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2015年11月13日 (金)

クリス・デュアルテがやってくるぞ(ベース野郎アメリカへ飛ぶ) <前編>

もちろん今日の記事のタイトルは四人囃子の代表曲からね。
さて、今回はオガンちゃんの話題。
前回は【春のオガンちゃん祭り】と題してお送りしたが今回は世界を股にかけた立体企画!
企画を考えて手をつけたら盛りだくさんいなりすぎちゃった!何でオガンちゃんの時はこうなるねん?
それはオガンちゃんの音楽活動の幅が広いからなんだネ~。
ということで二本立てでお送りします。

10v様々な音楽に首を突っ込んでる、ア失敬、幅広い音楽ジャンルをまたいでヴァーサタイルな活動を続けているオガンちゃんだが、そのメインに位置しているのはアメリカ人ギタリスト、Chris Cuarte(クリス・デュアルテ)との活動だ。
新旧のMarshall BlogやShige Blogに何度か登場しているのでファンでなくとも一般のMarshall Blogの読者であればその名前をご存知のことだと思う。
一昨年は目黒のBlues Alley Japanで収録した二枚組ライブ・アルバムをリリースしてその活躍ぶりを我々に見せて(聴かせて)くれた。
それが下のアルバム。
オガンちゃんのおかげで私の写真がスリーブに採用された。写真の使用に当たってはレーベルの親分であるシュラプネル・レコーズのマイク・ヴァーニーと契約書を交わしたことは何度も自慢した通り。だってうれしかったんだも~ん!チョットした鋤田正義さん気分よ。

この時の模様はShige Blogでレポートした。
コチラ  ↓   ↓   ↓
Chris Duarte Live in Japan 2012 <前編>

Chris Duarte Live in Japan 2012 <後編+YOUNG GUITAR DVD>

20cd そして、この夏はオガンちゃんがアメリカに渡り、Chris Duarte Groupの一員として全米をツアーして回った。もちろん相棒はEDENね。

12016473_1065600300140871_751586003 下はアメリカで配布されたその時の告知チラシ。
これにも私の写真を採用してもらった。
アメリカ人は私の写真が好きなのさ!←ウソこけ!
オガンちゃんいつもありがとう

30v
そして、もうすぐまたクリスが日本にやって来る!

O_o0566080013399638784 メンバーは2013年の来日時、並びにその全米ツアーの三人。
ギター/ボーカルがChris Duarte
ドラム/コーラスにJohn McKnight
そして我らが小笠原義弘

その来日公演に先立ってオガンちゃんから全米ツアーのこと、今回の国内ツアーのことで色々と語ってもらった。
面白かった~。
以下、是非ご覧くだされ!

40_2 クリス・デュアルテ来日直前!小笠原義弘インタビュー!

Shige(以下「S」):ナンダカンダでサヴォイ時代からどれくらいクリスとお付き合いされているんですか?
小笠原義弘(以下「O」):2006年ですね。10年目ですわ。
S:今回みたいにひとりで渡米してクリスと演奏したのはいつですか?
O:2013年ですね。「私ひとり」ということで言えば、それより前に日本で二回一緒んい演ってます。2011年と2013年。

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S:こういったら何ですが、他にシックリくるベースがいないからクリスはオガンちゃんを指名してくるワケですよね~?
O:ハハハ!
S:どうしてクリスはオガンちゃんと演りたがるんですかね?失礼な質問ですが…ルックスだったりして?
O:どうなんでしょうね~?気が合うんでしょうね。実際好きな音楽が似てるんです。Weather ReportとかJohn McLaughlinとか、ブルース、ロック、Led Zeppelinとかね…ほとんど同じなんです。
S;なるほど。で、今回は何か所アメリカを回ったんでしたっけ?
O:24か所ですね。
S:最初の方ではバックラインでご迷惑をおかけしちゃってスミマセンでした!例の「ポンティアック事件」!


※ポンティアック事件:オガンちゃんのリクエストでEDENのスタック・アンプをツアーの初頭から使えるよう、アメリカのMarshallのディストリビューターに頼んで滞在先のミシガン州ポンティアックのマリオット・ホテルに送り出すよう手配してもらった。
手配は完璧だったのだが、待てどくらせどオガンちゃんの手元にはヘッドしか配達されなかった。
荷主は「両方絶対送った!」、荷受人であるホテルは「絶対に荷物は一個しか来てない!」と譲らない。こっちはコントロール・タワーとして、眠い目をこすりながら真夜中にオガンちゃんからの報告を待ち続ける…。
「待てよ」…現地でクリスにも手伝ってもらって運搬を担当したFedEXを揺さぶったところ、ポンティアックにはマリオット・ホテルが二軒あって、ナゼかFedEXはキャビネットをもうひとつのマリオットに届けてしまったことが判明。
時すでに遅し!コレがわかった時にはもうオガンちゃんは次の巡業先に移動済。FedEXは大謝罪。
結果、時間を読んで完全に受け取るところができる先まで一番早い便でFedEXが無料で再配達したという次第。
日本だったらこんなことチョチョチョイと電話一本で片付けちゃうけど、やっぱり海外ってのは何をやるのも大変ですわ、ホンマ。
こっちは荷物が出て来るまでもう気が気でなかったワイ。

