四人囃子 再発プロジェクト・コラボレーション "稲葉囃子" <後編>
「先月Marshall GALAに出演しましてね…他の出演はメタル系の人ばっかりで、みんな若くてカッコいいんですよ。
それで、進行がピッタリ時間通りなんですよ。
メタル系の人たちは、ああいう細かいの演ってますからね、時間に厳しいんですかね?
みんないい人たちでした」
違います、違います。
台本をキチっと書いて、皆さんがその内容に沿って忠実に時間を守ってくださるからですよ~!
メタルだから時間に正確なワケではありません。
とてもいいことですけどね。「Punk」は滅法ニガテですけど「Punctual」は好きです。
そう、Marshall/NATAL/EDENをご愛用の皆さんに悪い人はいません!
「次は『'73 四人囃子』にも入っている私の大好きな曲」
「おまつり」の歌詞を指して「不思議な歌詞」と稲葉さんがおっしゃっていたが、ホント、末松さんの歌詞は独特の世界感を演出する。
変に小難しくなく、やさしい言葉の連なりで、その情景がありありと頭に浮かんでくるところがスゴイ。
「♪映画に出たことのない人は乗せてあげられないって 円盤はすまさそうにそう言ったよ」
この「なんでやねん!」の感じがタマらない。
でも、そう言ったのは「円盤」ではなくて、円盤に乗っている「宇宙人」のような気もするのだが…。
あ、私としたことが…失礼しました!
そしてこのポップで楽しい曲調。
いい歌詞といい曲といいアレンジといい演奏といい音のすべて合わさるとこうなる。稲葉さんもとっても楽しそうだ!
大二さんからご挨拶。
「2000年を超えてボックス・セット(『From the Vaults』のこと)とかをリリースさせてもらって、デビュー・アルバムも45周年…色々なテイクを出させてもらいましたが、『納得した形でやったらどうか?』ということで今回やらせてもらっちゃいました。
懐かしいメンバーやいいスタッフに囲まれてなんてシアワセなんだろうと思います。
またガンバリ始めました。
自分たちで責任を持てるのが最後だと思って来年(2020年)1年ガンバリます!」
イヤイヤ、まだまだゼンゼン大丈夫だと思いますけど。
「ココからは歌のない曲をいくつか演ります」と稲葉さんが紹介したのは「Lady Violetta」。
この美しい名曲を、大二さんが叩く…
Marshall ASTORIAで聴く。
このシアワセ!…わっかるかナァ、わっかんねぇだろうナァ。
ああ~、役得、役得。
その感動に追い打ちをかけるのが坂下さんのピアノ・ソロ!
「この曲は森園とのセッション以外に何人もの人と演ってるから、これまで何回演奏したかわからないね。
こんなにみんなに愛される曲を作るアイツはスゴイよ」
この曲のコンピレーション・アルバムが発売される情報等、ココで大二さんと稲葉さんで「Lady Violetta」談義。
「コレはパリジェンヌの絵?…から作られたんですよね?」と稲葉さん。
「オレも森に聞いた」
「絵から曲を作るなんてあり得ないですよね~」
この辺りの詳しいコトは森さん自身にインタビューして、前のMarshall Blogに掲載したことがあった。
アーカイヴ記事として皆さんにお見せできるといいな。
ところで、フランク・ザッパは子供の頃、絵が譜面だと思っていたとか。
それでミュージシャンになった時、何人かの演奏家に共通の絵を見せて演奏させてみたらあまりにも出て来た音がマチマチでガッカリしたとか…。
稲葉さんが続ける。
「森さんね~、新宿のDUGのワッフルがすごくウマくて2人で食べに行ったもんですよ」
DIGとかDUGとかいえば、中平穂積さん。
スゴイよね~、あの写真は。とてもマネできん。
被写体のカッコよさもあるけど、写真の中の空気がとにかく違う。
大二さん曰く「その絵の辺りのことを森に教えたのは末松さんだと思う」そして、トークの間に稲葉さん、シャツを脱いで次の曲に向けて気合いを入れた!
…と思ったらチト変だ。
よく見たら違う人!
私はクラプトンにウトいもんですぐにはわからなかった!
この方は広島のクラプトン研究家、Gen 'Eric' Wadaさんというお方。
よくできてるな~。演奏したのは「なすのちゃわんやき」。
他のモノを決して寄せ付けない難曲に集中する4人の真剣な姿を見よ!
「プログレッシブ・ロックがどうの」とかそんなことはホントにどうでもよくて、日本のロック・バンドってこういう曲を作って演奏するチームがあまりに少ないし、少なかったと思う。
今、Dream Theaterに影響を受けたバリッバリでドロッドロのインスト曲を演っている若いバンドさんが散見されるけど、アレとはゼンゼン違うんだよな~。
「シンフォニック・メタル」とかいうようだけど、私のようなジジイには「音楽の心」みたいなモノをアソコから感じ取ることができないんだよね。
なんかゲームみたいで。
ムズカシイことをやってるな~、というところまではいいんだけど、その「ムズカシさ」はフランク・ザッパの曲のソレとは似てもに似つかないモノなワケ。
やっぱり「ブルース感覚の有無」によるところなんだろうね。
ココでもASTORIAはいい仕事をしてくれた。
よくやった。でかした、でかした!そういえばこの日、Player誌さんが取材に見えて4人のインタビューをされていた。
そのインタビューを掲載した雑誌はとっくの昔に刊行されているんだけど、見逃してしまった方はまだバックナンバーがゲットできるのでコチラからどうぞ⇒Player ON-LINE
それと、「Player」+「稲葉政裕」+「Marshall ASTORIA」という局面では以前こんなこともしましてね。
この時の音色は忘れられん。
でもコレからもう4年も経ってるのか…。
稲葉さん、信じられます?4年前ですって!
