Marverics & Mystics~JILL'S PROJECT-D & SESSION
今回のトリプル・ヘッドライナーの最後に登場したのはJILL'S PROJECT-D。
やはり約1年ぶりの登場だ。
虹の向こうにはMarshallが!
ドロシーもトトもウットリするであろうMarshallサウンドは1967 MAJORから!
金光さんはいつも通りNATAL。
SBLではバーチだけど、ココではメイプルね。
でもいつもと最も大きく違うのは…
ツーバス~!
金光さんのツーバス姿、初めて見ました。
なかなかどうして、よくお似合いですぞ!
オープニングが前回同様の「Reach Out For Something」。
ノッケから炸裂するKenさんの雄叫び!
全身を絞り出すようにして歌う姿は迫力のカタマリだ。
Kenさんの激唱ぶりを6本の弦で受け止めるノンちゃんの激独奏。
いい音だな~。Marshallらしさが存分に出てる。
終演後、その音に惹かれたお客さんから、「島さんが使っているMarshallは何というモデルですか?」と質問を受けた。
いつかノンちゃんが「Pig」を弾く姿を見てみたいものだ。
あ、どこかに初代1967 MAJORのアダ名である「Pig」があたかも正式な呼称であるようなことが書いてあったのを見かけたが、この「Pig」という名称は『THE HISTORY OF MARSHALL(コレの改定・増補版が「アンプ大名鑑~Marshall編」)』の著者、Mike Doyleが大分後になって勝手に付けた名前で、Marshallがそう呼んだワケではない。
ところが、この本があまりにも普及してしまったために、当該の正式モデル名が昔から「Pig」であると勘違いされ出したようだ。
続けてテンポを落とした6/8の「I Have The Shakes」。
この通り、テンポがどうあろうとKenさんのテンションは何も変わらない。Ronnieが憑りついているのだ。
APHRODITEの時とはまた違った雰囲気を醸し出しながら鍵盤を一心不乱に叩くJILLさん。
どう違うというと、もっと七色なんだな。
でもコチラもイギリスのハード・ロック。
となれば、イギリスにはイギリスを!
このチームでもNATALのドラム・サウンドが最高のパフォーマンスを見せてくれた。
続けて「Heavy Rain Sheds Blood」。
轟音と共にJILL'S PROJECTの世界がドンドン深まっていく。
「『虹部』を早く演りたい!」なんて発言がMCであったけど…ホントに好きね~。
で、虹部の部活で「Gates Of Babylon」。
各部員とも思い入れタップリの演奏!
ノンちゃんはどちらかというと紫式部の正部員で、ココは補強部員といったところか?
JILL総帥によるキーボーズのソロ。
APHRODITEの時同様、テクニックとエモーションが密接に絡み合ったスケールの大きいソロだ。
いよいよ今回のイベントも最終楽章に突入する。
曲は「Crazy me」。
最後はノンちゃんがクールなリフをキメる「Upsurge. Unconcious」。
実は前回もこの曲で幕を下ろしたのだが、JILL'S PROJECTの孤高の世界を締めくくるにふさわしいナンバーだ。
今風ではない、トラディショナルなツーバス・プレイを聞かせてくれた金光さん。
こういうツーバスならいいナァ。
金光さんは普段とは異なるツーバス・スタイルに慣れようと、実はNATALのツイン・ペダルを使って事前にしっかりトレーニングを積んでいたのだ。
「ツーバス、バッチリでしたね!」と言うと、謙虚な金光さんは、「ありがとうございます。でも、あんなんでバッチリなんて言われたら本格的にやっている人たちに失礼ですよ!」…いいえ、バッチリでした!
何か武道で初めと終わりに神棚に向かうような儀礼的な雰囲気のメロイック・ポーズ。
「今日も無事に歌わせて頂きました」とRonnieへ感謝の気持ちを込めて報告しているのだろう。
アンコールはBLINDMANとAPHRODITEのボーカリストが参加しての虹部。
今日の活動の課題は「Kill the King」。
ホラ、私の「ロック原風景」。
「Burn」じゃなくてヨカッタ。
もう耳にタコタコの「Burn」は「ban」して欲しい。「Stratus」と「Spain」も同様。
私はこの曲のリフの元となったと言われているGershwinの「Fascinating Rhythm」を聴く機会の方が多いが、もうダメ!聴いてても「Burn」が出てきちゃって!
間違いなく名曲中の大名曲なんだけど、あのリフの出て来る回数が多すぎんだよね。
そりゃ、カッコいいリフだけど…ってんで数えてみた。
「♪ジャジャラジャジャ~ン、ジャジャラジャジャ~、ジャジャラジャジャ~ン、ジャジャラジャジャ~ン」の4小節をひと単位として、曲の中にこのリフが何回出て来るかと言うと…ナ、ナント21回!
