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2018年8月31日 (金)

若手Marshallギタリストの集い <後編>

 
<後編>いきま~す!

  
Marshall(以下「M」):それでは寒河江くんお願いします。例によってギター歴から。
寒河江(以下「S」):ボクは中3からギターを始めたので、ギター歴は15年ぐらいになりますね。
Marshallを意識したのは…ボクは父の影響でクラシック・ロックが好きなんです。3大ギタリスト…クラ

Img_0783プトン、ベック、ジミー・ペイジ…チャー、みたいな。
M:初めからそういうロック?
S:いえ、一番最初は「ゆず」なんです。「ゆず」のアコースティックからクラプトンのアンプラグドに行ったんですね。
M:そういうこともあるのか…。でも絶対にマレだよね。
S:そうだと思います。それで、お兄ちゃんが家で「Tears from Heaven」を弾いていて、「すごくいい曲だな…」と思って。
M:やっぱり新しいよね。私がクラプトンの名前を知ったのは『No Reasonn to Cry』をリリースした時かな?いつだ…(調べる)…1976年か。クラプトン、31歳だって!
S:だいぶ昔ですね。それから、この人が作っている曲ならもっといい曲があるんじゃないかな?という感じで興味を持って、クラプトンのCDを手当たり次第にブックオフで買ったんです。
M:ブックオフ?
S:それで最初のウチは「Change the World」とか最近の曲にハマったんですけど、段々とクリーム

0r4a8759_2とかに移っていったんですね。
M:それはいいことだ!
S:さらに、3大ギタリストを通って、ジミヘンに行って…。
M:我々と同じですよ、そのコースは。私は違うけど。
S:やっぱりその年代のギタリストって1回はMarshallを使ってるじゃないですか?
M:そう。つまり、Marshallがなかったら実現しなかった音楽をクリエイトしていた。
S:それで、高校の時にエレキギターを買ってもらって、今はもうないんですけど、Fuzzy ControlというバンドがBSで1時間ぐらいのライブ番組をやっていたんですね。
それでJuonという人にノックアウトされちゃったんです。
その人がやっぱりMarshallとストラトキャスターだったんです。
M:ハハハ!ファジコンか!当時、私はずいぶん一緒に仕事させてもらったんですよ。何回もイベントをやったし、今もやってるハンドワイアードシリーズの発表会を今はなき原宿のアストロホールでやった時にも出演してもらったの。MGシリーズの広告にも出てもらったっけ

Img_0789ナァ。
じゃ、寒河江くんの中でMarshallというえばJuonくんということになるワケですか?
S:極論を言えばそうなりますね。
M:ナンカうれしいナァ。
S:その流れもあってアンプはMarshallですね。王道が好きですし、どこに行っても置いてある。
そして、どのMarshallを使っても自分の音を出すように努めています。
M:それは素晴らしい!
 
銀幕一楼とTIMECAFEの詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト


M:ではお待たせしました。Toruくん、お願いします。
Toru(以下「To」):ハイ。ジョン・フルシアンテとかジミ・ヘンドリックスとか、Marshallとストラトキャスターの組み合わせのサウンドが好きだったんです。

Img_0797自分の好きなタイプの音楽をさかのぼっていったら結局そこに突き当たったんですね。
M:ギターを始めたのは?
To:ギター歴は20年か…21年ですか。
M:今日の中では一番のベテランさん。
To:中一の時にムリヤリ始めました。
M:ムリヤリってどういうことですか?
T:親戚のお兄さんがギターをやっていて、「ギター教えてやるよ」としつこく言うもんですから、「わかった教わってやるよ!」って!
M:ハハハ!サラリーマンのゴルフみたい。
T:ですから「オレはギターをやるぞ!」って決心して始めたワケではないんです。
M:そんなキッカケでよく続きましたな。
To:ハイ。父もギターを弾いたり、ピアノを弾いたり…「夢破れた」系ではあるんですけどね。
M:そういう環境だったから続いたんだ?
To:他の親戚にもギターをやっている人が何人かいて、あまりにも多いのでベースにしようかと思ったんです。でも、その親戚があまりにもしつこいので…。
M:その親戚の方もガッツがあるね~。何をそんなに教えたがったのかしら?
To:それなんですよ。で、何を教わったのかというと「ドレミファソラシド」とかそんなのでした。

