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2023年9月 8日 (金)

STUDIOシリーズの新しい仲間~今度はJTMだ!

 
ココはMarshall Blogに何度も登場しているイギリスのMarshall本社の「Marshall博物館」。10日本ではついぞお目にかかることができないアイテムがゴロゴロしている。
Marshallは昔からこうした展示室を設置していたが、正直さほど熱心に取り組んでいた感じはしかった。
それが、ある時から自分たちの過去の遺産を積極的に回収し始め、そのコレクションの幅は日々拡大している。
やっぱり本国だから日本に入って来なかったような珍しいアイテムが掘り出されてくるワケ。20その中にあってひと際目を惹こうとしているのがコレ。30Marshallが作った最初のアンプ、JTM45。
Marshallはココから始まった。40このシリアル・ナンバー「1」のJTM45はジムの手をひとたび離れてしまったが、ヒョンなことからMarshallに舞い戻ってきて、長い間リファレンス機として活躍して来た。
つまりJTM45は「Marshallサウンドの原点の原点」なのだ。50そのモデル名の「JTM」は、「Jim」の「J」、ジムの息子の「Terry」の「T」、「Marshall」の「M」を並べたもの。
「45」は設計時に目標としたアンプの出力数だった。
Marshall親子はアンプの製造に乗り出す前、「J. & T. Marshall LTD.」という楽器商を始め、西ロンドンの「Uxbridge(アクスブリッジ)」というところに小売店を開業し、その2号店でギター・アンプの製造をスタートさせた。
この辺りのことに興味がある方はコチラをどうぞ。
  ↓   ↓   ↓
①【イギリス‐ロック名所めぐり vol.1】 マーシャルの生まれ故郷<前編>
②【イギリス‐ロック名所めぐり vol.2】 マーシャルの生まれ故郷<後編>

43 下は2号店を開店した後の店の広告。
最良の販売体制とアフターサービスに裏打ちされ、モダンなミュージシャンのためにイギリス最大の楽器とアンプの在庫を誇る店」と謳っているが、Marshallアンプのことには全く触れていないところを見るとJTM45を発売する前の広告だろうか?
サポートをしているミュージシャンの1人として「ブライアン・プールとザ・トレメローズ」の名前がデカデカとフィーチュアされている。
ビートルズに勝った男」として知られるブライアン・プールは今年78歳でご健在。
数年前にMarshall Blogの取材でメールのやり取りをしたことがあったが、とても紳士的で親切な方だった。
Eden Kane(イーデン・ケイン)というのはビートルズが登場する前、1960年代初頭のイギリスのアイドル歌手。
その下にズラリと並んでいるのは当時イギリスで活躍していたミュージシャン。
スクリーミング・ロード・サッチとかロング・ジョン・ボールドリー等の名前が並び、最後に「THE WHO」の名前が出ていて、「(DETOURS)」と補足しているところが「時代」だな。
DETOURSはTHE WHOの前身のバンド。Jtmadその「J. & T. Marshall」の店舗の写真。93そして、下のオジさんが「T」のテリー・マーシャル。
テリーはプロのジャズ・サキソフォニストでソーホーの「ロニー・スコッツ」にも出演していた。
きっとタビー・ヘイズやゴードン・ベック、ジョン・サーマンやリック・レアード等のイギリス・ジャズのジャイアンツと友達なんだろうな。
一時期は毎年フランクフルトの展示会でご一緒させて頂いて私もとても可愛がってもらった。
世界中のディストリビューターが集まる大きなパーティでMarshallのデモ・バンドとよくセッションをしていた。
よく「哀しみの恋人達('Cause We've Ended as Lovers)」なんかをサックスで演っていたっけ。
さて、「Marshallアンプの誕生」というと、たいていジム・マーシャルとケン・ブラン、そして詳しい人になるとダッドリー・クレイヴンの名前が出てくるが、アンプの開発に関してはどうもテリーが大変に大きなカギを握っていたような感じがしている。
というのは、JTM45がTHE WHOのピート・タウンゼンドが理想とするアンプのアイデアを下地に開発されたことはよく知られているが、そのリクエストを聞き入れたのは他でもないテリーなのだ。
ジムはキャビネットづくりに専念していたし、ケンとダッドリーは技術屋なので「楽器としてのアンプ」に精通していたワケではなかった。
同じミュージシャンとして、しかし、非ギタリストという客観的な立場で「Marshall初のアンプ」のアイデアをまとめたのがテリーだった。60vこのあたりのことは『アンプ大名鑑[Marshall編](スペースシャワーブックス刊)』に出ているので興味のある方はどうぞ。
この本、今アマゾンで結構なお値段がついているのね。
ということは全部売れたのか…ヨカッタ、ヨカッタ。
この本を監修するのには本当に苦労したからね。
詳しくはコチラ
 ↓ ↓ ↓
①新しいMarshallの本!~The History of Marshall The First Fifty Years
②【後日譚】 『アンプ大名鑑 [Marshall編]』のこと~あらためましてのありがとう!~
65v_bさて、Marshallのアンプ・ヘッドのデザインというと1959か2203に代表されるアレを思い浮かべる人が多いでしょう。
いいんです、それで。
ストラトキャスターにしてもレスポールにしてもズッと同じデザインでしょ?
1959が発表されたのは1965年。
それから58年の月日が流れ、間に2度ほど大きな変化があったにしてもズッと同じデザイン。
車だったら到底考えられない。
でもデザインを変える必要がナニもない!
その中にあって、JTM45はコロコロをそのルックスを変えた稀有なモデルなのだ。
1962年の出発点はコレ。
下は上のシャシがキャビネットに組み込まれた最初の「JTM45」。
フェンダーのBassmanを手本にしたとか、Piggybackがどうとかはココではもういいでしょう。
キャビネットの中でシャシが向かって向かって右側に寄せて取り付けてあるので「Offset(オフセット=偏り)」と呼ばれた。
以下、「※」のついている写真は山口県の「Marshall Museum Japan」所蔵品を現地で撮影したものです。

