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2018年9月18日 (火)

銀幕一楼とTIMECAFE企画 レコ発ワンマン公演 〜ゾッコンな夜に恋して〜

 
長いこと生きていると世の中の移り変わりに驚く機会が少なくありませんな。
一番驚いたのは10年続けて来たMarshall Blogの毎日更新がシレっと終わってしまったこと…んなことはないか。
ゴメン!
掛かりっきりにならないとやり切れない仕事がいくつも重なってしまって、とうとう音を上げちゃった。
コレを機にチョット方針を変えようと思ってます。
で、方針を変えようにも、それに取り掛かる時間がなくて随分間が空いてしまいました。

で、その変化。
テレビを見ていてフト気づくと…
●酒類のテレビ・コマーシャルの主役が完全に女性になった。
  -----昔は「男はダマってサッポロ・ビール」だった。
●同じようにゲームのコマーシャルが大人が主役になった。
  -----昔は大人はグラブらなかった。「ドンキ―コング」は子供のモノだった。大人がゲームで遊ぶことに抵抗がないのは、昭和40年代後半生まれの世代ぐらいからかしらん?
●さらに、同じくTVCMで『ドラえもん』を観て泣いている人が大人になった。
  -----ま、『ドラえもん』もいいけど、アノね、世の中には感動で言葉が出ないような素晴らしい映画が他にいくらでもあるから!子供の楽しみを盗るんじゃない!
 
ま、こんなことやっているとキリがないんだけど、お酒のCMの件を除いては『人類の幼児化』が恐るべき早さで、かつ着実に進行していることは間違いない。
加えてアレね…電気やエアコンぐらい自分で消しなさいよ。
でもコレって、寝たきりのご老人なんかにはとても有益だとは思うんだけど、大枚はたいてパソコンが仕事をしてくれる環境に家中を作り変えなければならないワケでしょう?
ウチなんかいくら頼んだって今のままでは豆電球のひとつもつけられないもんね。ゼンゼン「OK」じゃない。
需要や消費を捻りだす次元がドンドン低くなっていくのは仕方のないことか。
 
久しぶりに書いたもんで筆が止まらんわ。
もうチョットいい?
携帯電話が普及して何年経つのかは知らないけど、当然その昔はそんなものがなくても生活の何の支障もきたさなかった。
最初はせいぜい出先の営業マンを捕まえるのにポケベルより便利…ぐらいだったんじゃないかしら?
それがアッという間に「なくては困るもの」の筆頭になっちゃった。
若い人たちなんか。「生活の一部」どころか「生活のすべて」だもんね。
細かい説明を一切省いて一足飛びに言うと若いギタリストたちなんか「Marshallを携帯の中に入れて欲しい」って言うんだよ。
 
でね、20年後、今の状況がどう変わっているか?
つまり、20年後にナニが懐かしくなっているか?
コレを想像するのがおもしろい。
「知ってる、知ってる!オレも聞いたことあるよ、『パソコン』とかいうヤツ。オヤジが夢中になってイジってた!」…なんてね。
私なんかはIT技術なんてのはもう今のレベルで十分すぎると思うわ
 
