【田川ヒロアキ結婚スペシャル】Will You Marry Me? <披露宴:後編>
主役の2人がお色直しをしている間は歓談&お食事タイムだよね。
ミュージシャンの披露宴でもコレは同じ。
この間に新郎新婦のご両親が来客の皆さんにご挨拶して回り、さしつさされつするのはおなじみの光景だ。
「今日はありがとうございます。セガレがいつもお世話になりまして…」
「あ、本日はおめでとうございます!イエイエ、お世話になっているのはコチラの方でして…」
「どうぞどうぞ、イッパイ。イケるクチなんでしょ?」
「イヤ、そんなでも…。ありがとうざいます…」
「あ、ビールじゃなくて。日本酒?」
「どーもすいません。ビール飲むとトイレが近くなっちゃって…」
「イヤ~、一緒ですな~、ガッハッハ。じゃご一献…」
「ウワァットットット…こいつぁ、お口が迎えに行くてぇヤツですな」
「イヤ~、めでたい、めでたい」
…なんてね。
そのうちらくだの馬さんが『かんかんのう』を踊り出ししたりしてね…それはないか。
私もそのウチやるのかな、コレ?
新郎新婦のプロフィール紹介は欠かせませんわな。
美瑞穂さんのアナウンサー時代の動画も映しだされ、2人の出会いのストーリーがこと細かに綴られた。
美瑞穂さんって、こういうアナウンス仕事になるとメチャクチャしゃべるの上手なんだよね。
プロだから当たり前なんだけど、普段のフンワカしたムードとはゼンゼン違うので、こういうアナウンサー時代の記録を知らない人が目にするとビックリしちゃう。
ところで、結婚式のスピーチって、どうして「私が新郎の〇〇さんと初めてお会いしたのは~」ってやるんだろうね。
誰かが「出会った時のことを教えてくれ」と頼んだワケでもないのにどうしてもコレになっちゃう。
スピーチをしているのが誰かわからなくてはラチが明かないことはわかるんだけど、1人がそれをやると、続く人もみんなその話題になっちゃう。
ということで、私もやってみると…
「私が新郎のヒロアキくんと初めてお会いしたのは忘れもしない…アレはいつのことだったかいな~。
忘れとるやんけ!」
…とやっておいて、アレは2008年に池袋で開催された楽器の展示会でのことだった。
会ったというよりも、各メーカーのブースでコレみよがしにピラピラとギターを弾き倒している姿を見かけたという程度なんだけど。
ヒロアキくん、金髪のロングヘアだったんだよね。
「ウマいな~。弾き方が完全に間違ってるけど」…なんて思ったが、テクニックなんかよりも弾いているフレーズとその歌わせ方がすごくヨカッタのを覚えている。
音は普通だった。
ナゼならその時に使っていたギター・アンプがMarshallじゃなかったから。
この時の写真を探したんだけど、サスガになかった。その時はまだ「知らない人」だったからね。
翌年の5月、『NAONのYAON』が復活する前、日比谷の野音で『HARDなYAON』というイベントがあって、Marshallで機材のお手伝いをさせて頂いた。
そこにヒロアキくんが出演していたのだ。
「あ、あの池袋の時の変な弾き方の人だ!」
話かけてみると「Marshallが大好き」だと言うではないの。
この頃はもうMarshall Blogをやっていたので、写真撮影の許可をマネージャーにお願いした。
そのマネージャーは「Marshall Blog」という聞き慣れない言葉を耳にして不思議そうな顔をしていたがすぐに快諾してくれた。
そのマネージャーこそ今日の新婦さんだ。
二井原さんとの共演ですさまじいプレイを聴かせてくれた。
この時のヒロアキくんのサウンドはスゴかったよ。
上の写真の通りMarshallだったから!