つまり、全尺で何小節あるのかは知らないが、この曲は84小節をリフに費やしていることになる。
マァ、音楽の良し悪しは長短や反復でキマるワケじゃないけど、さすがに飽きた。
演奏するサイドも、飽きてしまって、もう普通に弾くんじゃツマらないので「Major Burn」なんてのを演ってる人がいたけど、アレは面白かった。
それでも中学生の時に初めて聴いた時は感動したわナァ。
そもそもタイトルがいいもん。「バーン」なんてさ。ま、周りの子たちは「紫の炎」って呼んでたけど。
今回この作業をするのに久しぶりにオリジナルをキチンと聴いたけど…カッコいいね。
でも同時に、「コリャ今の若い子たちは聴きたがらないだろうな」…と思ったよ。重厚長大すぎちゃうんだよね。
え、「ban」ってどういう意味かって?辞書引いてみて!
ゴメンナサイ!
話は「Kill the King」なのです。
今日はトリプルボーカルズで「♪デンジャ、デンジャ」とゴキゲンだ。
誰か「♪チャンジャ、チャンジャ」なんて韓国のウマいモノの替え歌でもやらないかな?「Kimuchi the King」とかいって。
あ、全Rainbowファンを敵に回してしまったか?
イエイエ、私もかつては好きで、初来日公演を武道館に観に行きましたから!
やっぱコレも間違いなくハードロックの名曲だよね。
「danger」と「stranger」、「Power」と「devour」、「treason(反逆)」と「reason」等の単語で韻を踏ませているところがすごくカッコいい。
ところが、コレらは他の単語がすべて名詞であるのに対し、「devour」だけが「むさぼり食う」という動詞なんだよね。
ココ、歌詞を書く時、相当苦しかったんじゃないかしらん?
スタジオ・バージョンのRonnieの歌を聴くと「devour」だけ少し声を落として語調を変えているのがわかる…なんて思ったんだけどいかがだろう?
コレは結局、謀反だとか、国家転覆の陰謀の歌なんでしょ?
イギリスなんかはこうした「マクべス」のような話なんかいくらでもあるからね。連中は子供の頃からその歴史を学校で習ったり、そこら中にある戦争に関する博物館で学んだりする。
だから、こんな曲を作る時も、我々なんかが想像できないような感情を持って作業するんじゃないかな?
日本でやったら、やれ「明智」だ、「本能寺」だ…とか、「信之」だ、「幸村」だってなことになるワケでしょう?
もうソロソロそんな曲があってもいいんじゃないかしら?
ちなみに私は真田では案外「昌幸」が好きです。
日本語のロックの歌詞は人名にしても地名にしてもあまりにも固有名詞が少ないんよ。固有名詞がバンバンでてくるのは「お国自慢のご当地ソング」ぐらいだもんね。
それと、「韻」。やっぱりカッコいいよね。
同じ韻でも、日本人のラップがお笑いにしか聴こえてこないのは私だけだろうか?
もうココは水を得た魚。
ノンちゃんの弾く、ますますまっ黒なトーンとフレーズに大歓声が上がった。
島紀史の詳しい情報はコチラ⇒CONCERTO MOON Offcial Site
今回もAPHRODITE並びにJILL'S PROJECT-Dで岡垣正志ならではの世界を構築した。
「様式美」…どこまでも追及してもらいたい!
JILL'S PROJECTの詳しい情報はコチラ⇒JILL'S ROOM BLOG
さて、クルベラブリンカのライブ・レポートでも触れたが、昨秋行われたTerra Rosaのワンオフ再結成ツアーのもようがライブ・アルバムとして7月26日にリリースされる。
岡垣さんのキーボーズが唸りまくるTerra Rosa。APHRODITEやJILL'S PROJECTのルーツを探る意味では貴重な音源になることは間違いないだろう。
そして、驚嘆すべきは岡垣さんが膨大な時間をかけて作り上げたという「テラローザ ファミリーツリー 地獄絵図…最新版!」だ。
何たるメンバー・チェンジの多さ!
私はリアルタイムに体験をしていないので、ものすごく有益な資料となる。
三宅さんはかなり初期に在籍していたものかとばかり思っていたんだけど、ツリーを上から見ていてなかなか出て来なくて驚いたわ。
ギタリストの系譜をたどると、足立祐二、三宅庸介、鈴木広美、今井芳継と、おなじみのご芳名が並んでてうれしかった。
コレ、作るの本当に大変だったと思う。
岡垣さん、大切に利用させて頂きます。
1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。
★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト
(一部敬称略 2017年6月10日 目黒鹿鳴館にて撮影)