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2016年4月19日 (火)

Chris Duarte Group "Lucky 13 Japan tour" 2015

Marshall Blogのライブ・レポートがようやく2016年に突入したことをチョット前にお知らせしたが、諸般の事情により漏れていた昨年のライブの記事をいくつか掲載させて頂く。
いずれも観る者の感動を誘う素晴らしいショウだ。
そのひとつがコレ。
11月に日本ツアーを敢行したChris Duarte Group。

10_2このツアーについてはベースで参加している「オガン」こと小笠原義弘氏のインタビューで触れているので、ご覧になっていない方はまず、まずはそちらをご覧頂きたい。

★クリス・デュアルテがやってくるぞ(ベース野郎アメリカへ飛ぶ) <前編>
★クリス・デュアルテがやってくるぞ(ベース野郎アメリカへ飛ぶ) <後編>

Jp そのオガンちゃんのインタビューで触れているのが今日のレポート。


ボーカル&ギターのChris Duarte。

20vベース&コーラスの小笠原義弘。

30v_2ドラム&コーラスのJohn McNight。

40v_2Chrisはもう何度もMarshall Blogに登場しているので特に詳しい説明は必要なかろう。
今回の来日の用向きはChrisのニュー・アルバム『Lucky 13』のレコ初ツアーだ。
『Lucky 13』…いわゆるOxynoronだね。外人の好きな「撞着」ってやつ。
タイトル通り、Chrisの13枚目のアルバム。

50cd当然、ショウのレパートリーでは『Lucky 13』からの曲がフィーチュアされた。
オープニングはアルバムのクローザー、「Jump the Trane」。
アルバムの最終曲をオープナーに選ぶなんてコレも何かのシャレになってるのかな?

60_2軽快なシャッフル・ブルース。
こういう曲はオガンちゃんの天下だ。
日本人が弾くベースとは思えない。
ルックスも日本人とは思えない。

70_2コレコレコレ!タマらんわ~。
この撫でるように叩くJohnのドラム。ココからすさまじいグルーブが押し寄せて来る。

80_2タイトルの「Trane」とはもちろん、John Coltraneのことだろう。
Coltraneのニックネームがアダ名が「トレーン」だ。
チョット脱線。
ジャズを聴き始めた頃、「巨人」と呼ばれるコルトレーンの何がそんなにスゴイのかサッパリわからなかった。ただ、『Blue Train』とか『Giant Steps』とか初期~中期の作品ばかり聴いていた。
ま、今でも結局よくわからないんだけど、最近は私も大人になったんだか、『Ascension』なんかメッチャかっこいいと思うようになった。
『Kulu Se Mama』だの『Village Vanguard Again!』だの、昔、通過儀礼あるいは義務感だけで買ったフリー期のコルトレーンを今ごろ引っ張り出してきては、聴いてひとりでウナってる。
ところでそれだけの巨人ゆえ、Archie Shepの「One for Trane」とか直截的なモノを除いても「trane」すなわち「train」がらみのColtrane関連の曲っていくつかあって、例えばDuke Ellingtonとの「Take the Coltrane」、「Blue Train」、自作の「Training In」もそうなるのかな?いい名前だ。いかにも「巨人」らしい。
このChrisの「Jump the Trane」もそういうことになる。
何かの昔のインタビューで読んだのだが、本人曰く、「コルトレーン」という姓は本国アメリカではかなりの珍名さんらしい。
コルトレーンなんて写真撮ってみたかったよな~。でももう撮れーん。
肝臓ガンを患い、1967年に41歳の若さで死んでしまった。
亡くなる直前に来日した時は、朝から晩までひっきりなしにアイスクリームを食べていたらしい。
ChrisはColtraneが好きで、以前の来日公演でも難曲「Moment'S Notice」を取り上げていた。
90vこのシャッフルでも既製のブルース・フレーズにまったくとらわれることのない自由な発想でアドリブ・メロディを組み立てていく。
Coltraneの影響なのであろう。
S41a2080Chrisは音色によって2台のコンボ・アンプを使い分けている。
うち1台がMarshall。

190v

JVM205C。
JVM2の2x12"、50Wコンボだ。

100_2オガンちゃんはEDEN。

110ヘッドはWT-800。
キャビネットはD115XLTがふたつ。

120v_2そして、Johnは今回もNATALを使用。
えらい気に入ってくれていてとてもうれしい。

130v_2今回のキットはアッシュ。

140_212"、16"、22"、スネアは14"x5.5"。
フィニッシュはグレイ・スパークル。
コレがまたおっそろしくいい音なんだ~!