<下の写真はこの時オガンちゃんから送られてきた荷主振り出しの証拠のインヴォイス>

Invoice

S:で、ツアーはどんな感じ
O:今回はリハーサルなしで始まったんですよ!
S:ギャハハ!
O:スタート前にクリスの家に泊まらせてもらって軽く打ち合わせをしたんです。以前にも一緒に演っていますから、曲は覚えていました。
でも大半が新曲で…。キーが変わっていたりとか…。
でもそこは気持ちが通いあってるということで乗り切りました。
S:「キーが変わる?」
O:CDとキーが違ったりするんですわ。上がったり下がったり…。だいたいクリスはDチューニングなんですよ。
S:全部の弦を全音下げてるってこと?

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O:そうなんです。曲もドンドン変わっていく。最初、全部で37曲もらっていたんですが、最後には63曲になってもうた。せやから毎日曲を覚えなアカンのですわ。
S:その中に旅の途中でレポートしてくれた例のMingusの「Boogie Stop Shuffle」があったワケですな?(「Boogie Stop Shuffle」)は、急速調のマイナー・ブルースを基調としたベースの巨人Charles Mingusの人気曲)
余談だけど、コレをJack Wilkinsが五人のギター・アンサンブルにアレンジしたスコアがあるんですよ。音はない。

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O:ホンマですか~。クリスもアレンジして演るんですよ。テーマの構成をチョット変えたりして…。で、ギター・ソロが来て、ベース・ソロですわ。
S:あのテンポでベース・ソロは大変だ!ああいうレパートリーはどうやってキマるんですか?
O:クリスは昔からMingusとかThelonius Monkとかスキなんですよ。You needナントカとか?
S:「Well, You Needn’t」?
O:そうそう。ああいうの演りよるんですわ。
こっちもYouTubeに上がっている曲を全部チェックして予習していくんですよ。それでも知らない曲がジャンジャン出て来る。
S:そりゃいくらやったってキリがない。

70v

O:本番でスリー・コードじゃない曲を平気でいきなり演りよりますからね。サインが出るんですわ、コードが変わる時。精神力が鍛えられます。
S:それで一回で覚えなきゃ失格なんでしょ?向こうのジャズの連中は一回でコード進行覚えなければ使ってもらえないとか聞きますもんね。
O:はい。それで、ジャズ系の曲の時はこう言うんですよ、「ヨシ、どんな時でもスウィング感がなければダメだ!」って。
シャッフルかてそうです。言うたら連中ってホンモノなワケじゃないですか?だからイチイチ訊くんですわ。「コレでいいか?」って!
S:するとクリスは?
O:「大丈夫、大丈夫!日本人のシャッフルはチョット違う」…って言わはる。
S:やっぱり。いつもマーブロで言ってるヤツですな。「3」の感覚。
O:そう!クリスは「ヤング・ロック・シャッフル」って表現してましたね。「それでもいいけど、ZZ Topはああいう風にはしてないよ」って。
S:でもああいう人と演っているとグーッと引っ張られて自然といい感じになるんでしょ?

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O:毎回本番を録音しておくんです。で、ギグが終わって、食事して、部屋に帰って練習しましたよ。負けていられないんで!で、そういうところを連中は見てるんですね。それで「良くなってる、よくなってる!」って。シビアですよ。
S:あんな自分のことを「ラーメンくん」なんて言ってるのにね!
O:だから言ってましたよ。「最近チョットギターがウマく弾けるようになった」って。それまではいつも「僕はダメだ!」って言ってた。
「十分やろ」おもいますけどね。
S:以前「Moment’s Notice」を演っていましたよね。クリスはやっぱりColtraneが好きなんですか?
O:そうです。大スキですね。そういうフレーズが出て来る。
S:そうですね。あとソロの組み立て方とかColtrane的なものを感じさせますよね。すごくカッコいい。
O:そう、ブルースの方と彼の中には二種類あるんですね。
S:ライブ・アルバムには収録されなかったけど、あのブルースアレイでイスに座って真剣に「Moment's Notice」を弾く姿がとても印象的でした。
あの時はジャケットの写真、お世話になりました!
O:イエイエ、こちらこそ~。みんなあの写真とデザインすごく気に入ってるんですよ!
S:うれしいです!なんたってシュラプネルですからね!
で、話しは戻って、お客さんの年齢層はいかがです?
O:やっぱり高いですよね。十代のギターをやってる若い子なんかも結構来ますよ。あのね、圧倒的に女性客が多いんですよ。
S:クリスは比較的コンスタントにアルバムをリリースしていますが、アメリカでは一体どういう人達がクリスのCDを買うんでしょうね?我々みたいな連中か?