0r4a8218_2M:それがやりたかんですか?
Marshallに関しては?
To:ボクはみんなみたいに若くして機材に詳しいとかいうことはなかったんですね。腕さえよければ機材は何でもいい…なんて思っていました。
それでMarshallはどこへ行ってもあるじゃないですか。なのでマルチ・エフェクターをクリーン・チャンネルにつないでズット使っていたんです。
M:昔風の使い方ですな?でもマルチかどうかは別にして、今もそういう使い方をしている人が多いでしょう?
To:何がキッカケだったのかは覚えていないんですが、ある時Marshallのアンプの歪みを使ってライブをやったら「ものすごく音がヨカッタね!」とやたらみんなからホメられたんです。
それから、やっぱりバンドで弾く時はアンプの歪みじゃないとダメなんだな…と思ったんです。
M:きたきた!
To:でもさすがに「直」は厳しいので、そこから初めてコンパクト・エフェクターというものを使い始めたんですよ。
M:へ~。それは珍しい。我々の時ははじめはマルチ・エフェクターなんてなかったので、自動的にまずはコンパクト・エフェクターから始まりましたからね。そのウチいくつかのエフェクターがひとつにいまとまっちゃたヤツが出てきて驚いた。
で、JCM800にしたのは?
To:ボクの師匠がJCM800だったのでボクも2203を使い出しました。でも音作りは結構苦労しましたね。
家で小さい音で「コレだ!」と思っても、音を大きくすると全く変わってしまう。
M:大きいから「いい音」っていうのはありますからね。反対にその大きな音を何らかの方法で小さくしたとして、「いい音」のままキープすることは物理的に無理。
To:それでも一旦アンプの歪みで音作りが固まれば、後はJCM900が来てもJCM2000が来ても平気になりましたね。
M:なるほどね。
To:よく雑誌なんかで「おススメのセッティング」みたいのを見かけますが、やっぱり自分の耳で作らないとダメだと思います。どんなに変なセッティングでも自分が納得できる音であればそれでいいと思います。

Img_0805_2M:その通りだと思います。で、憧れのギタリストは?
To:憧れのギタリストですか…パッと思い浮かびませんが、Slashの音はやっぱり素晴らしいと思いま

す。
M:アラ?Marshallとレスポール?
ところでTears of Tragedyのサウンドは誰の影響があると思いますか?
To:「誰の」ということはないんですが、我々の世代でバンドをやっている人たちは、たいていラルクと…
一同:ああ~!(と同意)
To:あとシャム・シェイドの影響は受けていると思います。
一同:おお~!(とさらに激しく同意)
To:あと、メタルに行ったキッカケはボクの場合はセックス・マシンガンズで、コレをやろう!と思ったのはイングヴェイでした。
イングヴェイには雷に打たれたような衝撃を受けました。
M:イングヴェイ強し!

Tears of Tragedyの詳しい情報はコチラ⇒Official web site
THOUSAND EYESの詳しい情報はコチラ⇒Official web site

 
ココで遅れてKaeDeくんが到着。

Img_0821だいぶ出来合ってしまった時点での合流だったので温度差が大きい!
M:お待ちしてました!早速、みんなと同じ質問をさせてくださいね。
まずはギター歴はどれぐらいになりますか?
KaeDe(以下「K」):ギター歴は15年以上になります。
M:Marshallを使い出したキッカケは何でした?
K:Marshallを使い出しだのは…イングヴェイです。
M:ウワッ!またイングヴェイか!今日のこのメンバーで最もイングヴェイ、イングヴェイしているのは雄太くんかな?
でも、みんな「イングヴェイ・マルムスティーン」の名前を口にするもんね。スゴイ影響力!
心配なのは、その後の世代でイングヴェイのような幹のようなギタリストが出てこないことだよね。枝や葉っぱはウンザリするほど出てくるけど。
やっぱりこれだけイングヴェイの影響力が根強く残っているのは、あのギター・プレイもさることながら、あのギター・プレイで自分だけの音楽を作ったということなんだろうとつくづく思います。

Img_0042その後の世代の人たちはイングヴェイがゴールなのではなくて、イングヴェイがスタートなワケだから大変ですよ。
K:なるほど。でも、ボクの場合はイングヴェイ自体を好んで聴いていたワケではないんです。
M:アラ何よ!じゃなんでイングヴェイ?
K:雑誌に出ていた写真で、イングヴェイの後にガーンとMarshallが並んでいるのを見たんです。
それで『Marshallカッケ~!』と思って…それからですね。
M:ハハハ!アレは強烈だからね。何も知らない頃は「ホントに全部鳴らしているんですか?」となる。大変なんですよ、アレを用意するのは!
でも、いつの時代もそういう見た目で人を惹きつけるというのは大切なことですね。
K:ハイ。で、その時はイングヴェイよりもポール・ギルバートの方が好きだったんですよ。
M:ウン、わかるような気がします。
K:でも、もうMarshall見た目がとにかくカッコよくて…。
M:ポールは以前Marshallじゃなかったもんえ。
K:そうなんです。とにかくイングヴェイがカッコよかった…イングヴェイの音楽はよくわからなかったんですけど…。
M:大丈夫、大丈夫!Marshallのカッコよささえわかっていれば!
 
