曾我泰久ソロ活動32周年記念LIVE「Now Here I am」 <後編>
『Now Here I am』レポートの<後編>いきま~す!
ところで、「Here I am」というのはもちろん「ココにいます」とか「(ココに)来ました」とかいう意味のキマリ文句。
ココに来ていなければ「there」を使って「I'm almost there!(もうすぐ着くよ!)」なんて言ったりしますな。実にシンプル。
しかしこの「Now here I am」、普通であれば「Now I am here」となるはず。
事実、Queenにそういうタイトルの曲があるじゃんね。
ココで倒置法を用いて「here」を最初に持ってきているのは、「here」を強調したいからなのね。
英語は自分が言いたいことを無作法に最初に言っちゃう。
反対に日本語の場合、日本人は大変つつましいので言いたいことは最後に持ってくる。
だから日本語は理知的で美しい。
地理的にその中間に位置するアラブ系の言葉は真ん中で言いたいことを言うという話を聞いたことがあるんだけど、一体どんなだろう?
さて、ヤッチンが強調したい「here」…コレはもちろん「ステージ」のことだろう。
今回のショウのタイトルである「Now Here I am」を「大きなお世話的」に訳すと、「皆さんのおかげで今こうしてステージに立つことができます。どうもありがとう」ということになる…と、私は読んでいる。
レポートの<後編>はヤッチンのMCから。
32年前にタイム・ワープするよ。
「チョットさ…32年前にどんなことしていたか、みんなに訊いてみましょう。
'のっつ'はその頃はまだ赤ちゃんで記憶がないと思うので…田川くんから。
何か1990年あたりの思い出がありますか?」
「その頃はまだ学生で将来どうするかを考えていました。
当時、盲学校に通っていたんですが、それはマッサージとか針灸のライセンスを取って卒業するカリキュラムでした。(透さんがすかさず後ろで「オレ、肩がこってるんだよね~!」)
免許は取得して、今でも一応持っているんですが、ペーパードライバーみたいなもんですね。
でも、当時は『自分は音楽をやりたいなぁ~』と思っていて、進路指導の先生や両親に相談したりしていました。
進路指導の先生が『周囲に音楽をやっている先輩がいないから…』とおっしゃるので、『前例がないならオレが前例になります!』…みたいな。
その頃、透さんのドラムスや和佐田さんのベースの音を耳にしていましたし、THE GOOD-BYEの存在も知っていました。
小学校の時に例のトリオの方々が1年ずつデビューされて、3人目の方がツイン・ボーカルズのバンドでデビューすると聞いて『すごくオモシロイなぁ!』と思いました。
色んなテレビで見た記憶もあります。
洋楽も聴いていましたし、『音楽をやっていきたいな~』みたいな90年代でした。
あと1、2年で卒業という時期だったので、結構揺れ動いていた32年前でした。
当時通っていた学校の先生や先輩が今でもすごく応援してくれています。
やっぱり本当にうれしいし、今日もこうやって素敵な記念のステージに出演させて頂いてとてもうれしく思ってます」「前例になる」発言に感心してナゼそんなことが言えたのか?と尋ねるヤッチン。
「根拠なんてなかったんですが、やっぱり反発するようなタイプの生徒だったんで…。
その発言から出てきたモノは何もありませんでしたけど、『よく言ったなぁ~』と思います。
若いって、幼いって、こういうことなのかな~、と今さらになって思います』
私もそうでしたよ…悪い方の「前例」。「悪例」っていうの?