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O:そう、我々みたいの。でもファンはすごく多いんですよ。だから今回はどこへ行っても満員でした。
S:ピンですよね?
O:そう、ピンです。で、大きなブルース・フェスティバルなんかではヘッド・ライナーも務める人です。
S:基本的にずっとトリオですか?
O:トリオですね。
S:向こうのライブハウスって始まりが遅いって聞きますよね、11時とか…。
O:ハイ、でも僕らに限ってはどんなに遅くても九時です。その代りツーステージ演る。
S:それ典型的なパターンではどんな感じなんですか?
O:彼らは厳格な契約社会に生きてますから、ブッキングの時に「何分演る」ということをキッチリ決めるんですね。70分×とか、90分×2とかいう形になってくる。
S:それは同じ内容を二回演ってもいいんですか?
O:ダメです。入れ替えではないので、ファースト・セットとセカンド・セットは違う内容にしなければなりません。
S:ということは90分×2で三時間分の曲のストックがないと回りませんよね?
O:そうです。ですから毎晩24、25曲を演奏します。
S:それでお客さんは帰らないで最後まで大盛り上がり?
O:イヤイヤ、セカンド・セットの最後の名曲が並ぶところなんかお客さん帰ってますよ。だいたい一時ぐらいになってますから!もしくは酒飲み過ぎてベロンベロンで演奏聴いてないとか!
S:話は脱線しますが、そんなんなっちゃうとみんな車を運転して帰るんですか?
O:ダメです、ダメです!
S:じゃ、代行?
O:代行なんてありませんよ、アメリカには!

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たいてい飲まない人がひとりいるんですよ。例えば夫婦で来れば奥さんが飲まないで運転するとか。
とんでもない田舎で演奏する時もあります。そういう時は当然車で皆さん来はりますが、飲みませんね。
S:え、結構みんな飲んでも平気で運転するのかと思ってました。
O:イエイエ、厳しいですよ。罰金百万円とか。日本でも今は運転者に酒を出すと罰せられますよね?アレは全部アメリカがお手本です。昔からああいうシステムです。
S:何となくそんなに厳しいという認識はなかったな。
O:車に酒のボトルがあっただけで大変です。そのボトルのフタが空いてたらまずアウトですね。もちろんふたを開けずに福利にボトルを入れて車に置いておいただけでも警官に見つかると結構怒られますよ。

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アメリカでは外で飲んだだけで逮捕ですから。店内だけです。もし、ボトルをもって店内からでたところにお巡りさんがいればどこかへ連れて行かれます。
ラスベガスみたいなところは別ですけどね。ベガスはアレ、少し日本が入ってます。
S:お客さんのようすは一般的にどうなんですか?曲を知っていようがいまいが、アタマっからガ~ッみたいな?
O:ガンガンにいきますよ!クリスもブッ飛ばしていくんですよ。アタマ三曲立て続けで、それからシャッフルですわ。スピーディですね今回は。
S:新譜も出たことですし、オリジナル曲で攻める?
O:イヤ、今回はカバー演っとるんですわ。前からBob Dylanは演ってるんですど…
S:ナンでしたっけ?

O:「One More Cup of Coffee」
S:『Desire』ね。
O:それとビートルズの「For No One」。
S:ポールの?アレは『Revolver』か。
O:ニューアルバムに「Minefield なんやら(Minefield of my Mind)」という曲があるんですけど、コレがすごいんですわ。ワンコードで狂ったように弾く。嵐のような曲ですわ。(YouTubeで確認したらコリャなるほどスゴイ。Jacoの「Crisis」を連想させた。このベースをオガンちゃんが弾くのかと考えただけでトリハダ立つわ)

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その曲をはさんで前後にそのカバー曲を演るんです。組曲みたいなもんですわ。
S:なんで「For No One」なんだろ。コレだけ弾いたけど「誰のためでもない」みたいな?
O:ガッハハハ!彼、ビートルズ大スキなんですよ。
それと、クリスはよく「8割オリジナル、2割カバー」って言ってますね。初めて来たお客さんが知らないオリジナル曲ばかりだと飽きてしまうので、だれもが知っているような曲を混ぜよるんですわ。ホンマ、お客さんを楽しませることを絶対に忘れない。そういうところはスゴイと思いますね。
S:そんなん聴くと今度の日本でのギグが楽しみですね。
O:今回は公私ともにクリスと関係があった人達全員に声をかけてるんですよ。「トモダチ」というのをテーマにしたんです。
で、演奏の時間は80~100分。我々の演奏だけが長くなるような構成にはならないと思います。。

<後編>に続く。<後編>ではLes Paulがホームにしていたマンハッタンの有名ジャズ・クラブ、イリジウムでのレポートを交えてお送りします。

小笠原義弘の詳しい情報はコチラ⇒DANCIN' FUNKY BASS!!!


(一部敬称略)