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2022年2月16日 (水)

藤澤健至 Plays STUDIO

 
おかげさまでSTUDIOシリーズが発売後3年を経ていまだに好評だ。
10
今日は高梨康治さんとの数々のレコーディングやGRANRODEOのライブ等で活躍中の藤澤健至さんのご登場。
これまでにも幾度となくMarshall Blogにもご登場頂いている。
 
健至さんは、熱狂の高梨さんのライブでも…40真夏の富士急ハイランドでも…

50 GRANRODEOの東京体育館の大ステージでも…
いつもMarshallのJVM。60v そんな健至さんにSTUDIOシリーズを試奏して頂いた。
実はかなり前からご試奏のリクエストを頂戴していたのだが、超多忙な健至さんのこと、なかなかタイミングが合わずノビノビになっていた。
そこで今回は強引にお時間を作って頂き、某レコーディングの現場に押しかけて来たというワケ。
メタルからジャズまでこなし、歌心のあるテクニカルなフレーズを身上としている健至さんのギター。
この日をすごく楽しみにしていたのだ!
20試奏して頂いたのは例によってSTUDIO VINTAGEシリーズとSTUDIO CLASSICシリーズの2種。
キャビネットに搭載しているスピーカーはVINTAGEとCLASSICともに「Celestion V-Type」と共通なのでVINTAGEシリーズのキャビネットを兼用した。
インタビューは全て弾き終わってから感想をお聞きするスタイルを採った。
 
それでは早速…
70vMarshall Shige(以下「S」):まず…全部試して頂いていかがでしたが?
藤澤健至(以下「K」):予想以上にヨカッタです。
20Wと聞いていたので、音が小さかったり、コシが無かったりするのかな?…なんて思っていたんですが、音量もデカくてコシもあって、100Wと言ってもわからないじゃないか?という感じですね。
ワッテージが小さい分ゲインも上げられるし…。
S:普段はJVMをご愛用頂いていますが、ディストーション・サウンドを出す時は歪みのチャンネルを使って、外部の歪み系のエフェクターを足したりして…
K:…いません。
OD1とかOD2そのままの音です。
ま、ソロに関してはエフェクターをつなぐこともありますが…。
ボクはOD1の音が好きなんですが、OD1だけでイケちゃう場合は歪み系のペダルを使ったりすることはありません。
ボクの場合色んな現場があるので、使い方も仕事によってマチマチなんですが、OD2でゲインを絞って、歪み系のペダルをつないでミッドを調節して弾いたりすることもあります。
S:久しぶりにJVMの説明をしますが…コレ、発売された15年前はしょっちゅうやっていたんですよ…OD1はそれ以前のJCM2000系のサウンド、OD2は「今までMarshallになかったサウンド」と言う風に設計したんですね。
だから今さらですが、そういう使い方なんていうのはオモシロイかも知れませんよね。
K:ボクは前からそういう歪みの強いチャンネルのゲインを下げて使うのが好きなんです。
その方が低域がタイトになるんですね。
S:そんな時、ギターのボリュームは?結構イジる派?
K:「イジる派」なんですけど、ロックやメタルの時はズッとフルテンです。
1_jvm4
S:それではいよいよSTUDIOシリーズのお話を伺いましょう。
まずは1959の小さい版の「STUDIO VINTAGE」から….。80vpS:今日はリンクしてお使い頂きましたね。
K:ハイ。ボクは本家本元の1959を使ったことがないので比較はできないんですが、とにかくメチャクチャ反応が速くて、音量を上げても割れない…というか、イヤな感じが全くしてこない。
90K:音楽のジャンルがボクとは違いますけど…ブルースとか、ファンクとか、何ならジャズまでイケるみたいな。
ボリュームをコントロールして後はペダルでプッシュしてあげればメチャクチャいい音になるでしょうね。
110S:試したキャビネットは初めは2x12”のSV212、それから1x12”のSV112に替えた時、「オオ!」って叫んでいましたよね?