「こんな悪い子見たことない!」ってよく怒られました。
透さんの32年前。
「1990年っていうと、アルバム・タイトルが『19901108』…。
まぁ、1990年11月8日と言ってるんですが、東京ドームで演ったCOMPLEX…その頃です。
あと、アルフィーのカウントダウン・ツアーが1990年にあったような気がします…ありましたね。
毎日ツーバス踏んでいました。
本編とアンコールが同じくらいの長さなんですよ、アルフィーとか。
コンプレックスを演った年にアルフィーを演っていたんですよ」
昔、透さんとフランク・ザッパの話をしていて、「オレ、本当にオーディションを受けにアメリカに行こうとしていたんだよね」とおっしゃっていた。
当時のアメリカでは、「ザッパと穐吉敏子のバンドにいたことがあるミュージシャンはオーディションの必要なし」というぐらい高度な技術的を必要とするバンドだった。
透さんが叩くザッパ・バンド見たかったナ。
そんな透さん…。
私が高校生の時、透さんが個人練習に使っていたスタジオ(目黒だったハズ)のスタッフと話をする機会があって、あこがれの東京おとぼけキャッツの透さんのことを尋ねたことがあった。
「透さんは練習の虫です」
ザッパのオーディションの話をお聞きした時、このスタジオのスタッフの言葉が瞬時に連結されたことを思い出した。
このスタジオの話は32年前よりも古い1980年の話。和佐田さんの32年前。
「32年前は爆風スランプ…バリバリ、スーパースターだった男です。
イケメンベーシスト。
すごい気取ってた時で、どうやって自分を出したらいいかわからなかった時です。
爆風スランプで売れてはいたんですけど、『自分』というモノがなかったような感じです。
そういう年頃だったのなのかも知れませんが、『自分』を思いっきり出せなかった時代かもしれないです」
すると、「ヤッチンと和佐田さんは、その頃交流があったんですか?」とヒロアキくんから質問。
ヤッチンが答える。
「ありませんでしたね。
でも末吉さんはボクのソロ・コンサートがあるとよく見に来てくれたんですよ」
「その頃、『伝説のロック・コンサート』があって、めちゃくちゃロックな人たちが出演したんです。
アナーキーとか、パンタさんとか、3つブロックがあって、ボクは最後のアナーキーのグループにゲストで出たんですよ。
もう1人のゲストは忌野清志郎さんでした。
で、ボクの出番までにすでに会場が温まってるワケですよ。
アナーキーの仲野さんが「では、世界最高のボーカリストを紹介します…THE GOOD-BYEの曾我泰久!」みたいな感じで紹介してくれたんです。
そしたら会場がザワザワってなって…そのザワザワが、ワァ~って盛り上がっていったんですね。
全然畑違いのボクがそこにいて、もうブーイングされたらどうしよう!って思っている時に1曲歌い終わって大喝采でした。
その時、末吉さんが「最高やったなぁ!」って。
アノ時のことは忘れられません!」
さぁ、ヤッチンのソロ活動の32周年を記念するコンサート、ココからがまたスゴかった!
ヤッチンのステージは、後半にMCを挟まずに立て続けに曲を演奏することが多い。
コレはもうしゃべることがなくなってしまうのと、いっぺんに演奏した方が早く家に帰れるかららしいのだが…ウソですよ~!
コレはヤッチンの旺盛なショウマンシップがなせるワザに他ならない。
徹底的に演奏して「ヤッチンの音楽」でお客さんをノックアウトしちゃおうという段取りだ。
この日はナント8曲連続!
