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2017年7月14日 (金)

KRUBERABLINKA~春のクルベラ 新曲も聴いてね

 
「待ってました!」のクルベラブリンカ、春の東京公演。
日本人ならではの独自のロック道を邁進するクルベラブリンカの音楽はいつ聴いてもクリエイティブだ。
場所は東京のホーム、四谷三丁目のソケーズ・ロック。
まずは驚いたのはコレ。
お店の数軒隣にあるラーメン屋の前に置いてあった生麺の通函。
私はこの製麺屋をよく知っていて、「こんなところまで配達しているのかよ!」とビックリした次第。
この製麺屋に話を聞いたことがあるのだが、何でも都内ではラーメン屋が増える反面、製麺屋がメッキリ減ってしまってオーダーの一極集中が進んでいるそうだ。
製麺屋さんを見たことがある人ならわかると思うのだが、事業所の周りは小麦粉で真っ白け。
恐らく近所から苦情が殺到したりして、町中で営業できなってしまうケースも少なくなかったのではなかろうか?
「ライバルが減って、オーダーが増えれば景気が良くていいね~!」なんてことを言ったら、「冗談じゃないですよ!製造がオーダーに追い付かず、従業員は休みなく夜中の2時から働いているんですよ!」…なのだそうだ。
ラーメン屋が一斉に開店する11時ぐらいには配達を完了していなければならないのだから、なるほど大変な状況が想像できる。
「過ぎたるは及ばざるがごとし」…か。
どこの業界も大変だよ。
この製麺屋さんは小売りもしていて、ラーメンだけでなく、時々餃子とかワンタンの皮を買いに行くんだけど、ヤケクソにおいしいの。
作りたての餃子の皮なんて、アンをくるみやすいし、焼いた時の食感から香りから…一度食べちゃうとそこらのスーパーで売っているヤツはとてもじゃないけどマズくて食べられなくなっちゃう。
もちろん生ラーメンもおいしい。
コシがあってノビにくく、大きめのナベにタップリのお湯で茹でてやると最高にうまい。
コレでおいしいスープがあれば最高なんだけど…そこまではやっていないのです。
あ、イカン、ライブハウスに戻らなきゃ!

2_img_3837さて、今回は珍しく白いシャツに身をくるんだ和重さん。
コレまた珍しく、冒頭にご講話があった。
それは、この日限定で販売したカクテル「メロン」の説明。

2_img_0063クルベラブリンカの曲を元に、ジンをベースにして作られたカクテルだ。
「メロン」はね~、思い出深いんですよ。
いつか書いたことがあったけど、高校の時の古文の先生のアダ名だったから。
禿げていて、頭が人一倍大きなことから付けられたアダ名だったが、大きさだけでなく、その強度もズバ抜けていた。
学校の本館の入り口の分厚いガラス・ドアが閉まっていることに気付かず、アタマから突っ込んで、そのガラス・ドアを粉々に砕いてしまった。ところが、メロンのアタマには傷ひとつ付かなかった…という武勇伝があった。
顔はおもしろかったけど、授業はツマらなかったナァ。

10_2クルベラブリンカは…
ボーカルスに赤尾和重。

40v_2ギター、鈴木広美。

50vベースに鎌田学。

60vドラムスは泉谷賢。
いつもの4人。70v和重さんの冒頭のMCに続いて1曲目に演奏したのはヘビー・チューン、「場所」。90v続いてギターのイントロから始まるのは「TEST TUBE」。

80双方、最近作『Conicalify』からのチョイス。
クルベラブリンカはアルバムを一枚一枚を実にていねいに、そして着実に作っている感じがするね。
やっぱりミュージシャンはアルバムを作るのが生業だからして、彼らのアルバム制作に向き合う真摯な態度にはいつも感心させられる。

30cd_2

「改めまして『クツベラ』…、イヤイヤ、クルベラブリンカです!」
いきなり『赤尾のギャグ単』からのネタを披露!
そして、ご挨拶の後に紹介されたのが…ワタシ。
Marshall Blogが取材に入っていることに加えて機材の紹介をしてくれた。
和重さん、いつもありがとうございます!