140p_2 K:アレはですね、2x12”の時は音が散って聞こえる感じ?…レンジが広いっていうのかな?
それが1x12に替えた途端、音がギュッとまとまって、痛いところが全部消えちゃった。
ボクの好みの音だったんです。
ボクからするとAC/DCとか懐かしのサウンド…ヘヴィメタル以前の音。

100S:これまで試して頂いた皆さんもあの1x12"のSV112を特にお気に召していらっしゃいましたよ。
今までにありそうでなかったサウンド?
すごく評判がいいんですよ!
K:やっぱり?

110_2S:コンボにSV20Cはいかがでした?「ウワ~!コンボの音がする!」って…。

150p K:はい、コンボの音ですよね。
S:コンボですからね。
160vK:ボクはコンボ・アンプにはなじみが薄いんですが、アレはアレで使い道があるな~と思いました。

180健ちゃんの弾くSTUDIOの音を聞きつけて高梨さんご登場。
「どんな感じ?」190高梨さんはステージではショルダー・キーボードを携えて健至さんとギンギンな演奏をされる。
レスリー・スピーカーのサウンドに芯のある音をつけ加えたいという考えがあって、ガッツのあるアンプを探していたというのだ。
200ということでSV20Cを鳴らしてみた。
Deep Purple炸裂!
『Classic Rock Jam』で冠さんがしきりに「タカナシ乳業!」とかけ声を上げていたのを思い出してしまった。
さすがにワッテージが小さいのでうまくいかなかったが、Marshallの100Wヘッドに大型のキャビネットをつなげば相当迫力のあるサウンドに仕上がりそう。
最近、「Marshallで鳴らしたい」というキーボード・プレイヤーの方にたて続けにお会いして実際に弾いて頂いたが、とてもいい感じの音だった。
Marshallは70年代にはしきりにオルガン用のアンプを作っていたのよ。210S:次に移りましょう。JCM800 2203の方…「STUDIO CLASSIC」シリーズ。
コチラも2x12”キャビの方から試して頂きましたが、一発でシックリきていたような感じでしたね?
220vpK:(即座に)きましたね~!
コレはもうずっと長い間頭の中に描いていたMarshallの音です。

0r4a0078K:歪みの感じも1959より現代寄りですし、も~とにかく文句のつけようがない!
他にナニも要らない感じです。

120S:しかし、そんなに2203系の音がお好みなら、そのまま2203を使えばいいのに…。
もちろんそこはワッテージの大小という問題があるんでしょうね。
他にこのSTUDIO CLASSICがシックリくるポイントって?147K:ワッテージが小さい分、音のまとまりがいいんだと思うんですよ。
S:まとまり?
K:ま、JVMを愛用していてナンですが…ワッテージの大きなアンプって、大きな音を出した時に出て来る耳に痛い部分とかがチョット苦手なんです。
その点コレはそれが和らぐ…というか、とにかく全体的にまとまっていてとても使いやすいですね。
ゲインをマックスにしてもメチャクチャは歪まない…でも、マックスにしている分サスティンはある。
そして、音がとてもクリア。
そんなところもスゴくいい感じでしたね。
145_2S:そしてキャビネット。
コチラの方は1x12”よりお2x122の方がシックリきたんですよね?
K:そう。こっちは2発の方がヨカッタ。
ナンなんでしょうね?…相性なのかな?
アレならペダルをうまく使ってメタルからブルース・ロックまでどんな音楽でもできると思います。
70年代や60年代のロックもバッチリでしょう。
S:70年代、60年代ネェ…私の世代ですね。
しかし、健至さんと私は19歳も年が離れていて、世の中の音楽もガンガン変わっているのにこうしてMarshallのサウンドの魅力でつながることができるというのはスゴイことですよね。
それが伝統というモノなんでしょうけど、やっぱり一番はサウンドに「個性」があるということなんだろうナァ。
220vK:ボクの初めてのMarshallはJCM800でした。
世代的にはハイゲインのアンプがドンドン出て来ていて、スタジオに入って2203を弾いたらゼンゼン歪まなくて驚きました。
でも今になってみるとそれがすごくいい音だったワケで…。
S:ハハハ、我々の世代は1959でその「歪まない!」を体験したんですよ!
K:アハハ!「世代の差」ですね~!「ゲインの差」って言うのかな?(2人爆笑)
やっぱり子供の頃は音が良かろうと悪かろうと、スタジオに入って大きな音を出すのが楽しかったワケですよ。
だから、とにかくアンプでガツンと弾いた方がもう単純に楽しいにキマっています。

