雲のむこうにいつも青空~amber lumberレコ発ライブ
久しぶりのamber lumber。
昨今のコロナ禍にあってamber lumberも活動には色々と制約を受けているに違いないが、このチームには踏みとどまることなく着実に前進し続ける力強さを感じる。
今日はその単独公演のレポート。
相変わらずの細かい物販がうれしい。
言い方は失礼かもしれないが、この「駄菓子屋」感がすごくいいんだよね。
幼い頃、駄菓子屋好きだったナァ。
ウチの近くの人気の駄菓子屋は「カネコ」といった。
看板すら掛かっていない普通の古い平屋建ての民家で、店名などなかったハズだ。
それを誰かが「金子ナニガシ」という玄関に取り付けてあった表札を目にして「カネコ」と呼び始めたのだろう。
当時、そのエリアの子供たちにとって「カネコ」はひとつの有名ブランドだった。
私の記憶では、一番安い商品は小さなビニール袋に入ったラーメンのような菓子で値段が2円だった。
アンコ玉のように1ケ5円などという値段は当たり前で、20円の商品となると大変な高級感を放っていたものだ。
まぁ、ラーメンが80円ぐらいの時代だからね。
駅前の立ち食いそばが50円ぐらいだったかな?
店番は決まってその家のクシャクシャなお婆さんで、ニコリともしていなかったが、カネコの人気は他の駄菓子屋を寄せ付けなかった。
品揃えが食べ物からちょっとしたオモチャまで、品揃えがケタ外れに豊かだったのだ。
私はここで1串5円の港常(みなつね:浅草に本社/工場があるアンズ菓子メーカーの老舗)のアンズの甘露煮が大好きでしょっちゅう買いに行っていた。
私の母は、姉2人がアメリカに嫁いでいて、その影響を受けているのか、何事に対してもとても合理的な考え方をする人で、都度アンズを買いに行く私を見かねて「何度もカネコに行くのはバカバカしいでしょう?箱で買って来なさい」と、今でいう「大人買い」をさせてくれたんだけど、子供にはそれじゃオモシロくもなんともないんだよね。
買うモノは決まっていても、10円玉を手にしながら色々と店先のモノを見るのが楽しんだから。
パチンコの機械を買って来て家でジャラジャラとやるようなものね。
落語で言えば「二階ぞめき」というところ。
お婆さんと写真撮っておけばヨカッタな~…でも50年以上前のことだからね。
顔は覚えているんだけど、声って忘れちゃうんだよね。
そんなことを思い出しながら、ライブ会場の店先でamber lumberグッズを眺めるのは楽しい。
いつも素見でスミマセン。
この「素見(ひやかし)」という言葉の発祥は日本堤の「紙洗橋」であることはMarshall Blogに何回も書いた。
エッセイもズット続いている。
スゴイことだ。
CD購入の方へのサービスもバッチリ。
何とマメなことよ。
さらに、開演前には征史さんが描いたamber lumberのマスコット・キャラクター「ネコ大仏」のカードが支給される。
裏返しになっていて、好きなカードを1人3枚…イヤ、仏様だから3柱かな?…引くことができる。
するとネコ大仏の傍らに「お悟し」の言葉が書いてあるというワケ。
この日は私1人だけだったのだが、征史さんのご厚意で家内の分も引かせて頂いた。
ショウは潮騒とともに定時にスタート。
森永JUDYアキラ
山本征史
「レコ発」の「レコ」とはコレ。
チョット前にマーブロで紹介した3枚目のアルバム『Hundred Suns』。
「月」の次は「太陽」ね。
このアルバムがすごくヨカッタのでこの日のショウを楽しみにしていたのです。
ショウの冒頭はCDと同じく「Introduction P.S.」から「Heart to Heart」につなげてスタートした。
アキラさんのギターを鳴らしているのはMarshall。
Marshallのアコースティック楽器用アンプ、AS100D。
このモデルは、実はMarshallの商品ラインナップの中で、最長老の部類に入るのです。
つまり大変なロング・セラーなのだ。
アキラさんの歌声とギターに艶っぽくからみつくアコースティック・フレットレス・ベースもMarshallが鳴らしている。
ヘッドは100WのSUPER BASS1992。
このモデル・ナンバーがどういう風にしてキメられたのかは熱心なマーブロ読者の皆さんは知ってるよね?
キャビネットは2x12"の1936。
でも、「1936」は「1992」よりズット後の時代の商品で、番号の付け方は「1992」とは異なります。
「amber lumberです!
