない」ようなタイプの音楽にもスポットライトが当てられていたような雰囲気があった。
最近はジャンルを問わず、どこをどう切っても同じものしか出て来ないような状況に陥っているように見える。それぞれぜ~んぶ同じ。
コレはもっぱら作る側の仕業のように今まで思っていたが、最近ではむしろ聴き手側の「音楽を聴く」能力があまりにも衰退してしまったことが原因でそうなっているように思えてきた。
もちろん作る側が面白いものを与えないということもあるので、結局は「コロンブスの卵」なのだが。
政治もそうだけど、与えられる側がもっと勉強しないと…。
この日の出し物は、このVoodoo Butterflyをはじめ、もっと多くの一般の人に興味を持ってもらいたい音楽の見本市だった。
今井芳継Voodoo Butterflyの詳しい情報はコチラ⇒Voodoo Butterfly
向かって左が今井さんが使っていたJVMのハーフ・スタック。
次のバンドももちろんMarshall。今度は向かって右側のMarshallの持ち主が登場する。
ステージに上がったのはDAMIEN♡REGAN…「ダミアン・リーガン」と読む。
「Damian」は『オーメン』のあの僕ちゃん。
「Regan(リーガン)」は映画『エクソシスト』でリンダ・ブレアが演じた主人公の名前。Regan Theresa MacNeilという役どころだ。
いかにもCazさんらしいバンド名。
せっかくだから「リーガン」を肴に少し脱線。
この『エクソシスト』、日本では1974年の公開された。私が小学6年生の時かな?
テレビや新聞で「失神の観客続出!」なんて大騒ぎしていた。
私は公開から1年後ぐらいに観たけど何てことなかったな…。あのコックリさんのところはチョット気持ち悪かったけど。
でも、子供ながらにリンダ・ブレアってスゴイ演技をするな…とは思った。よくある話だが、リンダ・ブレアはリーガンのイメージが強すぎたのかどうか、後にお色気路線に移行して、『チェーン・ヒート』なるB級女囚映画に出ていたが、きれいにフェイド・アウトしたな…イヤ、私が知っている限りね。
で、このリーガンの役、ナント、プロデューサーがジェイミー・リー・カーティスにオーディションを受けるように申し入れたらしい。
ジェイミーはシュワルツネッガーの奥さんの役で『トゥルー・ライズ』に主演した女優さん。簡単に言えばトニー・カーティスのお嬢さん。
マーブロ的に言えば、Spinal Tapのナイジェル・タフネル(Christopher Guest)の奥さん。
1958年の生まれというから、撮影時には持って来いの年齢だったのだろう。残念ながらお母さんがキッパリと断った。
さらに、当時7~8歳だったブルック・シールズにも白羽の矢を立てたが、監督のウィリアム・フリードキンが若すぎるとして却下。
スゴイのになると、キャリー・フィッシャーとデビー・レイノルズもセットでレーガン母娘の役を狙っていたとか…。
キャリー・フィッシャーは『スター・ウォーズ』のレーア姫。
マーブロ的に言えば『ブルース・ブラザーズ』で機関銃を持ってジョン・ベルーシを追いかけまわす謎の元恋人を演じた人。
デビー・レイノルズはその実母で、映画『雨に唄えば』でキャシーの役を演じた人。有名な「♪グ~ッドモーニン、グッモーニン」の人ね。
…ということとは無関係にDAMIEN♡REGANのすさまじい演奏が始まった!
そして、ギターは島紀史!
コレはヤケクソにすごい&おもしろい組み合わせ!
もちろん大分前からこの顔合わせでステージに上がるということを聞いていたのだが、ナニを演奏するのかは知らなかった。
イヤ、ワザ訊かないで楽しみに取っておいた。
Cazさんとノンちゃんの組み合わせだから問答無用にRaibowがらみの曲でも並べて来るのかと思ったらさにあらず!
Nuovo Immigratoのリズム隊に、ギターがノンちゃんのKruberablinkaといった風情。
コレがまたよき哉…ってんでオープニングは「海図」。
Kruberablinkaのセカンド・アルバムのタイトル・チューンだ。
ク~、またノンちゃんのMAJORの音がタマらんのう!
ナンの、ナンの、Cazさんの声もMarshallだからね~。
常識を超えた音圧感!
Marshallプレイヤーがふたりいるも同然。
…なんてものではなく、竜さんも根っからのMarshallプレイヤーだからね。素晴らしいMarshallプレイヤーが三人よ。
ドラムはNuovo Immigratoの盟友、下田さんだからね、もうツーカーもいいところ!
ヘヴィなスロー・シャッフル。
ブっ速い曲ばかりでなく、ノンちゃんのギターはこういう曲に実にうまくマッチする。
ここでもノンちゃんの入魂のプレイが光る。
CONCERTO MOON以外の場で聴くノンちゃんのギターも大きな楽しみのひとつだ。プレイの雰囲気は変わってもMarshallサウンドだけは変わらんよ!それでいいのだ!
しかし、目の前の空間に声を練り込んでいくようなCazさんの歌がスゴイ!
フト気が付くと、身じろぎもせずにCazさんの声にもたれかかっている自分がいるのだ。
つづいてもバラード。セカンド・アルバムのクロージングだった「野ばら達へ」。
バラードでは抜群の深みを発揮する縦横無尽なリズム隊。
ディミニッシュの使い方のドッキリと「♪宇宙はOK」という意外な歌詞でやられてしまう。
エモーショナルまノンちゃんのソロ!CONCERTO MOONには今ない曲調だからね。コレは聴きものだったよ!
Cazさんの歌が最高にPunchyな「火の玉が海を渡りきる」。
この声!「ソウル歌手」を気取って黒人の猿マネをしているそんじょそこらのカボソイ歌い手よりもよっぽどソウルフルだ。何せCazさんのノドには1959のフル・スタックが入ってるんだから。
ノドにはMarshallが収まってる…で、さっきから左手に収まっているものといえば…そう籐のお財布。やっぱり貴重品は身につけてないと!
…なワケはなくて、コレは「カシシ」というブラジルの打楽器(和重さん情報)。
この小さな籠の中に大豆だかなんだかの豆を入れて振って奏でる一種のシェイカーとかマラカスのようなものだ。
NATALでも作ってるんだよ(和重さん情報)。
そして、曲はブラジルつながりでMilton Nascimentoの「Courage」。
こういう曲を選ぶところがCazさんらしい。
いつかカッワーリーにも挑戦して頂きたい。
そして、最後は『BLANKO』から「スゴイダンス」というスゴイ演奏!
Kruberablinkaは大阪を根城にしているだけになかなか東京に来てくれないからね。
「衛星クルベラ」としてこのメンツで時折Cazさんの声を聴かせてくれればうれしんだけどな…。
…と気合の入りまくった演奏で悪魔祓いを終えたDAMIEN♡REGANなのであった。
赤尾和重の詳しい情報はコチラ⇒Kazue Akao.com
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(一部敬称略 2015年3月30日 三軒茶屋Grapefruit Moonにて撮影)