Tu_2S:いいこと言うわ~。
今ではギターは買ってもアンプを買わない、つまりアンプでエレキギターを弾かない…なんてことがほぼ当たり前になっているようですが、そんなの気の毒だし、憐れに思いますね。
ロックの場合、チャンとしたアンプで大きな音を出して弾かないのは、半分ギターを弾いていないようなモノです。
また、その魅力を忘れた途端、世の中の流れがヒップホップに打って変わってしまった。
ロックは本来持っていたカッコいい部分を自ら切り捨ててしまったんじゃないかな?
K:なるほど…。
S:でも、Marshall以外のアンプも使われていたことはあるんでしょ?
K:他のアンプももちろんすごくいいんです。
でも、Marshallってスゴい「王道感」がありますよね。
マンガで言えば「主人公」。
ハンサムで主人公のライバルを演じる「脇役」が他のアンプってイメージがボクにはあるんですよ。
そういう脇役も魅力的なんですが、やっぱり後ろにいるのが主人公だと安心できるんです。
だから結局ボクはMarshallですね。
S:どうもありがとう。
そう。脇役や悪役が魅力的でない映画は全くオモシロクないですからね。
K:ハハハ!

250S:ところで、CLASSICのコンボ、SC20Cはいかがでした?
K:あ、コンボもすごくヨカッタ!
(ジッと音を聴いている高梨さん)

240S:健ちゃんが弾いているのを聞いていて、それこそ音がスゴくまとまっているな…と思いました。
K:ボクもそう思いました!
コレはスタックとコンボを使い分けたい感じですよね。
でもボクのスタイルとしてはやっぱりスタックですね。
ヘッド(SV20H)と2発キャビ(SC212)に歪み系のペダルを足してやればもう十分ですね。
230 S:最後に歪み系のペダルを足して弾いてもらいました。
K:はい。アレはどちらかというとTS系のペダルで、そんなに歪むタイプのモノではないんです。

290 S:とても弾きやすそうに見えましたが…
K:弾きやすいです。
特にメロディ関係がとても弾きやすい。
ピッキングのニュアンスがすごくキレイに出るんです。
0r4a0087S:ピッキングするたびに「キュイッキュイ」っていってましたね?
K:あの音が好きなんです。
e-ZUKAさんはナニを弾いてもキュイキュイ鳴るんですよ…弾き方なんでしょうね。
でもね、あの音を出そうとしても出ないアンプってあるんですよ!
特に歪みが深すぎるとダメなんです。
あの「キュイキュイ」ってピッキングのノイズですよね?
歪みを深くしすぎるとそのノイズが負けて聞こえなくなっちゃう。
ボクがあまりディストーション・ペダルを使わない理由はそれもあるんです。
S:ピッキングはギター・サウンドの最も大きな魅力のひとつですからね。
ギターは絶対「右手」です。
K:エディでもジミー・ペイジでもみんなキュイキュイいわせています。
ボクはあの音が大好きなので、メロディを弾く時もバッキングを弾く時も割と出すようにしています。
それに適しているこのアンプは最高に良いと思います。

190_2S:ライブ・ステージとかレコーディングでこのSTUDIOシリーズを「こう使ってみたい」…みたいなアイデアって何か頭に浮かびますか?
K:SC20HとSV212の組み合わせで十分ライブもできるし、あと足元をチョット考えればそれだけで十分でしょう。
イヤ、ロック系の音楽だったらSTUDIOだけでゼンゼンいけちゃいますね。
S:健ちゃんが関わっているような現場だとどうでしょう?
K:ウ~ン、やっぱり複数のチャンネルは欲しいですね…せめて2チャンネル(2人爆笑)。

