Fury of Fear 西村守のSTUDIOシリーズ・デモンストレーション <STUDIO VINTAGE編>
前回に引き続いてFury of Fear 西村守によるSTUDIOシリーズのデモンストレーション。
今回は1965年に誕生し世界中で数えきれない名演、名盤を作りだしてきた100Wヘッド、1959をパワー・リダクトしたSTUDIO VINTAGEシリーズ。
ホラ、守くんの愛器が「早くSTUDIOで弾いてくれ~!」って言ってるよ…知らんけど。
<SV20H+SV212>
今回もSCの時と同じ手順で進めるよ。
まずは20WのヘッドSV20Cと…
Marshall(以下:「M」)今度は1959ベースのSTUDIO VINTAGE。どうだった?まもちゃんは普段は1959だもんね。
通常の1959に比べてどうですか?
西村守(以下:「N」、文中は「まもちゃん」):はい。1959を弾くのってある意味「恐ろしい部分」があったりするんですけど、その時の緊張感が受け継がれていますね。
M:ハハハ!そんな物騒な!凶器じゃないんだから。
STUDIO CLASSICと比べるとどう?
N:やっぱりビンテージ感が強いし、音のレスポンスが速さが1959っぽいと思います。
それとハイの出方も1959っぽいし、EQがSCほど効かないのも1959っぽい!っていうか、EQなんかイジらなくてももう1959っぽいいい音がしてるんです!
M:やっぱり気に入ったか…。
N:ハイ!もうギターをつないで音を出した瞬間にその緊張感とビンテージ感が出るんですよ。
M:アレ?コレEQってほとんど全部ゼロじゃん?
N:ストラトでノーマルHIGH(INPUTの向かって左上)につなぐとハイがどうしてもキツすぎるので、1959の時もTREBLEとPRESENCEはゼロにしています。
でも、コレ、全然違和感のない音ですよね。
M:まったく問題ない。
今はバッキングの音量に合わせて弾いてもらうためにアンプのボリュームを下げてブースターをつないで弾いてもらいました。
その前に、アンプ直で思いっきりボリュームを上げて試してもらったワケですたが、アレはいかがでした?
N:イヤ~、もう「コレがMarshall!」っていう音でしたよね。音の張りや圧力、適度な自然の歪み…そのままではシュレッド向きではありませんが、「極上のクランチ」とはあのことですよね。
アレが1959のいいところで、やっぱり音量を上げてこそ…ではないでしょうか?
音量を上げて得られる自然なゲインこそが最高のサウンドです。
繰り返しになりますが、レスポンスの速さが尋常ではない!
M:ルックスはどう?あんまり気にしない?
N:カッコいいですよ~!ボクは1959のルックスがMarshallの中で一番好きなんです。
M:キャビネットはスピーカーがさっきのSC212と同じなんですが、ヘッドが変わったことによってどんな変化があったと思う?
N:レスポンスが速くなったように感じました。言い換えるとヘッドの違いが忠実に出たという感じかな?
<スタンバイ・スイッチをLOWに変える>
SV20Hでもパワー・リダクションの様子を見てみよう!
ではお願いします。
途中でスタンバイ・スイッチをLOWにするよ!
M:こっちのパワー・リダクションの様子はどう?
N:ボクはLOWの方が弾きやすいです。
M:あ、そう。
N:コレってパワーを切り替えてもゲインが下がらないんですよね。
M:収録音の波形の入力の幅をを見ていると3/5ぐらいになってるんよ。
「弾きやすい」ってどういう風に弾きやすくなるんですか?
N:音は小さくなってもゲインはそのままで…うまく言えないんですけど、ちょっとコンプがかった感じがして弾きやすい。
音の張りが抑えられるというか、トゲの部分がチョット引っ込むというか…とにかく弾きやすくなります。
でも、やっぱりあの直でつないで音量を上げたサウンドが一番ですね。
もしボクがシュレッドをやっていなかったら間違いなくあの音を使います。
M:コリャ、マズイことしちゃったかな?
<SV20H+SV112>
今度はキャビネットを換える。
ヘッドはそのままSV20Hで…
スピーカー・キャビネットは1x12"のSV112というコンビネーション。
N:ボクはコレが一番好きですね。
M:あ、そうなの?