601962~1963年にかけてもう「ホワイト・フロント」と呼ばれるルックスを変えてしまった。
ケン・ブランがかつて所有していたこのタイプのJTM45はリッチー・ブラックモアがリファレンス機として愛用し、ケンはそのサウンドを「Marshallサウンド」づくりの参考にしていたそうだ。

80このタイプのJTM45はもちろんMarshallの博物館にも展示されている。901963年にはこうなった。
通称「サンドイッチ・フロント」。
100ブロック・ロゴにシルバー・パネルのJTM45は1963年あたりにも存在したが、1964~1965年に製造された。

130そして1965年になるとスクリプト・ロゴを搭載したおなじみのデザインとなる。
ココで類人猿から現在の人類にたどり着いた感じ?
150こうしてたった3年の間に何度もその姿を変えたのがJTM45。
そして現在でもMarshallは「JTM45 2245」として製造され続けている。165下はMarshallの博物館に収蔵されているJTM45 Offsetのスタック。
すごくキレイだけど、ホンモノなの。
JTM45もレアだけど、実はこの写真もかなりレアなんよ…というのは昔のMarshallの博物館で撮った写真なのだ。
今のMarshallの本社の人たちはほとんど知らないと思う。
私、Marshallに関わり出して今年で25年経つんですよ。
右端にシンバルが見えるでしょう?
コレ、Iron Maidenのニコ・マクブレインのドラム・キット。
ナゼか真ん中にドカンと飾ってあった。
とても懐かしい。70このOffsetのJTM45のスタックは1999年に当時のアメリカのディストリビューターの発案で300セットほどリイシュー生産されたことがあった。
コレ、日本に入れるのに結構苦労したんですよ。170vギターのボリュームの目盛りごとにサウンドが変化するような本当に素晴らしいアンプだった。
製造に当たっては、フレットクロスを張るのが大変で、当時Marshallは「もう二度とゴメンです!」と言っていた。
180さて、JTMの復刻第3弾と言っていいのかどうかはわからないが、世界的に大ヒットしているSTUDIOシリーズの新しい仲間は「JTM」となった。190上で紹介した通り、JTM45にはいくつかのデザインが存在したが、今回は3代目の「サンドイッチ・フロント」のデザインを採用。
最初のJTMは50周年の時の小型モデルでやったからね。
100それでは今回リリースされたモデルをひとつずつ詳しく見ていきましょう。
まずはヘッド。
 