150_2続いてはミディアム・スローのブルース「Ain't Gonna Hurt No More」。
うるさ方に言わせれば「白い」だ「黒い」だ色々あるんだろうけど、こういう曲は日本人が演るにはムズカシイよね。
オガンちゃんがインタビューで言っていた日本人の手にかかるとどうしても「ナンチャッテ」になってしまうパターンのヤツ。
タイトルからしてそう。
最近、facebookの文章を英語で書いている方を時々見かけるが、ウマい英語は何ら問題ないし、おもしろくない。
大変イヤらしいんだけど、ああいうのは圧倒的に珍妙なヤツに興味を引かれる。もうチョット勉強してからやればいいのに…。
自分も勉強の旅なかばゆえ、決して嗤っているワケではない。「人のフリ見てって何とやら」というヤツに活用しているつもり。自分でも英文を書かなければならないからね。
そういう興味深い英文に出くわすと、「英語は英語で考えなければならない」ということが少~しわかって来たような気がするんだよね。
ひとつ気になるのは、「gonna」とか「wanna」とかを平気で使っている人がいるんだけど、私は英米両方の人から文章においては絶対にそれらを使うべきではない…と教わった。ナゼならそれらは話し言葉で、断じて書き言葉ではないから。「お里が知れる」そうだ。
なので、私も必要があれば会話では「gonna」も「wanna」も使うが、文章では絶対に使わないようにしている。
多分「gonna」とか「wanna」とか、カッコよく見えるんだろうね。
一方、同じ短縮形でも日本人はこの曲のタイトルにある「ain't」は使わないね。
使われているのを聞いたことない。
かつて、穐吉敏子が自分を裏切ったコンサート・プロモーターを当てこすって書いた曲に「I Ain't Gonna Ask No More(もうアンタにゃ頼まないよ)」というバス・トロンボーンをフィーチュアしたBbのスロー・ブルースがあった。コレなんか「ain't」も「gonna」も入ってる。
敏子さんは日本人じゃないか!って?
でも、Oscar Petersonの誘いで50年代に渡米した敏子さんは、もはや完全にネイティブと見て何ら差し支えないだろう。
何せ「ニューヨーク名誉市民」だからね。でも、敏子さんは、人種差別盛んな時代に渡米してさんざん差別された経験の反動で、日本人としての矜持を保つためにいまだにアメリカ国籍を取得していないんじゃないかな?
ちなみに「ain't」は「am not」の省略形で、この曲のタイトルをキチンと書くと「I am not going to ask no more」になる。コレじゃシマらんわ。
そういえば、アメリカ人の友達は「歌で英語の勉強をしないほうがいいよ!」とよくアドバイスしてくれた。
確かPaul McCartneyの曲だったと記憶しているが、ある有名曲を例に挙げて、「ホラ、こんなに文法が変でしょ?歌はコレでいいの。でも勉強するんだったらチャンとした英語を学ぶべきだよ」…なんてこともあったっけ。
いまだに英語で苦労しとります!
今日の脱線はが我ながら冴えてるナァ。

160続いてはツイスト・フィールのアップテンポ「Angry Man」。
これもニュー・アルバムから。

170v_2しっかし、オガンちゃんのベースはタマらんな~。
右手の動きなんかを見てると自分でもできそうな感じだけど、トンデモナイよね。
もうウネる、ウネる!
アップ・テンポではサラブレッドのように疾駆し…、バウンス・ナンバーでは草原のカンガルーのように跳躍し、そしてドロドロのスロー・ナンバーではアナコンダのようにうねりまくる。
こんな風に弾けたらベースもやってみたくなる。絶対気持ちいいにキマってる。

180v_2それと、Johnのドラムもタマらんわ~。
なんでこんなに軽く叩いてるのに音が破天荒にデカいワケ?
感覚としては大二さんのドラミングを見ているみたい。
本気で力を入れるとどうなっちゃうんだろう?NATALのアッシュのキットが実にイキイキと鳴り響いている。
この人、「NATALは最高のドラムだよ」ということを口にする以外、機材に関して細かいことを一切何も言わないんだよね。一切!
日本人には絶対に見かけないタイプだ…ってこの人、アメリカ人だった。
先日、他にもアメリカのジャズ系のNATALのエンドーサーの面倒をみたが、その人も一切細かいことを言わず、スネアも含めて貸し出したNATALにものすごく喜んでいた。
ドラマーってこうなのかな?
そこへ行くギタリストは機材の話しをよくするな。とにかく皆さんMarshallのことをよく語ってくれるわ。
で、色々と歴史的なこぼれ話をしてあげるとメッチャよろこんでくれる。
昔フェデリコ・フェリーニに『オーケストラ・リハーサル』という作品があったが、弾いている楽器によって、性格が表れるのは実におもしろい。

200さらに新作からもうi曲「Here I Come」。これもミディアム・テンポで♪ザッカザッカと。

220v

既存曲を何曲から演奏して、また新作から「Crazy For Your Love」。
210v_2
そして、Bob Dylan。
以前にも取り上げていた「One More Cup of Coffee」だ。
この曲が収録されている『Desire』がリリースされたのは私が中学3年の時だった。ハードロックに夢中で、プログレッシブ・ロックの愉しみを発見した時分の私はBob Dylanなんか聴くようなタマではなかったが、「Hurricaine」にはブッ飛んだナァ…カッコよくて。
だから「One More Cup of Coffee」なんてまったく印象に残ってなかったけど、こうして聴くと、いい曲だな~。Chrisの「♪One more cup of coffee 'fore I go」という歌声が心にしみる。
260_2

