【NAONのYAON 2014】 vol.1 : オープニング・アクト~No Rain! No Rain!
あめあめ ふれふれ かあさんが…
じゃのめで おむかえ うれしいな…
今コレを読んだ人のおそらくほぼ全員がメロディをつけて字面を追ったに違いない。
この「あめふり」という童謡は、もともと北原白秋が子供のために書いた詩で、メロディがなかった。後に中山晋平がメロディを付けて唱歌にしたらしい。
今ではお母さんがみんな外で働いていて、雨が降ろうが雪が降ろうが、傘を片手に学校や幼稚園へ迎えに来てくれることなんてことはなさそうだな。「蛇の目」と言っても意味すらわかるまい。そういえば「共稼ぎ」とか「カギっ子」という言葉もスッカリ聞かなくなった。
(昔の)子供にとってはこんなに楽しそうな「あめふり」だが、今日だけはマジで勘弁してもらいたい。
『NAONのYAON』なのだ。野音なのだ。屋根がないのだ。
昨年は雨とは無縁の快晴でこんな心配はまったくなかった。
野音で一番辛いのは真夏の暑さで、雨さえ降らなければ4~5月が一番いい。
特に5月ともなると木々の新緑が美しく、会場や高層ビルと絶妙なコントラストを生み出し、春の野音ならではの風情を提供してくれる。
今年は事前に何回天気予報をチェックしたことだろう…。週間天気予報では一週間前から完全に雨。それでも、最近は天気予報もハズれることも多いので初めのうちは楽観視していた。
本番の数日前、リハーサル・スタジオで恵子さんにお会いして天気の心配を話すと、いかにも恵子さんらしく、「ダイジョブ、ダイジョブ、アタシが吹っ飛ばしてやるから!」…と頼りになるお言葉。
恵子さんなら本当に雨なんか吹っ飛ばしてくれそうだ。何しろ恵子さんは「雨」より上の「嵐」だからね。
…と「快晴」への期待を寄せつつ、天気予報をチェックし続けると、もはやどうにもならないぐらい「雨」。
本番の前々日、「もうダメだ~!」と観念して雨対策に入った。
野音は傘が禁止されているので、まずはしっかりした雨合羽。大量のタオル。そして、通販でカメラ用のカッパを2枚購入。ビニール袋にチョコッと手を加えて緊急避難的にカメラを濡らさないようにする方法もあるが、何しろ4時間を超す長丁場だ。この日本を代表する名イベントの出演者の熱演を撮り逃すことのないよう万全の態勢で臨もうとしたのだ。コレでよし…と。
さて、お待たせしました!
SHOW-YAが世界に誇る名イベント『NAONのYAON』のようすを昨年同様、今日から5日間にわたってレポートする。
お世辞にも「いい天気」なんて言えないが、とにかく雨は降っていない!やっぱり恵子さんが雨を吹っ飛ばしてくれたんだな。
それでも今にも泣きだしそうな空。もう少ししたら、空が破けて海がせり上がって来るに決まってる。
ステージのようす。野音とMarshallのコンビネーションは実にシックリくる。子供の時から見慣れた風景だ。
今回も本編の前にオープニングアクトが付いた。
出演者は野音に先立って4月5日に開催された『Cute Girls Live・ファイナルラウンド
@代官山UNIT~Road to NAONのYAON 2014~』で選出された日本のガールズ・ロックの将来を託された5組のバンド。
昨年はこのオーディション・イベントも取材したが今年はどうしても参加できなかった。だからどんなバンドが出てくるか楽しみだった。
そして、もうひとつ楽しみだったのはコレ。
オープニング・アクトでNATALのキットが使用されたのだ!素材はメイプル。
なんたって名イベントだからね。まだ日本に入って来て1年も経っていないのにNATALが使用されるのはありがたことです。『YAONのNATAL』。もう1枚証拠写真を撮っておこう!
前回ここで使ってくれたのはグッドモーニングアメリカのペギちゃんだった。
トップバッターはMerpeoples。
お揃いのこぎれいな白っぽい衣装で気持ちがいいですな~。こういうのは男子バンドには決してマネのできないガール・バンドのひとつの魅力だ。
バンドのバナーをひるがえして登場したのはCREA。このバナーは「名前だけでも覚えて帰ってください!」ってヤツか?最近この気持ちがよくわかるんよ。
NATALは「ナタル」でも「ネイタル」でもありません。「ナタール」と「タ」にアクセントを置いて呼んでやってね…というヤツだ。
この後、當山みれいさんがソロで登場して素晴らしい歌とダンスを披露してくれた。
そして、次のバンドはセッティングしている間からもうお客さんが「ちゃっきー、ちゃっきー」と大騒ぎ!