さて、もうひとつの大きな変化。
昭和に入ってから今まで、こんな時代ってなかったんじゃないかね?
どんな時代かというと、「流行歌が存在しない時代」ね。
一部にはあるのかも知れないけど、私が言っているのは「子供から年寄りまで幅広い範囲の一般大衆が知っていて、ある程度口ずさむことができる歌」ということ。
要するに「歌謡曲」ですな。
今なんてレコード大賞受賞曲を一度も耳にしたことがなく、一体どこで流行していたのか?不思議に思う時代だもんね。。
私の世代はスゴイよ。
個人的に印象に残っている流行歌と言ったらナンだろう?
「ブルー・シャトー」、「帰って来たヨッパライ」、「黒猫のタンゴ」、「ブルー・ライト・ヨコハマ」、「また逢う日まで」、天地真理ちゃんブーム、花の中3トリオの時代…と、完全に枚挙に暇がない。
いつも書いているように私は歌謡曲に夢中になったことはただの一度もないけど、とにかく幼稚園生からジーさんバーさんまで、みんな知っている曲がウジャウジャあった。
そして、コレらの曲は今でもよく耳にしたり、歌われたりするワケで、カレコレ50年の風雪に耐えて来た名曲ばかりだ。
すごいパワーだよね。
ナゼかというとバツグンに曲がよくて、シッカリした演奏で隅々までキチっと作り上げているから。
それもそのハズ、一流の作詞&作曲家が曲を作って、チャンと音楽の勉強した編曲家がアレンジをして、優れたスタジオ・ミュージシャンが腕によりを利かせて演奏してるんだもん。
悪いワケがない。
出がらしのロックをチョコチョコっと聴いて、「オレにもできる」と試しに作った曲がタマタマ何かの拍子にウケて名を売ることになる今のそこら辺の若いバンドとはワケが違う。
下は私のレコード棚に入っているほぼ唯一の歌謡曲のLP。
岩崎宏美ちゃんの3枚組ボックスセット。
いいんだ、コレが。
どの曲もクォリティが破天荒に高くて、チャンとしたホンモノの楽器の音が聞こえて来る。
それに加えて宏美ちゃんの美しい声と歌い回し。
タマらんよ!
何で日本人は「歌謡曲」という自分たちのオリジナルの音楽を切り捨てちゃったのかね~。
時代が変わって飽きられてしまったということなんだろうけど、あまりにもモッタイない。
やっぱりテレビなんかで流される曲は専門家に任せたらどうかね?
音楽の「大政奉還」。
チャンと音楽を勉強した才人に作詞作曲をお願いして、DTMではなくてホンモノの楽器を奏でて録音する。
ミュージシャンの皆さんはいいぞ~。仕事増えるぞ~!
要するに、コレは30年ぐらい前に時間をさかのぼるに過ぎないことなんだけど、そんな動きがあったらいいな~。
考えてみると、音楽の贅を最高に尽くした時代に私は生きたんだナァなんて思うわ。

12img_7382さて、今日のMarshall Blogはそんな「音楽の時代」だった「昭和」のテイストをフィーチュアしたチーム、銀幕一楼とTIMECAFE。
Marshall Blogには2回目の登場となる。
前回、イベントで拝見してスッカリ気に入ってしまい、今回は『ゾッコンな夜に恋して』と題した単独の公演と聞いて、足取りも軽やかに渋谷TSUTAYA O-WESTに向かった。

10まずは前説を務める「アナタの男爵」こと山下さんが登場。

20「ワンマン・ライブは去年の4月19日以来、1年3か月ぶりでございます。
人って変わるもんですね。
私もチョット前まではそちらにいたんですが、今はこうしてステージの上にいるワケでございます」

30vそしてバンド・メンバーをステージに迎えてショウがスタートした。

40銀幕一楼

50v寒河江宏樹

60v寒河江くんは先日の若手ギタリストの座談会の通りいつもMarshallね。

70松永健太

90v瀬間詢子

120v1年3か月ぶりのワンマン・ショウのオープナーに選ばれたのはセカンド「胸中」。

130v寒河江くんがメロディを奏でるイントロ。
この人、いい音出すんだよね~。

140スラブの雰囲気漂う魅力的なナンバー。
いいね、こういうのは。

150続いて2012年のセカンド・アルバム『銀幕ギャラクシー』から「月食」。

160vここでも寒河江君のギターが大活躍!