105vまずは広美さんのMarshallから。

110vヘッドはJVM210H。
2x12"のスピーカー・キャビネットは1936ね。
Marshall好きの和重さんはそのサウンドを「温度の高い音」と形容されている。120v足元のようす。

130_2鎌田さんのEDEN。

140vヘッドはTERRA NOVA TN-501。
スピーカー・キャビネットはD410XST。
和重さん曰く、「以前のモデルより少し音がハッキリしていた感じ?」
そうなんです、こんな小さい鳴りで音ヌケ抜群、そして音作りの幅もすこぶる広いモデルなのです。

150泉谷さんのNATALはメイプル。
「鳴りが『ボンっっっ』と太くてカッコイイ!」とのこと。
その通り!

160_2「選挙の街宣カーで『大きなマイクで失礼します!』と言っているのがありますよね。『大きなマイク』ってどんなやろ?」
そうそう、わかる!
私の場合、「セメント」なのね。
生コンクリートを指して「セメント」っていう人が結構多いんだよね。「セメン」とか言う人もいる。
セメントはコンクリートを作る材料の粉です。
そこに水を加えて混ぜると「セメント・ペースト」。
それに砂を混ぜたものが「モルタル」。
さらに砂利を入れたものが「コンクリート」ですから。
街で見かけるコンクリート・ミキサー車(専門用語では「コンクリート・アジテーター車」という)の後ろのグルグル回っているヤツに入っているものは固まる前のコンクリート、すなわち「生コン」で、セメントではありません。
せっかくいい機材紹介をして頂いたのに、相変わらず「セメント」ネタで燃えてしまってすいません!

170v_m楽しい機材紹介コーナーに続いたのはセカンド・アルバムのタイトル・チューン「海図」。

180♪ザザッザ、ザザッザと迫りくるミディアム・テンポのへヴィ・チューン。
カッコいい曲だにゃ~。
190v転調に合わせてめくるめくようなフレーズを繰り出す広美さんのソロ。

100v 4曲目は久しぶりに取り上げられた「メロン」。
前の曲と同じく『海図』に収録されているアコースティック・ナンバーだ。
「メロン・ソーダみたいな曲が欲しいわ!」と言ったら出来た曲だとか。
ホンマかいな?!
次回はゼヒ「遺伝子組み換え操作をしていない材料で作ったビールみたいな曲が欲しいわ!」でお願いします。

200_m冒頭に書いた通り、この日は特別にこの曲にちなんだカクテル「メロン」が販売された。
和重さんはその「メロン」を片手にジックリと歌い上げたのだ。
210vメロン色のライトに包まれたギター・ソロはここでも自由奔放だ!