Mary's Bloodの登場だ。
Mary's BloodはすでにMarshall Blogでも紹介済みなので、マーブロ読者の方においてはご存知の方も多いと思う。
Mary's Bloodはアメリカのメタル雑誌『REVOLVER』が選んだ「日本の(メンバー全員)ガール・メタル・バンド6選」の一角に食い込んだ。
そして、この初の野音でもその栄誉に恥じない、ノビノビとして素晴らしい演奏を披露してくれた。
MARIちゃんのスーパー・テクニックがNATALのいいところを思いっきり引き出してくれたところもうれしい。またスネアがいい音しとるわ~。
それに加えてこのちゃっきーのスリリングなソロ!
これからの活躍がますます楽しみなMary's Bloodなのだ。
ちゃっきーはこの後、本編でも大活躍することになる。
ここで恵子さん登場。大歓声。
教室のドアがガラッと開いて担任の先生が入って来た時のように会場が引き締まる。
恵子さんが直々に『Cute Girls Live』の最優秀バンドを紹介する。
浮遊スル猫 (「スル」は半角カタカナが正しいそうです)
ま、だいたい見た感じのサウンド。オリジナリティにあふれていて実によろしいな。
Alice Cooperか?Ozziy Osbourneか?この感覚も独特だ。
おおよそ(曇ってがいたが…)お天道様の下で飛び跳ねて鑑賞するようなタイプの音楽ではないが、SHOW-YAのおめがねのかなうだけのことはあるポテンシャルの大きなトリオといえる。
もはや女性だけのバンドが珍しくなくなった昨今、そのシーンを俯瞰してみるに、いくつかのパターンにガール・バンドが収斂されているように思う。それは;
1.メタル系バンド
男性がしなくなった、あるいはできなくなったハード/メタル路線を立派に引き継いでいるバンド。これはひとえにこの種の音楽の花形、リードギターを巧妙に弾く女性が増えたことによるだろう。
ナゼ増えたのか…それはメソッドが確立され、それを伝授する学校が林立したからだと思う。メソッドさえ確立してしまえば、シュレッド系のギターはブルースの ような感情系のギターより格段に取り組みやすい。もちろんネイル・アートはあきらめなければならないが、女性ギタリストの間でも速弾きは珍しくなくなっ た。演者に華があるだけに、この分野はもはや男性バンドよりよっぽど見応えがあるバンドが多くなった。
2. アイドル系バンド
アイドル、コスプレ、アニメ系バンド。これは説明不要だとは思うが、失礼ながら腰を抜かすほど本格的な技量を備えているバンドに出くわすことがある。
というより、「可愛いだけでは許されない」ことは先刻承知で、キチンとした演奏ができて当たり前すぎるレベルに完全に達している。
ファンのノルさまと合わせてショウを観る楽しみは男性バンドには絶対ない楽しいものだ。
3. アングラ系バンド
アングラ系というのかサイケ調というのか、はたまたレトロ趣味とでもいうべきか…。ノイズも含めた独特の世界観を持ったバンド。
このエリアがまたおもしろい。女性の感性を活かしたその独特の世界は、男性天国だったロックの世界から一番遠いところにあるからだ。
その反対にバンドの形態をして、テレビで毒にも薬にもなたないような歌を歌っている連中にガール・バンドがいないのも興味深い。今、女性の方が音楽的に硬派ということがいえるのかもしれない。
このあたりの話し、「男性」とか「女性」とかの別を問うべきではない…などという意見も出てきそうだが、断じて男女の柵を取り除いてはならない。なぜなら、この「本格的なガールズ・バンド」というのは日本独特の文化だからだ。
いずれにしても女性のロックを抜きにして日本のロックは成り立たなくなったということだ。
そのパイオニアの一角、SHOW-YAはやはり偉大なのだ。
…とここまでは雨OK。まったく『ウッドストック』のあのシーンを思い出すよ。「No rain! No rain!」って!
さ、そのガールズ・ロックの祭典の本編の始まりだ~!
SHOW-YAの詳しい情報はコチラ⇒SHOW-YA OFFICIAL SITE
つづく
NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
日本語版は只今準備中です。
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(一部敬称略 2014年4月29日 日比谷野外大音楽堂にて撮影)