コレとはコレです ↓ ↓ ↓
"Cafe de Player vol.1"~Inaba Plays Les Paul with ASTORIA編
Playerさん、その節は素晴らしい音の機会をありがとうございました。
アレ?稲葉さん、この時もクラプトンTシャツだったんだ?!
しかし、稲葉さんは4年の間に全く変化がないね。うらやましい。
「なすちゃ」が無事終了し、何事もなかったかのように再びシャツを身にまとう稲葉さん。
あ、ただ暑いだけでしたのね?そして、ショウは最後の曲を迎える。
「稲葉くんの森に対する思いとデラックス・エディションのリリースにちなんで『初期の曲を演りましょう』と言ってくれたんだけど、来年は色々やります。
ボクらで良ければ演りますので、よかったら来てください!」
「ボクらでよければ」って、ホンモノじゃないですか!コレ以上のモノはないでしょう。
「あ~、アレはダメダメ!
ラジオの交通情報の曲だから」
演りましょうよ「ブエンディア」!
私はすごい好き。
最後を締めくくったのは当然アルバムのタイトル・ナンバー「一触即発」。
「日本のロック史に永遠に残り続けるであろう名曲」…なんて言うと当たり前すぎてツマらんね。
それなら「45年の風雪に耐えた曲」だ。
コレも演歌みたいで変か…。
要するに「オリジナリティに富んだカッコいい曲」ということなのよ。
で、調べてみると1974年という年は、洋楽では『Burn』、『Country Life』、『Diamond Dogs』等が発表された年(スミマセン!この年って『It's Only Rock'n'Roll』とか、『On the Beach』とか、『Planet Waves』とか、『461 Ocean Boulevard』とか、世間一般で「名作」と言われているアルバムがたくさん出ているんだけど、私が苦手なヤツばかりで、ココの部分とても書きにくいのです)。
歌謡曲では「なみだの操」、「うそ」、「くちなしの花」、「襟裳岬」…まだ演歌が強かった。他に「学園天国」、「傷だらけのローラ」、「花とみつばち」。
ニューミュージックでは「神田川」、「こら、テツヤ!」、「岬めぐり」等々。
「一触即発」はこの年より前に作られていたのかも知れないけど、とにかく世の中がこういう雰囲気だった。
そうした「音楽が盛んだった時代」に出て来た曲なんですな。
この頃は一般の人は「ロック」を聴いていなかったので、よっぽど個性が強くないバンドでないとレコードを作ってもらって世に出てくることは出来なかった。
また、レコードを出すしか自分たちの音楽を広く聴いてもらえる機会がなかったんだから大変だ。
だから45年もの間、元気に生き残って来たんだネェ。
この期に及んで脱線して1974年のジャズはどうだったのかスウイング・ジャーナルのジャズ・ディスク大賞を調べてみると…金賞がキース・ジャレットの『Solo Concert』…いわゆる「ブレーメン&ローザンヌ」。
銀賞が敏子さんの『Kogun』…よしよし!
だそうです。
何度か間が空いているにせよ、45年にわたって稀代の名曲を奏で続けてきた2人。
終演後、ステージに立った大二さんと坂下さん。
お2人から最後のご挨拶。
「皆さんも知っての通り、人間いつまで生きるかわかりません。
私としては四人囃子と何十年か前に作った曲をいい形で皆さんにお届けできればいいと思っています。
そして、若い人にもボクらの音楽が届いてくれるといいな…と思っています」と大二さん。
坂下さん…
「ラクに『できる』と言えている間はやっていきたいと思います。
来年の春にはまたやるみたいなので皆さん、どうぞご期待ください」
そして、ペトゥラ・クラークの「Downtown」が流れる中2人はステージを後にした。
さて、最後のご挨拶で坂下さんが触れた「来年の春」というのがコレ。
「スピンオフ四人囃子 feat. 根本要&西山毅」。
開催は4月30日、会場は六本木EXシアター。
コレは一昨年の5月に名古屋のBottom Lineで開催したコンサートの再演だ。
この時は楽しかったな~。
2年経った今でも「どうして名古屋だけなんだ!東京はどうなってんだ、東京は!」と、パニック状態に陥ってしまいそうなので、いよいよ東京で開催することになった…ってところか。その名古屋公演のレポートはコチラ。
毎回Marshall Blog名物のグダグダとした「私の〇〇」のオマケつき。
↓ ↓ ↓
スピンオフ四人囃子 #3 <前編>:The BECK's と∞Z~私の有松
スピンオフ四人囃子 #3 <中編>:スピンオフ四人囃子~私の猿田彦様
スピンオフ四人囃子 #3 <後編>:スピンオフ四人囃子~私の光太夫
さらにこの時は『Fullhouse Matinee』のDVDの鑑賞会を兼ねて同窓会も開いた。
コレも楽しかった~。
詳しくはコチラ⇒スピンオフ四人囃子のスピンオフ!
その東京公演開催の話を耳にして怒ったのが大阪!
「ナンやねん!名古屋と東京だけて…ホンマ。大阪でやらへんのかいな!しまいにゃシバくで~、知らんけど」と、パニック状態に陥りそうだったので5月8日の大阪公演も決定した。
後は双方の公演が実現するのを待つだけ。
コロナくるな!
四人囃子の詳しい情報はコチラ⇒①Official Web Site ②facebook