220v場面変わって『Blanko』から「ピエロの心臓」。

230_pクールに5/8拍子を刻むボンちゃん。
とてもナチュラルな変拍子だ。

240vファーストから「砂山」。
コレは和重さんのお気に入りなのかな?
よく取り上げられるナンバーだ。
途中ガツンと四度進行するので、マイナー・ブルースっぽいイメージもあるが、演歌のようなテイストもあるので、レコーディングの時は「『演歌メタル』ということで紅白に出れるかな?」と冗談を飛ばし合ったとか。
和重さんでも紅白出たいんだね~。
でも、もはや紅白での演歌の地位もずいぶん変わっちゃったもんね。
我々の世代やそれ以降の世代で演歌を聴いている人なんてもうほとんどいないでしょう?
すると、演歌は近い将来の絶滅を避けられないだろう。
こうして考えみると、演歌もほとんど「伝承」ができなかったのではなかろうか。
その次は我々の世代のロック、すなわち70年代前半以前のロックがこの世から消え去るでしょうね。
だって状況が演歌と同じだもん。
チョット失礼しますよ…。
いいですか、芸術とか芸能ってものは作り手はもちろん重要なんだけど、それと同じぐらい、イヤそれ以上にそれらを味わったり、楽しんだりする人たちの方が大切なんだよね。
簡単に言えば、「芸術家より消費者の方が大事」ということ。
ナゼなら、芸術や芸能はなければないで片づけられるけど、作っている方はそれを嗜んでくれる人たちがいないことには創作物に意味が出て来ない。
誰かが楽しんでこその芸術や芸能ってことよ。
いつか戦前の琵琶の音楽の話をしたけど、聴き手がいなくなって絶滅した音楽はこれまでいくらでもある。
ひとつの音楽分野が消滅するってのはスゴイことだよね。
「トリビュート」と称してして昔の名曲を演奏する「コピー・バンド」が今は大流行りだが、コレも実は「伝承」とか「保存」にはならないと考えた方が妥当だろう。
理由は、演っている側と聴いている側が同じ世代だからだ。
若い人が興味を示しさえすれば、その手のモノに巨大な意義が見出せるだろう。
反対に落語を見てみて。
あの芸は、時折ブームのようなことが起こりつつ、細々ながらももう何百年も続いている。
徒弟制度がほぼ確立されていて、芸の伝承が確実に行われているということがひとつ。
ガムラン音楽みたいなもんね。
ガムランには譜面がないため、師匠が弟子に教え込むしか存続させる手段がない。
もうひとつは、落語を楽しもうとするお客さんが世代を超えて回転し続けているから。
歌舞伎もそう。
クラシック音楽やジャズもそう。
ロックだけはまったく違う。
だから、ロック業界も音楽を作ることよりも、音楽を聴く人を作る方が先決だと思うんだよね。それも若い聴き手を増やさなきゃダメ。
ま、こんなの釈迦に説法か…。
どうやってやるかは知らんよ。私の仕事ではない。
私はこのブログを通じて、ジャンルを問わず自分が魅力的だと思う音楽の情報を発信するだけ。
ま、結局の延命策は、ひたすらいい音楽を作るしかないんでしょうな。
クルベラブリンカのように替えのきかないクリエイティブなオリジナルを曲を作って、その時々の最も効果的な手段を使ってその魅力を広めるしかないでしょう。
もうひとつのアイデアとしては、作曲、作詞、編曲を楽理からキチンと勉強した専門家にお願いするということ。
軽音楽の「大政奉還」とでも言おうかね。
顔がカッコいいというだけで、つまらない自作曲を賛美してはイカンよ。
消費者サイドももっと「いいもの」と「悪いもの」を区別する能力を身に付けた方がいいと思う。ツケは自分に回って来る。
イカン、イカン、固い脱線になってしまった!

2_img_0031 「砂山」では鎌田さんのフレットレス・ベース・ソロがフィーチュアされた。
毎度言っているけど、MODULUS、なつかしいナァ。忘れじのベース・ブランドなのです。

260ふたたびタンバリンを手にした和重さんが熱唱しているのは「タンバリン」…じゃない「マンダリン」。
この曲は配信のみの発表だったので、いずれのCDにも収録されていないが、ライブではよく取り上げられる人気曲だ。

270_mdココでクルベラブリンカ・ライブの前半の名物、広美さんのギター・ソロ・コーナー。
弾くわ、弾くわ…独特の音色で徹底的に音符をブチ込んでくる!

280vそして、鎌田さんと…

290vボンちゃんが加わり…

300vスリリングなインプロヴィゼーションへと展開し…

305ダラブッカを小脇に抱えた和重さんが加わって「帳」。
コレもクルベラブリンカのステージに欠かせない、そしていかにもクルベラブリンカらしい1曲。
ディミニッシュの使い方がカッチョいい!

310_機材の紹介からメロン、インスト・パートからクルベラ・スタンダードまで盛りだくさんの第一部はこれで終了。

320黒い衣装にお召替えしての第二部。
いつもであれば、アコースティックを2曲ほど差し入れるところだが、今回はバンド形態で演奏が始まった。

330_cb曲は「Chamber」。
『Conicalify』の2曲目に収録されたドロップDのへヴィ・チューン。
ショウのオープ二ングにもってこいのノリノリな雰囲気を作り出す。

340vそして、今日のライブのタイトルにある通り、新曲を披露。
曲名は「Cell Division」。広美さんの作品。
「細胞分裂」やね。
「細胞」つながりでは、他に「単細胞」という曲が『海図』に収録されている。

350_cd「今どきの子ども達が大好きな、疾走感があって転調の多い曲を創ってみようか」…というコンセプトで作ったのだそうだ。
私も初めて聴いたのだが、オイオイオイオイ!コレどうなっちゃうんだ?という展開の転調ぶり!
無茶するな~。
ハイ、メッチャ私好みの曲でございます。

360vもうひとつ新曲が飛び出した。
「闇夜へドライブ」という曲。
前の「Cell Division」とは対照的なストレートな曲調。

370_ydこういう飾り気のない芯の通った曲をバッチリとキメるのもクルベラ流!