170vおお~っと!
ステージ下手では銀幕さんが抜刀!
平井権八かッ?!
権八は江戸時代、惚れた「小紫」という吉原の遊女に会いにいくための金欲しさに130人も辻斬りをしたという実在の人物。
その辻斬りの悪行とは関係ないが、「お若えの、お待ちなせえやし」とその権八に声をかけたのが有名な幡随院長兵衛。
「待てとお止めなされしは、拙者がことでござるかな」と答える権八。
有名な歌舞伎の一場面。
イヤ、最近「♪よう、そこの若エの」っていう歌が生命保険のCMでやたら流れていたから書いておいた。

180コレは台東区は浅草と上野の中間ぐらいにある源空寺という浄土宗の寺。

S0r4a8925ココに幡随院長兵衛が眠っている。
この向かって右側には伊能忠敬の先生である高橋至時の墓、そして推歩先生、つまり伊能忠敬の墓がさらに連なり、その2つの墓は国の史跡に認定されている…ということは以前詳しく書いた。

S0r4a8935_2 こういう演出が楽しんだよね~!
木馬亭か!

190vそして、ご本人自ら「一度聴いたら忘れないこのナンバー」と紹介するのは…

210_mtr銀幕一座のキラー・チューン、「摩天楼」。

220もうすでに雰囲気は最高潮!

230v確かに「♪ま~てんろ~お~」はやたらと耳に残るんだよね~。
銀幕さんの歌い方が、曲に輪をかけて印象的なのだ!
「恋をした…」の「た」スタッカートがステキなの。

240vお客さんも大合唱で楽しさ満点!

430「皆さま…ド平日の、週の真ん中の水曜日にたくさんお越しくださいましてありがとうございます。
帰ってから『行ってヨカッタ~』と思って頂けるように演ってまいります。
パッとやってパッと帰ります。早いからね!
さぁ、ミュージック!」

250v_mcMCを挟んでの4曲目は「無口な夜」。

290_niアダルトなムードの「音色」。

390v「音を選ぶギター」っていうのかな?
寒河江くんはお父さんの影響でクラシック・ロックをよく聴いたという。
クラプトンのアコースティック・ナンバーを聴いて音楽の道に入ったというが、そのことがよくわかるような気がするプレイだ。

270v場内が暗転。
嵐の音。
ステージ上に数個のローソクの明かりが灯る。

300ピアノの音色…。
400v不幸な物語を綴る銀幕さんのナレーションから「枕営業」。

3802011年の『銀幕イリュージョン』からの「孤独」へと続けた。

410v雰囲気がガラリと変わって「熱帯夜」。
この銀幕さんと松永さんのさりげないフォーメーションが気持ちいい。

420「あらためまして銀幕一楼とTIMECAFEです。
やってまいりましたこのコーナー…今日のこの日を祝してカンパイしたいと思います!
ある方は手にグラスを…。
ない方は心のグラスを…。
この会場にいるということは皆様お知り合いということですから…ご来場の皆様、カンパイ!」

440実はこの日のショウは久しぶりの単独公演というだけではなく、当日発売となったシングルの発売記念ライブだった。

450yfその中新しいシングルから「よふかし」。
480vディストーション・ギターがモノを言うハード歌謡チューン。
このソロもカッコいいね。

470v「急にオマエどうしたんだ?…という感じの歌ですが、『表銀幕』と『裏銀幕』があります」
メンバー同士の長電話の話があって…「早いもので後半戦に入ります。料理のフルコースでいきなりメインは出て来ないでしょ?
盛り上がる準備は出来ていますか!?
アナタに届け…アナタに届け…」

200v_mc「わがままルージュ」。
ジャケットを脱いで更にハッスル!
「ハッスル」なんて今は言わないか?
ここまでジャケットを着ているところがスゴイ。こういうところにプロ根性を感じちゃうんだよね。
490そして、同じく当日発売のシングルから「リップサービス」。

490wr絢子ちゃんのビートが気持ちいいノリノリ・チューン!

500vコレ大スキ。

510右へ左へ…みんなで楽しくワカメ・ダンス!