N:はい。1959の良さがすごく出ていると思うんです。
キャビが1x12”になったせいかどうかはわからないんですが、音のレンジがチョットせまくなって、中域に張りがでてくる感じが「まさに!」って感じです。
で、ストラトキャスターとの相性がバッチリ。
M:アンプの出力とキャビネットの入力の関係があって、1959を何かのスピーカー1発入りのキャビネットで弾くことって普通ないもんね。
N:そうですよね。スピーカー1発キャビネットで1959系のモノを弾くのって初めてです。
M:そうだよね~。2発キャビはあるけどね。
N:それなのに1959っぽいサウンドが出ているのがすごく不思議な感じがします。
ボクはGreenbackを乗せた1936(2x12”キャビネット)も持っているんですけど、それに近い感じはします。
M:なるほど。
N:それとストラトキャスターとの相性ですよね。2x12”より暴れないし、ハイのヌケもいい意味で落ち着いているのでもうベスト・マッチだと思います。
M:スッカリお気に入りですな?
N:はい!もうこのまま家に置いておきたいです!
<SV20C>
それでは今回のトリ!
1x10"コンボのSV20C。
さっきのSCではコンボはシュレッダーには不向きという意見もあったけど、1959系の20Wコンボではどうかな?
N:ウワ~!コ~レはホントに1959を小さくしてコンボにした感じがしますね。
ボクの人生で一番いいコンボだと思います。
M:コレがホントの「まもちゃん号泣」?…ナンチャッテ。
N:イエほんと!張りがあって、サイズが小さくなったからか、音に粘りがあるんです。
もう「極上のコンボ」ですよ!
ミドルもあって、やっぱりストラトキャスターとの相性がすごくいいです。
音量も大きいですね!
M:SCの時の「スタックとコンボの差」と比べてコチラはどうですか?スタックとコンボの共通項が多いような…。
N:そうなんです!SCのコンボみたいに筐体全体がギンギンに鳴っている感じがしません。
なんか余裕を感じさせます。「スタック感」があるって言ったら変かな?
M:だったらスタックを使った方がいいんじゃないの?
N:(爆笑)でも、スタックに引けを取らないと思いますよ。
M:でも反対にスタックではこのサウンドは出せない。
N:粘り気ですよね。だから、本当にスタックとコンボのいいトコ取りしていると思います。
とにかくメチャクチャいいです!
M:アレ?チョット待って!それじゃ今日はコレが優勝?
N:ハイ、優勝です!さっきのSV20HとSV112の組み合わせが絶対一番だと思っていたんですけど…コンボは粘りがあるから。
M:「粘り勝ち」かよ!
N:(爆笑)ボク、コンボは好きじゃなかったんですけど…今、すごく好きになりました。
M:持ち運びもラクだもんね…時代は変わるもんね。
でも、こうして形は変わってもロック・ギターのサウンドを作った1959や2203のサウンドが時代を超えて受け継がれているというのはとても良いことだし、Marshallにしかできないことだと思うんだよね。
N:Marshallならではですよね!
M:やっぱりコピーと違って、何事もオリジナルっていうのは計り知れないパワーを持っているもんだよね。
N:まったく。
<最後に(事務連絡)>
記事内で「1959系」とか「2203系」という表現を使っているけど、「系」とわざわざ付けているのは、STUDIO CLASSICやSTUDIO VINTAGEは1959でもなければ2203でもないから。
それでは、ナニが1959を1959たらしめているのかというと…
◎100ワット
◎マスター・ボリュームなし
◎4インプット
この3つの仕様が揃っていないモデルは見た目が似ていても「1959」と呼ぶことはできないし、反対にこれらの条件を満たしていれば赤かろうが、白かろうが、形が三角だろうが、丸だろうが「1959」を名乗る権利を持っている。
コレがMarshallが定めた「1959」というモデルの定義。
同様に2203の仕様は…
◎100ワット
◎マスター・ボリュームあり
◎2インプット
ということになる。
このあたりのことに興味がある人はコチラをどうぞ⇒フィル・ウェルズ・インタビュー~その3
守くん、どうもありがとうございました!
来る8月10日、Fury of Fearは『VILLAGE WEST! VOYAGE EAST!』というイベントに出演する。
コレは札幌か。
いいな~、涼しくて…と言いたいところだけど、最近の北海道の夏はヘタすりゃ東京より暑いもんね。
気をつけて行って来てね!
優也くんによろしく!
会ったらSTUDIOシリーズのことを話してあげて!彼も絶対好きなハズだから。
西村守の詳しい情報はコチラ⇒Fury of Fear official webite
<編集後記>
イヤ~、思い立ってやってみたのはいいけど、この2本の記事を作るのは並大抵のことじゃなかったですわ!
収録した音源のチェックはまもちゃんに納得のいくように任せたけど、他は全部ひとりでやっているので普段の記事の何倍もの時間がかかるのです。
でもオモシロかった。
評判が悪くなければまたやってみたいと思っています。