GRANRODEO LIVE TOUR 2016 TREASURE CANDY 野音 <前編>
中学校二年生の時分にロックに夢中になってからというもの、お小遣いやアルバイトで稼いだお金のすべてをレコードや楽器や本等、音楽に関するモノに使ってきた。
もうさすがにMarshallを買ったりすることはないにしても、こんなジジイになった今でも自分で自由に使えるお金のほとんどは音楽に関することに費やしている。
中学から大学に入るぐらいまでにかけては、コンサートにもずいぶんお金を使ったナァ。
まったく後悔していない。
もし、後悔するとしたら、親に頼み込んで借金をしてでももっと色んなコンサートに行っておくべきだった…ということだ。
コンサート会場に行くまでのあのワクワク感がタマらなかった。
日本武道館に向かう九段坂。
「遠いな~」と文句を言いながら新宿厚生年金に向かう靖国通り。
駅から近くて助かる中野サンプラザ。
昔はあんなにゴミゴミしていなかった渋谷公会堂に続く公園通り。
あの頃のダフ屋の皆さんももうずいぶんとお歳を召したことだろう。
そして、日比谷野外大音楽堂に向かって日比谷公園を歩く時もワクワクのカタマリだった。
今はもう楽屋口からしか中に入らないが、この正門をくぐる時は興奮したものだ。
開業は1923年(大正12年)7月だから満93歳。
ジム・マーシャルの生年と同じ。
開業の2か月後に関東大震災が発生している。
この正門、昔どうなっていたっけナァ。
野音もずいぶん様子が変わって、私が高校の頃は楽屋がまだ木造だった。
今の姿になったのは1983年のことだそうだ。私もずいぶん古くなったもんだ。
正門から入ってチョット上がったところ。
ここまで入るとステージ建屋の屋根が少し見えてくる。
今日は、『TRESURE CANDY』と題したGRANRODEOのツアーの東京公演の模様をレポートする。
「千秋楽」ということではなくて、全14公演中10番目。
東京では既にZepp Diver Cityで2公演を済ませている。
GRANRODEOの野音を観てみたかったもんでコチラにお邪魔させて頂いた。
コレがその風船なんだけど、どうしても使い方がわからなくて…。
というのは、ナゼかは知らないが、オジちゃん、膨らませて飛ばすものだとばかり思い込んじゃったのね。
皆で空に向けてピューって飛ばすにキマってる!と思ったのですよ。
だから「その瞬間は絶対に撮り逃せない!」と勝手に気合を入れていたというワケ。
そこで、開演直前に近くにいたロデオガールにどうすればよいのか尋ねてみた。
「この風船いつ飛ばせばいいのかしらん?」
「ハァ~?飛ばす~?コレ飛ばすんですか~?わかんな~い!」…なんてやっていたら~。
何のことはない。
風船は膨らませて、かざして楽しむものだった。
ひな壇の上にGRANRODEOの2人が現れた!
ものすごい歓声!
休日出勤している経産省の連中も上から見ていたに違いない。
通産省時代、ずいぶんJISがらみの仕事をしたもんだ。
皆でかざす風船が色とりどりでキレイだこと!
今回はガツンとしたドライビング・チューンではなく、ハッピーハッピーな曲をアタマに持ってきたけど、とてもいい感じ!
今日も「バラ色」にノリまくる二人を支えるのは…
さらにMarshallの壁!
ギア・チェンジをしたかのように今日の雰囲気がガラリと変わって「tRANCE」で猛然とドライブする。
ダウンチューニングのへヴィなギター。サウンドが気持ちいい!
もう客席はドップリ興奮状態!
もうこの時点でGRANRODEOの魅力が大爆発。
誰が何といおうと「ロック」!
九段坂を、靖国通りをワクワクしながら歩いた後に目にしたモノと同じだ!