660_0r4a8872 まぁ、最初っから大いに盛り上がっていたけど、なるほどショウが終盤に差し掛かっての盛り上がり方が素晴らしい!

530v客先に飛び降りての「わからずや」。

540下手でモクモクとギターを弾いていた寒河江くんもステージを横断してのエキサイトメント!

550そして、ショウは最後のセクションに突入する。
「コレ何だかわかる?そう、アンブレラ!
私が歌うのは、雨だ!」

560みんなに届けられたレイン・ソング…コレはいい曲だな~。
傘を持っての歌といったら、もっぱらジーン・ケリーだけど、銀幕一楼も"わるくない"。
歌詞には「マンボ」、「ルンバ」なんて言葉が出て来る。
昔ハヤったラテンのリズム。
日本は、消費量から見れば音楽の豊かな国だが、その割には驚異的なリズム貧乏国だと思う。
チョット飽きて売れなくなるとドンドン切り捨てちゃうんだよね。
銀幕さんなんかにこうした昭和に流行したリズムを取り戻してもらいたい。
ドドンパをハード・ロックで演ったらカッコよかったりすると思うんだけどな~。
四分音符と三連がそれぞれ2ケずつ…こんなリズム恐らく他にないから!

570ウン、このソロもいい。
コンパクトながらとても美しいメロディで歌に寄り添っている。
ウチに来た時、彼がこんなギターを弾くとは思ってもいなかったナァ。
正直、お見それいたしました。
やぱりね、チャンとしたオリジナルに近い音楽を聴いていると違うんだよね…このことを寒河江くんが証明してくれた気がする。

660_0r4a8915本編を締めくくったのは、さっきから触れているこの日発売となった最新シングル『ゾッコン』のタイトル・チューン。

Zl コレまたいかにも銀幕一座らしいドライブング歌謡チューン!
「♪素数の秘密も割り切れない」…うまいな。
素数とは、1とその数字自身でしか割り切ることのできない数。
加減乗除の「割り切る」と気持ちの「割り切り」のダブル・ミーニング。
「素数」については何度かMarshall Blogで触れているので興味のある方は「Marshall Blog 素数」で検索してみてくだされ!
ちなみに、今わかっている最も大きな素数は「2の74,207,281乗-1」だって。
2013年に発見された素数を500万ケタも更新したのだそうだ。1日24時間飲まず食わずでその数字を読み続ければ、127日で読破できるらしい。

590vわざわざテーブルを用意しての紙吹雪アクション!
至れり尽くせりだ。

600v最後は定番の歌舞伎+相撲アクションだ!

620vドスコイ~、ドスコイ。

630vキマった~!

640アンコール。

6461曲目は「サタデーナイト」。

650またまた客席に降りて、今度は…コレセグウェイっていうんだっけ?…で行ったり来たり。

670vさらに脚立によじ登って…

680_2くす玉割り!

690まったくひと時も目を離せない銀幕さん。
写真撮るの大変なんだわ!

660_img_8781『ゾッコンな夜に恋して』の最後は『銀幕ポップコーン』収録の「臨時ニュース」で締めくくられた。

700ココでもまたブリッジ紙吹雪!

710そしてドスコイ!

720あまりにも個性の強い歌い手をガッチリとサポートした4人。

730v

740v_2

750v

760v以前にも書いたけど、銀幕さんってナルシスティックなところが皆無でいいんだよね。
すごくサッパリしてる。
そして、メロディと歌詞を大切にして、とても丁寧に歌うところが好き。
昔の「歌手」ってのはみんなそうだった。

770あ~、おもしろかった!
大変に熱気のこもった歌謡ロック・ショウだった。

780最後は冒頭と同じく山下さんがひとりステージに残りご挨拶。
そして完結。

660_s41a5088銀幕一楼とTIMECAFEの詳しい情報はコチラ⇒新公式ウェブサイト

790

200_2 
(一部敬称略 2018年7月18日 渋谷TSUTAYA O-WESTにて撮影)