ワンマンを演らせてもらのは久しぶりです!」
「レコ発ライブが出来なかったので、『レコ発』風味でお送りします!」
アルバムの曲順通りに「冗談じゃない」。
そう、例え誰かを論破しても、ヤラれた方は決していい気分にはならない。
facebookを見ていると時々チャンチャンバラバラやっている人を見かけるけど、坂本龍馬は絶対にエキサイティングな議論をしなかったとか…。
私は江戸っ子で佐幕派なので、龍馬ファンではないんだけど、若い頃『龍馬がゆく』を読んで、このことだけはすごく印象に残っているのです。
この曲にはすごくamber lumberらしさを感じてしまう。
次もアルバムの曲順通りで「ランデブー」。
「♪会えるのは満月の夜」…コレも「月」の歌なんだね。太陽ではない。
「春ですな~、床が冷たくない」
2人は裸足でステージに立っているからね。
「春分の日、星座がひと回りしたと思ったら他愛のないことで両親が大ゲンカしちゃいまして…。
その最中に地震…もう大丈夫だと思ったらまたケンカを始めちゃって!
次にケンカしたら『2人の結婚式の時の写真をSNSに出すからね!』と言ってやりました」
コレはヤダわ。
「30年経って、故郷に帰りました」
アキラさんの故郷も一度訪れてみたいと思っているんだよな~。
アルバムの収録曲通りにショウは進む。
沖縄テイストの「ウートートゥ~五の四までも~」。
歌い出し以外は征史さんの作詞。
沖縄に行った時に曲が降りてきたという。
「ウートートゥ」というのは、「トートーメー」と呼ばれる位牌にお祈りするときに、両手を合わせてとなえる沖縄の言葉。
「あな尊い」がその語源だとか。
ココで征史さんがこの日使用しているMarshallを紹介してくれました。
ありがとう征史さん。
後はゴレンジャーの話。
しかし、この「なんとかジャー」ってのはスゴイよね。
私は「ゴレンジャー」よりチョット前の世代なんだけど、幼い頃妹が見ていたので知ってる。
このシリーズって連綿と続いてるでしょ?
最初が1975年だっていうから46年間。
今「ナニレンジャー」なんだろう?
調べてみると、「機界戦隊ゼンカイジャー」だって。その前が「キラメイジャー」、その前が「ルパンレンジャー」です。
「ニンニンジャー」だの「トッキュウジャー」なんてのもいる。
頭の「ナントカ戦隊」ってのもスゴイよ。
「魔神戦隊」、「炎神戦隊」…「マシン」に「エンジン」だよ。
どうでもいいけど子供が誤って漢字を覚えないようにしてくれよ。
ただでさえ日本語がおかしくなっちゃってるんだから。
しかし、コレおもしろいな。
大の大人が集まってアイデアを出し合うワケでしょう。
ク~、やりてーなー。
ギャハハ!「轟轟戦隊ボウケンジャー」なんてのもある…「ゴーゴー戦隊」だって!「♪マベビバラバラバラ」か?
コレ、完全にフザけながらやったな。
しからば私も…
「IT戦隊デンシジャー」なんてのどうよ。IT制御だぜ。
「和音戦隊マイナーメジャー」なんてのもある。マイナー・トライアドに長七度の音が加わる理論派だ。
続けて征史さんフィーチュアで「I Wanna Be Your Blood」。
コレはいいですよ。
征史さん、ウマいことやったな~。
も~、ホントに「ガンバレ」だの「ありがとう」の歌はいいよ。
「♪すべての薬に副作用がある クスリは毒 毒はクスリ」と来たもんだ。
まさに今の歌だ。
そして…「♪心臓 オレをポンプしてくれ 腎臓 オレを濾過してくれよ」…コレですよ!
そして、「アナタの血になりたい」って。
ココでアキラさんはドラムスにスイッチ。
「ドクドク」とか「ドロドロ」と真剣に相の手を入れるアキラさんがユーモラス。
アキラさんはCDでもドラムスをプレイしている。
生まれて初めてのドラマーとしてのレコーディングだったそう。
一方、征史さんは20回ぐらいベースの音を重ねたそうだ。
サスガ!凝り性だからね~!