おいしいメロディを完璧なテクニックでコンパクトに詰め込むのがe-ZUKA流ギター・ソロ。
e-ZUKAさんって左右の手の動きがすごくキレイなんだよね。
特に右手のストロークは、成毛さんの赤いカセットつき教則本の手本のように美しい。
「今日はタクシーで来たんだけど、運転手さんに『日比谷の野音お願いします』と言ったら渋谷に連れて行かれた」というe-ZUKAさん。
気をつけないとダメですよ~。「ドヴォルザークのシンバル事件」みたいになっちゃいますよ~。
この「日比谷vs.渋谷」はかなりポピュラーなネタだけど、もうひとつマイナーなパターンで「日比谷 vs. 入谷」という日比谷線対決がある。
私の友人が奥さんと「入谷」で待ち合わせをしたけんだけど、待てど暮らせど奥さんが現れない。
さすがに心配になって携帯で奥さんの居場所を確認すると、スッカリ「日比谷」でその友人を探しているという…。
当然この後、「入谷と言った」、「言わない」で壮絶な夫婦ゲンカが勃発したことは言うまでもなかろう。コレは事実です。
さてe-ZUKAさん、「外~!」と会場に入りきれなくて外で聴いているファンに絶妙なタイミングで幾度となく呼びかけるのがメッチャおもしろかった。
コレも昔からある野音の醍醐味!
続いて「欲望∞」。
コレもゴキゲンな真正ロック・チューン。
「∞」の形って、竜が自分の尾っぽを咥えているところだって知ってた?
矢継ぎ早に「Darlin'」。ムネのすくようなストレート・チューン。
ここでもe-ZUKAさんのシャープなギター・ソロが飛び出す。
それにしても今日のe-ZUKAさん、ギターをよく持ち替えるな~。
この曲、コード進行がめっちゃカッコいいな。
マイナーの曲でドミナント・モーションする時にV7の#9thからb9thへテンションを移動させるのはジャズの常套手段だ。
さすがe-ZUKAさん。
ク~、アンガス~!
この曲も超カッコいい!
ロックはコレでいいんですよ、コレで!イヤイヤ、コレがロックの楽しさなんですな!
4月にリリースしたシングル「TRASH CANDY」のカップリング曲。
GRANRODEOにはロックの黄金時代の純粋なエキスがタップリ含まれているんだな。
だからアニメをまったく知らない私のようなジジイでも存分に楽しめる。
…ということは、この野音に集まっているロデオボーイもロデオガールも「ロック」を楽しむ素養が十分に備わっているとも思うワケ。
GRANRODEOのソロ・コーナーって比較的序盤に出てくるじゃない?
コレすごくいいと思うの。
ドシャメシャドシャメシャ、パワー全開でキットを叩きまくるVALさんが凛々しい!
しかし、デカいな~、VALさんって!
あのNATALのイベントは楽しかった!
ステージ狭しと激しく暴れまわるソロはいつも通り!
スリリングできらびやかなテクニックの連続に大歓声が上がる。
そしてコンビネーション。
GRANRODEOの鉄壁のリズムがこの二人がクリエイトしているのだ。
テクニックはもちろん、フレーズよし、音よし、十分にヴァーチュオーゾぶりを披露。
スゲェ速さでリムスキー・コルサコフをプレイ。
ん~、ウィントン・マルサリスと共演するところを見てみたい!
意味わからないでしょ?…それがマーブロ。
ウィントン・マルサリスは史上最高のテクニックを誇ると言われるジャズ・トランぺッターでクラシックもこなすジャズ界のマイケル・ジャクソンみたいな存在。
この人が普通の人間ではとても吹きこなせないような無茶な難曲ばかりを集めたアルバムを出していて、その中で「熊蜂の飛行」を超速テンポで演奏している…というワケ。
e-ZUKAさんも実にクールに弾いて見せてくれた!
GRANRODEOの詳しい情報はコチラ⇒GRANRODEO Official Website
<後編>につづく
(一部敬称略 2016年8月13日 日比谷野外大音楽堂にて撮影)