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2018年8月23日 (木)

犬神サアカス團ショートプレミアム興行~サマー・オブ・ラブ2007

 
ビールが好き。
下の写真、ホラ、街灯がジョッキになってるんだよ。
そんなビールの街といえば~、恵比寿。
ヱビスビールって恵比寿にあるから「ヱビスビール」じゃないんだよ。
反対なの。
ヱビスビールがある街だから「恵比寿」っていうんだぜ。
そのヱビス、アルファベットだと「Ebisu」ではなく頭に「Y」がひっついて「Yebisu」と表記する。
♪なんでだろ~う、なんでだろ?
江戸末期から明治中期にかけては、外国人に「エ」を表す時、「ye」って表記したんだって。
16世紀に渡来したポルトガルの宣教師には日本人が発音する「エ」が「ye」に聞こえたからだそうだ。
多分「聞こえた」のではなくて、実際に「エ」と「イエ」を区別して発音していたんだと思う。
昔の人は「じ」と「ぢ」や「ず」と「づ」の発音を区別していたというからね。
その後、江戸期に日本人は「エ」と発音するのが普通になったけど、外人にとっては「エ」は「ye」のまま。
今度はそれを知った日本人が逆輸入さながら、「そうか…外人が『エ』を表記する時は『ye』とつづるのか」と思ってしまった。
その名残が「Yebisu」なんだって。
そういえば、通貨単位の「円」は「Yen」と書き表すよね。コレもこの名残。
我々はお金のやり取りをするときに齟齬が生じないように「JPY(Japanese )」とか「GBP(Great Britain Pound)」とか「USD(United States Dollar)」とか書くことが多いけど、連中はこの時「ジャパニーズ・イエン」と「エ」の前にハッキリと「イ」と発音する。
…とココまで書いてサッポロさんにお詫び。
私、ヱビスビールが苦手なんだよね。
ラガー・ビールの割には濃すぎるんよ。
やっぱり「エール」と呼ばれる上面発酵のビールがいい。
ビターとか、スタウトとかの、要するにイギリスのビールね。ドイツのヴァイツェンも上面発酵だ。
ヴァイツェンもメッチャおいしい。
昔はバドワイザーなんか喜んで飲んでいたけど、一旦イギリスのビールの味や香りやノド越しを覚えてしまったらもうバドは無理。Bud Powellは大好きだけど。
もう20年も前の話になるけど、アメリカはコロラドのフォート・コリンズという街に行ったことがあった。
ココは繁華街にあるバーにそれぞれ自前のブリュワリーがあることがよく知られていて、「シゲはジャズがすきだから」と、生バンドが入っている店に連れて行ってもらった。
メニューには何種類かのビールが並んでいて、どれを頼んでいいのかわからない…。「そういう時はコレ!」と6種類ぐらいのビールが試飲できるセットがあって、それを頼んでみた。
まぁ、アメリカン・サイズでしょう?
目の前に出された試飲用のグラスが日本では完全に本番用のサイズなワケ。
ラガーとはいえ、それでも作り立てのビールの味は悪いハズはなく、マァ、結構グビグビいっちゃうんだけど、そうは飲めない。(スゲエまずいヤツもあった)
試飲セットをやっとの思いで平らげると、「シゲ、で、どれ飲む?」と訊いてくる。
その答えは「見ていてわかんねーのか!もう一滴もはいらねーよ!」だった。
後でトイレが大変だったよ。10…ということで今日は恵比寿に来ている。
初めて訪れるハコ、club aim。
イヤ~、迷った、迷った。
近くでバンドのメンバーに偶然出くわして助かった。
犬神サアカス團の『ショートプレミアム興行』。
アルバム単位でセットリストが構成されるこの企画…『怪談!首つりの家』、『地獄の子守歌』に次いで、Marshall Blogでは3回目のレポートとなる。

20v今年の夏は酷暑に豪雨と、この過酷な気象にはまったく「愛」が感じられない。
地球が怒り狂っているんだから仕方ない。
しからば、コチラは「愛」の「夏」でいこうじゃないか!
今回の特集は『サマーオブラブ2007』。
「サマー・オブ・ラブ(Summer of Love)」というのは「フラワー・パワー」なんて言って1967年の夏にサンフランシスコを中心い起こったヒッピー・ムーブメントのこと。
そもそも今の若い人たちは「ヒッピー(Hippie)」なんて言葉は知らんよね?
1967年といえば私は5歳だったが、ちょっとでも髪の毛が伸びると親戚のオバさんが「なんだ、ヒッピーか?」なんてやってたのを思い出す。
「ヒッピー」について詳しく知りたい人は各自調べてもらうこととして、犬神サアカス團はそのムーブメントの40年後、すなわち1967年当時に二十歳だった団塊の世代が定年を迎える2007年に、昭和歌謡を結び付けた独自のムーブメント『サマーオブラブ2007』を展開した。
2007年の8月から連続5ヶ月でシングル盤をリリースしたのだ。