曲を適当な長さに端折ってつなげるメドレーとはワケが違うからね。
丸々1曲ずつ演っちゃう。
私もアーティストの洋の東西を問わず45年ぐらいの間様々なコンサートに足を運んできたが、曲を丸々8つ続けて演奏したバンドって記憶にないナァ。
…これだけ書いておけば来年の年明けには軽く10曲は続けて演奏してくれることだろう。
その1曲目はヤッチンのソロの作品で唯一カラオケに入っているという「君の歌」。
まずはおとなしくスタート。
ライブの間隔が空いてしまった時、ノドを作るために1人でカラオケに行ってこのバラードを歌うそうだ。
右手でマイクを、左手でギターのネックをつかんで歌い込むことに集中するヤッチン。
ヤッチンのギター・ソロ。
そして、ヒロアキくんもソロを弾いてヤッチンのバラードをより一層ドラマティックに仕立て上げた。しかし「カラオケになった唯一の曲」っていうのはとても意外だな。
カラオケで歌って楽しそうな曲ばかりなのに…。
私はカラオケがニガテなので(それほど歌はヘタではない)、自発的に行ったりやったりすることは絶対にないのだが、どうしても歌え!と命令されたらヤッチンかThe Kinksの曲がいいわ。
「アポロ」か「約束の場所で」かな?「怒涛の8曲」の2曲目は「Carry on」。
あ、コレもカラオケに欲しいな!私の世代なんかはこのサビのメロディにグッと来ちゃうと思う。
最近、遅ればせながら観たアメリカ映画『グリーンブック』の最後の方のシーンにこのサビのメロディに共通することを偶然発見した…普通の人は気が付かないと思うけど。
この映画はとってもよく出来てます。sourcesのヴァイオリンの2人が入ったバージョンがまたすごく良いのだが、今日はsourcesからは'のっつ'のみの参加で曲に厚みを加えた。
'のっつ'のソロのソロ活動だ。
ヒロアキくんのソロが素晴らしい!
今回は後半で集中してフィーチュアされた感じ。
そういえば、ヒロアキくんにも『Fly Away』というソロアルバムがある。
「My Eternal Dream」というヒロアキくんのテーマ・ソングのようなカッコいい曲が入っているので、未聴の方はゼヒお聴き頂きたい。Marshallギタリストのヒロアキくんはいつも通り愛用のJVM210Hと1936を使用。一方、コチラは新しく導入したギター。
いい感じ!
ヤッチンがその青いギターをガツンと弾いて…
ヒロアキくんの赤いギターで弾くメロディが乗っかる。
「赤」だの「青」だの…。
そう、「約束の場所で」だ!
私の「架空カラオケ」のレパートリー。
次回はオレンジ色のギターもお願いします。
この「Tomorrow Never Knows」を連想させるベースがまたいいんだ~。
でも不思議なことに、ビートルズの「Tomorrow Never Knows」はジョン・レノンが作った歌謡一部形式(「トロイメライ」みたいにサビが出てこない曲の形式)の強引なワンコードの曲で、ポール・マッカートニーは驚くことに全編でルートの「C」の音しか弾いていないんだよね。
それでも連想しちゃう。
さらに不思議なことには、ヤッチンはこの曲のインスピレーションを「Tomorrow Never Knows」ではない他のビートルズの曲から得ている。
音楽って本当にオモシロイね。
そして、つくづく思うのは、「いい音楽」を聴いている人からしか「いい音楽」は生まれない…ということ。
ま、当たり前なんだけどね。
しかし、この曲のサビはいいな~。
いつ聴いてもニコっとしちゃう!その魅惑のサビのメロディにつけるヒロアキくんのコーラスが絶品!今日のヤッチンはいつもよりギター・ソロ多し。
喜んでいたファンも多かったのでは?
この青いギターを新たに導入したからかな?一方、いつもと変わらないのはMarshall。
JVM410Hというフラッグシップ・モデルと世界中のギター・アンプ・メーカーがマネッコしている1960Aスピーカー・キャビネット。この曲でもヒロアキくんのギターがフィーチュアされた。
お客さんも手を振り振り身体を揺らした「愛を育てよう」。透さんが叩き出す軽快なグルーヴが小気味よい!「♪愛を育てよう 花を咲かせよう」
この曲もまたヤッチンの魅力がギッシリと詰まった代表作だと思う。
ガラリと変わってシンプルなロック・ビートで「Love Potion」。
ココは以前なら「エイト・ビート」という言葉を使うところだけど、恥ずかしながら英語圏の人が「フォー・ビート」とか「エイト・ビート」とかいう言葉を使わないことに最近気がついて今悩んでいるところなのです。
I-VI-II-Vの超定番のコード進行に乗せたイントロのメロディがとてもカワイイ!