ひと通り個人のギター経験やMarshall初体験などをうかがった後、ランダムに色んなことについて意見を伺った。
ところがね~、<前編>にも書いた通り、あまりにも盛り上がりすぎちゃって、叫び声や笑い声で文字起こしができないところがたくさんありましてね~。
何とかまとめた部分に私の感想や考察を交えたモノを以下にお送りする。
わかっちゃいるけど「時代は変わったな~」と目からウロコの座談会だった。
その前に上掲以外のパネラーの皆さんを今一度ご紹介させて頂く。

 
IOSISの真壁雄太。以下「Y」。

660_img_0751CASPAのNatusmi。

660_img_0778Fate for Blue BulletのTakuya。以下「T」。

1_img_0757   

<楽器の購入について>
まだインターネットが普及する前、1990年代の中頃、立花隆先生が盛んに「インターネットが世の中をガラリと変えてしまう」と主張していたが、その予見は見事に的中し、良くも悪くもすべてのことが大きく変わってしまった。
音楽の世界なんてスゴイよね。アメリカなんてCDのような物質的な音楽の記録媒体が本当になくなっちゃいそうなんだもん。
私は断固反対。配信なんてのは一度もやったことがない。もし大好きなミュージシャンが配信でしか音楽を発表しなくなったとしたら、「もういいや」って諦めちゃう。
だってそんなの「音楽」じゃないもん。
本もそう。インクのニオイを嗅ぎながら紙のページを繰るから「本」なんだよ。
それを「いまだにCDを作っているのが考えられない」とか「電子書籍化を望む」なんてのはホントに勘弁して欲しい。
アメリカがすべて正しい…なんてことは絶対ないし、日本には「日本人のメンタリティ」というモノがあるんじゃい!
とはいえ、楽器の購入に関しても通販、いわゆる「ググる」とか「ポチる」とかいう買い方が主流になって来た感もあって、その辺りのことをみんなに尋ねてみた。
すると…やはり利用していることは事実。
しかし、こんな意見も飛び出してきた。


T:楽器屋さんの方がネットよりチョット高いじゃないですか?

1_img_0765M:そうりゃそうだよね。人件費、光熱費、設備費、広告宣伝費、消耗品費、かかる経費が全く違いますから。
T:でもボクは、その「チョット高い値段」というのは、「行きつけの楽器屋さんの店員さんとの関係」込みの値段だと思っているんですよね。
M:サービス料みたいなもんですな?昔はインターネットがなかったし、私は楽器屋さんに入り浸るということを一切しなかったけど、間違いなく楽器屋の店員さんから得る知識は多かった。
Y:行きつけの店があるとそうなるよね。
M:今はインターネットや雑誌に何でも書いてあって、楽器屋さんに行って得られる情報はかなり少なくなってしまっただろうね。
でも、実際のモノを目の前にして、「あーでもない、こーでもない」と商品についての話を聞くことはとても有益でしょう。
そこで「ありがとうございます。よ~くわかりました。チョット出直してきます!」と家に帰って「ヘヘヘ、ポチッ…と」。コレじゃね~。
実はこの「ネットvs.楽器屋」の問題は長い通販の歴史を持つアメリカでも問題になっていてね、そのあたりのことをMarshall Blogの姉妹ブログShige Blogでレポートしているのでゼヒ一度読んでみてください。
一同:ハ~イ!
 
記事はコチラ⇒【Shige Blog】楽器業界 vs. Amazon

<Marshallの魅力>
M:皆さんはMarshallのどこが、あるいはナニがいいと思っていますが?
To:自分の色が出せるっていうことですね。ロックにおいてはMarshallのサウンドというのは確固たるスタンダードだと思うんですよ。
エフェクターもそうなんですけど、あまりにも個性の強いアンプなんかですと、それを使う意味がなく