30当時は帯の裏面のハジッコにあった「キ」から始まるクーポンを5枚集め「キ・ン・メ・ダ・イ」とコンプリートするとプレゼントがもらえるというキャンペーンを張った。

40その賞品がこのツアー・プログラム。
この日は物販でその貴重な保管分が放出された。

5011年前の凶子姉さん。
とても楽しそうに歌ってる。

60これはその時の宣伝ポスター。
まだ犬神サーカス団ね。
…と、物販コーナーには普段見慣れないモノが並んだ。

70vでもステージの方はおなじみの光景が広がっていた。
ステージ上手にはMarshall JCM800 2203と1960Aのハーフスタック。

80vそして、ステージの中央にがNATALのアッシュのキット。

90今日の『ショートプレミアム興行』はその5枚のシングル盤に収録されたの曲を演奏し、「サマーオブラブ2007」を再現するというモノ。

100犬神凶子

110v犬神情次2号

120v犬神ジン

130v犬神明

140vオープニングは「光と影のトッカータ」。

150これ。
ん~「dog」と「god」で「犬神」ね。ウマいことやったな。
「God is dog」ってやってたのはFrank Zappaだったけか?

160s全体的なデザインは何となくコレに似てるな。
1967年1月リリースのThe Doorsのデビュー・アルバム。
若い頃はほとんど聴かなかったけど、今聴くとすごくいいナァ。
「ハートに火をつけて(Light my Fire)」がダントツに有名だけど、1930年初演のクルト・ワイルのオペラ『Rise and Fall of the City of Mahagonny(マハゴニー市の興亡)』の挿入歌「Alabama Song」を取り上げているあたりに鋭いセンスを感じるわね。
後年、デヴィッド・ボウイなんかも取り上げていたけど、ジム・モリソンの方がゼンゼンいい。
それと、1曲目の「Break on Through (to the Other Side)」は私のテーマ・ソングなの。
「She gets high!」とジム・モリソンが怒鳴るところが「シゲッ!」と聞こえるのです。

170s「トッカータ」は普段のステージでもよく演っているからね。

180とてもスムースな滑り出しだ。
210v

「皆さん、こんばんは!今日はショートプレミアム興行です。11年ぐらい前に5ヶ月連続でシングルをリリースしました。その5ヶ月を1時間で再現します」
と今日の企画の説明があって、早速重大発表。
「明兄さんがギックリ腰をやりまして…。それに情次兄さんは高熱を出して2人とも大変なことになっています」
ジョニーちゃんは39度まで熱が上がったとか…。
明兄さんは「今はアドレナリンが出ているので大丈夫!」と言っていたけど2人ともツラかったろうな~。
「もし何かあったらすぐに演奏を中断します」と安全第一宣言で2曲目に移った。

1_s41a8410 2曲目は同シングル収録の「腐乱のあなた」。

200vギター・ソロ…ああ~!そんなに張り切って大丈夫なのかッ!
私の学校の後輩だからね、心配だ。

270v続いては2枚目、「地獄に堕ちた子供たち」。
このジャケットも何かに似ている気がするな~…

220s…と思ったらコレだった!
Frank Zappaの『We're Only in it for Money』。
え、違う?コレは1968年だわ。
何しろビートルズのアルバムのパロ・ジャケはゴマンとあるからね。