大きな見せ場に差し掛かる。
オガンちゃんがインタビューで触れていた箇所だ。
新作から「Mainfield of my Mind」。
オガンちゃん曰く、「Chrisがワンコードで狂ったように弾きまくる」というヤツ。

S41a1959_2 確かにスゴイ!
まるで何かにとりつかれているようだ。
ここでもContraneの影響がうかがえる…というのはギター版「シーツ・オブ・サウンド」。

初期~中期のColtraneが目指していた「音の敷布」だ。ビャーっととにかく空間と時間を音で埋め尽くす。

250

また、狂ったように弾きまくるChrisをバックアップするふたりの御仁がすさまじい!
230v_2
毎晩身を削ってこんなことやらなきゃならないんだからキツイ稼業だ…と思いたくもなる。

280v

この人は本当にインプロヴァイズしてるね。
何も考えないで頭の中に自然に浮かぶフレーズを指に指令を出して音にしている。ストック・フレーズを並べている感じがまったくしない。
「思考の地雷原」…タイトルが示す通り、一歩ルートを間違えたら一巻の終わりとなるヤバいパフォーマンス!

350v

そうかと思うと急におとなしくなって…

240vThe Beatlesの「For no One」。
オリジナル曲ばかりだと初めて来たお客さんが飽きてしまうのでカバーを取り入れる…というヤツ。
Chrisはビートルズが大好きなんだって。

S41a1967_2 当然オガンちゃんの日本語によるMCも挿入される。
Chrisと回ったアメリカ・ツアーの話しね。

300v_2

新旧取り混ぜてショウはまだまだ続く。

290

新作収録の「You Know You're Wrong」。
ハイハイ、私が悪ぅございました!といいたくなるぐらいのオガンちゃんの魅惑のベース・ライン!
あのね、今だから言うけど、もちろんオガンちゃんにMarshall GALAの出演をお願いしたんよ。
ソウル・ジャズみたいなことを演ってもらいたかったの。
ところが、Chrisのこのグループの北米ツアーが入ってしまうかもしれない…ということで安全を見て泣く泣く諦めた。
そしたらアータ、その北米ツアーがズレて結果的にはGALAへの出演はOKだったのよ~。
時すでに遅し…もうガッチガチにMarshall GALAのプラニングをしてしまった後だったんで断念。
EDENのエンドーサーとして『Marshall GALA 2』にはゼヒご登場願いたいと思っている。
待てよ、Marshall、EDEN、NATALなんだから、何ならこの3人全員出ちゃえばいいじゃんね~。
ムリか…。
今、その北米ツアーの真っ盛りで、明後日からオガンちゃんはフロリダだ。もう暑いんだろうナァ。
ツアーは5月28日の「クンネリケッ」から翌日のメイン州はスカボローで千秋楽を迎える。
スゴイなぁ、ワタシだったらとても身体がもたんわ。
ちなみに「クンネリケッ」は「コネチカット」のこと。アメリカ人には「クンネリケッ」でようやく通じる。

270vでも、Chrisの音楽なんか日本の若い人に聴いてもらいたいナァ。
そしてこう言う。
「『音楽』ってこういうもんだよ」って。
「『音楽』ってこうして、薄皮を毎晩一枚一枚剥いでいくように身を削ってやるものだよ」って。
この言葉は我が友、三宅庸介氏の受け売りだが、けだし名言だと思う。
もちろん誰にでも簡単にできて、楽しめて、「あ~、ハッピ~、ハッピ~」というのも音楽の魅力なんだけど、やはり「芸術」はストイックなものであるべきだ。
「芸術」という言葉が堅苦しければ「娯楽」と置き換えてもいい。
人様を本当に楽しませるには膨大な時間を費やした想像を絶する「鍛錬」が欠かせない。草食系ロックの極まりない退屈さはそこに起因しているのではないか?
Coltraneは死ぬ前にこう言ったという。
「私の人生にレジャーはなかった…」
彼は音楽に人生を捧げ、『A Love Supreme(至上の愛)』など、後年は次第に宗教色増し、無調の世界に突入していった。
長年カルテットのピアノを担当したMcCoy Tynerは、あれほどのスゴ腕にもかかわらず、ノイローゼになるほどColtraneから「練習しろ」と言われ続けたらしい。

310vおなじみの「Hideaway」から…

330_2

本編最後の「My Way Down」へ。
この曲が私にとって一番Chrisのイメージかな?

320アンコールは3曲。
オガンちゃんが教えたんだろうけど、Chris直筆のセットリストには「Encore」とすべきところに本当に「残業」とキチンとした漢字で記されている。
下北沢ではどこのラーメンを食べたのであろうか?

340_2今回も「あ~、『音楽』をドップリ聴いた!」という気分に浸らせてくれた。

360v小笠原義弘の詳しい情報はコチラ⇒DANCIN' FUNKY BASS!!!

Chris Duarteの詳しい情報はコチラ⇒

370_21965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square

★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
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(一部敬称略 2015年11月25日 下北沢GARDENにて撮影)