380vこの2人のコンビネーションがウネリを作り出すのだ。

390「ケッ、新曲はこれぐらいにしといたるわ!」と、ドライビング・チューンから一転して今度はバラード。(本当は和重さんは「ケッ」とはおっしゃっていません。上品な方ですので!SNSでは時折自分のことを「オレ」と呼んだりしていらしゃいますが…コレが滅法おもしろい!)
クルベラブリンカはさっきの「砂山」をはじめとした独特なバラード曲をいくつか持っているが、第二部では『Blanko』から「夜光虫」を取り上げた。

400_ycそして、新曲のお披露目と並ぶ第二部のハイライトがコレ。
続けて『BLANKO』からタイトル・チューンの「ブランコ」。

410_blメンバー各人のソロがフィーチュアされ、その技術を競ったのだ。

420v

430v

440v

450ナント総尺15分!
クルベラブリンカの「Space Truckin'」?
「お客さんを楽しませまくろう!」という趣向を凝らした演出の数々がニクイね?!

460「ラスト・ソング、聴いてや!」
第二部を締めくくったのも『Blamko』からの1曲、「案外」。アルバムもこの曲で締めくくっている。
景気のいいスピード・チューンで華々しく本編を終了した。

470v_agアンコールでは再びダラブッカを抱えて登場した和重さん。
このダラブッカという打楽器は「ドゥンベク」という名称の方がよく知られているだろう。
ウチの家内のライブのメモを見たら「鼓」と書いてあった。
一番わかりやすい!

475_cd曲は『Conicalify』から「カルデラ」。
Ian Gillan好きの和重さん。本当はコンガを叩きたいのだ。
IanがDeep Purple時代に使っていたコンガがNATAL製ということもご存知で、NATAL製のコンガをご所望頂いているのだが、まだ日本に入って来ていないのです。
いつかCaz Gillanを実現させましょね!

480最後までシャープなソロを聴かせてくれた広美さん。
新しいクルベラブリンカ・シャツをお召になっての熱演!

490v今度はカシシを手にした和重さん。
「案外」、「カルデラ」とアルバムのクローザーが続き、またしてもファーストアルバムの最後を飾った曲「業火」を持ってきて幕を下ろした。

510また、アンコールで演奏した2曲はデビュー作と最近作からのチョイスでもあった。
その間隔は5年!
早いな~。クルベラブリンカが始動してもう5年か!
メンバーは変わっても、全く微塵もブレない音楽に対するその姿勢が素晴らしい。

500v

今日は何となく、ここまでのクルベラブリンカの活動を総括するような意図もあったのかしらん?
新曲もあったことだし、ナンカそう思いたくなるような総花的なセットリストだったじゃんね?
おもしろかった~!
しかし…今回のライブの和重さんの最後のひと言は強烈だったよ!
「今度は9月にお邪魔します。
今日は大変大きなマイクで失礼いたしました~!」
ウマい!メッチャ狙ってた!

2_img_0222 さて、Marshall Blogでもレポートしたが、昨秋行われたTerra Rosaのワンオフ再結成ツアーのもようがライブ・アルバムとして7月26日にリリースされる。
クルベラブリンカの和重さんが歌うTerra Rosa。クルベラブリンカのルーツを探る意味では貴重な音源になることは間違いないだろう。

515cd毎回、一作一作を丁寧に作り込んでくるクルベラブリンカ。
大変かもしれないが、新作が楽しみだ。
アタシャ、「Chamber」のスタジオ・バージョンをとても楽しみにしてるのだ。

  
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520v 

<オマケ>
おなじみMarshall社社長のジョナサン・エラリーと。
機材の紹介をしてくれたもんで、ジョンもよろこんでおります!

2_s41a0010  

1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

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★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
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詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

 
(一部敬称略 2017年5月27日 四谷Sokehs Rockにて撮影)