230s『Sgt. Peppers Lonley Herats Culb Band』がリリースされたのは1967年3月のこと。
日本でのリリースはそれより後のことだったのだろうが、実際にこのアルバムの前後を経験した、当時ロック狂いの中学生だった四人囃子の岡井大二さんによれば、このアルバム以降、周辺のポップカルチャーのすべてが変わってしまったそうだ。
このアルバムって「ロックの金字塔」のように崇め奉られているけど、ロックの定義とも言えるエイト・ビートの曲って収録曲の半分以下しかないんだよね。
さんざん書いて来ているけど、今でも絶大な人気を誇るビートルズだけど、英語ができない日本人は、その魅力の半分を味わっていないと思うんだよね。
ビートルズの音楽って、もちろんメロディや演奏だけでも十分楽しめることも確かなんだけど、歌詞を理解して一緒に歌うとその魅力が爆発的に上昇するんだよね。
あのメロディにあの歌詞を乗せて口にするととにかく気持ちがいい。
それと歌詞の内容だよね。
このアルバムに入っている「She's Leaving Home」なんてイギリスの娘を持つ親たちが聴いた時、一体どういう風に感じたろう?
私には娘はいないが、歌詞カードを見ないで何とか直で英語を理解して聴いた時の感動は凄まじいモノがありますよ。
「When I'm Sixty-Four」も同じ。
この程度の曲ならティンパンアレイには掃いて捨てるほどある。天下のポール・マッカートニーでも向こうの土俵では、ジョージ・ガーシュウインやコール・ポーターやアーヴィング・バーリンやハロルド・アーレンにかなうワケがない。
ところがポールの声であの歌詞を歌い上げられるとコロっとヤラれちゃうんだよね。
今、若い人はビートルズを聴かないらしい。
コレは音楽界の大きな悲劇だと思うし、売上至上主義のクダラナイ音楽を押し付けてきた日本の音楽業界の重大な罪だと思う。
気の毒にナァ、ビートルズの音楽を知らないで死んでいくなんて…。

1_sgt曲はもちろん「地獄に堕ちた子供たち」。
しかし、コレもスゲエ歌詞だな。

250vココでも長めのジョニーちゃんのソロ。
身体は大丈夫なのかッ?!

190vステージ下手では凶子姉さんとジン兄さんのフォーメーション。

280続けて「一つ目小僧」。
この曲も普段のステージで時々取り上げられている。

260凶子姉さん、ココで本日のお召し物を紹介。
何とネコ柄の生地!
ネコ柄の着物なんて初めて見たけどかわいいね。

1_s41a8536 よくこういうトンボの柄を見かけるでしょう?
コレ、何でトンボか知ってる?
トンボって前にしか飛ばないんだって。だから「スクスク育て」と男児の着物の柄の選ばれることが多いのだそうだ。
しかし、後ろ向きに飛ぶ虫なんて見たことないけどナァ。

Df 3枚目のシングルは「たからもの」。

290sあ、こっちだ!
しかし、よくできてるナァ。
ジャニスの、イヤ、Big Brother and the Holding Companyの『Cheap Thrills』は1968年8月のリリースだ。

300sジャニス・ジョプリンやジミ・ヘンドリックスが出演して名前を上げた有名な「モンタレー・ポップ・フェスティバル」も1967年8月の開催だ。ウッドストックの2年前。
昔はね、ビデオをDVDも、ましてやYouTubeもなかったでしょ?
動くロック・バンドを見るにはフィルム・コンサートに行くしかなかったんよ。
まだロックは全くのマイノリティだったからね。いいですかロックを聴いて楽しんでいる人は少なかったので、テレビにロック・バンドが出てくることはまずなかった。
夜中にテレビで『ウッドストック』が放映されて明け方ま眠い目をこすりながら観たこともあった。
え?タイマーでビデオを撮っておけばいいって?
だからビデオなんかなかったんだってば!
で、観に行ったのよ、映画の『モンタレー・ポップ・フェスティバル』。
中学3年生ぐらいだったかなナァ?1977年ぐらいか…。
会場は九段会館だった。
何か併映されてたけど忘れちゃったナァ。
下はその時会場で買ったプログラム。この時から40年以上経っちゃった!

305vコレは脱線になるけど、このフェスティバルに出ていたThe Whoのキース・ムーンとママス&パパスのママ・キャスことキャス・エリオットってロンドンのアパートの同じベッドで死んでるんだよね。

詳しくはコチラ⇒【イギリス-ロック名所めぐり】 vol.26~ハイド・パークのカドッコで

260vこのシングルからは3曲が演奏された。

310リード・チューンの「たからもの」。

320「裸のマリー」
340v凶子姉さんがステージから降り、トリオに。
ああ、懐かしいな~この光景…「Z」!