「サンキュー赤血球!」
しかしね、こうして年を取って来てね、一番怖いのは「血圧」だね…高血圧。
アイツ…なんの症状も出して来ねぇ。
それで自分は隠れていて他の重大な病気を連れてきやがる。
イヤ、私の身に何かあったワケではないんだけど…事前に気が付いてナントカ食い止め中。
とにかく血圧だけは上げちゃダメ。
征史さん、次は「Anti-High Blood Pressure Blues」お願いします。
「難聴」をテーマにした曲もあるけど、超高齢化社会の今、こうした「病気ソング」はイケるかもよ。
若い人は誰も聴かないだろうけど。
やみくもに「ガンバレ」だの「元気出せ」と歌われるより格段にありがたい。
もうロックに新旧の交錯はあり得ない。
子供には子供のロック。
ジジイにはジジイのロックが必要なのだ!
アキラさんのドラムスでもう1曲。
楽しそうだな~。
征史さんのヘヴィなベースが絡むのは「Arms〜39 for U〜」。
ま、こういう歌のウマい人は何の楽器をやってもすぐにウマくなるんよ。
「楽器がウマいのに歌がヘタな人はいるけど、歌がウマいのに楽器の上達が遅い人」ってのはいないらしい。
デューク・エリントンだったかな?違う人だったかな?
エラ・フィッツジェラルドを例に挙げてそういっていた。
サミー・デイヴィスJr.もそうだし、楽器スタートのジョージ・ベンソンもそう。
ドラムスではグラディ・テイトなんてどっちが本職かわからないもんな。
あと、そういう人は大抵ピアノを難なく弾くよね。
それにしてもこのアキラさんの声!
「ドス」どころではないド迫力の歌いっぷり。
配信のカメラがアキラさんに迫る!
Seijiさんも前の方でエキサイト!
こういうところもamber lumberの魅力のひとつ。
お守りの見せっ子から…
ファースト・アルバム収録の「青い月夜」を…。
この曲は他のミュージシャンにカバーされているそうだ。
いい曲だもんね。
パット・メセニーの曲に出て来そうな征史さんが出す「ヒュンヒュン」いうSEがまたいいんだよね。
寒風ふきすさぶ、ものすごく寂しい草原をイメージしてしまう。
「♪堪えなくていんだよ 今夜はウンと泣いていい」というところでヤラれる。
この曲と後で征史さんが歌う「思えども思えども」はテイストがよく似ているが、どちらも心を揺さぶられるんだよな~。
第一部終了。
換気休憩。
その間も征史さんは休まない。
今度はミニのネコ大仏カードをお客さんに配って歩いたのだ。
コレは先に絵があって、フト思いついた言葉を後から付けているのだそうだ。
こんな世の中になっちゃったもんだから征史さんとも久しぶりにお会いした。
実は征史さんは私の落語の先生でしてね…落語と言っても演る方じゃないですよ、聴く方ね。
そんな話をするのを楽しみにしていたんだけど、反対に征史さんの方から鶴田錦史という薩摩琵琶の名人の話が出てしまった。
もう、コレMarshall Blogには2回ぐらい紹介しているんだけど、その鶴田さんの評伝『さわり』をお読みになり、感動して、最後のページを読み終わった後にそのまま最初に戻ってもう一度読んだというのだ。
この本に私と同じ苗字の人が出て来てビックリした。私の苗字は字面は普通でも結構珍名の部類に入るのです。
調べなかったけど、多分親戚だと思う。
また書くけど、鶴田さんは武満徹の出世作「November Steps」の初演をカーネギー・ホールで弾いた人。
小澤征爾を介してレナード・バーンスタインからニューヨーク・フィルの125周年を記念する作品を依頼されて武満さんが作曲した現代音楽を代表する1曲。
ま~、最初はかなりシンドかったけど、何とかしてこの曲を味わえるようになりたくて立て続けに聴いた時期があった。
するとですね、この琵琶と尺八がメチャクチャカッコよく聞えてくるんですよ。
間と音色がタマらないんだよね。
バーンスタインは「何て感動的な音楽なんだ」と聴きながら涙を流したらしいんだけど、さすがにそこまではムリだわ。
ロックもよっぽどネタがないのか、それともJ-POPに乗じたナショナリズムなのか、最近は和楽器を使うバンドを時々見かけるようになった。
でも、私にはとてもうまくいっているようには聞こえないナァ。要するにカッコいいとは思えない。
私も浅学ではあるけど、そうした手法が本当にうまくいっているのは他に秋吉敏子の「孤軍」とか「Minamata」ぐらいではなかろうか?