で、この時私が撮った写真を気に入って頂いて、ファースト・ソロ・アルバム『FLY AWAY』に使って頂いた。
この時のことが最近作の『THEME PARK』にまでつながっているというワケ。
だから、あの時勇気を振り絞ってあのおっかないマネージャーに撮影の許可を取ってヨカッタ。
人生、ナニが起こるかわからない。
そんな感じでお付き合いが始まりすぐに仲良くなった。
野音の翌年にはヒロアキくんが今でも時折使ってくれているMarshall初のデジタル回路搭載のモデル「JMD:1」のデモ動画の撮影をお願いしたりした。
そうそう!この時、短いデモ曲を3つヒロアキくんに書き下ろしてもらって、私がそれぞれに「J」と「M」「D」で始まる曲名を付けたんだった。
なつかしいな~。
それから、フォトグラファーとして宮古島へ連れて行ってもらったり、昨日触れたボーイスカウトの世界大会に呼んでもらったり、ずいぶん色んな仕事をさせて頂いた。
恐怖の「3時間半押しのイベント」なんてのもあった。
どれも楽しかったナ。
そして、今日!
美瑞穂さんは鮮やかな赤いドレスに身をくるんでいる。
ヒロアキくんはネクタイとベストを替えてリフレッシュ。
ご来客の皆さんの間をユックリと縫って歩き、新郎新婦席に着座。
普通の会社員でもないし、年齢が年齢ゆえ同世代の友人は所帯を持ってしまい、私はもう滅多に結婚式に出ることなどないので、最近の傾向なんてモノはサッパリわからないが、キャンドル・サービスなんてのは古いのかしらん?
今回のコレは初めて見たんだけど、各テープルには予め何やら液体の入った背の高いグラスが置いてあって、各テーブルごとに決めた代表者が手元の液体をそのグラスに注ぐ。
すると、グラスの中に最初から入っていた薬液と化学反応が発生して大爆発!…となるところが、ウチのテーブルはグラスが美しい緑色に輝いた。 お隣のテーブルも爆発を免れ、グラスは赤く輝いた。
あのコンサートの時に頭上で振り回すサイリウムっていうヤツと同じだね。
何でもこのグラスの色は新婦のチョイスで、それぞれのテーブルのイメージを表しているのだそうだ。
なるほど…それで美瑞穂さん、私の髪が生えるようにワカメ色にしてくれたんだな?
やさしいな~。
今度は新郎新婦の番。
ハートの形をした我々のテーブルのグラスの親玉みたいなヤツに2人が液体を注ぐと…。
ピンクのハートになった!
さて、宴もたけなわ。
披露宴のハイライトでもある「爆音の部」の始まりだ!
ハナっからTAGAWAが登場!
まずはヒロアキくんのライブでおなじみの「Seascape」でスタート。
この日、早めにいらっしゃってバッチリと下準備をして臨んだ長谷川浩二。サスガである。曲はそのまま「キミを乗せて」。
結婚披露宴だからといって何の遠慮もない爆音での演奏。
Marshallも背後からお祝いしております。
キーボーズは石黒彰。
石黒さんはヒロアキくんのライブでの重要なサポート・プレイヤーであるだけでなく、重要なレパートリーの「Ave Maria」のアレンジャーでもある。
そして、私の「マニアック音楽友達」。
今度どっちが「音楽変態」かを勝負することになっている。リズム隊はヒロアキくんには欠かせない重要な音楽仲間、イヤ仕事仲間。
ベースに仮谷克之。
ひとり両手を上げている人がいますが…ココはヒロアキくんの染み入るような歌を堪能。
「ヒロアキくんとの出会いは忘れもしない…え~、いつのことやったかな?忘れとるやんけ!」…コチラがご本家。
先回も書いたように、「田川ヒロアキ」をインターネットで発掘し、世間に引っ張り出したのが二井原さん。
それが縁で美瑞穂さんとも出会った。
人生ってスゴイな~。
“Life is like a box of chocolates. You never know what you're gonna get until you open it up.”ってヤツ。
こういうことは後から考えるからこそ「スゴい」と思えるんだけどね。
やってるときはみんな無我夢中でしてね。
「将来どうなるか…」なんて考え要るヒマなんかありゃしない。
そして、無我夢中に頑張った人だけがいい思いをするってことよ。
あ、コレは二井原さんのご挨拶とは関係ありませんからね。
二井原さんからはヒロアキくんとの「出会い物語」が披露された。
二井原さんのソロ・アルバム『Ashes to Glory』への全面参加のストーリーだ。
そして1曲。
二井原さんの『歌うたい祭り 寿』からその「寿」。
この曲でヒロアキくんが二井原さんと共演するのを見るのは初めてだ。
日本のロック界のお宝ヴォイスとヒロアキくんの美しいギターの音が絶妙に絡み合ったね。
やっぱりギター・アンプは真空管に限るね。
「高砂」にデジタルのアンプは似合わねぇ。
人間はアナログでできてるんだから。
こうして披露宴も最終セクションに移っていった。
アレよ…恐怖の「涙コーナー」よ。
ご両親への感謝の気持ちを認めた手紙を美瑞穂さんが読み上げる。
プロだからウマい!