1_img_0809なってしまう。
一同:賛成!
M:それじゃ反対にあまりにも「個性の強いアンプ」って?
一同:〇△◆□、%$#&*+、ГДЖИ…。
M:なるほど、一時期やたらとステージで見かけたヤツばっかりですな。今はあまり見かけない。
To:ハイ。でもオレは「何でもいい派」なんで、「コレで弾け!」って言われたらソレで弾いちゃうんですけど…。
M:あのね~、コレはMarshallの座談会ですから!そういうのはヤメて!
一同:大爆笑!
S:とにかくMarshallは音がデカいですよね。デカいというか…速い?
一同:そう!速い!
S:1960って12インチスピーカーが4発じゃないですか。そのスピーカーを鳴らすというより、側の板を鳴らすにはある程度の音量が必要だと思うんです。
M:物理的にそうでしょうね。スゴイ力ですからね。テレビの番組で「Marshallの爆音でガラスが割れるか?」というのをやったこともあります。
S:で、そういう風にキャビネット全体を鳴らすと、とにかく音が飛ぶんですよね。ボクのイメージでは会場の後の壁に音が当たる感じなんです。
M:ジム・マーシャルと同じことを言ってる!
S:他のアンプだと音が散ってしまって「抜ける」とか「飛ぶ」という感じにはならないんです。Marshallは圧倒的に飛びます。
Y:音が飛び過ぎてしまって、ライブハウス以外の場所で困ったりしませんか?

1_img_0790一同:どこで使うの?
Y:イヤ、こないだ友達の結婚式で…。
一同:結婚式でMarshall!?ダメだよ!(爆笑)
M:田川ヒロアキは結婚式でJVMをギンギンに鳴らしたけどね。二井原さんが歌って…。
S:PAの音って、Marshallから出ている音そのものよりもはるかに大きいハズなのに、同じレベルで鳴ってくれる。
M:音を聞く場所によってはPAの音を突き抜けてくるもんね。最近はどんなに大きなステージでも小さなアンプ1台で済ませちゃうでしょ?後はPAで大きくするみたいな。
コレじゃロック・コンサートの音にならないんですよね。
先日の外道の記念コンサートでイヤっていうほどそれがわかった。アンプをMarshallに換えて中音が大きくなった瞬間、モノスゴくパワーが増大した。
それはただ単に音が大きくなった…というモノとは違うんですよね。
AC/DCもそう。
PAから出すギターの音とは別に、後においてある10台のキャビを全部鳴らしてる。
やっぱり日本人は西洋の人とは「ロック」に対する感覚が根本的に違うと思うんです。PA技術の進歩とは話が別。
もっとも今の日本にそういうことをするような音楽があるか?と言われれば、ほとんどないですよね。言い換えると日本は「コンボ・アンプ1台のロック」ばっかりになっちゃった。
 
<夢のMarshall>

1_img_0749_2M:弾いてみたいMarshallってナニかありますか?

Y:オリジナルのJubileeが弾きたいです。時々見かけるんですがメッチャ高いです。
※コレは皆さんほとんど出て来なかった。今のMarshallで大満足…という風に捉えさせて頂くことにしよう。

  
<Marshallに期待する商品>
このエリアは話を聞いていて実に面白く興味深かった。
一種の企業秘密になるので会話の内容をつまびらかにすることが出来ないのが残念だが、後に会話の音源を聴いてみると、2時間近くもこの話題に取り組んでいたのにはビックリ!その時はアッという間だったのに。
しかし、時代は変わりましたな~。
今の若い人はDTMだのDAMだのと呼ばれていている類のモノに何の抵抗もないのね…というか、完全にギターとセットになっちゃった。
考えてみれば、そういう分野に忙しくて、昔のロックを聴いてコピーして勉強するどころじゃないわな~。
話を聞いていて、ナンカ自分が安土桃山時代ぐらいの人間のような感じがしました。
でも時代の流れには抗えない。
そういう観点では、ナンノこたぁない。私の勉強会みたいになっちゃった。
うれしかったのは、皆さん、やっぱりギターは真空管のアンプで鳴らしたいって!
さすがMarshall Boys & Girl!オジサンはうれしい。
それと携帯。
もう何でも携帯。
「携帯に入れることができないモノはすべて切り捨てる」という感じ?
いずれその携帯も古くなって何か他のものに取って替わる時が来るでしょう。
その時、一体世の中には何が出てきているんだろう…コワイわ。
 
そして、最後は雄太くんの音頭でMarshall三本締め。

1_img_0824 イヤ、そんなことしなかったか?
もう楽しくて、酔っ払っちゃって覚えてないわ!

1_img_0826 とにかく後半は「それいいね~!」とか「あ~、それ欲しい!」とか、スッカリ夢の中にいる気分になっちゃった。でも、どのアイデアも決して実現不可能なモノではなかったし、「夢」は大歓迎。
ただの大きな黒いハコなのに 並んだMarshallがカッコよく見えるのは、あの中に「夢」が詰まっているからなんだよ。
みんなもMarshallで「夢」をつかめ!
Go Over Big with Marshall

1_img_0833<おしまい>

200 
(一部敬称略 2018年2月 Marshallオフィスにて)