TuS:できないんですよ~。それをやっちゃうと途端に音が変わっちゃう!
1チャンネル、ノー・マスター、ノー・ループという構造が一番いい音を出してくれる。
K:なるほど。
でもね、小さくて軽いワケですから現場に2台持って行けばいいんですよ。
それでナンの問題もない。
ただ、バンドの編成によってはキャビは4x12”の方がいい場合もあるかも知れませんね。
やっぱり背中からガツンと聞こえるというのがなくなっちゃうのはマズイ…そこだけですかね?
でも今のままで不満は全くありません!
S:他には?
K:JVMが出すハイゲインのサウンドと組み合わせて2台同時に鳴らすのもオモシロイかも知れませんね。

180_2S:ルックスはどうですか?
K:ロックは見た目が大事ですからね。一番Marshallのルックスがいいと思います。
S:ありがとうございます!よく言われます。
ジム・マーシャルのセンスです。
K:見た目といえば、今日は1960では試しませんでしたが…でもあのヘッドのサイズだからあのキャビネットがいいのか…。
K:見た目はそうでしょうね。
サウンド的には、以前Class5という5Wのモデルがあって、アレで1960を鳴らすとチョット物足りないというか、鳴らしきれない感じがしたんですが、このSTUDIOは1960でもイケるようです。
ま、音は1960の音になりますが…。
K:もうそれでナンの文句もありません…文句を探そうとしても何も思い当たりません!
S:若いのにいいこと言うな~。
K;いいでしょう~?(2人大爆笑)
(スタッフさん:もう若くもない!)
S::イヤイヤ、私より20も下ですから!

0r4a0132健至さんはまたこの後レコーディングの作業に戻って行った。
 
この日もロックからジャズまで実に味わい深いフレーズを並べてSTUDIOを鳴らしてくれた健至さん。
神経質にアンプをイジくり回すこともせず、一旦どんな音が出るのかを確認すると、自分のプレイの方でそのアンプの特徴的なところを引き出してくれたような印象を持った。
そして、その中で自分の個性を出していく。
ヴァーサタイルな仕事をこなしている人一流のテクニックを見たような気がした。
実現までにずいぶん長い時間がかかってしまったが、この日を待っていただけの甲斐があった楽しいひと時だった!

170vさて、健至さんの近況…相変わらずお忙しい!
 
数々のレコーディングをこなしている他、下は現在絶賛放送配信中のアニメ、「バキ/BAKI」シリーズの『範馬刃牙』の音楽も担当している。
 
詳しくはコチラ⇒『範馬刃牙』公式ウェブサイト
1_©板垣恵介(秋田書店)/範馬刃牙製作委員会

英題に『SON OF OGRE』とあるね。
この「ogre」というのは北ヨーロッパでは人の生肉を食らうきょぼうな怪物の種族で、日本で言うと「鬼」のイメージに相当するらしい。
英語読みでは「オーガ」。
Queenのセカンド・アルバムに「Ogre Battle(オーガ・バトル)」という曲があるが、アレ。
「昔々…」と年老いた男が話してくれる鬼退治の話。
だからあの曲は「ピーチ太郎」という邦題にするべきだったのだ。
でも、曲はヤケクソにカッコよかった。Q2また、下はMarshall Blogでもビデオの収録のようすやイベントをレポートした健至さんが参加している『THE LAST METAL』。
CDが先月出来した。310DVD他がついている初回限定盤と…

320通常盤。
 
『THE LAST METAL』のレポートはコチラ⇒THE LAST METALのMarshall

330 S:さて、健至さん、最後にひとことお願いします。
K:さっき言いました「いまだに頭の中にある昔のJCM800」より良い音です。
とにかくいいアンプだと思います!
S:どうもありがとうございました!
K:こちらこそありがとうございました!340 

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 200(一部敬称略 2022年1月 都内某スタジオにて撮影)