結婚式に弱い人はもうここでナミダナミダね。
「皆様、ホントにもう何度お礼を言っても言い足りないぐらいです。
私は、よく『見えてる疑惑』とか言われたりして、ヒョイと普通にギター・ケーブルを跨いだり、 ビデオカメラ持って走ったりとか、そんなこともあるので『ホントに見えてないのか?』と言われることもあるんです」
「見えてないのかと言われながらも……今日は……見たかったな~!!で
ひとつ自慢できることがあって…私は一回も両親を恨んだことがないんですよね。 コレが最高の自慢だと思います。
そうでなかったら、多分ココの皆さんとも出会ってないでしょうね。
全然違う人生だったと思うんで…。
そうでなかったら美瑞穂とも出会ってないし、今日の皆さんとも出会っていないから…『ヤヤッ、この人生、最高だな!』と思って。
両親から最高のプレゼントをもらったな…と。
『見えてる疑惑』とみんなにネタにされたりするのもおもしろいし」
ガサガサガサガサガサ。
涙を拭くハンカチを取り出す音が響く。
会場は全員Marshall!
「1959」、すなわち「号泣」ということね。
そんなこと聞いたら泣くにキマってるわナァ。
恥ずかしながら、ワタクシ、声を出して泣いてしまいました。
せっかくここまでこらえていたのに~!
アタマ痛え~!
そして、披露宴に協力をしてくださった方々への「感謝の言葉」が綴られた。
意外にも今日のようにバンド演奏ができるホテルが少なくて、会場探しにはかなり苦労を強いられたのだそうだ。
まさかMarshallのせいじゃないよね?
最後にようやくコートヤードッ・マリオットにめぐりあったとか。
「今日CDを皆さんの引き出物の中にお入れしました…
…全部私が作らせてもらったんですが、1曲目に入っている『二人のMelody』という曲は、実は美瑞穂の誕生日に私がプレゼントした曲なんです。
今日の曲は、『結婚式ミックス』ということで急遽仕上げました。
オーケストラの音を使って入れたんですけど、本当はピアノの弾き語りの曲なんですね。 夏が誕生日だし、2人の出会いも夏だったので、それを歌詞にしたという…まだ完成していないので、いつか完成したら今度は有料で販売したいと思います!」
コレで今日出席した人は全員買うな。
最後にマイクをハズして…
「今日はありがとうございました!超幸せです!!」
さてさて、今度はお客様の送り出し。
忙しい、忙しい…ライブの後の物販みたいだね。
あ~アタマ痛ェ。
上に書いたように私はそれほど結婚式に出た経験はないんだけれど、とにかく最高に楽しくて感動的な披露宴だった…と思う。
とてもいいコンサートを見た時の「エ、もう終わっちゃうの?」みたいな。
おかげでメッチャたくさん写真撮っちゃったよ。
ヒロアキくん、美瑞穂さん、末永くお幸せに…。
そして、お2人の益々のご活躍をお祈り申し上げています。
さあ、次の会場へGo!
<ウエディング・ライブ・パーティ編>につづく
(一部敬称略 2017年11月23日 コートヤード・マリオット銀座東武ホテルにて撮影)