385曲はジン兄さんの歌で「気ままな旅を」。

390v次は『バビロニア物語』。
あ、またやっちゃった!
コレはCreamの『Disraeli Gears』。
日本では『カラフル・クリーム』という無責任でアホ丸出しの邦題が付けられているが、原題はベンジャミン・ディスラエリというイギリスの政治家にちなんだタイトルだ。
 
興味のある人はコチラ⇒【イギリス-ロック名所めぐり】 vol.24~カーナビー・ストリート <前編> Dedicated Follower of Fashion

360s犬神バージョンはコチラ。
やっぱりイラストだと近づけやすいね。
お!三億円事件犯のモンタージュ写真が遺影スタイルで組み込まれている。

350s「三億円事件」は1968年の12月に府中で発生した窃盗事。
当時子供だった私は「三億円」がいくらなのかはよくわからなかったが、とにかくエライ騒ぎだったのを覚えている。
1975年12月に時効が成立し未解決事件となった。
三億円事件犯のモンタージュ写真は以前にもレコード・ジャケットに使用されている。
1972年年にリリースされたが発売中止となった頭脳警察のファーストは有名だろう。
今でこそ平気で売られているが、私がロックにのめり込んでいた高校時代、このアルバムを聴くことはとても困難なことだったが、年上の知り合いにお願いしてダビングしてもらった。
「世界革命戦争宣言」なんてのはやっぱりショックを受けたよね。
偶然並んだので書いておくが、「頭脳警察」というバンド名は上で紹介したザッパの『We're Only in it for Money』に収録されている「Who Are the Brain Police?」から転用されている。

Zk それとね、「三億円事件」と聞いていつも思い出すのは望月三起也の「ワイルド7」。
「ワイルド7」とか「秘密探偵JA」なんて夢中になって読んだな。
今じゃ「JA」と言えば「農協協同組合」のことだからね。
で、ワイルド7の人気エピソードのひとつに「緑の墓」という長編があった。
「緑の墓」というのは凶悪犯を収容する架空の特殊刑務所のことで、そこの囚人のひとりが自分の優秀さを示すためにこういうセリフを吐くシーンがある。
「あの『三億円事件』の計画の一部を担当したのは私だ」
コレがカッコよくてね~。
それほどこの事件はスゴイ犯罪だったというワケ。
犯人の連中は今頃そうしてるんだろうね。
当時30歳で犯行に及んだとして今年で「傘寿」だよ。
そうか…三億円事件から50年経ったのか!私の小学1年生は50年も前のことなのだ!

660_mh曲はそのまま「バビロニア物語」。

370合掌。

1_s41a8640 続けてカップリング曲の「ディストピア」。
ん~、やっぱりいいな~NATALのサウンドは!

380vそして、体調が悪い情次兄さんはMarhsallがガッチリとサポート。
例え弾き手に熱があってもMarshallが助けてくれます。

400さて、最後は2007年11月に発表したシリーズ最後のシングル「いつか」。

400s1967年2月にリリースされたジェファーソン・エアプレインの『Surrealistic Pillow』はロックを聴き始めの頃に買って聴いたけど「Somebody to Love」以外はダメだったナァ。
コレのせいかどうかは知らないけど、ジェファーソンはエアプレーンもスターシップもどうも受け付けなかった。
でも20年前にサンフランシスコに行った時、現地の人が遠くの山の中腹を指差して「アレがグレイス・スリックの家だよ」と教えてくれた時はチョットだけうれしかったナ。

420s凶子姉さんは「いつか」を熱唱。

440そして、明兄さんがお好きだという「過去の栄光」をテーマにした「運命」を演奏して本編を終了した。

430 

470そして、アンコールは『地獄に堕ちた子供たち』の「苦界浄土」をプレイ。
「苦界(くがい)十年」なんてね。
吉原なんかに売られていくと、最低10年はそこで過ごさなければならなかった。チョット今日も『私のディープ浅草』はお休みね。

490v2人の故障者を出しながら、見事に『サマーオブラブ2007』を再現した~!

480ああ~、明さん大丈夫ッ?
凶子さんが心配そうにサポート。
そういえば前回レポートした『妖怪大戦争』の終演後もシンドそうだったからな~。
腰はダメよ。
本当に気をつけないと!重度の椎間板ヘルニアになんかに罹ろうものなら地獄ですからね。510そして、『新宿ゴーゴー』に続くニューアルバム『東京2060』の発売が9月26日に決定した。
スゴいね~、犬神さんは。
こうして定期的にキチッと新作を出し続けて、ツアーをして…コレがミュージシャンの本来の仕事だわね。
そのレコ発ツアーは10月20日の札幌から。

520sその前に恒例のバカスポの単毒公演。
オイオイオイオイオイオイオイ、もう1年経ったのかよ!
この「楽園」もど早くやって来る企画はないね。
今回のタイトルは『ケルベロスの狂宴』だそうです。
 

犬神サアカス團の詳しい情報はコチラ⇒公式家頁

530 

200 

(一部敬称略 2018年6月26日 恵比寿club aimにて撮影)