<ST20H>200いいね~、このルックス。
箱から取り出した途端に部屋の雰囲気が変わるんよ。
そこでハタと思いついたのが、高級アンティーク家具。
家具って部屋の雰囲気をガラリと変えるでしょ?…まさにアレ。220ツルツルしているカバリングは下の写真のMarshall博物館にある1964年に製造されたサンドイッチ・フロントを参照にして発注された。Jtm_mm 当然60年前と全く同じ素材で復元することは不可能なので、今回はキャビネットの木材にピタリとキレイに張り付くようにオリジナルより若干厚手の素材を採用した。
ウン、キレイにひっついてる。
ハンドルの留め具はシルバー。
290細かい彫金が美しいコフィンロゴ。240コントロールは2つのボリュームと通常のEQ。
250今、「ボリューム」という言葉を使ったが、実際には「LOUDNESS」という表記になっている。
当時、このサンドイッチ・フロントのJTMから「LOUDNESS」という言葉が適用されるようになった。
だからJTM45直系の「2245」やJTM50が進化して生まれた「1987」のパネルには「LOUDNESS」という言葉が使われている。
一方、JTM45の後に発表した「1959」は「VOLUME」と表記されている。
それとこのコントロール・ノブ。
ポツンと穴が開いているでしょう?
コレはオリジナルになかった仕様。
もちろんノブがどこを指しているを見やすくするため。
実際、上で紹介したOffsetのノブはオリジナル通りでこのような穴が開いていなかったので、正直チト不便だった。
その点、今回のはいい感じ。
260出力はSTUDIOシリーズの他のモデル同様の20W。
スタンバイ・スイッチを切り替えることによって5Wになる特長も引き継いでいる。
でもね、JTM45の出力って30Wだったのね。
だから今回20Wアンプとして生まれ変わるのは、出力的には1959や2203ほどの変化ではないのですわ。
それでも真空管アンプの特長である音の押し出し感はスゴイですよ。
とにかく音が美しい!
もうコレに尽きる。
270インプットは伝統の4穴。
構造は「ハイ・トレブル」のハイとローと、「ノーマル」のハイとローのいつものヤツ。280もちろん「ジャンプ」も可能。
あ、今まで「リンク」って言っていたけどヤメます。
Marshallが「jump」と呼んでいるのでそれに倣うことにします。
でもネ、もうジャンプなんてしなくていい。
ストラトでもレスポールでも「ハイトレブル」の「1」に直につないて、LOUDNESS1をフルテンにすれば万事OK!
芳醇な深めのクランチサウンドを堪能したらギターのボリュームを下げてみな。
何て美しく、深みのあるクリーン・トーンなんだろう!
ク~、タマらん。
ギターやっててヨカッタ!

S41a0002 ビーディングはチョット濃い目の茶色。300v今回採用したフレット・クロス(後出)は全く伸縮しないので、このカーブした部分をキレイに仕上げるがとてもムズカシかったそうだ。310vリア・パネルのようす。320おなじみのスピーカー・アウトプット。330オン/オフが可能なセンド&リターンとDIアウトを装備。340真空管はパワー管が5881を2本。
JTM45はKT66を搭載していたこともあったが、スタートは5881だった。
プリ管はECC83が3本。
整流管は使用していない。
「JTM45の完全復元」とは言ってませんから。
ダイオードでゼンゼン問題なし。350続けてマッチングのスピーカー・キャビネット。
 
<ST212>360v中央にチョコんとひっついたコフィンロゴがシブい。370フレット・クロスは「Fawn Fret」と呼ばれているモノ。
「fawn」とは「子鹿」のことね。380ハンドルはメタル製なので長年使っても緩む心配なし。390vキャスター(別売り)の取り付けも可能。400リアはこんな感じ。
8Ωのインプットがひとつ。420v続いては1×12"。
 
<ST112>
410フォウン・フレット・クロスのフルフェイスがカッコいい!430上部にはハンドルを装備。440リアのようす。
コチラは16Ωね。
450今回は全てのモデルにCelestionの「G12M-65 Creamback」が搭載された。
コレがまた実にいい具合。
試しにSV20HでSTキャビを鳴らしてみたけど、あんまりシックリ来なかった。
やっぱりSTヘッドにはSTキャビということが言えるようだ。
STもこの1×12"キャビが魅力的でしてね。
2×12"と違ったコンパクトながら味わい深いサウンドを出してくれる。
どうしても見た目のインパクトで2×12"に惹かれてしまうが、ココはね、耳で選ぶべき局面。460リアはこんな感じ。470最後は1×12"コンボ。
 
<ST20C>480コントロールはヘッドと全く同じ。490リアのようす。495下からリアパネルを見上げるとこうなる。510それを逆さにすればヘッドのリアパネルと同じ。520コンボ感丸出しのサウンドが実に魅力的。
LOUDNESSを上げれば身を震わせて怒涛のサウンドを繰り出し、下げればノイズレスの可憐なサウンドを提供してくれるカワイイやつ。
すごく気に入った!
530…と、以上4アイテム。
日本での発売は10月になる見込みだそうです。
よろしくお願いします!
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