『Super Rare Trax』の最新作に収録された楽しい1曲。ギター2人が呼応してハーモニー・パートを弾く姿もカワイイ!皆さん、これらの曲はすべて間断なく続けて演奏されていることをお忘れなく!どうしてもリズム隊の2人のパフォーマンスに耳を奪われてしまう「流されて」。もうこの和佐田さんはタマらんよね。
リズム隊の2人のプレイがバッチリとフィーチュアされた。
この曲は一番最初のソロ・アルバムに収録されているんだネェ。
でもヤッチンのバンド・フォーマットのステージでは必ずと言っていいほど取り上げられる1曲。
時の移ろいに流されることなく、32年もの歳月を経てもこうして愛唱されている一編なのだ。
今日の3曲目に演奏した「Steppin' Out」も同様だ。 ハードなリズム隊には徹底的にハードなギター・ソロで迎え撃ったヒロアキくん。
コレが田川ヒロアキのギター<ハード編>だ!
音を出しているのはMashallです。 そしてヤッチンもソロをキメた!
ん~、スゴイ盛り上がり感!7thコードのかぐわしき香り漂うストレートなロック・ロール・ナンバーは「21st Century」。
こうしたクラシカルなロック・フィーリングを持っているのもヤッチンの魅力だ。
やはり聴いている音楽がいいのだ。
配信でご覧の皆さんもブラウン管(←じゃないよね?パソコン?スマホ?それともLEDディスプレイ?)の前で身体を揺らしていることだろう。会場はもう盛り上がりの極致!そしていよいよ8曲目にして本編最後の曲は…「Stand Alone」!
8曲を寸分の狂いもたるみも緩みもなく完走してヤッチンの音楽の魅力を最大限に引き出した4人!
「皆さま、私は本当に幸せ者でございます。
記念日をこんなにお祝いして頂けるなんて最高でございました。ありがとうございました!
今日は32周年で微妙な数字ですけれども、先ほども言いました通り、来年からは1年ごとに周年がやってまいります。
キチンと区切りのいい周年です。
いよいよ来年の1月の7日には私も60歳。
今年のバースデイ・ライブの時に言いましたけれども、来年の会場はまだ仮予約なんですけど、いつもの倍くらいの感じなんですよ!
皆さん、ホントにお願いしますよ!
60歳の門出を大いに盛り上げて頂けたらなと思います」
そして、Tシャツ他、オリジナル・グッズの紹介。
ここのところ恒例になっているデビュー当時の写真を採用した「アクリル・スタンドと缶バッジを探せ!」のコーナーも挟み込まれた。
正解の発表です!
アクリルスタンドは…
'のっつ'のキーボード・スタンドのセカンド・タイアの上。
そして缶バッジは…和佐田さんの譜面台のウラでした~!
みんなは気が付いていたかな~?そして、この後、最後のメンバー紹介をしてアンコールの1曲目の演奏をスタートさせた。
お!また私のカラオケ曲「アポロでドライブ」だ!やっぱりサビでグッと来ちゃう。アポロ11号を叩き落さんばかりのヒロアキくんのソロ。
コンパクトだが説得力は十分!それを見守るヤッチン。「最初のライブでも歌ったこの曲で終わりたいと思います」と紹介した次の曲は「Round & Around」。
ヒロアキくんもドラムスの近くまでにじり寄って最後のギター・ソロに魂を注ぐ。アンコールでもテンションの高い演奏でショウの最後を盛り上げてくれた4人!
この曲は演奏の前にヤッチンが口にした通り「最初のライブで演奏した曲」であり、32年前の最初のソロ・アルバムに収めた曲であり、「アポロ」からつなげるクダリは55歳のバースデイ・ライブの時と同じ構成であり…きっとヤッチンの中でも重要な位置を占めているのであろう。演奏後のルーティンはヒロアキくんのエスコート。「ありがとうございました!」そして、ステージを下りた直後も1枚パチリ。
「ヤッチン、ソロ活動32周年おめでとう~!」
曾我泰久の詳しい情報はコチラ⇒soga21.com
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