そんなキテレツなことをしなくても三味線や尺八等の日本の伝統楽器はは民謡や小唄で聴いた方がはるかにカッコいい。
「さわり」というのはワザと楽器の音を汚く濁らせる仕掛けのこと…のはず。
ギターで言えば絶対に許されない「ビビり」ね。
英語だと「buzzing」とか言うけど、三味線や琵琶といった日本の弦楽器はワザとこのバズ・ノイズが出るように作られている。
このノイズこそが味わいのひとつで、ツルンツルンの音だとオモシロくもなんとない…と日本人なら思うワケですよ。
なんと風流な!
下のアフリカの「カリンバ」という親指ピアノなんかも同じ。
何本も飛び出している針金みたいのを親指で弾いて演奏するんだけど、針金の根元に輪っかが付いているでしょ?
針金を弾くとその振動で、この輪っかが「ジージー」とノイズを出すワケ。
このノイズが味わいなんだな。
話を戻して…。
この人が『さわり』の主人公の琵琶師、鶴田錦史。
女性です。
ま~、私もこの方が女性と知って最初は仰天しましたよ。
鶴田さんは破天荒なことが色々あって、男性として生涯を全うした人なんですね。
下は鶴田さんを指導する武満さん。
武満さんは独学ですからね。本当の天才です。
「November Steps」の琵琶は最初から鶴田さんの起用を決めていたらしい。
こんなのそこら辺の凡百なロックなんかよりよっぽどカッコいいよ。
ちなみに武満さんはストラヴィンスキーから高い評価を受けて有名になる前の下積み時代、ずいぶん映画音楽の仕事をされていて、早坂文雄他のゴーストライターをされていた。
『七人の侍』の音楽の一部も担当されていて、勝四郎(木村功)としの(津島恵子)のロマンスのシーンの音楽は武満さんが書いたそうだ。ビックリ!
何の自慢気もなく下の本の中で述べている。
さて、第二部。
2曲ほど離れていたニューアルバム『Hundred Suns』に戻って「もうすぐ月は」。
アキラさんがジックリ歌い込むバラード。
続けて『Mother Moon』からもう1曲のバラード「半分の月」を披露して「月」もの3曲を並べた。
amber lumberの「静」の世界。
コレもまたよき哉。
「おっと、ジャケットを変えなきゃ」
実にマメマメしい征史さん。
ココでプレゼント・コーナー。
征史さんの誕生日のプレゼント。
そう、この日は征史さんのバースデイ・ライブでもあったのだ。
ジミ・ヘンドリックス柄のストラップ。
征史さん気に入っていたけど、コレは「貸しプレゼント」なんだって。
後で返却しなければならないそうです。
本当のプレゼントはこっち。
群馬県桐生市のスイーツ専門店、モンシェリの「赤城山の埋蔵金」。
イザとなったらおじいちゃんがホンモノの埋蔵金のありかを教えてくれるというアキラさん。
悠々自適だ。
アキラさんのアルペジオに乗って…
「ヨルノガッコウ」
征史さんのメルヘン・サイドをフィーチュア。
続いては征史さんが切々と歌い上げるファースト・アルバム収録の「思えども思えども」。
コレもネコ曲。
ココのチームは動物が好きだね~。
ネコ、カニ、クジラ…。
それにしてもネコ好きの人って多いね~。
上に書いた通り、この曲はいつ聴いてもグッとくる。
もう、たまらなく切ない気持ちになっちゃうのだ。
ネコになりたいとは思いませんが…。
本編残り3曲はすべてニューアルバムから。
フォークソングの典型を聴かせてくれる「tane」。
でも、征史さんのベース・ソロがガツンと入って来るところあたりはamber lumber風。
続けて「Whale Song」。
「amber lumberのクジラのカリプソ」とでも言べき1曲。
よく練られた言葉遊びが楽しいね!
アルバム最後の曲で本編の最後を飾るのは…
「あなたの下で」
コレもamber lumberならでは世界。
曲の後半はジミ・ヘン・ストラップを身にまとった征史さんが暴れまくる!
amber lumberのショウの見どころのひとつ。
Marshallのサウンドが征史さんのプレイに完璧にマッチするのだ!
「あにゃたがいるから私もいる」…ネコ大仏が鎮座ましましている。
アキラさんのカズーが鳴り響く!
そして征史さんの跳躍でフィニッシュ!
ありがとう!
とてもいいショウだった!
amber lumberの詳しい情報はコチラ⇒amber lumber Official Web Site









